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マクロファージ療法は 自分の血液の中の一部の成分であるマクロファージをとってきましてそれを損傷部の脊髄に注入する 移植するという方法がイスラエルおよび米国でも最近開始されたと聞いております また一方では OEG という 嗅覚のところの細胞をとって培養して損傷部に移植するという方法が オーストラリアを

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Academic year: 2021

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2 急性期脊髄損傷に対する培養自家骨髄間質細胞移植による脊髄

再生治療の検討

第Ⅰ‐Ⅱ相臨床試験プロトコールの概要と患者説明書について

鈴木:それでは今回われわれが予定しております「急性期脊髄損傷に対する自家培養骨 髄間質細胞移植による脊髄再生治療の検討」、この第Ⅰ‐Ⅱ相の臨床試験プロトコールの概 要と患者さんへの説明方法について概要を説明させていただきます。 今日は患者さんだけではなくマスコミの方も大勢いらっしゃっておりますので、脊髄損 傷というものがいかに悲惨なものであるかということをまずはご理解いただくためにこの 写真を出させていただきました。 これは脊椎の骨折に対して整復手術をした後頚部を固定しています。こういうように、 自分で息も出来ない、あるいは両手両足も動かない状態でこの18 歳の若者は、生涯手足が 動かない状態、場合によっては人工呼吸器も外せないという状態でずっと暮らさなければ ならない。こういう患者さんが日本国内でも毎年5000 人発生する。それにたいして日本の 行政はまったく手立てを打っていないという状況です。この辺も踏まえて今後日本では解 決しなくてはいけない問題が多数あるとわれわれは感じております。 まず、現在開発中の諸外国で研究開発が行われている急性期脊髄損傷にたいする治療法 を、慢性期も含めてリストアップしました。 ◎ 現在開発中の急性期脊髄損傷に対する細胞治療の研究

細胞の 脳由来神経幹 マクロファージ 嗅球鞘細胞(OEG) 骨髄間質細胞 種類 細胞(中絶胎児) (自己) 中絶胎児または自己 先行 動物実験 動物実験(ラット) 動物実験(ラット) 動物実験(ラット) 研究 (ラット、サル) 臨床試験(中国) 安全性試験(サル) 開発 ラット・サル イスラエル ポルトガル・オー 本研究で初めて 状況 を用いた動物 および米国 ストラリア・中国 ヒトへ応用 実験中 で臨床実験 およびロシアで臨 実施中 床実験実施中 特 × 中絶胎児 末梢血 鼻粘膜および嗅球 骨髄 × (倫理的に問題) × 問題 徴 × 長期残存 早期消失 長期残存 早期消失 × 腫瘍化の × 可能性

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マクロファージ療法は、自分の血液の中の一部の成分であるマクロファージをとってき ましてそれを損傷部の脊髄に注入する、移植するという方法がイスラエルおよび米国でも 最近開始されたと聞いております。また一方ではOEG という、嗅覚のところの細胞をとっ て培養して損傷部に移植するという方法が、オーストラリアをはじめ中国でも実施されて いる。それにたいして今回われわれが始めようとしているのが、骨髄間質細胞である、お なじように自己の細胞を持ってくる、このへんはマクロファージとわれわれの開始しよう とする細胞は、移植しても早期に消失する。それにたいしてOEG とよばれるものはある程 度長期に残存する。一方、神経幹細胞というのは今のところ実現されておりませんがいろ いろな研究がされています。 それでまず最初に簡単にわれわれが今回の臨床試験に至った経緯を簡単にご説明します。 我々も最初は神経幹細胞の研究をしておりました。これは、ラットから取った神経幹細 胞を分化させるような環境におきますと、神経細胞とか色々な神経系の細胞に分化します。 神経幹細胞をラット脳脊髄液のなかに注入して移植して、その後の状態を観察しますと、 継時的にどんどんどんどん増殖していくことが分かります。増殖を止められない。我々は 一定の再生が起こったところで増殖を止めたいのですが、それが止まらないということが 分かってきました。このまま神経幹細胞の研究を続けていっても増殖を止めるような作用 を我々が開発しない限り、人間への応用は無理ではないかと考えて、我々は自分の骨髄の 細胞に注目しました。 それで骨髄間質細胞のin vitro、培養系での外観です。これをラッ トの脊髄に注入したところ、治療群と間質細胞を注入していないコントロール群では空洞 の大きさがかなり違う。治療群のほうが損傷が少ないということが分かります。その行動 解析をラットのBBB スコアというもので解析したところ、移植群のほうが移植されていな い群よりも行動のパターンが良いということがわかります。 それで今回、「液性因子の同定についてどう考えているのか」というご質問(No.5)を頂 いておりますが、このようにラットの研究をもちいまして今解析の途中の段階におります。 またその次の質問ですが、「脊髄に存在する幹細胞が特に骨髄間質細胞に賦活化されやすい ということを確認しているのか」というご質問ですけれども、それにたいしては特に脊髄 にある神経幹細胞だけが賦活化されやすいというような所見は得られておりません。 また、もうひとつ「重傷なラットで骨髄間質細胞を注入しても効果が現れなかったもの について、損傷が重傷すぎたのではないか」というご質問(No.6)を頂いております。たし かに、おもに重度の損傷を与えたラットのほうが回復の差が出にくいという傾向はありま したが、それは評価するBBB スコアというものが、重傷のラットに対する指標でないとい う考え方も出来ますので、重傷なほど今回の治療には効きにくい、というように断定はで きないと、考えております。 安全性を霊長類でたしかめるために、人間に行うときと全 く同じような手技で、サルの脳脊髄液のなかにサル骨髄間質細胞を注入して、血液検査、 あるいは髄液検査、脊髄への影響、また異常な行動が現れないか、痛みを伴ったようなし ぐさをしないかどうかを長期で観察してみました。その結果、いずれの検査においても細

