• 検索結果がありません。

学位論文内容の要旨

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "学位論文内容の要旨"

Copied!
6
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

博 士 ( 歯 学 )Javed Mahmood     学 位 論 文 題 名

Geometric effect of matrix upon cell differentiation:

  BIVIP‐ induced osteogeneslSuSlnganeWbioglaSS     WithafeaSibleStruCture

    (人工細 胞外マトリッ クスの幾何学的要素について:

新規生体ガラス線維を利用した2種類のBMP担体の比較研究)

学位論文内容の要旨

    緒  言

骨と歯周組織形成の生化学的メカニズムを明らかにし、その健全維持と、損傷あるいは 障害時の再建をはかるためには、関連因子を◎細胞、◎細胞が産生するマトリックス、

◎体液、@制御因子、そして◎メカ二カル・ストレスに分類し、この5大要素を統合し て考えていくことが必要である。これらの5つの要素を個々に詳細に分析し、その後そ れらの相互関係を明らかにし統合することによりはじめて骨形成メカニズムの全体像を 解明することができる。以上の作業仮説を生化学的に証明するための実験系として、

BMP(bone morphogenetic protein)が 誘導する異 所性骨形成 を採用した 。BMPは、

皮膚や筋肉のような骨以外の組織においても適切な担体と共に埋植すると骨を誘導する。

この実験系では細胞、体液、メカ二カル・ストレスは局所にすでに備わっているので、

通常、「制御因子」と「マトリックス」を投与する事で実施可能であり、制御因子はBMP にマト1」ックスはBMPの担体に対応する。

  BMPは、単なる薬剤徐放系であるのみならず、その上で細胞が分化し増殖する細胞

支持体であることが既に明らかにされている。現在、人工の細胞支持体として用いられ ている物質の諸性質は一般に、◎物理的性質、◎化学的性質、◎生化学的性質に分けら れるが、さらに最近、第4の性質として、@幾何学的性質の重要性が指摘され、その組 織工学における決定的役割が注目され始めている。したがってBMPによる異所性骨誘 導実験系に おいても、BMPの機能 発現には担 体が不可欠 であり、こ れまでに10種類 以上のBMP担体を開発試験する中で、ある担体は骨を直接誘導し、他の担体は軟骨を 経て骨を誘導するという事実が発見された。このような担体依存性の原因が追究された 結果、担体の幾何学的構造の違いが、主な要因であることが明らかにされてきた。すな わち、担体の幾何学的要素による血管確保構造くvasculature−inducing geometry)の違

(2)

いと 、BMPに よっ て動員 され 、分 化、増殖する細胞に対する担体の足場機能(cell anchoring capacity)の違いであることが示唆された。

  本研究ではこれらの作業仮説をさらに実証するために、新規の生体親和性ガラス (CPSAガ ラス )を 用いて 、同 一素 材で全く異なる幾何学的構造をもつBMP担体を作 製し、その骨形成能を比較検討した。この新素材は、線維成形に耐える機械的強度をも つ 一 方 で 、 生 体 親 和 性 を 持 つ 現 在 唯 一 の バ イ オ ガ ラ ス で あ る 。

    材料及び方法

  BMP担 体 と してCa0、P205`Si02、Al203か ら 成 るCPSAガ ラス の線 維( 直径9u m)を 用 い 、 これ を3mmお よ び7mmに切 断し、 前者 はラ ンダム 方向 に纏 めて ボール 状とし、後者は一定方向に束ねてバンドル状(それぞれ20 mg)とした。前者の気孔 率は 約90%であり、後者の気孔率は約35%であった。これら2種類の幾何学的構造 の異なる担体にそれぞれthBMP−2(山之内製薬恵与)2.2 ugを含浸し凍結乾燥した。

4週齢のWistar‑Iくing AH系ラット(体重:約70g)の背部皮下に各担体を埋植した。

埋 植 後 、 ボ ー ル 状CPSAは1、2、3、4、8、20週 後 に 、 ま た バ ン ド ル 状CPSA は2、4週後にラットを屠殺した後、摘出された。

  摘出された試料は組織学観察に用いるものはホルマリン固定し、生化学的分析を行う ものは凍結乾燥した。組織学的分析は固定後、40%ギ酸にて脱灰、パラフイン包埋し、

5 ymに薄切しへマトキシリン―エオジンならびにトルイジンブルー染色を行い光学顕 微鏡にて観察した。生化学的分析としてはアルカリホスファターゼ(ALP)活性、オス テ オ カ ル シ ン含 有 量 な ら び にRT‑PCR法にて 血管 新生 マーカ ーで あるVEGF受容体 Fltー1とKDRのmRNA発現を測定した。

