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2016-03-20 引用発行日 , ; TANEDA, KENICHIRO タイトル著者

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タイトル 修復的少年司法

著者 種田, 健一郎; TANEDA, KENICHIRO 引用

発行日 2016‑03‑20

(2)

平成27年度 博士論文

修復的少年司法

北海学園大学大学院

法学研究科 法律学専攻 博士課程 学生番号 7512101 種田 健一郎

(3)

修復的少年司法

【目次】

はじめに

第1章 わが国における近年の少年司法の動向と被害者の視座 第1節 近年の被害者関連諸法・施策の展開

第2節 近年の少年法改正 -被害者の視座―

第3節 現行少年司法における被害者視座に立脚した規定の運用

第2章 わが国における少年司法の理念 第 1 節 健全育成概念の理解 第 2 節 少年法理念の変遷

(1)審判対象論の変遷

(2)アメリカ少年司法の動向

(3)流山事件最高裁決定

(4)少年司法に関する国際準則

(5)まとめ 第 3 節 小括

第3章 被害者のニーズの検討 第 1 節 犯罪被害者の現状

(1)犯罪被害者が置かれる状況

(2)犯罪被害者に関する調査等

ⅰ被害者支援都民センターの被害者調査(平成 18 年度)

ⅱ犯罪被害を受けていない人々の意識 ⅲ若干の考察

第 2 節 犯罪被害者のニーズ

(1)情報ニーズ

(2)損害回復ニーズ

第 3 節「犯罪および権力濫用の被害者のための司法に関する司法の基本原則宣 言」

小括 -現行制度の被害者ニーズによる再把握-

第4章 修復的司法(正義)

(4)

第1節 現行少年司法理念・構造と被害者

(1)現行少年司法理念・構造と被害者

(2)小括

第2節 修復的司法

(1)修復的司法

(2)純粋モデルと最大化モデル ⅰ純粋モデルと最大化モデル ⅱ純粋モデルに対する批判 ⅲ最大化モデルに対する批判 ⅳ小括

第3節 少年司法分野における修復的司法実践形

(1)わが国における修復的司法の実践形態

(2)「NPO 法人 被害者加害者対話の会運営センター」の実践

(3)少年対話会(警視庁主導による修復的カンファレンス)

ⅰ少年非行防止法制に関する研究会

ⅱ少年対話会の具体的内容 第4節 小括

第5章 外国における修復的司法の動向

第1節 イングランド及びウェールズの少年司法領域における修復的司法 (1)イングランド及びウェールズの少年司法小史

(2)1998 年犯罪及び秩序違反法 (3)1999 年少年司法及び刑事証拠法

ⅰ付託命令

ⅱ懸念と批判

ⅲ小括

第2節 ベルギーにおける修復的司法

(1)修復的司法導入背景

(2)2006 年少年法

(3)2006 年法における修復的規定

(4)2006 年法の評価

第3節 刑事問題における修復的司法プログラムの活用に関する基本原理

第6章 修復的少年司法

第 1 節 修復的少年司法へ向けた基本要素

(1)犯罪によって惹起された損害・問題

(5)

(2)犯罪被害者

(3)修復

(4)正義

(5)まとめ

第 2 節 少年司法における指導原理としての修復的正義

(1)少年司法と修復的正義

(2)厳罰化論としての修復的司法 第 3 節 修復的少年司法の具体的実践形態

(1)調査段階

(2)審判不開始・不処分決定

(3)警察・検察官段階

(4)各種保護処分段階

(5)修復的司法実践形態の公的部門と私的部門 第 4 節 結論

おわりに

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1 は じ め に

わ が 国 に お い て 、 犯 罪 被 害 者 の 保 護 お よ び 救 済 が 刑 事 司 法 上 、 重 要 な 課 題 と し て 扱 わ れ る よ う に な っ た の は 、2 0 0 0 年 に「 犯 罪 被 害 者 等 の 保 護 を 図 る た め の 刑 事 手 続 に 付 随 す る 措 置 に 関 す る 法 律 」( 犯 罪 被 害 者 保 護 法 )、「 刑 事 訴 訟 法 及 び 検 察 審 査 会 の 一 部 を 改 正 す る 法 律 」( 犯 罪 被 害 者 保 護 二 法 )が 成 立 し て か ら で あ ろ う 。 も っ と も 、 1 9 8 0 年 に は 犯 罪 被 害 給 付 制 度 が 創 設 さ れ て は い た が 、 犯 罪 被 害 者 が 刑 事 司 法 上 「 被 害 者 」 と し て の 地 位 を 獲 得 し た の は 、 犯 罪 被 害 者 二 法 に 始 ま る か ら で あ る 。 刑 事 司 法 に お い て 「 被 害 者 」 の 地 位 が 認 め ら れ た こ と は 一 般 に 歓 迎 さ れ て お り 、 犯 罪 被 害 者 二 法 は 被 害 者 支 援 の 重 要 な 制 度 的 保 障 と し て 評 価 さ れ て き た 。

そ の 後 、 2 0 0 4 年 に は 「 犯 罪 被 害 者 等 基 本 法 」 が 成 立 し 、 同 法 1 8 条 は 「 国 及 び 地 方 公 共 団 体 は 、 犯 罪 被 害 者 等 が そ の 被 害 に 係 る 刑 事 に 関 す る 手 続 に 適 切 に 関 与 す る こ と が で き る よ う に す る た め 、 刑 事 に 関 す る 手 続 の 進 捗 状 況 等 に 関 す る 情 報 の 提 供 、 刑 事 に 関 す る 手 続 へ の 参 加 の 機 会 を 拡 充 す る た め の 制 度 の 整 備 等 必 要 な 施 策 を 講 ず る も の と す る 。」と 規 定 し 、犯 罪 被 害 者 の 刑 事 司 法 に 対 す る 適 切 な 関 与 を 促 進 し て い る 。 2 0 0 5 年 に は 、「 犯 罪 被 害 者 等 基 本 計 画 」( 第 一 次 基 本 計 画 ) が 閣 議 決 定 さ れ 、 重 要 課 題 の 一 つ と し て 「 犯 罪 被 害 者 等 が 刑 事 裁 判 に 直 接 関 与 す る こ と の で き る 制 度 の 検 討 及 び 施 策 の 実 施 」 が あ げ ら れ た 。 さ ら に 2 0 0 7 年 に は「 犯 罪 被 害 者 等 の 権 利 利 益 の 保 護 を 図 る た め の 刑 事 訴 訟 法 等 の 一 部 を 改 正 す る 法 律 」( 犯 罪 被 害 者 等 の 権 利 利 益 保 護 法 )が 成 立 し た 。ま た 、2 0 1 1 年 に は 「 第 二 次 犯 罪 者 等 基 本 計 画 」 が 策 定 さ れ て い る 。

こ の よ う に 、 わ が 国 に お け る 犯 罪 被 害 者 の 保 護 お よ び 救 済 の 法 制 度 は 、 近 年 急 速 に 展 開 し て き て い る 。 犯 罪 被 害 者 の 保 護 お よ び 救 済 の 拡 充 そ れ 自 体 は 歓 迎 さ れ る べ き こ と で あ る 。 同 様 に 少 年 司 法 に お い て も 被 害 者 の 保 護 お よ び 救 済 制 度 が 整 備 さ れ た の で あ る 。

か つ て 、 故 ・ 田 宮 博 士 は 、 少 年 法 の 「 将 来 の ゆ く え 」 に つ い て 以 下 の 様 に 指 摘 さ れ た 。「 適 正 手 続 き の 保 障( に よ る 少 年 )手 続 き の 非 形 式 性 の 克 服 = 法 律 化 と い う 事 態 は さ ら に 進 む こ と に な ろ う 。 今 後 の 目 玉 の 一 つ は 弁 護 人 の 実 質 を 持 つ 付 添 人 の 援 助 を 受 け る 権 利 で あ る 。 … こ の 意 味 で の 法 律 化 は や が て 、 対 立 当 事 者 た る 検 察 官 の 関 与 の 余 地 を 生 む で あ ろ う 。 日 本 の 裁 判 官 の 身 に つ い た 中 立 性 ・ 消 極 性 、 事 実 認 定 の 正 確 性 と い う 問 題 が よ び こ ん で い る 当 事 者 主 義 へ の 願 望 、主 と し て 重 大 犯 罪 に 関 し て 検 察 官 の 公 益 の 代 表 者 性 へ の 期 待 、な ど に よ り 、 そ れ は 論 理 の 要 求 で は な い に し て も 、事 実 上 一 つ の 必 然 と い え る か も し れ な い 。 し か し 、 ア メ リ カ で は 、 そ こ か ら さ ら に 手 続 き の 刑 事 司 法 化 、 処 分 の 厳 罰 化 へ と つ ら な っ て い っ た が 、 ア メ リ カ で 繰 り 返 さ れ る こ の 福 祉 モ デ ル と 厳 罰 モ デ ル の サ イ ク ル 転 換 に 影 響 さ れ る こ と に な る と 、少 年 手 続 は 泥 沼 に 陥 る 危 険 が あ る 。 今 の と こ と そ れ は 警 戒 す べ き だ と い う こ と が ほ ぼ 共 通 の 理 解 で あ る …」 こ の

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2 よ う に 警 戒 さ れ た 少 年 法 の 未 来 像 が 、 4 度 に わ た る 改 正 を 経 た 少 年 法 の 現 在 像 と い っ て も 過 言 で は 無 い と い え よ う 。 ま た 、 こ の 一 連 の 少 年 法 改 正 に お い て 、 被 害 者 の 地 位 の 社 会 的 向 上 が 与 え た 影 響 は 少 な く な い 。

更 に 、 こ の 改 正 は 少 年 法 の 構 造 自 身 、 少 年 の 健 全 育 成 を 目 的 と す る 、 い わ ば

「 片 面 的 構 造 」 に か か わ る 問 題 で あ っ た 。 か か る 片 面 構 造 か ら は 、 少 年 犯 罪 問 題 の 解 決 は 、 少 年 個 人 の 立 ち 直 り を 通 じ て 達 成 さ れ る こ と に な る 。 し か し な が ら 、 こ れ は 少 年 犯 罪 問 題 の も う 一 方 当 事 者 で あ る 被 害 者 あ る い は 社 会 に と っ て の 解 決 を 二 次 的 な も の と し て 捉 え る 点 で 、 当 該 被 害 者 、 社 会 に と っ て の 少 年 犯 罪 問 題 は 直 接 の 解 決 に は な っ て い な い の で あ る 。

