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米 国 刑 事 訴 訟 に お け る 証 拠 開 示 目 的 の 証 言 録 取 手 続

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(1)

米 国 刑 事 訴 訟 に お け る 証 拠 開 示 目 的 の 証 言 録 取 手 続

田 淵 浩 二

調

論 説

(2)

一 は じ め に

アメ リカ の刑 事訴 訟 には

﹁ 証言 録取 手続

d ep o si tio n s

︶と 呼 ばれ る制 度が ある

︒証 言録 取手 続は

︑公 判 に 先 立ち 裁 判 所内 外の 指定 場 所に 予定 証人 を 召喚 し︑ 宣誓 手 続を 経た 上で 尋 問し

︑そ の結 果 得ら れ た証 言を

︑速 記 また は録 音し

︑ 書 面な い し 電磁 的記 録媒 体の 形 で︵ 本 稿で

﹁ 証言 録取 書﹂

a   d ep o si tio n

︶と い う場 合︑ 特に 断り のな い限 り 書面 以外 の 記録 媒体 を除 外 する 趣旨 では な い︒

︶記 録に 残す た めの 手続 であ る

︒当 該手 続は

︑ 証拠 保全 目的 で 利用 され る場 合 と︑ 証 拠開 示目 的で 利 用さ れる 場合 が ある

︒前 者は

︑ 予定 証人 が公 判 にお いて 利用 不 可能 に なる こと が予 想 され る場 合に

︑ 公 判証 言 の代 替証 拠と する ため

︑公 判前 に﹁ 証 言﹂

te st im o n y

︶を 保全 する 目 的で 行 わ れる

︒そ れ ゆえ

︑証 拠 保全 目 的 の証 言録 取手 続 は︑ 公判 証言 に 代替 する に相 応 しい 手続 でな け れば なら ず︑ と りわ け 合衆 国憲 法修 正 第六 条の 証人 対 面 条項

co n fr o n ta tio n   cl a u se

︶ の要 求を 満た す 必要 が ある と解 され て いる

︒す な わ ち︑ 連 邦最 高裁 はか つ てよ り︑ 公 判 にお いて 証人 が 利用 不可 能で あ る場 合︑ これ に 代え て以 前の 公 判や その 他の 審 理に お ける 証言 を使 用 でき るの は︑ 以 前 の証 言の 際に 被 告人 に十 分な 反 対尋 問の 機会 が 与え られ た場 合 に限 ると の立 場 をと っ てき た

そし て

︑修 正第 六条 の 証 人対 面条 項は 修 正第 一四 条の 適 正手 続の 内容 を 構成 する もの と 解さ れて おり

少な く とも 証拠 保全 目 的の 証言 録取 手 続 につ いて は︑ 全 米的 に被 告人 に 立会 いお よび 反 対尋 問の 機会 を 保障 する こと が 必要 と 考え られ てい る

︒ さら に︑ 二〇

〇 四年 の

C ra w fo rd   v . W a sh in g to n

では

︑ 供 述﹂

st a te m en t

︶を

︑ ある 事実 を証 明 する 目 的 で手 続に 即 し て 行 わ れ る 供 述 で あ る﹁ 証 言 的 供 述

te st im o n ia l

st a te m en t

︶と

︑そ う で な い﹁ 非 証 言 的 供 述﹂

n o n - te st im o n ia l  st a te m en t

︶に 分 け︑ 裁 判所 の審 理の 場 にお ける 証言 だけ で なく

︑ 捜査 機関 が取 調 べに よっ て 得た 供述 も

﹁証 言 的供 述﹂ に該 当 する とし た︒ そ して

︑非 証言 的 供述 の証 拠 とし ての 許容 性は 判 例に よる 伝聞 法則 の発 展 に委 ねら れ てよ いが

︑証 言 的供 述に つい て は︑ 合衆 国憲 法 修正 第六 条の 証 人対 面条 項の 要 求と し て︑ 公判 にお い て証 人が 利用 不

(法政研究 78‑3‑302 648)

(3)

