250 (109) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
ハラ シユウ ジ二(昭和3
博士(医学) 乙第1455号平成6年3月18日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
Noncon血uent pulmonary arteryを伴う複雑心奇形に対する外科治療
(主査)教授 今井 康晴 (副査)教授 門間 和夫,細田 瑳一論 文 内 容 の 要 旨
目的 左右肺動脈に連続性がないnonconHuent pulmo- nary artery(以下NCPA)を伴う複雑心奇形では,そ の連続性を再建する肺動脈形成術は,施行時期や方法 によって患者の予後や術後の肺動脈の発育を左右する 点で,重要な外科治療である.文献的にも一連の NCPAに対する肺動脈形成術の報告はなく,当研究でNCPAに対する外科治療を肺動脈形成術を中心に検
討した. 対象および方法 対象は1972年1月~1992年12月に,NCPAを伴う複 雑心奇形に,肺動脈形成術を含む外科治療を施行した 48例である.NCPAの原因の多くは,動脈管接合部閉 塞(38例)で,加齢とともに不連続距離が長くなる傾 向が認められた.根治手術は36例(Rastelli手術15例, 右室流出路拡大術10例,Fontan型手術7例, double- switch手術2例,心室中隔欠損閉鎖術1例,肺動脈弁 交連切開術1例)に施行した.肺動脈形成術の方法は, パッチ肺動脈形成術31例,管状肺動脈形成術14例,Y 字型肺動脈形成術2例,端々吻合1例である. 結果 病院死亡は7例(14.6%)で,遠隔死亡はなかった. 特に根治手術群では,死亡率は1972~1982年で22.2%, 1983~1992年で7.4%と手術成績は向上している.動脈管接合部におけるNCPAでは,パッチ肺動脈形成術
群28例には死亡はなく,管状肺動脈形成術群7例で4 例死亡(57.1%)と,手術成績に差が認められた(p= 0.0007).Rastelli手術および右室流出路拡大術施行群 で,術前の肺動脈の発育度を示すPA-indexが230以上 の群では死亡はなく,230未満の群で死亡率が50%と手 術成績に差が認められた(p=0.015).肺動脈形成術施 行時年齢と術後肺動脈成長率との間には負の相関が認 められた(r=一〇。504,p<0.05). 考察 肺動脈形成術は,低年齢で施行するほど術後の肺動 脈の発育が良好であった.PA-indexが大きい症例で 手術成績が良好であり,左右肺動脈間の不連続距離が 短いパッチ肺動脈形成術例で手術成績が良好であっ た.最近では根治手術を積極的に早期に行っており, 手術成績は向上している.特に動脈管接合部における NCPA症例では,加齢とともに左右肺動脈の不連続距 離が長くなる傾向があるので,可及的に幼少期のうち にパッチで肺動脈形成術を施行する必要があると考え られる. 結論 肺動脈形成術は,幼少期にパッチで施行することに より,根治手術の可能性が高まり,手術成績が向上す ると考えられた. 一856一251