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日本産業政策の基本的課題

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日本産業政策の基本的課題

その他のタイトル The Fundamental Problem of Industrial Policy in Japan

著者 松原 藤由

雑誌名 關西大學經済論集

巻 6

号 2

ページ 89‑122

発行年 1956‑05‑01

URL http://hdl.handle.net/10112/15722

(2)

89 

日本産拳政策の基本的課題︵松原︶

日 本 産 業 政 策 の 基 本 的 課 題

第二次世界大戦後の日本産業政策の第一義的重点を︑世界の歴史的客観状勢︑国内経済的条件および国民経済復

興の理念との関係において︑まず国内均御におきつつ国際均衡をも併せ維持する方策を樹立することが︑私の主張で

ある︒ここに産業政策の第一義的重点を国内均衡に求めるのは国際収支の不均衡より生ずる国内経済の不安定を安

定せしめるためにインフレ傾向の随伴しない完全雇傭均衡を可能的に実現しようとする意図からである︒もとより

産業政策の第一義的重点を国内均衡に求めるとはいえ︑それは決して国際均衡を軽視することではない︒何故なら

ば国内均衡と国際均衡とは︑これを自佑的に同時に成立することは一般に期待し難いから︑第一義的重点を前者に

おくのであり︑わが国経済の発展は︑国際均衡の実現︑これを貨幣的側面からみると国際収支の発展的均衡を計る

ことであるが︑それには貿易規模の拡大が重要な要素であるから︑貿易の規模拡大なくしては望み難いのである︒

しからば何が故に産業政策の第一義的重点を国内掏衡に求めるのであるか︑その︱つの理由は︑わが国の貿易構造は

是正されなければならない段階に追い込まれているからに外ならない︒このことは次の諸点から推察しうる︒まず.

①戦後のわが国の貿易構成は中国など近隣諸国の市場消滅︑縮小により︑とくに対米依存が増大して著しいドルギ

ャップが恒常化し︑それを特需などの貿易外収入で補つてきている︒端的にいえばわが国の貿易構成はドル地域か

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(3)

90 

わが国産業の現状から︑前提条件として要請されるのである︒してみれば産業政策の第一義的重点

ら原料を輸入し︑非ドル地域に輸出する形態をいぜんとして継続しなければならないが︑世界的なドル不足は︑ヨー

ロッ︒ハ主要通貨の交換性回復が望みえない限り︑換言すればドル地域との均衡する基盤ができない限り︑わが国とし

てはドル地域の入超を非ドル地域に対する出超によりて補うということが困難になってきている︒R非ドル地域へ

の輸出増大にはまづその地域からの輸入増加が必要であるが︑

輸出の割合は低下している︶をきたし︑ 由化は困難であるし︑また非ドル地域においては貿易競争が激化してきているので︑わが国の重化学工業とくに機械器具工業における国際競争力の強化が必要となってきている︒R国内における産業構造の高度化傾向と後進諸国の工業化の進展により︑最近のわが国の輸出入商品構成は戦前に比して明らかに変化︵生産財輪出の割合が上昇し︑消費財

繊維原料および半製品輸入の減少︑ならびに国内資源の開発により国内資源

を原料とする産業の拡大化がめだってきている︒④わが国の市場を輸出対象品目別に考察するれば︑その主なるも

のは︵イ︶後進諸国向けを中心とする機械類︒︵口︶新規産業とし今後の発展にかかる製品︵たとえば合成繊維・合

︵ハ︶大量生産化により価格競争力に充分耐えうる製品︵たとえば繊維・硫安・セメントなど︶

︵二︶中小企業製品で賃銀価格差と品質の優良で国際競争力に耐えうる製品︵たとえば︑ミシン・カメラ・陶磁器・玩具な

ど︶であるから︑明らかに非ドル地域が主要な市場である︒したがつてA﹂の方面への輸出促進が貿易規模拡大の重

要な課題となってきている︒かくてわが国の貿易構造は是正さるべき段階にきていると考えられる︒しかるに貿易

構造の是正には産業の再絹成はいうに及ばず︑それとともにとくに産業合理化︑生産性の向上︑国内開発による資

を国内均衡に求めつ4︑この三つの課題を達成することこそ日本産業政策の基本的課題なのである︒本小論はこの

三つの課題に対する要約的解説である︒ ドル地域に依存する限り非ドル地域における輸入自

(4)

︵浜口内閣︶当時の資本主義的合理化施策と異なり︑ 戦後諸産業の実質的生産能力の回復と︑策として︑ないしは国民運動として︑ その生産能力を充全に活用するためには徹底的な産業の合理化を国家政

