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l 給与所得税累進度の解剖

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(1)

給与所得税累進度の解剖

早 見 弘

所得税負担の決定要因

ある所得者 iの所得税負担額 Tiは,その年内に発生 した総収入金額

Wi

か ら, 必要経費

Ci

を引 き, さらに所得税法 に規定 した基礎控除 ・配偶者控除 ・扶養 控除等の人的控除 Aiや,社会保険料 ・生命保険料 ・損害保険料 ・寄付金控除 等の社会政策的控除 Diを 引 いた後の課税所得

Yt

に,法定税率 t sを乗 じて決 ま る。いま配当控除 と外国税額控除の

2

つの税額控除

taxcredit

を無視するな ら ば,

Ti

‑ t s( W

l‑ CtAl‑

Dt )

‑ts・Yt

( 1)

となる。 ここで法定税率 t sは均一税率

flatrate

ではな く, Y

t

の階層 区分,覗 行 では第

1

表 に示 したように

,15

段階にわたる課税所得の増加分 に応 じて上昇 してい く超過累進税率 となっている。 したがって,税率 は課税所得

Yt

の関数 として

ts‑ts(Yt)

( 2) のように書 くことができるので,

T

iは税率関数 ( 2) と Ytの横 としてつ ぎの よう に表 わせる。

Tl‑ts(Yt)・Yt

そ して昭和 59 年施行 いらいの法定限界税率の範囲を ( 4 ) で示すと,

0.105≦ts(Yt)≦0.7

( 3 )

(4)

給与所得

employmentincome

*の場合 には,年間総収入

W

は賃金,俸給, 給与,賞与,歳費などの役務の対価 として定期的に支払われる所得 と,年金契

〔39

(2)

約 または年金受給資格要件 を満 たした者 に支給 される年金の合計額か ら成 り, 必要経費 Cと しては給与収入獲得 の概算的控除 とされている給与所得控除を 引いたあとの 「 給与所得の金額

〟‑C

をまず確定 し,他の所得 を合算 し た後 に,人的控除

A

や社会政策的控除

D

を適用 して

Yt

を求めることになって いる。給与所得者 につ いても,必要経費の支出実額 を適用せよという主張 もあ るが,事業所得や不動産所得のように,費用 と収益の対応がつ きにくいうえ, 個人の支出慣習にも左右 され易 いという点 もあって,公平な処理のためには給 与所得者の支出は経費 とは扱 われず,所得の処分すなわち消費 として処理 され てきた。その代 わ り給与所得者 には給与所得控除 Cが‑率 に適用 され,人的 控除の適用範囲

A

と社会保険料

Dの推定支払額 に応 じて,世帯構成別 に 「

課 税最低 限度額

Eh (h

は人員,

h‑

1,

2

,

・n)

が計算 されている。「 免 税点」方式 とは異 なって,課税最低限は個人単位の所得者 に一様 に適用 される

Cと

E

h

のうち基礎控除以外の世帯構成

h

Dt

こ応 じて変わる。 この方式 は免 税点制度のように免税点 を越す課税標準 な らば,その全てに対 して課税 される

という制度 とは異なる。

したがって,個人 iの所得税額

Ti

は,

Wi

の大 きさ,

Eh

の適用状況 な らび に法定税率

ts(Yt)

3

つの要件 に左右 される。 このうち課税最低限

Eh

と法定 税率 t sは政策変数であるが,年々発生する

Wi

は労働市場 における賃金決定の 諸要因に左右 される。税額 を計算する場合 には所得分布の変動 は所与であると して も,

W

iの分布 が上方 にシフ トすると政策変数が一定の もとで も,

T

iは 上昇する。

Wi

の変化率

△wi/Wi

よりも Tiの変化率

△Ti/Ti

が大 きく,税負 担の所得弾力性 甲が

1

より大 となっているのが累進税であ り,法定税率

ts

( Y

t)

はこのような累進的負担 を課するように設定 されている。

本稿 の目的 は以上のように して決定 される γ を

,

民間給与所得」 データに もとづいて,その累進度の変化 を課税最低限

Eh

にふ くまれる

(C+A+D)

