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取締役責任の信託的構成(3)

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(1)

墾91  

取締役責任の信託的構成(3)  

取締役責任の信託的構成(3)  

】−73 −Ⅶ  

岩  崎   稜   現代株式会社法構造の状況的理解によせる覚書一株式会  

社支配の法理論(2)・一   目  次  

史 的 序 説 (33巻3号)  

第1部 アメリカ法  

第1奪 取締役会の法と現実 (34巻3号)  

第2奪 取締鱒脊任の信託的腐成  

序 説(1)本章の意図 (2)取締役の受託者性   第1節 英国における取締役の受託者性 (36巻1弓)  

第2節 取締役の受託者性とアメリカ法   1 緒説  

2 米法における取締役の受信者義務観念の禰芽   3 自由裁盈と注意義務  

4 株主の新株引受権  

5 取締役の受信者義務:会社丁取締役間の契約   簡1款 総軍  

第2款 取締役の共通な会社間の契約 (36巻2号)  

第3款 人的結合会社間の契約(利害対立)  

6 会社取引好機と親米禁止  

第1款 Corporate Opportunity(会社取引好機)理論   第2款 コンツェルン利害対立と会社取引好機 (本号)  

第三歌 人的結合会社間の契約(利害対立)   

米判例および学言鬼ほ,人的結合しつつも経営的独立性を保持する会社間の契  

約と,コンツェルン内契約を区別しない(例え牒,Cf.Ba11antine,§72,pp.  

179〜184;Ballantine,Lattin&Jennings,pp.280〜300;Stevens,pp.685  

〜89)。だからメストメッカアもいうようた(S.157),判例のコンツェルン法   的内容は判例事案を検討しないかぎり把握できない。  

1)経営的独立性を保ちつつ人的結合のある会社間の契約ほ、取締役・会社   

(2)

第36巻 第4弓  

492  

・−一 7イ ー  

間の契約に必然な利害対立と同様な対立を,もたらす。まず目につく事例ほ,  

A社取締役員が、別の,彼自身の設立紅かかるもしくほ支配】F一にあるB杜を利   用してAをと.の犠牲で個人的利得を収める,場合である。   

ホテル会社の取締役が,同ホテル事業経営に不可欠な不動産を,自分の単独   支配下にある会社へ譲渡させかつ,その代価は公正な買入価格によりつつも,  

その支払として−長期・無担保の債務証書を交付した。かかる内容の契約は無効  

(1)  

とされた。不動産の譲渡が会社のためになる場合でも,取締役員の−・人が支   配・代表する譲受会社が支払った買入代金が安すぎれほ,市価との差額を譲渡  

(2)  

会社に弁償しなけれほならない。会社が自社取締役員の一人の指揮下紅ある企  

(3)  

業に供与した,特別な客観的根拠のない値引額も,弁償しなけれぼならない。  

A精油会社の代表取締役甲が,彼の支配下にありかつ同一・地域で営業するB祉   を通してA社の原油を買付けさせ,しかもその代価ほ.A社・B杜間に締結した   長期供給契約に基し、て決められた。市価ほ該供給契締結後下落した。この契約   ほ次の理由で無効と判決された。甲がB社の長期供給契約のリスクを同時に甲  

(4)  

の代表するA礼に転嫁することは許されない,と0自社取締役の一∵人が支配する   会社を債権者として,或会社が発行した担保付無言己名社償ほ,その儀榛名会社  

(5)  

が何ら反対給付を提供しなかったかぎり,無効とみなされる。   

こq)種の諸事例における判決の結論は,裁判所が「公正性審査」(fairn6ss   test)を適用するかもしくは「詐欺」(fraud)を要件とするか,さらにほ原告株   主またほ被碧取締役いずれが立証責任を負うかどうか,に無関係である。特殊   な,辿鎖取締役に個有な法的問題は米判例上存在しない。   

2)人的結合会社が経営金一・体にまで融合している場合,この企業合同は株  

(1)Leo v.Lr.&MRealty CoIpOration,228F.2d89(1955)。  

(2)MarianivlMariani,276App…Div 小205;93N.YrS,2d370(ユ9J49),nOtedin25    NいY小uL Rev1113(1951);Note,Validity of Contract between Corporations as   

Affectedby DirectolSOr Officersin Common,114A・L。R299(1938) 

(3)Buckan v.E)m Realty CorpOfPeabody,42NE.2d814(1942)  

[4)Illinois OilCo.v小PendeI,1370kla.82;277Pac.1026(1928) 

151First Trust and Savings Bank ☆Iowa Wisconsin Br idge Co98 Fn2d416  

(1938) 

(3)

取締役責任の信託的構成(3)  

ー 75−  

493  

式会社「系」(system)を構成するから,財産法的独立性という受信者義務の土   台が問題になる。合同企業の資産の積重ねが許されるか否か。判例ほ常に此間   題の新たな表われを検討させられてきた。財産歪曲が直接に資産移転の形で行   われるし,あるいほ合同企業間の営業取引が各社収益を歪曲するのである。  

イ) 一・群の  会社/を共同利益のため経営全一・体として管理する目的で,取   締役が或会社から資産を取上げることほ.,米判例上許されない。   

多くの会社の持分が・一・持株会社に集中された。その持株会社が各傘下会社の   債務を社債発行とひきかえに引受けた。子会社の−・が,その子会社単独で流動   資産を処分し,持株会祉の発行した優先株を引受けかつその発行価額を現金で  

払込んだ。その儀充棟は持株会社の収益状況からみて何ら現在的財産価値を有  

するのでなく,該企巣系列(system)の収益力増大期待を化体しているにすぎ   なかった。子会社破産管財人の訴により,その持株会社と結ばれた全契約が,  

上記の株式引受も含め,無効と判決された。子会社.・持株会社双方で活動した   取締役は,人的結合ならびに財務的結合によって企来合同が成立していようと  

も,別の会社のために.−・会社を経済的犠牲にした故紅,その受信名義務に逝反  

(8)  

した,とみなされた。   

親会社・子会社が共葡した資産の譲渡代金は,各社に.その本来の共有緒分に   応じて分配される。共通の取締役による親会社に.有利な分配は,局外株主の訴  

(7)  

によって,訂正される。   

コンヅェルソ集団内で或会社が別会社の株式を取得する場合,その取締役は   相場を上回る代価を支払ってはならない。このばあい取締役は,譲渡会社が,  

もともとコンツェルン集団所属各社の損害を軽減するため,相場支持の目的で   該株式を取得したのであり,かつ譲受会社もその恩恵濫浴した,と抗弁した。  

これでその超過価蘭支払を証.当化しようとしたが,判決はこの抗弁を事実と認  

︶  

いし   

二\  

と  

めながらも,それが超過支払を正当化する理由にならない,   ○   し6)Bank of U.S。VCuthbeISOn,67F.2d182(1933) 

t7)Laramie RiversCo・V.Watson,69Wyo333241Pl2dlO80(1952) 

18)Austrianv.Williams,103F.Supp.64,91(1952)別事由たより破棄,198F…2d   

697(1952)。なおCfl、Equity Corp一V Groves,294N Y.8;60NE2d19(1945) 

(4)

第36巻 第4号   494   

一−・7d −−  

この抽象的独立評価という基準ほ,子会社がその財産全部を親会社に移転し  

(9)  

た場合,あるいほ,共通の過半株主によって.結合され,統一・営業政策が傘下各  

(10)  

