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食品・ 飲料品の地理的表示 に関す る 経 済学 的考 察 1 )

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(1)

研究ノー ト

食品・ 飲料品の地理的表示 に関す る 経 済学 的考 察 1 )

中 津

本稿 は地理 的表示 とそれ に関連す る概念の経済学 的な特性 を整理 し, 地 理 的 表 示 を包 含 す る食 品表示 の制 度 的 な側 面 を論 じた. さ らに,

iv ll t coec

( epuaottin

Ti lによる集合的評判 er )のモデルを応用 して.

会的評価 を高 く保つ ことが可能になることがわかった.

ls roe

地理的表示の管理のあ り方 について理論的に考察 した.その結果.①生 産者が高品質の商品 を生産す る素地や環境が整 っている場合†②消費者 や管理団体 が生産者の履歴 に関す る情報 を有効かつ十分 に知 ることがで きる場合,③ 地理的表示が競争 を阻害 しない場合.④法の執行 により地 域 ブラン ドへの参入 ・退 出が確保 されている場合 に,地域 ブラン ドの社

1 キー ワー ド :地理的表示,食品表示,原産地呼称.地域 ブラン ド,

集合的評判 1 はじめに

国際経済学 を始め とする経済学の分野では従来,農産物 な どの一次産品や 加工食品などの軽工業品を同質財 として分析 す ることが多 く.食品 ・飲料 品 の生産 ・消費お よび国際貿易 な どを製品差別化の対象 として扱 うことは少 な か った.その一方で,米国産 の遺伝子親 み換 え穀物等の人体に対す る有害性 )使用食品の輸入や,200 を反証 で きていないバ イオ技術

y h l tecnoog -

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(2)

現代経営経済研究 第 2巻第 2 研究 ノー ト :食品 ・飲料 品の地理的表示 に関す る程済学的考察 127 6

2 1

)感染牛の発生, さらには近年の一連の食品表示の偽 として言及 されている Ti Sの集合的評判

装事件などを契横 として,食品の安全性,品質,表示の信頼性などに付する 10)の枠組 を用いて,地理的表示がな される地域 ブラン ド内の生産者の行 消費者の関心が急速に高 まってお り,農林水産省 と厚生労働省を中心 として, 動 を解明 し,地理的表示の管理のあ り方について理論的に論 じる.最後の第

' l roe

9月の狂牛病 (BSE (coell tciverepuattion)のモデ

5節では,結論 をまとめ,本箱の分析の限界 と今後の研究課題について述べ oodl ng)の あ り方や,地 理的表示 ( nd

)に関する議論が活発に行われ始めている2㌧ また国際的には,世 WTO)において,地理的表示の調和化 と国際規律の拡充に関

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食 品表示 Is る.

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界貿易機関

2 地理的表示の経済学的特性 する交渉が正念場 を迎 えている3

他九 200512月にはアメリカとカナダが 日本産牛 肉の輸入 を再開 し, 地理的表示 とは,製品を都市や地域 などの特定の場所 と結 びつける表

). 0

077月には中国が 日本のブラン ド米の輸入を開始す るなど,海外 にお ける日本産の高級食材の人気は高 まりつつあ り,将来的に国際競争力をもち

2 記」川のことであ り,法律による地理的表示の保護は,消費者 を保護する側

面 と,生産者の知的財産権 を保護する側面があるとされる.WTOの 「知的 Ps

I

所有権の貿易関連の側面に関す る協定」(TR 協定)では,地理的表示 得 る 「日本 ブラン ド」の食品 ・飲料品に対する注 目が集 まっている・また,

国内において も,長野県 と佐賀県が独 自の 「原産地呼称管理制度」を導入 し とは.ある商品に関 し.その確立 した品質.社会的評価 (repuattion)その てお り4),国 レベルで も,地域ブラン ド」 5に関する知的財産権の保護の観 他の特性がある商品に閑 し,その確立 した品質.社会的評価その他の特性が.

点か ら,20(姫 年 4月 よ り特許庁が 「地域団体商標登鐘制度」の出願受付 を 当該商品の地理的原産地に主 として帰せ られる場合において,当該商品が加 開始 し6㌧ 20082月末 までに,海外 か らの 4件 を含 む総計 801件の出願 盟国の領域又 はその領域内の地域若 しくは地方を原産地 とするものであるこ

idn がなされている7)

この ような地理的表示の経済学的な効果 に関 しては,欧州連合 (EU)の である 「原産地表示」(

.

