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技 術 的 進 歩 の 本 質 .ご 作 用
ツワイクの所説を中心として
石 河 英 夫
津
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一︑序言
二︑技術的進歩の種類
三︑生産の質的進歩の本質
四︑新規財の進歩の本質
五︑生産力の進歩の諸形態
六︑生産力の進歩の方向
七︑生産要素の代位
八︑むすび1集中化の傾向と分散化の傾向
O一
技術的進歩を解明することは︑相當の困難を俘う︒経濟学上︑
/技術的進歩の本質と作用 技術的焚展の各種の形態︑特質を見出すことは︑そ
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㌧
2り
商學討究第三巻第一號
の研究領域が非常に廣範園に亘ることとなるからである︒経濟学上にお塾ては︑技術的進歩が特殊な問題を種タ生ぜ
'しむるが︑かくて生じた各種各様の様相を更に箪純化しなければならない黙に困難がある︒勢働市場︑所得分配︑資
本主義の構造墜化︑技術的稜展の速度︑技術的進歩の實際上の評慣等の色々な問題はあるが︑それらはすべて技術的
進歩の諸要素の中に共通性を有しないので︑異つた規準が必要となり︑軍純な様式の中に嵌め込むことはできないか
らである︒從つて︑分類することは事實上︑妥協の結果に過ぎないこととなる︒というのは︑重要性については︑その
最も本質的なものの規準を見逃さないという意味においてΨある︒勿論︑從來の経濟学においても︑これについて嚴
密な匠別をしたわけではなく︑例えば︑生産財と浩費財との匠別︑耐久財と消耗財または生産各部門の颪別の如く決
定的なものではなく多分に融通性がみられる︒
技術的嚢展が實際に作用するものとして︑例えば︑作業方法の改善︑高能率の新機械の畿明︑エネルギーの用途の
捜大︑人間の生産能力の増大︑産業組織の改善等で︑これによつて生産力が一般に上昇したような場合である︒ま
諏た︑科学的嚢見による優秀生産物の出現とか︑原料の新用途への蒋用により新しい消費財の生産が容易となり︑それ
によつて新しい需要が充足されるという場合である︒
以上の例は技術的襲展の殆ど全部に亙つており︑この中から本質的なものを取り上げ︑これを異つた目的に劉懸せ
しめると︑技術的獲展は大髄三つの鍾類に分けることができる︒
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=
技術的進歩の種類はます次の三種に分けられる︒
る
その一は︑從前と異つた手段︑方法によつて生産力を上昇せしめる場合であつて︑ ︑
それには帥労働手段の改善︑勢働
!
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方法の改革︑入間自鎧の作業能率の増進︑産業組織の高度化にょつて勢働の生産性を増大ぜしめるすべてが包含され
る︒斯る稜展を﹁生産力の進歩﹂(団目oσq器u・ロ冨筒o卑訂︒舘く一ξ)と名付ける︒これは勢働の集約化と艸労働の生産性を
増大せしめる︒同一の生産物が從前に比して容易に生産され︑その結果は︑同一の帥労働量で大なる生産量をあげるこ
みができる︒それ故︑本質的にはこれは量的進歩(£葛暮詳蟄試ぐo鷲o鳴①器)である︒・7.
その二は︑既に生産され市場に嵩廻つている商品の品質の改善の場合であつて︑斯る改善のための手段方法とは
無關係である︒これは科学的襲明の結果︑衣料が從前よりも丈夫になつたとか︑硝子の脆弱性を減少せしめるとか︑皮
革の揉し方を攣えることによつで優秀な物が作り出される如きで︑斯る場合を﹁質的進歩﹂(£葛H詳暮才①鷲o鴨$q陰)
と呼ぶ︒その重要な特質は生産物の改善であつて︑量の檜大ではない︒換言すれば︑同一の生産費を以つて︑從前よ
り優れた製品が作り出されるのであつて︑從前よりも多量に生産物が産出されるのではない︒
その三は︑新しい稜明にょつて︑從來まで全く知られていなかつた新たなる消費財の生産が可能となり,それにょ
つて新たなる需要が充足されることとなる︒斯る場合の例として︑今世紀におけるラジオ︑蓄音機︑自動車︑飛行
機︑電氣器具等がある︒この技術的嚢展の型を﹁新規財の進歩⁝(国oσq話湊言ぎく①崔団)という︒
は以上三つの技術的進歩の差異は重要であつて︑その各々の種類を異にすることによつて︑異つた影響を齎らす︒
①生産力の進歩
生産力の進歩は︑生産物﹁輩位當りの生産費の節約に基づいている︒企業者にとつては︑生産力の進歩は生産物一
翠位當りの費用の減少について示されるところの生産組織の改善にある︒生産能率の高い機械と錐も︑機械そのもの
の費用が甚だしく高いため生産費の低減に役立たないような機械は︑企業者にとつて技術的進歩に寄與するものとは
認められないのである︒從つて企業者にとつての進歩の規準は︑.ただ生産費節約にあるので︑それは同一の生産費を
技術的進歩の本質と作用
'
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●● 剣
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/商學討究第三巻第一號
以つて生産量の増大を圃るか︑或は少い生産費で即ち勢働乃至は機械使用の節約の如ぎ資本的支出を創減して︑同一
の生漆量をあげるか︑そのいすれかである︒しかし︑勢働の量的削減のみならす︑不熟練勢働による熟練勢働の排除
が行われる場合もある︒即ち︑生産のため以前に必嬰としたと同一の勢働量を必竃要とはするが︑技術的進歩によつて