の大 きさ,税率の変化 な らびに給与所得分布の係数

Rの変化, この3

つの要

*

Tax Bureau,Ministry ofFinance,AnOutlineofJapaneseTaxes,(Government

Printing'Bureau,1985)による用語 である。

(3)

給与所得税累進度の解剖 41

素 で説明 しようとすることにある。対象期間 は昭和

45(1970)

年か ら

59(1984)

年 までの15 年間にわたる。 この うち昭和52 年 か ら

58

年 までの

7

年間 は,57 年 に 微少 な給与所得控除 C の改訂があったけれども,

A

,

D

,

ts(Yt

)の政策変数 が一定 であったという,戦後の所得税制史上稀有 な無減税期間であった。 この ため所得分布 の変化が所得税負担の累進度 に与えた効果 を大 よそなが ら判定で きる期間 をふ くんでいるといえる。また, これまで税制改訂 に妨 げられて,時 系列 でみた所得税制の組 み込み伸縮性 は信頼 できないとされてきたが, この期 間 を対象 とすることによって一応の評価 を提示できるもの と思われ る0

筆者 はか って給与所得税 の累進度の,所得別 ・世帯別形態 を公表 したことが あった。その ときの累進度の計算 は,昭和39 年 と

41

年の税制の もとで,実態 に 近 いと思われる所得額 と世帯層 を例証的に選 んで,それぞれの税額 を求め,辛 均税率 と限界税率 ( 所得 の増分 を

5

万 円にとった)を計算 して弾力性 で表 わす という手続 きをとった。そ こで発見 された累進度の形態 は,同‑ の世帯構成 な らば所得 の増大 とともに無限大 の弾力性 ワか ら急速 に低下 して,

ワ‑ 2

の水準 に漸近 し,世帯人員の増加 とともにこの曲線 が右 にシフ トし,充分 に大 きな所 得水準ではほぼ

2

に等 しい弾力性 をもつ というものであった。第

3

図がその形 態 を示 している。

(1)

本稿 は旧稿 の例証的な所得 と世帯構成 にもとづ く税負担の 計算 とは異 なって観測 されたデータにもとづ く弾力性 の計測 と,同 じデータに よるジニ集 中係数 の計測 にもとづ いて,所得税制度の変化 が累進度 に与 えた効 果 を判定 しようと試みた。

年末調整,乙欄適用者,租税関数および累進度

( 1) 使用 したデータは,国税庁総務課編 『 税務統計か ら見 た民間給与の実態』

である。 このデー タは国家公務員,地方公務員,公社職員 な らびに日給 で雇用 されている労務者 を除 いた 「 民 間企業」 ( 産業別分類 は現在10 大産業 になって いる)に勤務する,いわゆるサ ラリーマ ンを対象 とする源泉徴収所得税の統計

(1) 拙 稿 「給与所得税 の累進度 (その2

)

商学討究』第18巻第 3

(1968 2

月) 0

(4)

である。所得 の年 間支給額

W

を対象 とす るため, 「 一年 を通 じて勤務 した給 与所得者」 に限定 して取扱 う。その人員 は昭和

45

年の

,2,424

万人か ら

,59

年 の

3,531

万人へ,年平均増加率

2.72%

で着実 に増加 している

。53

年か ら男女別 の人員 と給与額等の数値 も掲載 され ( 女性参加率 は

32.4%

か ら

34.6%

に上昇 し てきている) , 労働統計, 賃金統計 と しても参照水準 を高めているように見 える。

税務統計 はどの統計 でも税務行政手続 きに従 って分類 。整理 されている。民 給 データも例外 ではな く,サ ラリーマ ンの源泉徴収,年末調整 などの税務処理 に応 じて計数がまとめ られている。われわれにとって日常的になっている徴税 事務ではあるが,一応 その経過 をフロー ・チ ャー トで示 しめみよう。第 1図が それである 給与等の支払者 ( 源泉徴収義務者 )は,給与所得者 が前年末 に提 出 した 「 扶養控除等 申告書」 にもとづいて,月々または半月 ごとの給与 の支払 い,または数 か月 ごとの賞与の支払 いにあたっては,社会保険料 を除いた給与 残額 に配偶者 な らびに扶養親族 の数 に応 じてセ ッ トされている 「 源泉徴収税額 表」 に したがって税 を徴収 し,徴収 した月の翌月

