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取締役責任の信託的構成(2)

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(1)

186   第36巻 第2」亨  

取締役責任の信託的構成(2)  

ーー5J−−−  

稜  

現代株式会社法構造の状況的理解によせる覚書一株式会社   支配の法理論(2)一  

目  次   史 的 序 説 (33巻3号)  

第1部 アメリカ法   

第1章 取締役会の法と現実(34巻3」尋う    第2奪 取締役者任の信託的構成   

序 説(1)本章の意匠Ⅰ(2)取締役の受託者性   第1節 英国における取締役の受託者性 (36巻1号)  

第2節 取締役の受託者性とアメリカ法(本号所収分)  

1 堵説  

2 米法における取締役の受信者義務観念の崩芽   3 自由裁量と注意義務  

4 株主の新株引受権  

5 取締役の受信者義務:会社・取締役間の契約   第1款 総説  第2款 取締役の共通な会社間の契約  

1緒   説   

1)周知のように,取締役の受託者性紅関するアメリカの古典的論争は約80  

(1).  

年前にパーリ ィ・ドッド両教授の間に行われ,そして−/く・−リィは今日でほドッ  

(1)A.A。Berle,Jr。,Corporate Powers as Powersin Trust,in:44H・arVIL・R 

(1931),1049;E.MerrickDodd,Jr.、,FoIWhomareCorpoIateManagersTrustees?,  

in:45HaIV.LR(1932),1145;BeIle,For Whom Corporate Managers are    TIuSteeS?,in:45Harv LRl(1932)1365;Dodd,Is Effective Enforcement oi    the Fiduciary Duties of CorpoIateManageIS PracticabIe?,in:2UuivofChicago   lR(1935),19生;Berle,The20CentuIy Capitalist Revolution(1954)わが国で   

ほこの論争の展開が十分に捉えられず,その発生部分だけの紹介にU・んじていた傾向が   

ある。   

(2)

取締役責任の信託的構成(2)   ー155一一   187  

ド説の正しかったことを認めている。  しかし多くの論争でままみちれるよう   に,両対立者の主張はよく調べれば全く両立できるニコアンスの差にすぎなか  

ったこ・とが判明す挙。バ←リィ教授は次の命題から出発す る○すなわら,全ゆ   る株式会社権能が「必然にかついかなる時でも全株主の比例的利益のためにし  

(2)  

か行使できない」信託権能(powersintrust)であるd この前提に照して,  

バ−リィは株式会社法・実務の多数の論点を示唆深く解明した。もちろん,  

ドッドも株式会社擬能が信託権紛であることを認める。しかし,私有財産の利   用が深く公益匿関係し,また世論の展開ほますます鋭くその事実を認識する 

と披は強調する。株式会社財産の利用における公益の認識ほ,取締役が企菜全   体の受託者とみなされるべきこと/を要請する,とく。つまり,取締役ほ,制度  

としてみた株式会社の受託者であり,単なる「株主の代理人」(attorneys for  

(8)  

the stockholders)ではない。これに応酬してバーリィは.E]く,私有朗産の利   用が,殊に大会社の場合にほ,全く最高の公共的意義をもった事柄であると認   めながらも,「あなた(ドッド)が誰かに明確かつ合理的に実施可能な責任体制  

(scheme ofIeSpOnSibilities)を呈示することになる迄,あなたは,事業株式   会社がその株主のためにもうけることを唯一・の目的として存立する,という見  

(4)  

方の強調を放棄できない,と思う」。   

バ・−リィがドッドに呈示を促がしたような責任体制ほ今も存在しない。そ\れ   が存在しない以上,ドッド説の帰結は株式会社の支配およびその政策基準づけ   を全く経営陣に.委ねることになろう。バ・−リィの旧説ほ.,経営陣の行過ぎと利   己追求を最少限ならしめるかたちで会社経営を秩序づける唯一・の機会,をもた  

(5)  

らす。この立場紅当時ドッドも同意したけれども、ドッドはこ.の原則が現実お   よび衆望(public aspiration)と全くかけ離れ去っていると感じた。  

(2)Berle.Corporate PoweIS aS PoweISin Trust,pp.1049 

(3)Dodd,For−Whom are Corporate Managers Trusteei?,pp1145,1161  t4)Berle,FoIWh〇m Corporate Managers are Trustees,ppU1365  

t5)Eugene VりRostow,To Whom and For What Endis Corporate Management   

Responsible?in:The Corporationin Modern Society(Ed with anIntroduction   

by EdwardS.Mason),1960Ca皿br・idge,pP,ノ46〜71,Pn62 

(3)

第36巻 第2」尋  

・−一 言dl一−−  

188   

「ネ在所有名のための利得は,何か他の法的基準が展開をみる迄,取髄役の行状を測   

る法的基準であるにちがいない。若干の留保つきでこれが今のところ法のなしうるぎ    りぎりのことだと認められるけれども,法がこの基準をどこまで有効に働かせうる    か,という問題は残る。不在投資家の受託人(という理念)は,経営者に殆ど情緒的    魅力のない理念だという点を別としても,社会全般の中で根拠を失いつつある。そし    て∵わが経済秩序の展開がこの理念から離れていくしるしが増大しつつある以上,仮の    法律的行状原則としてこの理念が,有効に実施される見込みは強くない。今のとこ    ろ,この理念を放棄する勇気ほ我われにないし,さりとて,この謹念の実施に−かど  

(8)   

の成功を収めることも不可能でほないかと心配される」。  

(7)  

1954年バ」−リィはドッド(51年・死去)の当初の立場を承認した。すなわち,外   延的株式会社の取締役ほ,公的良心の番人(keeperofthepublicconsciehce)  

として,今や,株主支配またほ効果的な公監督いずれの防ぎ楯なしにでも,彼  

(8)  

らの広大な権能を公益のために・行使することを,安心して任せられる。こうは   っきりノう・−リィほ結論して,この前提の下に彼独自の「株式会社制」論でアメ  

リカ現代社会を積極的に価値づけ・る。   し   

まずドッドが提唱し今やバ−リィがその代表者となった取締役義務の中味   ほ,さて何であろうか。「法律学・経済学の正統派理論の見地からすれは,新   資本主義ほ全くの人騒がせなたわ言(balderdash)である。法学の教科書は常   に取締役会が株主にしかも株主のみにひたすらな不易の忠実義務を負うと述べ   ている。経済学者は,明白な平面幾何・算術的精密さをつくして,競争市場に   おける最大限利潤追求が価格体制および資源・報酬配置をもたらし,かつそれ   が社会全体の経済的福祉への寄与する点で他のあらゆる代策よりも禿れてい  

る,ことを実証している」(Rostow,Op.Cit.,p63)。   

右のような制度論としての取締役責任論の本格的検討に備えて,アメリカ法   の取締役の受託者性の正統ないし伝統的構造を検討しよ・う。  

i6JDodd,Is Effective EnforcementlPracticable?pp.194,206〈ン207。  

(L7)ドソドの生涯・英紙については,Dodd,American Business CoIPOIations Until   1860,Cambridge195生冒頭の8葺にわたり主としてチャフィ−の筆による伝記風スケ   

ッチがあり,また同書pl452以下7頁をこわたるドッドbibliographyがある。   

(4)

189   取締役虜任の信託的構成(2)   一茸7−  

2 米法における取締役の受信名義務観念の萌芽   

1)18L巨:紀末の米国法曹ほ,代理人・組合員・受託者・  後見人・過言執行   人・遺産管理人なとの資格で他人に.代って行為する者は自分に財産的利害を託  

した人々に対する高度の忠実を守らねばならない旨,英法が長らく固執して−い  

(1)  

る事実を十分知っていた。   

米国最初のかつ19世紀半ほ迄唯一の会社法論書として7版を重ねたJosepb  

K.An畠ell&SamuelAmes,A T工eatise on the Law of Private Corpora・ 

(2)   く3)  

tions Aggregate,l.ed.18串2は1742年ナットン事件ハ〜ドゥイック卿判決   を引用しておらず,この判決は.当時の米国で殆ど知られていなかったらしい。  

1800〜80年の米国でほ受信者法原則が事業株式会社の取締役ないし役員匿適  

(4)  

用された判決ほなかったようである。しかし1817年ケ:/ト衡平法裁判所判事   ヂクツム  

の或附随意見は彼がそ・の適用可能をごうも疑って−いなかったこ.とを明白にす   る。この附随意見のついた判決ほ有名なAttorneyGeneral対UticaIns.Co.  