これを断行することが必要であった︒

想うに第一次世界大戦後のドイツの産業合理化︑当時戦勝国であったアメリカの無駄排除運動︑これらはいずれ

も国民運動として展開され︑それによって国民経済の再建と発達がもたらされたのであるが︑このような努力を敗

戦国の日本は忘れていたのではなかろうか︒とくに現下の日本産業界を一瞥すると︑

的に活用する体制を整えること︒ 日本産業の設備近代化の要請

と︑その若返りが必要であることがわかる︒この意味で昭和二六年二月二三日附の産業合理化審議会の綜合部会の

答申に盛られた合理化の諸施策は極めて示唆に富むものである︒施策の内容は概ね次の通りである︒

一︑産業機械設備の合理化および近代化を促進すること︒二︑産業補助施設の整備を計ること︒三︑原材料・動

力等の価格引下げないし品質向上を促進すること︒四︑生産技術水準の向上を助成すること︒五︑労仇力を合理

七︑企業の内部統制を計ること︒八︑

化ならびに造船工業・石炭鉱業および鉄銅業の合理化があらゆる産業合理化の基礎となる実情に鑑み︑これらについて所要資金

の確保等に関し︑とくに一定期間重点施策︶を実施すべきこと︒

これを要するに今後の産業合理化においては技術合理化を中心に追求すべきであることの指摘は︑昭和五年六月

ば今日の日本産業にあっては人的・物的︑

企業間の組織ないし結合の改善︒

日本産業の当面の問題点の一っを確かについている︒何故なら

とくに機械設備の老朽化と更新︑すなわち設備近代化が要請されている 九︑中小企業対策の改善推進︒

1 0

重点施策︵電源開発および新造船の拡充強 六︑適時適景の資金を確保すること︒

(5)

9 2  

には勢い立ち遅れを免れないのである︒

ところで戦後のわが国経済の場合における産業合理化の必要は︑新たなる産業革命的意義をもつている︒その理

由は日本産業︑とくに工業界において機械設備の老朽化が甚だしいからである︒これは戦時中の酷使︑補修整備の

遅滞に基く実質的耐数年限の短縮のみでなく︑設備償却の繰延により設備の更新が行われなかったことに原因す

る︒アメリカでは機齢十年が更新期とされているが︑これを標準とすれば︑通産省が行った機械工業設備調査︵昭

和二五年︶では機齢十年以上のものは︑

機齢十年以下の国産機は︑ 飯金プレス国産機七四形︑金属工作機械で国産機五六彩︑

輸入機九七彩、鍛造機械で国産機五七彩、輸入機一

00~

となる︒これですでにわが国の設備機械の老朽化が察知

さらに老朽化程度を強化する要因として︑

り︑その性能の粗悪さが免れなかったこと︑輸入機は新品よりも中古品が多く︑新品の購入の場合には文字通りの

製造年次であるが︑中古品の購入の場合には︑その製造年次は統計面のそれよりもさらに五年ないし十年遡ること

C 1 )  

を︑われわれは考慮しなければならない︒この調査は代表的機械工業のうちから最優秀二二工場を選んで行われた

ものであるが︑機械設備の近代化は︑ひとり大工業のみならず中小工業も決してその例外をなすものではない︒中

小工業のサンプルとして︑北陸機業の近代化についてみると︑織物の高級化が合成繊維の発達により要請されてい

るが︑北陸機業地の織機は全般的に劣弱である︒すなわち福井県では︑全織機約五万二千台のうち鉄製二割︑木製

が八割であり︑耐用年数二

0

年以上のものが実に一万六千百台と全体の三割強を占めている︒石川県でも三万九千

台のうち耐用年数の過ぎたものが一万四千台を数える状態であるといわれ︑これでほ糸の細番手化や織物の高級化

太平洋戦争勃発後の製造にかか

(6)

93 

めてきたことはいうまでもない︒ と ︑

︵六︶原材料の品質改善を計ること︑

(+︶独占禁止法の改正を ︵八︶東南アジア開発に対し積 ︵五︶輸入原材料の価格引下げのための特別措置を講ずるこ ︵二︶企業の所要資金の供給を確保すること︑︵三︶貸付金利を引下げること︑ もとよりわが国でも昭和二六年に﹁産業機械設備近代化法案﹂を策定したが︑諸種の事情から沙汰止みとなり︑ようやく昭和二七年三月に至り﹁企業合理化促進法﹂となって実現している︒

企業合理化促進法の主たる内容は︑

二次答申を発表した︒

を促進すること︑

等に対する輸入税の減免の適用範囲を拡大すること︑

極的協力を行うこと︑

行うこと︑等である︒ ︵二︶機械設備の近代化の促進︑

︵五︶中小企業診断等である︒これと併行して産業合理化審議会では次の如き第

︵昭和二七年七月︶それは応急的措置を示唆したもので︑

︵七︶国内資源の開発を促進すること︑

︵九︶特定製品の国産化について過渡的優遇措置を講ずること︑ ︵三︶産業関連施

︵一︶企業の資本蓄積

︵四︶機械設備

以上の如き措置に呼応して︑石炭・鉄鋼・電カ・肥料等の産業は︑それぞれの合理化計画に基いて︑合理化を進

しかしながらわれわれは︑戦時戦後における先進国の技術革命および後進国の工業化の進展をも考慮におけば︑

ますます激化するであろう貿易競争場裡において日本工業が敗退しないためには︑機械設備の近代化︑それに伴う

準備工程や工場の改善等技術合理化および経営合理化が必要であることが痛感されるのである︒想うに日本経済の

復興ないし発展が主として工業の発達に基礎を有するものであり︑また今後のわが国経済の歴史的動向が︑綿密な

る経済計画と生産力構造︑なかんづく工業生産力構造の高度化を要求するものである限り︑機械設備の近代化を中

ャ→ ‑ , 

(7)

