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ITIL実践のCSFから成果へ至るモデルの検証

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Academic year: 2021

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(1)情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2017-IS-141 No.6 2017/8/25. ITIL 実践の CSF から成果へ至るモデルの検証 角田仁†1 概要:企業情報システムのシステム運用の分野において ITIL は事実上の世界標準になっているが,ITIL 実践は難易 度が高く,それが多くの企業等にとって課題となっている.一方,ITIL の重要成功要因(CSF)や成果に関する実証 研究は数多く発表されているが,その変数を IT 部門の外部へ求めており,組織の内部へは切り込んでいない.以上 の背景・課題から, 「ITIL 実践における CSF から成果へ至るメカニズムを、より詳細な成功要因を組織の内部に求める ことによって明らかにすること」が本研究の目的である.本研究では,先行研究で導出された仮説モデルをアンケー ト調査による共分散構造分析で定量的に分析して妥当性を検証する.また,分析を通じて実務面での示唆を得ること も,本研究の目的とする. キーワード:企業情報システム,ITIL,重要成功要因(CSF),アンケート調査,共分散構造分析. 1. はじめに 企業情報システムにおけるシステム運用の分野では,. いる.研究方法としては,ITIL を実践した企業等の事例研 究や大規模なアンケート調査といった研究が主流である. 研究内容としては,CSF の要素の抽出に関する論文が多い.. ITIL(Information Technology Infrastructure Library)[1]が事. 以前は数個から十数個の CSF を抽出することが多かった. 実上の世界標準になっている.ITIL とは 1989 年にイギリ. が,昨今ではそれらを整理・統合する方向で進んでいる.. ス政府が発表した IT サービスマネジメントのベストプラ. 一方,ITIL 実践の成果に関する論文は CSF に比して,それ. クティス集であり,性能管理やキャパシティ管理など 25. ほど多くない.研究方法としては,成果のうち直接的に定. 個のプロセスから成っている.現在,多くの企業・組織・団. 量化できる指標は少ないので,いずれもアンケート調査の. 体(以下,企業等)が ITIL の導入を図っている.. 回答結果を数値化して分析を行い,成果を抽出している研. しかしながら,ITIL の実践(導入,定着,改善)は難易. 究が多い.. 度が高く, それが多くの企業等にとって課題となっている.. 2014 年には CSF から成果へ至る因果関係を探索する実. 一方,ITIL の重要成功要因(Criteria Success Factor.以下,. 証研究が Iden 他[3]により発表されている.しかしながら,. CSF)から成果へ至る実証研究は数多く発表されているが,. 同研究は企業規模やビジネス環境といった組織(システム. その変数を IT 部門の外部へ求めており,組織の内部へは切. 運用部門)の外部に着目しているものの,組織の内部には. り込んでいない.. 切り込んでいないという課題がある.. 以上の背景・課題から, 「 ITIL 実践における CSF から成果 へ至るメカニズムを、より詳細な成功要因を組織の内部に 求めることによって明らかにすること」が本研究の目的で. 2.2 本研究の位置づけ 以上の先行研究や課題を踏まえ,筆者は企業等の IT 部門. ある.. に所属するメンバー20 名へのインタビュー調査と M-GTA. 2. 先行研究. による分析から,「ITIL 実践の CSF-成果モデル」(図 1). 近年発表された Barros 他[2]の文献レビューによると, ITIL 実践に関する研究のテーマは,主に CSF(重要成功要 因) ,Benefits(成果) ,Motives(導入目的),Implementation status(実践の状況)の 4 つであり,そのうち CSF に関す る研究が最も盛んであり,次に成果に関する研究が多い. これは,CSF を活用してどのように ITIL の導入・定着・改善 を図るのか,ITIL 実践によりどのような成果を生み出すの か,という命題に対する関心の高さを表わしている. 2.1 ITIL 実践の CSF と成果 ITIL 実践の CSF に関する先行研究は数多く発表されて. という仮説的モデルを構築している. 同モデルは 18 個の概 念,6 個のカテゴリー,2 個のカテゴリーグループから成る. カテゴリーは先行研究の CSF のレベルに相当し、概念はそ れよりも詳細な成功要因に相当している。なおかつ、それ らは組織(運用部門)の内部に求められている。つまり、 本モデルは CSF よりも詳細な成功要因を組織の内部から 抽出して構成されたモデルである。 以上は質的研究により仮説的モデルを構築した研究であ るが,本研究は次の段階としてそのモデルを量的に検証す るものである.. 3. 研究方法 インターネットでアンケート調査を実施して図 1 の. †1 筑波大学大学院ビジネス科学研究科 Graduate School of Business Sciences, University of Tsukuba. ⓒ2017 Information Processing Society of Japan. 「ITIL 実践の CSF-成果モデル」の妥当性を検証する.ア. 1.