チャンセラ一 事件である。同事件においてKent判事ほ,琴平法裁判所が非慈善法人に対   (5) 

する法人業務検査権を有しないと判示し,また従って保険会社による無許可銀   行業務の差止を求めた州法務長官の訴を却下レた。この事案と衡平法上の救済   に適する事案とを区別する箇所で,ケント判事ほ次のように・傍諭した。  

\「随時,法人の諸権能を行使する者を,その受託者たる性格において−,詐欺  

●●●●■●●  

的な信託違反のかどで当裁判所に訴追できるであろう。そして:この平明かつ通  

●●●●●●●  

常の衡平法標目(plainand ordinary head of equity)に,当裁判所の法人  

(l)1827年抑坂Kent,Commentaries節2巻にほ,後見人,代理人の信認義務が論及さ    れ,Story,EquityJurisprudence,1836ほ多種の受信者を詳論する。同番の信認関係    の扱いかたをみれば,受信者概念に既に米国法曹が十分習熟していたことがわかる。  

(2)Angell& Ames 晋がアメリカ会社法史的発展の研究に占める意味については,Cf   

Dodd,Op..,p.,¢.なお,同書1832咋初版所収のアメリカ判例数が約450件であるに対し,  

1861年の第7版所収判例数ほ約2400件であることから分るとおり,同番の歩み・にそのま    まアメリカ株式企業生成期の判例法形成過樺がそのまま示されている。  

l3一 本誌前一写82日誌21参照。  

4JCfDodd,Op小Cit.,p70  

し5j 5Johns.Chn371(N.Y・181′7).   

(5)

簡36巻 第21ぎ・   190  

一一 ∂β −・  

裁判権ほ当然紅限定されるべきである。こうしてたとえば,1ユ・チカ保険会社の   取締役達が同社の基金や資本を被ら自身の私利(privateemolument)に・流   用することになった場合,もしくは,保険営業を無視して,彼らが会社基金   を,道路・運河の建設や劇場・教会の建築によって,その営業目的の駆逐湛・転   用することになった場合であれほ,当裁判所がその濫用に・介入・柑止する権利   を有しまたそれを義務とするものである,と私は確信する」(傍点は筆者によ  

(6)  

る)。  

スプリーム   

さらに,1829年のこ一ユ.−ヨーーク上級裁判所判決の文言からみると,自社取   締役に.よって基金を故意に浪費された株式会社ほ.,衡平法訴訟および場合訴訟  

(7)  

(action on the case)を起すことができたようである。   

2)、1800〜80年間のアメリカ衡平法裁判所は信認義審違反の株式会社取締役   に対する救済を与える機会がなかったらしい。しかし,新株発行にさいする既   株主の魔利に関する古典的に有名かつ重要なGray対Portland Bank事件が  

し5〕  

マサチ.ユ.セッツ州判決にあった。マ州最高裁ほ同事件を取締役の受信義務違反  

(9)  

に関する問題として処理することも恐らく可能であったろうが,実際は,この   事件は,経営陣の衡平法上の義務としででなく株主の則産権(propertyrights)  

紅関する問題として処理された。ところで,現代アメ.リカの通説的見解紅よれ   ば,株主の新株引受権(pre奄mptive right)ほ,株主の持分に比例した新規発   行株式(hisproportionate share of a newi苧Sue Of stock)の提供を受け  

(10) る絶対的権利,である。この通説の礎石を成すのが本事件の分類である。   

本判決のこうした先例的意義からみて,この事件はやや詳しく述べるに価す   る。ポーートラソド銀行は1799年マサチエ.セッツ州制定法の一・によって設立され  

(6)Id..389・なお同じケント判事が判決したOgden v Kip,6JohnslCh・160(N・Y  1822)に.ついてほ,Cfい Dodd,pい71,n、20.  

(7)Frankln Fire王ns。Co.V.JenkizIS,3Wend130,134(N′′Y一,Sup」CIい1829)..当時    すでに,本人が代理人を非行のかどで場合訴訟によって訴及できることほ,異論をみな   

くなっていた。Cfh William Paley2LAmh ed,1822,p.68  

(813Massり364(1807) 

(9JCf..Dodd,p.71.  

はOJ後出65頁.参照。   

(6)

取締役畠任の信託的構成(2)  

191    ーβ9 −  

た。該制定法の規定によれほ,「当株式会社の株式資本は,金貨で,l万ドル  を下らずまた3万ドルを超えぬ金額から成るものとし,そして∴各1百tデルの  

株式に分割されるものとする」(Mass.Laws May Sess.1799,C.5,§2,2   Mass・Laws,1780−1807858(1807))。この法人格付与法制定に先立ち,一L群  

の人々が銀行の組織と株式引受および営業特許申請を約していた。けっきょく   発行予定の1子株が引受けられたが,特許申請前に,当初の発起グルクプに属   さなかったが投資を蕎んだ本件原告との契約が成立し,彼紅他人が引受ずみ株   式のうちから70株を引受けさせた。   

第1回総会で,株主連は即時発行株式を額面1百ドルの1千糠に限定し,そ   の70株分の株券(certificate)をその直後原告紅交付した。3年後,株主達   ほ3万ドルへの増資を決議した。そして,新規発行株の引受申込書式の作成と,  

それを原始株式引受人および「設立行為以前に⊥記原始株式引受人に加わっ  

た者」(those who戸SSOCiated with said originalsubscribers pIeVious to  

(11)  

Lhe actofincorporation)ならびに∈・れらの者の譲受人への提供に当る委員   会を設け,取締役達をその委員に任命した。原告は取締役に・1百40株の引受認   可を申込み,引受価額とされたその額面金額を提供した。原告の支払金ほ受儲   を拒絶され,ヰの申込んだ全株式は他の株主へ割当てられた。 

社を訴えて,会社が自社株式増加権を自社全株主のために信託として.有する   旨,・同社が該新規資本の使用に由り巨利を収めた旨,そして原告ほこの収益の   配分を求める資格がある旨,主張した。この信託違反の主張にかかわらず,こ  

(12)  

の訴訟は場合訴訟(action on the case)だった。l千5百ドルの金額で原食   膳訴の陪審評決があり,そして損害賠償責任問題と損害賠償額程度の両点に閲  

し最高司法裁判所の見解が求められた。この上告の審理に当った僅か3人の判   事のうち2人,Sewall判事とSedgwick判事が別々の意見書を書き,3人目   のThatcher判事はただ2人の同僚をこ原告の損害回復請求樅を認める意向を知  

(11)Gray v.Portland,Bank,Supra,368  

u2)Cf.Holdsworth,$uPra,VOl.王ⅠⅠpp409−−411,VOl。V,p 205et s   

(7)

