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零 入 力 イ ン ピ ー ダ ン ス 増 幅 器 に よ る トランジスタ・リアクタンス発振器

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Academic year: 2021

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(1)

零 入 力 イ ン ピ ー ダ ン ス 増 幅 器 に よ る トランジスタ・リアクタンス発振器

千 葉 作 富 郎

1 . ま え が き

トランジスタ帰還形発振器の発振周波数安定度を高め る方法 としては,発振周波数決定 回 路の安定化,す なわち エ Cや水晶回路の温度補償法が必要であ り, また,能動素子の影響の 軽減 も必要であ って, リア クタンス安定化法や, ここで述べ る零入力インピー ダンス増幅器 法がある. ここでは零入力インピーダンス増幅器を使用すれば,発振周波数は増幅器の出力 インピーダンスの影響を受けない ことを一般的に証明し,代表的実験例 として エ Cや水晶発 振器の実際回路図と発振周波数,振幅変動率特性を示す.従来の エ C発振器の周波数安定度

よりも良い実験結果を得た.

2 . ‑ 般 理 論

電流伝送形発振回路で, リアクタンス周波数決定回路において終端短絡の場合は,信号源 ア ドミタンスの影響を受けない ことの証 明をす る.図 1 の回路で次の関係が成立つ.

I ト ' ' ; . I (

図 1 電流伝送形発振回路の一般形

%

‑ct ‑AY o ・C ・% Y

o

・%

÷ ‑zL 音 ‑( AYo ・C) ZL・BYo ・D もしも ,ZL ‑0 とす ると

% ‑B Yo ・D

丁 Ⅵ l

* 昭和 5 2 年1 0 月電気関係学会東北支部連合大会にて発表

* *電気工学科 助教授

原稿受付 昭和 5 3 年 9 月2 3 日

(2)

5 6 長野工業高等専門学校紀要 ・第 9 号 純 リアクタンスの場合は

B‑j b ( a J ) ,D=d( a ) ) ,Yo ‑Go + ) ' Bo・

÷ ‑( Go I, ・ Bo ) j b( a) ・d( a) ‑d( a) ‑Bo b ( a) +j b ( W) G

o

周波数決定条件は

j ( + )‑o

/ . b ( a I ) ‑0

図2 電流伝送形等価回路例 ここで , r ‑0 とす ると

忘 ‑L C( 1 + i)

(4)

(5) (6) となって, Go や Bo の影響は受けない.しかし リ アクタンス回路が通常の損失を含む場合は,その損 失に応 じて Go や Bo の影響を受けるようになるか

ら注意 しなければならない.

例えば図 2 の等価回路の電流伝送係数 より発振周 波数決定条件を求めると次の ようになる.

忘 ‑ L C( 1 ・% .竿 +

) (7)

(8) とな って ,R o や Co の影響を受けない.但 し R oと Coは増幅器の出力インピーダンス,

rは入力インピーダンスである.

3. 実際回路 と実験例

c qc

R l l R 2 1 R 3

1 R.41 RSlVc

T l T 2 T 3 C E3 VR 3 T

4

B I C El l B 9C 2 B 3 R4 2RE I p rE CE 0. 3

CCl

I l E 2D

1

‑f 叫

C l ■ L D2 rL Rz n R 2

1

R E 2 F l .氏 3 2 RF R . E 3

図 3 LC と水晶発振回路

(3)

零入力イソビーダンス増幅掛 こよる トランジスタ ・リアクタソス発振器 57

図 4 LC と水晶発振器の発振周波数,振幅変動率特性

E T c u2 E i T c u2

4 0 2 4 2

8

3 2 3 6

Vc(V)

1 6 2 0

図 5 LC と水晶発振器の発振周波数,振幅変動率特性

電流伝送形発振器 として 3段形 ( 1 ) 〜( 3 ) や 2段形

(

4

)(

5 )構成に よ り ,L C や水晶発振 器の多数 の 実験結果を得てい るが, ここでは代表 例 として若干の実際回路図 と発振周波数,振幅変動率 特性を示す.

