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赤外放 射温度 計による群落表面温度に関する研究

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Academic year: 2021

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博 士 ( 農 学 ) 王    秀 峰

     学 位論文 題名

赤外放 射温度 計による群落表面温度に関する研究

学位論文内容の要旨

  本論文 は総頁数145頁,図59,表39を含む8章で構成されている和文論文である.

別に参考論文6編が添えられている.

  本研究は,常温付近を測定する携帯型の非接触性の赤外放射温度計を用いて,人工 衛 星 の 解 析 に 必 要 な 植 物 群 落 の 表 面 温 度 の 特 性 を 研 究 し た 論 文 で あ る ,   第I章は概説で,この研究の背景や目的が述べられている.すなわち.最近,技術 の進歩にともない,常温付近を測定する非接触性の赤外放射温度計(以下,放射温度 計)が製造され,物体に接触しないで種々の表面温度が測定できる様になった.その ため,従来測定が不可能であった植物群落などの表面温度も容易に測定できる様になっ た.さらに最近は人工衛星にも放射計が搭載され,定常的に地上の表面温度が測定さ れている.しかし,わが国では放射温度計は1980年代から一般に使用されるようにな ったため,放射温度計で測定した植物群落表面温度の基礎的研究はほとんど行われて いなく,種々の利用に障害になっている.そのため人工衛星の放射計と同じ測定原理 の携帯型の放射温度計を用いて.放射温度計の特性,群落表面温度の特性などの研究 を行っている.

  第H章は,放射温度計の特性と天空長波放射の補正法の研究である.放射温度計の 特性にっいては,放射温度計本体温度の影響,測定物体の表面温度と放射温度計の出カ の関係,放射温度計の放射率補正の特性にっいて研究を行っている.また,天空長波 放射の補正法にっいては天空放射温度による補正,グラフによる補正,参照板による 補正の研究を行った.研究の結果,精度良く測定するためには,放射温度計の本体温 度を20〜30℃に一定に制御する必要が有ることを明らかにした.さらに,放射温度計の 測定値には周囲からの放射の影響があるため,この補正が必要であることを示し,屋外 で測定する場合は天空放射温度で補正すると,精度良く補正できることを明らかにし ている.また,長期間連続して測定する場合(ま,参照板による補正法を推奨している.

  第m章は作物群落の窓領域の放射率の研究である.放射温度計で表面温度を測定す る場合.放射率を設定する必要がある.そのため放射率の測定装置の改良や計算式を 考案し,作物葉,土壌面や群落の放射率を測定した.その結果,多くの作物葉の放射率 を0.97か0.98に設定すると小さな誤差で測定できることを明らかにした.さらに,群 落の放射率は群落を構成する作物体型の影響は少なく,作物葉,植被率,土壌水分な どの影響を受けることを明かにし,植物葉の放射率に−0.05〜+0. 01程度加えた値に設 定する必要があることを明らかにした.

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  第IV章は群落表面温度の特徴の研究で,群落表面温度と気温の比較,最高・最低表 面温度と最高・最低気温の差,作物群落別の最高・最低表面温度の比較を行っている.

第m章までの結果を基に,4種類の作物畑と1種類の森林の群落表面温度の特徴を測定 した.その結果,群落表面温度は日中は気温より高く,夜間は気温より低くなること を明かにした.また,群落表面温度は群落構造によって異なり,垂直分布型の卜ウモ ロコシ群落の最高表面温度は,水平分布型のダイズ群落の最高表面温度より,生育初 期には高温で,生育後期には低温になることを明らかにした.また,最低表面温度はト ウモ口コシ群落,ダイズ群落とも大きな差が無いことを明らかにしている,さらに,

最高表面温度や最低表面温度の起時について,卜ウモ口コシ群落はダイズ群落より遅 く,群落としての熱容量が大きいことを明らかにしている.

