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博士(地球環境科学)薛 東一 学位論文題名 Variations of Stratosphere-Troposphere Circulation Estimated by the Transf・ormedEulerian‐MeanFOrmaliSm

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Academic year: 2021

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博士(地球環境科学)薛   東一

     学位論文題名

    Variations of Stratosphere‑Troposphere Circulation Estimated by the Transf ・ ormedEulerian ‐MeanFOrmaliSm

(変形オイラー平均方程式系によって見積もら れた成層圏―対流圏循環の変動に関する研究)

学 位 論 文 内容 の 要 旨

   成層圏‐対流圏循環に関する研究は、人類起原の化学成分と物質の対流圏から成層 圏への輸送とそれらの成層圏内での循環、それから全球規模の気候変動に対する人間 活動の影響などを理解するうえで重要である。成層圏―対流圏循環を表わす平均子午 面循環は熱帯域で対流圏界面を横切る上昇流、成層圏における極向き流れ、それから 中・高緯度域対流圏への下降流として構成される。本研究では成層圏でラグランジア ン平均運動のよぃ近似である変形オイラー平均(tra.nsformcd Eulc'rian ・mcaii: TEM ) 方程式系の残差平均子午面循環を用いて、まだ十分に解明されていなかった成層圏突 然昇温に伴う大気角運動量及び1 日の長さの変動、成層圏―対流圏循環の平均的な季 節変化とそれに対する波数ごとの寄与及び長期変動について調べた。残差平均子午面 循環と質量フラックスは10 年間( 1983.12 .1 亠1995 .ll .30 、1 日1 回)のNI¥IC データを 用いてTEl¥I 方程式系の東西運動方程式と連続方程式から求め、長期変動を調べる解 析方法としては重回帰統計モデルを用いる。

   短期の変 動として 1989 年 2 月の突然昇温に伴う成層圏循環の変動を調べた結果、

昇温の起こる約3 週間前から成層圏大気角運動量が減少し、 1 日の長さが短くなるこ とが分った。昇温後、成層圏大気角運動量は回復した。他の例でも同様の傾向がある ことが分った。

   平均的な季節変化について調べた結果、100 hPa, 面を横切る南半球中・高緯度域の 下向き質量フラックスは5 月最大、 1 月最小、北半球中・高緯度域の下向き質量フラッ クスは 12 月 最大、6 月 最小、そ れから熱帯域の上向き質量フラックスは 11 月最大、

6 月最小の年変化を示す。 100 hPa 面における年平均上向き質量フラックスは 101 . 8 x l08 kg/s であり、その面を通した大気の交換時間は 1.6 年である。南半球と北半球 の中・高緯度域の下降流に対して南半球の夏を除いたすべての季節でプラネタリース ケールの 波が最も 大きな寄 与をする。特に南半球の春と北半球の冬は波数1 の波の 寄与が卓越し、北半球の夏は波数 2 の波が最も大きな寄与をする。南半球の夏、秋、

冬にはシノプテイックスケールの波の寄与も無視できない。熱帯域の上昇流に対して

は、すべての季節でプラネタリースケールの波が最も支配的である。成層圏質量フ

ラックスの収支からは特に冬の中部成層圏で極向き流れが弱い subt .ropicaltransport

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ba.rricrの存在が確認された。

  100 hPa.面を 横切る熱 帯域の 上向き質 量フラソ クスは赤道域の準2年周期振動(QBO) の東風 位相(基 準面: 50 hPa・ )のとき に増加し 、西風位相のときに減少する準2年周 期 変 動 を 示 す 。 こ の QBOに 伴 う 変 動 の 大 き さ は19xl08 kg/sで あ る 。QBOの 位 相 差 に よ る 循 環 ア ノ マ りで もQBO東 風 位相 の と きに 熱 帯 域で 上 昇 し、 亜 熱 帯 域で 下 降 する 循 環 が見 ら れ た。100 hPa,面 を 横 切る 熱帯域の 上向き 質量フラ ックスは1.4x 108 kg/s/、 ,carの比率で 時間と 共に増加 するト レンドを示す。重回帰分析の残差とし て 熱帯 域 の 上向 き質 量フラ ックスに ピナトゥ ボ火山 噴火のシ グナル が見られ た。熱 帯 域 の上 向 き 質量 フ ラ ック ス は1991年後 半 に 急 激に 増 加 し、 そ の 増加 は 噴火後二 つの 季 節に わ た って 最大 である (1991年9一11月:35x108kg/s)。噴火 後最初の 冬には 約 25弘 の 上 向き 質 量フラ ックス の増加が 見られ た。ピナ トゥボ火 山噴火 のシグナ ルは噴 火 後約2年 半ま で 持 続す る 。 火山 噴 火 前後 の 循環ア ノマりか らもピ ナトゥボ 火山噴 火 による両半球の中・高緯度域における下降流の増加が見られた。