10

日までに所管の税務署 に納 付 する これは通常甲欄 といわれる主 たる給与 を受 ける場合であ り,給与所得 者の殆 どが このケースである。給与所得者 には

2か所以上か ら給与 をうけ,そ

の従 たる給与 について ( 扶養控除等 申告書 をその支払者 を通 じて税務署 に提出 す ることができるが)‑ 源泉徴収 され る人がいる。 これを乙欄適用者 といい,氏 給 データは支払企業 を中心 にこれを 1人 と して計算 している。 し‑ たがって乙欄 適用者の人員 につ いては二重計算 あるいは三重計算 されていることになる

集 計 された所得階層別 データには, この乙欄適用者 の人員,所得,税額がそのま

ま合計 されているので,人員重複分 な らびに所得等の処理 につ いては,後 に述 べ る。

年末 に近づ きその年 の最後 の給与 の支払 いにあたって,年間給与総収入

W

が確定す ると,提出済 みの扶養控除 申告書 に記載 された扶養者 に変化がな く,

また年末近 くに提出を求め られる 「 保険料控除申告書

にチェ ック ・オフされ

た社会保険料以外の社会保険料 ( 例 えば国民年金保険料 )や財形年金保険料,

生命保険料,損害保険料,小規模企業共済等掛金 がなけれ ば,年末調整 を受 け

(5)

給与所得税累進度の解剖

1

源泉徴収 と年末調整

養 控

申告書

の 総 額

配偶者 .扶養者 保 険料等の変化 の変化

年 末 調 整

源 泉 徴 収 ・ 乙 欄

確定 申告

ずに納税者か非納税者が確定す る

一方,上記

2

つの申告書 に異同があれば, その事実 と制限内の金額 に応 じた人的控除

Ai,

保険料控除

Di

を行 って求 めた 税額 と,既納 の税額 との間に過不足があれば,年末調整 を受 けて納税者 または 非納税者 に分かれ る

。(2)

民給 データは以上 までの経過 に沿 って人員 ,支払給与,賞与 および税額 を掲 載 している。 これ以降は 「 確定 申告」 に移行 して,雑損,医療費等 の諸控除が

(2) 民間給与の実態』 では年末調整の有 ・無 と納税者 ・非納税者の製表 は昭和53年分

か らで,それ以前 は集計 し直 さなくてはならない。

(6)

行 われた り,乙欄適用 をうけた従たる給与 を申告 して年間の税額 を確定するこ とになる

( 2) 年末調整の有無 までの経過で,調整 を要するのは,上述の乙欄適用者で ある。乙欄適用者 には昭和

50

年分 までは,納税者 と非納税者の区分がある。そ の後 は納税者のみである。 この人貝 は対象期間 にわたって,全給与所得者の

1.31

%ない し

2.0日

̀の範囲にあ り,乙欄のうち納税者が全納税者 に占める比重 は

1.57%

ない し

2.22%

とやや高 くなっている

全体か らみると小 さなウエ イ ト か もしれないが,その人員 は最低所得階層 に約

40.5%

か ら

56.4%

の割合が集中

し, 納税者な らびに全給与所得者の最低所得層の人員のウエイ トを高めている。

この重複分 を除去するため,納税者か らも,また全体の所得者か らも,乙欄人 員 をそれぞれ差引いて人員 を定 めた。しか し,乙欄適用者が受 けとった所得 は, 主 たる給与 と合計 されて一人の所得者の年総収入の一部 になるはずであるが,

乙欄適用者の所得 は給与合計の

1.03%

1.29%

の範囲であ り, しか も所得階層 別の分布 は上位

4

階層 になると

8.0%

ない し

3.5%

にウエイ トを下 げるが,下方 か ら

8

階層 までにほぼ

10%

前後の均等な比率で分布 している。 このように全体 に占めるウエ イ トも小 さいうえ,その分布 も特定階層の比率 を歪 めるほどの特 性 をもっていないと考 え られ るので,所得 の階層別金額 については調整 しな か った。 この点 は税額 についても同 じく扱 った。乙欄適用者の重複 を除いたこ とによって,以下 に示す弾力性の精度が高 まったこと,な らびに所得分布のメ ジャーと して使 ったジニ集中係数