192   緒36巻 第2写   

・− 6∂− 

(1こ11  

らせたのみであった。   

Sewall判事は,株式会社が自社株主のしかも株主のためだけの受託者であ   り,会社が既存株主の比例的利益のためにしか自社の新規痩式発行権能を行鹿   できない,という原告の主張を承認した。シ′ウォル判事の見解によれほ,株式   増加決議は,必然に.「その増加を実現するに必要な規模まで,自分らの持株を  

(14)  

金額または株数で,拡大しようという,株主間の合意」であった。その増加決   議後,当初株式の株主が払込んだ金額は資本総額の有効な初回分割払込となっ   た。爾後,株主たちは決議した新資本への払込梅のみならずその義務も負った   のであり,また会社側はそれ以上の払込がない場合株主の新株持分ならびに・原   始持分の没収権を有した。株主の議決を原嘗の参加排除と解することによっ   て,取締役ほ.非行をなしたことになり,この非行については会社が法上責任を   負うべきものであった。特定救済ほ請求されなかったし,またそれは,「株主  

らが行使できるいかなる権限紅よっても,当裁判所の所管に属さないと考えら  

(1∂)  

れる」。しかし原告はその新株請求時における新株の市価に基いて会社から損   害額を回復できる。レクォル判事の所論は以上のものであった。   

セッジクイック判事ほ,墟論同旨ながら,異った推論を採った。その説示に   よれば,会社は信託としででなく法人格ある組合(incorporatedpartnership)  

として特長づけられた。そして過半数株主ほ,その他の組合企画から少数株主   を閉め出せないのと尚じく,増資企画から少数株主を閉め出す権利を有しな   い,とされた。しかしながら,新株参加権ほその引受債務を内包しなかった。  

こ.の権利は株主が放棄できる特権であった。原告ほそれを放棄したのでほなか   らたけれども,原告は他の人々にその磯利が授与されるのを許容したのであ  

(13)Gray v Portland Bank,Supra,391.  

(14)Idい,380 

肌)Idレ,381−382い当時マ州裁判所ほどく限られた衡平法裁判権しかもたなかった。、特定履    行(specific performance)訴訟ほ1818年迄州議会の認めるところとならならかった。   

多くの蚕安な衡平法J」の救済が19但\紅半ばまで利用できなかった。完全な衡平法的櫛能    は・南北戦争後獲得された。CfPomeroy,EqtiityJurisprudence,VOlrl,§311et s.  

(5.ed.Symons,1941)・   

(8)

取締役責任の信託的構成(2)   l一 β7 −−  

193  

り,そして:今や該新株やそれに対して支払われた配当の請求権を有しないが,  

該新株発行価額とそ・の市価との差軸に.基く損害賠償請求権を有した。   

5)こ.の事件の内容なめぐる実務慣行および法理はまさに・1807年に応わしい  

(16)  

考えかたであった。そしてこの法理の余波ほ.現在も株主の新株引受権に関する   考え方紅跡をとどめている(後述参照う。しかし,取締役に受信者法理な適用  

し,かつ株主の代表訴訟という司法的介入紅よってこの法理を実効づける,  

というアメリカ会社法理独自の形成が,本格的に展開されだすのは,1880〜60  

(17)  

年にかけての時期である。本稿の目的は米法における取締役の受信者義務の現   状を述べるこ.とにあるから,そ・の点の説明ほ別稿による独立の歴史的研究に委   ねる。ここでほ,アメリカ法における取締役の受信者義務展開の鶴芽を示すだ   けにとどめよう。  

言 自由裁景と注意義務   00「経営判断原則」の内容−   

1)受信者的拘束の機能ほ,会社・取締役員の利害衡突,会社利益と経営陣   の個人利益の衡突,を除去することにある。その現われが誠実義務である。こ   れに反し,注意義務ほ取締役の業務執行・指揮・決定活動に・関して働く。した   がっで,取締肇昭その受信者資格において非筒な拘束を受けるが,逆に,企業   の独立指揮者として非常な自由を草ける。米法の取締役茸任はかように要約で   

(1) きる。   

取締役員は,自分自身の判断に従い,自分の洞察・予測に従い合目的・正当   とみなすがまま紅,会社の営業を指揮せねばならない。取締役ほ自己の業務執   行の成果について法的責任を負わされない。取締役が状況判断を誤り,収益好   機を見逃がし,あるいは予見できた損失を避けられなかったりすることもあろ   うが,その取締役が誠実紅決定を下していたかぎり,彼は何ら法的責任を負わ   

(1& Cf.Dodd,pp.73−74‖  

!用Id.,p,8.  

(1)参照,大阪谷・株誹3巻11】・8頁;Mestm云CkeI,S‖130,   

(9)

− 62鵬   第36巻 第2号   194  

されない。専業指揮失敗の責任は株主総会におおける取締役解任という形での   政治的責任追及紅よっ溝一問うしかない。   

とれがいわゆる「経営判断原則」(business judgement rule)の内容であ  

(2)  

る。「株式会社の内部業務・経営政策問題・契約得失(expedinecy of con−  

tracts)ほ取締役会の支配に服する,そして取締役らが誠実・有能・独立であ  

し31  

るかぎりにおいて,彼らの判断が最終的である」。「よく問われる疑蘭だが,い   わゆる>>経営判断原則≪の作用ほ過失(negligence)概念とどのように結びつ   くか。両者の間に矛盾ほ存しない。裁判所が事業判断の点に立入る積りはない   と言う場合,判断一相当な注意義務(reasonable diligence)1−が実際に行   われて−いることを前提とサーる。取締役ほ,株式会社の事業道営において取締役   に期待されるものそ・して彼が経営判断を行いつつあると言わしめるもの(what   is golng On about himin theconductof thebusinessofthecorporation   and haveit said that heisexercisingbusiness judgment),に目を閉じる  

ことほ.できない。判例ほ正しくも取締役に会社業務の経営において一大幅の自由   裁量を与えているが,それほ常に,判断が,それほ正直な不偏の判断を意味す  

(4)  

るが,取締役によって合理的に行使されるこ.とを条件としている」。判例理論  

(6)  

上確定している点を挙げれば,  

①何が過失を構成するかほ各事案の情況によって決まる。  

④裁判所は会社の内部経営に立入らず,また従って裁判所の事後判断を役員・取締役の判    断に代用する積りはない。  

(2)判例法上確立したこa)原則については,CflAmericanJurisprudence,Corporations,   

§992;Ballantine,§§62,63:63a,pp.160−61;Ba11antine,Lattin&Jennings,   

Cases&Materials on Corp ns,2.ed小1953,Ch.6,Sec.4,pp.267〜79;3Fletscher,   

perm.ed.1947,§1037;CorpusJuris Secundum,§764=;E・R Latty,Intr n to    Bus.Ass,ns,1951.ch=22,pp.443〜59(この原則の説明については此睾が最も秀れて    いる)。  

(3)Cohn,,.inTurneIV.American MetalCo・,268AppDivlr239,259;50N一YlS  2d800,819(1945).  