可 能で あり

︑か つ 被告 人に 事前 に 証人 に対 する 反 対尋 問の 機会 が 与え られ てい な い限 り

︑そ の供 述が 裁 判所 にと って 信 用 性が 高い と思 わ れる もの か否 か に関 わら ず︑ 許 容さ れな いと 判 示し た

他方

︑証 拠開 示 目的 の証 言録 取 手続 は︑ 公判 に おけ る証 拠利 用 のた めの 手続 で はな く

︑当 事者 が事 前 面接 に非 協力 的 な 証人 と対 面し

︑ 質問 を通 じて 事 前に 証言 内容 を 確認 し︑ 公判 準 備に 活か すた め に用 い られ る︒ そこ で 行わ れた 証言 を 公 判に おけ る証 人 尋問 に代 替す る 証拠 とす るこ と を目 的と して い ない 分︑ 被告 人 の証 人 対面 権の 保障 の 問題 は生 じな い た め︑ 法域 間で 手 続の 多様 性が み られ る︒ もっ と も︑ いず れの 目 的で あれ

︑証 言 録取 手 続に は早 期に 予 定証 人の 供述 内 容 を固 定さ せ︑ そ れ以 後の 偽証 の 働き かけ を防 ぐ 機能

︵偽 証防 止 機能

︶も あり

︑ たと え 証拠 開示 目的 の 証言 録取 手続 に よ り作 成さ れた 録 取書 であ って も

︑反 駁ま たは 弾 劾目 的の 使用 で あれ ば許 容す る 法域 が 一般 的で ある

︒ した がっ て︑ 証 言 録取 手続 は最 低 限︑ その 結果 作 成さ れた 証言 録 取書 を当 事者 双 方が 公平 に利 用 でき る ため の要 請を 満 たし てお く必 要 が ある

︒ 証拠 保全 目的 の 証言 録取 手続 と 類似 する 国内 の 制度 とし ては

︑ 刑訴 法第 一七 九 条一 項 によ る証 拠保 全 手続 とし ての 証 人 尋問 があ る︒ こ れに 対し

︑二 二 六条 また は二 二 七条 によ る第 一 回公 判期 日前 の 証人 尋 問は

︑証 拠保 全 目的 の証 言録 取 手 続と は異 質の 制 度で ある

︒な ぜ なら

︑第 一に

︑ 証拠 保全 目的 に よる 証言 録取 手 続は

︑ 公判 にお いて 当 該証 人の 利用 不 可 能性 が予 想さ れ る場 合の 措置 で ある が︑ 二二 六 条ま たは 二二 七 条に よる 証人 尋 問に は その よう な要 件 は課 され てい な い

︒二 二六 条に 基 づく 証人 尋問 に つい ては 取調 べ の要 請に 応じ な い参 考人 に︑ 出 頭・ 供 述義 務を 課す た めの

︑捜 査手 段 を 付与 した もの に 過ぎ ない

︒ま た

︑二 二七 条に よ るそ れは

︑証 拠 保全 手続 の代 替 手段 と して も運 用さ れ ては いる が︑ 制 度 的に は︑ 公判 に おけ る相 反供 述 が行 われ た場 合

︑三 二一 条一 項 二号 後段 によ り 検察 官 面前 調書 に証 拠 能力 を付 与す る た めに は相 対的 特 信性 の証 明が 要 求さ れる こと か ら︑ 公判 で異 な る供 述を 行う お それ が ある 参考 人に 対 し︑ 特信 性の 証 明 を要 求さ れな い 同条 一項 一号 書 面を 作成 する こ とで

︑証 拠価 値 を保 全し てお く 権限 を 検察 官に 付与 し たも のと 理解 さ

米国刑事訴訟における証拠開示目的の証言録取手続(田淵)

(4)

れ てい る

第二 に︑ 証拠 保 全目 的の 証言 録 取手 続は

︑公 判 にお ける 証人 尋 問と 同様 のや り 方で 行 われ るが

︑二 二 六条 また は二 二 七 条に よる 証人 尋 問は

︑被 疑者

・ 被告 人ま たは 弁 護人 が立 ち会 う ため には 裁判 官 の許 可 が必 要で ある

︵ 二二 八条 二項 参 照

︶︒ また

︑証 人尋 問 に立 ち会 った 当 事者 や弁 護人 には

︑ 一五 七条 三項 に より 尋問 の機 会を 与 える こと にな って お り︑ か つ二 二六 条ま た は二 二七 条に よ る証 人尋 問の 場 合も 一五 七条 三 項の 準用 は制 限 され て いな いが