社全体に.役立った人的結合会社間で株式譲渡を行った場合,にも適用される。   

株主ほ,会社が公正な反対給イくjなしに資産を奪われることに対してのみ,保   護されるのでほない。株主は,会社の財産が株主直接の支配下に.留まるよう要   求すること.もできる。   

或会社が新しい商品群の生産開始を決定した。市況からみて,これら商品の  

販売を独立の企業に.担当させるのが望ましかった。この目的で設立された子会  

社ほ.,親会社と同じ取締役会構成でありかつ親会社から仝経営資金を仰いだ。  

子会社の株式は親会社株主に按分比例で交付された。この対価形式は公正かつ   相当である,と判決された。しかし,子会社定款のなかで,取締役会に随時の   新株引受権排除権限と無制限な自己契約権限を付与した規定は,不当と認定さ   れた。取締役会ほ企業の−・部を独白の,株主に左右されぬ支配に服さしめる権  

(11)  

能を有しえないとの理由で,この子会社定款規定の削除が命じられた。  

口) コンツェルン内の営巣取引ほきわめて難しい法的問題をもたらす。   

特紅契約コンツェルンの代表型態たる経営管理契約(management and  

(12)  

seIVice contract)に.ついて困難な問題を生じる。  

(1)経営管理契約は後述のように殆ど専ら人的結合会社間で締結され   る。この契約が取締役会の権能を不当に制限する故に無効となる場合を除き,  

経営管理契約ほ交換的双務契約の−・般原則によって処理される。裁判所の審  

(t3,)  

査対象ほ,経営管理担当会祉の給付に対して支払われた対価の正当性である。  

(9)In re American Telephone&Cable Col,24g N.Y。S.98(1931).(本件は後に群    給する機会があろう)。  

(10]Pergament v.Frazer,93F.Supp。13(1950);aff dinMasterson vりPergament,   

203F..2d315(1953).  

(11)KlopotvINoIthIup,131Connl14;37A・2d700(19J机) 

(12)アメリカの経営管理契約の形式・機能に関する説明ほ資本コンツヱ.ルン・契約コンツ   ェルン・の型態・機能を扱う部分の後稿に委ねる。  

(13)たとえば,Cf.MayflowerHotelStockholders ProtectiYe Committee v・Mayfl・   

oweIHotelCor・pい,193F,2d266(1952)。本判決によれは,ホテル営業では経営管理   

の対価額ほ被管理会社純売上高の1%が公正である。これに反し,年売上が百万ドルを   

(5)

取締役苗任の信託的構成(3)  

・−・77 −   495  

いわゆる,コンツェルン化のもたらした経営的利.た−−−・般は考慮されない。対価   ほ個個の契約給†」として判定されることになる。   

その故に,連結取締役がその経営管理担当会社の機関たる資格で,彼らが被   管理会杜に憮制限に提供しなければならぬ給イく†の対価を同社法定機関として約   定すれは,その取締役ほ会社を加害することになる。取締役はひたすら会社の   利益のために行動する義務を法定されている故紅,取締役ほ自分の経営管理が  

く14)  

収めた経営的成果を抗弁根拠としえない。   

取締役ほ,経営管理会社の経常費が給付増大によって上昇し,そのこと.で統   一・指揮下にある全社が利益を収め,従ってこれら会社全部がその費用を按分負   担するのが公正である,といった理由で,経営管理の対価の遡及引上げ権能を   有しない。それどころか,取締役ほ,契約所定価額で経営管理会社の給付を清  

く】5)  

求する被管理会社側請求権を貫徹する,義務がある。   

経営管理側所属取締役が被管理会社の製品を不当な安値で支配会社に.供給し   たことによって,、その取締役が同時紅被管理会社を加害したという理由で,そ   の損害賠償を求めた訴も,容認されている。そして,原告ほこの不利が別の有  

tlせ)  

利によって相殺されないとの主張者任を負わない,とされた。  

(2)前註16所掲のPrice対Standard OilCo.事件は狭義の売買取   引に関するものだった。原則として企集合同内部でも市価が基準とみなされ  

(17)  

る。市価がなければ公正な価格を確認しなければならない。しかし,強固な経   営的統一・体内では,この基準を遵守することが甚だ難かしい。1944年CbelI■Ob   対BaI′re七草件で訴訟の対象となったコンツ.エノレン滑則武格は  ,この間題の特   

超え.たら粗収益の10%を経営管理の対価として支払うという,約定は不公正とされた。   

さらにり経営管理側従業眉の経費ほ,その従業員が被管理会杜のために.働いている期間   

中,被管理会杜の負担とする約定も,是認されなかった。なお,Cf.Ba11antine,Lattin   

&Jennings,Op.Cit.,pp.297〜300.  

a4)Keenan v.Eshleman,2A2d904(1938).  

(15)Austrian v.Williams,前註8所掲一・  

(16)Price v.Standard OilCo・,55NnY。S.2d890(1945).Cf.Ballantine,Lattin&  

Jennings,Op.Cit.,pp.287〜d2.  

(17)Masterson vりPergament,203F.2d315(1953)u   

(6)

/196 

 7β−  

第36巻 第4号   

性を示す。この難かしさは工米コンツ1エルソでもみられるが,以下に説朋する  

(18)  

ChqlIOb,Inc・対Bar工et事件を典型とするエネルギィ業コンツェルンにおい   てはなお錯雑となる。   

A杜ほB社q杜の過半議決権株を取得した。A社ほB杜の企業を統一・「系列」  

(system)に合同した。ガ■ス生産がそれに最も好条件のB子会社に集中された   結果,コスト引下げが実現した。C子会社ほ自社顧客層への供給に必要なガス  

をB社から受取り,C杜自身はB社供給分で足りない需要分だけ生産した。B   社からC社へ供給したガス代金の清算がB社株主の提訴による訴訟の対象とな  

った。共通取締役はその代金を次のように計算した。すなわち、C社ほ受取製   品高軋比例した直接コストを支払った。経常費のうちC杜が負担したのほ,C  

ヽヽ 祉のための生産に因ってB社に生じた追加コストだけにすぎなかった。B社の  

生産能力は自社販売網の消化能力分よりもずっと大きかったから,C祉への供   給によって生じた追加的コス=はもちろん平均経常費よりも著しく少かった。  

控訴裁判所は,ヨ.り公正な価格を確認するための基準を展開した。売手B社の   期待可能な価格下限と評価さるべぎものは,C杜へのゝ供給によって生じた追加   総コス†・である。買手C社にとっての価格上限ほ,C社が自家生産したか競争   社から買入れたと仮定した場合発生していた筈のコスト,で示される。この原   則を手がかりとして裁判所は価格を新たに計算し,かつ,C社が自社需要を完   全にl∃家充足できるよう唱杜生産能力を拡大していたと仮定した場合,C社に   生じる筈のコスト,を基礎とした。、上告審裁判所ほこの判決を破棄した。その   破棄理由によれば,C社生産能力拡大が不可能であったことは事実上確定して   いる放に,問題の価格がC杜の想定生産能力に基いて引算されてほならない,  

ゴー・トオファツピール  

と。さらに,ニコンー・ヨー・ク最高裁判所の確定によれば,B祉にとつて,追加経   常費に基いて計算された価格は不公正である。その故に総経常費を評価・配分   すべきである,と。用いられた計算方法ほ成程B社に何らの損失をも招かなか  

(18)293NハY。442;57N.E 2d825(1944).Cf.Ballantine,Lattin&Jennings,pp 

283〜287.   