(4)Sheintag,J。in Casey v.Woodruff,49N.Y.,S.2d,p,643  

(5)このパラグラフの摘示ほ,Ⅹalodner,J in Otis&Co。V.Pennsylvania R Co・,61   

F.Supp。905,aff d.155F.2d522(1946),Cited by Latty,p45〜8による。   

(10)

取締役責任の信託的構成(2)  

195    −− 6ロー−  

㊥条理上過失存否の判定時ノ芸;、は該判断行為時である。  

④誠実な事漠判断行使における過り・見落しほ役員・椒締役の職務遂行上の過失となら    ず,彼らにそれに因る損害賠償責任を負わせるものでない。  

2) もらろん,前節の説明から既に灰示されるよう紅,取締役会の自由裁量   にも漠然とした限界がある。取締役員にいかなる注意基準を期待すべきか,許   容される過誤と有責な会社損害発生との限界をどこに引くか。この点について−  

アメ.リカの判例から統一・基準を窺うことほできない。   

若干の判例によれば,−・般事業会社や時にほ銀行についてさえ取締役ほ「一明  

(6)  

白かつ重大な過失」(clear and gross negijgence)に因ってしか有責でない。  

しかし,誠実な誤判であるかぎり,どんな紅不合理で馬鹿げていようとも,免   責されるとほ考え.難い。右の判例ほ慎重不足や考え遣いと専業釆配に・おける関  

(7)  

心・注意の欠除とを混同していると批判される。   

エコ.一−ヨークを始めとす・る数州の判例は,少くとも銀行・保険会社につい   て,「普通の注意深さの人が自己自身の営業・事務の処理において用いる筈の注  

意庭」(degree Of carewhichanordinarilyprudentmanwouldexercise  

inthe managementOf bisownbusinessoraffairs)を取締役に要求しr{:い  

(8)  

る。ヨリ慣用的な原則表明は「普通の注意深さの取締役が同様な状況の下で同  

(9)  

様な立場において用いる筈の注意度」要求である。この論拠として:,名目ぼか   りの報酬で任に.ある大企業の実業家が,自分白身の営業処理紅おけるともしく   ほ会社.の常務役員や総支配人と同程度で取締役としズ:の注意・賞任を負う,と期   待することほ不合理であり,一そして取締役にもいろんな種別があることを認識   すべきだ(いわゆるdefense of non・managing ornonresidentdirector),  

(6)その古典判例ほSwentzelv.Penn。Bank,14=7Pa140,23AtL405,15L・R・A.   

305,30Am.St、Rap,718(1892).最近は.SpiegelvいBeacon Participations,Inc.,   

297Mas$..398,8N.鼠2d895,904(1937)・同旨のその他判例についてほ,Ba11antine,   

Lattin&Jennings,p,278n1.  

(7)Cf。Note,82U.of PaいL Rev一364(1934=) 

(8)H11nV.Cary,82N.Y・・65(1880);fIunt v Aufderbeide,330Pa362,199Atl  345,347,348(1938);Notes,20Calif.L.Rev′ノ426(1932)‖1933年ぺンレルヴコニニニア事    業株式会社法2852−408条。  

(9JCf.AmericanJurisprudence,Corp n§991,p、944.   

(11)

ーー 6凄・−   第36巻 第2号   196  

(10)  

と説かれる。ラーニド・ハンド判事の次の判示は示唆深い。  

「(原告提起訴点第鵬「企業挫折に対する被告取締役の−・般責任」に関する説示において)  

取締役が取締役会に出席を怠ったかどで非難はできない。けだし彼の在任中二回しか開か   れず,−・回は出席しており,他方の欠席にほ十分な言訳があったからである。だから被告  

取締役の責任は会社業務の運びを知り続けなかったこと全般(his failurein generalto   keep advised ofthe conduct of the corporate affairs)の如何によらねばならない。  

この点における取締役の義務度は不確かである。小取締役ほ全体として会社の経営者で   あるが,彼らが会社業務の現実の運びに個々人で介入することは期待されない。そうする   ことほ役員の権限を妨げかつ役員の個人賞任(これなしに正当な紀律は不可能である)を   破壌する結果になろ・う。企業の発議・直接裁畳は役員に委ねなけれほならない。取締役が   個別吟行為できるのほ協議・助言によってしかない。それでも取締琴は多少詳しく(事業   状況を)知り続ける個別的義務がある。 (〔訳注〕その点の義務違反だけでほ取締役有  

パ 茸に不十分で,なおかつこの義務履行があれば会社挫折を避けられた筈だという因果関係  

.立.証責任を原薯に負わせる判示の後で)会社資金の違法貸付があった場合なら,異議   があれは該貸付を停止していたであろうし,取締役の過怠が損失を招いたと当然に推測さ   れる。しかし企兼が全般的な不良経営,無能経営,ないし慈判断から挫折する場合,ただ  

1人の取締役が会社を成功させえた筈だとか,どれだけの金額をその取締役が救えた筈   だ,とどうして言えようか。   

被告は,自分が義務を果していようと否とによらず,損害が生じていたろう,との立証   昔任を負わされない。もし被告にその立証責任ありとしたら,こんな具合になろう。即ち  

取締役が−たん自分の職者に廃るみをみせたかぎり,彼ほ,仮定の会社成功標準によって   判断した,会社金庫の現実高と予想成功額との差額を請求される一応の立場におかれるこ 

とになろう。そんな標準はどうして決められようか。‥法が取締役に何らかの過失に対   するチ塾罰として彼らの会社の全般的成功の神保を課したならば,まともな人ほ誰も取緬役   の職に就かないであろう。   

取締役は弁護士や医者のような専門職でない。取締役は展識を持たねばならず,お   そらく業務の心得(acquaintanCewith affairs)がなければなるまい。だが彼らほ何らの  

(10)Note,A Defense of Non・Managing Directors,5U.ofChi.LR.668(1938).   

Weinberg,ACorporation DirectoILooks at hisJob,27Harv Bus。R、585(1949);   

Ballantine,pp.159−60 

(12)

取締役責任の信託的構成(2)  

197    −6ち−−  

テクニカルタレン†  

技術的才幹を持つを要しない。彼らは事業の−・般的助言者であり,かつ彼らがその分   に応してもつ才能を(such ability asthey have totheir charge)誠実に出すかぎり,  

彼らを有責とみなすことほ合法でない。取締役ほ臼分の判断が正しいことを保証せねばな  

し=\  

らないか。」 

●●●●  5)なお,−・般に,取締役の経営上の注意義務の名宛人ほ株主や会社債権者  

(12)  

でなく会社である,とされる点ほ英国と.同様である。なお経営判断原則に関す   るばう大な判例の大半ほ当然予測されるとおり1980年代に集中しているが,そ   のさい,取締役の注意義務が銀行・保険会卍で最も高度に求められ,次いで非   金融事業,最後に投機性強い不動産管理会杜の順に低くなる傾向が判例上窺え  

るのも,この考えかたにも理由の−喘がある,といえなくない。  

4 株主の新株引受権   

(1)  

1)不可奪の株主権として■の新株引受権  

1922年連邦最■高裁判決によれば,会社が必要とする非株主からの新資本を他   の株主と同一各件で醸出する,株主の権如ま,株式の所有と不可分に結びつい   た財産権であるから,「−L般虹認められるとおり,この株主の権利ほ.それ自体   根拠あるものであり,別段の立証を必要としない」1809年の基準半例GIay対   Poftland事件(3Mass363)はこの株主の権利を信託法の類推から導出し   た。すなわち株式会社ほ株主の醸出した財産の受託者である。だから株式会社   ほ信託財産の新たな持分権を創出する権限をもたない。この信託財産に.は元来   の桁利者・受託者(cestuique trust),が最初の株式の発行によって定まった   割合でのみ持分をもつ。かく創設された新株引受権(pre−emptive right)の  

(11)Barnes v・Andrews,298F614(ShD.N Y1924) 

(12)Comment,Liability of DirectoIS Of Cali董01nia Corporations forNegligence:To    Whom Liable?,in:20Calif.L.Rい426(1932);Ba11anti王1e,§72a p 185 