熟練螢働の代りに︑低廉なる不熟練勢働が用いられるとすれば︑賃金において練熟勢働は不熟練勢働の幾倍かに相當
する限り生産費の低下が圖られるからである︒
同様に︑入間の作業努力への刺戟︑人間の力の増大した使用︑勢働に封する人間の能力はこの部類に入る︒例え
ば︑生産に要した時間は低下せられなかつたが︑或る心理的な刺戟によつて︑勢働者の力が増大して︑その結果能率
的な作業をなした場合の如きは︑一定時間内に從前よりも生産量を増加せしめたこととなる︒
次に︑市場に商品を出すに至るまでの時間の短縮もこの部類に入る︒このことは︑人間の努力や作業時間の短縮を
意味しているのではなく︑ただ生産物の慣値實現のために要する時間の創減という黙にある︒とれによつて︑生産に
要する資本を弐の使用のために利用せしめ︑更に利子の節約ともなる︒生産過程において惹き起される災害や事故の
減少等もこれに入れうるであろう︒
以上の﹁生産力の進歩﹂と稽する技術的進歩は︑同一の生産費を以つて︑從前と同じ生産物を増加した量で生産す
ることでみる︒しかし︑生産物の・㎜質そのものは依然として攣化はない︒この種の技術的進歩は︑製品の市場への供
給を増加せしめる︒その結果︑需要が増加した供給に伴わなければ﹁技術的失業﹂(日①oげ乱o巴ロ旨o塁覧o気目①暮)に
直面する︒即ち︑それは生産の増加にょつて惹き起ざれる失業である︒
②質的進歩
質的進歩は︑生産物の量の増大ではなく︑品質の向上である︒從前まで見うけられなかつた全く新しい商品が生産
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されたのではなく︑從來まで禺廻つていた商品ではあるが︑それに僅かでも︑例えば︑外槻とか︑耐久性の鮎におい
て改善を加えられた場合である︒斯る進歩は種々なる方法で齎らされる︒例えば︑薪しい精密な機械の導入とか︑勢
働者の熟練度の向上︑或は特殊な生産過程の利用による原料の使用方法の改良等である︒この種の進歩はユ般には資
本と勢働とを節約しない︒また︑技術的失業も生ぜしめない︒更に︑商品の供給量も増加しない︒逆に需要を増加せ
しめる︒良質の商品を從前と同一乃至僅かの違いの償格で提供するからである︒生産物の質的進歩は︑新たなる雇傭
を生ぜしめないであろうが︑それによつては技術的失業は惹き起さないであろう︒斯る進歩の程度は︑質的に向上し
た商品に樹する需要増加如何によつて知られうる︒・
尚新規財の進歩・
新規財の進歩は︑全く新しい消費財の生産であつて︑新しい種類の商品が新しい需要を充足せしめる場合である︒
斯る進歩によつて造り出された新しい商品は消費財であつて︑生産財ではない︒その進歩の程度は︑その新奇な商品
の便値如何によつて知り得る︒しかし︑例えば︑人造石油の如きはたとえそれが技術的観瓢からは重嬰なものであつ
ても︑その稜明の生産的償値が限られ︑また新たに雇傭する勢働者の敏も僅少である以上︑企業者にとつては大した
債値はない︒しかるに自動車の如き場合には︑合衆國の各種の生産段階に敏百万人の雇傭を生み出し︑技術的進歩の
鮎か叙最も重要なものの中に敏えられる︒新規財の進歩によつて造り出された追加的雇傭は︑生産力の進歩によつて
生じた技術的失業とは反封に︑﹁技術的履傭﹂(日①9昌︒巴Φ塁覧o団葺o暮)と呼ばれる︒
のぼ以上ρ技術的進歩の三つの匿分は︑その本質において各々異つているが︑嚴密な境界線を設けて賦別し得ない場合
が多い︒というのは各々が重複して現われるからである︒例えば︑從前よりも良質の商品の生薩は︑同一商品の数量
的に壇大した生産の場合と同様の結果を齎らすこともある︒從來のものより二倍の耐久力をもち︑しかも伺一の生産
・技術的誰歩の本質と作用
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● '
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曜
臨
商學討究第三巻第一號
費で作られた靴は︑以前の靴の二足分の贋値があると看傲すことがでぎる︒從つて︑以前のものよりは耐久力が二
倍もある一足の靴は︑從來の靴の二足分の働きをすることとなる︒それがために︑從來よりも良質な靴に封する需要
は減少する場合もあり得るであろう︒從つて︑或場合には﹁質的進歩﹂は経濟上の観瓢からすれば﹁生産力の進歩﹂
と同様な結果を惹き起すであろう︒しかし︑かかる場合は例外的であつて︑一般的には質的進歩は生産力における進
歩とは画別されねぼならない︒
質的進歩はまた︑屡々新規財の進歩と重複する場合がある︒實際には︑良質の商品は結局新規なる商品ということ
になる︒経濟上の観鮎からして︑多くの場合にそれを恒別し得ないことから︑新規商品と從前からあつたが品質の窯
において改良された商品との匠別は屡々無覗される︒しかしこれがため︑質的進歩と大規模生産による新規財の進歩
とは異るという事實は否定し得ない︒それはまた︑肚会的所得並にその分配の堀加に影響を及ぼす︒
斯る三つの技術的進歩をその重要度からすると︑ます生産力の進歩があげられる︒これは資本主義の技術的構造を
形蔵し︑技術的失業と關聯ーて最も重要な問題を提起する︒第二に重要なのは新規財の進歩で︑それが重要性は時間
的維過と共に墜化して行く︒或時期においては最も重要なものとして現われてくるが︑他の時期においては全く現わ
れなくなる︒技術的雇傭という重要な問題を提起するが︑生産力の進歩にょつて惹き起される問題ほど重要ではな
い︒質的進歩は重要性は低い︒勿論︑或商品についての品質の改善を問題にはするが︑しかし︑大規模な質的技術の
進歩の時期は過ぎ去つたのである︒質的進歩は新規財の進歩と生産力の進歩との中間の段階にある'その性質は︑と