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とを特定する表示をいう.」 (22条 (1)) と定義 されてお り, より広い概念 no

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i tca )千, よ り狭 い概念 である 「 k sus n

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nofo )と は 区 別 さ れ る.F kadMa され始めているが,わが国のEI内では,法制的あるいは社会的な立場か ら論 (2006)によると,前者においては 「確立 した品質,社 会的評価 その他の特 じた文献はい くつかあるものの,経済学的な見地か らの議論や先行研究は筆 性が当該商品の地理的原産地に帰せ られる」 ことを示す必要はない一方,後

io llt pea ap 産 地 呼 称」(

加盟国やアメリカにおいでは, とりわけ今世紀に入ってか ら研究業溝が蓄積

者の知る限 り殆 ど見当た らない. 者では単なる社会的評価 (repuattion)だけでは十分でな く 「品質などの特 le b buat i

r )

そこで本稿では,わが国の食品や飲料品などの地域ブランドの確立 ・発展 di trecly

E

性が当該商品の地理的原産地に直接的に帰せ られる ( att のために重要な役割 を果たす と考えられる地理的表示についての今後の経済 (下線は引用者)必要がある.

Uでは,欧州経済委員会の CouncilRegualtionNo.2081/92にて,地理

学的研究に資す るために,これまでの理論面 と制度面の議論 を整理する8).

以下,第 2節では.地理的表示 とそれに関連する概念の整理を行い,その経

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i t esgna t t

proece (

的表示保護」( dg dd no

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eograp I) と 「原産地呼称保護」

済学的な特徴 を明 らかにする.第 3節では,地理的表示を包含する食品表示

l i l excusve

DO)が区別 されている.前者 の要件 は に関する研究に基づ き.地理的表示の制度的 ・政策的な側面を論ずる.第 4 農産物の品質や特性が,特定の地理的環境に存在する自然要因 ・人的要因

のみに帰する ( yd

節では,地理的表示の効果に関するい くつかの実証研究 9)にて理論的な背景 uetothenaurtaalndhmau nfacotrs)」 とされ,

(3)

現代経営経済研 2巻第 2 研 究 ノー ト:食品 ・飲料 品の地理的表示 に関す る経済学的考察

が重要 となる.

9 2 8 7

2 1

「製品の生産 ・加工 ・準備は規定 された地域で行われる」・後者の要件は 「

地理的表示の保護が生産者の行動に及ぼす効果を判断する際には,(手保護

」 とされ,製品が 産物が当該地域を原産地 とする ( dint

その地域 に帰する特定の品質や社会的評価 を保有 し,生産 ・加工かつ/ また される生産者間の競争を促進する効果,(丑特権的な地位 を付与 された生産者 とそれ以外の生産者 との間の競争 を阻害する効果,の両者 を比較考量する必 )

htaarea ii t

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は準備が規定 された地域で行われる」 12・)

一方,アメリカでは既存の商標 に関する法制の枠内で・地理的表示が扱わ 要がある.前者に関 しては,生産者の競争による品質向上 による消費者の便 れている.F kadMa s(in n suk 2006)によると,商標 と地理的表示には以下 益が価格上昇 による費用 を上回れば保護は正当化 される.後者の場合,参入 障壁による特権的な地位 を付与 された生産者が品質向上-の努力 を怠れば, の相違がある 1.商標 は特定企業の財産であ り・原則 として複数の企業が

同 じ商標の もとで競争す ることはで きないが 14),地理的表示は複数の企業 消費者の利益が阻害 される結果 をもた らす 16).

) 3

この ような地理的表示の効果に関 して理論分析 を行っている既存の研究は.

に よって共有 され るため,集 団的行動 (coellcか ea ction)や 「ただ乗 り」

主に以下の 3種類に分類で きる.

1.Ti e(rol 199)6 の集合的評判のモデルに基づ き,ゲーム理論を用 いて地理的表示が製品の品質に対する評判 と高価格を維持することがで きる 条件 を検討 した ものである 17).第 2に,伝統的な原産地呼称が保護 される reer )の問題が付 きまとう.

