160 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(19) アラ キ ヒロ コ子(昭和3
博士(医学) 渦雷228号平成5年3月19日
学位規則第4条第1項該当(医学研究科専攻,博士課程修了者) 培養角膜内皮細胞に対する圧力負荷の影響 (主査)教授 小暮美津子 (副査)教授 串田つゆ香,丸山 勝一論文内容の要旨・
目的 緑内障眼における角膜内皮障害の原因として,眼圧 上昇や二次的な前房水の組成変化などの関与が推察さ れている.しかし現在までに角膜内皮細胞に対する眼 圧上昇の直接的な影響については期らかにされていな い.今回眼圧上昇が角膜内皮細胞に及ぼす影響を明ら かにするひとつのモデルとして,培養角膜内皮細胞を 用いて圧力負荷を行い,その形態学的な変化について 検討した. 方法 ウシ摘出眼球より角膜内皮細胞を採取し,10%ウシ 胎児血清を含むEagle’s minimulh essential medium 中(37℃,5%CO2)で初代培養を行った.8x50mm のカバーガラス上に継代した二代目培養角膜内皮細胞 に,緑内障発作時の最:高眼圧を考慮した80mmHgの圧 力を負荷し,6,12,24,48,72,120時間後の表面形 態を位相差顕微鏡および走査型電子顕微鏡(JEOL JSM・35C加速電圧15KV)で観察した. 結果 位相差顕微鏡では圧力負荷48時間後から核や細胞境 界の不鮮明化が出現し,120時間後では空胞変性が認め られた.走査型電子顕微鏡では圧力負荷6時間後から microvilliの形態変化,細胞表面の凹凸不整,細胞質の 小裂隙などの細胞表面の微細構造の変化が認められ た.圧力負荷終了時の培養後の酸素分圧,電解質濃度 を血液ガス電解質分析装置により測定したところ,各 検体間で大きな差を認めなかった. 考察 圧力負荷終了時の培養後の酸素分圧,電解質濃度に 各検体間で大ぎな差を認めなかったことから,本実験 で認められた培養角膜内皮細胞の形態変化は,培養液 の生化学的な変化によるよりも,圧力負荷の直接的な 影響によって生じたものと考えられる.すなわち,圧 力負荷による物理的な力により,培養角膜内皮細胞が 正常形態を保持できなくなった結果,種々の形態変化 が出現したと考えられる.したがって緑内障眼におい ても同様の機序から,眼圧上昇が角膜内皮細胞の形態 変化の原因として直接的な影響を及ぼしている可能性 があると推察した. 結論 緑内障眼における角膜内皮細胞の形態変化の原因と して,眼圧上昇が直接的な影響を及ぼす一因子である 可能性が示唆された. 一794一161