裁判 官が 被告 人側 の 尋 問を 認め ない こ とを 条件 に弁 護 人の 立会 いを 許 可す るこ とを 有 効と した 判例 も みら れ る

した がっ て

︑二 二六 条ま た は 二二 七条 によ る 証人 尋問 手続 は

︑や はり 制度 的 には

︑検 察官 が 裁判 所の 強制 権 限を 利 用し て一 方的 に 行う 捜査 手続 と い うし かな い︒ 他方

︑証 拠開 示 目的 の証 言録 取 手続 に相 当す る もの は国 内法 に はみ られ ない

︒ もっ と も︑ 検察 官は 被 告人 側の 予定 証 人 に対 して

︑ 犯罪 捜 査に 欠く こと の でき ない 知識 を 有す る﹂ こと を理 由に

︑二 二 六 条に よる 証人 尋問 請求 を する こと に より

︑公 判前 に 被告 人側 証人 と 強制 的に 対面 し

︑質 問す るこ と は可 能で ある

︒ これ に 対し

︑被 告人 は

︑任 意の 面接 に 応 じて もら えな い 限り

︑非 協力 的 な検 察側 証人 と 前も って 対面 し

︑証 言予 定内 容 を確 認 する 手段 をも た ない

︒ これ らの 条文 を みる 限り

︑ア メ リカ にお ける 証 拠保 全目 的の 証 言録 取手 続と 証 拠開 示 目的 のそ れと の 取扱 いの 違い に み られ るよ うな

︑ 当事 者に よる 予 定証 人へ の事 前 のア クセ スの あ り方 を︑ 公判 に おけ る 証人 尋問 の代 替 証拠 とし て保 全 す る目 的か

︑あ る いは 単に 公判 準 備の ため の証 言 内容 の確 認目 的 かと いう 視点 か ら論 じ 分け る発 想は

︑ 国内 法に はみ ら れ ない

︒そ の結 果

︑一 方で は︑ 両 当事 者の 立会 い のも と行 われ る 一七 九条 によ る 証拠 保 全手 続に より 作 成さ れた 証人 尋 問 調書 と︑ 原則 と して 検察 官が 一 方的 に関 与す る 二二 六条 また は 二二 七条 によ る 証人 尋 問に よる 調書 が

︑両 手続 の性 質 の 違い を度 外視 し て︑ すべ て三 二 一条 一項 一号 書 面と して 同一 の 要件 の下 で証 拠 能力 が 付与 され てい る

︒他 方で は︑ 被 告 人に は証 拠保 全 目的 でし か事 前 に証 人尋 問を 行 うた めの 手段 が 与え られ ず︑ 証 言予 定 内容 を事 前に 把 握し

︑防 御の 準

(法政研究 78‑3‑304 650)

(5)

備 を進 め るた めに は︑ 当 該証 人 が任 意の 面接 に応 じる の でな い限 り︑ 全 面的 に 捜査 機関 によ る﹁ 供 述 調書 の 作 成と 開 示

﹂に 依存 せざ る を得 ない 状況 に 置か れて きた

︒ こう した 国内 法 の状 況に 鑑み れ ば︑ アメ リカ に おい て目 的に 応 じた 二つ の証 言 録取 手 続が 使い 分け ら れて いる こと を 知 るこ とは

︑調 書 裁判 の克 服や 当 事者 の十 分な 事 前準 備に 基づ く 集中 審理 の実 現 とい っ た︑ 昨今 の刑 事 司法 改革 をさ ら に 進め るた めの 大 きな ヒン トに な るだ ろう