(7)

取締役責任の信託的構成(3)  

497    − 7ク 叫・  

ったけれども,B社ほ巨大な売上があるのに不当に僅かな利益しか収めていな   い,と。それ故,衡平法の原則により清算価格を新たに確定しなければならな   い,と。取締役の着意および,その行為が客観的考慮によって決められたこと   は,問題でない,と。   

コンツ・エルソ傘下会社ほ,正当な対価なしに自社の給付を提供することによ   って,損害を蒙る可能性があるだけでない。コンツェルン傘下会社が,独立企   業なら締結しない程危険な契約を結ぶ場合にも,損害発生の可能性がある。  

(19)  

1942年Everett対Philipps事件はこの種事例に∴ついて判決したものである。   

A社ほ,統一・指揮下にある数社の企業集団のための資金調達会社として設立   され,これら数社の取締役・過半株主によって支配された。A杜は.コンツェル   ン外から資金調達したが,無議決権優先株と無記名社債しか発行しなかったの   で,局外者ほA社経営陣に対する影学力をもたなかった。原告(A社優先株主)  

の主張によれば,A社はコンツェルン内企業B祉へ貸付けた1千万ドルの貸付   によって損害を蒙った,と。B杜がその貸付を必要としたのは,長期の社債発   行に必要な行政認可を回避して銀行から借入れて−いた同額の短期借入金を返   済するため,であった。A社ほB社の債権者銀行に対して,B社支払不能の場   合A社債権を後順位におく義務を引受けた。B社ほその貸付に対する何らの担   保もA杜へ提供して−いない,と。裁判所ほ,この状況ほA社の損害を認めるに   不十分だ,とみなした。なるはど堅実性が一・般に疑われる取引ほいくらも存在  

しよう。だが受イ言名義務違反を成立させるにほ,その事実だけでほ足りない,  

と。A祉の構成をみれば当初から,A社が資金調達会社として働く筈であるこ   と,そして局外者がそ・の業務執行に何ら影轡力を及ぼせないことは,明白であ   った,と。定款もA杜取締役に,同時に取締役として他社に属しかつA社との   契約に.おいてその会社を代理する自己契約を,許容していた,と。  

(5)ドイツ株式法におけるコンツ・エルソ法論の中心となっている問   題,すなわち,それ自体保護すべき「コンツ、エルソ利害」(Konzer・nin如eSSe),を  

(19)42軋E2d18(1942) 

(8)

−β0 】  

第36巻 第4号   498  

扱った判例は,米国にほどく櫻かしかみられない。判例が人的結合会社間の質   貸借契約条件などの公正さを論じる判例に,この間題意識がやや感じられる程   度である。そのはか,同時に過半株主でもある実力取締役嘉ミ,様ざまな時期に   彼の人的信用を親会社に提供し,そしてこれが彼の100%支配する子会社の損  

しニl−)  

害になるこ.とを甘受していた。この例を問題とした判決がある。補充的判決理   由ながら,或判決によれば,親子会社兼任取締役が親会社に対するその昔務に   近反しかつその株主に対して損害賠償義務を負うことにならないかぎり,その   取締役の子会社に対する受信者義務を果すことができない場合,彼の対子会社  

(21)  

受信義務ほ後退する,と。   

叙上の判例を大観して−,結論的軋次の一ように確認できよう。会社,取締役個   人間の,ならびに人的結合ほあって−も経営⊥独立の会社間の,利害対立ほ,受   信者義務原則によって有効に解決できる。しかし,コンツェルン内契約の取扱   ほいぜん不十分である。主観的基準,善意,対立利害の開示義務ほ,諸祉が経   営的一・体にまで合同しきっている場合,何の手がかりにもならない。  

ヽヽヽ   

コンツェルン内契約の場合,利害対立ほ客観化して\おり,コンツェルン傘 ̄F−  

会社両方で働く取締役の善悪意と無関係である。   

米判例ほ.,このヂレンマを承認するから,場合によって,主観的要件を度外   槻したり,会社の構成に基く行状を正当祝したり,或いは対立する語義務の−・  

の優先(特紅対子会社く対親会社)に正当づけ理由を見出したり,ばらばらな   考えかたを示す。ここ紅おいて「・−・方では,経常費用の裁判上配分,およびコ  

ソツエルン効果・個別会社利益の裁判上確認,他方でほ,コンツェルンにおけ   る責任基準の放棄。この両者間の二者択一・がくっきりする」(Mestmacker,S.  

166)。この間題の本格的検討はコンツェルン法を統一・的に扱う箇所に譲り,こ   こでほ今日のいわゆる「会社制」(co叩0Ⅰ・aCy)における取締役受信者義務の貫   徹がいかなる問題を伴うか,米国判例によって指摘するに止める。  

eO)Solomine v・Hollander,128N・J・Eq小228;16A・2d203(1940).  

†211Hirschhorn v・Mine Safety Appliance Co.203F.2d279(1953)‖ 本件で争われ   

た措辞イ苗格,とくに特許棒実施料ほ,詳しい理由づけなしに公正と判決された。   

(9)

取締役責任の信託的構成(3) 

499   −∂J−   

ただこの問題を考え.るに当り,常に想起すべきほ,膵大な自由主義法律家ブ   ランダイス著「他人の金」の次の一節であり,それほ,株式会社専彗弁護士と   してスタートすることにより百万長者になった後で「人民の法律家」およびウ   イルソン大統儀の助言役に転身した,ブランダイヌ判事の特異な経歴に裏打ち  

lウワ1 されて,切実に響く。「連結取締役の慣行ほ多くの悪の根源である。それほ㌧人  

の法と神の法紅背く。蔑毒争会社にこの手口を用いれば,それほ競争抑圧とシャ   ーマン法違反に傾く。互に取引のある会社にこの事口を用いれば,それは不忠  

(23〉  

実に傾き,また人はこ主に仕うこと能わずという根本法則の違反に傾く」。  

第六節 経営陣の受信者義務:会社取引好機と競業禁止   第一款 eorp¢raね opp¢一拍n玉ty(会社  

取引好機)理論  

1)誠実養務と自己の取引を行う、権利との問の関係は,アメリカ法にお斗  は,抽象的な新発禁止から展開されていない。判例は個々具体的に自由な機   余・取弓て締結と会社に帰すべぎ扱会・取引締結の区別に努力している。これが  

(り  

会社取引好機(corFOIate OpPOrtunity)理論の対象である。  

C2)Cf小BerylHaIOldLevy,Corporation Lawyer:Saint oISinner?The New Role   

of the Lawyerin Modern Society,1961Philadelphia,p27  

C23)LouisD.Brandeis,OtherPeople,sMoney andHow BankersUseit,(1933ed  NationalHome LibIary Foundation),p60  

(1)この間題をデーマとした文献の主なものを挙げれほ,Ramsey,DiIeCtOrS Power to   

Competewith the CorpoIation,in:18IndLJl293(1943);Timerg,CoIpOrate    Fictions:Logical,SocialandInternationalImplications,in:46Col.L、R.534,569    et s,(1946).  