(1)富山・民商24巻・5号参照。Stevens,Corporations,2ed..1949,p.449;Ballantine,   

Lattin&Jennings,Cases&Matpr小On CoIp..,1953,p.663et s.;Drinker,The    Pre−emptiveRight of Shareholders to SnbscIibe to New Shares,43HarvL,R  586(1939)lBa11antine,On Corpl,§209,p487−93,(IeV・ed巾1946) 

曾 

(13)

第36巻 第2号   198   ー66 −  

目的はこ重である。欝1は,議決権を媒介として株主が会社の運命,殊風取締  

(2)  

役の選任,に及ばす支配力を,同じ割合で,確保しつづけること。第2は,会社   の収益・財産常倒する株主の割合的持分が劣弱化されないこと,この2種であ  

(3)  

る。   

しかし,新株引受権が「固有権」でなく,衡平法が通常,但し必然にでな   く,取締役会の信託違反行状から保護する法的救済(remedy)として理解  

(4)  

る立場にたてほ,すでに叙上の原別の例外が当然に生じる。けれども判例の大   半は,株主の新株引受権が実体法上のものであると認め,そしてその行使が新   株発行の法定目的に合致しない場合に限って株主の新株引受権を認めない,と  

(5)  

の態度を示す。   

株主の新株引受権が最初の株式発行について認められえないのほもちろんで   ある。だから,取締役会が原始定款による授権資本の枠内で発行する新株につ   いては,株主の割当請求権が認められない。だが授権資本ほとても高く定めら   れ七いるのが通常であり,その枠内の株式発行の時期・方法ほ取締役会の、自由   裁量に属する。従って,株主の新株引受権が実質上無に等しくなる諸の手口が   可能になる。そこ.で,判例ほ.,原始定款による授権資本の枠内での株式発行で   あっても状況が本質的に変化しさる場合なら,株主にも新株引受権を承認す  

(6)  

る。この前提条件が充されるのは特紅,授権資本の枠内における最初の株式発  

(2)Frey:Sharaholders Pre−emptiveRights,38Y?le LJ・563(1929)は,議決梼比    重維持だけを新捗引受権の目的とみなすが,これほ米判例に反する。CfStevens・   

p.505,n.52 

(3)古い判例の綜合検討ほ,Note:Stockholders Privilegeas to Acquition ofNew    Issue of Stock by Corporation,52A・L.R 220(1928) 

(4トニ.ユーヨ−ク州におけるその立場の基準判例は,Stokes v‖ ContinentalTrust Coけ,  

186N.Y..298;78N。E,1090(1906)小 学説でほ,Berle・Means,Mode工n Corporati−   

on&Private Prope;ty,p 258および同所所掲の文献.Cf,also Yoakam vProvide−   

nce Biltmore HotelCo.,34F.2d5333;538(1929)。しかし糾例を検討してみれば    明らかなように,法理が決定的でなく,個々の事件ごとに引受権の承認の可否が決めら    れねばならない(CfStevens,p.512へ4。)。  

(5)代表判例ほ,Thom v・Baltimore Trust Co.,158Md352;148A 234(1930) 

notedin30Col。L‖R 569(19iO);39Yale L.J.905(1930) 

(6)Ross TL・anSPOrtIncet aユ,V.Crothers et alり,45A2d267(1946) 

(14)

取締役責任の信託的構成(2)   ーー67−  

199  

行いらい長い間を経た場合である。ニューヨ・−ク株式会社第89条4項(a)ほ,会   社設立後2年の期間を法定して,この期問経過後における定款所定の授権資本  

(7)  

の枠内での追加発行が株主の新株引受権侵害になると定める。   

常に新株引受権が排除されるのは,会社が金銭以列の権利・物・給付を対価   として株式を発行する場合や,正当な方法で市場で財産投資として取得ずみだ   1,Lた自己株(treasuryshaIeS)を譲渡する場合である(但しStevens,P・511  

−2参照のこと)。   

モデル法系の株式会社法ほ慮款変更決議要件を見えた株主の特別多数に引受   権排除権を認める。モデル事業株式会社法23条に日く,「株主が株式会社の追   加株式を取得する先買権ほ基本定款所定の程度で制限ないし否定されうる」。  

発行済議決権様式の‡多数蟻き,但し定款変更なしに,経営陣ほ目杜称の買  

受権(option)を譲渡されうる。それに.と.どまらず,カリフガルニア民法典297   条ほ,株主の引受権を法律で−・般に排除し,そ・して定款に別段の規定を設ける  

こ.とを認めるにすぎない。この種の規定は実務上,諸の種類株式相互間の新株引   受権関係に関するばう大かつ判例上殆ど解明されてこいない係争問題の回避を,  

可能にした。  

(8)   

支配的判例は引受権排除の定款変更決議に由る株主権侵害を有効と認める。  

これほ自明のこととほいえない。たとえば,議決権そのものを剥奪する制定   法上許容された定款変更を,議決権は主に契約的性質のものであるから立法  

(9)  

者によっても剥奪されえないとの理由で,承認しなかった判例もある。新株引   受権にほこの契約的性質という力が内在しないとされながらも,ニーユ−ヨー   ク州判例は,引受権を立法による侵害に対する引受権の保護強化に努めてい  

(7)Cf Ballantine,p.、489;Stevens,p515,  

(8)MilwaukeeSanitaIiumv.Swift,238Wis‖628;300NlW‖760(1941);Gottlieb    vHeydenChemicalC?IPOration,83A・2d595(1951),af王 dinpart・reV dinpart    90A2d660(1952).定款変更多数決議の一腰的限界に関する恰好の判例綜合検討ほ,   

69HarvLR。538(1956)‥LimitationsonAlterationof ShareholdeIS Rights by    Charter Amendments 

(9)Eisenbergv.CentralZone PropertiesCoIpい,115N E2d652(1953);Faunce   

v.Boosi&Co.,83A2d649(1951) 

(15)

200   第36巻 第2号   

ーー6∂−  

(10)  

る。またこの判例の態度が再び立法にも影響している(たとえば,ニユ−・ヨー・  

ク株式会社法35条の修正)。   

2)取締役会の受信義務による株主の新株引受権   

現代株式会社の復姓な資本構成,特に株式種類の多様化は,株主の新株引受   権の本来的な形を崩壊させずにはおかなかった。しかし,法定の株主新株引受   権が消失した場合でも,取締役会は新株発行において無拘爽ではない。その受   信義務により取締役会は常に,新株に化休せる支配=財産価値を会社および全   株主の最善に.利用する義務がある。  

(1)株式発行を支配する者ほ,会社の多数決支配状況を持続的に左右でき  

る。取締役会ほ新株発行により会社支配闘争に介入してよいか。取締役会ほ少   数派の猛追に対して自己の地位ないし現支配株主を守るための新株発行を′して.  

もよいか。会社に役立つと取締役会が判断した株主の有利に,新株を割当てて   よいか。会社に有害とみなされる多数派ないし少数派の地位を圧迫するため,  

新株発行を利用して:よいか。「会社の経営でも国の統治におけると全く同様,  

自分の政策に唯ニ・つ正しくそしてその他の政策がみな危険だと判断する人が,  

反対派の選挙・協力権を侵害しもしくは自分の考えた反対する老を他の方法で  

全くないし・・−・・・・部権利剥奪する,権能を有する,との仮定はど偽まんなもの咋な  

(11) い」。取締役会は他人の損失で自己の地位を固めることを拒まれるにとどまら  

ない。取締役は全株主の受信者であるから,たとえどんな目的からにせよ,取   締役会が株式発行によって自社の多数決支配状況を左右しようと試みるのは,  

受信義務に反する。中立の義務,どの株主(集団)をも有利・不利にしてはな   らない義務は,客観的性質をもつ。取締役の善意・意図の純粋さが会社の支配  

(12)  

闘争への介入権を与えるものでない。会社に権力闘争がある時でも,まず取締  

(10)Albrecht Maguire&Cov。GeneralPlasticsInc.,256App Div.134;9NlYS  2d415;aff,d280N.Y.840;21N‖E.2d887(1939)なお,Cf,.Stevens,§127,p.   

