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Academic year: 2021

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博士課程用(甲)

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(様式4)

学 位 論 文 の 内 容 の 要 旨

高橋 秀行 印

(学位論文のタイトル)

Immunosuppressive activity of cancer-associated fibroblasts in head and neck squamous c ell carcinoma.

(頭頸部扁平上皮癌における癌関連線維芽細胞の免疫抑制能)

(学位論文の要旨)

目的 目的 目的 目的

癌組織には腫瘍細胞だけでなく線維芽細胞、血管内皮細胞、免疫細胞等の多数の間質細胞が存 在し、癌の進展に関与している。なかでも癌関連線維芽細胞(Cancer-associated fibroblasts:

CAFs)は様々なサイトカインや成長因子を分泌し、癌細胞の増殖や転移に影響を及ぼしている と報告されている。

一方、自然免疫系・獲得免疫系は共同で癌細胞の認識・除去を担っているが、なかでもT細胞 免疫系は中心的な役割を果たしている。これに対し癌細胞は、免疫抑制性サイトカインの分泌や 免疫チェックポイントのリガンド発現等を通じてT細胞免疫系を抑制し、自己の増殖・転移に有 利な環境を構築している。しかしながら、癌微小環境においてCAFsが免疫系に及ぼす影響につい ては未知の部分が多い。

今回我々は、頭頸部扁平上皮癌においてCAFsがT細胞免疫系に及ぼす影響について検討するこ とを目的とした。

対象と方法 対象と方法 対象と方法 対象と方法

頭頸部扁平上皮癌患者6名の手術切除標本の癌部および非癌部より得た組織試料を細切・培養 し線維芽細胞を分離した後、全てのペアに対し以下の検討を行った。CAFsおよび非癌部のnormal fibroblasts (NFs)における各種表面抗原およびα- smooth muscle actin(α-SMA)の発現、

免疫チェックポイントリガンドの発現を、フローサイトメトリーを用いて解析した。次に、CAFs

・NFsにおけるサイトカイン遺伝子のmRNA発現をreal time qRT-PCRを用いて解析した。CAFs・NF sがT細胞増殖能に及ぼす影響について、CAFs・NFsもしくはそれらの培養上清を使ってCarboxyfl uorescein diacetate succinimidyl ester(CFSE)-based suppression assayにて解析した。さ らにCAFs・NFsの培養上清存在下に健常成人の単核球を抗CD3/CD28抗体刺激下で培養し、CAFs・N FsのT細胞アポトーシス、制御性T細胞誘導に及ぼす影響をついて検討した。6例中3例のペアを用 いてCAFs・NFsにおける遺伝子発現を網羅的に解析するためマイクロアレイ解析を行った。

結果 結果 結果 結果

分離した線維芽細胞の表面抗原の発現を解析すると、CAFs・NFsともにCD11b(-), CD34(-), CD 45(-), CD90(+)であり、線維芽細胞として矛盾しない結果であった。一方で、線維芽細胞の活性 化の指標であるα-SMAはCAFsにおいて高発現しており、頭頸部扁平上皮癌間質の線維芽細胞が活 性化したmyofibroblastであることが確認された。続いて免疫チェックポイントリガンドの発現 を解析すると、CAFsではPD-1受容体のリガンドであるPD-L1とPD-L2の発現を認めたが、NFsでは

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博士課程用(甲)

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認めなかった。real time qRT-PCR による解析では、IL6、CXCL8、TNF、TGFB1、VEGFAのmRNA発 現がNFsと比較しCAFsで増強していた。単核球との共培養では、CAFsとその培養上清はNFsと比較 してT細胞増殖抑制能、制御性T細胞誘導能、T細胞アポトーシス誘導能のいずれも有意に高かっ た。CAFとその培養上清下のT細胞増殖能は抗PD-L1抗体・抗PD-L2抗体及び抗TGF-β抗体・抗VEGF 抗体存在下に回復した。マイクロアレイ解析で得られた遺伝子発現データに対しパスウェイ解析 を行ったところ、CAFsではNFsと比較し白血球の血管外遊走能およびパキシリンシグナル経路が 亢進していた。

考察 考察 考察 考察

癌微小環境における免疫抑制機構の構築には、癌細胞だけでなくCAFsも大きく関与しているこ とを今回我々は解明した。頭頸部扁平上皮癌において、CAFsはPD-L1・PD-L2の発現、TGF-β・VE GFの分泌によりT細胞増殖を抑制していると考えられた。TGF-β・VEGFは制御性T細胞の誘導・維 持に重要であることが報告されており、CAFsがこれらの分泌を通じて制御性T細胞を誘導してい ると考えられた。またCAFsでTNFのmRNA発現が亢進していたことから、CAFsより分泌されたTNF- αがT細胞アポトーシスの誘導に関与している可能性が示唆された。更に、CAFsが制御性T細胞の ような免疫抑制機能をもつ白血球の腫瘍局所への集簇に関与している可能性が示唆された。

結語 結語 結語 結語

頭頸部扁平上皮癌の癌微小環境では、CAFsはT細胞免疫を抑制することで癌の免疫逃避に寄与 していると考えられた。

参照

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