きによつて爾者は類似している︒一般的にいつて︑質的進歩は技術的央業もまた技術的雇傭をも生ぜしめないのであ
る︒
以上三つの技術的進歩を匠別はしたものの︑各々は互いに補足し合つており︑それらを相互に結び付げるのが︑技術
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'
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的獲展の目標ででもある︒しかし︑慮々にして質的進歩は量の犠牲において途げ︑概して上暦階級の利釜に役立たし
めることとなる︒それに反して︑生産力における進歩は慮々にして質を犠牲にしてなされ︑大衆の利釜に合致する場
合がある︒また︑新規財の進歩は醤い生産部門を蟻牲にしてなされ︑資本︑勢働の如き生産手段を奮部門から吸牧し
てしまう場合もある︒
次に生産の技術的進歩の各々の形態につき︑次節以下において︑より詳細な内容分析とその作用に亘つて槍討して
みることとする︒
≡…
生産の質的進歩の問題は︑技術的進歩の中で最も複難である︒質的特質の明確な匠別は︑量的特質にょる匝別より
は難しい︒量的要素は測定され︑比較され得るが︑質的要素は殆ど理解困難な憂化のモザイクである場合が多い︒
生産力の進歩においては︑同一の生産費で大量の生産をなすため︑一軍位當りの生産物のコストの計算はなし得る
が︑質における生産力については斯る計算は判般には不可能である︑ただ質的進歩が商品の耐久性を増大せしむる場
合のみ︑或程度の計算が可能である︒斯る場合には︑質における進歩が量における進歩に接近しているからである︒
耐久性以外に︑商品の敷用も見逃し得ない︒質における進歩は︑商品の品質︑大いさ︑型︑外襯等にょグ個々の商品
の需要充足の度合を改善してゆくにある︒例えば︑食糧品の場合には︑味畳的︑螢養的︑健康上の橿値について製品
を改善するとか︑衣服については︑色︑型︑繊維等について改善する場合の如きである︒
生産の質的進歩は︑同一の生産費で從前よりも秀れた商品が生産されるならば︑需要は増大し︑その結果は追加的雇
傭を生ぜしめる姻質的進歩が耐久性の増加にある場合でも︑技術的集業を生ぜしめない︒既述の如き品質の秀れた一
技術的逡歩の黍質と作用.
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O
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足の靴が︑從前の二足分の耐久性を有する場合も需要を減少せしめない︒一般にはむしろ消費者は種々なる場合に履
く靴を欲するようになる︒例えば︑普段履とか︑スポーツ用とか︑鹸所行の靴の如くに︒また︑品費の改善は消費者
の趣向を向上せしめ︑より秀れた品質の靴に封する需要を刺戟する︒
質的進歩は︑勢働者の技術を高め︑消費者の生活水準を向上せしめる︒質の進歩は︑より良き商品への需要を檜大
せしめ︑間接的に雇傭を増加せしめる︒それ故︑一般的には質的進歩は分配の組織を撹臨しない︒質的進歩の程度
ノは︑個々の場合の需要量及び需要の性質︑改善された商品の競孚力︑またはその商品が破壌的なものか︑建設的なも
のか︑或は奢修品であるか︑一般向の消費品であるかにょつて決まる︒質的進歩の影響力は︑晶質が改善され高級品
となつたものが︑從前の商品を排除する場合と︑前者と後者とが距存する場合とでは異る︒さきの場合は既存の商品
ρ減償を惹き起し︑資本の莫大な損失を招くであろうが︑後の場合は何等の損失を生ぜしむることがない︒
四
新規財の進歩は︑新しい需要を充す︒それは人間の需要内容を豊富にし︑更にそれによつて文明の進歩に寄與す
る︒
新規財の生産における進歩は︑もつばら浩費財の生産に存し︑新しい機械器具の如き生産財の分野における新規財
はこれに含まれない︒それらは既存の沿費財の生産量の増加を目的とし︑﹁生産力の進歩﹂の中に入るのである︒こ
こに新規財の進歩と生産力の進歩の根本的な差異が存在する︒前者は財の供給のみでなく需娑の本質にまで影響を與
える︒しかし後者は︑生産を増加せしめるとか︑生産費を低減せしめるとかいうことによつて︑直接に財の供給のみ
に影響を與える︒
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の
,
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︑
新規財の生産における進歩は︑噺しい商品ノに封する需要を喚起せしめ︑斯くて新しい部門の工業が出現することによつて︑費本と苗〃働に封する需要を生み出す︒新規財の進歩は︑資本に封しては有利な投資則能性を︑榮働に封して
は新しい履傭の機会を︑滑費者に樹しては新しい消費の可能性を與える︒
新生産財は︑新しい生産部門を生み出す,即ち︑新機械の嚢明は斯る機械を生産する工業部門を現出せしめると主
張され得るが︑生産財としての機械と消費財との間に根本的な相違がある︒機械は︑それが生産する財の供給を檜加
せしめ︑新しい需要を形成し︑創出しないが︑それに反して︑漕費財は新しい需要を生み出す︒それ故℃機械は技術
的失業を生ぜしめる場合もあるが︑消費財は︑技術的雇傭を新たに創り出すであろう︒
新規の消費財が市場に出廻るときは︑斯る財の生産と消費とは必然的に失業者を就業せしむることとなつて︑肚会
の購買力を増大せしめる︒國民所得は︑この部門の工業に勢働の新規の雇傭が生するため全膿として増加する︒斯る
場合︑それによつて他の生産部門に何等の損害を惹き起さしめない︒同時に︑肚会の需要充足の能力は増加し︑需要