  第V章は作物群落の構造と群落表面温度の関係の研究である.群落の構造によって 群落表面温度が異なるため,群落の構造,群落を構成する作物体型および作物葉温の 特徴を測定している.その結果,卜ウモロコシ群落とダイズ群落のバイオマス分布,

植被率を構成する葉の分布,方向別葉数などを測定した.トウモ口コシ群落は三角 形のバイオマス分布を示し,植被率を構成する葉の分布は上層から下層まで分布して いるのに対して,ダイズ群落は逆三角形のバイオマス分布で,植被率を構成する葉の 分布は上層のみである.また,方向別葉数は卜ウモ口コシ群落は不均一な分布に対し て.ダイズ群落は均一な分布をしている.さらに,群落表面温度に影響する個々の葉 温の比較,方向別な葉温の比較をして,日射が少ないときはダイズ葉の方が卜ウモロ コシ葵より低温であること,ダイズ葉は時間的にも方向的にもトウモ口コシ葉と比較 して変動が大きいことを明らかにした.これはダイズが水平葉分布型の作物であるた めとしている.

  第VI章は群落表面温度と気象要素の関係の研究である,群落表面温度がどの様な気 象要素に影響されて成立するかを調べるため,各気象要素との関係を解析した.群落 表面温度は気温,純放射,日射,飽差,湿度,風速などと有意な単相関があることを 計算している.また,気温,純放射,飽差,風速との重相関解析を行い,日中は気温,

純放射などの影響を受けるが,夜間は気温の影響が大きいことを明かにした.さらに,

生育初期には純放射の影響が大きいが,生育中期,後期には気温の影響が大きいこと を明らかにした.これは生育初期には群落表面温度に土壌面の温度が多く合まれるた めである,また,森林の解析では,畑より気温の影響が大きく,繁茂期の方が落葉期 より寄与率などが良いことを明らかにしている.

  第vn章は群落表面温度と植生指数の関係の研究である.群落表面温度の応用として,

群落表面温度と植生指数の関係にっいて研究し,植生指数の特性,群落表面温度との 回帰係数などを明らかにしている.その結果,植生指数は植被率や葉面積指数とはか ならずしも良い関係にないこと,群落表面温度と気温の差と植生指数の回帰係数は群 落の種類によって異なることを明らかにしている.

  第vm章 は ま と め で あ る , こ の 研 究 の 要 約 を 次 の よ う に 示 し て い る .

@国産の放射温度計は本体温度を20〜30℃に一定にして測定すると精度良く測定でき る.@屋外で放射温度計で測定する場合,天空長波放射の補正をしなければならない.

◎群落放射率は多くの植物葉の放射率である0.96〜0.97に‑0. Oa〜0.01を加えた値で

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ある.@植物の葉の着性状態によって群落表面温度は異なる.たとえば,生育初期に は垂直分布型のトウモロコシ畑は,水平分布型のダイズ畑より高温であるが,生育後 期には低温になる.◎群落表面温度は気温と純放射の相関が高い.夜間は特に気温と の相関が高い,◎群落表面温度と植生指数の回帰係数は作物の種類によって異なる,

  以上のように本研究は,赤外放射温度計の特性から群落表面温度の特性までを研究 レた論文である.

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学位論文審査の要旨

     学位論文題名

赤外放射温度計による群落表面温度に関する研究

     本論文は総頁数 145 頁,図 59 ,表 39 を含む8 章で構成されている和    文 論 文 で あ る . 別 に 参 考 論 文 6 編 が 添 え ら れ て い る .      最近,技術の進歩にともなむ、,常温付近を測定する非接触性の赤    外放射温度計が製造され,物体に接触しなぃで種々の表面温度が測    定できる様になった.そのため従来測定が不可能であった植物群落    などの表面温度も容易に測定できる様になった.   さらに,最近は人    工衛星にも放射計が搭載され,定常的に地上,の表面温度が測定され    ている.   しかし,   この赤外放射温度計で測定レた植物群落の表面温    度の基礎的な研究はほとんど行われていな<,種々の利用に障害に    なっている.

