挨 拶
変わらないことのすばらしさ
福島 邦夫
文化環境研究会会員
第三号の編集を引き受けたときに私は三号雑誌で終わるのではないかと密かに畏れていた。そ れが、今度五号が発刊されることになり、同慶に堪えない。今後も続いていくことを祈りたい。
思想家?の内田樹氏がブログで述べていてなるほどと思ったのは「教育は変わってはいけない という」言葉である。何十年経ってもそこには懐かしい校舎があり、先生がいる。自己形成をし た空間と時間はそこにある必要がある。優れた建築家による、練りに練られた空間設計のもとに、
氏のつとめる学校は変わらぬ人間の英知と情操を育む時間と空間を提供してきたことだろう。
六年毎に目標を立て、改善をすることは結構なことである。しかし、ある学問においては変わ らないこと、ある土台の上に時間をかけて樹木を茂らせていく分野もあるのではないか?「そん なのは古い」の一言で片付ける諸氏は、何十年か経過した時、自分もそう言われることを覚悟し なければならない。文系の学問の中で十年ですっかり変わってしまう領域がどれだけたくさんあ ろうか?
学生達の卒論や修論の口頭発表の場として、コロキアムがもうけられ、それらを文章にして発 表する場として「文化環境研究」は発刊された。最近では教員も文章発表することも増えてきた。
外の世界がどう変わろうと変わらない場所であってほしい。
もともと理科系の論文の必要条件であった査読やインパクトファクターなど煩わしいことは自 由な研究をゆがめてしまう。自発的な論文発表の場として「文化環境研究」は続いていってほし い。時代遅れの卑見を巻頭言に書きつらねてしまった。
校舎を毎年工事し、さっきまで圧搾空気のドリル音が鳴り響いていた校舎より、早く工事が終 わることを祈りながら。
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