の大いさも漸次擾大してゆく︒
新規財の進歩は︑その過渡期においては一國の繁榮にとつて重要である︒第一次大職後殊に一九二〇1一九二九
ノ年に目動車は合衆國q繁榮を形成した要素であつた︒彪大な新工業を現出せしめ︑それによつては他の生産部門には
何等の損害をも及ぼさなかつた︒生産力の進歩にょつて街頭に放り禺されていた敏百萬の勢働者を︑その生産部門並
にその關聯生産部門へ吸牧せしめるに至つた︒
'新規財の進歩は生産力の進歩によつて生じた経濟上の掩齪を調整する︒從つて︑技術的進歩の好ましい月標とする
ところは︑新規財の進歩と生産力の進歩との歩調を揃えることである︒それは爾者が互いに補足し合い︑しかも⁝勢働
市場に補完的な影響を有するからである︒技術的進歩が︑主として生産力の進歩であるときには︑勢働は過剰とな
技術的進歩の本質と作用,
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る︒斯る場合︑所得の不均衡のために央業と貧困とが増大する傾向にある︒他方︑技術的進歩に新規財の.進歩への傾
向が見られるとき︑何等かの生産力の進歩もなく︑それがために均衡を得ている生産の諸要素を吸牧するのは新規の
浩費財生産である︒從つてこの場合︑生産諸要素の引き上げによつて︑損害を蒙るのは既存の消費財生産である︒し
かし︑生産力の進歩が新規財の進歩と歩調を共にする場合は︑機械化によつて工業部門から投げ出された勢働は︑新
規の消費財の生産に吸牧されるであろう︒それ故︑技術的進歩の理想とするところは︑生産力の進歩の新規財の進歩
.による適當な調整という黙にある︒̀,新規財の進歩の特質は種々で決して輩一なものではなく︑重要度において差異がある︒また︑その技術上の進歩に
ょつて生産される財の性質如何によつても異る︒それ故︑新規財の進歩の問題を取扱う場合には︑それ等の特質に注
意せねばならない︒
①第一は需要の強度である︒需要が低いときは︑経濟活動の黙からして焚明の重要性もまた低い.他方A新商品
が大なる需要を伜い︑且つ︑その結果資本と勢働に劃する需要を喚起する如き嚢明は︑経濟襲展において︑最も重要
なものである︒斯る場合には︑需要の全構成を攣化せしめ︑一國の工業化を促進せしめ︑實質的に國民所得を増大せ
しめる︒
9②第二の黙は︑新商品は國内向消費財であるか︑外國向消費財であるかの問題である︒海外市場へ向けられる新
規なる商品は︑普通大なる利潤の源泉となり︑また追加雇傭の因でもある︒例えば馬合衆國の自動車の輸出の如きは
これである︒
③新商品と奮商品との競孚の程度︒新商品は既存の商品に射する需要を低下せしめすに︑新たなる需要を充す場
合もあるし︑また市場より既存の蕎品を閉あ醇す場合もあり得る︒後者の場合は︑新生産部門が既存の生産部門を犠
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も 辱
O
嚇
〆
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牲にして勃興する︒前者の場合は何等の混齪も生ぜしめない︒かくて︑競孚力の低い商品は︑勢働市場において有利
な結果を得ぜしめるが︑反封に︑競孚力の高い商品は余り有利でない結果を齎らし︑新規財の進歩はこ之において︑
その性質上生産力の進歩に近付いてくる︒
㈲吹に競争の程度ばかりでなく︑競争の様式をも考慮しなければならない︒新規の商品が既存の商品と如何なる
程度まで競争するかとこと以外に︑薪規商品が︑それまり質の劣つた代用品という意味の蓉商品を排除し得るかどう
か︑或ば新規商品が高級品という意味で競孚力のある商品であるかどうかにある,
斯る下級の代用品と高級の商品との匝別は曲所得の分配について技術的進歩の影響を考慮する場合に重要となる︒
新規財の生産の進歩が︾所得分配の構造にかかわつているのである︒肚会において︑國民所得の大部分が上暦階級の
手中に占められているときは︑高級品の獲得と︑量的にも質的にも各種の商品を取得する機会が與えられている︒大
ゆへ衆の分前が増加すれば︑上暦階級に猫占されていたものに近い品費の商品の獲得に恵まれるであろう︒それによつ
て下級代用品は上暦階級の消費により接近した大衆向消費となる︒
働新規財の積極的(娼o・︒崔くΦ)慣値と消極的(β︒σQ暮写①)償値につ耐て考察する︒新規財の生産における進歩に
ょり生産される商品は︑経濟上︑積極的慣値と消極的儂値を有するとも考之ら血る︒アメリカの有名な経濟攣者のセ
リーグマン(国百名一買閑'bの⑭①一即窟鉾β)撃この観黙に立つて︑生産された財を四種に分けた︒" ヘノノa細Oロ駐詳才Ob属O暮円鑑C詔器8h巳d⇔①︒︒育信9ぞ①くくくく積極的なものは︑例えば︑食糧品︑衣服︑家屋︑自動車の如きもので︑この種の財の生産は肚会の生産能率を高め
る︒斯る性質の財を生産し浩費することの多い肚会は︑高い生産能牽を示す︒
中性的なものは︑例えぼ︑紅茶︑コーヒーの如き性質のもので︑斯る種類の商品を大量に生産し︑・浩費する肚会は
技術的進歩の傘質と作用
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'
﹁ 36 ●
商學討究第三巻第一號
生産能牽を増加せしめない︒
浪費的な性質を有する財において︑肚会の生産能牽は︑斯る財の生産と消費とが過剰となるならば危機に曝されて
いる︒これは例えば︑絹︑刺繍物︑絨級︑ダイヤモンド等の馨修品の生産についてみられる︒
破壊的な性質の財については︑その生産と消費賦︑肚会の経濟的要因を破壊する︒酒類︑阿片︑毒瓦斯︑銃砲器等
の生産は破壊的な性質のものである︒.