︒こ の うち

︑連 邦法 に おけ る証 拠保 全 目的 の 証言 録取 手続 に つい ては 別稿 で 詳 述し たた め

本 稿で は︑ 証拠 開 示目 的の 証言 録 取手 続を 入手 可 能な 資料 から 可 能な 範 囲で 検討 した う えで

︑最 後に

︑ 米 国刑 事訴 訟に お ける 証言 録取 手 続か ら何 を学 び とる こと がで き るか 若干 の考 察 を行 い たい

︒な お︑ 証 言録 取手 続の 在 り 方を 決め る上 で 考慮 され てい る 要素 は︑ 決し て 証人 審問 権や 公 判準 備の 利益 の 保障 と いう 観点 につ き るも ので はな い

︒ と りわ け被 害者 に 対す る証 言録 取 手続 は︑ 被告 人 と顔 を合 わせ た くな い被 害者 に とっ て 精神 的苦 痛と な るこ とか ら︑ 証 人 保護 への 配慮 も 手続 の在 り方 に 影響 を与 えて い る︒ そこ で以 下 では

︑証 人保 護 の観 点 にも 留意 しな が ら考 察を 行い た い

二 証 拠 開 示 目 的 の 証 言 録 取 手 続

︵ 一

︶ 概要 証拠

開示 目的 の 証言 録取 手続 は 証拠 開示 制度 の 一部 を成 すと こ ろ︑ アメ リカ に おけ る 証拠 開示 の歴 史 は︑ 先に 民事 訴 訟 にお いて 全面 的 に発 展し たが

︑ 刑事 訴訟 にお い ては 抵抗 が強 か った とい われ て いる

刑事 訴訟 にお け る証 拠開 示を め ぐ る議 論の 変化 は 一九 六〇 年代 に 入っ てか らで あ り︑ 一九 六六 年 版連 邦刑 事訴 訟 規則 若 しく は一 九七 五 年版 連邦 刑事 訴

米国刑事訴訟における証拠開示目的の証言録取手続(田淵)

(6)

訟 規則 や一 九七

〇 年版 AB A︵ ア メリ カ法 律家 協 会︶ 基準 のい ず れか をモ デル と して

︑ 各法 域に おい て も公 判前 証拠 開 示 の制 定法 や裁 判 所規 則が 設け ら れ︑ また

︑明 文 法規 を持 たな い 法域 にお いて も 判例 に よる 公判 前の 証 拠開 示の 形成 が 進 展し てい った と され る10

証拠 開 示目 的の 証言 録 取手 続に 関し て は︑ いず れの 法 域で も 制定 法ま たは 裁 判所 規則 上の 根 拠 が必 要と され て きた 点に 特徴 が ある

︒こ の点

︑ 連邦 刑事 訴訟 規 則は 一九 四四 年 規則 の 制定 時よ り刑 事 訴訟 にお ける 証 言 録取 手続 の利 用 に慎 重で あり

︑ 証拠 開示 目的 の 証言 録取 手続 に つい ては 現在 ま で導 入 には 至っ てい な い11

しか し︑ そ れ でも 当該 制度 を 刑事 訴訟 に導 入 して いる 州は 存 在し てお り︑ そ の数 は増 加傾 向 にあ る

︒ま た︑ AB A の刑 事証 拠開 示 に 関す る基 準も

︑ 一九 八〇 年に 採 択さ れた 第二 版 まで は証 言録 取 手続 に関 する 基 準を 設 けて いな かっ た が︑ 一九 九四 年 に 採択 した 第三 版12

は︑ 裁 判所 の 裁量 的命 令に よ る証 拠開 示目 的 の証 言録 取手 続 に関 す る基 準が 新設 さ れた

︒ 州で 採用 され て いる 証拠 開示 目 的の 証言 録取 手 続に は︑ 当事 者 の告 知に より 手 続が 開 始す る当 事者 告 知型 と︑ 裁判 所 の 命令 ない し許 可 を必 要と する 司 法審 査型 があ る

︒司 法審 査型 に おい ては

︑広 狭 の差 は あれ 裁判 所の 裁 量の 余地 が認 め ら れ て い る︒ し た がっ て

︑一 応 は当 事 者 告 知型 を

﹁権 利 型﹂

︑ 司 法審 査 型 を﹁ 裁 量 型﹂ と呼 ぶ こ と が で き る だ ろ う︒ も っと も︑ 権利 型 であ れ裁 判所 に よる 一定 のコ ン トロ ール は受 け る︒ 現在 知り 得 た範 囲 で︑ 権利 型の 証 拠開 示目 的の 証 言 録取 手続 を導 入 して いる 州と し ては