574w84 

(11)Luther vC.LI_uther,118Wisl112;94NlW・69(1903) 

(1辺 LIFcs£ate et al.v。Eostcn Markets TernjnalCo ,275Mass99;175NElr86  

(1931) 

(16)

取締役責任の信託的構成(2)   −1(;ジ ーー   201  

く1$)  

役会は発行株式を全株主に比例的にかつ同一・価格で提供する義務がある。つい   で,「取締役の受託者的拘束はかような状況のもとで株主の新株引受権を創設   することがある。そ、してその無視ほ最高度に衡平法の基本理念に反するこ・と紅  

(14)  

なりかつ取締役ほ信託違反行為の芸を負うこ・とになる」。この取締役会の拘束   は,(自己株売却も含め)株主が一一・般法原則上新株引受権を有しない株式発行   の全ゆる場合にも,通用する(Ballantine,p.491)。経営障は自己のそれ自体  

で保護に価する利害を職務に関して−有するのでない。経営陣はひたすら他人の   財産を他人のためにつまり全株主のために管理しなけれほならない。   

株主の共同管理棟ば,株新引受権の排除が同時に株主の会社財産に関する財   産法的持分を侵害したか否かに関係なく,保護される。新株発行株主の財産的   持分に.影響しないですむけれども,それが会社支配力(議決権支配比率)を経   営陣の有利に:歪めもしくは少数派株主を会社から閉めだすような場合にも,裁  

(】5)  

判所が介入する。  

(2)株式の原始発行におけると同様,取締役会は増資のさいの株式発行価   格決定権を有する。大半の株式会社法の規定(たとえばモデル事業株式会社法   16条)は,額面株・無額面倣ともに割引発行を禁止.する。こ.の取締役会の権能  

も受託者的拘束という留保に服する。取締役会ほ株主の持分擬の基礎にある価   値を株主の不利に侵害してほ.ならない。取締役会ほ資本市場状況・会社贋産・  

収益力予想を考慮して義務適合的判断に従って発行価格を決定せねはならな   い。取締役会の自由決定は法律や定款に絶対的な形で打出すことができるけれ  

(16)  

ども,基準的判決1927年Bodell対Gen3ralGas&Electric Corp 事件に日  

也3)Schwab v.Schwab−Wilso王iMachjne Corporation,13Cal.Appル2dl;55P2d   1268(1936);Elliot vBaker,194 

Essex,141Mich 200;101N.W。622(1905);Petre v..Bruce,157Tennh131;7   

S・Wノ′2d43(1928) 

u4)HammervIWerneI,265N YlrS172,176(1933);CflDunl′ay Avenue M Garage   

&RepaiICo 253N..Y.274;170NlE.917(1930);a】so Borg v InternationalSi−  

1veICo‖11F,.2d153(1925)  

(151Klopot vNorthrup,131Conn1t;37A 2d700(1944);Bennet v.Bre扉1P9・   

troleum Corporation,DelCh,99A2d236,239(1953)  

u6)15DelCh119;13ZAh 4量2;aff′dlうDel‖ Ch142J;110A261(1927);nOted  

in26ColL R8)3;Ballantine,Lattin&Jennings,pP607T13 

(17)

第36巻 第2号   202   一− 7r)−  

く,「衡平法は,現存株主を彼らの持分権の内的価値の不当 な侵害から守るた   めに,介入するであろう」。そのさい裁判所は,はんらい株主の新株引受権の   承認をもたらしたのと,同じ見地に立っているといえる。株主の新株引受権脱   落によってこ生じた空隙を,どのよう軋衡平法が填めているか,がここでも認識  

できる。硬眉した原則に代わって個別事案の必要軋順応した衡平法事凝上の弾   力的救済が現われて.いる。個々の事案紅おいて取締役会の判断行使を監督する  

ことがどんなに難かしいかは,必要な評価が不安定であるにもかかわらず,明   白である。にもかかわらず,裁判所は,利害対立.・差別取扱が不公正な行動ぶ  

りを間接表示する場合であるかぎり,介入をためらって・いない。   

取締役会が自、己自身や身近の者に株式を発行すれば,受託者の義務に関する  

−・般原則により行動の合法性の推定は消失する。そのほあい取締役ほ該株式発   行が公正・相当だったことを立証しなければならない。取締役会が新株をまず   全株主に同一L価格で按分提供してから株主引受なき株式のみを自′己の計算匿飼   いて株主提供分と同†価格で引受けた場合は,原則上この立証が果されたもの  

とみなされる〔Maguire v.0さbornel,(S.C.Pa)130A.2d157(1957)〕。  

だが例外もある。閉鎖会社の多数派株主より成る取締役会が,同社の非常に高   額の収益を留保しつつ,同時に,少数派株主が,全財産を同社に投入するこ.と   になる故,その割当てられた新株引受権を行使できない程,大幅紅増資すれば,  

(I7)  

その株式発行は否認される。   

取締役会が新株を自己自身または身近の者に発行し,会社に全く資本需要な   くそして該増資の直後に予め取締役会の決定した高配当が支出され,そ午・で該   株の時価が目立って上向きになった場合,取締役の行動は不公正とみなされ  

(18)  

る。同じく取締役ほ,自分が会社に尽した業績を自己評価してそ・の報酬に株式  

(19)  

を自 分宛に発行する,権限を有しない。取締役会が同一層類の株式を様ざまな  

(17)Gaines vhMfg・Co・t,234N.C331(1951).   

(18)Ross TransportIncノ′ V・Crothers,45A,2d267(19墾6)p  

u9)Maclarny v・Pleasant Hills,DelりCbrlO9A.2d830,835(1954) 

(18)

203   取締役責任の信託的構成(2)   − 7〜 一一   価格で発行した時には,取締役会ほその差別の理由を説明しなければならな  

い。会社の状況から生じた緊急事偶のみが株主の差別取扱を正当化するにすぎ   ない。この事情が認められるのは,会社の再建が差別的な発行価格なしに.達成  

されない場合,である。たとえば,1926年Atlantic Refining Co.対Hodgman  

(20)  

事件でほ.,大口債権者がその債権を新株発行のさい他の株主と同一・価格で現物   出資して株式に切替えること.を拒み,他方,融資銀行は,そ・の大口債権者に対   サーる債務を株式資本に転換しかつこのための新発行株のうち該債務出資分ほ2   年間市場に出さずそしてそれで他の新株発行を擾乱しないことを,協力条件と  

した。  

5)法的救済(equitable rqlief)   

衡平法裁判所が違法ないし忠実違反に発行された株式に対して一過用する法的   救済ほ.,法律違反の特殊性と個々の事案の要詣に順応して用いられる。この司   法的救済は衡平法手続の弾力性を示す格別印象深い証拠である。   

不法な株式発行が切迫するばあい,糠主は一・般原則に従って−自己の名で差止  

しごLl  

命令を得るとキ・ができる(わが商法280条ノ10参照)○違法に発行された新株が   まだ慈恵の取締役や悪意の第三者の手中に在るほあい,該株式の無効を主張す   る訴ができる。本来の持分関係を回復できかつ株主が相応の数の嘩式を引受け   る用意があり,そして会社がなお授権資本の枠内の発行予定株式を残している  