経済学的な観点か ら見ると,地理的表示 は, より広義の概念である 「食品 de

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表示」( dl )の一種 であ る と考 え られ るが・同時 に知 的財 産権 lp yrht)igs の保護 という側面を併せ持つため問題は複雑

ing t oper ,

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i lcal h geograp

となる.この ような保護は新規の生産者-の参入障壁 としての意味合いをも 市場 と新 たな世界市場 の どち らに参入するか 18),公的な規制 に応 じて 「 理的に差別化 された製品」( ydifferentitaedagrci luturaprl od- ち,特定の生産者 に対 して独占的な地位 を維持 させ る効果があるため・一役

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t ucs

商標 の広告 な どの代替的戦略 と地理 的表示 とのいずれ を選択 す るか 20) GDAP) と差別化 されない

; "mmoditeis"の どち らを生産するか 】91, 的な食品表示のケースと共通する消費者の便益 と,独占によって生 じ得 る費

用 とを比較 して考える必要がある 1

消費者の便益 を考える際に問題 となるのが,表示 される地理的名称 と品質 との間には必ず しも相関があるとは限 らないという点である・地理的表示に 品質が伴わない場合は,生産者 に独 占的 レン ほ 付与する効果に終始 して し まい,消費者の選択 を混乱 させ ることになって しまう・この ような場合は・

品質に関する消費者の誤認につながる地理的表示の混用や不当表示に対 して 政府や第三者横関が規制を課すことが・む しろ消費者利益 を保護することに

なる.

一九 商標」等の企業の自発的な表示 に任せていては消費者の選択 に必 要な情報が十分に供給 されない という公共財的問題が生 じる場合には・政桁 や第三者枚閏が情報の供給に積極的な役割 を果たすことが必要 となるが・そ の際にも地理的表示が品質基準 を満たす ようなスタンダー ドやモニタリング

). 5

いった.食品 ・飲料品の生産者の戦略 を比較検討 したものである.第 3に, 地理的表示に対する公的な規制が生産者の競争条件や,生産者 ・消費者の厚 生 に対する効果を分析 したものである 21).

この うち.第 1の集合的評判 に基づ く消費者による製品評価や価格 に対す る影響 に関 しては, ワイン市場 を対象 とした研究を中心に,既 に多数の実証 研究が行われているが,第 2や第 3のカテゴリーに関 しては,現時点では殆 ど計量的な検証が行われてお らず.理論的な分析 に留 まっている.そこで本 稿では,第 1のカテゴリーに焦点を絞 り,第 4節では集合的評判のモデルを 用いて地理的表示の問題を分析するための理論的な枠組 を紹介する.それに 先立って次節では,第 4節の理論的な分析の帰結 を政策的に解釈するために 必要な食品表示の制度的側面を簡潔に説明する.

(4)

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/ 現代経営経 済研究 2巻 第 2号 研究 ノー ト :食 品 ・飲 料 品の地理 的表示 に関す る経済学 的考察

1 食品表示の樹形Egl 地理的表示の制度的側面 22)

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3

l.(2000)では,地理的表示 を包む食品表示 (f doolblaeing)

制度的側面を考察するに際 して,以下の 3種類のケースを区別 している.

Gloan,eat

(1) 企業が 自主的に決める表示 ( )第三者による自主的な表示サービス

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yserivcesofrvoul tnaryl t

par idr- h t

( aebling) )義務的表示 yl

この中で, (1)のケースについては,消費者が表示のある生産物 を同種の 生産物 に対 して差別化す ることを助けること」によって,企業が価格 を引 き下げずに販売量 を増やすか, もしくは販売量や市場 シェアを減 らさずに価 格 を上げること」を可能にする手段 として 「広告 と同様の効果を持つ」 とさ れる.このような食品表示の もた らす便益 としては,消費者の情報が十分で ない財に関 して消費者が入手で きる情報量 を増やす役割が挙げ られる.この

dt anaor 3

( (m aebling)

2 Gloanea,tl(, 出所 000

ような財 としては,探索財,経験財,信用財が挙 げ られ るが 23㌧ いずれの

場合 にも,食品表示が正当に行われるな らば,消費者が購入を選択す る際の 合のように,消費者のみならず生産者 も情報 を保持 していない状況である.

igure F 0

) 1..p 1.

