私たちが会社で仕事を進めていくと、さまざま な種類の「紙」にかかわることになります。この 「紙」とは、帳票や証憑(しょうひょう)書類に 始まって小切手や会議の書類も含めた、仕事に欠 かせない「紙」のことです。その数だけ「手続き」 という業務が生じています。業務に関する基礎的 な知識を身につけておきましょう。
3.1 帳票の種類と流れを把握する
あなたは「帳票」という言葉を聞いたことがありますか? 会社の中では、毎日、モノとカネが動いています。その動きに連れてさまざまな種類の「帳 票」が動きます。ここでは、各部署の帳票の種類と流れ、その役割について解説します。「帳票」とは
「帳票」とは、帳簿または台帳の帳と伝票の票とをつないで作った用語です。記入する事 項を予測して、そのための空欄を設けて印刷された事務用紙のことで、事務手続きのための 書類となります。では、なぜそのようなものがあるのでしょうか? (1) 帳票の種類 各部署ごとに、あるいは部署をまたがってさまざまな種類の帳票があります。 伝票例 伝票の役割 発注伝票 仕事で生じる外部会社への発注内容を1件ごとに記入し、関係各部署へ回す。 売上伝票 営業販売で売上げた内容を、その日や月ごとに記入して、経理などの関係各 部署へ回す。経理では、これを元に顧客別に請求書を作成する。 出庫伝票 倉庫で管理する商品を顧客へ納入するとき、出庫する内容を具体的に記入す る。 物品購入伝票 仕事で必要な備品や消耗品を購入したときに、その具体的な内容が分かるよ うに記入する。経理へ回す。 旅費交通費 明細伝票 仕事上での出張や外出で使った内容を、各交通機関や宿泊施設が分かるよう に記入する。経理へ回す。 * これらは、会社によって表現が異なることがあります。(2) 帳票の役割 帳票の役割は以下のとおりです。 ・情報を伝達する。 ・記入内容や押印などから、行われた仕事や、その関係者・責任者などが分かる。 ・仕事を指示し指導する(押印などから)。 ・仕事の流れを能率化できる。 ・その業務の内容とかかわった人について記録・保存する。
帳票の流れで、仕事の流れをつかんでみよう
商品を顧客に販売した場合、顧客に商品を納品し、その代金を受け取るまでに、次のよう な伝票が作成されます。伝票の種類は、これだけに限定されず、会社によってさまざまです。 紙ではない帳票? 最近は、「資源を大切に」、「オフィスの紙を減らしましょう」という運動(ペーパーレス運 動)が盛んに行われています。パソコンなど OA 機器も常備されるようになりました。それに 伴って、紙に印刷されたもの(ハードコピー)だけでなく、画像(ソフトコピー)も帳票と 呼ぶようになりました。3.2 印鑑の種類と使用範囲
銀行へ行って、通帳で預金をおろすときは印鑑が必要ですね。そのほか、カードを新しく 作るとき、小包や宅配便を受け取るときなど、日常生活で責任ある認証を行う場面では、印 鑑が必要となります。サインを使用している欧米などと異なり、我が国では印鑑は多くの場 面でなくてはならないものです。会社においてはどのような印鑑があり、それがどう使われ ているのでしょうか?実印と認め印
印鑑(はんこ)は、自身の証明となる特定の印鑑と、そうでない印鑑とに分けられます。 実印 印鑑登録してある印鑑。印鑑登録とは、市区町村に自分の印鑑であることの 届け出をし、登録してもらうこと。1 個に限る。その印鑑のコピーが印鑑証 明書である。正式な契約書などに使用する。また、会社の実印(法務局に印 鑑届をしてある)を代表者印という。 認め印 会社の書類に押したり、金融機関への届出印にしたり、ふだん使う印鑑。何 個持っていてもよい。会社で使う印鑑
会社には、社印として会社角印があり、職印として代表者印をはじめ部長印など個人の印 鑑があります。会社角印は、代表者印と一緒に押されることが多いですが、特に法律上必要 とされるものではありません。 そのほかに日付印(デート印)といって、日付と個人名(部署名)が入った印鑑があり、 これは事務処理や、作業を行った日付と、行った者が分かるように押印するものです。押印のしかた
(1) 社印と職印を両用する場合 (2) 社印のみの場合 (社名の最後の1字、または2字にかけて押印) (3) 職印のみの場合印鑑の種類と用途
ふつうの押印のほかに、以下のような用途もあります。 種 類 用 途 契印 契約書や法律に関する文書で、2 枚以上が 1 セットの文書 であるという証拠に使用するために押す印。とじ目ごと に両ページにかけて印を押す。 割り印 収入印紙を貼ったとき、それに押す印。 訂正印 正式な文書の誤記を訂正するときに押す印。承認印をもらう順番は決まっている
例えば、有給休暇願いを見てみましょう。当事者である自分の押印する場所があります。 氏名の右に押印します。この用紙を会社に提出するときは、上司の承認印が必要です。係長 →課長→部長など、自分に近い役職の順番で承認印をもらいます。このときに、係長が離席 しているからといって、先に課長に承認印をもらうことはできません。
3.3 小切手と手形の知識
現代は、信用経済の時代、キャッシュレス生活の時代といわれています。日常生活におい ては、カードで買い物をする習慣が一般化されつつあります。ビジネスの場においては、そ の原形となるのが、小切手・手形です。現金の代わりに支払いの手段として使われます。会 社によっては、これらの有価証券の扱いに規制を設けている所もあります。 ここでは、小切手や手形の知識や種類、取り扱うときの注意事項などを解説します。小切手とは? 手形とは?