    結果

  組織学的観察:埋植後、1週でボール状CPSAの周囲に軟骨様組織が形成され、2週 ではCPSA線維に密着して旺盛な骨様組織が認められた。また骨髄組織も観察された。

4週では血管系を除いてほぼ骨で満たされ骨髄組織の増加が観察された。20週では層 状の骨が認められ、骨髄組織のさらなる増加と骨のりモデリングが観察された。一方、

バンドル状CPSAでは2週において線維組織が形成され、骨はごく僅かに観察された のみで、軟骨は認められなかった。

  4週においては、バンドル状CPSAのパンドルの周辺部にごく少量の骨が確認された のみ であ った 。埋 植後4週 のBMPを含浸していないポール状CPSAでは骨および軟骨 形成は全く認めらず、線維形成が観察された。全試料において炎症反応を示す所見は認 めら れな かっ た。 生化学 的分 析:ボール状CPSAにおいてALP活性は1週で最大とな

(3)

りそ の後 、徐々 に減 少し た。2週においてポール状CPSAとパンドル状CPSAとのAlP 値を比較すると、ボール状の方が10倍の高値を示した。4週目においてボール状CPSA は、バンドル状CPSAと比較してオステオカルシンの含有量では5倍量に達した。さ らに、これらの担体における骨形成と血管形成の関わりを明らかにするため、埋植物中 への 血管 新生をFlt―1とKDR(い ずれ も血管 内皮 細胞 成長 因子(VEGF)のレセプタ ー) のmRNA発現 にて 評価 した 。両レセプター共にポール状CPSAでは発現が高く、

そ れ に 対 し て バ ン ド ル 状 CPSAで は 、 同 一 条 件 下 で 検 出 さ れ な か っ た 。

    考察

  以上 の結 果か らボ ール状CPSAが、パンドル状CPSAよりもはるかに骨誘導能が高 く、それが血管新生と強く関連していることは明らかである。この結果のメカニズムを 考えて みる と、 ボー ル状CPSAは 計算 の結 果、バ ンド ル状CPSAの 約3倍の内部空間 を含む幾何学的特徴をもつことがわかった。このため、ボール状CPSAは急速な血管 新生と進入に必要な空間と、間葉細胞の足場が確保されていると考えられる。それに対 しバンドル状CPSAには、これらの幾何学的要素が欠如しているため、その結果、同 一 素 材 の 担 体 に も 関 わ ら ず 骨 形成 能 に 大 き な 差 を も た ら した と 解 釈 さ れ る 。   この解釈は血管新生を実証することによって支持された。本論文は、線維状人工細胞 支持体の幾何学的要素の違いによって、その骨誘導効率が決定される事実を明確に示し た数少ない例証であり、今後骨芽細胞のみならず肝細胞などの大量培養や、人工臓器の 設計、組織工学において重要な根拠を与えるものと考えられる。さらに本論文は血管新 生に関 連す るタ ンパ ク質で あるFlt一1とKDRのmRNAと活 発な 骨形 成との関係を示 した最初の報告である。これらの血管新生に関わるmRNAやタンパク質の発現は今後、

骨形成の新しいマーカーとして有用であると考えられる。

    結  論

(1)CPSAガラス線維を、幾何学的構造の違うボール状型およびバンドル状型に成 形 し、BMP担体として骨形成能を比較した結果、ボール状CPSAはパンドル状CPSAに 比較してはるかに骨形成の効率が高いことが分かった。

(2)  ボール状CPSAが高い骨誘導を示した理由は、その幾何学的構造が、急速な 血管新生と進入に必要な空間と、骨芽細胞の足場が確保されたためと考えられる。

(3)  ボ ール 状CPSA埋植 物に おい て血 管新生 マー カー であるVEGF受容体Flt−1 とKDRのmRNAが 発 現 し てい た が 、 バ ン ド ル 状CPSAで はこ れら のマ ーカ ーの発 現 は認められなかった。この事実は、上記の結論を支持すると共に、血管新生のマーカー が、骨形成のマーカーにもなり得ることを示している。

(4)

(4)CPSAガラス線維、又は類似の性質を持つ線維性素材は、血管進入を確保でき る幾何学的構造(vasculature−inducing geometry)を与えることで有効なBMP担体 となり得ることが示されたので、今後、骨再建のための組織工学や、大量細胞培養の支 持体としての応用が期待される。

(5)

学 位 論 文 審 査 の 要 旨 主 査   教 授    久保 木芳徳 副 査    教 授    亘 理 文 夫 副 査    教 授    松 本    章