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胞移植の前後で大きな変化は認められませんでした。以上のことより、効果の確認は霊長 類でしておりませんが、安全性に関しては健康なカニクイザルを用いてすでに実施いたし ております。 ◎ シェーマ * 主な一次登録時適格基準 1. MRI を用いた画像診断により脊髄の部分的損傷が認められた脊髄損傷患者 2. 脊髄損傷による運動機能あるいは感覚機能の欠如 (ASIA 機能障害尺度の A,B または C)が確認された患者 3. 受傷後72 時間以内に骨髄間質細胞の培養が開始可能な患者 4. 1次登録時において15 歳以上 60 歳以下の患者 ↓ 骨髄海綿骨採取に関するインフォームド・コンセント ↓ 脊椎手術及び骨髄海綿骨採取 ↓ 1次登録 ↓ 骨髄間質細胞分離・培養(受傷後72 時間以内) ↓ 症例検討会 ↓ * 主な2次登録時適格基準 1. 培養により移植に必要な数の骨髄間質細胞が確保された患者 2. 受傷後3週間以内に移植が可能な患者 3. 2次登録前3日以内に脊髄損傷による運動機能あるいは感覚機能の欠如(ASIA 機能障害尺度の A,B またはC)が確認された患者 ↓ 骨髄間質細胞移植に関するインフォームド・コンセント ↓ 2次登録(受傷後3週間以内) ↓ 細胞移植(106∼108個の培養骨髄間質細胞を脳脊髄液中に注入) ↓ 細胞移植後6ヶ月まで追跡 目標症例数:23例 追跡期間 :細胞移植後6ヶ月まで

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プロトコールの概要 次に、実際の臨床研究の段階に入ります前に、使用するプロトコールの概要について申 し上げます。 まずプロトコールの概要です。「1次登録時の適格基準」ですが、それは救急部に患者さ んが搬送されてきました場合、担当する医師が診察しその脊髄損傷の患者さんが臨床試験 に参加していただけるかどうかまず診断させていただきます。その診断の根拠として MRI 断層撮影を用いた画像診断により、脊髄の部分損傷が認められた脊髄損傷患者さんである こと、完全切断の方、つまり脊髄がちぎれてしまっている方は今回は対象にならないとい うことです。2番目には、脊髄損傷による運動機能あるいは感覚機能の欠如が確認された 患者さんであるということです。これはどういうことかという質問事項ですが、具体的に は脊髄損傷でしたら運動機能あるいは感覚機能が麻痺しているのは当たり前ではないかと。 ところがこの試験に参加していただくためには、まず運動機能・感覚機能を検査できなく てはならない 例えば感覚機能がマヒしているかどうかを話すことが出来ない、あるいは意思表示が出 来ない患者さんに対してはこのような検査評価自身が出来ませんので、今回の試験からは 残念ながら登録していただけないという結果になります。 受傷後 72 時間以内に骨髄間質細胞の培養が開始可能な患者ということですが、この 72 時間といいますのは、1週間も2週間も経った患者さんの骨髄間質細胞の培養を始めます と、移植するときにはすでにもう亜急性期の状態になってしまいます。今回は急性期を対 象としておりますので、72 時間以内に培養を始められる方と限定させていただいておりま す。 登録患者さんは15 歳以上 60 歳以下の患者さんに行うというように適格基準を定めます。 そしてこの適格基準に満たした患者さんに対して今回の治験に参加する意志があるかどう かで、まずインフォームド・コンセントを行います。インフォームド・コンセントは2回 用意しております。第1回目のインフォームド・コンセントでは骨髄海綿骨採取すること に賛同していただける方に対してのみを行います。 それから急性期のインフォームド・コンセントに関して、患者さんへの説明文書をいつ 渡すかというご質問(No.3)ですが、第1回目の骨髄海綿骨採取に関するインフォームド・ コンセントをとる際に患者さんへの説明文書をお渡しして、研究の全ての概要をお話しす る。ですけれどもこの1回目のインフォームド・コンセントはあくまでも骨髄海面骨を採 取して培養することに対しての合意を頂くということです。培養して一定の移植する培養 細胞を用意できるのにだいたい1週間から10 日、あるいは2週間以内の時間が想定されま す。その間に患者さんに自分の病態についてよく考えていただく。この際に我々の患者さ んへの説明内容、文書では日本せきずい基金のホームページアドレスを掲載し、そちらに 希望があればコンタクトをとっていろいろお話を聞いていただく。そして自分の病態につ いてご理解を深めていただくというような体制をとっております。