小切手・手形は多数の人々の間で、支払ったり受け取られたりする有価証券(記載された 金額と同じ価値のある証券)です。その円滑な流通を図るために「小切手法」「手形法」と いう法律でいろいろなことが定められています。 (1) 手形とは 一定期日に取引代金の支払いを約束した有価証券である。約束手形と為替手形の 2 種類が ある。 ・ 約束手形・・・振出人が手形に記載した金額を支払うことを約束する形式の手形 ・ 為替手形・・・振出人が手形に記載した金額を支払うことを債務者に委託する形式の 手形 つまり、約束手形が振出人自身の支払いの約束であるのに対し、為替手形は振出人が第三 者に対し支払いを委託する、という違いがある。 (2) 小切手とは 振出人(支払いをする人)が受取人に対して、振出人の設定している当座預金からの支払 いを銀行に委託する有価証券である。 為替手形は、第三者に支払いをさせて振出人が自らの懐から金を出すわけではない。しか し小切手は、支払いの事務を第三者(支払銀行)に代行させているというだけで、実際の支 払いをするのは振出人自身である。[小切手の見本]
手形・小切手の注意点
手形や小切手を振り出す際、振出人が決められた箇所に必要事項をもれなく記載しなけれ ば、それらは無効となります。 (1) 手形の必要記載事項(カッコ内は為替手形の場合) a. 手形文句 b. 手形金額 c. 支払約束(支払委託)文句 d. 満期 e. 支払地 f. 受取人 g. 振り出しの日付 h. 振出地 i. 振出人の署名( j. 支払人) k. 裏書があれば、裏書人名の連続 (2) 小切手の必要記載事項 a. 小切手文句 b. 支払委託文句 c. 支払人 d. 支払地 e. 振り出しの日付 f. 振出地 g. 振出人の署名(ただし、小切手用紙は銀行が交付してくれるので、 a.b.c.d.e.f.はあらかじめ印刷されている) さらに、上記以外の不必要なことを記載していても、無効となることがあるので十分注意 しましょう。 小切手のチェックポイント 「不渡り手形」という言葉をよく耳にしますが、その意味を知っていますか? 手形を決 済する場合、支払銀行では手形の振出人の当座残高を調べ、それが手形の額面金額を超えて いるときは支払います。しかし、当座残高が額面金額に満たない場合は、「預金不足」の付せ んを付けて振出銀行に返却します。これが手形の不渡りです。3.4 証憑(しょうひょう)書類について
買い物をするとレシートをもらいます。なんのためでしょうか? レシートは、買い物について店と客の間でお金の受け渡しがあったことの証拠になる紙片 です。ビジネス社会では、品物やお金が動いたときトラブルを避けたり、法的な決まりのた めに、この証拠の紙片が欠かせません。これら証拠となる紙片や、その他定められた内容を 記録した書類を証憑書類といいます。ここでは証憑書類の基本的な知識を養いましょう。証憑書類とは
証憑書類と一口にいっても、名前も形もさまざまです。“企業活動の流れに沿って、取引 の発生を証明するための紙片”のことを指します。証憑書類の種類と役割
企業活動の流れに沿って発生する証憑書類を見てみましょう。 企業活動の流れ 発生する証憑書類 商品が売れた 注文書(取引先から)・契約書 商品を収める 納品書 代金を請求する 請求書・支払伝票(取引先から) 代金を受け取る 領収書 その他 取扱説明書・設計図・定款など証憑書類はなぜ必要なのか
「こんなにもたくさんの書類がなぜ必要なのか?」「書類がたまって事務処理が大変だ」 などと言われがちな書類が証憑書類です。しかし、その役割は重大なのです。 例えば、あなたが仕事の資料として書籍を買い、代金を立て替えて支払ったとします。そ して、出金伝票の決済を上司にあおいだとしましょう。 ところが、上司から「この出金伝票に対する領収書はどれか?」とたずねられたとき、書 籍の領収書が添付されていなかったらどうなるでしょうか? “その書籍の購入の事実が本当にあったのか。本当にあなたが代金を立て替えたのか”と いうことを証明することができません。そのため、あなたは立て替えた金額を受け取ること ができなくなります。 証憑書類の役割は次のとおりです。 (1) 取引が本当にあったことの証拠となる。 (2) 各種の伝票より記帳された帳簿記録が、妥当性のあることの証拠になる。 (3) 入金や支払いが、正当な承認や手続きでなされていたことの証拠となる。 (4) 商品の内容や取り決めた条件の証拠となる。 <証憑書類の見本> 納品のときには納品書を付け、納品の証拠とする。 通常、納品書は何枚かの複写になっていて、納品時に「物品受領書」に受領印を押し て返してもらう。 「請求内訳書」は納品の控えとして使い、締切日になったら得意先別に仕分け、一括 請求書を送付するときに添付する。