, 

てみよう︒まづ農林水産部門中︑農業における合理化対策としては︑食糧増産の要請から

( 1 )

需や軍拡プームを契機として軍事型化しつつ膨脹してきたから︑今後は軍需を槙杵とした産業の膨脹ではなく︑国内市場はもとより輸出増大のための市場条件に適応しうるような生産態勢を前提としたものに再編成すること︑

一国産業の再編成が経済自立のための産業構造確立の形で策定されなければおよび現実の過剰老朽設備の整理等︑

ならない︒その二の合理化は︑企業や経営の形態およびその適正規模の実現︑産業内の跛行的生産の阻止および産

業各部門間のバランスの維持等から必要である︒その三の合理化は︑企業合理化であって︑それは国家の産業合理

化運動に呼応する企業経営政策として展開されねばならないが︑

その実施に当つては︑ 業連続の合理化・作業内容の合理化・作業系列の合理化・作業集団の合理化︶および経営合理化︵経営構成の合理化・経営管理

( 3 )  

の合理化︶である︒ところで如何なる意味の産業合理化も︑現実の産業構造における問題点

から具体的な合理化対策を樹立しなければならないのである︒

そこでいま︑わが国主要産業における問題点から︑主として如何なる合理化対策が必要であるを要約的に列挙し この場合主たる合理化の内容は︑技術合理化︵作 の一の意味の合理化の基本計画は︑未だ策定されていないといつてよい︒

枢とする産業合理化は与えられたる当面の至上命令であり︑それは新たなる産業革命的意義をもつものと心得なけ

さて産業合理化には大体三つの内容が含まれている︒その一っは●産業の合理的なあり方︑すなわち合理的な産

業構造の確立である︒その二は︑産業各部門における合理的な企業のあり方︑すなわち企業規模または結合のあり

方である︒その三は︑個々の企業内部の合理化で技術合理化および経営合理化である︒これらの合理化のうち︑そ

わが国の産業が特 ればならない︒

しかし周知の如く︑

(8)

日本産業政策の基本的課題︵松原︶ 価格で供給し︑かつ鉄鋼輸出を通して外貨の獲得をするために︑

( 1 )

原料基盤の安定化対策︑

( 2 )

設備の合理 の共同化の推進︑

(

3 )

築磯魚礁設置による漁場改良︑

( 6 )

漁業金融の確保︑

( 8 )

漁価安定等の諸対策が必要である︒

( 4 )

海外漁業えの進出︑とくに北洋漁業の開発︑ 水産業の合理化対策としては︑日本漁業の構造的特質から︑

( 1 )

中小漁業の合理化︑

(

2 )

蚕の共同飼育施設の設置︑

( 1 )

老朽桑園の改植促進と桑園面積の拡張︑

( 4 )

繭の乾燥共同保管の実施︑

(2)森林生産力の増強︑

( 7 )

海外宣伝と品質の向上および価格の安定︑等を計る諸対策が必要である︒

( 3 )

林地施肥の普及︑

森林経営の大規模化︑等の諸対策が必要であるが︑木材の使用節減と有効利用を計る合理化とを併行せしめなけれ

( 7 )

災害共済制度の確立︑

次に主要鉱工業の合理化対策として︑まづ鉄鋼業においては︑基礎産業として国内に安い鉄鋼を︑しかも安定した 林業の合理化対策としては︑国土保全と森林資源の危機から︑ 糸機の採用と関連設備の近代化︑

( 5 )

生糸生産における操業率の向上︑

( 6 )

自佑繰

. ︵

1

)

育林部門と採取部門および需要部門の均衡

( 4 )

林業労佑賃金の向上︑ 蚕糸業の合理化対策としては︑

( 3 )

(4)価格の安定と取引改善︑等の諸対策が必要である︒ 畜産業の合理化対策としては︑

( 1 )

無畜農家の有畜化︑

( 9 )

耕地消滅の防止︑等の諸対が必要である︒

(6)

水利•原野・山林等の利用の合理化、

( 5 )

農業用資材

( 7 )

農業技術研究の育成と︑その導入︑

( 2 )

飼料自給度の向上︑

( 3 )

経営の改善︑とくに経営規模の適正化︑

( 3 )

家畜・畜産場の改良

(2)蚕業技術の普及︑

( 5 )

林業資金の確保︑

( 6 )

( 2 )

漁場制度の改革︑

(5

)

漁家の発展のため

( 8 )

農業金

( 4 )

農産物価格の安定化︑

 ,. .  . .