Notes:14Geo.LJ… 880(1956):A S11rVey Of Corporate OppoItunity;54    Harv.L.R.1191(1940):Fiduciary Duties of Officers and DirectoIS nOt tO    Compete with the Corporafion39Col‖LR.219(1939):Liability ofI)irectors   

foITaking Corporate OppoItunities,Using Corporate Facilities or Engagingin a    Competing Business・ 153A.L∴R649(1944):Accountability of Corporate    DiIePtOrSOr Officers foIPIOfit fIOm Activities beyond tIle Corporate Powers,   

but Involving the Use of Information and Opportunities Availabie to Them by  Reason of their Positionin the Corporation.44Yale LJ 527(1935):Liability   

Of DirectoIS tO CoIpDIation董or Exploiting Corporate Oppo工tunities 

(10)

500    欝36幾 筋4号  

ーβ2−  

この理論ほ統一・的法制度でなく,むしろいろいろな法的見地によって−解決さ   れる諸の典型的利害衝突の集合概念である。それ卑統合する法的契機となるの   は,会社・取締役問の法律関係の受託者的性質である。法律事実的になかんず   く問題となるのほ,会社支配という禿れて経済的な価値を抜きにしてほ把まえ   難い利得,である。独立の株式会社におけるこの重大な矛盾ほコンツェルンで   はヨリ尖鋭化して再魂する(第二款)。   

2)判例は,会社にとって既に現在の財産価値ある会社の取得利害を,取締   役の利己的介入から 

歴史的に会社取引好機理論の出発点を成していた。   

会社が会社め事業経営に必要な不動産を賃借して−おり,かつ取締役がそ・の賃   借期間の満了時に自己のために新しい賃貸借契約を締結する場合,この取締役   は会社の財産法上保護された期待を侵害することになる。会社は取締役が自己   の名で締結した契約を会社のためになされたと主張できる一【衡平法は.会社の  

(2)  

たあの契約を法定信託(construbtive trust)によって理論構成する。取得期   待が当然に会社資産に編入されるという形で,取得期待が凝縮されることも稀   でない。その放に,判例ほ補完的に諸の客観的・主観的判断基準を利用して   いる。即ち,会社は既に取得への利告を表明していたか,該取引が会社の慣行   的活動に属するか,もしくはその取得対象が会社にとって L不可欠1なもの  

(3)  

か,など。  

一般的文献としてほ,Ballantine.§79,pp.203〜10;Ba11antine,Lattin&Jenn−  

ings,pp.328〜40;Latty,OpLCit。,pp.388;Mestmacker,SS.166〜72,Stevens,   

§147,pp。671〜77   

わが文献としてほ,大隅・取締役の競業避止「会社法の諸問題」増訂版所収283〜304    貰所収。   

(2)Fayslnc.v小丁・Jay Kline,136F.Supp」・871(Ⅰ955);Nicolaiv.Desilets,185    Wash.435;55p.2d。604(1936);Girard v.Lamoreux,227Mass・277;116N.   

E・572(1917).  

(3)Madernptt Mining Co.v。Derunot,27Mont.,143;69 Pac715(1902);Loose   

Leaf Tobacco Co・V Robinson,199Ky・313;250S W.997(1915);Harmony   

Way Bridge CoりV一Leathers,353Illl378;187N.E・432(1933)   

(11)

取締役責任の信託的構成(3)   −ββ・−・   

501   

長らく基準的判例とされていた1902年 Lagarde v.Annistone・Lime &  

(4)  

Stone Co.事件ほ主として,財産侵害に着目した考察方法の危険を示してい  

る。同事件の事案を述べれほ,会社は耽‡所有ずみ採石場の全部取得に努め  

ていた。戎取締役が採石場残部の所有者に働きかけてそれを自分個人で譲受け   た。取締役取得分の取戻を求める会社の訴ほ棄却された。該取引が何らかの形   で直接取締役らの受託者義務の対象となっていない限り,法は取締役会および   経営陣の成員に.,取引・投資による自己の利得を会社のために放棄するよう,  

(β) 要求しない,と判示された。このしばしば批判され,また判例上も近時追随を  

(8) 拒否される判決は,取締役に.ただ会社資産で個人利得を収めることのみを否定  

する結論紅なる。潜在的な利害衝突は全く考慮されないまま檻終る。それ故に   近時の判決は問題をこの側面からも,殊に経営陣の義務から把挺している。   

5)代理(agenCy)法においては,受鱒者がその代理権能の枠内紅ある契約   を自己のために締結して−はならない(Restatement of the Law of Agency  

§393)。この原則を手がかりにして判例法によれば,取締役が会社のために行   動す㌧べき特定義務(specificduty),一例えば十分特定された売買契約を締   結するとか,具体的に特定された不動産ないし債権を会社のために取得する義  

(7)  

務,を負う場合−,取締役は該契約を自己のために締結してほならない。   

第三者が会社との締約を拒んだからとか,もしくほ本人たる会社が契約を拒   否したからとかで,会社が契約を自ら締結できない場合,取締役ほ取引機会を  

(8) 彼個人のために把まえ.てよい。この理由づけも代理法理の借物である。しかし  

(4)126Ala.496;28So小199(1902)u  

(5)例えば.Ballantine,§79,p‖204 

(6)明文でこれを破棄(oveIruled)した判例は.,後述の Guth v小Loft,5A・2d503  

(1939);Rosenblum v.JudsonEngineeIing Corp・,109A2d558(SCN・IL)  

(1954).  

(7)Gottlieb v.Mckee,Del.Ch。107A、2d240(1954)‖同旨CentralRy・SignalCo  vLongden,194F2d310(1952);Daloisiov.PeふninsulaLandCo43N.J.Super  79;127A.2d885(1956);Heiden RealtyCorpratition vBrown,243Michい587;   

220N..W699(1928);Kroegher v.Calivada Colonization Co・119Fed641(1920) 

(8)CfSeaト0−Matic ManufacturingCo vG・&M‖Engineering MfgInc・,91A 

2d173(1952) 

(12)

第36巻 第4号   502  

−β4−  

この場合ほ株式会社法の特性貯留患を要する。なぜなら,株式会社が戎取引好   機を男逃すべきでないか否か,を決めるのほ往々にして当の取締役自身である   からである。そ打故に,取締役会が独立に決定しかつその決定に重大な仝ゆる   状況を知悉していた場合にのみ,該株式会社による契約締結拒否が効力を生じ  

(g)  

る。会社のために具体的契約を締結すべき特定義務が取締役に生じる,という  

(10) 判例もはんの少数ながら存在する。法的に.ヨリ匪難でしかも実務.上ヨリ重大な  

の喝,かような取引好機に取締役がでくわしながら,誠実轟務と私利が特別の   委任によって区分されない場合である。   

4)・−・遵の蚤要な判決は,その取引好機が会社に屈すべきか否かの判定を,  

経営陣・会社間の利害対立可能性に二届かせる。「衡平法は(信託設定老の損失咋 

(11)  

おける)不当利得を閉止するだけでなく 

それによれは,取締役が契約締結に由って既知の会社利害と対立するととにな   る場合,常に取締役ほその取引好機の利用を否定される。契約に対する会社の   利益自体でなく,取締役の不可分な忠実義務が,決定的契扱である。  

〈12)   

1985年ⅠⅠVing T川St Co.対r、ettsぐh啓件において,B社の童力歩数株を   取得しかつ経営管理契約を締結する機会が,A社に提供された。B杜ほA社の   生産継続に不可欠な特許権を所有していた。A社取締役会ほ会社に十分な流動   資金がないという理由でこの提供を受容しないと決議した。この決議は,自己   の名紅よる取引締結に利害関係を有した取締役らに,自己名義によるB社株取   得を自由ならしめた。株主の代表訴訟に塞き,それら取締役ほ該株式の譲受・  

転売から得た利益を会社に返還するよう判決された。   

「支払能力ある会社が或取引をする状態になかったとの主張ほ,取締役らに   自社との利害対立を敢でする資格を与え.るものでない。かような理論によって   彼らの行状を正当化するこ.とが許されるならば,会社の利益を先入感なしにか   

(9)Cf Note,Assumption by DiIeCtOrSOfContract Corporationis Unable to Perf−   

Orm Liability for PIOfits,35Col小 L一R289(1935) 

(10)Cf… Ballantine,Lattin&Jennings.、pp338.  