ま た 、 被 害 者 ・ 社 会 に と っ て 片 面 構 造 で あ る 少 年 法 が 与 え る ス ト レ ス は 夙 に 指 摘 さ れ て い た 通 り で あ る 。例 え ば 、少 年 審 判 の 非 公 開 、家 裁 の 裁 量 に よ る 検 察 官 関 与( 訴 追 官 と し て で は 無 く 、審 判 協 力 者 と し て )、同 じ く 被 害 者 参 加 、さ ら に 言 え ば 、 健 全 育 成 理 念 自 体 へ の 疑 問 。 さ ら に 近 年 で は 、 被 害 者 あ る い は 被 害 者 遺 族 の 声 が 大 き く な っ て き た こ と も 挙 げ ら れ る 。こ の よ う に 、現 行 少 年 法 に お い て 、 少 年 犯 罪 は 理 念 的 ・ 構 造 的 に 片 面 的 に 解 決 さ れ 、 そ の こ と が 、 被 害 者 を は じ め と す る 社 会 一 般 の 不 満 に な り 、さ ら な る 改 正 へ の 要 望 と な っ て 表 れ 、 保 護 ・ 教 育 主 義 の 危 殆 化 に 繋 が っ た と 考 え ら れ る 。

実 際 、 2 0 0 0 - 2 0 1 4 年 に か け て の 少 年 法 改 正 を 歴 史 的 に 振 り 返 る と 、 耳 目 を 引 く 事 件 あ る い は 被 害 者 の 要 望 に 対 し て 、首 尾 一 貫 し 理 念 に 方 向 づ け ら れ た 議 論・

改 正 作 業 を 行 わ ず 、 い わ ば 場 当 た り 的 対 応 に 終 始 し た 結 果 が 、 警 戒 さ れ る べ き で あ っ た 少 年 法 の 未 来 像 を 現 実 の も の と し た と い え る 。 こ の よ う に 考 え れ ば 、 少 年 司 法「 改 正 」が 抱 え る 問 題 は 、理 念 的 方 向 性 の 欠 如 に あ っ た と 考 え ら れ る 。 も ち ろ ん 本 論 文 は 現 行 少 年 法 1 条 「 健 全 育 成 」 理 念 = 保 護 ・ 教 育 理 念 を 維 持 す る も の で あ る が 、 す で に 述 べ た よ う に 、 現 行 法 少 年 法 は 少 年 の み に 焦 点 を 当 て る も の で あ り 、 片 面 的 少 年 司 法 と い う こ と が で き る 。 し か し 、 今 日 こ の 片 面 的 少 年 司 法 は 維 持 で き な い 。そ こ で 、本 論 文 は 、と り わ け「 被 害 者 」と「 少 年( 司 法 )」 と の 関 係 を 意 識 し た 少 年 司 法 理 念 の 再 構 築 が 必 要 で あ る と 考 え る 。

現 行 の 被 害 者 関 連 規 定 に は 「 被 害 者 へ の 配 慮 」 を 越 え た 「 被 害 者 へ の 期 待 」 へ の 応 答 で あ り 、 厳 罰 化 立 法 で あ る と の 指 摘 が あ る。 こ れ は 世 界 的 趨 勢 と も い え 、 例 え ば 、 A s h w o r t h は 厳 罰 化 に 奉 仕 す る た め の 被 害 者 の 利 用 、 D a v i d G a r l a n d は 刑 事 強 圧 的 統 制 方 法 を 正 当 化 す る 万 能 薬 と し て 「 被 害 者 」 と い う 作 ら れ た 政 治 的 イ メ ー ジ の 利 用 と 指 摘 す る。 こ の よ う な 形 で の 「 被 害 者 の 期 待 へ の 応 答 」が 結 果 と し て 、「 被 害 感 情 」重 視 と し て 顕 れ 、少 年 司 法 に お け る 保 護・

教 育 主 義 の 危 殆 化 へ 繋 が る 。 被 害 者 の 参 加 と い う 観 点 か ら 現 行 少 年 法 を 観 察 す る と - 被 害 者 の ニ ー ズ と 少 年 の ニ ー ズ の 充 足 と い う 観 点 - も は や 、 現 行 少 年 法 モ デ ル は 限 界 に 達 し お り 、 再 構 築 の 必 要 が あ る と 考 え る 。 こ の 局 面 で は 、 健 全 育 成 理 念 を 維 持 し 、 犯 罪 少 年 、 被 害 者 の 双 方 に 「 力 を つ け る 」 方 向 性 が 求 め ら れ る の で あ る 。

本 論 文 で は そ の 方 向 性 と し て「 リ ス ト ラ テ ィ ブ・ジ ャ ス テ ィ ス 」を 提 示 す る 。

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3 そ し て 、そ の 理 念 が 少 年 司 法 理 念 に 整 合 的 に 組 み 入 れ ら れ る こ と 、少 年 法 が「 少 年 ・ 少 年 犯 罪 法 」 と し て 再 構 成 さ れ ね ば な ら な い こ と 、 そ の 様 に 構 成 さ れ た 少 年 司 法 理 念 に お い て は 、 被 害 者 の 保 護 ・ 救 済 は 乗 り 越 え る べ き 壁 や 障 が い で は な く 、 相 互 に 補 強 さ れ あ う も の と し て 位 置 付 け ら れ う る こ と の 論 証 を 試 み る も の で あ る 。 な お 本 論 文 で は 「 リ ス ト ラ テ ィ ブ ・ ジ ャ ス テ ィ ス 」 の 訳 語 と し て 、 わ が 国 に お い て 一 般 的 と 思 わ れ る「 修 復 的 司 法 」「 修 復 的 正 義 」と 訳 す 。こ の「 司 法 」 と 「 正 義 」 の 使 い 分 け に つ い て は 、 吉 田 敏 雄 教 授 の 使 用 法 に 従 う 。 す な わ ち 、法 制 度 と い う 観 点 か ら は「 修 復 的 司 法 」、理 念 と い う 観 点 か ら「 修 復 的 正 義 」 と 呼 ぶ

以 上 を 問 題 意 識 と す る 本 論 文 の 構 成 は 以 下 の 通 り で あ る 。 第 1 章 で は 、 近 年 の わ が 国 に お け る 被 害 者 保 護 ・ 救 済 に 関 連 し た 立 法 ・ 施 策 を 概 観 す る 。 と り わ け 、 本 論 文 は 少 年 司 法 を テ ー マ に す る こ と か ら 、 少 年 法 に お け る 被 害 者 視 座 に 立 脚 し た 規 定 を 概 観 す る 。 被 害 者 の 保 護 ・ 救 済 に つ い て は 被 害 者 の ニ ー ズ を 的 確 に 把 握 す る 必 要 が あ る こ と 、 さ ら に 、 少 年 司 法 に お い て は 、 少 年 の ニ ー ズ も 同 時 に 充 足 さ れ る 必 要 が あ る と 考 え る こ と か ら 、 第 2 章 に お い て 、 少 年 法 理 念 に つ い て 、 第 3 章 に お い て 被 害 者 の ニ ー ズ に つ い て 検 討 す る 。 こ れ ら を 前 提 と し て 、 こ の 両 者 を 同 時 に 満 た す こ と が で き る 修 復 的 司 法 に つ い て 第 4 章 で 検 討 す る 。 第 5 章 に お い て は 、 海 外 に お け る 修 復 的 司 法 実 践 形 態 か ら 、 わ が 国 に お け る 修 復 的 司 法 及 び そ の 実 践 に つ い て 示 唆 を え る こ と を 目 的 と し た 考 察 を 行 う 。 そ し て 第 6 章 に お い て 、 本 論 文 の 結 論 を 示 す 。

田 宮 裕 「 少 年 保 護 事 件 と 適 正 手 続 - 流 山 事 件 」『 別 冊 ジ ュ リ ス ト 少 年 法 判 例 百 選 』( 有 斐 閣 ,1998)7 頁 。

松 原 芳 博 「 被 害 者 保 護 と 『 厳 罰 化 』」 法 律 時 報 75 巻 2 号 (2003)20 頁 以 下 。

Ashworth, Victim’s Rights, De fendants’ Rights and Criminal Procedure, in A. Crawford & J . Goodey (eds), Integr ating a Victim Pers pective within Criminal Justice ( 2000) pp.186

D . Garland, The Culture of Control : Crime and Social Order in Contemporary Society (2001) pp.143

吉 田 敏 雄 「 修 復 的 司 法 ( 正 義 ) に 関 す る 国 際 準 則 」 北 海 学 園 大 学 学 園 論 集 125 号 (2005)11 頁 。

(9)

4

第 1 章 わ が 国 に お け る 近 年 の 少 年 司 法 の 動 向 と 被 害 者 の 視 座

第 1 節 近 年 の 被 害 者 関 連 諸 法 ・ 施 策 の 展 開

わ が 国 に お け る 被 害 者 の 保 護 ・ 救 済 制 度 は 、 1 9 8 0 年 に 被 害 者 に 対 す る 恩 恵 的 性 格 が 強 い と さ れ る 「 犯 罪 被 害 者 等 給 付 金 支 給 法 」 に は じ ま る 。 他 方 、 欧 米 に お け る 被 害 者 の 保 護 ・ 救 済 制 度 が 1 9 6 0 年 代 か ら 進 展 し て お り 、 欧 米 と 比 べ 我 が 国 の 被 害 者 の 保 護 ・ 救 済 制 度 は 、 2 0 年 ~ 3 0 年 遅 れ て い る と 指 摘 さ れ る1。 し か し 、 今 日 、 犯 罪 被 害 者 の 保 護 ・ 救 済 は 刑 事 法 上 の 重 要 な 問 題 と し て 扱 わ れ2、 そ の 保 護 ・ 救 済 は 急 速 に 発 展 し て い る 。 こ の こ と は 、 成 人 刑 事 司 法 領 域 だ け で は な く 、 少 年 司 法 領 域 に つ い て も 少 な く な い 影 響 を 与 え て い る と 考 え ら れ る 。 本 節 で は 、 少 年 司 法 と 被 害 者 の 関 係 性 を 考 察 す る 前 提 と し て 、 ま ず 我 が 国 に お け る 、 近 年 の 被 害 者 関 連 諸 法 お よ び 施 策 の 制 定 過 程 を 概 観 す る 。 少 年 法 に お け る 被 害 者 関 連 改 正 に つ い て は 、 節 を 改 め て 概 観 し た い 。