(9)

, 

を要するに以上の如き諸対策がわが国産業構造における問題点から産業の再編成とそれに呼応する合理化のために の他主要鉱工業としては電カ・石油・石炭等があるが︑

( 6 )

東南アジア諸国への化繊の普及と宣伝︑

( 2 )

輸出体制の強化︑

( 4 )

化繊と混紡交織品の普及︑

( 1 )

製品品質の よび販売体制の整備強化︑

( 6 )

輸出振興対策の強化︑

( 3 )

価格安定化対策︑

特殊鋼については︑とくに生産過剰の現状から︑

炭鉱︑石油精製︑

おける価格差の調査︑

( 4 )

輸出価格と国内価格との遮断を行うこと︑

( 2 )

海外市場の開拓︑

の促進︑等大企業中心に合理化施策を推し進める必要ががある︒機械工業においては︑既に述べた如く設備の老朽

( 2 )

機械価格の引下︑

( 1 )

生産技術の改善︵圧延後の熱処理︑機械処理

( 3 )

輸出会社の設立促進︑

( 4 )

経営合成

化が甚しく︑輸出依存度は大企業の優良メーカーよりも限界水準にある弱小メーカーの高い現状から︑

( 1

)

設備の

(2)

これには鉄鋼価格の大巾引下げが前提条件である︑

( 3

)

輸出お

( 4 )

機械輸入の抑制と国産化対策︑︵

5

( 7 )

長期金融体制の拡充強化等の諸対策が必要である︒化学肥料工業の対策として

は︑周知の如く硫安は外貨獲得上︑実に一

00

%の工業であり︑国内はもとより東南アジア諸国の需要が大である

コークス︑電気製鉄工業と関係があるから︑ 工業である︒したがつてますます輸出工業として育成発達せしめる必要がある︒合理化対策としては︑この工業が

( 2 )

各工場間に

( 3 )

出の調整︑とくに価格の調整問題の解決︑等の対策が必要である︒織維工業の合理化としてほ︑

(3

)

原料共同輸入体制の確立︑

( 8 )

設備の制限と近代化等の諸対策が必要である︒そ

国内開発の項で述べる機会があるので省略しよう︒

コスト引下のための技術合理化︑

( 4 )

内需と輸

( 5 )

商社の

( 5 )

経営の合理化対策がとく

(10)

必要なのである︒

化資金をどうして調達するか︑国家の立場からは︑ しかし産業の合理化には諸種の問題が生起するが︑わけても企業の資本蓄積が乏しいわが国としては︑まず合理

これをどうして供給するかという問題と︑次に人口過剰のわが

国においては︑産業合理化による失業の増大をどうするかという問題である︒この二つの問題は少くとも産業の合

理化を行わんとする場合に︑また合理化遂行の結果として必らず起る重大問題である︒ところで産業合理化といえ

ば一般に労仇階級の反対を受けるものである︒その理由は概ね次の如くである︒産業合理化は︑決して中立的な︑

階級性をもたない概念ではない︒それは常に資本家階級にとつての産業合理化である︒資本家階級にとつて合理的

であるということは︑いうまでもなく最大限の利潤を挙げるということである︒いかなる作業方法の改善も︑それ

が利潤の増大に役立たなければ資本家にとつては合理的なものとはいえない︒

ら︑その利潤を増進させるためのあらゆる手段方法を考案し︑

ところで資本家階級は既に早くか

これを実施に移してきたのであるが︑これを別に産

業合理化とはいわなかった︒資本主義が一般的危機に陥った第一次世界大戦後の時期に︑始めてこの言葉を使用す

るにいたった︒これは資本主義の一般的危機のために利潤を増大させるための運動を中立的な超階級的なものにみ

かける必要があったからであると同時に︑内容的にみても一般的危機の諸条件に制約されて︑それは独占の形成を

促進するとともに︑なかんづく労佑の強度を増大させることに主力が注がれるという特徴をもつていた︒それ故に

産業合理化は資本のための利潤増進方策一般を意味するのではなく︑資本主義の一般的危機のもとにおける独占資

( 4 )  

本のための利潤増進方策を意味した︒もとよりかくの如き主張は︑これを全面的には否定することはできないであ

ろう︒しかし産業合理化の現代的意義は産業の再編成と生産の科学化︵技術合理化︶運動ないし政策であるから︑進

. . , ,

  ________—- ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ・ ̲ ̲ ̲ ̲ ̲ ̲ ̲ ̲  

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(11)

98 

日本産業政策の基本的課題︵松原︶

歩的な労佑階級が反対すべき性質のものではない︒反対するのは産業合理化の成果が資本家にのみ有利に配分され

るからであって︑このことは遺憾ながら事実であろう︒そこで産業合理化の成果が労佑階級にも普く配分されるな

らば︑換言すれば労佑条件の改善︑

産業の若返り︑ したがつて高能率︑高賃銀の原則が守られることが必要である︒何故ならぽ労

仇者は生産を管理せずして生産に従事する︒労伯者は機械と技術的進歩とには反抗しないが機械の資本主義的使用

( 5 )  