(11)ManufacturersTrust Co・・V.BeckeT,338tJ・S‖304,312(1949) 

u2)73F 2d121;Certden,294UいS.708(1935) 

(13)

取締役着任の信託的構成(3)  

・・−β5 −  

503  

つ漸乎として擁護すべしという困難な任務が彼らに課せられることになろう。  

けだし,会社がその提供に応じない場合,取締役が私利を収める機会が,取締  

役のために生じるからである」。   

会社軋その取締役の不可分な忠実をこ.のように厳重に.保証するのは,ごく一・  

部の判例に限られている。それだけに,このドイツチーユ事件がニエ・−ヨ・−ク州  

(11) で最近もなお基準的とみなされかつ追随されていることは,注目に倦する。こ  

の立場によれは,会社が支払不能でかつ営業停止して−いた場合にのみ,取締役  

\1J〕  

ほ会社との利害対立.を・敢行してよい。   

支配的判例によれほ,取締役の自己取引締結を否認するにほ,利害対立の危  

(15)  

険だけでは不十分とされる。19祈年Gutb v.Lof七草件では,被告,非アルコ   ーー性飲料の製造・小売を発とする会社(A祉)の取締役会良が,ぺプレ・コ−  

ラの商慄・調製法を自己のために譲受けた。彼はこの飲料を彼自身の創立・支   配する会社(B杜)に製造させかつその生産の大半を同時に・A祉に売却した。  

裁判所は,被告に.,B祉の株式および彼が該飲料販売によって収めた利益をA   祉に返還するよう判決した。同判決が基礎と.した次の法命題ほ,以後,基準と  

して承認されている。  

(1)会社が該機会を利用する財務能力ある場合○  

(2)該取引が会社の正常な活動領域紅属しかつ会社にとって実用的.師直を有し,会社   が該取引に.利害関係を有し,かつ会社の状況が取引締結を必要とした旨合理的に期  

待できる場合。  

(3)取締役が該取引既会を自己のために利用することにより会社と利害対立に陥るで   あろう場合。  

ヽヽヽ、、、→ヽヽヽヽヽ   

この三凛件が揃っていれば,取締役ほ取引機会を自己のために利用してはな   らない。取締役が取引機会の私用のさい会社の営業所や使用人ないしその他の   会社資産を利用したか否か,も補完的に考慮しなければならない0  

u3)Kelly v 74&76WestTrenontAvenueCorpration,151NりYlSl2d900,903  

(1956).  

a4)Cf.Jaspcrv・AppalachianGasCo・,125Kyl68;143SW 50(1930) 

u5)Dell.S.C.5A.2d503(1939) 

(14)

504   第36巻 第4号   

ー、ぶ(;−  

ドイ ツチエ事件との速いをなおよく示すのほ.,前記判決と同じデラウエア最  

高裁のヨリ新しい判決である。1955年Greene対Allen事件に・おける事実審  

裁判所の判決によれほ,取締役が同時に.会社のために該取引締結紅閲す−る会社   の利害の宥恕を決定しなけれほならず,かつ彼の意見に去ってその点が決ま烏   場合,その取締役はその取引機会を決して.自己のために利用してはならなかっ  

(lり   (】)  

た。上告裁判所ほこの判決を取消した。上告裁判決によれほ,会社が一・般的に   投資うとを求めてこおりかつ取締役の−・人にたまたま投資機会を提供している場合   なら,会社取引好機ほ.また存在しない。むしろ会社の具体的期待が設定されて   いなけれほならない。自己締結する取締役が会社の取引好機利用拒否決定に参  

(18)  

加している場合でも,このことがあてほまる,とされた。   

そのはかに,利害もしくは保護されるべき期待が欠除しているとされた事例  

(19)  

は,会社が法律上その取引の締結を阻止される場合,その種取引を行わないと  

(せ0)  

の確定慣例が存在する場合,もしくは会社がその締結を営業上の理由から拒  

(21)  

否していた場合,などである。  

(22)   

ある判例に.よれば,取締役が取引好機を自己の為に慈恵で利用した場合にか  

(23)  

ぎり,受信者義務違反がみとめられる。他方,別の判例の強調によれば,忠実   義務違反ほ主観的な非難さるべき行動に限定されるのではない。しかし,取締   役が,取引好機を拒否した自分の会社に,−・切の重要事実を開示せず,かつ自   分が後に私利で行った取引の締結に注いだのと同じ努力を,会社の為に用いな  

㈹114A、2d916(1955) 

(17=ohnston v。Greene,Del.S・C・121A2d919(1956) 

(18)同様な問題について同旨を判決として,Turnervl・AmericanMetalCo・,36N.YS  2d356,370(1942);28S App Div 239;50Nh Y‖S・2d800(1944);295N Y. 

822;66N E2d591(194り 

(19)ThilcoTimber Co」V Sawye工,236Mich・401;210Nl・W204(1926) 

C2O)Loose LeafTobaccoCoIVl・Robinson,199Ky,313;250SlW・997() 

(21)Lincoln StoresInc.vGrant,309Mass417;34N E2d704(1941) 

(22)Solomine v.Hollanderh12S N、J Eq228,16A 2d203(1940) 

23)Kosenblum v.Judson Engineering Corp・,110A2d558(1954);P工Oduction   

Machine Co v Howe,(S ClMassl,)99N.E・2d32(1951) 

(15)

取締役割壬の信託的構成(3)  

505    ーβ7 −−  

かった場合,つねに義務違反が存在する。こ.の点についてはすべての判例は−・  

(2い  

致している。巻意の行為という要件が衡平考慮への道を拓いている。いかにと  

●●●●●●●●●●●■●●●●●  

らえがたいにせよ,会社取引好概論が,概念的にはとんと全く確定不可能な問  

●●●●●●●●  

題を提起して.いることは,右の点に反映するのである。   

取締役が不忠実に会社の取引好機を侵害した場合,その取締役は信託法の−・  

般原則に従い,不忠実に締結した取引から得た利益の返還義務を負わされる。  

… … … … …・ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ(25)  

基準となるのほ.,会社の犠牲で収められた利得であり,会社の損害ではない。   

5)実用上極めて重要な二つの事例群が,会社取引好機理論の適用に際して   上述した諸見地の綜合的説明を可能にする。   

1会社と軋−・もしくは類似の事業分醇における活動を取締役に禁止する法  

し26)  

原則ほ存在しない。しかし取締役が競争企業を経営する場合でも,そのことが   その取締役に会社に対する受信者義務を免除することにならない。例えば,取  

′綿役ほ,直接会社の営業分野に属する特許腱を,自分があらたに設立した企業  

(27)  

に譲渡する,資格を召しない。ことに取締役は自分の会社を「直接競争」に.よ   って侵害しでほならない。この条件がつね紅存在するとみなされるのは,取締   役の経営する競争企業が会社の顧客層を侵害する場合である。取締役は顧客を  

(28)  