     本研究は,常温付近を測定する携帯型の非接触性の赤外放射温度 計 を用いて,人工衛星の解析に必要な植物群落の表面温度の特性を 研究した論文である.

  1 .研究は携帯型の赤外放射温度計の特性と補正法から研究を行っ て いる.その結果,精度良く測定するためには,赤外放射温度計の 本 体温度を 20 〜 30 ℃に〜定に制御する必要が有ることを明らかにし た ,さらに,赤外放射温度計の測定値には周囲からの放射の影響が あるため,   この補正が必要であることを示し,屋.外で測定する場合 は 天空放射温度で補正すると,精度良く補正できることを明らかに している.   また,長期間連続して測定する場合は,参照板による補 正法を推奨している.

2 .赤 外放射 温度計 で表面 温度 を測定 する場合.放射率を設定する 必 要がある,そのため放射率の測定装置の改良や計算式を考案し,

群 落放射率を測定している.その結果,群落の放射率は群落を構成 す る作物体型の影響は少なく,作物葉,植被率,土壌水分などの影 響を受けることを明かにし,植物葉の放射率に 10 .05 〜伽.01 の値を 加 え た 値 に 設 定 す る 必 要 が あ る こ と を 明 ら か に し た .

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夫 治

郁 安

口 田

堀 梅

授 授

教 教

査 査

主 副

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3 .以上の結果を基に, 4 種類の作物畑と 1 種類の森林の群落表面温 度の特徴を測定している.その結果.群落表面温度は群落構造によ って異なり,垂直分布型のトウモロコシ群落の最高表面温度は,水 平分布型のダイズ群落の‐最高表面温度より,生育初期には高温で,

生育後期には低温になることを明らかにした.   また,最低表面温度 は卜ウモ口コシ群落,   ダイズ群落とも大きな差が無いことを明らか にしている,さらに,最高表面温度や最低表面温度の起時について,

卜ウモ口コシ群落はダイズ群落より遅く,群落としての熱容量が大 きいことを明らかにしている,

4. 群落 の構造 によって群落表面温度が異なるため,群落の構造,

群落を構成する作物体型および作物葉温の特徴を測定した.その結 果,   トウモロコシ群落とダイズ群落のバイオマス分布.植被率を構 成 する 葉の分 布,方向別葉数などを測定し,ダイズ葉は時間的に も方向的にもトウモロコシ葉と比較して変動が大きいことを明らか にした.   これはダイズが水平分布型の作物であるためとしている.

また,    ダイズ葉は日射量が少ないときは卜ウモ口コシ葉より低温で あることを明らかにしている.

5 .さらに,群落表面温度がどの様な気象要素に影響されて成立す るかを調べるため,各気象要素との関係を解析している.その結果,

日中は気温,純放射,飽差などの影響を受けるが,夜間は気温の影 響が大きいことを明かにした.さらに,生育初期には純放射の影響 が大きいが,生育中期,後期には気温の影響が大きいことを明らか にした,

6. 最後 に群落 表面温度の応用として,群落表面温度と植生指数の 関係について研究し,植生指数の特性,群落表面温度との回帰係数 などを明らかにしている.その結果,植生指数は植被率や葉面積指 数とはかならずしも良い関係にないこと,群落表面温度と気温の差 と植生指数の回帰係数は群落の種類によって異なることを明らかに している,

   以上のように本研究は,赤外放射温度計の特性から群落表面温度 の特性までを研究したもので,学術上重要な知見を得たばかりでな く,応用面においても貢献することが大きい.

   よって審査員一同は,最終試験の結果と合わせて,本論文の提出 者王    秀峰は博士(農学)の学位を受けるのに十分な資格があるも のと認定した.

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参照

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