に反対するからである︒このことは生産の経営合理化を遂行せんとする経営者ないし資本家側の配慮すべきことで

ある︒今日の日本産業の現状においては大工業も中小工業も︑また国家も資本家ないし経営者も︑また労仇階級も︑

産業合理化の徹底的な遂行に対して三位一体的な努力を惜しんではならない︒真の産業合理化の断行こそは︑

日本産業の発達をもたらす鍵であり︑国際貿易の競争場裡において優勝をもたらす最大の要因であ

り︑またひいては雇傭を増大せしめるゆえんでもある︒

それを企業の内部資本蓄積︑換言すれば企業自体の生み出す利潤ここにおいて合理化資金について考察すれば︑

が源泉となる自力資本では不可能である︒このことは現在の多くの企業が償却不足に陥つていること︑また企業の

外部資本の過大︑金融機関のオーヴァー・ローン等によって明らかである︒もとより企業は合理化資金の自己調達

に努力しなければならないが︑国家施策による援助と供給が最近の状態では必要である︒まず合理化促進援助に対

する国家施策としては︑合理化による設備近代化を計る企業に対する補助金の交付︑

入︑輸入機械設備の貸与または払下等︑これは正直なところ後進国的定石であるが︑

である︒さらに一般の金利水準の引下︑株式・社債金融の円滑化︑

国民所得水準の上昇を策定して合理化投資を盛んにしなければならないのである︒

その合理的活用が極めて必要

およびこれは窮極的な問題であるが︑実質的な

1 0  

日本

機械の政府買

(12)

旧本産業政策の基本的課題︵松原︶ 戦時中の産業報国運動的合理化は︑ 中小企業の振興等による有効需要の増大対策が必要である︒ 次に合理化に伴う失業の増大について考察すれぽ︑産業の合理化には失業が伴わないとの説もあるが︑必らず伴うものと考える︒この場合の失業とは技術的失業︑すなわち新しい技術または機械が導入されて産業の生産方式が変化する場合︑およびそれに随伴して生ずる労佑力の代替による失業を主として意味するのである︒この失業の増

大を如何にして阻止するか︒失業保険制度というような消極的対策も必要であるが応急の失業対策と公共事業によ

る積極的失業対策︑電源の開発︑石炭の増産︑食糧の確保等︑主として荒土の整理開拓︑資源の開発︑農村および

理論ではなく現実の問題として︑わが国産業は︑朝鮮動乱ブームを契機として︑相当の設備投資を行い︑

和二七年頃からは産業合理化を目的として合理化投資を継続しているが︑

のは︑過剰雇傭の問題を解決することができないからである︒してみれば過剰な労仇力のはけ口を︑強力な積極的

失業対策の遂行によって︑しかも拡大再生産過程に役立つ方面にこれを求めなければならない︒終りに過去の産業

合理化と現在の産業合理の相違点について補説しておこう︒戦前のわが国の産業合理化は︑経済恐慌下の深刻な不

景気︑それによる混乱せる産業界の匡救のための産業統制の一環として産業部門全体にわたる建直し︑または整理の

必要から行われたものであるが︑しかしその実態は企業合理化の本来の目的たる単位当り生産費の低下および生産

の上昇よりも︑生産制限ないし価格協定という独占的手段により利潤の維持ないし増大を計り︑

牲と労佑の強化に反して賃金の低下︑人員整理による失業の発生を伴ったので︑これは正しく資本主義的合理化の

典型であった︒ また昭

その間︑合理化の効果が容易に挙らない

また弱小企業の犠

軍需生産力の拡充および低物価政策の目的のもとに行われた

が︑これは戦争遂行のための超理論的なものであり︑愛国勤労精神の昂揚を基盤とするものであったから︑ここで

、~---·-- ‑ ‑ ・ ・ ‑ ‑ ‑

‑‑‑‑‑ ‑ ̲̲̲̲̲ ̲;...! 

(13)

100 

は除外しておこう︒

しかるに今日の産業合理化は︑新たなる産業革命的意義をもっとともに︑それは経済自立︑国際競争力の強化︑

したがつて労仇賃銀の引上げ︑かつ雇傭水準の上昇をも配慮しなければならないという重大な課題を荷

(1

)

媛部喜一﹃工業経営﹄昭和二七年︑七一頁および七四ー七三頁︒

(2 )

通産省企業局綱﹃企業合理化の諸問題﹄昭和二七年︑二三頁︒

(3

)

宮田喜代蔵﹃経営合理化の原理﹄昭和二四年︑第二綱第二部︒

(4

)

岩波版・経済学小辞典﹃産業合理化﹄昭和二六年︑三八九頁︒

(5)IVピンツュタイン・ンュトラッサー﹃産業合理化の諸問題﹄昭和五年︑

︵二︶生産性の向上

現在の在るべき産業合理化が︑新たなる産業革命的意義をもっとともに︑それは経済自立︑国際競争力の強化︑

生活水準の引上げ︑雇傭水準の上昇をも配慮しなければならないという重大な課題を荷負う合理化であると考える

ならば︑生産性の向上は︑いわばこの国民経済的意義における国家政策としての産業合理化の主要な手段であると

いつてよい︒何故ならば生産性の向上は企業合理化の指標であり︑企業合理化は産業合理化を要請し︑それはまた

国民経済の合理化を要請するとともに︑生産性向上の方法としては︑標準化・規格化・単純化・資本効率の発揮・

原価引下げ・労仇生産性の昂揚•最適企業経営規模の実現・合理化資金の確保・経済計画の策定等、

業合理化的施策と企業合理化的手段とを国民経済的規模において実施することを必要とするからである︒

ば生産性の向上とは︑またわが国で普及し始めた生産性向上運動とは如何なるものであるか︑まづ生産性の概念か 負う合理化であるべきことを忘れてはならない︒ 日本産業政策の某本的課題︵松原︶

一三二頁︒︵石破倫三訳︶

しから

(14)