Gloan,etaI.

お り,その場合は義務的表示によって生産者 と消費者 との情報の非対称性 を 如」の場合であっても,仮説的な情報や意見が対立する情報を含んだ全ての 解消する必要が生 じる 24

助けとなる.他方,企業が商品の不利な特性 を隠蔽する可能性 も指摘 されて (2000)は,情報の非対称性」の場合はもとより,情報の欠

情報 を明らかにす ることによって,市場の効率性 を改善す ることがで きると 一方,( のケースについては,①

選択 を行 うために十分な情報を市場が撮供 しない場合」 (情報の非対称性 も 会的に最適な情報が供給 されにくいため,政府 による介入の余地が生 じるが, しくは欠如), もしくは.② 「個別の消費決定が個々の消費者の厚生 に及ぼ この場合で も必ず しも消費者の便益が政策のコス トを上回るとは限 らない と す影響 と異なる影響 を社 会的厚生に及ぼす場合」 (外部性の問題)に,義務 の指摘 もある.このような問題に対 して食品表示が最善の政策であるか どう

)

3 消費者が個別の選考を反映 した消費 している.「外部性の問題」に関 しては,民間企業 による表示によっては社

的表示の必要が生 じる. かについては意見が分かれているが.Gloan,eatl,(2000)は,情報の非対 前者の うち,情報の非対称性」の問題 は,食品や飲料品の場合,信用財 称性」の場合に関 しては,その他の場合 よりも食品表示が有効である可能性

ree )を生 じさせ る公共財的な特

性 に付随 して生 じる.他方 情報の欠如」の問題 は.食品の摂取 による健 (2)の 「第三者 による自主的な表示」のケースは.(1)と(3)の中間に位置 康への長期的な影響 に関する場合や,科学的知見が-敦 していない影響の場 し.「基準検査 ・認定認証執行」の 4つの段階のうち, どの部分を

der i r f (

の もつマイナスの特性 や,便乗者 が高い としている.

:.

(5)

0 2

3

1 現代経営経済研 2巷 第 2

研究 ノー ト :食 品 ・飲料品の地理 的表示 に関す る経済学 的考察 133

民間の第三者機関 と政府 との どち らが分担するかによって.図 1の①~③ の

ように分類で きる (④ は前項の政府 に よる義務的表示 の場合 に該 当). この 4 理論的考察

うち 「基準」(satnad dr),財の保有 しなければならない品質の水準 を規 ここでは,Ti (1996)が導入 した集合的評判の理論を用いて,地域 ブ 定する」 ことで表示 される情報 を標準化 し,情報の費用 を低 下 させ.消費者 ラン ド27)の地理的表示 の管理のあ り方について検討する 謝.

l roe

の製品比較 を容易 にす る.「検査」( it tesng)の業務 は.「客観的な商品の特 同論文 による と.集合 的評判 とは,個人の評判 を集計 した もの」 と定義 性 の測定を行 うことによ り.生産者の品質に関する表示内容 を裏付ける」 こ され,モデルは以下の特色 をもつ 29

ers

とであ り,特 に信用財の場合には表示の情報価値 を高めるために重要 な役割 (a) グループの評判 は,その グループの構成員 (memb )の過去 の を果たす. また.規模の経済が働 く場合 には,一括 して検査 を行 うことによ 行動 によって決 まる.

り検査 の費用 は低下す る.「認証」 ( tceri丘 tcaion),生産者が供給す る情 (b) 個人の過去の行動 は,不完全 に しか観察 されない.

報が正 しい という確証 を消費者 に提供する」 ことであ り, これによ り消費者 (C) 構成員の所属す るグルー プの過去の行動が,そのグループの現在 は商品の品質を客観的に評価で きるようにな り,企業 による表示内容の信感 の行動 を条件付け,それが構成月個人の行動の推測 に用い られる.

性 は高 まる. なお,認証機関を認証す ることは,認定(accredittaion) と (d) グループの新 しい構成員の行動は,それ以前の構成員の過去 の行 呼 ばれ る.「執行」(enofrceme )nt,不 当表示 を行 った企業 を罰す る こ 動に依存する.