  北半球下部成層圏における高緯度域下降流の平均(60゜−90゜の重みっき平均)速度は 北半球の冬に最大(約2.0−2.1km/month)、夏に最小(約0.0−0.5km/mont.h)である。

南半球 下部成層 圏にお ける平均下降速度は南半球の秋から春にかけて最大f約1.2−1.4 km/m011t.h)であり、夏に最小(約0.3―0.6km/m011th)である。中・上部成層圏にお け る平 均 下 降速 度は 半球そ れぞれの 冬に最大 であり 、高度と 共に増 加する。 年平均 し た高緯度域成層圏の下降速度は南半球(約1.1−3.2km/month)より北半球(約l.1・5.2 km/mont.h)の 方が大き く、そ れらの差 は高度と 共に大 きくなる 。高緯 度域下降流の 季 節変 化 は 両半 球 共 に年 周 期 成分 が 卓 越す る が 、 南半 球 の 場合 は 半 年周期 成分も 大 き く、 南 半 球冬 の下 降流は なべ底型 の季節変 化をす る。両半 球の高 緯度域成 層圏の 平 均 下 降 流 はQBO西 風 位 相 (50hPaの 東 西 風5m/s以 上 を 基 準 ) の と き に 強 く なり 、 東風位 相のとき に弱< なる傾向がある。その差は約0.1―0.5km/mont.hであり、北半 球 と 南 半 球 で ほ ぼ 同 じ であ る 。 この よ う な高 緯 度 域下 降 流 の準2年 周期 変 動 は 特に 南 半球 の 下 部成 層 圏 で統 計 的 に有 意 で ある 。 ピ ナ トゥ ボ 火 山噴 火 後 、高緯 度域成 層 圏の平 均下降流 は両半 球で強く なる。 その大き さは特 に南半球 で大きくf約0.8,1.0 km/mont.h)、 下部成層圏から上部成層圏にわたってほぼ一様である。両半球の下・中 部 成層 圏 で 平均 下降 流は時 間と共に 強くなる 。この トレンド は100一30hPa. で統計 的 に有意である。

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学 位 論 文 審 査 の要 旨

主査   教授   山崎孝治 副査   教授   藤吉康志 副査   助教授   向川   均 副査   助教授   塩谷雅人

副査   松野太郎(m フロンテイ弼げレステム・システム闘

     学位論文題名

    Variations of Stratosphere‑Troposphere Circulation Estimated by the Transformed Eulerian‑Mean Formalism

(変形オイラー平均方程式系によって見積もら れた成層圏一対流圏循環の変動に関する研究)

  成 層圏― 対流圏 循環に 関する研 究は、人類起原の化学成分と物質の対流圏から成層圏への輸送とそれ ら の成層 圏内での 循環、 さらに 全球規 模の気 候変動 に対す る人間 活動の影 響など を理解するうえで重 要である。

  成 層圏一 対流圏 循環を 表わす平 均子午面循環は熱帯域で対流圏界面を横切る上昇流、成層圏における 極 向き流 れ、及び 中・高 緯度域 対流圏 への下 降流と して構 成され る。本研 究では 成層圏でラグランジ ア ン平均 運動のよ い近似 である 変形オ イラー 平均(transformed Eulerianーmean: TES4)方程式系の残 差 平均子 午面循環 を用い て、今 まで十 分に解 明され ていな かった成層圏循環の変動につLヽて調べた。

残差平均子午面循環と質量フラックスは10年間(1985. 12.1ー1995. 11. 30、1日1回)のN¥4Cデ―夕を用い てTEV方程式 系の東 西運動 方程式 と連続方 程式か ら求め 、長期変動を調べる解析方法としては重回帰統 計モデルを用いる。

  短 期の変 動とし て1989年2月 の突然 昇温に 伴う成 層圏循 環の変 動を調べ た結果 、昇温の起こる約3週 間 前から 成層圏大 気角運 動量が 滅少し 、1日の 長さが 短くな ることが分った。昇温後、成層圏大気角運 動量は回復した。他の例でも同様の傾向があることが分った。