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そのようにご自分の病態について理解を深めていただいている間に並行して、骨髄間質 細胞の培養が続けられて所定の数だけ用意が出来る状態になっている。 移植細胞を用意出来る状態になってつぎに2次登録、本当に移植するかどうかを「第二 次登録適格基準」に基づいて判定します。第2次登録適格基準には「培養により移植に必 要な量の骨髄間質細胞が確保された患者」とあります。と申しますのは、非常に高齢な方 や別の合併症をもたれている方で骨髄間質細胞の増殖能力がもともと弱いという方は、自 然とこの適格基準からは外れます。また受傷後3週間以内に移植が可能になっていない方、 あるいはまた2次登録前3日以内に脊髄損傷による運動機能あるいは感覚機能の欠如が確 認された患者さん――これは先ほどの一時登録と同じように、まったく麻痺が確認されな かった患者さんとか、あるいは自分の意思表示ができなくて検査自身もできないという状 態の患者さんには、今回の試験には参加いただけないということになります。そしてここ でもう一度、移植を行うかどうかのインフォームド・コンセントを行って、参加の意思表 明された方にのみ2次登録を行い移植を行う、という段取りになっております。そして追 跡期間は6 ヶ月を用意しております。 「6 ヶ月以降に不測の有害事象が発生した場合、どのようにフォローしていきますか」と いうご質問(No.10) に対しては、当然我々は医師としての立場から、6 ヶ月できっちりと 決まってあとはぜんぜん関知しない、というようなことは全く考えておりません。一生涯 つづくかぎりフォローアップさせていただいて、万が一、治験に関連する有害事象が起こ れば、それに対して適切な処置をとっていきたいと、当然考えております。 研究カレンダーとして、今回の臨床試験のおもな流れを表にしました。まず入院なさい ましたら、まずメチルプレドニゾロン投与を一般的に今回の試験では開始します。 そして受傷 24 時間以内に、患者さんの背景とか今まで例えば糖尿病にかかられたとか、 喘息をもっているとか、そうした背景を聴取します。まあカルテの作成ですね。そしてウ イルス検査1を最初におこないます。ウイルス検査1というのは、厚労省が規定するGMP という医薬品優良製造基準に合致したセル・プロセッシング・センター(CPC:細胞培養 センター)でこの患者さんの細胞が培養できるかどうか、センターに持ち込むことができ るかどうかのウイルス検査です。このCPCには当然他の患者さんの細胞も培養して用意 されておりますので、感染力の強いウイルスをもっている患者さんの骨髄間質細胞はその 建物の中に入れることが出来ませんので、このウイルス検査をまずさせていただく。 ここでネガティブ(陰性)とでた患者さんに対してのみインフォームド・コンセントで 次の段階に移ります。それからコーマ(GCS:グラスゴー・コーマ・スケール)、AIS スコア と書いてありますのは、救急部の外傷の重症度に関するスコアですが、脊髄損傷の患者さ んは脊髄損傷だけではなしに他にも大きな外傷を伴っている方が多い。脊髄損傷も大きな 外傷ですが、脊髄損傷どころではない、もっとほかに重篤な命に関わるような損傷を伴っ ている場合にはそちらの治療が優先されますので、今回の治験には参加していただけない ということになります。それを示すスコアで、まず救急部へ搬入された患者さんをいち早