( 1 ) 被 害 者 二 法 の 成 立

ⅰ 立 法 に 至 る 経 緯3

2000 年 に 、「 犯 罪 被 害 者 等 の 保 護 を 図 る た め の 刑 事 手 続 に 付 随 す る 措 置 に 関 す る 法 律 」( 以 下 、 犯 罪 被 害 者 保 護 法 と い う )、 お よ び 「 刑 事 訴 訟 法 及 び 検 察 審 査 会 法 の 一 部 を 改 正 す る 法 律 」( 以 下 、 刑 訴 法 等 改 正 法 と い う )、 い わ ゆ る 「 被 害 者 保 護 二 法4」 が 成 立 し た 。

わ が 国 で は 、当 時( 現 在 に 至 る ま で )、犯 罪 被 害 者 の 社 会 的 関 心 が 大 き な 高 ま り を 見 せ 、 被 害 者 お よ び 被 害 者 遺 族 に 対 す る 配 慮 の 充 実 と 保 護 の 諸 方 策 を 講 じ る こ と が 課 題 と な っ て い た と こ ろ 、1999 年 3 月 、法 務 大 臣 か ら 、事 務 当 局 に 対 し 、 刑 事 司 法 に お け る 犯 罪 被 害 者 の 保 護 等 に 関 す る 法 整 備 に 向 け て の 検 討 を 行 う よ う に 指 示 が な さ れ た 。

事 務 当 局 は 同 年 7 月 か ら 8 月 に か け て 、 法 務 省 の ホ ー ム ペ ー ジ に お い て 一 般 か ら の 意 見 募 集( パ ブ リ ッ ク コ メ ン ト 募 集 )を 行 っ た 。意 見 募 集 の 項 目 は 、「 被 害 者 の 地 位 の 明 確 に つ い て 」、「 検 察 審 査 会 に お け る 審 査 申 立 権 者 の 拡 大 等 に つ い て 」、「 被 害 者 に よ る 意 見 陳 述 に つ い て 」 等 の 12 項 目 で あ っ た5

こ れ の 検 討 を 踏 ま え 、 同 年 10 月 法 務 大 臣 は 法 制 審 議 会 に 対 し 、 犯 罪 被 害 者 等 へ の 適 切 な 配 慮 、一 層 の 保 護 を 図 る た め の 法 整 備 に 関 す る 諮 問 が な さ れ た( 諮 問 44 号 )。 具 体 的 諮 問 事 項 と し て は 、 以 下 の 9 項 目 で あ っ た 。 ① 性 犯 罪 の 告 訴 期 間 の 撤 廃 又 は 延 長 、 ② ビ デ オ リ ン ク 方 式 に よ る 証 人 尋 問 、 ③ 証 人 尋 問 の 際 の 証 人 の 遮 へ い 、 ④ 証 人 尋 問 の 際 の 証 人 へ の 付 添 い 、 ⑤ 被 害 者 等 の 傍 聴 に 対 す る 配 慮 、 ⑥ 被 害 者 等 に よ る 公 判 記 録 の 閲 覧 及 び 謄 写 、 ⑦ 公 判 手 続 に お け る 被 害 者 等 に よ る 心 情 ・ 意 見 等 の 陳 述 、 ⑧ 民 事 上 の 和 解 を 記 載 し た 公 判 調 書 に 対 す る 執 行 力 の 付 与 、 ⑨ 被 害 回 復 に 資 す る た め の 没 収 及 び 追 徴 に 関 す る 制 度 の 利 用 、 で あ る6。な お 、具 体 的 な 諮 問 項 目 に は 、上 記 パ ブ リ ッ ク コ メ ン ト を 求 め た 項 目 の

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5 う ち 、「 被 害 者 の 地 位 の 明 確 に つ い て 」、「 検 察 審 査 会 に お け る 審 査 申 立 権 者 の 拡 大 等 に つ い て 」 の 2 項 目 は 盛 り 込 ま れ て い な い 。 諮 問 の 対 象 か ら 外 れ た 事 情 と し て は 、「 刑 事 訴 訟 手 続 に お け る 被 害 者 の 地 位 の 明 確 化 に つ い て … 現 行 で は 裁 判 官 、 被 告 人 、 検 察 官 と い う 三 訴 訟 主 体 構 造 を 基 本 と す る 刑 事 訴 訟 手 続 を 前 提 と す る 限 り 、 犯 罪 被 害 者 の 方 に 、 純 然 た る 意 味 で 手 続 上 お 主 体 た る 地 位 を 認 め る こ と は 困 難 で あ る … 」、検 察 審 査 会 の 項 目 に 関 し て は「 法 制 審 議 会 は …( 基 本 法 制 ) を 審 議 す る こ と を 所 轄 事 務 と し て お り 、 検 察 審 査 会 法 は ( 基 本 法 制 で は な い の で )、事 務 当 局 に お い て 適 宜 立 案 作 業 を( す る の が 適 当 で あ る )。」と 説 明 さ れ て い る7

法 制 審 議 会 は 6 回 に わ た る 審 議8の 後 、2000 年 2 月 、 法 務 大 臣 に 対 し て 「 刑 事 手 続 に お け る 犯 罪 被 害 者 保 護 の た め の 法 整 備 に 関 す る 要 綱 骨 子 」 の 答 申 を 行 っ た9。 な お 、 こ の 答 申 で は 、 上 記 諮 問 項 目 の う ち 「 被 害 回 復 に 資 す る た め の 没 収 及 び 追 徴 に 関 す る 制 度 の 利 用 」 が 見 送 ら れ た1 0。 法 務 省 は 答 申 を う け 「 被 害 者 保 護 二 法 」 法 案 を 立 案 し 、 同 年 3 月 閣 議 決 定 の 上 、 法 案 は 第 147 回 国 会 に 提 出 さ れ た 。 法 案 は 同 年 4 月 、 衆 議 院 に お い て 全 会 一 致 で 可 決 、 同 年 5 月 参 議 院 に お い て も 全 会 一 致 で 可 決 さ れ 成 立 し 、 同 月 19 日 に 公 布 さ れ た 。

ⅱ 被 害 者 等 に よ る 被 害 に 関 す る 心 情 そ の 他 の 意 見 陳 述

被 害 者 二 法 で は 、 被 害 者 の 地 位 の 明 確 化 が 将 来 の 課 題 と さ れ た 。 そ の 理 由 は 上 述 の 通 り で あ る 。 そ の 内 容 は 、 諮 問 事 項 の 分 類 に 従 え ば 、 概 ね 4 類 型 に 分 類 さ れ る1 1。す な わ ち 、第 一 類 型 は「 性 犯 罪 の 告 訴 期 間 の 撤 廃 」( 諮 問 事 項 ① )、第 二 類 型 は 、「 証 人 の 負 担 軽 減 に 関 す る 事 項 」 で あ り ( 諮 問 事 項 ② か ら ④ )、 第 三 類 型 は 「 刑 事 訴 訟 手 続 に お け る 被 害 者 の 関 与 及 び 配 慮 」 で あ り ( 諮 問 事 項 ⑤ か ら ⑦ )、 第 四 類 型 は 「 犯 罪 被 害 者 の 損 害 回 復 」 で あ る ( 諮 問 事 項 ⑧ か ら ⑨ )。

犯 罪 被 害 者 と 少 年 司 法 と の 関 係 か ら は 、 と り わ け 、 被 害 者 を 「 事 件 」 の 「 当 事 者 」 と し て 「 主 体 的 」 に 刑 事 手 続 に 関 与 せ さ せ る 制 度 で あ っ て 、 重 要 な 改 正 と さ れ る1 2、「 被 害 者 等 に よ る 被 害 に 関 す る 心 情 そ の 他 の 意 見 陳 述 ( 以 下 、 被 害 者 等 意 見 陳 述 制 度 と い う 。)」( 刑 事 訴 訟 法 292 条 の 2 ) が 問 題 と な る 。

被 害 者 等 意 見 陳 述 制 度 の 趣 旨 は 以 下 の よ う に 説 明 さ れ る 。 す な わ ち 、 被 害 者 等 は 、 事 件 審 理 に 重 大 な 関 心 を 有 し 、 公 判 で 意 見 を 述 べ た い と 希 望 す る 場 合 に は 、 意 見 陳 述 の 機 会 を 与 え る こ と が 重 要 で あ る 。 こ れ に よ り 、 刑 事 司 法 に 対 す る 被 害 者 ・ 国 民 の 信 頼 確 保 に 資 す る と と も に 、 被 害 者 が 主 体 的 に 裁 判 に 関 与 す る こ と に よ り 、 被 害 感 情 の 緩 和 が 図 ら れ 、 被 告 人 に 対 し て は 反 省 を 深 め 、 そ の 更 生 に 資 す る 等 の 効 果 が あ る と す る と い う も の で あ る 。 ま た 意 見 陳 述 は 量 刑 資 料 と し て 使 用 で き る が 、 事 実 認 定 の 証 拠 と す る こ と は で き な い1 3。 ま た 本 制 度 は 被 害 者 に 法 的 権 利 性 を 認 め る も の で は な い と さ れ る1 4

被 害 者 意 見 陳 述 制 度 に つ い て は 、 学 説 上 、 批 判 も 存 在 す る 。 例 え ば 「 被 害 者 の 意 見 陳 述 は 、 そ の 運 用 如 何 に よ っ て は 、 復 讐 刑 法 を 招 来 し か ね な い 危 険 性 を

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6 孕 ん で い る1 5。」 あ る い は 、「 現 行 の 意 見 陳 述 の よ う な 刑 事 司 法 に お け る 被 害 者 救 済 は 、 被 害 感 情 を 煽 る こ と は あ っ て も 、 真 の 被 害 者 救 済 に な る も の で は な い

1 6」、 と い う 、 換 言 す れ ば 「 被 害 者 意 見 陳 述 制 度 」 は 重 罰 化 を 招 く お そ れ が あ る と い う 懸 念 が 表 明 さ れ て い る の で あ る 。