\ごJ)  

ほあいには,株式発行が命じられる。侵害された株主の財産的損失ほ.損害賠偵   ケこよって填補されねばならない。違法に会社の多数決支配を確保した取締役ら  

(23)  

ほ,違法支配を確保する株式の議決権行使を否定されうる。  

5 取締役の受信者義務‥会社・取締役間の契約  

鋤13F.2d781(1926) 

伽 PetrevIPruce,157Tenn131;7SlWl2d431(1928) 

G2オ Falk v。Dirigold Corporation,17豊Minn} 219;219NWい 82(1928) 

C23)判例の総括は,Cf 52AL R220,241etqse 

(19)

204   第36巻 第2号  

−・7ごl一  

第」一款 総   説  

1)まず,周知のように,アメリカの判例ほ,株式会社・取締役良問め契約   を,受託者・信託設定者問の信託契約と同じ基準に従って処理する。取締役ほ    会社・株主に対して受託者・イ言託設定著聞と同じ信頼関係に在る。これが判例    の前提であり,従って取締役は会社贋産の処分につき受託者としての制約に服   する。それ故に会社・取締役間の全ゆる契約ほ会社ないし会社のために行為す  

る株主(代表訴訟)の申立に基いて緬効と.されざるをえ.なかった。取締役白身   が会社を代表したか否か,取締役が該契約を擾試したのかそれとも取締役会合   において−該提議に賛成決議したのか,は問題でなかった。該契約が会社笹損害   を及ばしたか否かそして取締役が会社の損失で利得したか否か,も裁判所の関   心外であった。該契約毎効の法的根拠ほ取締役の個人的利害と会社利益との問   の対立可能性であって−,会社利益の擁護こそ取締役の地位に内在する義務だか  

(1)  

らであった。   

社団企業指揮の特殊性を考慮すべく努める裡に,判例ほこの原則を弛めて−い   った。しかし,じっさいほ,信託法上無効とされる契約の殆どが不公正内容を   もちかつ会社に損害をかけた。契約当時着たる取締役ほ自分の該契約に有する   個人利害を取締役員の過半に対して開示しなかったり,会社搾取のために該契  

(2)  

約を利用したりするのが,ふつうだった。だから19世紀後半の判例のかなりほ,  

会社・取締役間の契約が後述の諸条件に関わりなく,厳格な代理原則の作用に  

(3)  

よって,会社の選択に従い取消しうると判示した。それにもかかわらず現行法  

(1)CflMobile Land&ImperialCo VlGass,142Ala,500;30So 229(1904);   

Massoth v小Cent工alBus Corporation,10生Conn・683;13生Atlr236(192;6)Ⅶ一同事    件では,取締役の報酬額ほ相当であると認定されたが,其を定めた契約が自己契約の故    に無効とされた。  

(2)Cf・HillvlMarston,178Massu285;59N・・E∴766(1901)一同事件では社長と取    締役は会社破産の際に優先権を自己に譲渡させ牢。;ConsumersIce&CoalCo・・V  Security Bank&Trust Co,170Arkい530;280S一W 677(1926);01d Mortgage   

&Finance Co V Pasadene Land Co 241Mich.426;216N・W小922(1928) 

(3)その指導的判例 Munson v Syracuse,Gr&C Ry.,103NY.58,8N..E.355  

(1886)に日く,「法は受託者が仕封中間に及ぼす影響力を正確に測定しえない。」Cf 

Latty,Op.Cit.,p,382,385−7 

(20)

取締役責任の信託的構成(2)   ・・一 久ヲー  

205  

規への発展がもたらされた事情は若干の説明を要する。   

2)判例の理論によれほ,信託法の諸原則を取締役員に直接適用すること   はできない。なるはど取締役ほ会社・株主に対し受託者関係にあるけれども,  

取締役ほ技絹的意味でのtrusteesでなくて,個々の場合別な凰削が働らく  

(4)  

、fiduciaries〟 である,と。この論拠に基き,会社に取締役と契約締結する必   要が存することが,まず前世紀半ば過ぎに,取締役が貸付を行う事例に・おいて二   承認された。法が会社に最も利害関係のある人の金融的援助を会社から取上げ  

(5)  

てほ.ならない,と。後に.,貸付限度づけの拘来さえも法的要件でなくなり,そ  

\ して会社は自社取締役員と借入契約締結して.よいことが−・般に承認された結  

(6)  

呆,その貸付契約が自己代理というだけの理由でほ無効とされない。その他の   点でほ.,取締役の受託者的拘束が動揺せずに残っている。会社が取締役員と締   約するばあい会社は適法な簸調係の代理機関を欠くことになるとの異論に対し  

て,判例ほ,無関係の,個人利害なき過半の取締役が(定足数)該契約を締結  

\T「  

すべきだ,と反論する。この要件が充されても,次になおいわゆる公正審査  

(fairness test)によって該契約を判断しなけれぼならない。裁判所は,契約が  

(8(  

内容上公正かつ相当であるか否か,を吟味する。締約取締役は自分の行動の純   真・誠実紅ついて立証茸任を負う。彼は会社紅損害をかけてはならずかつ会社   の損失におおいて個人的利得を収めてはならない。若干の弛い会社立法政策州  

(9)  

でほ,株主の過半が予めこの種契約灯司意しまたは他の方法で取締役に自己取   

(4)Cf…Latty,Intr to BusAss・,Ch.19:The FiduciaryIdcLain Associational    Relationships,、pp 381仙86;Bauantine,Lattiu&Jennings,pp.293.  

(5)Twin Lick OilCo・V.,Marbury,91U.Sl,587(1875);Smith vl、Lansing,221LN.   

Yu520(1860).  

t6)Cf∴MonIOe V.Scofield,135F.2d725(10Cir 。19431   

(7)Rinn v・Asbestos ManufacturingCo・,101Fい2a344;?ert・den 308U・Sl555  

(1939).  

(8)判例の総括および秀れた批判的分析は Cf小Note,The Fairness Test of Corpor・ate    ContractswithInterested Directt)rS,61HarvりL.Rev・335(1948)∴ニ・ユ−ヨqク州    の基準判例はGlobe Woolen Co・Vq Utica Gas&Elec,}Co,22墾N;Y.483;121N.   

E..3 78(1918)・Cf.tatty,p.386.  

19)米国諸州の紘式会社立法政策については,拙筒・香経34巻五・六・写・98頁1以下(昭37.・   

3)参贈。   

(21)

206   第36巻 第2号   

− ㌻1−一  

(10)  

引を許可している場合,提訴株主に右の立証責任が転換される。裁判所は「会   社外」と認定した契約を無効とする。こうした要件の存否ほ,法律審による事  

(11)  

後審査不能な事実・裁量問題である。   

5)裁判官は該取引が正常な誠実に締結された契約のメルクマ−ルを具える   か杏かを確かめる。即ち独立の契約当事者間で締結された契約と同質たらねほ  

(12)  

ならない(〝eaImarks of an arm slength bargain〟)。契約給付に市価が   あるかないし反対給付が市場−・般のものであるときは,主としてはは次の基準  

(13)  

が当てほめられる。買値ほ満価に・合致せねばならない。役務給付には取引上−・  

(14)  

般の報償が対栖として支払われねほならない。会社から取締役に.行う貸付の条  

(15)  

件ほ会社が罪三者にも嚢伺を行う場合と同じ条件たらねばならない。市価や取   引所価格なき契約給付の価額は専門家紅よって確められうる。   

右の点と共に,取締役が誠実に行為しかつ会社の損失で利得しなかったか否   かを,あらゆる事情に照して吟味しなけれはならない。取締役ほ,彼の十分理   解せる該契約締結利害関係に重要ない  っさいの事情を,会社へ開示する義務が  

