63 (3) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
ナカ ジ アイ中地 愛(昭和26
医学博士 甲第179号平成元年6月16日
学位規則第5条第1項該当(医学研究科専攻,博士課程修了者) 中脳背側症候群の眼症状の発現機序と病巣に関する研究 (主査)教授 :丸山 勝一 (副査)教授 内田 幸男,小山 生子論 文 内 容 の 要 旨
目的 中脳背側症候群では中脳背側部の障害により眼 症状として垂直性注視麻痺,瞳孔異常,輻藤眼振 などが認められるが,本症候群を臨床的に検討し た報告は少ない,本心究は最近8年間に経験した 12例の中脳背側症候群について,臨床症状,電気 生理学的検査,画像診断により本症候群の中核を なす眼症状を明かにし,その発現機序と責任病巣 について検討した. 方法対象は男性8例,女性4例で平均年齢は53±
14.5歳.病型は脳血栓5例,多発脳塞栓!例,脳 出血3例,松果体腫瘍3例である.眼症状はFren- zel鏡下での観察を行い,瞳孔については赤外線 瞳孔撮影,眼球運動については電気眼球運動計に より記録し,また電気生理学的検査として体性感覚誘発電位(SEP)検査を7例,神性脳幹反応
(ABR)検査を8例に施行した.さらに全例に頭部 CT撮像を行い,3例に核磁気共鳴画像(MRI)撮 像を施行した. 結果および考察 眼症状では眼位の異常が9例,skew deviation が10例に,瞳孔の左右不同が8例に,corectopia が7例にみられた.垂直性注視麻痺は7例にみら れた.輻蔭障害は10例に,輻藤眼振は6例に認め られた.その他内側縦束症候群が5例にみられた. 動眼神経については,完全麻痺は2例に,部分的 麻痺あるいは末梢性麻痺が3例に,核上性麻痺が 一665一 7例に認められた.頭部CTで中脳被蓋に病巣を 確認し得たのは12例中4例であったが,MRIでは 施行例全例に中脳被蓋に明確な病巣を検出した. ABRでは5/8例(63%), SEPでは5/7例(71%) に脳幹内伝導障害を示唆する異常所見を得た.広 範な脳幹部の梗塞の剖検例においても中脳背側部 が保存された場合には輻蟻眼振,垂直性注視麻痺 はなかった.以上より,(1)病因は閉塞性脳血管 障害が最も多く(50%),(2)眼症状ではskew deviation.輻蟻障害,眼位の異常, corectopia, 輻榛眼振,瞳孔の左右不同,垂直方向注視麻痺(こ とに上方注視麻痺)の順に出現頻度が高く,臨床 診断上重要で,(3)これらの眼症状は,垂直性眼 球運動が中脳背側部の病巣により障害されて発現 すると考えられ,(4)病巣の局在診断にはMRI が最も有用であり,ABR, SEPも中脳障害の検出 に有用で,(5)輻蟻眼振の責任病巣は,画像診断, 剖検例との対比から,内側縦東吻側間質核(r- iMLF)を含む中脳被蓋の限局した部位であると 推定された. 結語 中脳背側症候群を呈した12症例を検討し,本症 候群における眼症状の中核は輻藤障害,上方注視 麻痺であり,責任病巣はr・iMLFを含む中脳被蓋 の限局のされた部位であることを指摘した.64