乗換えさせることや,取締役が会社の顧客名簿を手掛りにして新企業を設立す  

(29)  

ることや,もしくは従来その会社だけがその種の事業をいとなんでいた都市で  

(同一・市場で)取締役が同種企業を設立する場合,その競争企菜ほ.会社を必然   飢)Kelly v74&76WestTremont Ave Corp 151NlY Sl2d900(1956);Daloisio   

v。Penninsula Land Co,43NJ.Superl79;127A小2d885(1956)  

(25)Howe11v,.McCloskey,375Pa.100;99A2d610,613(1953);Lutherland v  Dahlem,357Pa。143;53A 2d、143(1947) 

@6)Green v・Standard,277Pa‖622(1929):当初池田開発のために殻カされた株式会    社の取締役は,創立後10年経ってまた同社活動の事実上停止後に,同〜・地域で池田開発   

を行う他社に資本参加しても差支えない。古典判例Bar工V.Pittsb11ⅠghPlate−Glass    Co..,57Fedい86,94(1803):ガラス製造会社の取締役ほ自分で同種の企業を経営でき    る。裁判所ほ.,市場の拡大傾句の故に会社の顧客圏が侵害されないことを強調した。  

椚)Rosenblum vJudson EnginCorph(前註23所掲)  

(28)Coleman vLHanger,210Ky309;275S‖W.784(1925) 

C29)Lust Fu工niers S11pplyInc.v。Winte;,2ヰ7 App一Div・135;286N‥Y.S∴749  

(1936).   

(16)

506   第36巻 第4号  

ーー▼lぶ占一一一  

(301  

に侵害する。   

これらの判例も,取締役が会社の資産を私利に用いてはならないという考え   に.基づいている。しかし注恵すべきことほ,現荷事菜内容全体,組織及び顧客層   が有休財産と同様に保護されることである。「企業」侵害ほその上に,取締役   が競争企業を設立しかつその際会社の営業指揮から得た知識を利用する場合に.  

も,存在する。取締役が自己の事業の資金需要を取締役の経験を手掛りにまた  

(311  

会社の基鍵を利用して見積った場合でも,企業侵害として十分たりうる。   

2 無形の阻織価格を収縮皮が利用することも利得的責任と結びつけば仁法   的に把握可能な義務の限界にかかる。取締如ま会社で得た知識を,彼が会社の  

(32)  

利得機会を侵害しない場合でも,私利の為に利用してはならないだろうか。つ   とに判例は,取締役が会社を媒介としで但し会社に.とって「能力外」となる   活動によって収めた利得の,返還講求潅を会社に認めている。すなわち取締役  

(3$)  

が自己の不正を仮装する為に能力外理論を主張するこ.とほゆるされない,とさ  

(3j)  

れていた。1944年Diedrick対王むlm事件に.おいて,抵当貸付会社の取締役   が保険事業を設立した。取締役が全持分な有するその保険会社の保有契約高の  

75%ほ.,抵当貸付会社が貸付骨てかつその取引約款紅基づき火災保険をつけね  

ほならなかった不動産の,火災保険契約であった。取締役ほ会社の貸付証書か   ら自分の将来の保喚契約者刀宛名を書きとった。抵当貸付会社の取締役会と株   主総会は繰り返しその保険取引を行わないよう決議していた。裁判所は,その   保険取引が抵当貸付会社の営業範閣に属さないとの理由から,二取締役に.対す   る利得返還請求を棄却した。この判決ほ.−・般に批判されており,会社が保険取   引を白から利用しようと思わなかったにせよ,会社ほその保険取引全部を有償  

C)O)Slqsburg v・Ca11ahan OilCo 125Connlr651;7A一2d853(1939):同一一都市で    の石油精製・販売,RedTop Cab Cov.Hanchett,48F‖2d236(1931):同一都市で    の競争タクレー業設立  

(31)Lincoln StoresInc・V‖GIant,(SlCMass)34N‖E.2d704(1941) 

(32)Cf.R Callmann,The Law of Unfair Co皿petition and Trademarks,2ed  1950,Vol2,Ch14..,pp818 

(33)Memphis&ARiver PacketCoV・Agnew,132Tenn2S5,177SW 949(1915);   

Goっdhue Farmers Warehouse Co v Davis,81Minn.210;83N‖W.531(1900) 

(34)Diedrick vlHelm,14NlW2d913(19主4) 

(17)

507   取締役音任の信託的構成(3)   一 ざさ)l一−  

〈85)  

で包括契約させえた害であると指摘されている。  

1917年デ・ユ・ボン会社の牧締役は同社の千五百万ドル分の議決権株を過半株   主から取得した。被告(取締役)ほ会社の信用を自分の為紅利用したが放に,こ   の取得は会社の為に行われたと主張する訴がなされた。第一・審は次の理由で   この主張を容碍した。け■だし株式譲受人に八百万ドルの信用を供与した銀行は   同社預金全部を保管しかつ右信用供与後著しい追加預け入れを受けていた,か   らである。控訴審ほ.右主張を立証不十分とみなした。けだし銀行頭取が,その   銀行の対会社取引と対取締没個人取引との間には何の関連も存しないと証言し  

こごtll  

たからである。けれども両裁判所とも出発点としたことは,自由判断による預   金の預入れを唱己の取引意図鱒・よって決めさせることが会社役員地位の乱用と   なる,というこ.とだった。  

(37)   

注目すべぎ但し他の裁判所によって追随されていない判決に.よれば,会社が   ある取引好機を利用する状態になかったので,取締役が自己の為に使ったその   取引好機に対する持株相応の個人的請求権が,会社の株主に認められた。  

第二款 コンツェルン利害対立と会社取引好機  

1)会社取引好機理論はコンツェルン所属会社にどう適用すべぎか。コンツ   ェルン的企業合同の目的そ・のものが既に示唆するとおり,このばあい鋭い緊張  

と深刻な対立が当然期待される。コンツェルンは競争を排除しかつ利害対立を   計画的分担と統合経営計画紅よって除去しようとするものだからである。個々   の会社が自社の取引好機を確保しかつ独立の競争力ある企業として存在する権   利ほ,コンツェルンに対してどういう.関係になるか。  

(1)  

1940年米国史上最大の公益事業持株会祉UnitedCopporation の株主,な  

(35)153AL.R663/664 

(36)DuPont,Vhdu Pont,242Fedl98(1917);246Fed・332(1917);251Fed.937  

(1918);256F129(1919)‖ なお,G W。Stocking,Workable Competition and   

Antitrust Policy,Nashville1961,Chn 8,pp320  

B7)Youngv‖ColumbusOilCol110W Va361皇;158Sol678(1931)小  

(1)米国における持株会社の歴史・機能については,コンツェル仁ンの型態・機能そのもの   

を扱う後論の箇所紅委ねる。ここでは,1935年PublicUtility‡Iolding CompanyAct   

制定前の労作ながら今日なお米精練会社の基超文.献としての地立を失わぬBonbright   

(18)

第36巻 第4号   508  

−90−  

らびに,同社と同山Lコンツ1エルソに属する資金調達会社 New York United   Coヱ駆畠山n の凍主′ま,同コンツェルンを支配ず ̄る銀行とその支配娘行によっ  

て任命された取締役たちを・訴えて,被告らが衡平法上United Conprationに  

(2)  

当然帰属すべき取引好機を自己のために利用したと主張した。被告らが行っ   た大壷の株式発行,新、エネルギィ業コンツェルンの組概・資金調達,ねよび   Unitdd C〇rp〇ration全証券取引D引受は.,該寺床会社と該資金調達会社の営   業領域に直接属す・る取引であった,と。裁判所は叙上の点だけの決定を求めた  

