54 氏名(生年月日)
本 .籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(3) フク ダ福田いずみ(昭和3
医学博士 甲第189号平成3年3月15日
学位規則第5条第1項該当(医学研究科専攻,博士課程終了者)
IGF・II産生腫瘍中のIGF・IIの性質に関する研究 (主査)教授 出村 博 (副査)教授 野本 照子,浜野 恭一論 文 内 容 の 要 旨
目的 低血糖を呈する膵外腫瘍の中にはIGF-II産生腫瘍 が存在し,腫瘍が産生したIGFIIが低血糖を引き起こ していると考えられている.しかし血中IGF-II濃度が ほぼ正常の症例もあり,血中IGF・II濃度のみで低血糖 を説明し難い場合がある.本研究では腫瘍がheter- ogenousなIGF-IIを産生している可能性を考え3例 のIGF-II産生腫瘍(症例1 mesothelioma,症例2 histiocytoma,症例3mesothelioma)につき血中及び 腫瘍中のIGF・IIの性質を検討した. 方法 血中及び腫瘍中IGF-IIの抽出にはそれぞれ塩酸エ タノール法,ギ酸アセトン法を用いた.IGF-1, IIの測 定は既報のRIA及びヒト胎盤細胞膜を使用したRRA を用いた. 健常成人44名,末端肥大症7名,下垂体機能低下症 7名,神経性食思不振症6名の血中IGF-1, IGF-IIを測 定し,IGF-II/IGF・1比を算出し上記3症例と比較し た. 3症例の血清を中性条件下でSephaclyl S・200でゲ ル濾過し血中に遊離型IGF-IIが増加しているか否か 検討した.また3症例の血清及び腫瘍の酸抽出物を酸 性条件下℃ゲル濾過し大分子量のIGF-IIが存在して いるか否か検討した. 結果 (1)3例の血中IGF-IIは高値を示した.血中IGF-1 は低値であった.これらの値は術後正常化した.腫瘍 中にはIGF・IIを多量に含有していた.血中IGF-II/ IGF㌧1比は健常成人,末端肥大症,下垂体機能低下症, 神経性食思不振症に比しIGF-II産生腫瘍症例では20 以上の高値であった. (2)全例とも血中遊離型IGF・IIの増加は認められ なかった.また症例1,3においてはIGF結合蛋白の 異常(健常人においてみられる150k,40k IGF-II結合 蛋白複合体の消失)を認めた. (3)症例1では分子量7.5kのauthentic IGF・IIに 加えて大分子量(17k)のIGF-IIが血中及び腫瘍中に 存在した. (4)症例1,2の腫瘍中IGF-IIはauthentic IGF-II に比しIGF-II受容体への強い親和性を示した.また症 例2,3の腫瘍中IGF-IIはインスリン受容体への強い 親和性を示した. 考察ならびに結論 全例とも腫瘍中IGF・II含有量は高くIGF・II産生腫 瘍と考えられた.これらの症例では血中IGF-II/IGF㌧1 比が高値でありこの比は同疾患の診断に有用であると 考えられた.低血糖を起こす機序としては,血中遊離 型IGF-IIの増加は認められなかったが,分子量,生物 活性の異なるIGF-IIの存在,血中IGF結合蛋白複合 体の異常が認められた.これらの要因が低血糖発現に 関与している可能性が考えられた. 一664一55
論 文 審 査 の 要 旨
低血糖を皇す碑外腫瘍の中にはIGFII産生腫瘍が存在する.しかし低血糖発現の機序にはまだ不明な点 がある. 本研究は,IGFII産生腫瘍症例の血清および腫瘍中IGFIIの検討から,腫瘍がheterogenousなIGF-IIを産 生していることを明らかにし,低血糖発現のメカニズムを考察したものである. 学術的,臨床的に価値ある論文と認める. 主論文公表誌 IGF-II産生腫瘍中のIGF-IIの性質に関する研究 東京女子医科大学雑誌 第61巻 第4号 289-299頁(平成3年4月25日発行) 副論文公表誌1)Radloi㎜unoassay for insu1磁e grow止
factor II(IGF・II)(IGF・IIのうジオノムノ アッセイ)
Endocrinol Jpn 37(5):607-614,1990、
2)Gold lungの1症例と文献的考察一gold lung の線維化に関する臨床的検討一
日本胸部疾患学会雑誌28(2):336-343,
1990
3)Single s.c. administratiqn of insulin-1ike growth factor I(IGF-1)in normal men(健
常成人におけるIGF・1単回皮下投与に関する 研究)
Cellular and Molecular Biology of Insulin and IGF, Plenum Press(1991 in press)