199 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(71) ナガ ヤマ タカシ長山 隆(昭和30
医学博士 乙甲1070号平成2年1月19日
学位規則第5条第2項該当(博士の学位論文提出者)
喫煙の脳血栓症に及ぼす影響及び一過性脳虚血発作と一過性全健忘の差異の
血液レオロジー的検討 (主査)教授 丸山 勝一 (副査)教授 橋本 葉子,串田つゆ香論 文 内 容 の 要 旨
目的 最近,喫煙は脳血管障害の危険因子の一つとされ, また,一過性全健忘(TGA)は海馬などの脳血管障害 に由来するが,動脈硬化を基礎とした一過性脳虚血発 作(TIA)とは予後,病態が異なるという意見が多い. 本研究ではレオロジー的観点から,喫煙の脳梗塞に及 ぼす影響,およびTIAとTGAの相違について検討し た. 対象および方法 1.喫煙と脳血栓症:昭和58年1月より昭和62年12 月までに当科に入院した脳血栓症28例である.対照群 は脳血管障害以外の神経疾患とし,年齢,性別,高血 圧と糖尿病の有無について一致させた.これらを喫煙 者脳血栓症群と非喫煙老脳血栓症言及び喫煙者対照群 と非喫煙者対照群の4群に分け,血液性状を比較した. 2.TGAとTIA二TGA 29例, TIA 20例,正常対照 34例についてHt,血液粘度(!8.75,37.5,75,375sec-1 の映ずり速度)を測定した.赤血球変形能は正常者群 における全血粘度と血漿粘度の比とHtとの間の回帰 直線を求め,次に症例の全血粘度と血漿粘度との比と, その症例のHtにおける理論値との比を求め,赤血球 変形能指数とした(山口法). 結果 1.喫煙と脳血栓症:Htは,喫煙の有無にかかわら ず4群間に有意な差は認められなかった.しかし,喫 煙者の比率は,脳血栓症群が対照群に比し有意(p〈 0.05)に高かった. 2.TGAとTIA:TIA群は75sec 1での全血粘度が 有意に高値で,18.75,75sec-1での赤血球変形能指数は 有意(p〈0.05)に低値を示した.これに対しTGA群 では全血粘度,血漿粘度に=有意差を示さず,75,375 sec-1での赤血球変形能指数が有意(p<0.05)に虚宿を 不した. 考察 脳血栓を二危険因子を一致させた対照群と比較した 結果,喫煙は脳血栓症群に有意に多く認められ,危険 因子として発症に関与していると考えられた.しかし, Htは喫煙者群に有意に高いとは言えず,喫煙はHtや 血液粘度を介さずに作用する危険因子であると推察さ れた. ずり速度は静脈相においては遅く,毛細血管相にお いては速く,動脈相においてはその中間であるとされ, また,高ずり速度における血液粘度は赤血球変形能, 特に細胞内液の粘稠度を反映するといわれている. TGA群が高ずり速度で赤血球変形能指数の低値を示 したことは,毛細血管相における内部粘度の影響で変 形能の低下を招いて微小循環障害が生じ,側頭葉に可 逆的,特異的機能障害を惹起している可能性が示唆さ れた.一方,TIA群では75sec』1で血液粘度の上昇を示 しており,動脈相における血流状態の悪化が生じやす いと考えられた. 結論 1.喫煙はHt以外の要因に作用して脳血栓の発症 に関与していると考えられた. 一801一200 2,発症要因として,TGAでは毛細血管相の,また TIAでは動脈相または細動脈相の血流障害がそれぞ れ関与すると考えられた.