セリーグマンのこの理別の標準は︑薪規財の進歩に利用することができる︒ここにおいて重要なのは生産物が積極
的な財か︑破壌的な財であるかを匿別することである︒
新規財の進歩の理想は︑積極的な財の生産にのみ向けられなければならない︒かくてこそ︑大衆の生活水準の向上
と國民所得の一般的増加が得られるであろう︒それに反して︑新規財の生産の進歩が︑軍需工業の破壊的財の生産に
くコ主として利用されるならば︑斯る技術的進歩は︑貧困の要素であり︑また國内及び國際的経濟生活の破壊となるばか
りである︒斯る進歩はただ徒らに軍需品の生産費を昂縢せしめ︑國民の生活水準に重璽を課する結果となる︒
鳶
﹁,五
生産力の進歩の本質については既に述べたところで働つてhこれが具艦的には新しい機械の導入によるとか︑作業
を新たに組織化するとか︑または人間の努力を刺戟することによつてか︑或は一企業軍位が全生産組織過程の聯繋の
高度化による産業の組織化のいすれかにょつて生塵費の節約をなすことである︒また斯る節約が勢働乃至資本にょつ
てなされることを理解することも重要である︒
この場合︑われわれは第一の問題を﹁形魍の問題﹂(進歩の方法)と名づけ.︑第二の問題を進歩の﹁方向の問題﹂
!
! O
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奮
と呼ぶ︒これらの問題は︑質的進歩や新規財の進歩においては︑これらに態々分けて叙述する程の橿値はない︒從つ
て︑生産力の進歩についてのみ進歩の形態の問題を取扱う︒
'生産力の進歩のすべては︑次の四つの形態に分けることができる︒
①機械化(崔⑦︒ぽ蟄巳N蟄寓oβ)働合理化(閑簿葺o昌錯貯暮ざβ)
働産業心理(Hβ自・︒窪一巴掲︒Ω同OぼOざσq鴇)㈲産業の組織化(H己羨貯芝9σq碧貯註o昌)
これらの形態に分けたのは︑その及ぼす影響が必すしも同一ではなく︑詳紬な槍討を必要とするからである︒しか
し︑ここに用いられた用語は︑一般に慣用されているものと一致していないことに留意して貰いたい︒
侮機械化
機械化には勢働手段の技術的改善の一切を含む︒それ故︑軍に機械の導入乃至改善のみならす︑一切の器具の改良
もこれに團さしめる︒技術の獲展の現在の段階においては︑機械の導入若くは改善は最も重要な要素たることは明瞭
である︒機械力による人間勢働力の排除︑改良された器具や自働的機械による人間の熟練の排除などはこれに該當す
る︒薯の例は蒸蔑關やヂをル.モ歩志あり︑讐の例としては︑タイごフン汐る活宇蟹器である︒勿
論︑多くの場合には︑動力機と作業機の結合が見られる︒しかしまた︑機械は動力機のみのもの即ちモーターの如き
ものもある︒ときには︑機械と稻せらる玉ものには酒入間勢働が動力となり︑熟練を排除ずるものも群見うけられる︒
生産の機械化は︑生産組織︑生産過程︑勢働者の心理︑勢働者と使用者との關係に大きな攣化を齎らす︒また︑複︾
雑な機械に劉する需要の漸増は︑尤大な資本と亘大な生産箪位を形成せしめ︑その結果は生産の集中を招來する︒生
︑産の機械化は新機械イ器具を生産する新工業部門を現出せしむることにょつて︑生産期間を擾大する︒これがため︑
37生産の中間段階が増し︑いすれも最絡の段階即ち消費財生産?の準備的な役割をなす︒生産財若くは資本財の割合を
技術的進歩の本質と作用
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認 商學討究第三巻第一號
増加せしむる現象が︑事實上工業化(目昌幽塁書ぎ崔N客ざ昌)の本質である,斯くて︑生産期間延長の結果は︑経濟憂動
の範園を損大せしむることとなゆ︑生産のテンポに重大な攣動が生する︒また機械化は生産量に封して猫立の費目た
る不憂費用を増加せしめ︑可鍵費用を減少せしめる︒これが更に廣汎な経濟攣動を齎らす︒例えぼ︑生産における猫
占またはカルテル化を生ぜしめ︑経濟的諸要因の弾力性を喪失せしむるが如きである︒
@合理化.
生産の合理化は︑勢働組織着くは生産過程の改善であつて︑その改善が齎らされるのは︑新規の或は改良された機
械器其の導入によらない場合である︒勢働の生産性の増加は︑ここでは何等それに樹慮する機械化を俘わないのであ
る︒原料またば榮働の節約を圖るために生産の方法を改善するのである︒例えば︑從來と異つた分業方法によつて浪
費時間を溝滅せしめて圓滑な作業を行い得るようにするとか︑嚴重な生産管理を行うとか︑機械の連績的操作の如
き︑これの有歎な使用によつて運韓費用を低減せしめるなどの場合である︒以上の場合においては︑既述の如く艸労働
手段そのものには何等の改善も施されすに行われる︒しかし勿論︑合理化は屡女機械化と共に生するし︑同様に機械
化はまた合理化と結びついて行われる︒ただ︑この二つの技術的進歩の形態が異つた歌態で現われ︑また異つた結果
を與えるので匠別されねばならない︒
帥労働の合理化についての二︑三の例をあげてみる︒テイラー(蟹目o臼匡︒犀宅.日レ覧o目)の後繊者のギルプレス(周養β犀
Φロぴ器序)は︑最小の努力と最大の時間節約を圖るため︑個敬彿作業としての勢働者の動作について︑時間研究のフ
イルムを作成した︒これによつて︑基本的な動作を示し︑最も迅速に︑しかも時聞と螢力の節約となり得る蓮動の標
準をたてた︒ギルブレスは永年建築作業の研究に從事し︑それによつて︑煉瓦積み作業の十八の運動のうち十三は完
奎に不必要な蓮動であるとし︑五つの蓮動に制限した︒その結果は︑以前の∵時間當り百十箇の記録に野し︑三百五