こ の 点 、 少 年 の 刑 事 事 件 の 場 合 は 、 よ り 一 層 深 刻 な 問 題 で あ る 。 す な わ ち 、 被 害 者 意 見 陳 述 制 度 は 、 そ の 制 度 趣 旨 か ら 、 被 害 者 か ら 申 出 が あ れ ば 、 特 段 の 理 由 の な い 限 り 、 裁 判 所 は こ れ に 応 じ る べ き と さ れ て い る 。 ま た 刑 訴 法 292 条 の 2 、 7 項 は 「 裁 判 所 は 、 審 理 の 状 況 そ の 他 の 事 情 を 考 慮 し て 、 相 当 で な い と 認 め る と き は 、 意 見 の 陳 述 に 代 え 意 見 を 記 載 し た 書 面 を 提 出 さ せ 、 又 は 意 見 の 陳 述 を さ せ な い こ と が で き る 。」と 規 定 す る が 、こ れ は 例 外 的 な 場 合 な ど に 限 定 さ れ る べ き で あ る と さ れ て い る1 7。 実 際 、 司 法 統 計 年 報 に よ る と1 8、 平 成 26 年 度 版 で は 、参 加 を 申 し 出 た 被 害 者 等 が 延 べ 全 国 総 数 1241 人( 地 裁 総 数 で は 1236 人 、 簡 裁 総 数 で は 5 人 ) で あ り 、 そ の う ち 、 参 加 を 許 可 さ れ た 被 害 者 等 は 全 国 総 数 1227 人 ( 地 裁 総 数 で は 1224 人 、 簡 裁 総 数 で は 3 人 ) で あ っ た 。 な お 、 そ の う ち 刑 訴 法 292 条 の 2 に よ る 意 見 陳 述 を し た 被 害 者 等 は 、 全 国 総 数 804 人

( 地 裁 総 数 で は 803 人 、簡 裁 総 数 で は 1 人 )で あ っ た( 詳 し く は 、後 掲 表 参 照 )。

こ の よ う に 実 際 の 運 用 か ら も 、 申 出 を 不 許 可 と す る 運 用 は 例 外 的 に 行 わ れ て い る こ と わ か る 。

こ の よ う な 運 用 と 、少 年 が 被 告 人 で あ る こ と へ の 配 慮 規 定 が 刑 訴 法 292 条 の 2 に 無 い こ と か ら 、 少 年 面 前 で の 被 害 者 の 意 見 陳 述 が 被 告 人 の 心 情 に ど の よ う な 影 響 を 与 え る か 、 被 告 人 が 直 に 接 し た 被 害 者 の 意 見 ・ 心 情 を 真 摯 に 受 け 止 め る こ と の で き る 状 況 に あ る か 、な ど は 考 慮 さ れ ず 、そ の 結 果 、「 少 年 の 手 続 参 加 と 自 由 な 意 見 表 明 を も 困 難 に す る1 9」 と の 批 判 も な さ れ て い る 。 さ ら に 、 裁 判 員 裁 判 に お い て は 、 厳 罰 化 懸 念 、 あ る い は 、 少 年 の 刑 事 手 続 に お け る 健 全 育 成 プ ロ セ ス の 危 殆 化 へ の 懸 念 は よ り 一 層 深 刻 に な る 。 す な わ ち 、 裁 判 員 が 被 害 者 の 感 情 に 影 響 を 受 け て 、適 切 な 量 刑 判 断 が で き な い 可 能 性 は 十 分 考 え ら れ う る 。

結 局 、 被 害 者 等 意 見 陳 述 制 度 は 、 当 初 よ り 少 年 被 告 人 と の 関 係 性 を 考 慮 し て い な い た め に 、 伝 統 的 少 年 司 法 の 理 念 、 す な わ ち 「 少 年 の 健 全 育 成 」 と い う 視 点 か ら は 、 批 判 を 免 れ な い の で あ る 。

( 2 )「 犯 罪 被 害 者 基 本 法 」 の 成 立 (2 0 0 4 年 )

犯 罪 被 害 者 二 法 等 の 成 立 に よ り 、 我 が 国 の 犯 罪 被 害 者 の 保 護 ・ 救 済 は 大 き な 前 進 を み た わ け で あ る が 、 そ の 後 も 依 然 と し て 犯 罪 被 害 者 に 対 す る 支 援 不 足 、 刑 事 司 法 に お け る 犯 罪 被 害 者 が 置 か れ た 立 場 へ の 不 満 が 表 明 さ れ た 。と り わ け 、

「 全 国 犯 罪 被 害 者 の 会 ( 通 称 : 明 日 の 会 、2000 年 設 立 。) は 、 制 度 改 革 へ 向 け て 積 極 的 な 活 動 を 見 せ た2 0。 こ の こ と は 、 政 府 の 取 組 と 犯 罪 被 害 者 等 が 求 め る 施 策 に は 隔 た り が あ り 、 従 前 の 取 組 を そ の ま ま 進 め る だ け で は こ れ を 埋 め る こ と が 困 難 で あ る こ と を 意 味 す る2 1。 こ う し た 状 況 下 で 、2004 年 12 月 「 犯 罪 被 害 者 等 基 本 法 」 が 成 立 し た2 2

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7 犯 罪 被 害 者 等 基 本 法 は 、 総 合 的 な 被 害 者 対 策 の 基 本 理 念 と し て 制 定 さ れ た 。 そ の 意 義 は 同 法 4 条 乃 至 6 条 に お い て 、 国 、 地 方 公 共 団 体 、 国 民 の 責 任 に お い て 、 犯 罪 被 害 者 の た め の 施 策 を 推 進 す べ き で あ る こ と を 規 定 し 、 ま た 被 害 者 の 権 利 と し て 、 同 法 3 条 1 項 で は 「 す べ て 犯 罪 被 害 者 等 は 、 個 人 の 尊 厳 が 重 ん ぜ ら れ 、 そ の 尊 厳 に ふ さ わ し い 処 遇 を 保 障 さ れ る 権 利 を 有 す る 。」、 同 2 項 「 犯 罪 被 害 者 等 の た め の 施 策 は 、 被 害 の 状 況 及 び 原 因 、 犯 罪 被 害 者 等 が 置 か れ て い る 状 況 そ の 他 の 事 情 に 応 じ て 適 切 に 講 ぜ ら れ る も の と す る 」、同 3 項「 犯 罪 被 害 者 等 の た め の 施 策 は 、 犯 罪 被 害 者 等 が 、 被 害 を 受 け た と き か ら 再 び 平 穏 な 生 活 を 営 む こ と が で き る よ う に な る ま で の 間 、 必 要 な 支 援 等 を 途 切 れ る こ と な く 受 け る こ と が で き る よ う 、講 ぜ ら れ る も の と す る 。」と 明 記 さ れ た こ と に あ る 。そ の 他 、 基 本 的 施 策 と し て 13 項 目 を あ げ 、 施 策 の 方 向 性 を 明 記 し て い る2 3

ま た 、 犯 罪 被 害 者 と 少 年 司 法 と の 関 係 で と り わ け 重 要 な 規 定 は 同 法 18 条 で あ る 。す な わ ち 、同 法 18 条 は「 国 及 び 地 方 公 共 団 体 は 、犯 罪 被 害 者 等 が そ の 被 害 に 係 る 刑 事 に 関 す る 手 続 に 適 切 に 関 与 す る こ と が で き る よ う に す る た め 、 刑 事 に 関 す る 手 続 の 進 捗 状 況 等 に 関 す る 情 報 の 提 供 、 刑 事 に 関 す る 手 続 へ の 参 加 の 機 会 を 拡 充 す る た め の 制 度 の 整 備 等 必 要 な 施 策 を 講 ず る も の と す る 。」 と 規 定 し 、こ れ は 、( 後 に 検 討 す る よ う に )被 害 者 の 刑 事 手 続 へ の 適 切 な 関 与 形 態 と し て 「 直 接 参 加 」 及 び 少 年 審 判 の 関 与 拡 大 へ の 道 を 敷 い た の で あ る2 4

( 3 )「 第 一 次 犯 罪 被 害 者 等 基 本 計 画 」 の 閣 議 決 定 (2 0 0 5 年 )

そ の 後 、同 法 を 受 け て 設 置 さ れ た「 内 閣 府 犯 罪 被 害 者 等 施 策 推 進 会 議 」「 内 閣 府 犯 罪 被 害 者 等 基 本 計 画 検 討 会 」 が ま と め た 「 犯 罪 被 害 者 等 基 本 計 画 ( 以 下 、 第 一 次 基 本 計 画 と い う )」 が 2005 年 12 月 に 閣 議 決 定 さ れ た2 5

先 に 見 た 犯 罪 被 害 者 等 基 本 法 18 条 と の 関 係 で 、 第 一 次 基 本 計 画 は 、 被 害 者 に 対 す る 情 報 提 供 、 被 害 者 の 手 続 参 加 を 軸 と し 、 刑 事 手 続 、 少 年 保 護 手 続 の 双 方 に 及 ぶ も の で あ る2 6。 第 一 次 基 本 計 画 は 重 点 課 題 と し て 以 下 の 5 項 目 を 掲 げ る 。 す な わ ち 、 ① 損 害 回 復 ・ 経 済 的 支 援 等 へ の 取 組 、 ② 精 神 的 ・ 身 体 的 被 害 の 回 復 ・ 防 止 へ の 取 組 、 ③ 刑 事 手 続 へ の 関 与 拡 充 へ の 取 組 、 ④ 支 援 等 の た め の 体 制 整 備 へ の 取 組 、 ⑤ 国 民 の 理 解 の 増 進 と 配 慮 ・ 協 力 の 確 保 へ の 取 組 、 で あ る 。 被 害 者 へ の 情 報 提 供 と 少 年 司 法 と の 関 係 で は 、 被 害 者 の 望 み と し て 、 刑 務 所 出 所 及 び 少 年 院 出 院 の 際 の 住 所 、 矯 正 の 程 度 等 犯 罪 被 害 者 等 が 求 め る 情 報 の 開 示

2 7、 少 年 保 護 事 件 手 続 に 関 す る 一 層 の 情 報 提 供2 8な ど が 指 摘 さ れ た 。

本 稿 で は 第 一 次 基 本 計 画 中 、 少 年 司 法 と の 関 係 が 言 及 さ れ た 、 ③ 刑 事 手 続 へ の 関 与 拡 充 へ の 取 組 を 取 り 上 げ る 。 第 一 次 基 本 計 画 に お い て 、 刑 事 手 続 へ の 関 与 拡 充 へ の 取 組 は 以 下 の よ う に 説 明 さ れ て い る 。「 犯 罪 被 害 者 等 が 、捜 査 や 刑 事 裁 判 等 に 対 し 、「 事 件 の 当 事 者 」と し て 、事 件 の 真 相 を 知 り た い 、善 悪 と 責 任 を 明 ら か に し て も ら い 、 自 己 の 、 あ る い は 家 族 の 名 誉 を 回 復 し た い 、 適 正 な 処 罰 に よ り 自 ら の 正 義 を 回 復 し て ほ し い な ど と 願 う こ と は 当 然 で あ る 。 事 件 の 正 当 な 解 決 は 、 犯 罪 被 害 者 等 に と っ て 最 大 の 希 望 で あ り 、 そ の 回 復 に と っ て 不 可 欠