︑フ ロリ ダ 州︑ アイ オワ 州

︑イ ンデ ィア ナ 州︑ ミ ズリ ー州

︑ノ ー ス・ ダコ タ州

︑ ニ ュー

・ハ ンプ シ ャー 州︑ バー モ ント 州が ある

︒ 裁量 型の 証拠 開 示目 的の 証言 録 取手 続 のみ を導 入し て いる 州と して は

︑ ア リゾ ナ州

︑イ リ ノイ 州︑ モン タ ナ州

︑ネ ブラ ス カ州

︑ニ ュー

・ メキ シコ 州︑ オ ハイ オ 州︑ テキ サス 州

︑ワ シン トン 州 が ある

︒権 利型 の 州の 中に は︑ 対 象を 一定 の証 人

︑一 定の 重い 事 件︑ ある いは 所 定の 期 間内 に制 限し

︑ 対象 外の ケー ス に は裁 量型 を併 用 する 州が ある

︒ ネブ ラス カ州 は 裁量 型で ある う えに 対象 を一 定 の重 い 事件 に制 限し て いる

︒ま た︑ こ れ らの 州以 外に も

︑近 年イ リノ イ 州が

︑死 刑事 件 に対 する 冤罪 対 策の ひと つと し て︑ 裁 量型 の証 拠開 示 目的 の証 言録 取 手 続を 導入 した13

表 1参 照︶

(法政研究 78‑3‑306 652)

(7)

証 拠開 示目 的の 証 言録 取 手続 の進 め方 に もい くつ かの タ イプ があ る︒ 一般 に 被告 人 の立 会・ 尋問 権 を認 める 州が 多 いが

︑認 めな い州 も ある

︒ さら に︑ 何ら か の形 で証 人を 保 護す る規 定を 設け て いる 州 が多 い︒ 証言 録 取書 の証 拠使 用 は反 駁ま たは 弾劾 目 的の 使 用に 制限 する 州 が多 いが

︑被 告 人に 立会

・尋 問権 が 付与 さ れた 場合 は伝 聞 例外 とし ての 使 用を 許容 する 州も み られ る

︒こ のよ うに

︑ 証拠 開示 目的 の 証言 録取 手続 につ い ては 州 毎に バリ エー シ ョン があ り︑ 全 体像 を正 確に 把握 す るた め には すべ ての 州 の詳 細な 比較 が 望ま しい とこ ろで あ る︒ し かし

︑そ のた め の十 分な 資料 を 持ち 合わ せて おら ず

︑本 稿 では ある 程度 状 況を 把握 でき た 州に 限定 して

︑権 利 型︑ 併 用型

︑裁 量型 の 順に

︑証 拠開 示 目的 の証 言録 取手 続 の導 入 をめ ぐる 議論 の 概要 を紹 介し た い︒

表1 米国各州の証拠開示目的の証言録取制度の比較

根拠規定 タイブ 根拠規定 タイブ

AZ 裁判所規則 R. Crim. P. Rule15.3

裁量型 NE 制定法

Neb. Rev. St. 29‑1917

裁量型(重罪又は W級軽罪のみ)

FL 裁判所規則

R.Crim.P.Rule3.220(h)

併用型(但し、軽 罪及び交通事犯は 裁量型)

NH 制定法

N.H.Rev.Stat. 517:13

併用型(重罪のみ 権利型)

IA 裁判所規則 R. Crim. P. Rule 2.13

併用型 NM 裁判所規則

Dist. Ct. R. Crim. P.

Rule5‑503

裁量型

IL 裁判所規則 S. Ct. Rule 416(e)

裁量型(死刑事件 のみ対象)

OH 制定法

Rev. Code 2945.50

裁量型

IN 制定法及び裁判所規則 I.C. 35‑37‑4‑3, Trial P. R. Rule30

権利型 TX 制定法

Vernonʼs Ann. Texas C.