日本産業政策の基本的課題︵扱原︶ 味するのである︒ れていないといつてよい︒

ここに生産性

(P

ro

du

ct

iv

it

y)

とは︑生産活動の指標であり︑

入要素量の間の比率である。換言すれば生産要素としての労佑•土地・資本・技術・経営その他の投入(imput)

に相応した産出

(O

ut

pu

t)

量の比率を意味する言葉である︒

がつて資本の生産性︑土地の生産性︑労仇の生産性といわれる如く多様化し︑各種の生産性がえられる理である︒

一企業単位の生産性︑

それは一定財貨量の生産と︑︱つ或はそれ以上の投

一経営体︵工場・職場︶の生産性の動態をみようとするならば

投入生産要素を同一の物量単位に換算し︑諸要素を統合した総合生産性を算出しなければならない︒しかし総合生

産性の測定には諸種の困難が伴う︒それ故に実際の測定には資本や土地︑その他は︑労仇の生産性を引上げるため

の手段と考え︑専ら労仇生産性のみが把握される︒いうまでもなく労仇生産性は生産性の動態を把握するために︑

労佑という主体的概念を共通の尺度として測定した投入労佑量と︑その産出量との一比率である︒したがつて一般

の生産性と労仇生産性とは厳密に区別されるのが当然であり︑労佑生産性は全体的な生産性測定の一手段であるに

過ぎない︒しかしこの労佑生産性の測定にも諸種の問題があり︑わが国では未だ労佑生産性の適確なる計算は行わ

わが国に現在あるのは一国全体としての生産水準

(L

ev

el

of

  Production)

をあらわす生産

性指数である︒このことはわが国における生産性論議および生産性の測定が外国にくらべて立遅れていることを意

さて労佑生産性の向上が︑わが国の現状からみて必要なのは︑次の二つの理由による︒その一っは︑労佑生産性

は労仇をめぐる生産の諸条件の総体を反映するもので︑ そこでいま一国全体の生産性︑

労佑時間が一定であり︑ かかる意味での生産性は投入生産要素の異なるにした

ヽヽ—-

‑ ‑

—-、-

--一一~ー一一 ‑‑‑‑‑‑‑・  ・‑'‑""''‑‑""'‑一.

---~-~'i

(15)

102 

度・集約度︶も不変であっても︑

をもつことになるのである︒ 労仇生産性が増すならば生産物量は増大する結果となる︒このような労仇生産性

の増大の結果としての生産物量の増大実現こそ社会的に最も基本的かつ合理的な方式である︒労仇の生産性が大で

( 1 )  

あれば一定の財貨の生産に必要な労仇時間は小であり︑労仇生産性が小であれば反対にそれは大である︒端的にい

えば労仇生産性の向上は生産物量の増大であり︑労仇時間の節約である︒その二は︑労佑生産性の向上は国民の生

活水準を引上げるための一番確実な方法である︒何故ならば労佑生産性の向上は生活水準引上げの﹁必要条件﹂で

あり︑したがつて生活水準を引上げるには労佑生産性の向上により︑物価を引下げて実質賃銀を引上げるか︑或は

貨幣賃銀を引上げて実質所得を増大させるか︑そのいづれかが可能となるからである︒

しかるに労佑生産性の向上には労仇強度ないし強化が伴う恐れがある︒すなわち生産の機械化或は機械の集約的

利用によって労仇生産性は高まるが︑同時に一定の標準的強度以上に労仇強度が増大され︑それが労佑強化の効果

ればならない︒何故ならば労佑生産性は労仇強度のみならず︑いくたの諸要素の総体を反映しているために︑たと

え労佑強度が不変であっても変化する場合がありうるわけである︒したがつて労仇強度の増大に基く生産量の増加

よりも労佑生産性の増大の結果としての生産量の増加のほうが望ましいわけである︒一般に労仇生産性を規定する

要因は労仇力側要因だけではない︒資本主義経済を前提とする限り︑労仇生産性には労仇力側要因︵労仇強度・熟練

度・労仇条件等︶と資本側要因︵機械設備・操業度・原材料および燃料動力等︶の二要因が結果的に包含されて現われて

いるのである︒もとより機械も原材料も︑すべて労佑の生産物であるとみるならば別であるが︑しかし近代経済に

おいては︑労仇力側における作業様式および作業組織の如何と︑資本側における技術的発展とが︑労佑生産性向上 このことは全面的に否定しえないとしても︑労佑強度と労仇生産性は区別されなけ

(16)

り︑広く全国民が深い理解をもつて︑ 部の発足における宣言にも明示されている︒ 科学的に活用して生産コストを引下げ︑

( 2 )  