     学位論文題名

Geometric effect of matrix upon cell differentiation:

  B:NtIP ‐ induced osteogeneslSuSlnganeWbioglaSS     Withaf ・eaSibleStruCture

    (人工 細胞外マトリックスの幾何学的要素について:

新規生体ガラス線維を利用した2種類のBMP担体の比較研究)

本論尓硼塾湖封よ各竃酎型繕釣ゝらの[珂f'ならひこ主督こよ各霧面験硼訳荊わnたま貳審畄齢こ 対して|学位ヰ昏瀚ゝら本論文巧籾圏訳つしに研F9狂楢景目的実識坊法纈も考察纖と今後の展望vDr のような口頭ー印髑助粥わ捫た。

【 背景 と 目 的 】 骨 と歯 周 組 織 形 成の 生 化 学 的 メカ ニ ズ ム を 明ら か に し 、 そ の健 全 維 持 と、損 傷あ るいは 障 害 時の 再 建 を は か るた め に は 、 関連 因 子 を の細胞 、◎マ トリッ クス、 ◎体 液、@ 制御因 子、そ して ◎メカ ニ カ ル・ ス ト レ ス に 分類 し、こ の5大要素 を個 々に分 析する と同時 に、そ れら を統合 するこ とが必 要で ある。 以 上 の作 業 仮 説 を 生 化学 的 に 証 明 する た め の 実 験系 と し て 、BMPbone morphogenetic protein)が誘導 する 異 所性 骨 形 成 を 採 用し た 。 こ の 実験 系 で は 細胞、 体液、 メカニ カル・ スト レスは 局所に すでに 備わ ってい る ので 、通常 、「制 御因子 」と「 マト リック ス」を投与する事で実施可能であり、制御因子はBMPにマトリックスは BMPの 担体 に対応 する。

  こ れ ま で に10種 類 以 上 のBMP担 体 が 比 較 検 討 さ れ た 結 果 、 あ る 担 体 は 骨 を 直 接 誘 導 し 、 他 の 担 体 は 軟 骨 を 経 て 骨 を 誘 導 す る と いう 事 実 が 発 見 され 、 そ の 主 な要 因 は 、 担 体の 幾 何 学 的 要素 に よ る 血 管 確保 構造(vasculatureinducing geometry)の違い である こと が示唆 された 。本研 究で はこれ らの作 業仮説 をさら に 実 証 す る た め に、 新 規 の 生 体 親和 性 ガ ラ ス(CPSAガラ ス ) を 用 いて 、 同 一 素 材で 全 く 異 な る 幾何 学 的 構 造を もつBMP担体 を作製 し、そ の骨 形成能 を比較 検討し た。

【 材 料 及 び 方 法 】 本 研 究 に 用 い ら れ たCPSAガ ラ ス は 線 維 成 形 に 耐 え る 機 械 的強 度 を も つ 一 方で 、 生 体 親 和 性 を 持 つ 現 在 唯 一 の バ イ オ ガ ラ ス で あ る 。CPSAガ ラ ス の 線 維 ( 直 径9Im) を 用 い 、こ れ を3mmお よ 7mmに 切 断 し、 前 者 は ラ ンダ ム 方 向 に 纏め て ボ ー ル 状と し 、 後 者 は 一定 方 向 に 束 ねて バ ン ド ル 状( そ れ ぞ れ20 mg)と し た 。 これ ら の 担 体 にそ れ ぞ れthBMP‑2( 山 之 内 製 薬恵 与 )2.2鱈 を 含 浸 し 、4週 齢 の ラ ット の 背 部 皮 下 に 埋 植 し て 、 ボ ー ル 状CPSA1234820週 後 に 、 ま た バ ン ド ル 状CPSA24週 後 に 摘出 し 、 組 織 学 観察 、 な ら び に生 化 学 的 分 析と し て ア ル カリ ホ スフ ァター ゼ(ALP)活性 、オス テオカ ルシ ン 含 有 量 な ら び にRTPCR法 に て 血 管 新 生 マ ー カ ー で あ るVEGF受 容 体Flt1KDRmRNA発 現 を 測定 した。

【 結 果 】 組 織 学 的 観 察 で は 埋 植 後 、1週 で ボ ー ル 状CPSAの 周 囲 に 軟 骨 様 組 織 が 形 成 さ れ 、2週 で は CPSA線 維 に 密 着 し て 旺 盛 な 骨 様 組 織 が 認 め ら れ た 。4週 で は 血 管 系 を 除 い て ほ ぽ 骨 で 満 た さ れ た 。20

674

(6)

