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ナノ粒子中化学成分の高感度・迅速計測法の開発

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Academic year: 2021

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主要な研究成果

背 景

ディーゼルエンジンから排出されるナノ粒子は、呼吸により人体に甚大な影響を及ぼすことが指摘されてい る。その影響は粒子表面に吸着する化学成分(主として有機化学成分)によって異なる可能性があるため、ナ ノ粒子中の化学成分を測定することは重要な課題である。当所は、ナノ粒子に含まれる有機化合物(特に細胞 に突然変異を誘起させる恐れがある多環芳香族炭化水素: PAH)を高感度・迅速に計測する新しい測定手法 の開発を、文部科学省からの補助事業として実施してきた。

目 的

静電分級技術(DMA)とレーザーイオン化飛行時間型質量分析技術(レーザーイオン化 TOFMS)による ナノ粒子中 PAH の測定可能性を評価し、化学成分濃縮分離技術を開発するとともに、当所考案のシステムの 試作を行い、同システムによるナノ粒子中の PAH の測定可能性を評価する。

主な成果

1.DMAとレーザーイオン化TOFMSによるナノ粒子中PAHの測定可能性の評価 DMA とレーザーイオン化 TOFMS を組み合わせた装置により、ディーゼルエンジンから排出されるナノ 粒子を分級し、PAH を計測した。その結果、粒径 10nm ∼ 450nm の粒子を分級し、その中のナノ粒子につ いて質量/電荷比(m/z)50 ∼ 300 の範囲でマススペクトルを得ることに成功した(図 1)。この結果から、 DMA とレーザーイオン化 TOFMS の組み合わせにより、ナノ粒子中の PAH の測定が可能であると判断した。 2.化学成分濃縮分離技術の開発 ナノ粒子中の化学成分を濃縮・脱着、分離する装置を開発し、11 の PAH(フルオレン、ジベンゾチオ フェン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、ピレン、クリセン、ベンゾ(e)ピレン、ベン ゾ(a)ピレン、ペリレン、ベンゾ(ghi)ペリレン)を対象に、濃縮、分離条件を検討した。その結果、カ ラム充填剤の種類や、濃縮、分離の温度条件などを適切に制御することで、各 PAH を従来法の所要時間の 1/3-1/4 程度の約 15 分で分離できることがわかった。これにより、開発した装置は PAH の濃縮、分離に適用 できるものと評価した。 3.当所考案のシステムの試作 当初考案のシステムを試作した(図 2)。当該物質の標準試料の化学分析値との比較結果から、同装置に より PAH を定量できることを確認した(図 3)。これらの結果を PAH の同定、定量のためのデータベースと して蓄積した。以上の結果から、本研究で試作した装置は、ディーゼル排ガス中などに存在するさまざまな 粒径の粒子からナノ粒子を分級し、これに含まれる化学成分を分離した上で、高感度で同定、定量が可能で あると評価した。

今後の展開

開発した装置をディーゼル排ガスや環境中ナノ粒子に含まれる化学成分の計測に適用する。 主担当者 知的財産センター 技術移転グループ 主任研究員 田中 伸幸

関連報告書 “Determination of organic compounds in nano-particles by laser breakdown and reso-nant ionization time-of-flight mass spectrometry”, Spectrochimica Acta Part B, 60, 2005. 「エンジン排ガス中ナノ粒子の化学成分計測技術」、燃焼技術、46 巻(2004)

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2.環境/地域環境問題への対応

59 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 10 100 1000 0W 500W 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 10 00 1000 0W 500W 粒径(nm) 個数濃度 (個/m 3) 0 50 100 150 200 250 300 50 100 150 200 250 300 0 50 100 150 200 250 300 50 100 150 200 250 300 D=70nm 信号強度 (a.u.) ① ①DDMMAA ② ②化化学学成成分分濃濃縮縮分分離離装装置置 配 配管管・・TTOOFFMMSS 制 制御御系系 ③ ③レレーーザザーーイイオオンン化化 TTOOFFMMSS ( (暗暗幕幕内内)) 図2 試作した装置の全景 質量/電荷比(m/z) y = 2709.57 x + 3.68 R2 = 0.98 0 100 200 300 400 500 600 0 0.05 0.1 0.15 0.2 濃度(μg/L) TOF/MS カ ウ ン ト値 (5 分測定平均値) 図1 DMAにより分級したディーゼル排ガスの粒径分布(左図)と、レーザーイオン化TOFMSにより測定し た粒子中の化学成分のマススペクトル(右図:エンジン負荷500W、粒径70nm) 左図より、ディーゼル排ガスの粒径分布は、エンジン負荷が0W(アイドリング状態)のとき50nm付近に大き なピークを持つのに対して、エンジン負荷500Wでは50nm付近のピークが減少し、200nm付近に大きなピーク を持つようになる。また、エンジン負荷500W、70nmの粒子中化学成分をレーザーイオン化TOFMSで測定し た右図より、m/z202、252などの大きなピークを含む複数のピークが検出された。以上の結果は、エンジン負 荷が大きくなるほど粒径ピークが大きくなるとする既往の研究結果と矛盾しない。 GC/MSによるアントラセン測定値とレーザーイオ ン化TOFMSのカウント値は高い正の相関を示して いる。この結果から、試作した装置は、ナノ粒子を 分級し、粒子中の化学成分を同定・定量できること がわかる。 試料ガスは①DMA→②化学成分濃縮分離装置→③ レーザーイオン化TOFMSの順に配管内を移動す る。①、②は独自に制御し、それぞれを結ぶ配管と ③は一括に制御する。これにより装置内の温度、圧 力、真空度など、測定に影響を与えるパラメータは 高度に管理される。なお③は高エネルギーのレー ザーを発振させるため、事故防止の目的で暗幕内に 設置している。 図3 ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)に よる測定値とレーザーイオン化TOFMSのカウ ント値との関係(アントラセンの場合) ①DMA ②化学成分濃縮分離装置 配 管・TOFMS 制御系 ③ レーザ ーイオン化 TOFMS (暗幕内)

参照

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