の主要な要素となっていることを理解しなければならない︒

したがつて最近わが国に普及し始めた生産性向上運動は︑わが国経済の現状から︑必然的に労佑強度のみを伴う

生産性向上運動としてではなく︑労仇生産性の向上を基底とする総合生産性の向上運動として︑それは国民経済的

意義をもつものとして展開されなくはならない︒すなわち生産性の向上は︑わが国の資源・人カ・設備を有効かつ

り︑労使および一般消費者の共同の利益を増進することを目的とするものであらねばならないのである︒かくのご

とくわが国の生産性向上運動が国民経済的意義を有するものであらねばならないことは︑財団法人・日本生産性本

生産を担当する経営者︑労佑者はもとよ

い︒われわれはここに経営者︑労仇者および学識経験者を一体とする﹁財団法人・日本生産本部﹂を設立せんとす

これをわが国における公正な生産性向上運動の中核体たらしめ︑

を念願するからに外ならない︑と述べていることによって明らかである︒

ところでかくの如き意味での生産性向上運動が、わが国で発足したのは、アメリカ政府の対外活動本部 (F•O•A)

の活動の一部として︑日本における生産性センターの設置についての積極的援助に基因している︒すなわちアメリ

力は西欧における試験済みの生産性向上運動の経験に基いて︑わが国におけるこの運動の展開を援助する用意のあ

ることを表明したことに始まるのである︒このことについて詳述しよう︒アメリカ式生産性向上運動はいち早く西

欧諸国に波及し一九四七年には︑イギリスは﹁産業組織と開発に関する法律を﹂を公布し︑労組側の参加もあって国

日本産業政策の某本的課題︵松原︶ もつて市場の拡大︑

すなわち生産性の向上は︑

これに協力することなくしては︑

実質賃銀ならびに生活水準の向上を計

到底十分の効果を期待することはできな

日本経済発展の基礎たらしめんこと

~

(17)

10,4  . 

日本産業政策の某本的課題︵松原︶

を挙げて生産性向上を推進し︑

アメリカの援助によって﹁イギリス生産性協議会﹂が発足し︑年五%の生産性上昇 を挙げたといわれる︒西ドイツは一九四七年に﹁ドイツ経済合理化委員会﹂を設け︑これと並行して﹁ドイツ生産 協議会﹂が生まれ成果を挙げた︒フランスでは国内に﹁フランス近代化委員会﹂が設けられた︒また︒ハリに西欧全 体の生産性向上運動の連絡機関として欧洲生産性本部が置かれた︒

フランスでは委員会の推薦がなければ中小企業 は金融もうけられない仕組になっている︒ベルギーでは労使の対立が激しく︑容易に生産性向上運動が起らなかつ

一九五四年五月︑労使とも生産性向上の重要性を認め労使休戦の宣言が発せられたといわれる︒

•朝日新聞)すなわちベルギーでは一九五四年五月五日、労使共同して、生産性向上の共同宣言を発表し次の諸点に

( 3 )  

つき声明している︒

(1

)

生産性向上の成果は終局において失業者を減少せしめるものたるを要する︒労使双方の代表者は︑協同して技術的失業を

防止し︑かつ現在の失業を解消する方法を研究し︑これを実行に移すこととなった︒かかる努力をもつてして︑なお一時的

失業を生じたときは︑労使は共同して︑その補償の措置をとるものとする︒

(2)労使双方の代表者は社会および産業のあらゆる場面について忠実に協力する︒この忠実な協力は情勢に関する能う限り遺

漏なき知識を基礎として行うべきものとする︒生産性の向上の手段方法は共同で研究する︒ただし生産性問題に対する終局

的解決は企業側において行うものとする︒

(3

)

したがつて生産性に関する協力は企業において最大の意義を発揮する︒この協力は︑とくに工場協議会において向上の手

段方法を相互に示唆し合い︑達成せる成果を記録することにおいて行われる︒

(4

)

使用者代表は︑如何なる事情によるも︑生産性の向上をもつて労仇者の肉体的・精神的尊厳と健全性を害すべきでないこ

とを宜言する︒労佑者代表は︑生産性向上に対する協力をもつて企業の地位を変更せんと計り︑経営者の権限を脅威する口

実としないこと宣言する︒

(5)使用者代表は生産性向上のため︑企業の最高経営者をして最大の努力を払わしめる︒すなわち企業の幹部は目的に寄与す

(18)

になった︒かくしてわが国の生産性向上運動は︑

一 七

生産性本部と政府の第一回生産性連絡会議︵同年五月二

0

日︶にお べき一切の要素に対して組織的な関心を払わなければならない︒労仇者が新規の生産方法を自発的に︑かつ確信をもつて採用することを援けるため企業当事者は︑労佑組合の専門家の助力を求める︒労仇者代表は労仇者に勧奨して労仇者自身の利益のため生産性向上の努力に充分な協力をなさしめる︒普及宣伝の活動をあらゆる地域と階層にわたつて行い︑これを能う限り広汎な大衆に浸透せしめ︑その協力をえなければならない︒

(6

)

両者の合怠により︑労佑者および中部経営層の職業訓練と一般教育を行うにつき︑種々の努力を払う︒

(7

)

生産性向上の努力は︑わがベルギー国の︑一般経済の改善を目的として行うものである︒向上した生産性による諸利益は︑これを企業・労仇者・消費大衆の間に公平に分配しなければならない︒

ベルギーは国土狭小︑すなわち面積三万平方キロで九州より少し狭いが人口密度はオランダに次いで世界第二位

日本は第三位であり︑中小企業の量的優位についてもわが国に続く世界第二の国である︒すなわち一九五一年の調

( 4 )  

