Title 牛乳カゼインを素材とした非アレルゲン性IgA生産促進ペプチド素材の開発( 内容の要旨 ) Author(s) 張, 鳳梅 Report No.(Doctoral Degree) 博士(農学) 甲第356号 Issue Date 2005-03-14 Type 博士論文 Version URL http://hdl.handle.net/20.500.12099/2697 ※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。
氏 名(本(国)籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 研究科及び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 員 会 張 鳳 梅 (中華人民共和国) 博士(農学) 農博甲第356号 平成17年3月14日 学位規則第4粂第1項該当 連合農学研究科 生物生産科学専攻 信州大学 牛乳カゼインを素材とした非アレルゲン性Ⅰ由虻産 促進ペプチド素材の開発 主査 信州大学 教 授 副査 信州大学 教 授 副査 岐阜大学 教 授 副査 静岡大学 教 授 元 二 敬 誠 浩 義 谷 島 丸 大 大 金 森 論 文 の 内 容 の 要 旨 ミルク時,晴乳類新生仔が最初に口にする食物であり,新生仔の未熟な生理 機能を補うためや,栄養素の消化吸収を高めるための様々な成分を含んでいる。 ミルク中の主要たんばく質であるカゼインは,消化性に優れていることとアミ ノ酸バランスがよいことから,以前はアミノ酸の供給源としてのみ考えられて きた。ところが,1979年,Brantlらが牛乳カゼインの酵素消化物にオピオイ ド活性を見出して以来,カゼインの消化物から様々な生理活性ペプチドが分離 され,現在では,カゼインは新生仔の生体を調節する上でも重要な機能を担っ ていると考えられるようになっている。 牛乳カゼインの消化により生じるペプチドの中でも,最もよく研究されて いるペプチドにホスホセリン集中域を含むカゼインホスホペプチド(CPP)が ある。CPPは,カルシウムの吸収促進を目的とした特定保健用食品素材として 厚生労働省から許可されているところであるが,本学位論文の提出者が所属す る研究室では,1998年に,CPPが細胞培養系で免疫グロブリンの産生を促進
することを見出し,その後,CPP添加飼料でマウスやブタを飼育すると,それ
らの動物の腸管IgAレベルが顕著に高くなることを明らかにするとともに,ヒ トでもCPPを摂取すると糞便中のⅠ由レベルが上昇する傾向にあることを確 認している。これらのことは,CPPは感染予防食晶素材として利用できる可能 性を示唆するものである。ところが,牛乳アレルギ†患者のIg寧抗体にはカゼ インのホスホセリン集中域を認識したものがあるという報告がある。このことは,牛乳アレルギー患者が感染防御を目的としてCPPを摂取するとアレルギ ー症状を起こす可能性が高いことを示している。そのた.めに,ホスホセリン集
中域を認顕している抗体とは反応せず,Ⅰ由産生促準活性を有するペプチド素
材の開発が望まれる。そこで,そのようなべプチドの開発を目的とした研究成 果をまとめたのが張論文である。 張論文はⅠⅠⅠ編構成になっており,まず第Ⅰ編では,牛乳カゼインの一般的 な性質,粘膜免疫系の特徴,CPPの免疫調節機能が発見された経過および本研 究の目的について述べている。 第ⅠⅠ編は4牽からできており,いずれの章でも研究成果について述べている。 すなわち,まず第1華では,牛乳.αS2・やゼインの1・3草城に相当するCPPと牛乳β・カゼインの1・28域に相当するqPPを含む飼料でC3血eN系⇒ウスを5
週間飼育し,牛乳αS2・カゼインの1・32域,牛乳β・カゼインの1・28域および
全カゼインに対する腸管および血液中のIgG,Ⅰ写MおよびIgAクラスの抗体応 答性を調べている。それらCPPに対する抗体生産はほとんど見られないこと を示すことにより,アミノ酸30個程度からなるCPPは,健康なヒトにおいて, IgA産生促進素材になると考察している。一方,既に牛乳アレルギーに陥っているヒトではCPPに対する抗体が存在することから,第2章では,ホスホセ
リン集中域を藤識した抗体と化学合成した6種類のホスホペプチドの反応性を調べることにより,ホスホセリン集中嘩を認識する抗体に対するエピトープの
構造解析を行なった成果を述べている。すなわち,第2章では,SerP-SerP・SerP という配列がホスホセリン集中域を認識した抗体との反応において不可欠な領 域であり,.その実ん中に位置するSerPl残基が他のアミノ酸に置換されたトリ ペプチドにはホスホセリン集中域を認識した抗体との反応性はほとんどないこ とを示している。先に,本論文提出者が属する研究室では,SerP・ⅩtSerP(Ⅹ はSeげ以外のアミノ酸)はIgA産生促進活性を有することを報告している。 本報告結果と第2章の実験結果を取り上げて,牛乳カゼインのプロテアーゼ消 化により,ホスホセリン集中域との反応性は低いが,Ⅰ殖産生促進活性を有す るペプチド素材の開発が可能であるという仮定の下に,牛乳カゼインと13種 類の市販の食品添力P物用プロテアーゼを用いて,細胞培養系において強いIgA 産生促進活性を有するが,ホスホセリン集中域を認識した抗体との反応性のな いペプチドの調製について述べたのが第3章である。すなわち,第3章では, コウジカビ由来のアルカリ性プロテアーゼ消化カゼインから調製したCPPは, 従来製品化されているトリプシン消化カゼインから調製したCPPよりもおよ そ2倍強いIgA産生促進をもち,ホスホセリン集中域を認識した抗体との反応 性は1/100以下に低下していることを示している。さらに第4章では,コウジ カビ由来のアルカリ性プロテアーゼ消化カゼインから調製したCPPをマウス の飼料に添加して35月間与えると,そのCPPを含まない飼料で飼育したマウ ス■よりも,腸管IgAレベルが有意に高くなることを確認している。最後の第ⅠⅠⅠ編では,第ⅠⅠ編に記述した夷験結果の背景や意義について総括
することにより論文を結んでいる。審 査 結 果 の 要 旨 マウスの飼料にカゼインホスホペプチド(CPP)を添加して与えると腸管 IgAレベルが高くなることや,ヒトがカゼインホスホペプチドを経口摂取する