Rが小 さい レベ)

I , ,すなわち平等化 を示す ことになったことが特徴である。

( 3) 給与所得 にかかる税負担

T

iは,年総収入

Wi

とその分布

R,課税最低

限 E

h

,および税率 t s ( Y

t)

3

つに左右 されるが, この うち定式化が難 しいの

Eh

であるO前述の ように,

Eh‑ Ci+Ai+ Di

であるが給与所得控除

Ci

人的控除 Aiの うち基礎控除 はすべての所得者 に共通するが,その他 の人的控

除や社会保険料 や生命保険料等か らな■ る

Di

はどの ような分布 を示すか,また

(7)

給与所得税累進度の解剖 45

制度 の改正 によってどのように変化す るかを,一般的に示す ことは難 しい。も ちろん,課税最低 限

Eh

の水準 を暦年別 に一 覧表 で示すの は租税統計 が よ く 使 っている方法である。 しか し,個人単位の所得者が年々どのような控除額 を 適用 して個 々の税額 を決めているかを,納税者 ・非納税者の世帯規模 に応 じて 体系的に示す ことは,なん らかの方法があるであろうが,本稿では開拓 してい ない。世帯規模別 と所得規模別 の

Eh

の分布 は, Wiとの相対的大 きさによっ て課税所得 Y

t

の大小 に反映す る。そ して この相対的関係 は平均税率

Ti/Wi

の分母

W

iの原点 をどこに定 めるかにかかっている。いま図によってこの こと を示 そう。

租税関数

T‑f(Yt)

を示 したのが第

2

図である。ただ し縦軸

T

の目盛 を 横軸

Yt

2

倍 にとって,関数 の形 を強調 してある。直線

T‑

Ytの勾配 は

1

で限界税率

100%

を示すか ら,現行 の税率 では第

1

表 の ように Yt

≧8,000

万 円 ならば

,0.7

の勾配で一定 である

。8,000

万円にいたるまでは

15

の屈折 をもつ折 れ線 になる。いま

Yt

yl

であれば税額 は

Myl

で限界税率 は

M

点 における接

02 01 E

縦軸の目盛 は,横軸の

2倍 に して ある。

(8)

1

表 所得税の一般の税率

/

昭和 /年

45 46 49 59

%

万円以下 万円以下 万円以下

%

万円以下

1102 30 40 .60 10.125 50

万円以上 万円以上 万円以上 万円以上

30 40 60 5()

14 60 80 120 14 120

1 90 120 180 17 200

18 120 160 240 21 300

21 150 200 300 25 40b

24 200 260 400 30 600

27 250 320 500 35 800

30 300 380 600 40 1,000

34 350 440 700 45 1,200

38 400 500 800 50 1,500

42 500 600 1,000 55 2,000 46 600 700 1,ZOO 60 3,000 50 800 900 1,500 65 5,000 55 1,000 1,200 2,000‑. 70 8,000 60 2,000 2,000 3,OO)

65 4,000 4,000 4,000

70 6,000 6,000 6,000

線 の勾配

MRT

である。 この納税者 が

01yl

W

lを得 ていた ら,平均税率 は

Myl/01yl‑ ART

である。 しか し

W

が大 き く

02yl

の W2で あって も,

02E

までの所得控 除

Eh

が大 であれば,

ART

Myl/02yl

で,

W

lよ り平均税率 は小 さくなる。 したが って弾力性 ワニ

MRT/ART

は大 きい

W

2で小 さく,小 さな

W

lで大 きくなる。旧稿 で示 したのはこの ことであった。すなわ ち,同一 世帯 な らば

W

が大 になると,弾力性 甲は低下する。

( 4) すでに言及 したように,累進度 7 7を税負担 の所得弾力性

liabilityprog‑

ression

で計測 す る。

(3)