とにより品質表示 の信頼性 をさらに高める」 ことである. このような執行の ここでグループを 「地理的表示」または 「原産地表示」が指定 される地域, (

種類 には,監視機関 (watchdog)による負 の評凪 認証 の剥奪 de-cer -tifi 構成員 を個 々の生産者 とする と,そのまま我 々の食品 ・飲料品のケースに当 ,立件 のための法律要件

) ion t

ca (legalr iiequsets)がある 25). てはまる.Tiroelのモデルでは.集合的評判 と個人の評判の次第で取引相手 第三者機 関が この ような食品表示に関わるサー ビスを提供する場合.適切 がグループの構成員 との取引 を直接打 ち切 ることがで きる 「直接 的排除型

な制度設計 と施行が行われれば,表示内容の信頼性 と信濃性 を向上 させ,食,構成員の評判 に基づいてグループが構成員 を排 除する 「委任的 ・内部狗 品表示の情報価値 を高め,延いては生産者が消費者に提供する情報量の増加 排除型」 との 2種類のケース ごとに分析がなされている.我 々の検討 してい によって市場の効率 を改善することになる. この ような情報価値に対する効 る食品 ・飲料品の地理的表示 の例では,地域 ブラン ドの中で も個別の生産者 果 は,第 1に第三者機 関の信 頼性 と社会 的評価 ない し評判 (

2に消費者の選好 や技術 的可能性 に対す る当該磯関の感応度 26)によって や 日本酒 などの場合 には,前者の 「直接的排除塑」が適合すると考えられる.

決 まる.一方で,食品表示の基準が,既得権益 をもつ既存 の生産者団体 に利 一方,消費者が個々の生産者の行動 を知ることが困難 な海産物 (関あ じ ・問 する参入障壁 となる可能性 もある. この ような参入障壁は,公正 な競争 を阻 さば等),ブ ラ ン ド牛 肉 (神戸牛等)や ブラ ン ド米 (魚沼産 コシ ヒカ リ等) 害す るだけでな く,品質向上への努力や技術革新 を妨げることになる. などの場合 は,後者の 「委任的 ・内部的排除型」がよ り適切であろう,

), ion tt

repua のブラン ドや商標が並存 し,個々の企業の評判がある程度観察で きるワイン

41. 直溝的排除型モデル

以下の ような無限回のマ ッチ ング ・ゲーム 3)を考 える.食品 または飲料

(6)

134 現代軽骨経済研究 2巻第 2

品の特定の地域 ブラン ド商品を生産す る個別の生産者 をエー ジェン ト(代理 人), この商品の消費者 をプリンシパ ル (依頼 人) と考 える.J期 に存在 して いる生産者が1期 に存続す る確率 を)∈(0,1)とし,市場 か ら退出 した生産 者 は新規の生産者の参入に よって補充 されるため, この地域 ブラン ドを生産 す る個別の生産者の数は一定であ り,それぞれの生産者が 1種類ずつの商品 を生産す ると仮定する.

消費者は,各期 に生産 されるこの地域 ブラン ドの平均 的な品質は観測で き るが,実 際 に購 入す る商 品の品質 は事前 に知 るこ とが で きない 31). また, 後述のように個々の生産者の経歴 (過去 における偽装表示 の有無等) に関 し ては,不完全 に しか観察で きない.商品の品質 は.高品質(H)と低 品質( のL) いずれかであ る(H>L>0).個別の生産者の商品が同 じ消費者 と遭遇す るの は一皮のみで.t期 ごとに新 しい消 費者の選択に さらされ る.消費者 はその 生産者が過去 に品質の偽装等の不正行為 を したことがない とい う十分 な確信 を持 っている場合のみ.その生産者の商品を購入する. また. この地域 ブラ ン ドと不完全 な代替関係にある非ブラン ド商品が存在 し, この代替商品の消 費 によって消費者が得 られる純余剰の大 きさを〃とす る 32)

t期 におけるこの地域 ブラ ン ドの価格 プ レミアム(p,-V)は,地域 ブラン ド の履歴情報 に関す る条件の下で期待 される品質(S,に等 しくなる. また,個) 別の生産者の履歴 は観察 されないため,消費者が高品質の商品を購入する事 前確率 を打Eとすると.期待 される品質はS1-7IEH+(1 hL-n)となる.