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隔
︑
●
'
39
十箇の煉瓦を積むことを可能ならしめた︒これは典型的な㎜労働の合理化の例である︒・Ψ
経管者と被傭者間の職能の嚴密な分化に基づく勢働組織のあらゆる改善︑同様に高度に獲達した專門化︑経螢管理
部門による準備作業の途行も︑さきにあげた科学的管理法として知られている部類に入る︒勢働者は職長より彼の行
う作業や︑使用原料や︑用うる工具等の詳細に記入した指圖カードを受領する︒あらゆる準備浩動や︑作業の最有敷
な方法の槍討は経螢者の職能である︒以前自分自身でなした勢働の一部は︑合理化した組織の下では︑事務的勢働者
によつて引き糠がれ︑彼等の指圖︑統制︑統計︑計書によつて手先の仕事の一部を不必要ならしめる︒
合理化にはまた︑謂わゆる傳途帯(ooβ<o同窪ぴ巴審)をも含む︒それによつて︑螢働者は嚴密に限られた時間内で︑高
度に自働化された移動ベルト上の課業を行う︒定められた時間内に作業を途行し得ないときは︑同一の移動ベルトで
作業をしている後の受持の勢働者達は全組織を休止乃至は混齪せしめるであろう︒この種の合理化は︑注意力を集中
し得る熱練帥労働者を必要とする︒さもなければ︑損害が惹き起され︑コストを低減せしめす︑増加せ㌧めるから癒ある︒
合理化の齎らす影響と機械化のそれとは異つている︒機械化は例えば︑機械製造のための他の生産部門を生ぜしめ
て生産期聞を延長し︑それによつて生産の段階を塘加せしめる︒合理化には斯る現象は起らない︒機械化にあつて
は︑不攣費用の増加によつて生産費の構成に攣化を生ぜしめるが︑合理化は通常斯る結果を惹き起さない︒また︑機
械化によつて生する分業は︑合理化による分業とは異つている︒機械化は機械の焚明者と︑それを生産する勢働者
と︑それを運韓する勢働者の間に分業を生ぜしめる︒合理化の場合には,作業の大部分は事務的監督的勢働の手に移,
り︑工場における知能的帥労働者の敏を増加せしめる︒更に︑合理化は高い資格を具えた高賃金の勢働者階級を生ぜし
めるが︑機械は屡々熟練勢働者を不熟練帥労働者を以つて置き代える︒
39③産業心理
技術的進歩の本質と作用"
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'
ゴ吟
商學討究第三巻第一號
産業心理とは︑勢働者を刺戟してより剛暦の努力をなさしめて︑榮働の生産性を向上せしめる技術的改善で︑生産
途行者または作業實施者としての人間自身の改善である︒
例えば︑室氣の流通︑探光︑清潔などの工場施設の改良による勢働能率の増進をはかるとか︑勢働者の技能訓練︑
疲帥労研究︑艸労働者の能力測定のための心理的テストの實施︑賃金水準を高めること例えば︑刺戟給として出來高佛制
と賞與制とを結合する如き方法によつて生理学︑健康上許す限り勢働者の努力をなさしめるなど生産性の向上を企圖
する方法である︒
すべてこれらの技術的改善は︑榮働の産業心理学の適用ということができる︒この目的は︑⁝勢働者の心理に影響を
與えることによつて︑勢働の生産性を高めるにある︒この方法の最も重要な適用は部分的には生産の合理化ではある
が︑これがテイラー・システムにみられる︒テイラーは︑作業に創意並に刺戟となる要素をとり入れ︑それによつて
最大の敷果をあげ得るため︑産業心理に科学的根撮を與えた最初の人である︒現在の機械生産と勢働の合理化は︑作
業に樹して或程度の鋭敏な感畳をもつた積極的で熟心な帥労働者を要求する︒しかし︑斯る産業心理は︑軍に人道的立
場からのみでなく︑生産の低減という観勲から工業における事故︑災害を低下せしめる第一の要素である︒
合理化と産業心理は弐の鮎において異る︒合理化は純粋に外的要素を用いて勢働組織を合理化するにあるが︑産業
心理は人間艸労働に封して︑心理的刺戟を與乏︑生産力の増大を目標としている︒更に︑合理化は特定の部面における
生産力の増加を惹き起すが︑産業心理はすべての生産部面において勢働の生産性を高めんとするものである︒この爾
者の相違については︑次の如くいうことができる︒即ち︑合理化は勢働組織の改善若くは生産のための或る明確な行
爲の合理化であつて︑産業心理は眞に人闇自身の合理化であると︒また︑産業心理の問題は勢働者の訓練及び知能︑
努働者の健康歌態︑適正な作業時間︑賃金支佛制度など︑要するに廣汎な賃金の問題が包含され︑一般に高賃金を招
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︑ ▼
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■
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︑來せしめるが︑合理化には斯る結果は通常生じ匁い︒
勿論︑合理化と産業心理の間に明確な境界線のある場合も多いが︑技術的進歩が同時に︑合理化と産業心理の双方
一に圏している場合もある︒例えば︑ベルト・コンベァー使用の場合は︑一方において軍純化された労働は合理化の部
類に薦するが︑他方勢働者を豫定時間内に課業を途行せしめんとする強制を課することによつて︑それが心理的刺戟
として作用するような場合で亀ある︒・,
㈲産業の組織化
産業の組織化は生産力を高嵌る技術的進歩の第四の形態であるが︑ここでは︑生産力の増加が軍に一企業軍位の力
