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論文の内容の要旨

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Academic year: 2021

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論文の内容の要旨

氏名:鈴 木 大 悟

博士の専攻分野の名称:博士(歯学)

論文題名:Transplantation of mature adipocyte-derived dedifferentiated fat cells into three-wall defects in rat periodontium induces tissue regeneration

(ラット 3 壁性骨欠損モデルに対し脱分化脂肪細胞を移植した歯周組織再生)

近年, 間葉系幹細胞移植治療を歯周組織再生に応用する研究が多くなされている。とくに, 成熟脂 肪細胞から得られる脱分化脂肪細胞(以下, DFAT 細胞)は, 多分化能と高い増殖性を示すことから注 目されている。これまでの研究で, ヒト頬脂肪体から DFAT 細胞を生成することが明らかにされた。

さらに, ラット開窓状骨欠損モデルにおいて, DFAT 細胞の歯周組織再生への有用性を示されている。

そこで本研究では, ラットに歯周病 3 壁性骨欠損モデルを作製し, scaffold/DFAT 細胞移植による歯 周組織再生を X 線学的および組織学的に評価した。

ラット腹部から採取した脂肪組織を細断し, コラゲナーゼ処理を行い, さらに低速遠心分離をし た後, この過程で浮遊した成熟脂肪細胞分画の天井培養を 1 週間行った。DFAT 細胞が出現し, 増殖し た後に 1 継代した DFAT 細胞を研究用 scaffold 気孔率 80%乳酸-グリコール酸-共重合体(PLGA)に播種 した。次いで, ラットに塩酸メデトミジン (0.15 mg/kg), ミダゾラム (2 mg/kg) および酒石酸ブト ルファノール (2.5 mg/kg) の三種混合麻酔薬を腹腔内に投与し全身麻酔した後, 上顎第一臼歯の近 心部の歯肉を切開剥離し, 近心根の歯槽骨を 2 × 2 × 2 mm の範囲で超音波スケーラーを用いて削 除した。さらに, セメント質も手用スケーラーで完全に除去し, 歯周組織欠損モデルを作製した。実 験は, DFAT 細胞を播種した担体を移植した PLGA/DFAT 群, 担体のみ移植した PLGA 群, および何も移 植しない no-transplant 群とし, 手術を行わない群を no-surgery 群とした。硬組織の再生を手術前, 手術直後, その後は術後 4 週まで毎週, 実験動物用 3D マイクロ CT(以下, マイクロ CT)による画像解 析を行った。撮影は, マイクロ CT 撮影機内のステージ上にラットを設置し, 90 kv および 100 µA の 条件で撮影し, ボクセルサイズ 30 µm で関心領域を撮像化し, i-View ソフトウェアにて画像を再構 成した。関心領域内における骨量の測定は, 骨体積計測ソフトを用いて定量した。ラットは 4 週後, 安楽死させ, 上顎第一臼歯近心周囲組織を採取し, 10%中性緩衝化パラホルムアルデヒド中で 48 時 間固定し, 15%EDTA 中で 5 週間脱灰し, 段階的エタノール脱水し, パラフィンに包埋した。標本は マイクロトームを用いて矢状断面 (厚さ 4 µm) に切断し, 通法どおり, 固定, 脱灰, パラフィン包 埋し, 薄切後, ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色, AZAN 染色, および TRAP 染色による標本を作製 した。欠損部に再生した歯周組織の観察ならびに再生組織の形態計測を行った。

マイクロ CT による観察結果から, PLGA 群および PLGA/DFAT 群では, 歯根吸収や骨性癒着は観察さ れず, 骨欠損部に骨様組織の再生が観察された。定量解析の結果, PLGA/DFAT 群の骨様組織再生量は, 術後 3 週, 4 週においては PLGA 群よりも有意に多かった。また, 骨様組織の高さは PLGA/DFAT 群で は, PLGA 群と比較して術後 3 週, 4 週において有意に高くなった。さらに, no-surgery 群と比較する と, 術後 4 週において骨様組織再生量ならびに骨様組織の高さに有意差がみられなかった。このこと から, PLGA/DFAT 群は, 術後 4 週で, no-surgery 群と同程度まで骨様組織が再生することが観察され た。

HE 染色による組織観察の結果から, 根尖付近では全ての群において, 有細胞セメント質など, 再 生された歯周組織が観察できた。しかし, 無細胞セメント質は PLGA/DFAT 群においてより明確に観察 できた。組織形態計測の結果, 上皮性付着の長さは, no-transplant 群と比較して, PLGA 群および PLGA/DFAT 群で有意に短かった。PLGA/DFAT 群では, no-transplant 群および PLGA 群と比較して, 歯 槽骨頂から CEJ までの距離が有意に短かったが no-surgery 群と比較すると有意差は認められなかっ た。以上のことから, PLGA/DFAT 群では, 正常と同程度まで歯周組織が再生された。

AZAN 染色による組織観察の結果から, PLGA 群および PLGA/DFAT 群で有細胞セメント質から歯槽骨

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まで, 密な歯根膜主線維の走行が観察できたが, no-transplant 群では不規則で疎であった。有細胞 セメント質および無細胞セメント質に埋入する歯根膜主線維と主線維の間隔の長さは, PLGA/DFAT 群 では no-transplant 群および PLGA 群と比較して有意に狭かった。

TRAP 染色像からは, いずれの実験群においても, 新生歯槽骨に破骨細胞が観察されたが, その量 は, PLGA/DFAT 群では no-transplant 群および PLGA 群と比較して有意に少なかった。

以上のように本実験の結果から, ラット歯周病 3 壁性骨欠損に DFAT 細胞を播種した PLGA を移植す ることによって,PLGA 担体が歯周組織の再生の場を確保し,多分化能を示す DFAT 細胞が, 正常組織 と同程度まで, 歯周組織を再生させることを示唆している。したがって, 歯周病に対して PLGA/DFAT 複合体を移植することは, 歯周組織の再生治療法に有効となる可能性が示唆された。

参照

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