3・ 1 3 段 エ ミッタ入力インピーダンス零形

図 3 は T

l

エ ミッタ入力 イ ンピーダンスを零

(a)

に接近 させた L C 発振器の実際 回路 図

(

1

)

(4)

5 8 長野工業 高等専門学校紀要 ・第 9 号

ある. T lは GB l形 , T

2

は GE

2

形, T 3は GC 3形 トランジスタで R

21

,R

22

と R 8 1 ,

R

82

に より電流伝送形の直結増幅器を形成 させる. この増幅器の入 ・ . 出力端子間すなわち, T 3エ ミッタと T lエ ミッタ間に R

F

を設けて強い直交流負帰還をかけて T lエ ミッタ入力 イ ンピーダンスを零に接近 させ る.

T

2

コレクタの増幅出力を LC L C lを介 して T lエ ミッタへ正帰還 させれば ,L C L

C

lの 定数に より定 まる周波数で発振す る. T Bコレクタ出力インピーダンスと R3 1 ♂R 8

2

と T 8の ベース入力インピーダンスとの並列合成インピーダンスが , L ‑ { L

C

l回路 よりみた増幅器出 力インピーダンスとなるが, この出力インピーダンスは発振周波数にはほとん ど影響を与え ない, したが って,電源電圧や周囲温度の変化に対 して発振周波数を極めて安定にす ること ができる.また負帰還抵抗 R

F

と並列にダイオー ド等の,または直列にサー ミスタ,光導電 素子等の非直線素子を括入す ることに よって振幅制限効果を持たせ ,A 級発振器 として線形 で作動 させてお り,発振振幅特性 とひずみ率特性を良好に している.なお,周波数決定回路 の所要増幅度(

5)

が小 さいので,余裕増幅度が大 きくなって,さらに多 くの負帰還を R

F

を介 し てかけ られ るので, T lエ ミッタ入力インピーダンスを さらに零に接近 させることができる ので,高周波領域にいた る広帯域にわたって,発振周波数を安定化できる.図 4 に示す よう に発振周波数変動率特性は 電源電圧の 変化に対 しては く Vc ‑1 6 ‑4 0 V) ,Aj y f o =土 4×1

0 6

程度であ り,周囲温度の変化に対 しては ( T0 ‑‑5‑+6 0o C) ,Aj ; ! fo = 士7×1 0

5

程度であ る. ( 但 し LCC lや水晶は室温で一定に保 って実験 している, これは R.や Co の影響をど の程度減少させてい るかを観察す る土とに重点をおいたためである. ) Af / I. は従来( 6 ) ( 8 ) 〜B 句の Fr a nkl i n( 6 ) a 棚 ,Cl app( 6 ) 8 9や リアクタンス安定化法( 6 ) ( 8 ) 〜㈹ 咽の L C u) 伽匂発振器 と比較 して同 等 またはそれ以上に向上 している( a

)

( 竹 .図 3 の T l く コレクt タとエ ミッタ間に水晶回路をおいた 場合の特性を図 4 に示す.上記と同条件の電源電圧や周囲温度の変化に対 して発振周波数変 動率は, Aj y f . =士 8×1

0

8( Vc ) Af / I . = 士4 ×1

0

1 8 ( Ta ) 程度である.

図 5 は,図 3 の回路で ,R

F

に よる直交流負帰還はそのま√ まにして , T 3エ ミッタより周 波数決定回路を T lエ ミッタへ正帰還 させた場合の特性を示す.上記 と同条件下の電源電圧 や周囲温度の変化に対 して 発振周波数変動率は, Aj y fo =±8 ×1

0 5

( Vc ‑1 6 ‑4 0 V) , =±

6×1

0 5

( T a ‑‑5‑+6 0 o C)とな り, ( ただ し ,βi ( 0 ) ‑L‑C‑C lの場合) ,従来の L C 発振 器

(8)

〜u Qに比べて同等 またはそれ以上の良好特性

(1)〜(

3

)

となっている. 水晶回路の場合には, A j y f o = 士6×1

0

1 8( Vc ‑1 6‑40 V) ,= 士2 ×1

0

‑ 8( Ta‑‑5 ‑ +60 o C)程度である. T 4 1 ,GEt は緩衝増幅器である.