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く診断する。 そして通常の診断が行われ、MRI で脊髄の損傷の度合いを調べる。そして最後の2つは 麻痺の程度、運動麻痺、感覚麻痺の程度を表す指標に基づいての表です。それをまず24 時 間以内に取るということです。 これに対してのご質問(No.4)で、治験対象者の選定基準ですが、先ほど理事長の大濱様 から「新しい国際基準が作られようとしているがどう考えているか」というご発言があり ました。今のところは現存する評価スケールに従わなくてはならないということで、新し い評価方法が開発されれば随時それに移行することも考えますけれども、現在のところは 脊髄損傷国際評価基準(ISCSCI:Internat. Stds Class. of SCI)の評価方法が国際的にベ ストと考えておりますし、これしかありませんのでこれに基づいて、評価を行います。 そして、「C1、C2 の高位のレベルも対象とするか」という質問(No.4)ですが、当然のこ とながら、呼吸も出来ないような患者さんには治療法がありませんので、当然こういう新 しい治療法を試みる対象としたいと考えております。 あと、培養のとき移植直前にはこのような同じような検査を行います。そして移植する 直前にはウイルス 2 の検査を行います。これはインフルエンザウイルス、ウイルス検査1 とは違うウイルスの検査を行います。これがプラス〔陽性〕の場合は脳炎とかをおこす可 能性がありますので、この時点で参加を諦めていただくことになります。 最後に移植した細胞が目的の細胞であったかどうかを表面マーカを調べることにしてお ります。これをまた別の角度から見た流れ図です。

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◎患者搬入から移植までの作業手順 Time 検査施設 ××施設 ××施設 データセンタ 受傷 患者搬入 ↓ 骨髄海綿骨の インフォームド・コンセント ↓ 血液採取 ↓ ウイルス検査1→ 血液搬送 ↓ 8時間以内 メチルブレドニゾロン投与 ↓ 24時間以内 各種検査 ↓ 脊髄手術 骨髄海綿骨採取 ウイルス検査1 ↓ 結果送付 一次症例登録の適格基準を 確認 ↓ 一次症例登録 → 適格性 FAX 一次症例登録確認票受領 ← 72時間以内 海綿骨搬送 細胞の分離・ ウイルス検査1結果送付 培養開始 一次症例登録確認票送付 (受傷後72時間以内) 1∼3週間 症例検討会 培養 ↓ ↓ 細胞移植の 必要数確保 インフォームド・コンセント (106個以上) ↓ 血液採取

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↓ ↓ ウイルス ← 血液搬送 検査2 ↓ ↓ 各種検査 品質管理試験 ウイルス ↓ ↓ 検査2結果 → 二次症例登録の ← 移植細胞品質管理 報告書送付 適格基準を確認 結果報告書の送付 ↓ 二次症例登録 二次症例登録 → 適格性 ↓ FAX 二次症例登録 ← 確認書受領 ↓ 細胞培養終了および→ 細胞培養終了 移植細胞送付の依頼 ↓ 移植 ← 移植細胞搬送 ↓ 表面マーカー測定 ← 表面マーカー測定用 サンプル送付 ↓ 表面マーカー測定→ 表面マーカー測定 測定結果報告書 結果報告書受領 送付 患者さんが救急部に搬入されましたら、骨髄間質細胞を用意するかどうかの第1回目の インフォームド・コンセントを行います。このときには患者さんへの説明書は患者さんの お手元にあります。そして、培養ができるかどうかのウイルス検査を行います。そして検 査でネガティブと出た患者さんに対して細胞をセルプロセッシングセンターに持ち込む。 セルプロセッシングセンターで培養が行われている間に、そのほかの準備が整えられてい ます。所定の数だけ培養細胞が用意された時点で2回目のインフォームド・コンセントを とり、実際に移植することに同意されるかどうかをご確認させていただきます。そして表 にデータセンターと書いてありますのは神戸の先端医療センターでして、この第3の機関 であるデータセンターでは、患者さんの実名ではなく番号化して匿名性を高めたデータ処

