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分子マーカーを利用したコムギ条斑病菌の生態学的研究

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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,2016 年 2 月 10 日

分子マーカーを利用したコムギ条斑病菌の生態学的研究

生物資源科学専攻 作物生産生物学講座 植物病理学研究室 平澤 貴大

1.はじめに

コムギ条斑病は

Cephalosporium gramineum

によって引き起こされる土壌伝染性病害であ る。本病の対策には,予め土壌中菌密度を把握する必要があり,リアルタイム PCR 法は効率 的に土壌中菌量の定量を可能にする。しかし,土壌中には PCR 増幅を阻害する物質が含まれ ていることが報告されている。特に,土壌夾雑物が含まれた DNA サンプルからは,リアルタ イム PCR による検出・定量が困難であった。土壌から DNA を抽出する方法と,DNA を精製する 方法の改良が必要となる。本研究は,リアルタイム PCR を用いた土壌中の本病原菌の定量法 を確立することを目的とした。

2.方法

土壌から DNA を抽出するにあたっての前処理として,KCl 法について検討した。

(1) KCl 法の検証

KCl 法により土壌中に存在する

C.gramineum

が定量できるかを,12 の土壌を供試し実験を 行った。3 段階(2×10⁴,2×10³,2×10² spore / ml)に希釈した胞子懸濁液を等量,土壌 に混入して保菌土壌を作成した。これら保菌土壌 0.3 g に KCl(10 %)とスキムミルク(5 mg / ml)を添加した水溶液 1000µl を混和し 15 分毎に 3 回撹拌した.さらに 15 分静置した 後,600 rpm で遠心回収した上清 800 µl を新しいチューブに移し,15000 rpm で高速遠心,

Plant Genomic DNA Extraction Mini Kit(FAVOGEN)により DNA を抽出した。回収した DNA サンプルを

C. gramineum

特異的プライマープローブを用いて,リアルタイム PCR を行い,

DNA の定量を行った。

(2) KCl 法と土壌 DNA 抽出キット(Extrap Soil DNA Kit)の比較

3 段階(10⁶,10⁵,10⁴ spore / ml)に希釈した胞子懸濁液を土壌に混和,保菌土壌を作成 し,そこから DNA 抽出を行った。方法は,①KCl 法 + Plant Genomic DNA Extraction Mini Kit ②KCl 法 + 摩砕 + Plant Genomic DNA Extraction Mini Kit ③Extrap Soil DNA Kit Plus ver.2(日鉄住金環境株式会社)の 3 通りで行い比較した。

3.結果と考察

(1) KCl 法の検証

12 の土壌から今回行った濃度すべてで検出が可能であった。12 のうち 10 の土壌で,希釈 段階に対応した結果となった。KCl 法により,土壌中の

C.gramineum

を定量できることが示 唆された。

(2) KCl 法と土壌 DNA 抽出キットの比較

①と②の方法で,リアルタイム PCR による定量が可能であった。しかし,③の方法では,

検出ができなかった。土壌抽出キットではリアルタイム PCR の検出を阻害する物質を除去で きなかったことが考えられる。

4.まとめ

前処理として KCl 法を用いることで,土壌中の

C.gramineum

のリアルタイム PCR で検出・

定量できることが可能となった。今後は,土壌の採集方法,また土壌に吸着された DNA を補 正するための方法を確立する必要がある。

参照

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