また対象期 間 につ いて,累進的租税 関数 とは独 立の メ

(3)

文献 [

1] お よび [10] を参照。

(9)

給与所得税 累進度 の解剖 47

ジャーである実効累進度

effectiveprogression

( 課税前所得分布 と可処分所得 分布のジニ係数の変化率 )と対照 させる試み も行 った。

各年 の税 負担 の所得弾 力性 甲は,所得階層別の一人 あた り平均税額 ちと平 均所得

wj

を対数線型式 とし,加重最小 2 乗 を用いて計算 した。すなわち,

ln tj‑ ln α+7lnwj+ ej

( 5) j

1,

2

,・

12。(47,49

年 は

1

1まで) この場合,各項 目の値 は標本世帯全体 の平均値 なので,モ デ) I ,の誤差 e jもそ の項 目内の平均値 を表 わ している。 このときの誤差項の分散 は第 j階層の標本 数 を Njとすると,

1/

N

j

に比例 する。 Njの大 きさにようて不均一分散 となる のは,所得分布の非対称性が対数 をとっても正規型 にならないことが多いこと にもとづ く。加重 回帰 を用 いたのはこの理由による。

(4)

さらに 7は各年 2 つの データを区分 して計算 した。

すなわち,

( 1 ) ワ :納税者 ・非納税者 のすべてをふ くむ人員 (乙欄適用者 を除 く) , ノ所得 および ( 納税者の)税額か ら求めた弾力性。

( 2)

ワ t

:納税者 ( 乙欄適用者 を除 く)のみの弾力性。

第 2 表 はその結果 を示 してある。また第 3 表 には,

( 3) R。:上記( 1) に対応する納税者 ・非納税者の税込所得の階層別分布か ら 求めたジニ係数。

( 4)

RE :t

上記( 2) に対応する納税者のみの税込所得のジニ係数。

(5)Rd

t :同 じく納税者のみに限った税引所得のジニ係数。

所得分布 の メ ジャー と して ジニ係 数 を用 いたの は,実効累進 度 が この メ ジャーによって定義 されていることもあるが,比率 と比率の比較であるか ら測 定単位 に左右 されないで,長期的変化 を比較することができる,という利点 に

よる。 しか しロー レンツ曲線の交差があってもジニ係数 は同一 という結果 を生 ず るので,解釈 にあたって警戒 しな くて はな らないことはもとよりの事 であ

(4)

T.

H

.

ウ ォナコ ッ ト& R.J.ウォナコッ ト (国府田恒夫 ・田中‑盛共訳 )『計量経済 学序説』培風館 (1975

年 )

,第6章。

(10)

2 税負担累進度

( )内はt

昭和 /年 77 77t 77‑ 77 77 p 7l

46 .3024 6.055 3.333 47 .1933 3.288 3.048 48 .1693 1.769 1.560 49 .2893 1.990 1.589 50 .4082 2.619 1.714 51 .3122 1.727 1.219 52, .3155 1773 1.219 53 .2929 1.259 .884 54 .2515 1.020 .746 55 .2352 .847 ;620 56 .2124 A.729 .540

57 .2164 .715 .495

58 .2471 .734 .447ー

(5)文献 [4

] を参照。

(11)

給与所得税累進度の解剖 49 3 ジニ集 中係数 と実効累進度 (%)

昭和 /午

(1)

Ro (2)Rl (3)

R 宮

(4)r (5)rf 「 す「(5)(6)̲ 45 31.298 29.442 28.035 10.426 4.780 (45.9) 46 30.964 28.748 27.448

l

l.354 4.520 (39.8) 47 30.834 29.015 27.573 10.576 4.972 (47.0) 48 30.883 29.090 27二441

l

l.146 5.667 (50.8) 49 29.979 27.155 26.183 12.662 3.577 (28.3) 51 29.585 27.247 26.301

l

l.101 3.473 (31.3) 52 29.595 27.338 26.354 10.949 3.59.7 (32.9) 53 30.023 27.738 26.683

l

l.125 3.802 (34.2) 54 30.452 28.155 26.934

l

l.553 4.404 (38.I) 55 30.902 28.442 ・27.121 12.234 4.642 (37.9). 56 31.166 28.792 27.398 12.089 4.840 (40.0) 57 31.264 28.788 27.368 12.462 4.933 (39.6) 58 32.079 29.337 27.882 13.084 4.961 (37.9)