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8 で あ る と も い え る 。 ま た 、 解 決 に 至 る 過 程 に つ い て も 、 遺 族 が こ れ に 関 与 す る こ と で そ の 責 任 を 果 た せ た と 感 じ る な ど 、 犯 罪 被 害 者 等 の 精 神 的 被 害 の 回 復 に 資 す る 面 も あ る 」 と し 「 刑 事 司 法 は 、 社 会 の 秩 序 の 維 持 を 図 る と い う 目 的 に 加 え 、 そ れ が 『 事 件 の 当 事 者 』 で あ る 生 身 の 犯 罪 被 害 者 等 の 権 利 利 益 の 回 復 に 重 要 な 意 義 を 有 す る こ と も 認 識 さ れ た 上 で 、 そ の 手 続 が 進 め ら れ る べ き で あ る 。 こ の 意 味 に お い て 、『 刑 事 司 法 は 犯 罪 被 害 者 等 の た め に も あ る 』と い う こ と も で き よ う 。 ま た 、 こ の こ と は 、 少 年 保 護 事 件 で あ っ て も 何 ら 変 わ り は な い 。 も と よ り 、 刑 事 に 関 す る 手 続 や 少 年 保 護 事 件 に 関 す る 手 続 は 、 国 家 、 社 会 、 個 人 に 関 す る 様 々 な 価 値 観 の 相 克 ・ 変 化 を 踏 ま え た 歴 史 の 所 産 で も あ り 、 国 家 及 び 社 会 の 秩 序 維 持 、 個 人 の 人 権 の 保 障 、 少 年 の 健 全 育 成 等 の 時 と し て 衝 突 し 、 考 量 困 難 な 種 々 の 要 請 に 応 え る も の で な け れ ば な ら な い 。そ の こ と を 前 提 と し つ つ 、

『 事 件 の 当 事 者 』 で あ る 犯 罪 被 害 者 等 が 、 刑 事 に 関 す る 手 続 や 少 年 保 護 事 件 に 関 す る 手 続 に 適 切 に 関 与 で き る よ う 、 そ の 機 会 を 拡 充 す る 取 組 を 行 わ な け れ ば な ら な い2 9。」 と さ れ 、 後 に 詳 し く 検 討 す る よ う に 、2008 年 少 年 法 改 正 へ と つ な が っ た の で あ る 。

( 4 )「 犯 罪 被 害 者 の 権 利 利 益 の 保 護 を 図 る た め の 刑 事 訴 訟 法 等 の 一 部 を 改 正 す る 法 律 」 の 成 立 (2 0 0 7 年 )

さ て 、 犯 罪 被 害 者 等 基 本 法 及 び 第 一 次 基 本 計 画 を 受 け て 「 犯 罪 被 害 者 等 の 権 利 利 益 の 保 護 を 図 る た め の 刑 事 訴 訟 法 等 の 一 部 を 改 正 す る 法 律 」( 以 下 、被 害 者 権 利 利 益 保 護 法 と い う 。)が 2007 年 に 成 立 し た3 0 3 1。被 害 者 権 利 利 益 保 護 法 は 、 第 一 次 基 本 計 画 で 提 示 さ れ た 施 策 を 具 体 化 し た も の で あ り 、 ① 犯 罪 被 害 者 等 が 刑 事 裁 判 に 参 加 す る 制 度 、 ② 犯 罪 被 害 者 等 に よ る 損 害 賠 償 請 求 に つ い て 刑 事 手 続 の 成 果 を 利 用 す る 制 度 、 ③ 刑 事 手 続 に お い て 犯 罪 被 害 者 等 の 氏 名 等 の 情 報 を 保 護 す る た め の 制 度 の 創 設 、 ④ 刑 事 訴 訟 に お け る 訴 訟 記 録 の 閲 覧 及 び 謄 写 の 範 囲 拡 大 等 の 規 定 が 整 備 さ れ た 。

本 法 は 、 一 定 の 罪 に つ い て 、 参 加 を 申 し 出 る 被 害 者 ・ 被 害 者 遺 族 ・ 被 害 者 の 法 定 代 理 人 又 は こ れ ら の 者 か ら 委 託 を 受 け た 弁 護 士 に 「 参 加 人 」 と し て の 法 的 地 位 を 付 し ( 刑 訴 法 316 条 の 33、1 項 )、 公 判 へ の 出 席 ( 同 法 316 条 の 34)、

検 察 官 の 権 限 行 使 に 関 し て 意 見 を 述 べ る こ と ( 同 法 316 条 の 35)、 被 告 人 側 情 状 証 人 へ の 反 対 尋 問 ( 同 法 316 条 36)、 被 告 人 に 対 す る 質 問 ( 同 法 316 条 の 37)、 検 察 官 の 論 告 ・ 求 刑 終 了 後 の 弁 論 と し て の 意 見 陳 述 ( 同 法 316 条 の 38) 等 を 認 め た 。 な お 、「 弁 論 と し て の 意 見 陳 述 」 は 、 従 前 の 意 見 陳 述 が 、 被 害 に 関 す る 心 情 等 に 限 っ て 認 め ら れ た の に 対 し 、 事 実 又 は 法 令 の 適 用 に つ い て の 意 見 陳 述 が 認 め ら れ る よ う に な っ た 。

( 5 ) 第 二 次 犯 罪 被 害 者 等 基 本 計 画

内 閣 府 に よ れ ば 、こ れ ま で の 犯 罪 被 害 者 等 施 策 は 、「 第 1 次 基 本 計 画 の 推 進 に よ り 、 大 き く 進 展 し た も の と 言 え る 。」 と 評 価 し 、「 し か し な が ら 、 内 閣 府 が 平 成 20 年 度 に 実 施 し た「 犯 罪 被 害 者 等 に 関 す る 国 民 意 識 調 査 」に よ る と 、国 民 一

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9 般 の う ち … 『 犯 罪 被 害 者 等 基 本 法 』 及 び 『 被 害 者 参 加 制 度 』 の 意 味 が わ か る 者 は 1 割 な い し 2 割 し か お ら ず 、 犯 罪 被 害 に 関 す る 国 民 一 般 の 理 解 は 十 分 で は な い と 言 わ ざ る を 得 な い 。ま た 、同 調 査 に よ る と 、『 被 害 者 支 援 に 関 心 が あ る 』と の 設 問 に 対 し 肯 定 的 回 答 を し た 者 は 約 5 割 に と ど ま っ て お り 、 国 民 一 般 の 犯 罪 被 害 者 等 支 援 な い し 犯 罪 被 害 者 等 に 関 す る 関 心 も 、 高 い と は 言 え な い 。

一 方 、内 閣 府 が 平 成 21 年 度 に 行 っ た「 犯 罪 被 害 類 型 別 継 続 調 査 」に よ る と 、 平 成 19 年 度 か ら 3 年 間 連 続 し て 回 答 し た 犯 罪 被 害 者 等 の う ち 、 そ の 精 神 健 康 状 態 が 重 症 精 神 障 害 相 当 と さ れ る 者 の 割 合 は 一 般 対 象 者 の 10 倍 近 く に な っ て お り 、 犯 罪 被 害 が 精 神 健 康 状 態 に 及 ぼ す 影 響 の 大 き さ が う か が え る 。 ま た 、 主 観 的 回 復 状 況 が 悪 化 傾 向 に あ る 犯 罪 被 害 者 等 は 、 加 害 者 だ け で な く 、 捜 査 ・ 裁 判 機 関 の 職 員 、 医 療 機 関 の 職 員 、 民 間 団 体 の 者 、 報 道 関 係 者 、 近 所 ・ 地 域 の 住 民 、 職 場 ・ 学 校 関 係 者 、 友 人 ・ 知 人 、 家 族 な ど 、 様 々 な 者 か ら 高 い 割 合 で い わ ゆ る 二 次 的 被 害 を 受 け た と 感 じ て い る こ と が 明 ら か と な っ て い る 。 そ し て 、 犯 罪 被 害 者 団 体 や 犯 罪 被 害 者 支 援 団 体 か ら は 、 依 然 と し て 、 犯 罪 被 害 者 等 が 関 係 す る 様 々 な 問 題 に つ い て 、 改 善 を 求 め る 要 望 が 寄 せ ら れ て い る 。

も と よ り 、 第 1 次 基 本 計 画 の 推 進 に よ り 、 犯 罪 被 害 者 等 の 抱 え る 問 題 が 全 て 解 決 さ れ た わ け で は な く 、 今 後 と も 、 国 民 の 理 解 と 配 慮 ・ 協 力 を 一 層 促 す と と も に 、 政 府 全 体 と し て 、 更 な る 取 組 の 強 化 を 図 っ て い く 必 要 が あ る 。

今 般 、 第 1 次 基 本 計 画 の 計 画 期 間 が 平 成 22 年 度 末 で 終 了 す る こ と か ら 、 犯 罪 被 害 者 等 の 権 利 利 益 の 保 護 が 一 層 図 ら れ る 社 会 を 目 指3 2」 す こ と を 目 的 と し て 、 第 二 次 犯 罪 被 害 者 等 基 本 計 画 ( 以 下 、 第 二 次 基 本 計 画 と い う ) が 策 定 さ れ た (2011 年 3 月 )。

第 二 次 基 本 計 画 に お い て も 、 第 一 次 基 本 計 画 と 同 様 、 4 つ の 基 本 方 針 、 5 つ の 重 点 課 題 を 掲 げ た3 3。 具 体 的 な 重 点 課 題 は 、 1 . 損 害 回 復 ・ 経 済 的 支 援 等 へ の 取 組 、 2 . 精 神 的 ・ 身 体 的 被 害 の 回 復 ・ 防 止 へ の 取 組 、 3 . 刑 事 手 続 へ の 関 与 拡 充 へ の 取 組 、 4 . 支 援 等 の た め の 体 制 整 備 へ の 取 組 、 5 . 国 民 の 理 解 の 増 進 と 配 慮 ・ 協 力 の 確 保 へ の 取 組 、 で あ る 。 こ れ ら の 視 点 は 、 被 害 者 が 「 再 び 平 穏 な 生 活 を 営 む こ と が で き る よ う に な る 」 こ と 、 つ ま り 、 損 害 ・ 問 題 の 回 復 の 視 座 に 立 っ て い る 。 こ の よ う に 「 被 害 者 の 回 復 」 の 視 座 は 重 要 な 点 と し て 把 握 さ れ て い る こ と が 分 か る3 4