3・ 2 2 段ベース入力インピーダンス零形

図 6 は T lべ‑ス入力イソビーダ1 /スを等( 3 )に接近 させた L C発振器の実際回路図である.

T lは GEl 形 ,T

2

は GC

2

形 トランジスタで ,R

21

,R

22

,R

20

に より電流伝送形の直結増 幅器を形成 させ る. この増幅器の入 ・出力端子間すなわち T

2

エ ミッターと T lベース間に R

F

を設けて強い直交流負帰還をかけて T lベース入力インピーダンスを零に接近 させる.

T lエ ミッタの増幅出力を LC L C lを介 して T lベースへ正帰還 させれば ,LC L

C

lの定数

に より定 まる周波数で発振する. T

2

エ ミッタ出力インピーダンスが L { L C l 回路 よりみ

た増幅器出力インピーダンスとなるが,この出力イ ンピーダンスは発振周波数にはほとん ど

影響を与えない. したが って電源電圧や周囲温度の変化に対 して発振周波数変動率を極めて

(5)

零入力イソビーダソス増幅掛 こよるトランジスタ・リアクタンス発振器

B Jn

q

c c

L EI

B a C T C h c l

R l lR B . , IC T I I fR 2 1 B 2 T 2R E C 2 2T R3 3 1 2 3 R R R 4 4 T 1 2 E 4 ̲ R r E 5 1V C Q E c 4 P .

E ID l

L c cl D2 R2 2 RE 3 R1 2 RE I 普 R 2 0

図6 エC と水晶発振回路

5 9

図7 エC と水晶発振器の発振周波数,振幅変動率特性

小 さくできる1 .また負帰還抵抗 R

F

と並列にダイオー ド等の,または直列に光導電素子等の 非直線素子を括入す ることに よって発振振幅を制限 し線形で作動 させて,発振振幅特性 とひ ずみ率特性を良好に している.周波数決定回路の所要増幅度が ,F< 1 と小さいので,エ ミ

ッターベース問でも容易に発振 させ得 る.

図 7 に示す ように 発振周波数変動率特性は 電源電圧の 変化に 対 しては ( Vc ‑1 6‑40V) ,

A j : / f o = 士4×

1

0

15

程度であ り, 周囲温度の変化に 対 しては ( T0 ‑‑5‑+60 o C) , A j y f o =

士5×1

0 5

程度であ り,従来の

(6)(

8 ) 〜 脚L C 発振器 と比較 して 同等 またはそれ以上に向上 して

いる.図 6 の T lエ ミッタとベース間に水晶回路をおいた場合の特性を図 7 に示す.上記 と

同条件下で , A 〟f o = ±8×

1

08 ( V c ) , ̲ 〜 ±3×

1

08 ( Ta )程度である. なお,T lコレクタよ

(6)

6 0 長野工業高等専門学校紀要 ・ 節 9 号

りベ ースへ 図 2の L CL C l回路 を正帰還 させた場合 は , T lコ レクタ出力 イ ン ピーダ ンス と

R

2

1 ♂( R

22

+ R

20)

と T2の ベ ース入力 イ ン ピー ダンス との並列合成 イ ン ピー ダ ンスが, L ‑ {ト C l回路 よりみた 増幅器 出力 イ ン ピー ダンスとな るが, これ は発振周波数 にはほ とん ど影響 を与 えない.上 記 条件下 での Aj; / Jo = 士4 ×1

0 5

( Vc ) ,̲ 〜 士5 ×1

0 5

( T a ) 程度 で良好特性 であ る. T 3 ,GC 3 ‑ Tl ,GE 4は緩衝増幅器 であ る.