(i6)  

ある。たとえば,取締役が会社から或物を譲受ける場合,転売による利得の可能   性の有無・程度を明示しなければならない。取締役が会社軋譲渡する場合,譲   渡物に関して彼が有するすべでの価値構成要素,特に彼の支払った取得原価,  

(17)  

を申出なければならない。裁判官の審査ほ,該契約が有用だったか否かおよび  

(10)HillDredging Corporation v.Risley,18N。J小501:114A・2a231(i955);Gro−   

ppeIV…North CentIalTexas OilCompany,(DelCh・)1】.4A12a231(1955)・  

al)Ran予OZneConcr eteMachineCo vlMoody,282Fed・29,34(1922) 

(12)基準判例:Peppey v.Litton,308U・S小295,306(1939)・近時の主判例ほ,Sorin    v.Shamoon,152N.Y.S,2d2;2AppりD..2d678(1956).  

u3)Maclarny v.Pleasant Hills,DellCh.109A・2d830;837(1954);Wilユiamsv  SalisbuIyIce Co小.176Md.13;3A.2d507(1939);Moriatty v。James Butler    Groce工y Co。261App.Div 20;24N.Y,Sh2dlO5(1940) 

仏側InIeCuyahoga轡anceCo・136Fl・2d18(19与3);Morrisv NorthEvan去tone    Manor Building Corporation,319Ill‖App‖298;49NりE・,2d646(1943) 

u5)Twin Lick OilCo,.VlMarbury,91uS、・587(1875);Arn v OperatorsRoyalty    and Producing Col,ユ3F・・Supp.769(1936).  

(161Ballantime,§71、pLI178 

u7)Ar工igoniv.AdoInO,129Conn。673;31A小2d32(1943);Knudsen vr Burdett,   

67S。D.20;287N.W.673(1939);SchemmelvHill,91AppDiv.373;169N 

E・678(193町 

(22)

ー・こi−・・■  

取締役責任の信託的構成(2)   

207  

会社の財務状況が当時に・おい該内容の義務負担を許したか否か,にも及ぶ0締   約利害関係取締役貞が締約決定取締役会に対して有した影響力も,間接証拠と  

して考慮されねほならない。多数決関係利害関係取締役の握る議決権の数,も   しくは其取締役が決定に参加しなかったことは,決定的でない。むしろ,利害   対立および締約取締役の事実的影響力をいっさいの事情に照して考慮すること  

(18)  

が,かなめである。   

4)ほほ確定したといわれる判例および殆どの米会社法文献ほ次のように説  

(19) 明する。取締役会の決議に必要な定足数ないし議決要件を確保するため締約取  

フェアネス   締役の議決参加が必要である場合,裁判所ほ,契約の公正さを審査するまでも  

(20)  

なく,該契約ほ自己契約という理由だけで無効とされる,と。しかしこの説明   を額面通りに受取るのほ多分に危険であり,いわゆる多数説の典拠に引かれた  

各判決を調  べれほ,その多くの事案ほ全く明白に不公正な契約に関するもので   あり,若干の判決では判決理由の傍論として右の趣旨が述べられているにすぎ  

し二11  

ず主判決動機はあくまで契約内容の甚だしい不公正に・あった。だから,各事案   特有の事実枠組の故に,何らかの確固かつ手早な原則を打出すことは望ましく   なく,問題は常に「その取引がまともな,公正な,誠実な取引だったか」であ  

(22)  

る。と解してよい。   

ともかく,−・応通説化しているこのいわゆる原則が経営陣の牛耳る取締役会   でほ大困難をもたらす。、羊・こでは取締役任用契約の締結および報酬決定−・般に   ついて行為権限ある会社機関が存在しないこと紅なろう。このばあい判例は,  

(18)Gibert v小McleadInfirmaIy,219SlC・I174=:64S E‖2d524(1951);Fowle Me−   

md‡ialHospitalCo.v,.NichoIson,189N.Cl44:;126SlE 94(1925);Wyman v  Bowman,127Fedl257,274(1904);Gropperv…甲0工thCentralTexasOilCompany,   

DelCh 114A.2d231235(1955).  

u9)Ballantine,§68,p..173;Latty,p.386;Bal1antine,Lattin&Jennings,p・.294  QO)Todd v.Southland Broadcasting Co..131F一,2d225(1956);Texas Auto Co.v 

AIbetter,1.S.W.2d334(1927);Gilbert v.McleadInfirmry(註18所掲) 

(21)cf∴Note,175A。LR.577,596(194=8) 

ほ2)In Ransome Concrete Machinery Co.v・Moody,282Fed.29,3生(2dCir.,1922) 

Cf−Note,61HaIⅤ.L R,335(J948) 

(23)

208   第36巻 第2号   

−一 死ト⊥  

ここでも公正性審査を適用しかつ個々的に会社・株主の利害の侵害有無を吟味  

(23)  

する,傾向にある。   

カリフルエアでほ立法者が補完的に介入し,制定法の規定にぉいて,会   社・取締役間の契約は利害対立のみの理由で無効とされない,とされる。対立   する利害が開示されかつ取締役会の無関係な過半数が該契約の締結を決定した   場合,もしくほ,無関係な完全開示を受けた過半株主が該契約に同意した場   合,もしくほ契約の内容が公正かつ相当である場合,該契約は有効である(§ 

(24)  

820California Corporation C)de〔1947〕)。裁判所がこの種制定法規をどう   解釈するかについてほ,右カリフォルニア株式会社法典820条に関する判例が  

(25)  

好例となる。同州控訴裁の判決によれば,同法は取締役の受託者義務を制限し   ようとするものでない。上の三要件が独立に有効要件とみなされようとも,裁   判官ほなお個々別にこれら要件が誠真に・充されているか否かを検討しなければ   ならない。従って,たとえ取締役会または株主の鰊謂係な過半数が契約を認可   ずみであろうとも,裁判所は,契約の内容が公正であるか否かにまで立入っ  

て,いぜん該契約を審査する職者がある,と。   

5)株式会社制定法ほ,会社に取締役員への貸付(loans)を禁止サーる(モ  

(26)  

デル事業株式会社法32条;デラウエア法典8巻341条)。あるいほ,貸付受領者と   共に.,該貸付を供与したまたは其軋賛成した取締役員が連帯債務者として利子   付きで元本返還責任を負う,と規定する。貸付の即時返還義務および右の連帯   債務責任は,当事者の善意と無関係であり,貸付供与の内容が公正かつ相当で  

C23)Eliasberg v.Standard OilCo・ト,23N L Supe工 431,44=4;92Al2d862(1952);   

Seagrave Corpv Monnt,2].2Fい2d389(1954)古い判例の主なものとして,Ran・   

some Conc工ete Machinery Cov‖ Moody,註22所掲;NichoIson v.KingeIy,37    Wyo。299;261Pac 122,12墾;Stratis vAndreson,254Mass.536;150NhE  832(1926);Church v.Harnit,35F・2d499(1929) 

C4)これほ元来,1931年CaliforniaCivilCode,§311,K採召され,47年汰式会社法典紅    引継がれた規定である。  

(25)Remi11ard Brick CoV.Remi1lardDandiniCoり,109Cal.App‖2d405,418;241    Pu2d66(1952) 

伽)模範法42条の旋聞点についてほ,参照,拙帖・杏経論叢34巷5・6甘104畠以下(昭   

37年3月)。   

参照

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