個別の生産者は,正直なタイプ (品質向上の追加的費用が低 く,常 に高品 質 を生産).不正直な タイプ (品質向上の追加的費用が高 く,常に集合的評 判 に 「ただ乗 り」 (rfeerd)ie して低 品質 を生産), 日和見主義の タイプ ( 質向上の追加 的費用がC>0で.状況に応 じて生産す る品質が異 なる),の3 通 りの タイプのいずれかであ り,それぞれが全体 に占める確率 はα,β,γであ . これ らの生産者 は,低品質の商品を生産す ることによって費用 を節約す ることによる利益 と,顧客 を失 うことによる費用 を比較する.個別の生産者

研究 ノー ト :食品 ・飲料品の地理的表示 に関す る経済学的考察 135

の将来に対す る割引国子 を∂。とす ると.生産者が問題 にす る割引因子 (rele- vatdsn i uta rcon fcto),60)≦1と表 される.

個別の生産者 は 自分 の タイプ33)を知 ってお り.消 費者 はα,β,γの比 率 を 知 っているが.個別の生産者の履歴 については不完全 な情報 しか もたない.

ある生産者が過去 にk回以上 不正 に低品質の商品 を生産 した場合 に, この うち1回以上の低品質商品の生産 を消費者が見破 る確率 をrkと表す.なお, 個別の生産者がいつか ら生産 を行 っているのか (老舗」か どうか)に関 し ては,消費者は関知 しない とする 341. ここで,すべての別こ関 して,

xo=0<xl<x2<E3<-<1,

かつ (1)

lh+i-rk<rh-Xh-i,

が成 り立つ と仮定する35)

ここか らは,定常状態 を分析す る 36㌧ 日和見主義の タイプが常 に高品質 を生産す るような地域 ブラン ドの状態 を 「高い評判の定常状態」, 日和 見主 義の タイプが常 に低 品質 を生産す るような状態 を 「低い評判の定常状態」 と ぶ.

4.1.1高い評判の定常状態

低品質の商品が露呈 しなかった条件の もとで.非正直な生産者のうちでま だ品質偽装 を行っていない生産者の比率 は(ll)),前期 に参入 して既 に低品 質の商品を 1回生産 した生産者の比率 は(1-))).E期 に存続 している確率 は )',i期 に品質偽装が まだ露呈 していない確率 は(-1JE)であるので,不正直 な生産者の過去の品質偽装が露呈 していない確率は,

(7)

136 現代経営経済研 2巻 第 2

Y-1(-)[ )1 31+)1+(- 〕1(-2132+-+A(lJ)) tl ,+.]

-(1-))-'∑it=lL(llXL), (2)

(ただ し.∬。-0)である.この地域 ブラン ドの生産者の中で,正直な生産 者 と日和見主義の生産者の比率は(+α )γ,品質偽装が露呈 していない不正直 な生産者の比率 はβyであるか ら,消 費者が この地域 ブ ラ ン ドに対 して支 払って もよいと考える価格は,

pH-SH-y- H 辞 L-V (3)

次に, 日和見主義 タイプの生産者が高品質の商品のみを生産 し続 ける場合 の利得の割引現在価値は.

(s -u )lH -CI+♂+∂+2-=】旦1-∂二旦三'

低 品質の商品を生産 し続 ける場合 の利得 は,Z- l 32x +∂ +∂J32r+- とお く と,

pHlI+♂1(131+∂(- )) 21 32+ ・+AL(- ,+1 I)]

-(J-Vsl )I=0∂(-I1 x〕f

s-

- ,

-(H V)[ Z]

と表 される 37).高品質 を生産する条件 は,高品質 を生産 し続ける場合の利 得の方が低品質を生産 し続ける場合の利得 よりも高いことであるか ら.生産 者が高品質を生産するための必要条件は,

研究 ノー ト :食品 ・飲料品の地理的表示 に関す る経済学的考察 Jj7

宝 ≦∂(SHIV)Z・ (4)

である 3B). この式 より,高品質商品を生産する追加的費用(C)が小 さいほど, 生産者の過去 の履歴 に関 しての情報 を消費者が知 る可能性(I)が高いほ ど (つ まりZが大 きいほ ど), また市場競争の程度()が低 いほ ど,生産者の品質 偽装が行われに くく集合的評判が保たれ易いことが示 されている.