( 6 ) 小 括

以 上 、 本 節 で は 、 わ が 国 に お け る 犯 罪 被 害 者 対 策 の 現 状 、 近 年 の 被 害 者 関 連 諸 法・施 策 制 定 に つ い て 概 観 し て き た 。こ れ ま で 概 観 し て き た 制 度 に つ い て は 、

( も ち ろ ん 刑 事 手 続 制 度 で は あ る が ) 少 年 司 法 の 独 自 性 に つ い て 、 あ ま り 触 れ ら れ る こ と は な か っ た と い え る 。 し か し 、 我 が 国 の 犯 罪 被 害 者 対 策 の 基 本 計 画 た る 、第 一 次 基 本 計 画 が「『 刑 事 司 法 は 犯 罪 被 害 者 等 の た め に も あ る 』と い う こ と も で き よ う 。ま た 、こ の こ と は 、少 年 保 護 事 件 で あ っ て も 何 ら 変 わ り は な い 。」

と 端 的 に 示 す 通 り 、 そ れ は 、 ま さ に 当 の 「 被 害 者 」 に と っ て み れ ば 少 年 保 護 手

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10 続 と 刑 事 手 続 を 区 別 し て 論 じ る 必 要 は 無 い と い う 認 識 の 顕 れ の よ う に も 思 え る 。

他 方 、 被 害 者 の 視 座 か ら は 、 刑 事 手 続 に お け る 、 被 害 者 保 護 ・ 救 済 は 急 速 な 進 展 を み せ て お り 、 も は や 被 害 者 は 「 忘 れ ら れ た 存 在 」 で は な く な っ た と い え る 。 こ の 一 連 の 立 法 背 景 に は 、 犯 罪 者 の 処 遇 と 比 べ 、 被 害 者 の 処 遇 が お ろ そ か に さ れ て い た こ と が 指 摘 で き る 。

ま た 、「 一 部 の 被 害 者 団 体 の 活 動 … に 見 ら れ る よ う に 、被 害 者 の 保 護 ・ 救 済 は 犯 罪 者 の 厳 罰 化 に よ っ て 得 ら れ る と い う 思 考 が 底 流 に あ っ た3 5」 と い う 指 摘 は 看 過 す べ き で は な い 。 こ の 一 連 の 被 害 者 保 護 ・ 救 済 立 法 を 見 る と 、 被 害 者 の 保 護 ・ 救 済 の 必 要 性 が 立 法 ・ 政 策 に 対 し て 非 常 に 大 き な 影 響 を 与 え る 要 因 で あ る と い う こ と が で き る 。 す な わ ち 、 今 後 も 刑 事 司 法 に 影 響 を 与 え 続 け る 可 能 性 は 十 分 に あ る 。 む し ろ 、 も は や 刑 事 司 法 は 被 害 者 と い う 要 因 を 無 視 で き る こ と は で き な い 。

ま た 、 現 行 制 度 は 、 刑 事 司 法 と 被 害 者 と の 関 係 性 を 十 分 に 検 討 し た も の で は な い と の 批 判 も あ る 。 被 害 者 保 護 の 名 の も と 、 犯 罪 者 の 権 利 が 無 視 さ れ 、 厳 罰 化 に よ っ て 被 害 者 保 護 が 達 成 さ れ る と い う 上 記 の 指 摘 は 、今 一 度 、被 害 者 保 護・

救 済 に つ い て 、 刑 事 司 法 お よ び 少 年 司 法 と の 関 係 性 を 十 分 に 検 討 す る こ と の 必 要 性 を 示 し て い る 。

こ こ に 当 初 よ り 被 害 者 を 意 図 し て い な い 既 存 の 司 法 制 度 に 、 換 言 す れ ば 、 制 度 設 計 の 段 階 か ら「 忘 れ ら れ た 、あ る い は 無 視 さ れ た 存 在 で あ っ た 被 害 者 」を 、

( 無 理 に ) 組 み 込 む こ と の 、 問 題 が 顕 在 化 す る と 考 え ら れ る 。 こ の 問 題 は 、 成 人 刑 事 司 法 と 比 べ 少 年 司 法 に お い て は よ り 一 層 深 刻 な も の と な っ て 現 れ よ う 。 次 節 で は 、近 年 の 少 年 法 改 正 、と り わ け 、被 害 者 関 連 の 改 正 に つ い て 確 認 す る 。

1 椎 橋 隆 幸 「 犯 罪 被 害 者 対 策 の 現 状 と 課 題 」 ジ ュ リ ス ト 1414 号 (2011)146 頁 以 下 参 照 。

2 吉 田 敏 雄 「 犯 罪 被 害 者 の 満 足 利 益 と そ の 刑 事 訴 訟 参 加 の 影 響 」『NCCD-in JAPAN 第 5 0 号 (2015)』 7 頁 。

3 詳 し く は 、 神 村 昌 通 「 刑 事 訴 訟 法 及 び 検 察 審 査 会 法 の 一 部 を 改 正 す る 法 律 の 概 要 」『 ジ ュ リ ス ト 』1185 号 2 頁 以 下 等 参 照 。

4 解 説 と し て 、 松 尾 浩 也 編 著 『 逐 条 解 説 犯 罪 被 害 者 保 護 二 法 』( 有 斐 閣 、 2001) 等 。

5 詳 し く は 、 甲 斐 行 夫 「 刑 事 手 続 に お け る 犯 罪 被 害 者 の 保 護 に 関 す る 意 見 募 集 に つ い て 」『 ジ ュ リ ス ト 』1162 号 6 - 7 頁 (1999) 参 照 。

6 法 務 大 臣 諮 問 44 号 、 及 び 法 制 審 議 会 第 1 2 8 回 会 議 議 事 録 参 照 。

7 「 座 談 会 犯 罪 被 害 者 の 保 護 法 制 審 議 会 答 申 を め ぐ っ て 」 ジ ュ リ ス ト 1176 号 (2000)6 頁 、 河 村 発 言 参 照 。

8 審 議 の 経 過 に つ い て は 、 村 越 一 浩 「 法 制 審 義 解 に お け る 審 議 の 経 緯 及 び 要 綱 骨 子 の 概 要 」『 ジ ュ リ ス ト 』1176 号 39 頁 以 下 、 及 び 各 回 議 事 録 参 照 。

9 要 綱 骨 子 に つ い て は 「 資 料 1 ・ 刑 事 手 続 に お け る 犯 罪 被 害 者 保 護 の た め の 法 整 備 に 関 す る 要 綱 骨 子 」『 ジ ュ リ ス ト 』1176 号 54 頁 以 下 参 照 。

1 0 こ の 点 に つ い て は 、 前 掲 注 7)・35 頁 以 下 参 照 。 松 尾 発 言 (36 頁 )。

1 1 前 掲 注 7)・5 頁 、 河 村 発 言 。

1 2 酒 巻 匡 「 犯 罪 被 害 者 等 に よ る 意 見 陳 述 制 度 に つ い て 」 法 曹 時 報 (2000)52

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11 巻 11 号 3213 頁 以 下 参 照

1 3 法 制 審 議 会 刑 事 法 部 会 第 7 8 回 会 議 議 事 録 参 照 。

1 4 前 掲 注 4) 松 尾 ・10 2 頁 。

1 5 吉 田 敏 雄 「 被 害 者 に や さ し い 刑 事 司 法 ? - そ の モ デ ル 論 的 考 察 」『 犯 罪 司 法 に お け る 修 復 的 正 義 』( 成 文 堂 、2006)40 頁 。 同 「 被 害 者 に 対 す る 刑 事 手 続 き 上 の 配 慮 」 同 45 頁 以 下 参 照 。

1 6 吉 村 真 性 「『 被 害 者 意 見 陳 述 』 制 度 の 運 用 に 関 す る 一 考 察 」『 龍 谷 大 学 矯 正 ・ 保 護 研 究 セ ン タ ー 研 究 年 報 』2004 年 1 号 、204 頁 。

1 7 前 掲 注 4) 松 尾 ・9 7 頁 以 下 。

1 8 被 害 者 参 加 制 度 全 体 と し て の 数 値 で あ る 。

1 9 葛 野 尋 之 『 少 年 司 法 に お け る 参 加 と 修 復 』( 日 本 評 論 社 ,2009)192 頁 等 。

2 0 全 国 犯 罪 被 害 者 の 会 HP:http://w ww. n avs.jp/index.html 参 照 。 明 日 の 会 の 目 的 と 活 動 は 以 下 の よ う に 紹 介 さ れ て い る 。 1 . 犯 罪 被 害 者 の 権 利 の 確 立 、 2 . 被 害 回 復 制 度 の 確 立 、 3 . 被 害 者 の 支 援 、 4 . 啓 発 活 動 、 5 . シ ン ポ ジ ウ ム の 開 催 、 6 . 広 報 。

2 1 神 村 昌 通 「 犯 罪 被 害 者 等 の た め の 施 策 を め ぐ る こ れ ま で の 経 緯 と 基 本 計 画 骨 子 」『 ジ ュ リ ス ト 』1302 号 30 頁 。

2 2 詳 し く は 、 前 掲 注 2 6) 神 村 、 奥 村 正 雄 「 視 点 ・ 犯 罪 被 害 者 基 本 法 の 成 立 を 受 け て 」『 ジ ュ リ ス ト 』1285 号 2 頁 以 下 、 井 川 良 「 犯 罪 被 害 者 等 基 本 法 」『 ジ ュ リ ス ト 』1285 号 39 頁 以 下 、 牛 山 敦 「 犯 罪 被 害 者 基 本 法 の 概 要 」『 法 律 の ひ ろ ば 』58 巻 5 号 40 頁 以 下 等 参 照 。

2 3 具 体 的 項 目 と し て は 、 同 法 11 条 乃 至 23 条 参 照 。 ま た 、 前 掲 注 22) 奥 村 ・ 4 頁 以 下 、 前 掲 注 22) 井 川 ・39 頁 以 下 参 照 。

2 4 前 掲 注 2) 吉 田 ・8 頁 。

2 5 経 緯 に つ い て 詳 し く は 、 前 掲 注 25) 神 村 ・31 頁 以 下 、 及 び 、 同 「 犯 罪 被 害 者 等 基 本 計 画 策 定 の 経 緯 と 目 的 」『 法 律 の ひ ろ ば 』59 巻 4 号 4 頁 等 参 照 。

2 6 内 閣 府 「 犯 罪 被 害 者 等 基 本 計 画 平 成 17 年 12 月 」 参 照 。

2 7 前 掲 注 26)32 頁 。

2 8 前 掲 注 26)40 頁 。

2 9 前 掲 注 26)10-11 頁 参 照 。

3 0 詳 し く は 、 白 木 功 「 犯 罪 被 害 者 等 の 権 利 利 益 の 保 護 を 図 る た め の 刑 事 訴 訟 法 等 の 一 部 を 改 正 す る 法 律 」『 ジ ュ リ ス ト 』1338 号 48 頁 等 参 照 。

