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発達障害のある学生に対するコーチングの効果 高 橋 知 音

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Academic year: 2021

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【秋元論文へのコメント】

発達障害のある学生に対するコーチングの効果 高 橋 知 音

 発達障害のある大学生へのコーチングは、主に米国で 盛んに行われており、実証的研究によってその効果につ いても検討されている。しかし、その主な対象は注意欠 如多動症(

Attention Deficit Hyperactivity Disorder:

ADHD

)のある学生であり、

ASD

については扱われて いない(展望論文としては

Ahmann, Tuttle, Saviet, &

Wright, 2018

)。その理由の一つとして、米国の高等教 育機関における障害学生の中でも、

ADHD

は最も人数の 多い障害種の一つであるということがあげられる。

 一方、秋元氏の論文でも指摘されている通り、我が国 においては、発達障害のある大学生の中でも、自閉スペク トラム症(

Autism Spectrum Disorder: ASD

)のある大学

生が最も多く、発達障害のある学生のおよそ

3

分の

2

を占 めている。こうしたことから、

ASD

のある大学生への支援 技法の検討は重要なテーマであり、

ASD

のある大学生に コーチングの技法を適用した秋元氏の試みは、

2019

年の 実践報告(秋元

, 2019

)に続く貴重な報告であると言える。

 秋元(

2019

)では、コーチングセッションにおける主たるテー マが、時間管理、整理整頓、生活習慣など、

ADHD

の ある学生が大学生活において直面する課題と同様のもの が多かった。それに対し、本論文ではコミュニケーションを テーマにしたセッションが多く、

ASD

のある大学生が直面し がちな課題を扱っている。それでも設定したワークを高い割 合で遂行しており、

ASD

のある大学生へのコーチングの 適用可能性をさらに広げる内容となっている。

 ただし、この結果のみから、コーチングが

ASD

のある学 生に対して常に有効な技法であるというところまで一般化す ることはできない。今回対象となった学生においては、スキ ルトレーニングのプログラムに参加して社会的な行動につい ても練習済みであったこと、本人にスキルを使えるようになり たいという意欲があったこと、取り組む内容が明確であった

り見通しが持てたりすればスムーズに取り組む力があったこ となどが、コーチングがうまくいったことに関係していると考え られる。このように、コーチングが有効となる

ASD

のある大 学生の特徴を検討していくことは、発達障害学生支援にお けるコーチングの適用について考えていく上で、今後さらに 実践例の蓄積が求められる。

 また、コーチングを併用することで、社会的スキル訓練に よって修得されたスキルの効果的使用の促進につながると したら、本実践の成果は

ASD

のある人への支援において、

非常に重要な示唆を与えるものとなる。最近のレビュー論文 においても、

ASD

のある人においては、社会的スキル訓 練を行っても、現実場面での適用に難しさがあることが報 告されている(

Gates, Kang, & Lerner, 2017

)。本論文 で示された成果は、コーチングがこの課題を克服するため に効果的な技法になり得ることを示唆している。スキル訓練 との併用についても、さらなる検討を期待したい。

【文献】

秋元孝城(

2019

):自閉スペクトラム症の学生に対する「コー チング」の実践

.

明星大学発達支援研究センター紀要

MISSION,

4

,45-60.

Gates, J. A., Kang, E., & Lerner, M. D.

2017

. Efficacy of group social skills interventions for youth with autism spectrum disorder: A systematic review and meta-analysis. Clinical Psychology Review, 52, 164-181.

Ahmann, E., Tuttle, L. J., Saviet, M., & Wright, S. D.

2018

. A Descriptive Review of ADHD Coaching Research: Implications for College Students. Journal of Postsecondary Education and Disability, 31, 17-39.

Tomone Takahashi:信州大学学術研究院(教育学系)教授

参照

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