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理が行われます。そこで2次登録で細胞移植の参加に同意していただいた患者さんに対し てのみ移植を行う。で移植された細胞が目的の細胞かどうかは表面マーカで確認する、い うような手順で行います。 それで最後のそのデータのまとめでございますけれども神戸の先端医療センターにあり ますTRI データセンターで匿名の下でデータが管理されます。そこで症例報告書が研究者、 研究実施施設に郵送され、そこで記入されたものをもう一度データセンターに戻して、不 備がないかどうかを確かめて、データが蓄積されていくことになっています。 患者への説明同意文書 最後に患者さんへの同意説明文書について簡単に説明させていただきます。まず「臨床 試験とはどのようなものか」。今回は第Ⅰ‐Ⅱ相の臨床試験ですので、特に安全性と有効性 についての試験である、ということを細かく説明しております。これについては後ほど福 島先生のほうからより専門的にお話があるとおもいます。 次に「なぜこの臨床試験を行うのか」ということです。今のところ脊髄損傷の患者さん に関してはこれといった有効な治療法がないこと。また少しでも回復したら、それでもだ いぶその後の生活に違いができてくる、ということ。自分がはじめて数時間前に受傷して 脊髄損傷になった患者さんですので、その病態は全くわからない状態ですので非常に詳し く説明していきます。そしてこれまで我々が行ってきた研究成果についても、もちろん詳 しく説明します。 「この試験の内容はどのようなものですか」というご質問に対して、海綿骨を採取して、 培養して移植する方法であることを非常にこまかく丁寧に説明して、医師が横で説明する という方式を取っております。 つぎに「この臨床試験はどのように行われるのでしょうか」ということに関しては、血 液検査、画像診断、機能評価を行って、こういう評価を行いながら、細胞移植と、細胞移 植を行った後にリハビリテーションが引き続き行われるということを述べております。 「予想される効果・危険性にはどのようなものがあるのでしょうか」についてですが、 効果としては機能の改善です。問題は「副作用、危険性にどんなものがあるか」というこ とですが、頭痛、髄膜炎、あるいはアレルギーなど、これは細胞移植によるおこる可能性 があるものを列挙しました。そして注入した骨髄細胞の腫瘍化、石灰化の可能性ですけれ ども、これは動物実験――ラットとカニクイザルによる安全性試験では、移植細胞の腫瘍 化や無制限な増殖、あるいは移植した細胞は骨からとった細胞ですが骨になったというよ うなことは一切認めておりません。けれども、ヒトでは安全性が確認されておりませんの で、その確認されていないということも詳しく書いております。そしてこのこと(腫瘍化、 石灰化)については3ヶ月目、6ヶ月目、それ以上の経過をもちましてMRI 等で調べてい く予定です。

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「予想される危険性」についての質問(No.10)ですが、「移植が知覚異常、異常疼痛など のレベルのことはないか、それについてはどのように考えられますか、また重大な有害事 象が生じた際に対応するとされている<効果・安全性評価委員会>は誰が主導し、どこに 設置して運営されますか」というご質問ですが、この有害事象として、そのほか予想しな いようなことが起こってきた場合に対しても、臨床試験との関連性を認めたものに対して は関西医科大学が責任を持って交渉していく、と考えております。 臨床試験の実施期間と参加される予定の患者数は2年で 23 人を数えております。「2年 で 23 人に実施出来るかどうか」という質問(No.6)ですが、出来なければ適宜2年が3年 になることもありうると考えております。 「この臨床試験に参加しなくても、他の治療を受けられるでしょうか」、――参加しても しなくても通常の治療は行いますし、参加するかしないかは自由意志で決めていただくこ ととなっております。 「この臨床試験に参加しない場合、また参加できなくなった場合、治療に影響がありま すか」ということですけれども、参加しなくても不利益になるようなこと一切ありません。 「症状が急変した場合どうしたらよいでしょうか」――主治医、当直医が対応し、速や かに主任研究者に連絡が取られ、対応すると記載。 「この臨床試験の参加中に健康上の問題が発生した場合どのような治療を受けられるの でしょうか」ということに対しては、本試験によるものは関西医大が負担すること、重大 な問題は委員会へ報告し検討します。今後この試験を継続するかどうかは外部委員を決め て検討を行うこと。 「この臨床試験に参加した場合の費用の支払いはどのようになっているのでしょうか」 ――本試験に関する部分は研究者が負担しその他は通常の保険治療で行います。 「どのような場合に臨床試験への参加が中止されますか」ということですが、参加取り 消しの申し出が患者さまからあった場合、培養細胞が予想通り増殖しなかった場合、また 別の病気が悪化してとても脊髄損傷の治療どころではなくなった場合、などを想定してお ります。 「この研究に関する新しい情報が得られた場合」には、その都度患者さんに通知します。 また「脊髄損傷についての情報はどこで得られますか」――日本せきずい基金等で情報提 供しております。 「あなたのカルテ、検査結果等の調査について倫理委員会委員、厚生労働省の担当者が 尋ねてきた場合」には、回答しますが、一般的な不特定多数の方に公開するということは 一切行いません。 研究成果の帰属についてですけれども、学術誌に掲載します。プライバシーに関するこ とは一切掲載しません。 「試験実施計画書の開示」については、患者さまの希望があれば開示いたします。最後 にご不明な点がありましたら相談窓口を設けて対応する予定にしております。以上です。

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