証憑書類はいつまで保管するの? 「会社法」では、“会計帳簿などを 10 年間保存すること”と定めています。「税法」では” 7 年間(特定名のものは 5 年間)保存すること“と定めています。このように、会社法と税 法では、保存すべき帳簿の範囲と期間とに違いがあります。 会社では両者の内容から「経理規定」を設け、証憑書類によって具体的に保存期間を定め ています。内容に十分気をつけて保存しておくことが大切です。
3.5 ビジネスにおける電報
あなたは電報を打ったことがありますか? もらったことがありますか? ここでは、ビジネスの場における電報の役割と種類、その打ち方などを覚えましよう。電報はこんなときに
電話では形が残せませんが、電報は形が残り、しかも手紙より早く、先方にこちらの気持 ちを伝えることができます。そして、会社と社員、社員同士、あるいは取引先などへの儀礼 としても、欠かすことのできないものです。普段から情報収集に努めておきましょう。 会社では以下のようなときに電報を打ちます。 (1) 慶事・・・就任、受賞、祝賀行事など。 (2) 弔事・・・慰霊祭、社葬、法要、葬儀。電報の打ち方
電報を打つタイミング 電報で大切なのは、届ける日にちや時刻、それに配達先です。これがずれては電報を打つ 意味がなくなります。そのために確実な情報を得るには、次の手段があります。 (1) 新聞の報道(慶弔欄など)。 (2) 当事者からの連絡。 (3) 外部の関係者、社内からの連絡。 電報の打ち方 電話で打つ場合は、局番なしの「115」番で 1 ヵ月前から申し込めます。配達日を指定で電報を打つときの注意
(1) 祝電の場合・・・忌み言葉(縁起が悪いとして避ける言葉)を使わない。 去る、出る、切る、こわれる、終わる、帰る、破れる、離れる、戻る、繰り返す、死ぬ、涙、 冷える、なくなる、失う、重ね言葉(かえすがえす、重ねがさね、またまた) (2) 弔電の場合・・・喪主を必ず確認し、故人との続柄によって以下の尊敬語を使う。 父 ・・・「ご尊父様」「お父上様」 夫 ・・・「ご主人様」「ご夫君」 息子・・・「ご令息」「ご子息」 母・・・「ご母堂様」「お母上様」 妻・・・「ご令室」「奥様」 娘・・・「ご令嬢」「お嬢様」 <弔事の知らせを受けたときのチェックリスト> 確認事項 (1) 逝去の日時 (2)死因 (3) 通夜の日時と場所 (4) 葬式の形式(宗教)、日時と場所 (5) 喪主の氏名・住所 ・電話番号 こんな電報知っていますか? ・ おし花電報…鮮やかなおし花をあしらった電報。普通のもののほかに、香りが楽しめる “デラックス“もある。 ・ メロディ電報…開くと音楽を奏でる電報。 ・ 刺しゅう電報…金糸・銀糸の刺しゅうをほどこした電報。「松竹梅」「鶴」などがある。 ・ うるし電報…「うるし」に「蒔絵」(まきえ)をあしらった豪華な電報。 このほかにも、さまざまなサービス付きの電報があり、その種類は年々増えています。値段 によりいろいろ用意されているので、予算に応じて使い分けましょう。3.6 会議の知識
会社ではさまざまな会議を開きます。会社の将来を決定する会議から、部署内の連絡会議 まで、目的も構成メンバーもさまざまです。たとえ自分が参加しなくても、会議についての 知識をもつことは、資料作りや連絡、会場設営などに必要です。 ここでは、目的別に、一般的な会議の種類とその構成メンバー、運営形態の種類などにつ いて覚えましょう。会議の種類とその参加者
種 類 内 容 参加者 株主総会 株式会社の機関として、法的に開催が義務付けられてい る会議。会社内部における最高意思決定の機関である。 会社の最高方針を決定したり、取締役を選任するための 決議を行うことなどを任務とする。 一般株主 役員 役員会 経営上の意思決定を行う。経営活動の基本方針を決定す る。 内部役員 常務会 企業における全般的な問題について審議・協議し、決定 を行う、企業活動における最も重要な会議。 社長、副社長、専務取 締役、常務取締役など の役員 部長会 社長の補佐機関としての会議である。 各部門管理者 このほかに、部門別会議(部門内の意見、連絡調整のための会議)、経営協議会(経営者 と従業員が経営活動の改善・向上のために行う会議)、打ち合わせ会議(特定の題目につい て、小人数の関係者が集まって情報伝達をしたり指示を得たりするための会議)などがあり ます。目的別の会議の種類