累進度の計測結果

各年 に施行 されている所得税制度が,給与所得者の累進度 にどのような効果 を与 えているか を説明するためには,すでに指摘 した総収入

W

とその分布

R

, , 所得控除

Eh

,お よび税率関数 t s

(Yt)

のそれぞれについて,統計的事実や制度 上 の情報 に頼 らな くてはな らない。各年の各種の所得控除額 につ いては,例 え ば大蔵省編 『 財政金融統計月報』租税特集号 ( 毎年 )などを参照 しな くてほな らないが,本稿 では必要 な限 り言及することに止 めて,規定額 の変遷一覧表 は 記載 しないことに した

。(6)

以下計測結果 をまとめる。

( 1) いずれの年 で も 7>

Tj t

である

.

この ことはつ ぎの ように説 明で きる

所得階層別人員 は,乙欄適用者 を除いても非納税者 をふ くむ低所得層で大 きい,

したがって一人 あた りの所得 と税額 は小 さい。 一人 あた りの所得が小であれば, 旧稿 で示 したような 甲の所得別 ・世帯別分布形態か らみて,第

3

図の左側の高

(6)

文献 [

8] の水野教授 の展開 も参照 。

(12)

7 7

い 7にあたる所得層が多 くなる。一方,納税者のみの人員 は低所得層 で大 きく 減 じ,「人 あた り所得 は高 くなる。 そ うす ると右側 の高 い所得層

H

t こ全体 が

シフ トし,低 い 7 t E こあたる人 々が多 くなる。 この事実が背景 になって全所得 者 を対象 とするクロスセクシ ョンでみた クは,納税者のみの

γ

Eよ り大 になる

O

(2)

納税者 と非納税者の分 かれ道 は,

WiとEi

との相対的大 きさで ある。

この分岐点 は,

(Ei/Wi)≧ l Q YE<0, したがって, Ti‑ 0 (6)

となるO全所得者 の 甲が,納税者のみの 町 こ低下するのは,

Eh

すなわ ち給与

所得控除

C

や基礎控除,配偶者控除等の人的控除

A

と,社会保険料等

D

の適

用額 が作用す るか らであ り

,(7‑7t

)が以上 の Ehによる累進度減少効果 と

(13)

給与所得税累進度の解剖 51

考 え られる。 この場合,

W

の分布の変化 も複合的 に働 くことは否定 できない。

昭和

45

年か ら

50

年 までは全体の所得分布が平等化 していることと, 甲の低下 と は分布の変化 と無縁 ではなかろうが,一般化 はサ ンプルが小 さくていえそうも ない。 この間,45 年か ら

48

年 まで毎年人的控除が

1

万 円ずっ引上 げられ,給与 所得控除 も定額部分の引上 げが行 われた。この効果が 四 一

?

i)の差 をつ くる。

しか し, この引上 げが,増大 してい く所得者 の うち非納税者 を多 くしたか とい うとそ うではなか った。非納税者の比率 は

45

年の16.

7%か ら48

年 の9.

3%へ低

下 している。その ため

Eh

の引上 げによる 甲の差 は大 きくなかった。一 丁方

,49

年 にはインフ レ調整のため人的控除額 をそれぞれ

3

万 円引上 げたうえ,それま で最高額限定方式 であった給与所得控除 を,5

0

万 円の最低保障方式 と した。 こ れによって,非納税者比率 はいっき ょに1

5.3%に増大 し

, クの差 を大 きくした。

50

年 には再 び人的控除額 をさらに

2

万 円ずっ引上 げ,非納税者比率 は

18.3%に

大 きくなった。50 年以降58 年 まで,人的控除 は据置かれ,給与所得控除 も57 年 に最低保障額 は50 万 円に止 まったが,600 万 円以上 の所得層 に控除 をやや拡大 したo Lか しその 7 t の低下効果 はそれほど大 きく笹なか った。59 年 には人的 諸控除 を

3

万 円ずつ引上 げて,それぞれ33 万 円と し,給与所得控除の最低保障 額 も

57

万 円に引上 げた。 このため 甲の差 は拡大 した。

( 3) 税率関数の変化 はどの ように累進度 に作用 したであろうか。 この効果 は 所得控除が一定,分布が一定のときに法定税率 だけが改訂 された場合 はっき り す るであろうが,法定税率の改訂 だけが行 われたことはないので観測できない。

しか し

,49

年か ら

58

年 まで,19 段階のブラケ ッ ト・レー トは一定であった

.