3 1 な お 本 法 に よ り 、 犯 罪 被 害 者 保 護 法 (2000 年 ) は 「 犯 罪 被 害 者 等 の 権 利 利 益 の 保 護 を 図 る た め の 刑 事 手 続 に 付 随 す る 措 置 に 関 す る 法 律 」 と 改 称 さ れ た 。

3 2 内 閣 府 「 第 2 次 犯 罪 被 害 者 等 基 本 計 画 平 成 23 年 3 月 」1-3 頁 。

http:// www8 .cao. go.j p/hanzai/kuwashiku/keikaku/pdf/dai2_basic_plan.pdf

3 3 詳 し く は 、 前 掲 注 3 2)1 頁 以 下 、 奥 村 正 雄 「 第 二 次 犯 罪 被 害 者 等 基 本 計 画 の 意 義 と 課 題 」 ジ ュ リ ス ト 1424 号 (2011)2 頁 以 下 参 照 。

3 4 例 え ば 、 全 国 犯 罪 被 害 者 の 会 ( あ す の 会 ) 等 の 被 害 者 団 体 は , 損 害 賠 償 命 令 は 加 害 者 に 資 力 が な け れ ば 無 意 味 な こ と , 犯 給 制 度 は 一 時 金 で 事 件 前 の 収 入 の 補 償 が な い こ と , 治 療 費 は い っ た ん 被 害 者 の 負 担 と な り 重 傷 病 給 付 金 も 120 万 円 が 限 度 で あ る こ と , リ ハ ビ リ ・ 住 宅 改 造 等 の 環 境 整 備 費 や 義 足 ・ 通 院 交 通 費 等 の 医 療 関 係 費 等 が 犯 給 制 度 で は 補 て ん さ れ な い こ と , 経 済 的 困 窮 度 に よ る 算 定 で な い た め 困 窮 者 の 経 済 的 回 復 に は 不 足 な 場 合 が 少 な く な い こ と 等 か ら 現 行 の 賠 償 制 度 や 犯 給 制 度 に は 限 界 が あ る と し て , 治 療 費 や 環 境 整 備 費 等 を 現 物 支 給 し , 年 金 制 度 を 採 り 入 れ た 「 生 活 保 障 型 」 の 被 害 者 補 償 制 度 を 新 た に 創 設 す べ き で あ る と 主 張 し て い る 。 前 掲 注 33) 奥 村 ・5 頁 。

3 5 前 掲 注 2) 吉 田 ・9 頁 。

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12

第 2 節 近 年 の 少 年 法 改 正 - 被 害 者 視 座 の 改 正 -

前 節 で 見 た 通 り 、我 が 国 に お け る 犯 罪 被 害 者 の 保 護・救 済 は 急 速 に 発 展 し て き た 。 こ の こ と は 、 少 年 司 法 に つ い て も 同 様 で あ る 。 す な わ ち 、2000 年 の 第 一 次 少 年 法 改 正 を は じ め と す る 一 連 の 少 年 法 改 正 に お い て も 、 被 害 者 視 座 に 立 っ た 改 正 が 行 わ れ て い る の で あ る 。し か し 、周 知 の 通 り 、こ の 一 連 の 少 年 法 改 正 へ 対 す る 批 判 は 後 に 検 討 す る よ う に 少 な く な い 。 そ れ は 、 少 年 法 の 理 念 や 構 造 と の 関 係 で 主 に 論 じ ら れ て き た 。

「 少 年 犯 罪 被 害 者 」 の 状 況

前 節 で も ふ れ た 通 り「 被 害 者 」は 刑 事 司 法 に お い て は「 忘 れ ら れ た 存 在 」で あ っ た 。 従 前 の 刑 事 司 法 に お い て 「 被 害 者 」 は 被 害 届 を 提 出 す る な ど 捜 査 の 端 緒 を 与 え る 存 在 、あ る い は 、目 撃 証 人 な ど の「 証 拠 」と し て の 役 割 を 果 た す に 留 ま っ て い た の で あ る 。 い わ ば 刑 事 司 法 領 域 の 縁 に 置 か れ 続 け て い た の で あ る 。

と り わ け「 少 年 犯 罪 被 害 者 」と な る と 、そ の 存 在 は 、よ り 一 層 遠 ざ け ら れ た 存 在 で あ っ た 。そ れ は 、少 年 法 自 身 の 理 念 及 び 構 造 に 因 る と こ ろ が 大 き い 。す な わ ち 、少 年 法 は「 少 年 の 健 全 育 成 」観 点 か ら 、少 年 審 判 は 一 般 に 非 公 開 で あ る し( 少 年 法 22 条 2 項 )、情 報 開 示 も 基 本 的 に は 行 わ れ ず1、推 知 報 道 が 禁 止 さ れ る(61 条 )。つ ま り「 少 年 犯 罪 被 害 者 」 に と っ て み れ ば 、「 加 害 者 」 を 知 る と い う こ と 自 体 困 難 で あ っ た 。 さ ら に 、 審 判 中 被 害 者 が 意 見 を 表 明 す る 機 会 は 無 く 、 家 庭 裁 判 所 調 査 官 の 調 査 を 通 じ て 間 接 的 に 表 明 す る に 留 ま っ て い た 。こ の よ う に「 少 年 犯 罪 被 害 者 」は 、被 害 者 一 般 に と っ て 最 も 基 本 的 な ニ ー ズ と も 言 え る「 情 報 を 知 る 」と い こ と さ え 満 た さ れ ず 、い つ の ま に か 、そ の「 少 年 犯 罪 」は 解 決 さ れ て い た の で あ る 。こ の よ う に 見 て く る と 、

「 少 年 犯 罪 被 害 者 」は 、一 般 の 被 害 者 よ り も 、抱 え る ス ト レ ス が 大 き く 、深 刻 で あ っ た 。「 少 年 犯 罪 被 害 者 」は ま さ に「 法 に よ っ て 排 除 さ れ た 存 在 」で あ た と い え よ う2

「 少 年 犯 罪 被 害 者 」 の 保 護 ・ 救 済 へ

上 述 の よ う に 、 少 年 犯 罪 被 害 者 は 、 近 年 に 至 る ま で 法 に よ り 排 除 さ れ 続 け て き た が 、そ れ は 、少 年 司 法 の 目 的 が「 少 年 の 健 全 育 成 」に あ る こ と か ら す れ ば 、む し ろ 当 然 の こ と と い え た 。し か し 、先 に ふ れ た 通 り 、近 年 の 少 年 犯 罪 被 害 者 の 地 位 は 急 速 に 向 上 し て い る 。そ の 背 景 は 以 下 の よ う な 指 摘 が あ る 。ま ず 、第 一 に 思 潮 の 変 化 、第 二 に 少 年 に よ る 凶 悪 な 事 件 の 発 生 、 第 三 に 法 執 行 機 関 に よ る 被 害 者 対 策 の 発 達 で あ る

3

第 一 点 目 に つ い て は 、前 節 で み た 、犯 罪 被 害 者 へ の 社 会 的 関 心 の 高 ま り 、刑 事 手 続 に お け る 被 害 者 の 地 位 に 関 す る 活 発 な 議 論 の 展 開 等 で あ る4。 第 3 点 目 に つ い て は 、 警 察 及 び 検 察 に よ る 被 害 者 通 知 制 度 な ど の 取 組 で あ る 。 第 二 点 目 に つ い て は 、 神 戸 連 続 児 童 殺 傷 事 件 を 始 め と す る 凶 悪 事 件 を 契 機 と し て 、 従 前 の 少 年 審 判 で は 被 害 者 へ の 配 慮 が あ ま り に も 欠 け て い た の で は な い か と い う 疑 問 が 社 会 的 に 高 ま り 、ま た 、 山 形 マ ッ ト 死 事 件5( 山 形 明 倫 中 事 件 ) の よ う に 、 審 判 に 関 す る 情 報 を 得 ら れ な い 遺 族 が 真 相 究 明 の た め 、民 事 訴 訟 を 提 起 す る 事 例 が 相 次 ぎ 、「 密 室 審 判 」負 の 側 面 が 明 ら か に さ れ た6。と 説 明 さ れ る 。そ の 他 、「 少 年 犯 罪 被 害 当 事 者 の 会7」を 始 め と す る 、 被 害 者 団 体 の 積 極 的 な 活 動 も 背 景 に 含 ま れ る で あ ろ う8。 い ず れ に せ よ 、 第 一 次 少 年

(18)

13 法 改 正 に は 、 こ の よ う な 被 害 者 視 座 に 立 っ た 背 景 も 存 在 し て い た の で あ る 。 次 に 近 年 の 被 害 者 視 座 に 立 脚 し た 少 年 法 改 正 規 定 に つ い て 概 観 す る 。

第 一 次 ・ 第 三 次 少 年 法 改 正

第 一 次 少 年 法 改 正

少 年 司 法 に お け る 被 害 者 保 護 ・ 救 済 制 度 の 嚆 矢 は 、2000 年 「 少 年 法 等 の 一 部 を 改 正 す る 法 律 」( 以 下 、第 一 次 少 年 法 改 正 と い う )で あ る9。第 一 次 少 年 法 改 正 は 、1 . 少 年 事 件 の 処 分 の あ り 方 の 見 直 し 、 2 . 少 年 審 判 に お け る 事 実 認 定 手 続 の 一 層 の 適 正 化 、3 .被 害 者 へ の 配 慮 の 充 実 と い う 3 つ の 柱 か ら な っ て い る 。こ れ ら 3 点 と も に 被 害 者 ( お よ び 被 害 者 団 体 ) が 後 押 し す る 役 割 を 果 た し た10。 す な わ ち 、「 少 年 審 判 が 非 公 開 で あ る こ と を 根 拠 に 、 そ れ が も た ら す 具 体 的 な 弊 害 を 厳 密 に 検 討 す る こ と な く 、 被 害 者 に 対 す る 情 報 提 供 を 一 律 に 拒 ん で き た こ と が 、 被 害 者 の 審 判 手 続 へ の 不 信 を 生 み 、検 察 官 を 関 与 さ せ る べ き だ と す る 要 求 へ つ な が っ た11」と い う 経 緯 が あ る12