目的や運営形態によって、次のような会議があります。(1) 説明会議 会議のリーダーまたは特別の発表者がメッセージを一方的に伝える。目的は、情報伝達。 (2) 研究会議 学術・研究的な会議に多い。目的は、情報交換と相互啓発が主になる。 (3) 研修会議 情報伝達・相互啓発を目的に、参加者への教育意図で行われる。新入社員研修などがある。 (4) 問題解決会議 ある問題について討議し、メンバーの意見を統一し、結論を出すための会議。 (5) アイデア会議 プランの基礎を作るための自由な発想を得たり、新しい考え方を模索するための会議。参加 者が自由に意見を発表する、ブレーンストーミングが代表的。 [会議の座席配置]
会議によく参加する人は?
課内会議は課のメンバーが参加しますが、通常部署を超えた定例の会議には、各部署の責 任者(管理者)が参加します。そのため、一般的に上位者ほど会議によく参加することにな ります。
3.7 会議の準備
上司に『私が主催する会議の準備をしてほしい』と、指示されたらどうしますか? 聞い ておかなければならないことはなんでしょうか? なにを手配して、どう準備すればよいの でしょうか? ここでは、会議の準備について、具体的なことを順を追って覚えましょう。指示を受けるときのポイント
5W2H の原則に従って、メモを取りながら指示を受けます。その後の手配と準備のために、 しっかり確認しましょう。 (1) なぜ(Why)…なぜこの会議が開かれるのかという会議の必要性。 (2) なにを(What)…会議名、議題のこと(あるいは用意・作成しておくもの)。 (3) いつ(When)…会議の開催日時(開始と終了の時刻)、いつまでに手配をするのか。 (4) どこで(Where)…場所(住所、案内図、電話番号)。 (5) だれ(Who)…会議の責任者・参加メンバー、案内状送付先。 (6) どのような(How to)…運営形態、会場の設営(机の並べ方や機材など)。 (7) 何人で(How many)…参加メンバー数。開催準備
指示を受けるときに取ったメモをもとにして、会議の準備をします。 すぐ準備すること (1) 参加者の選定 もれている人はいないか確認する。(2) 会議場の選定 出席者に都合のよい場所はどこか、人数に見合った広さの場所があるかなどを検討して決 定し、早めに予約する。 少し前に準備すること (1) 開催の通知 いつまでに出すか、記載事項に誤りはないか確認する。 (2) 必要資料の準備 必要部数をコピーまたは印刷して用意する。事前に配布するものは、資料に目をとおす時 間を考慮して配布しておく。 (3) 会議場の準備 会場のレイアウトを考える。レイアウトの種類は、円卓式、コの字型、口の字型、教室型 がある。人数、会議の性格、会場の広さなどに応じて最適の配置を考えるか、または指示を 受ける。 (「3.6 会議の知識」の配置図参照) 必要品を予約する。以下のものを必要に応じて用意する。 名札、視聴覚機器・材料(ホワイトボード、マーカー、マグネット、模造紙、OHP、スラ イド、パソコン、指示棒、VTR、テープレコーダー、マイクロフォン)etc. (4) 会議中の飲み物 どんな飲み物を出すのか、食事を出すのならその手配もする。 前日と当日に準備すること (1) 参加者の確認 前日中に、必ず参加できるか再度確認する。 (2) 資料の確認 前日中に、必要数そろっているか確認する。 (3) 会場のセッティング 当日は早めに会場のセッティングを終え、機材・備品を用意してチェックする。昼食など、 外部業者がかかわるものには最終確認を入れる。
(4) その他 メンバーが集まったらすぐ飲み物を出せるように、などの細かな準備を整える。 会議の記録をとる 会議の記録をとる指示をされたら、議事録専用のノートがあればそれに、なければレポー ト用紙などに記録します。 議事録の内容項目は次のとおりです。 会議名、日時、場所、参加者、議題、発言者と発言内容、決定内容 など