によつて生するのではなぐ︑勢働の全集産的組⁝織と關聯して生する場合をいう︒とれは企業聞の協定或は立法化によ
つて行われることが多い︒例えば︑製品の標準化の問題︑企業の合同またはカルテル結成の場合︑更だ優秀工場に磯
註をするとか︑最有利な立地條件を具えた地鮎へ工場を移駐するとか︑或は生産の慣値實現のために要する時間の創
減などはこれに薦する︒殊に標準化による品質の統一は︑これによつて使用機械器具の種類は減少せしめられ︑また
工場の在庫品の低減を可能ならしめて資本を解放する︒或商品について百種類の型のものが存在しているため︑少く
も各型について二+のストツクを有しなければならないとした場合に︑型を五十種に限定したとすれば︑同一取引量
をあげるためには以前の在庫の牛分で間に合うこととなる︒實際の例として︑アメリカにおいて電球の種類が︑標準
化によつて一九〇〇年に五万五千種のものが︑一九二三年には三百四十二種に減少せしめられた︒
斯る産業組織化における技術的進歩は︑廣い意味で工業の特殊化であり︑その結果は生産を増大せしめる︒また協
定乃至は法的強制手段によつて不良工場の作業瓢限或は禁止が行われ︑能率の高い工場に移され︑ときには專門化が
各種の工場間の分業という形で導入されるならば︑工場はその猫得の特殊製品の生産に專念し得ることとなる︒産業
︑︹技術的進歩の本質と作用︑
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︑
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商學討究第三管第一號塾
}の組織化は工業の集中︑猫占を惹き起す︒それが他の生産力の進歩の諸形態と匠別し得る特徴は︑
資本の解放にあり︑一般に資本節約を可能ならしめるからである︒ 工業における固定
42
凸
4、
生産力の進歩の分析については︑その形態のみでなく︑その方向についても考察されねばならない︒そのことは︑
賃金の節約の方向か︑利子節約にあるのか︑或は地代の節約にあるのかということであろう︒ここでは︑技術的進歩
が生産の諸要素の構成やその量的關係に作用する影響を問題とする︒從つて︑生漆費の低減された量のみならす︑生
産の各要素間の生産費の割合の攣化をも考慮にいれなけれ.ばならない︒
斯る場合︑重要なことは生産費の低減は如何なる支出項目によつたかということにある︒節約は総掛費(O<⑦}雪詣
︒o・陰け)或は可攣費用に攣化を及ぼすか︑支出の切下げは勢働の節約であるのか︑或は資本の節約であるのか︑更に︑
勢働の節約は筋肉勢働か事務的榮働か︑熟練螢働か不熟練勢働かということが問題となる︒ここでは生産要素の一般・
的な分類に從つて︑資本笛約嘘労働節約︑土地節約の各々の進歩の匝別を設ける︒
資本節約の進歩(O趙詳筥‑撃く冒σq鷲oσq円①︒・匂︒)は利子節約︑即ち生産の一箪位當りの生産費中利子負憺の低減を生ぜ
しめるが如き嚢展である︒螢働節約の進歩(昌導o霞‑撃く冒oQ鷲oσq呂訟辺)は賃金並に健康保瞼︑失業保瞼の如きそれと
類似の費用の節約︑即ち一般支出のうちにおける賃金の低下を生ぜしむるが如き獲展である︒土地節約の進歩(目磐9
ー撃言昌σQ鷲oσq屋塁)は生産一箪位當りの生産費中における地代或は他の土地負憺を減少せしむるが如き獲展である︒
以上の匠別は︑所得分配の問題に關聯して重要である︒一般的にいえば︑榮働節約の進歩は勢働階級の所得を減少
せしめることとなる︒資本節約の進歩は資本家階級の所得を︑土地節約の進歩は地主階級の所得を減少せしめる︒生 ●
晦 φ
産力の進歩のうち機械化︑合理化︑産業心理は︑結果として通常︑勢働節約の進歩を惹起する︒標準化によつて資本
の解放となる産業の組織化は︑資本節約の進歩を招來する︒農業における技術的進歩は︑從來より狭小な土地面積よ
り同一の生産量をあげ得るという黙で資本節約の進歩に該當する︒
技術的進歩の方向の問題の中で︑それが勢働の節約を促進しようとするものであるか︑土地を含めて廣い意味にお
ける資本の節約を促進せしめようとしているのであるかが重要な意味をもつ︒現代の稜展は︑生産段階において直接
的にか聞接的にか勢働節約の進歩の方向に進んでおり︑斯くて︑勢働節約の進歩は最も重要であると言い得る︒・
ただ︑技術的失業を生ぜしむるのは榮働節約の進歩の場合だけであって︑廣い意味における資本節約の進歩は︑一
般的には技術的失業を生ぜしめない︒むしろ資本(または土地)における節約は︑何等か他の企業に樹して資本の解
放を意味しており︑これは解放された生産資本にょつて生じた勢働に謝する需要に等しい︒それ故︑技術的進歩の理
想とするところは︑勢働の節約のみでなく︑資本の要素をも包含すべきである︒
43 '
七
技術的蛙歩にょつて生産費の項目に生する攣化は︑生産の或要素の節約としてばかりでなく︑或要素の代位として
現われる場合がある︒生産費の或項目の減少が他の項目の増加と拳行する場合︑例えば︑技術的進歩が軍に勢働費を
低減せしめるのみでなく︑同時に資本費用の絶封的な増加を來す如き場合である︒生産物軍位當りの生産費が︑例え
ば百圓で,内七十圓が帥労働費︑三十圓が利子負澹とすれば︑新技術の探用の結果として生産費のうち榮働費が四十圓
となり(三十圓の減少)︑利子負捲が四十圓(十圓の増加)となる場合である︒斯くて︑勢働費の三十園の減少にも
かかわらす︑生産の輩位當りの純節約額は二十園となむ︒即ち︑この場合には生産費目において・十圓の代位が生じ
技術的逡歩の本質と作用..