(2) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2017-IS-141 No.6 2017/8/25 支援系CSF 組織的なITIL推進 組織目標や 社内運動 モチベーション の維持. 経営層による支援. プロセス系CSF. プロセスのPDCA. 成果. プロセスと 指標の構築. 運用品質 の向上. プロセスの実践. 標準化. 指標のチェック と報告. 見える化. プロセスの 改善活動. 顧客満足度 の向上. 運用部門内の協力と 開発部門との協業. 経営層の理解. 運用部門内 の協力. 経営層の関与. ドキュメント化と 知識の共有. 経営層への 働きかけ. 開発部門 との協業. メンバーの専門性の習得 研修受講や 資格取得. カテゴリー グループ カテゴリー. プロセス設計の 知識と能力. 概念 影響. 図1 ITIL実践のCSF-成果モデル ンケート調査の概要は以下の通りである.. プロセス系 CSF に関心が高い」といった考察が想定され. (1)調査対象者. る.. 企業等の IT 部門に所属するメンバーを対象者とする. ただし,ユーザ企業を対象として,IT 企業は対象外とす る. (2)調査方法 インターネットによる調査を実施する.専門の調査会 社のサービスを利用する. (3)調査内容. 4. 期待される効果 本研究は,理論的には ITIL の一連の研究に新しい視点を 導入することにより CSF から成果へ至るメカニズムを明 らかにすることができる. 実務的には企業の ITIL 導入や定着に大きな効果が期待 できる.ITIL を実践して成果を出すには多くの課題がある.. 図 1 のモデルの 1 概念を 1 観測変数として,18 個の概. 本研究によって CSF から成果へ至るメカニズムが明らか. 念に関する質問を行う.質問数は 1 観測変数あたり 3~4. になることにより,企業の IT 部門による効果的な対策が期. 個とし,合計 60 問程度を想定する.また,管理職/担当. 待できる.. 者といった対象者の属性や ITIL の導入/未導入について も質問を行う. (4)標本数 標本数は 600 件程度を想定する.モデルの潜在変数の. 参考文献 [1] Office of Government Commerce (OGC) :ITIL® 2011 edition Service Strategy, Service Design, Service Transition,. 因子数を勘案し,共分散構造分析で安定的な分析が可能. Service Operation, Continual Service Improvement,. となる標本数を収集する.. TSO(2011).. (5)分析方法 共分散構造分析による分析を行う.モデルの妥当性の. [2] Barros, M., Salles, C., Gomes,C., Silva,R. and Costa, H. :Mapping of the Scientific Production on the ITIL. 検証に加えて,管理職/担当者といった対象者の属性や,. Application Published in the National and International. ITIL の導入/未導入の違いによる多母集団分析も実施. Literature, Procedia Computer Science, Vol.55,. する.. pp.102-111(2015).. (6)考察 アンケート調査の結果から 18 個の概念間のパスの強. [3] Iden, J. and Eikebrokk, T.R. :The impact of senior management involvement, organizational commitment and. 弱を見出して考察へと導く.たとえば,「管理職は経営. group efficacy on ITIL implementation benefits, Information. 者の支援に敏感である.一方,担当者は改善活動による. Systems and e-Business Management, Vol.13, Issue 3,. モチベーションアップに敏感である」や「ITIL の導入企. pp.527-552(2014).. 業は支援系 CSF に関心が高い.一方,ITIL 未導入企業は. ⓒ2017 Information Processing Society of Japan. 2.

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参照

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