し たが って,

Eh

引上 げの効果 を除いた納税者のみの ワ t が,一定の税率関数 を媒 介 と して所得分布 の変化 とどの ような相関 を示すかが問われてよいであろう

ワ tと納税者のみの REとの散布 図を書 いたのが第

4

図である.直観的にみて45 年 か ら

48

年 までは分布の不平等化 と累進度の上昇 には正の関係 があ りそ うにみ

えるが,サ ンプルが小 さく有意差 は見出せない。 しか し

,49

年 を除 いて,5

0

か ら

59

年 (この年 には税率表が改訂 されたが)までは,大 よその動 向と して,

7

7

1と

Rt

の正 の相 関が成立 しそ うにみえる。 この間のサ ンプルにつ いて通常の

(14)

4 ?EとRtの散布図

45 ●

59

● ●

58

26.6 27.0 27.5 28.0 28.5 29.0 29.5

最小

2

乗 回帰 を行 って,つ ぎの ような結果 をえた。

昭和

50

年 か ら

59

年 まで,

り戸 .4489+.0397Rl (3.282)(8.196)

R2‑.8934,D‑W ‑1.9775

昭和

53

年 か ら

59

年 まで,

りl ー.0386+.0566Rt (‑.324) (13.635)

( 7)

( 8)

R2‑.9739

,

D‑W ‑2.8949

サ ンプル ・サ イズは 7 個 に小 さくな るが,検定値 か らみて,( 8) 式 の結果 が良好

で あるといえ よう。す なわ ち, この間 を通 じて,納税者 の ジニ係 数 1パ ーセ ン

(15)

給与所得税累進度の解剖

5 3

卜・ポイン トの上昇 に応 じて,納税者の所得税負担の所得弾力性 は

0.0566

上昇 した。

( 4) 累進度 に与 えた

Eh

R,Eh

および

ts(Yt )

の効果は,実効累進度の変 化で も計測することができる。第 3 表の ( 1) ,( 2) ,( 3) 欄 は,前節で述べた 3 系列 のジニ係数 を示 したものである

所得税の再分配効果 は,一般 に税込所得のジ ニ係数

Rb

と税引所得の ジニ係数

Ra

の比率

Rb/Ra

< > 1 に応 じて,累進的,比 例的,逆進的 と定義 される。 この Rb, Raは人員 の階層別分布 をともに同一 の ものと して計算 することが多 い。 しか し,所得税制の再分配効果 は

Eh

の変 化 によるものと,

ts(Yt )

の変化 によるものに分 けられる。そこで,まず( 1 ) 欄 の

Ro

で全員 ( 乙欄適用者 を除 く)の所得分布 を求め, さらに納税者のみの

Rt

と納税者の可処分所得 についての

R

d tの

3

つに分 けてみると, ( 4) 欄

r‑(R。‑Rg)/Ro

( 0 / a)

は Ehと t s ( Yt)の

2

つ が作用 した結果,所得分布の修正 をもたらした総合効果 を表 わ し,

( 5) 欄

rt‑(Rt‑Rg)/Rt(0/o)

は,主 に t s(Y

t )

が作用 して修正 した所得分布の変化 とみることができよう。

そ して,

(6)

欄 (

rt/ ∫)

(%)は総合効果のうち,税率関数が作用 した割合 とみる ことができる。この比 と 1 000 1 0 との差 は

Eh

の修正効果である。

(5)