4 . あ と が き

零 入力 イ ン ピー ダンス増幅器 を使用 した リア クタ ンス発振器 の一般理 論を提案 し, この方 法 に適す る電流伝 送形発振 回路 を与 えて,実験的 に検討 した結果 ,発振周波数安定度が従来 の エ C 発振器 と同等 またはそれ 以上 に良好 な特性 であ ることを実 証 した,本方式 は音片 ,普 叉 ,磁気 ひず み振 動子,半導体 イ ンダ クタ ンスや I C に も応用 で きる.

本 論文 に御討論 頂 いた東京 工業大学柳沢健教授 に謝意を表す る.

参 考 文 献

( 1 ) 千葉作富郎

:

〝トラソジス ク エ C 発振器の‑構成法〝昭 51 ,関西支部遠大 ,G3 3 6 . ( 2 ) 千葉作富郎

:

〟トランジスタ無調整形水晶発振器〝昭 5 1 ,東北支部遠大 ,5 0 .

( 3 ) 千葉作富郎

:

〟 零入力インピーダンス増幅器による高安定 リアクタンス発振回路〝信学論 ,J 6 1 C , 7,p4 7 8 . ( 昭 5 3 ‑ 7 ) .

( 4 ) 千菓作富郎 :J Jトランジスタ帰還形発振器の‑構成法〝昭 5 2 ,電気全大 ,5 3 7 .

( 5 ) 千葉作富郎 :J I 増幅器の 入出力イソビーダソスを 考慮 した トランジスタ帰還形発振器の構成法"

昭 5 2 ,東海支部遠大 ,3 5 5.

( 6 ) 千美作富郎 : 〟トランジスタ正弦波発振器の発展状況〝昭 5 2 ,東海支部遠大 ,3 5 4 .

( 7 ) 千菜作富郎

:

J J 増幅器の入 ・出力ィ. /ピーダンスを考慮 した トランジスタ帰還形発振器の構成法〝

昭 5 2 ,東北支部連大 ,2 0 2 .

( 8 ) 米山正雄 :‑‑ トレー ・コルビッツ型 トラソジスタ発振器の高周波 リアクタンス安定化法〝九大工 学集報 ,3 0,p21 4 . ( 昭 3 2 ‑l l ) .

( 9 ) 川原,米山 : ' L MOSFET コル ピッツ発振器の t )アクタンス安定化 I倍学論 ,5 6 C,No 2 ,1 9 7 3 . 的 篠田,有竹,角番 :〟リアクタンス安定化回路の‑構成法′ ′昭 5 1 ,電気全大 ,4 3 0.

的 天野,有竹,角替 :' J 能動及び受動回路の非対称性が周波数安定度に及ぼす影響〝昭 5 0 ,電気全大 5 0 8 .

的 A. J .Cot e:" Mat r i xAnal ys i sofOs c i l l at oran dTr ans i s t orAppl i c at i o ns " I . R. E.Tr a m s , Ci r c ui tThe or y,1 9 5 8.

的 Ll e we l l yn,F.B. : ̀ ̀ Co ns t ant ‑ Fr e qe unc yOs c i l l at o r s MPr o c , Ⅰ . R. E.1 9 ,2 0 6 3,1 9 3 1 .

8 4 Fr ankl i n,C. S.:Br i t i s hPat e nt s ,3 3 5, 5 2 6a nd3 6 9 , 5 7 5.

8 9 Cl a pp,J. K. : " Anl nduc t a nc e ‑ Capa c i t a nc eOs c i l l at orofUnus ualFr e que nc ySt abi l i t y〃

Pr o c , Ⅰ . R. E.3 6,3 5 6 ,a l s o1 2 61 ,1 9 4 8 .

8 匂 Lampki n,G. E. : 〃 Anl mpr ove me nti nCo ns t a ntFr e que nc y Os c i l l at or s " Pr o c ,Ⅰ . R.E.

2 7,1 9 9 ,1 9 3 9 .

参照

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