  平 均的な 季節変 化につ いて調べ た結果 、100 hPa面 を横切 る南半球中・高緯度域の下向き質量フラッ ク スは5月 最大、1月最小 、北半球 中・高 緯度域 の下向 き質量 フラックスは12月最大、6月最小であり、

熱 帯域の 上向き質 量フラ ックス は1I月最 大、6月 最小の 年変化 を示す 。100 hPa面 における年平均上向 き質量フラックスは1(】t.8x 10°kg/sであり、その面を通した大気の交換時間は1.6年である。南半球 と 北半球 の中・高 緯度域 の下降 流に対 して南 半球の 夏を除L、たすべての季節でプラネタリースケール の 波が最 も大きな 寄与を する。 特に南 半球の 春と北 半球の 冬は波数1の波の寄与が卓越し、北半球の夏 は波数2の波が最も大きな寄与をする。南半球の夏、秋、冬には総観規模の波の寄与も11そネ兒できなし、っ

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熱帯 域の 上昇 流 に対 して は、 すべ て の季節でプラネタリ ースケールの波の寄与が最も 支配的である。

  100 hPa面を横切る熱帯 域の上向き質量フラックス( 以下、簡単のためフラックスとし、う)は赤道域 の準2年 周期 振動(QBO)の東風 位相(基準面:50 hPa)の ときに増加し、西風位相のと きに減少する準 2年周 期 変動 を示 す。QBOの位 相差 に よる 循環 偏差 でもQBO東風 位相のときに熱帯域で 上昇し、亜熱帯 域で 下降 する 循 環が 見ら れた 。ま た エルニ一二ヨの時に はフラックスが増大する傾向 もみられた。重 回帰 分析 の残 差 とし てフ ラッ クス に ピナトゥボ火山噴火 のシグナルが見られた。フラ ックスは1991年 後半 に急 激に 増 加し 、そ の増 加は 噴 火後二つの季節にわ たって最大である。噴火後最 初の冬には約25

%の増加が見られた。火山 噴火前後の循環偏差からピ ナトゥボ火山噴火による循環 の変化は全球的なも ので ある こと が わか った 。ま た、 フ ラックスは増加卜レ ンドを持っており、ピナトゥ ボ火山噴火によ る 影 響 を 考 慮 し て も1.3x10°kg/s/年 の 比 率 で 時 間 と 共 に 増 加 す る ト レ ン ド を 示 し た 。   北半球下部成層圏におけ る高緯度域下降流の平均(60°‑90゜の重みっき平均)速 度は北半球の冬に最 大(約2.0―2.lkm/月)、夏に最小(約O.O−0.5 km/月)である。南半球下部成層圏における平均下降速 度は南半球の秋から春にかけて最大(約1.2−1.4 km/月)であり、夏に最小(約O.3一0.6 krn/月〕であ る。 中・ 上部 成 層圏 にお ける 平均 下 降速度は半球それぞ れの冬に最大であり、高度と 共に増加する。

高緯 度域 下降 流 の季 節変 化は 両半 球 共に年周期成分が卓 越するが、南半球の場合は半 年周期成分も大 きく 、南 半球 冬の下降流はな べ底型の季節変化をする。両 半球の高緯度域成層圏の平 均下降流はQBO西 風位相(50 hPaの東西風5m/s以上を基準)のときに強 くなり、東風位相のときに弱 くなる傾向がある。

この よう な高 緯度域下降流の 準2年周期変動は特に南半球 の下部成層圏で統計的に有意 である。ピナト ウボ 火山 噴火 後 、高 緯度 域成 層圏 の 平均下降流は両半球 で強くなり、その大きさは特 に南半球で大き い(約0.8−1.O  km/月)。両半球の下・中部成層圏で平均下降流は時間と共に強くなる。このトレンド は100―30hPaで統計的に有 意である。

  これらの研究成果は温室 効果気体の長期的挙動や気 候変動に対して新しい知見を 与えるものであり、

今後 のデ 一夕 の 蓄積 、衛 星デ ー夕 ・ 再解析デ一夕等の利 用によりいっそう解明が進む と期待される。

  審 査員 一同 は 、こ れら の成 果を 高 く評価し、また研究 者として誠実かつ熱心であり 、大学院課程に おけ る研 鑽や 取 得単 位な ども 併せ 申 請者が博士(地球環 境科学)の学位を受けるのに 充分な資格を有 するものと判定した。

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参照

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