4.1.2 低い評判の定常状態

ここでは,高品質を生産する生産者は正直なタイプのみになるので.

消費者がこの地域ブラン ドに対 して支払って もよい と考 える価格は.

pL-SL-V- H# yLI V<PH・ (5)

となる. この均衡が実現するための必要十分・条件は,

i ≧♂(sL-y)Z, (6)

である.(2)式 と(5)式か らは,不正直な生産者 と日和見主義の生産者の比率 が十分 に大 きい場合,参入 ・退出率())1に近いほど,nま小 さくな り集合 的評判が保たれ易い.

ここで, (4)式 と(6)式の どちらか一方の仮定のみが成 り立つ場合 は,均衡 は単一になるが,両方の仮定が同時に成 り立つ場合には,均衡の数は混合戦 略を含む 3つになる. この場合は,過去の世代の行動による集合的評判が高 い と,個々の生産者が将来の評判 を保 とうとするインセ ンテ ィブが高ま り,

(8)

138 現代経営経済研究 2巻第 2 研究 ノー ト ■食品 ・飲料品の地理的表示 に関す る経済学的考察 139

高い評判の定常状態が保たれることになる 39) 産すると仮定する. また†生産者の管理団体への加盟や脱退には特段の費用 Ti はさらに.たとえ一時的にであっても, 日和見主義的な生産者が低

品質の生産を行 うようなショックがあると,悪評が消滅するのに十分長い期 l

roe がかか らない とする.

β,

α

個別の生産者 は自分の タイプ 紺を知ってお り,管理団体は , γの比率 を 間(T)がかかる場合 40),低い評判の定常均衡が単一の連続的均衡 とな り,高 知っているが,個別の生産者の履歴については不完全 な情報 しか もたない_

い評判の均衡に戻 ることがで きな くなって しまうことを示 している.つ まり, ある生産者が過去にk回以上,不正に低品質の商品を生産 した場合に, この 地域ブラン ドの構成員による食品偽装等の不正行為が起 きると,不正行為が うち 1回以上の低品質商品の生産 を管理団体が見破 る確率 をrhと表す.諺 行われな くなった後 も悪評の固定観念 ( )が長い間残 って しま

い.集合的評判を回復することは非常に困難になって しまう.ただ し,不正 なお前のモデルと同様,個別の生産者がいつか ら生産を行っているのかに関 t t

sereoypes 定団体は低品質の商品を生産 したことが露呈 した生産者 を永久 に除名す る.

行為による利益が得 られな くするような厳 しい不正行為の取締 り (

,あるいは消費者の ニ ングはで きない. また,すべ てのkに関 して(1)式の仮定が成 り立つ とす

ico t

an しては管理団体は関知で きず,団体 に加盟する前の個別の生産者のスクリー ncmpa agni )を十分に長い期間継続 して行 うか 4

io t rup

間に悪評が伝わるのを阻止するような強力な情報管理によって当初の不正行 451.

為 の 「恩赦」 (mna esyt) を施行す ることによって,評判の高い均衡が回復

される可能性 も示唆 されている. 421.. 高い評判の定常状態

低品質の商品が露呈 しなかった条件の もとで,非正直な生産者のうちでま 42. 委任的 ・内部的排除型

t

)

,

i - 1

だ品質偽装 を行っていない生産者の比率は( ,前期 に参入 して既に低品 食品 または飲料品の地域ブランド商品の個別生産者 をエージェン ト (代理 質の商品を 1回生産 した生産者の比率は(1-i)) 期に存続 している確率は 人). この地域 ブラン ドの地理的表示 を管理す る団体 (以下では,管理団 lL,t期に品質偽装が まだ露呈 していない確率は(1-3).(1-I,であるので,) 体」 と呼ぶ)

歴 に関 して不完全 な情報 をもってお り.生産者が過去に品質の偽装等の品質 偽装 をしたことがない という十分な確信 を持っている場合のみ,その生産者

4)2をプ リンシパル (依頼人) と考える.消費者 は,生産者の履 不正直な生産者の過去の品質偽装が露呈 していない確率は,

1 (

Y-(1-i)[1+) -trl)+12(1-31)(1- )tr2+I.] の商品を購入する.