以上の区分 による第

3

表の結果でみると,全所得者の所得分布 は昭和

50

年 を底 として,平等化か ら不平等化 に転 じている。納税者のみの税込所得 およ

び税引所得 についても同様の傾向がみ られる。

(6)

所得税の総合的再分配効果 は

,46,47

年 と

52

年でやや小であったが,全

期間ではジニ係数 を

11%

以上修正するものであったといえる し

,52

年以降 は

徐 々にその効果を高め 59 年 には 13. 5% 程度の修正効果 を示 している。このうち,

主 として税率関数 による分配修正効果

(5)

欄 は

50

年 を底 に次第 に上昇 し,納税者

の所得修正効果 は 50 1 0近 くに上昇 した. この点 は ,( 7) ,( 8) 式の

γ

Eと

Rt

の正の

相関 と一致するO しか し盲の効果が総合効果 に しめる割合 となると,全期間を

(16)

通 じて も,

Eh

一定であった

52

〜‑58

年間 をとっても,安定 した係数 はえ られ ないようである。 この点 も ( 2) で述べた (7‑

ワt

)による

Eh

の累進度減少効果 でも同様であった。

本稿 は 『 民間給与の実態』 をデータとして観測 された給与所得者の所得税累 進度 を, クロスセクシ ョンの対数線型の加重回帰 による弾力性 と,ジニ係数の 変化率 による実効累進度の

2

通 りのメジャーによって,最近の

15

年間について 計測 した。その際,原系列か ら乙欄適用者の人員 について 2 重計算 を除去 した。

所得税負担 は総収入

W

とその分布

R

,所得控除

Eh

,および税率関数 t s ( Y

t )

によって決まるが, E

h

の引上 げによる効果 はいずれのメジャーによっ ても,全体 と して効果 はあるものの,安定 した効力を示すにいたらなか った。

一方,税率関数の働 きは,所得分布が上方 にシフ トすると弾力性の上昇 という 働 きによって,分配の事後的修正 を行 うことがある。全期間についてとはいえ ないが,

Eh

ts(Yt

)が不変であった期間のうち ,53 年か ら 59 年 までは,分布 の不平等化 と累進度の上昇 な らびに実効累進度でみた分配修正効果の上昇が観 測 された. この うち 59 年 には

Eh

の引上 げと,税率表の改訂が行 われたが , ‑53 年 いちいの

2

つの累進度の傾向か ら大 きく外れ一 ることはなかった。

租税関数の原点の位置 と曲率 は所得 と租税,あるいは税引所得 と労働供給の 選択 にあたって重要な働 きをもつ。所得水準の上昇 と,労働市場への女性参加 率上昇 は,限界税率の大 きさによって,付加的所得か レジャーかの選択 に影響 をもつ ようになろう

このような観点か らも

Eh

のあり方や

ts(Yt

)の形態 は, 租税政策の重要課題であ り,ともすれば模索的な試行であったようにみえる減 税政策 も‑ 租税当局者 は納税人員,税負担の分布,徴税費用 そ して他の所 得 との公平 な処理等 を顧慮 しているであろうが ‑ コンシステン トな政策根 拠 をもつ必要があろう。本稿 はこの方向への一つの論考であると考えている。

(1986・9 ・30)

(17)

給与所得税累進度 の解剖 55 参 考 文 献

[1] Musgrave

,

R.A.&T.Thin,"IncomeTax Progression,1929148,"Journalof PoliticalEconomy,vol.55(Dec.1948),pp.498‑514.

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[4] Formby,J.P.,W.J.Smith

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[5]市川 洋 ・林 英機 ・平井 弘 『財政制度モデルの研究』 経済企画庁経済研究 所 ,研究 シリーズ第 19号 (19696

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[6

]石

弘光 『租税政策の効果』 東洋経済新報社 (1979

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章。

[7]能勢哲也 『財政の計量分析』 創文社 (1982

年 )

,第 5

章。

[8]水野正一 「所得税 の税率 の累進構造 と問題点 税経通信』(1983

8

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pp.74‑83

[9]井堀利宏 『現代 日本財政論』 東洋経済新報社 (1984年 ),第 6

章。

[10]早見 弘 『財政学 同文館 出版 (1980

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, pp.157‑61

0

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