この訴を適当とみなした。被告らほ United Corporation に対する彼らの影   響力を利用して,同社が自己の取引好機を確保することを妨げた,と。被告取   締役らほ,この取引をU.C.社に委ねれば彼ら自身の会社(銀行)に対する彼  

らの信言忍義務に造反せざるをえないはめになったであろう,と抗弁した。裁判   所はこれを反論して日く   

「取締役としてまたほ支配株主としての被告らが,彼らがおそらく経賞陣なり取締役    会なりに加わっている他社の利益に致するようなこ.とを行うべく,義務づけられてい    た,と当裁判所は決めるのでほない。しかし彼らがU…C社およびNY・U巾C…祉の    利益を侵害するような行動を執ってほならないことに変りほなt、」。   

前款末で少しく触れたが,競争会社の結合のさい紅しばしばみられるよう   に,忠実義務の衝突が解決不能な場合はどうなるか。前示の判決は訴訟の適当   性のみを判断すれほ足りたから,この決定を回避でぎた。このばあい人的結合   会社間の契約についてと.同じく,信認義務の矛牒しあう取締役はなるぺく広く   それら義務を調和させるべきか,各社に.対する信認義務のいずれかを優先させ  

(S)  

るべきか,もしくはこれら義務が相殺しあうか,といった問題が生じる。   

and Means,Holding Company,New YoIk1932(その祖述ほ,西野嘉一郎「近代株   

式会社諭N持株会社の研究−」軽け0,第二完∴‡143貫以LF);Purdy,Lindahl&Carter,   

Corporate ConcentIation&Public Policy,2ed.New York1950,Pp.111−i29  

(2)Singer v‖C声rlisle,26NY.S 2d172(1940)い  

(3)最近のデラウエア最高裁判例紅はややこの対各社信認義務相殺的考えかたを採る傾向   

がある。例えばTohnston vh Greene(DeiSC・),121Aり2d219(1956)は,この考   

えかたを明示しないけれども,他社に対する矛属した被告の受信義濱が,原告会社やミ受   

信義務違反取締役に対する損害賠償請求梅を主張できぬことの証拠として,繰返し補助   

的に説示されている。   

(19)

509   取締役着任の信託的構成(3)   ・玖仁一ー   

こうした資永参加コンツェルンに.不可避な矛盾の特長・原因をまたとない純   粋さと完全さで裁判所に満ちだした?が,1940年代前半のBlaustein対Pan  

(4)  

American Petroleum & TIanSPOrt Corporation事件であった。当初の持  

分取得,漸次的支配獲得,慮ざまの不断に進犀するコンツ・エルソ化諸段階,子   会社に対するまたコンツェルン全体法理に対するコンツェルン政策の効果,こ  

ういった様相が鮮かに.呈示される。法的にはこの訴訟は会社/取引好機理論が   中心となっていた。原告ほPanAmenican Petroleum会社の最大少数株主で   あり,被碧はStandard Oiloflndiana と同社の選任にかかる取締役たちで   あった。  理解の便宜のため紛争の原因を−べつしておこう。   

原告らは動力燃料油販売組織の開拓者であった。彼らほベンジンを露出給   油所から販売した巌初力人々そあった。やがてこの急速成長を遂げた企菜が   1922年American OilCompany(Amocoと略称)の名で株式企業化された。  

売上増大につれ確実な仕入先の確保が死活問題になった。というのほ,主仕入   先Standard Oil(以下S.0.と略称)of NewJerseyが同時にアメリカ東部   の動力燃料油苗場におけるAmoco社の主競争者だったからである。そこで,  

原告はPanAnerican PetfOieum Corp(PanAmと略称)への接近を求め   た。同社はヴ.ェネズエラに大規模な油井と精油所をもちかつ自家油送船隊を保   有するが,自社給油所網をもたなかった。Amoco 祉と同社間に締結された契   約により,Pan Am社は,Amoco杜のベンジン需要を10年間充足しかつ其時   々の時価によるベンジン卸値の一L定割引を行う旨約した。同時に Pan Am杜   ほAmoco社の株式50%を取得したが,Amoco社はPam Am社軋資本参加  

しなかった。それまで Pan Am祉の唯一・株主だった原告は,Amoco社の業   務を単独で執行する権利を,契約によって確保した(コンツ.ェルソ契約)。  

1929年にインデァナS OほPan Am社の議決権株90%を取得し,それ紅よ   りこの訴訟の対象となった対立が生じた。  

し4)21NlYIIS2d651(1940);31N・Y・Sh2d934(Apl)Div1941);293N.Y 

281(C・、A・);b6N・E−2d」705(1944)い ブラウスタイン事件と略称する。   

(20)

510    第36巻 第4号  

ーー92−  

インヂァナ・Sl0がPanAm社の過半株主となった後,PanAm社ほ自社   油井を譲渡した。すなわち,インデァナS.0の子会社が米国内の油井を譲受  

け,ニユ−・ジャージS.0がグエネズエラの油井・精油所ならびに油送船隊   全部を引継いだ。そのさいPanAm社ほ,Amoco社との10年間供給契約義   務を履行できるように,ニ・ユ・−・ジャーミ7S・0・と長期供給契約を締結した。  

かくして原告ほPanAm杜との結合以前と同じ状況K・陥り,Amoco 社は・自   社の主威争轟から供給を仰ぐことになった。10年間の供給契約が終了した以後   の動力燃料油供給をAmoco社が確保でぎるかは不確実だった。そこで,原告   ほ.Pan Am社の新過半株主インデァナS.0と交渉して,彼らの法律関係を   新しく規制しなおす契約を結んだ。   

原告はAmoco祉およびその手・会社の持株をPanAm杜に提供した。それ   と交換に,原告はPan Am社の議決擬株30%余を取得した。原告ほ.Pan   Am社およびその子会社全部の新取締役員のうち3名と常務委員会(7人制)  

のうち2名を任命する権利を獲得した。原告蓮自身がPan Am祉の社長およ   びバイス・プレジデント鱒なった。原悠遠は,経営管理契約により,Amoco   祉の兼務執行擬を確保した。インデァナ・S.0の負担した義務の中核は次の契   約条項に示されていた。  

「本契約の目的とするところほ,PanAm礼Amoco杜ならびにパルチモア卿事其    の再組織を行いかつ石油事共における完全統轄企業集団(COmplete cycleand unit)   

を樹立することに.ある。この企業集団は自己の原料手先を獲得しかつそこから自己の    原油およびその他の原料の需要を充し,これら原料からベンジンおよび他の附随生産    物品・中間生産物を製造しかつそれら製品を米国内で販売するものとする」。  

特に一・日原油4万バレルの処理能力をもつ精油所の建設が約定された。池井   確保のために当初金額として最低3百万ドルの支出が約された。その原油を池   井から給油所へ運ぶ専用給油管の敷設も約された。   

インヂァナおよび同社派遣取締役はこの協定の文言・精神に違反しさった,  

というのが原告の主張である。インヂアナS‖0.社とその子会社ほ,PanAm  

祉が貴重な取引好機を利用するのを妨げるというやり方で,競争制限紅よる有   

(21)

取締役賓任の信託的構成(3)  