日本の九八形に次いで︑九七形であることを想起すべきである︒

かくの如き西欧諸国における生産性向上運動の普及にかんがみ︑

またアメリカの援助の用意あること知り︑昭和 二九年三月︑経済団体連合会・日本経営者連盟・経済同友会・日本商工会議所の四団体が協力して﹁日本生産性増 強委員会﹂を設立した︒その後︑名称を﹁日本生産性協議会﹂と改め具体的活動に乗りだしたが︑通産省において も﹁日本生産性本部﹂を設立し︑全国的に生産性向上運動を展開するという計画を明らかにした︒かくして両者の 協同により︑昭和三〇年二月一四日︑経済界・労佑界・学識経験者の三者構成になる民間団体として﹁財団法人・

日本生産性本部﹂および政府との連絡機関としての﹁生産性連絡会議﹂が設置されることとなった︒なを同年四月 七日には日米両国政府間に﹁生産性向上に関する日米間の交換公文﹂が手交された︒そして生産性本部の経費は政

府補助金約四千万円︑民間から約一億円︑

その他余剰農産物借款分から約一億二千万円の基金が融通せられること

"料"‑‑ ‑• ~ - ~ - - - ~ - ~ - - - ‑

(19)

lob 

いて決定した三原則に基いて︑その第一歩を強力に歩み出すことになった︒周知のごとく生産性向上運動の三原則

とは︑わが国の経済自立を達成し︑国民の生活水準をたかめるには︑産業の生産性を向上させることが喫緊の要務

である︒かかる見地から企図される生産性向上運動は︑全国民の深い理解と支持のもとに︑国民運動として展開し

なければならない︒よってこの運動の基本的な考え方を次の通り了解する︒

(1

)生産性の向上は︑究極において雇傭を増大するものであるが︑過渡的な過剰人員に対しては︑国民経済的観点に立つて能

(2 )

使

(3 )

この三原則で明らかな如く日本生産性本部は︑国民経済的観点に立つて労使のみならず︑全国民の利益を目的と

して活動することを基本方針としている︒換言すれば生産性向上運動は︑失業の防止︑利潤の配分︑国民経済的観

点に立つべきことを骨子としなければならないことを歌つている︒なを六月二五日には︑この生産性向上運動を発

展させるため通産・労仇両省の共同通達が全国の都道府県知事あてにだされた︒その通達において政府は︑

わが国経済の実情にかんがみ︑人員整理︑労仇強化など労佑者側の負担のもとに生産性向上運動が展開されないよ

うに特別の考慮を払つており政府においてもこの点に関して適切な措置を講じていく所存である︒政府としてはこ

の運動に対する一般の理解が深まるに伴つて労仇者側の支持と協力がえられるものと期待しているので・⁝・・貴管下

の各企業労佑組合および一般都道府県民に︑この運動の趣旨の徹底を計り︑特に労佑者側が︑この運動に協力する

上述の如き過程を経て生産性向上運動は︑展開の緒についたのであるが︑もとより当初からは労仇者側の協力は

一八

(20)

えらるべくもな<)したがつて経営者と学識経験者との二つからなる民間団体として出発したのである

6

しかるに 九月一六日︑総同盟が日本生産性本部に正式に参加し︑生産性向上運動は新しい段階に入ることになった︒周知の 如く総同盟は︑石炭・機械金属・造船・食品・化学・土建等にわたり︑七単産︑

一六府県連合︑四五万の組合員を 有するものであるから︑その正式参加は経営者︑学識経験者︑労仇者の三者構成の体制が一応整備されたことを意 味するものであり︑今後の生産性向上運動に画期的な意義をもつものとして期待されている︒

日本労佑組合総同盟が︑

は次のごときものである︒

いわゆる三原則を認め︑正式に参加するにあたって明示した基本原則︑すなわち八原則

(1)生産性向上運動は︑個々の合理化運動︑能率増進運動とは異り︑日本経済の自立と国民生活の向上を目指す綜合的施策に

(2 )

生産性向上運動は︑労仇強化による企業収益の増大を目指すものではなく︑かえつて労佑条件の向上︑実質賃金の向上を

(3 )

生産性向上運動は︑経済の拡大︑発展を通じ雇傭量の増大をもたらすべきものである︒したがつて使用者および政府は︑

失業の危険を除き雇傭の安定を計るために有効な措置を講じなければならない︒

( 4 )

生産性向上運動は︑資本の集中をもたらすものでなく︑中小企業の安定と︑その労佑者の生活の向上をもたらすものであ

る ︒

(5)生産性向上によってえられた諸成果は︑物価引下げ労仇条件の向上および設備の更新のため︑適正に充当されなければな

(6

)

生産性向上運動を成功させるためには︑産業民主主義を徹底して合理的な労使関係を確立することが不可欠の要件であ

る ︒

(7

)

生産性向上のための具体的な諸活動については︑労使間に労佑協約を締結し︑円滑な推進を計るものとする︒

日本産業政策の基本的課題︵松原︶

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参照

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31) 中小企業診断協会編[ 2001 年], 5 ページおよび中小企業庁編[ 1990 年], 11 ペー ジ。.

山崎匡毅 Masaki Yamazaki 〈目 次〉 はじめに