週では層状の骨が認められ、骨髄組織のさらなる増加と骨のりモデリングが観察された。ー方、バンドル状 CPSAでは2週にお いて線 維組織 が形成さ れ、骨 はごく 僅かに観察されたのみで、軟骨は認められなかっ た。4週 におい てもバ ンドル 状CPSAにはごく少量の骨が確認されたのみであった。BMPを含浸していない ボール 状CPSAで は、骨 および軟 骨形成 は全く 認めら ない。 全試料 におい て炎症反応を示す所見は認め られな かった 。生化 学的分 析:ボ ール状CPSAにおい てALP活性 は1週で 最大と なりその後、徐々に減少 し た。2週 に お い てボ ー ル 状CPSAとバ ンドル 状CPSAと のALP値を 比較す ると、 ボール状 の方が10倍の 高値を 示した 。4週目 におい てボー ル状CPSAは 、バン ドル状CPSAと比較してオステオカルシンの含有量 では5倍 量に達した。これらの担体における骨形成と血管形成の関わりを明らかにするため、埋植物中へ の血 管新生 をFltー1KDR(い ずれも血 管内皮 細胞成 長因子(VEGF)のレ セプタ ー)のmRNA発現に て評 価した 結果、 両レセ プター 共にボ ール状CPSAでは発 現が高 く、そ れに対 してバンドル状CPSAでは、同 一条件下で検出されなかった。

【考察 と結論 】以上 の結果 からボ ール状CPSAが、バ ンドル 状CPSAより もはる かに骨誘導能が高いこと は明らかである。そのメカニズムを明らかにするため、先ずボール状CPSAの持つ空隙を計算すると、バン ドル 状CPSAの約3倍の内 部空間 を含む 幾何学 的特徴 をもっ ことが わかっ た。した がって ポール 状CPSA は急速 な血管 新生と 未分化 間葉細胞進入に必要な空間と、足場が確保されていると考えられる。それに 対レくンドル状CPSAには、これらの幾何学的要素が欠如しているためと解釈される。この解釈はさらに血 管新生 を実証 するこ とによ って支 持され た。CPSABMP担体としての有効性、その幾何学的効果を実証 する と共に 、本論 文は血 管新生 に関連す るタン パク質 であるFlt−1とKDRのmRNAば舌 発な骨 形成と の 関係を 示した 最初の 報告で ある。これらの血管新生に関わるmRNAやタンパク質の発現は今後、骨形成の 新しいマーカーとして有用であると考えられる。

  以 上 の よ うな 学 位申 請者に よる説明 の途中 、なら びに終 了後、 審査担 当者に よる詳 細な質問 がな さ れた 。 @ ポ ール 型CPSAが 、 骨形 成 に 有 利で あ っ た 理由 、 @ ポ ール の直 径をよ り大き くした 場合 ど こま で 大 き な球 体の 骨を作 り得る かの予 想、◎ 最適空 隙はど の程度 であるか 、@BMP担 体の要 件、

(・・9CPSAの生 体内吸 収性、◎ 人工マ トリッ クスの機能と性質、◎血管と組織の酸素分圧、◎歯周組 織 再建 へ の 応 用等 を中 心に、 鋭い追 及がな された が、い ずれも 申請者 によって 直ちに 明解な る回答 が なさ れ た 。 さら に、 主査に よる筆 記試験 でも、 申請者 は合格 点を取 得できた 。以上 の所見 から申 請者は 博士( 歯学) の学位 を授与 される 資格を有 するも のと認 めた。

675 ‑

参照

関連したドキュメント

れていた事から︑愛知県甲種医学校で使用したと見ら 第二篇骨学︑甲︑﹁頭蓋腔﹂には次の様に記載され

真念寺では祠堂経は 6 月の第一週の木曜から日曜にかけて行われる。当番の組は 8 時 に集合し、準備を始める。お参りは 10 時頃から始まる。

狭さが、取り違えの要因となっており、笑話の内容にあわせて、笑いの対象となる人物がふさわしく選択されて居ることに注目す

成される観念であり,デカルトは感覚を最初に排除していたために,神の観念が外来的観

 仙骨の右側,ほぼ岬角の高さの所で右内外腸骨静脈

題が検出されると、トラブルシューティングを開始するために必要なシステム状態の情報が Dell に送 信されます。SupportAssist は、 Windows

9/23 ユーロ圏PMI 欧州経済はエネルギー価格高騰の悪影響などから冬場にかけてリ セッションが懸念される状況で、PMIの内容が注目される

自発的な文の生成の場合には、何らかの方法で numeration formation が 行われて、Lexicon の中の語彙から numeration