.,,r) (7)

)上0 i - 1 (

- ∑lL(1-3).(1- 単純化のために,地域ブラン ドが各期 に得た利益 を,管理団体に加盟する

生産者が分け合 うと仮定する. この地域ブランドと不完全な代替関係にある 商品が存在 し, この代替商品の消費によって消費者が得 られる純余剰の大 き

=

.

(ただ し,I 0- )である 46).この地域 ブラン ドの生産者の中で,正直な生 さをγとする.無限回の繰 り返 しゲームを考え.J期 に存在 している生産者が 産者 と日和見主義の生産者の比率は(+α

直な生産者の比率 はβyであるか ら,消費者が この地域 ブラン ドに対 して支 品質偽装が露呈 していない不正 +1期 に存続す る確率 を]∈(1とし.管理団体 に加盟する生産者が廃業 し

た り除名 された場合のみに新規の生産者の加盟が行われて.地域 ブランド内

払ってもよい と考える価格は, の生産者の数は一定であ り4,それぞれの生産者が 1種類ずつの商品を生

) 0,

) 3

i

(9)

140 現代経営経済研 2巻第 2

pH-SH-V-」 吐 ㌧ H+一 LIU. (8) α+γ十βy α+γ+βy

次に. 日和見主義 タイプの生産者が高品質の商品のみを生産 し続ける場合 の利得の割引現在価値は,

H -Ct十∂ ∂ H -C (s -u )l +2 ]- S ~u1-∂ '

であ り,低 品質の商品を生産 し続ける場合の利得は,

pHl1+8(1-x)l∂21 32(- )十 ・十∂t(-1 I),+ ・]

.

-(sH-u)E-D ∂(1-ro)- (1-∫,)

-(sH-V

) [ 了

司 ,

と表 される 47).高品質 を生産す る条件 は,高品質 を生産 し続 ける場合の利 得の方が低品質を生産 し続 ける場合の利得 よ りも高いことであるか ら,生産 者が高品質 を生産す るための必要条件は,

i三言≦♂s -(H U)Z・ (9)

である 48).前 のモデル と同様 に,高品質商品を生産す る追加的費用(C)が小 さいほ ど,生産者の過去の履歴 に関 しての情報 に関す る管理団体 の知識量 (∫が多いほど ) (つ まりZが大 きいほ ど), また市場競争の程度()Vが低いほ ど,

研究 ノー ト :食品 ,飲料品の地理的表示 に関す る軽済学的考察 141

品質偽装は行われに くく集合的評判が保たれ易い.

4.2.2 低 い評判の定常状態

ここでは.高品質 を生産す る生産者は正直なタイプのみになるので, 消費者が この地域 ブラン ドに対 して支払 って もよい と考える価格は,

pL-SL-V-盲 H・# YL-U<PH (10)

となる. この均衡が実現す るための必要十分条件は,

士 官≧a(sL-V)Z, (_1日

である. この定常状態 においては,個別の生産者が分け合 う独 占的 レン トが 十分に高 くないため, 日和見主義の生産者が高品質 を生産 しな くな り,生産 者の除名 と入れ替わ りの塀度が高 まる.

この型のモデルにおいても履歴効果が存在す るため,不正行為が露見 した 場合には,正直 なタイプを含む大半の既存の生産者か ら地理的表示 を剥奪 し 新規参入者 との大多数の構成員の入れ替えを行 うといった措置 を採 らない限

49),一度殴損 した集合的評判の回復 は困難である.

5 結 語

本稿の問題設定 に沿 って,前節の結果 をまとめると以下のようになる.

(1 ) 生産者が 自主的 に地理的表示 を管理 または第三者 に委託す る場合 で あって も, また第三者機関や政府が表示 を義務化 して管理 を行 う場合であっ ても,悪質な生産者 による集合的評判へのただ乗 りを防いで,地理的表示が 地域ブラン ドの評判ない し社会的評価 を高 く保つ ことが可能 になるのは,以

参照

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