さ て 、第 一 次 少 年 法 改 正 で は 上 記 3 .被 害 者 へ の 配 慮 の 充 実 と い う 点 に つ い て 、次 の よ う な 被 害 者 視 座 に 立 っ た 規 定 が お か れ た 。① 被 害 者 等 の 申 出 に よ る 記 録 の 閲 覧・

謄 写 (5条 の 2 )、 ② 被 害 者 の 申 出 に よ る 意 見 陳 述 (9条 の 2)、 ③ 被 害 者 の 申 出 に よ る 事 件 結 果 の 通 知 (31 条 の 2 ) で あ る 。 な お 、 特 筆 す べ き 点 と し て 、 こ の 第 一 次 少 年 法 改 正 に お け る 参 議 院 法 務 委 員 会 (2000 年 11 月 24 日 ) の 付 帯 決 議 中 に 、「 被 害 者 の 保 護 に つ い て は ,法 整 備 を 含 め ,関 係 省 庁 の 密 接 な 連 携 の 下 ,精 神 的・経 済 的 支 援 な ど の 総 合 的 な 施 策 の 更 な る 推 進 に 努 め る と と も に , 諸 外 国 に お い て 実 施 さ れ て い る 修 復 的 司 法 に つ い て ,そ の 状 況 を 把 握 し ,必 要 な 措 置 を 検 討 す る こ と 。」と す る 項 目 が あ っ た の で あ る 。

第 三 次 少 年 法 改 正 (2008 年 ) 第 一 次 改 正 の そ の 後 の 経 緯

上 記 の 第 一 次 少 年 法 改 正 に お い て は 施 行 5 年 後 の 見 直 し 規 定 が 置 か れ て い た 。 被 害 者 視 座 に 立 脚 し た 規 定 に つ い て 、被 害 者 側 か ら 、な お 不 十 分 で あ り 、制 度 改 革 を 求 め る 声 が 存 在 し て い た 。例 え ば「 全 国 犯 罪 被 害 者 の 会 」は 、「2000 年 改 正 少 年 法 5年 後 見 直 し の 意 見 書 (2006 年 )」 を 表 明 し 、 そ の 中 で は 次 の 6 項 目 が 掲 げ ら れ た 。 す な わ ち 、 1 . 犯 罪 被 害 者 の 審 判 出 席 、 2 .2000 年 少 年 法 改 正 で 制 定 さ れ た 被 害 者 配 慮 規 定 の 改 正 、 3 . 重 大 犯 罪 の 原 則 逆 送 ( 法 20 条 2 項 )、 4 . 修 復 的 司 法 、 5 . 被 害 者 等 の 審 判 へ の 不 服 申 立 制 度 、 6 . 少 年 法 の 範 囲 外 で 改 正 す べ き 点 、 で あ る 。

そ の 1 に お い て は 、 被 害 者 側 へ 意 見 陳 述 及 び 質 問 等 を 少 年 審 判 で 行 う 権 利 を 認 め る べ き で あ る と い う 意 見 と と も に 、 重 大 事 件 の 審 判 へ の 傍 聴 を 含 む 出 席 を 認 め る べ き で あ る と い う 意 見 が 表 明 さ れ た 。ま た 、そ の 3 に お い て は 、記 録 の 閲 覧・謄 写( 少 年 法 5 条 の 2 ) に つ い て の 範 囲 拡 大 や 一 定 の 重 大 事 件 に つ い て は 社 会 記 録 の 閲 覧 ・ 謄 写 を 認 め る べ き で あ る と の 意 見 が 表 明 さ れ 、被 害 者 の 意 見 聴 取( 少 年 法 9 条 の 2 ) に つ い て は 、権 利 と し て 認 め る べ き で あ り 、但 書 の「 相 当 で な い と 認 め る と き 」と い う 例 外 規 定 を 削 除 す べ き で あ り 、 被 害 者 の 意 見 は 裁 判 官 が 直 接 聴 取 す る べ き で あ る と の 見 解 が 示 さ れ た 。さ ら に 審 判 結 果 通 知( 少 年 法 31条 の 2 )に つ い も 、被 害 者 の

(19)

14 申 出 を 待 た ず に 通 知 す べ き で あ る 等 の 見 解 が 表 明 さ れ た13。こ れ ら の 意 見 の 根 本 に は 、 被 害 者 団 体 の 意 見 中 に も 表 れ て い る 通 り 、「 審 判 で 何 が 行 わ れ 、少 年 が 審 判 で 何 を 言 う の か を 自 分 自 身 で 確 か め た い と い う 被 害 者 の 強 い 希 望 … と 同 時 に 、 審 判 で 何 が 行 わ れ て い る か を 検 証 で き な い ま ま に 、 事 実 が 認 定 さ れ 、 処 分 が 決 定 さ れ て い く こ と へ の 不 信 感 が あ っ た こ と も 否 定 で き な い14。」 の で あ る 。

さ ら に 前 節 で 述 べ た 通 り 犯 罪 被 害 者 の 保 護・救 済 に 係 る 法 整 備 が 進 展 し た こ と も 、 第 三 次 少 年 法 改 正 の 背 景 と し て 存 在 す る 。 前 述 の 第 一 次 犯 罪 被 害 者 基 本 計 画 に は 、 犯 罪 被 害 者 基 本 法 18 条 の 法 務 省 に お け る 対 応 施 策 と し て 、「 少 年 審 判 の 傍 聴 の 可 否 を 含 め 、犯 罪 被 害 者 等 の 意 見・要 望 を 踏 ま え た 検 討 を 行 い 、そ の 結 論 に 従 っ た 施 策 を 実 施 す る15。」 と 記 さ れ て い た の で あ る 。 ま た 同 省 で は 、 施 行 後 5 年 間 に お け る 施 行 状 況 の 評 価 及 び そ の 見 直 し の 要 否 に つ い て の 検 討 ・ 判 断 の 参 考 に 資 す る た め 、 少 年 犯 罪 の 被 害 者・日 弁 連・裁 判 所・刑 事 法 学 者 等 の 関 係 者 相 互 間 に お け る 意 見 交 換 を 平 成 18 年 10 月 か ら 同 年 12月 に か け て 4 回 開 催 し た16

さ て 、第 一 次 犯 罪 被 害 者 等 基 本 計 画 策 定 後 の 少 年 法 に お け る 被 害 者 視 座 の 議 論 は 、 被 害 者 の 審 判 傍 聴 の 是 非 に 集 約 さ れ て い っ た 。前 述 の 通 り 、被 害 者 側 か ら は 、積 極 的 な 意 見 が 提 出 さ れ た 。一 方 で 、被 害 者 の 審 判 傍 聴 に 消 極 的 な 意 見 も あ っ た 。そ れ は 、 被 害 者 の 傍 聴 に よ り 少 年 が 委 縮 し て し ま い 、 心 情 を 率 直 に 述 べ 難 く な る お そ れ や 、 少 年 の プ ラ イ バ シ ー の 保 護 、 適 切 な 処 遇 選 択 が 困 難 と な り 審 判 の 機 能 が 失 わ れ る 。 あ る い は 審 判 の ケ ー ス ワ ー ク 機 能 が 失 わ れ る 。 ま た 、 被 害 者 の 二 次 被 害 の お そ れ と い っ た 理 由 に よ る17。こ れ ら の 意 見 の 対 立 は 、換 言 す れ ば 、少 年 法 の 理 念 及 び 構 造 つ ま り 、 少 年 の 健 全 育 成 視 座 と 被 害 者 保 護 救 済 視 座 と の 対 立 で あ っ た と い え よ う 。

第 三 次 改 正 へ

こ の よ う な 状 況 の 中 、2007 年 11 月 に 法 務 大 臣 か ら 法 制 審 に 対 し 「 犯 罪 被 害 者 等 基 本 法 の 趣 旨 及 び 目 的 等 に か ん が み 、 少 年 審 判 に お け る 犯 罪 被 害 者 等 の 権 利 利 益 の 一 層 の 保 護 等 を 図 る た め 」の 法 整 備 に 関 す る 諮 問 83 号 が 発 せ ら れ た 。諮 問 に は 、1 . 被 害 者 等 に よ る 少 年 審 判 の 傍 聴 制 度 、2 .被 害 者 等 に よ る 記 録 の 閲 覧・謄 写 の 範 囲 拡 大 、3 .被 害 者 等 の 申 出 に よ る 意 見 聴 取 の 対 象 者 拡 大 、4 .成 人 刑 事 事 件 に 関 す る 家 裁 の 特 別 管 轄 廃 止 、 が 盛 り 込 ま れ た 。 こ れ を 受 け た 法 制 審 議 会 は 、 同 年 12 月 か ら 2008 年 1月 に か け て 4 回 に わ た り 少 年 法( 犯 罪 被 害 者 関 係 )部 会 で 審 議 し 要 綱 を 答 申 し た18。2008 年 3月 、 本 法 案 は 閣 議 決 定 さ れ 、 第 169 回 国 会 に 提 出 さ れ た 。 本 法 案 は 、衆 議 院 に お い て 修 正 が な さ れ 、同 年 6 月 成 立 し た19。以 下 で は 第 三 次 少 年 法 改 正 に お け る 被 害 者 視 座 に 立 脚 し た 規 定 を 概 観 す る 。

第 三 次 改 正 法 の 内 容

少 年 法 5条 の 2 第 1 項 改 正

本 改 正 に よ り 少 年 法 5 条 の 2 第 1 項 が 改 正 さ れ 、 被 害 者 等 に よ る 記 録 の 閲 覧 及 び 謄 写 の 範 囲 の 拡 大 が な さ れ た 。 そ の 内 容 は 対 象 記 録 範 囲 の 拡 大 ( 社 会 記 録 は 除 く20) と 、要 件 の 緩 和 で あ る( 従 前 は 、損 害 賠 償 請 求 の た め に 必 要 が あ る 場 合 、そ の 他 の 事 由 を 考 慮 し 相 当 で あ る 場 合 に 限 ら れ て い た 。)、す な わ ち 、被 害 者 の 申 出 が あ る 場 合 、 裁 判 所 は 閲 覧 ・ 謄 写 の 理 由 が 正 当 で な い 場 合 及 び 閲 覧 ・ 謄 写 を 認 め る こ と が 相 当 で な い 場 合 を 除 き 、認 め る こ と と な っ た 。こ の 要 件 の 緩 和 に よ り 、被 害 者 等 が 事 件 の 内 容 を 知 り た い と い う 理 由 に よ る 、閲 覧・謄 写 は 認 め ら れ る こ と と な っ た21。な お 、正

表 2: 応 報 司 法 と 修 復 的 司 法 の 関 係 3 4

参照

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