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'
噸 ◎
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商學討究第三巻第一號
たのであ・︒
以上の場合は︑生産費の或項目が他の項目によつて代位せられたのであつて︑とれは生産費の節約の過程ではな
く︑技術的進歩の結果生じた代位の過程である︒
技術における嚢展は︑工業の生産要素の牧釜性を高めることとなるので︑斯る要素は色々な形で用いられることと
なる︒技術の或段階においては熟練勢働を使用することが有利であり︑技術的獲展の他の段階にあつては︑不熟練勢
働を雇傭する方が有利な場合もある︒また︑技術的稜展の或段階においては︑機械の導入と多数勢働者の排除が有利
な場合もあり︑他の段階においては︑事務的︑監督的榮働者を増加せしめることが一暦有利な場合もあり得る︒更
に︑技術爽展の段階に態じては︑資本と勢働を蟻牲にして︑土地面積を増加せしむる方が償いのとれる場合もある
し︑他方︑土地面積を犠牲にして︑勢働と資本を増加せしむることが優る場合もある︒斯く技術の攣化は生産の諸要
素を左右するのである︒‑
勿論︑これらの生産要素における技術的進歩の影響は︑絶封的なものではなく︑また一方的なものでもない︑資本
と勢働の割合は︑技術にょつて固定化せしめられているものではなく︑技術自髄は可攣的なものであり︑或程度交換
﹂比率としての経濟的諸要素に依存しているからである︒
生産要素の代位は︑勢働を犠牲にして行われることが多い︒勢働自騰の要素のうちには︑そのときどきにおいて熱
練勢働(例えば手工的な勢働)を犠牲にして行われる場合もあり,また不熟練勢働を犠牲にして行われる場合もあ
る︒勢働の合理化と同様︑複雑な機械が使用される場合︑生産とその機械を使いこなすために必要な熟練艸労働に封す
る需要を生ぜしめ︑かくして不熟練勢働を排除する場合もあり得る︒.
技術的進歩が生産の各種の要素のもとに作用してい菊とき︑代位は重要な要素である︒通常︑代位によつて代位さ げ
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ピ
'
●
轡
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れた要素の支出を減少せしめる︒或要素が他の要素によつで代位される場合︑代位の費用は代位される要素を報償す
るための限界償格である︒例えば︑勢働が機械によつて代位される場合の勢働の費用︑換言すれば︑排除された勢働
の輩位當りとして計算された機械の費用は︑榮働者の賃金の限界慣格である︒例えば︑五十万圓の新機械が導入さ
れ︑その機械は七年間正常な機能を有し︑一〇〇︑○○○作業時間(即ち勢働者五人︑一日八時間勢働で七箇年とな
へる)に該當するとせば︑一作業時間(機械の維持︑資本の償却︑利子をも含めて)のコストは二十四鏡に當ることと
なる︒斯る過程が一時にではなく︑徐々に生じてくるとき︑勢働の機械化による代位が漸次行われて︑賃金水準は︑
早晩限界鮎まで低下せしめられるであろう︒かくして︑代位は︑技術的進歩にょつて影響を蒙る工業に雇傭せられて
\いる陣労働者の賃金水準形成の重要な要素となるコ
八
技術的進歩の問題にっいて︑工業における固定資本の進歩の及ぼす影響を考慮しなければならない︒斯る観黙から
の技術的進歩は次の二つに分けられる︒
①︑工業における固定資本比率増大の進歩
働工業における固定資本比率減少の進歩
前者を﹁集中化の進歩﹂(O自8暮冨菖昌σq津o鴨①コ︒︒・)︑後者を分散化の進歩﹂(⇔08昌す暮ぼσq団目o鴨霧㎝)と名づ
きける︒この匠別は償値ある問題を提起すると共に︑將來σ技術的進歩の測定に封して新たなる道を拓くこととなる︒
いま例えば︑十萬圓の資本償値を有す蓄新機械が獲明され︑一萬圓の慣値を有する奮い機械にとつて代つた場合は︑
斯る技術的進歩は工業の固定資本を増大せしめる︒この傾向は経濟嚢展の要素として重要である︒それに反して︑嚢
技術的進歩の本質と作用̀9
45
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●●
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の 46 商塁討究第三巻第一號
明された機械が一萬圓の資本贋値を有し︑十萬園の贅本慣値を有する機械にとつて代つた場合には︑生産的数果は同
じであつても︑斯る技術上の進歩は︑工業の稜展の歌態における革命的なものである︒
生産力の進歩は︑一般的にいつて集中化の進歩の形態のうちに現われる︒斯る嚢展は所有の集巾を導き︑それによ
つて廣汎な就会的︑政治的憂化を惹き起す︒それは工業の猫占化(目o昌o娼o冒㍗菖o冨),カルテル化(O鎚酔喜甘9ざ腎)
ノ市場の猫裁化(b暮程︒ぽN暮ざ昌)経濟制度の官僚化(]Wd︻同①欝己FO目簿酔凶N蟄ゆ一6二ρ)の過程における重要な要素である︒斯る
焚展は︑また申産階級のプロレタリァ化の進行における重要な要素でもあり︑また維濟構造のうちに硬直した要素を
齎らし︑從つて経濟的攣動を過激なものたらしめる︒
分散化の進歩は︑ときには現われてくる︒その存在や影響は現在強力に感ぜられる︒斯る進歩の中には例えばラジ
オがあり︑それを電信と比較すると固完資本の額を減少せしめている︒同様のことが︑鐵道との比較において︑自動
車にも適用される︒化学工業の分野における多数の焚見が︑同様の傾向を示しており︑近代的な生産は小輩位の中で
わ行われている︒電流や内燃機關はまた︑分散化の進歩の方向を辿らしめている︒電力を使用する作業場ですら︑彪大
な固定資本なしに︑高い技術水準の生産の途行を可能ならしめ︑或は互大な機械群の廻韓する大工場との競孚を可能
ならしめる◎
若し將來の技術的進歩が︑集中の段階から分散の段階に︑また固定資本の減少が引き綾いて起つたならぱ︑その自
然的な結果は工業の分散となるであろうし︑また所有における分散となるであろう︒亘大な設備や機械を有する工場︑
は︑その稜展が止み︑ときには影を波するであろう︒またその地位は中乃至小規模の作業場にとつて代わられ︑斯く
して全維濟構造は根本的な饗化をとげることとなるであろう︒
(後記)この稿に扇げ匙団ロ鶴勧N類oお"守o帽o日凶o︒︒醤島日9}后o一〇αQざHOωひ・の所説な中心として蓮ぺ宏ものである︒
46
〜
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