ーー9∂ −  

511  

利を確保した,と。インデァナ杜ほ−・日処理能力4万バレルの精油所を延髄し   ないで,その半分の処理能力の精油所を作ったにすぎなかった。この事実が被   薯の受信者義務違反を柄成する,と原告は主張した。被告の抗弁によれば,不   況にかんがみ,特に当時ニユ−汐サージS.0社が著しい過剰生産状態にいた   散に,そんな巨大な精油施設を建設することほ.合目的的でなかった。だから,  

Pan Am 社の原油需要ほニュージャージ社の−・子会社との長期供給契約によ   って充足する,はうが禿れたやり方になって.いた,と。   

まず原告は損害賠償として■,Pan Am社の支払った買入価格と,同社がベ   ンジンを所定のように自家生産していたら生じていた筈のコストとの差額を請  

●■  

求した。∴ニ・ユー汐ヤー汐社との契約の内容が公正であったし,また取締役のこ   の点に関する決定は義務違反であるという原告の立証責任が果されなかった,  

という理由紅.より,この請求は三審とも棄却された。   

所定のPan Am祉自家原料源取得が延滞した事由は,取締役会がこ.の目的   に宛てられる子会社をテキサス州に設立しなかったこ.と紅あった。被告の抗弁   紅よれば,インヂァナ杜ほテキサス州で既に同じく池井取得のための子会社を   通して活動していた故に,テキサス州独禁法が右の子会社設立を妨げた,と。  

その証拠として被告ほ顧問弁護士の意見書を提出した。市場状態も適当な産油   地の取得を不可能にした,と。しかしインデァナ・杜はその間じ期間中にテキサ   スおよびメキシコ湾岸地方に広大な油田を取得していた。この池掛からインデ   アナ社ほPan Am社の需要を禿せた筈である。   

第二に,原告ほインデァナ杜がPanAm礼宛原油売却で収めた利得の返還を   請求し,また該取得油田紅対しPan Am社のための法定信託(constructive   trust)設定を請求した。Pan Am社取締役会ほ自家送油管敷設牒止めを決議  

した。それに代えて,同取締役会ほニ・ユー・ジャージ杜の子会社に原油買入を   委託した。この原油はこ去.・−・ジヤーi?杜所有の送油管ゼpanAm社精油所  

へ運ぼか,そこでインヂァナ殻の子会社からPan Am岩佐売却さかた。被告   の主張によれば,十分な数の船田直通の送抽管の奴得ほ不可能だったカら,  

Pan Am 社格抽所向け送油管の敷設も合目的的でなくなった,と。   

(22)

欝36巻 第4号   512   

−・・9孝一・  

第三に,原告は,この取引から収めた利得の返還ならびに他社送油管による   運送から生じた余計なコストの損害賠償,を要求した。   

第一・審裁判所の認定によれば,インヂァナ・杜選任の取締役および支配過半株  

(5)  

主インヂァナ社ほ彼らの受信者義務に違反しており,そしてインデァナ・社は当   然Pan Am祉のものであった取引を横取りした。この認定に癒き,同裁判所   は次のように判決した。   

①インデァナ S.0社ほ原油売却利益を清算しかつその利益を Pan Am社   へ返還するよう命じられた。④インヂァナ社の取得t,,た油田にはPan Am社   のための法定信託が設定された。従ってインデァナ杜は該油田関係の諸権利を   Pan Am杜に返還するかそれともその価額を填補賠償するよう命じられた。  

⑨インヂアナ社がPan Am社に売却した原瀾を自家輸送したかぎり,同社は   その道送取引から生じた利得を返還しなければならないとされた。その損害額   は,Pan Am祉に生じたコストと,Pan Am杜自社送油管を所有していたと   したら生じて:いた筈のコストとの,差額を基準にして算定するよう判決され   た。さいごに,④インヂアナ社は,同社がPan Am廻のた汝の原油買入・転   売に由って収めた利得の返還を命じられた。インヂアナ杜がPan Am社と子   会社に関する契約全部を締結していたという事情を,第一L審裁判所は重要とみ   なさなかった。けだし,これら子会社はインデアナL社系列(system)の一・部で   あった,からである。そのかぎり株式会社の法的独立性という擬制は後退す  

(¢)  

る,とされた。   

詳細かつ包括的な理由づけに基・くこの雄一・審判決ほ受信名義務の法原則を支   えとした。しかし,控訴審・上告審ほ同一事実を手がかりとしつつ正反対の結   論に達し年。いかなる展開で第一層判決の論理が覆がえされたか。この考察は   きわめて啓示深い。  

(5)支配株主の実信者義務について−は,後述参照。  

(6)米法紅おける親子会社関係をめぐる法人格否認の問題ほ,拙稿「会社の独立性とアメ   リカ法−−−閉鎖会社の独立性に対する−・考証−」香川大学経済学部研究年報1号(1961)   

第3茸188頁以下,参照。   

(23)

取締役責任の信託的構成(3)   ー95−−   

513  

第一・審判決では客観的利害対立の評価が重視された。第一屠判決はくりかえ   し被告取締役の誠実を肯定し,彼らが個人的利得を収めたとか悪意に行動した   とほ非難しなかった。責任の根拠はひたすらに,被告取締役が,当然子L会社の   ものであるものを,親会社に与えてしまノったという事情にあった。   

抗訴審・上告審判決ほこの確認を手がかりとした。被告取締役の誰一人とし   て慈恵に・行動せず,誰も個人的利得を収めず,取締役の誰一人と・してインデァ   ナ・社の藁人形となっておらず,常にPan Am社ほ同社自身の取締役会によっ   て拾挿されていたのであり,そして取締役ほその義務にかなった裁鼻を行使し   ていた,と。いかなる時もPan Am社もしくほ∴その専業経営に.対する少数株   主の比例的持分ほ侵害・介入されたことがない,と。Pan Am 社が「把握可   能な期待」もしくほ法的保護のある利害を有していたないしはその社団的存在   上絶対必要となっていた取引好機,さような取引好機をPan Am祉は全然奪   われていなかった,と。   

かように法律審裁判所の説示した法原則ほ,その判決を解明するものとなっ  

●  ■  ●  ●  ■  ●  ●  ●  ●  ■  ●  ●  ●  ●  ●  ●  ●  ●  ●  ●  ●  ●  ●  ●  ●  ●  

ていない。第一・審で適切把捉示された客観的コンツェルン利害衝突が,上級審  

●●●●●●●●●●●●●●●  

でほ主観的基準への逃避に.よって,検討を敬遠されている。会社紅対する個個   の取締役の比較可能な行状が茸任惹起原因の主たるものであることほ,もとよ   り明白である。しかしその点の検討だけでほ十分でない。その意味において,  

上級審判決理由はコンツェルン企業取締役の受信者義務違反の有無弁別の基準   となる諸考慮点の若干,しかも事実分析上ヨヅ重要な要素,を無視したものと   いえる。逆に,その点の批判が現代の巨大会社紅おける取締役の受信者義務の   弁別に重要な・客観的構成事実を認識させる。   

第一、審判車ほインデァナ杜からのPan Am派遣取締役をインヂァナ社月身   と並.んで同事件損害回復の連帯債務者と判決していた(判決された損害賠低額   総計は六千万ドル)。法律審裁判所がコンツ工ルソ利害対立の完全負担を取締   役員個人に負わせるのを摺らったのほ,メストメッカァら叫・般の論者のように  

(L71  

その躇らいを正当祝すること紅賛成はセきないが,一応理解でぎる。取締役で  

(7)Mestmacker,S177・   

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