Crim. P. Art.39.02

裁量型

MO 制定法及び裁判所規則 V.A.M.S. 545.400,415, R. Crim. P. Rule25.12

権利型 VT 裁判所規則

R. Crim. P. Rule15

併用型(重罪のみ 権利型)

MT 制定法 MCA 46‑15‑201

裁量型 WA 裁判所規則

Sup.Ct.Crim.R,Rule4.6 裁量型

ND 裁判所規則 R. Crim. P. Rule15(a)

併用型(一定期間 内は権利型)

米国刑事訴訟における証拠開示目的の証言録取手続(田淵)

(8)

︵ 二

︶ 権 利 型 1

イン デ ィア ナ 州 イン ティ アナ 州 は︑ 一八 八一 年 に当 時の 刑事 法 典︵

C ri m in a l  C o d e

︶第 一八

〇五 条 に証 言録 取手 続 を設 け た︒ 当 該規 定 は︑ 被告 人に よ る証 言録 取手 続 を定 めた もの で

︑州 外に 居住 す る証 人に 対す る もの と

︑そ れ以 外の も のに 分け て︑ 前 者 につ いて は︑ 裁 判所 の許 可を 得 て行 うこ とと し

︑か つ︑ 検察 官 も同 一事 項に つ き証 言 録取 手続 を行 い 証拠 とし て使 用 で きる こと を被 告 人が 同意 する こ とを 許可 の条 件 とし てい た︒ こ れに 対し

︑後 者 につ い ては

︑こ れと 同 一条 件の 下︑ 裁 判 所の 許可 又は 検 察官 に対 する 告 知に より 証言 録 取手 続を 行え る とし てい た14

一 八〇 五 条は

︑そ の後 の 改正 によ りバ ー ン ズ・ イン ディ ア ナ州 注釈 付き 制 定法 集第 九⎜ 一 六一

〇条

︵一 九 五六 年版15

に継 承さ れ た︒ 九⎜ 一六 一

〇条 では

︑証 人 が 州内

・州 外の い ずれ に居 住し て いる かを 問わ ず

︑被 告人 に対 し

︑検 察官 が同 一 事項 に 関し て証 言録 取 手続 を利 用し

︑ か つこ れに より 作 成し た証 言録 取 書を 証拠 とし て 使用 する こと に つき 被告 人が 同 意す る こと を条 件と し て︑ 裁判 所に 対 す る許 可の 申立 と 検察 官に 対す る 告知 のい ずれ か の方 式に よる 利 用が 認め られ て いた16

これ らの 制定 法 の特 徴は

︑被 告 人に のみ 証言 録 取手 続の 利用 を 申し 出る 権利 を 認め る が︑ その 場合 は

︑被 告人 が証 言 録 取し よう とす る 者に 対し

︑検 察 官も 同一 事項 に つき 証言 録取 を 行う こと に同 意 する こ とを 条件 とし た 点に ある

︒そ の 基 礎に は︑ 検察 官 が証 人尋 問に 替 えて 証言 録取 書 を使 用す るこ と は︑ 憲法 上保 障 され て いる 被告 人の 証 人対 面権

︵イ ン デ ィア ナ州 憲法 第 一章 第一 三条

︶ を侵 害す ると い う前 提の 下︑ し かし

︑被 告人 が 証言 録 取手 続を 望む 場 合は

︑検 察官 に も 互恵 的権 利を 認 める べき とい う 考え 方が あっ た

︒こ の点 につ い ては

︑イ ンデ ィ アナ 州 最高 裁も

︑証 人 対面 権の 放棄 を 被 告人 が証 言録 取 手続 を利 用す る 条件 とす るこ と の合 憲性 が争 わ れた 事件 にお い て︑ 証 言録 取手 続を 利 用す る権 利は 制 定 法に よっ て創 設 され た権 利で あ るこ とを 理由 に

︑制 定法 が︑ 被 告人 に対 して 証 人対 面 権の 放棄 を条 件 に証 言録 取手 続

(法政研究 78‑3‑308 654)

(9)

の 利用 を選 択す る こと を要 求し て も︑ 憲法 違反 の 問題 は生 じな い との 立場 をと っ てき た17

その 後

︑一 九 八一 年に 制定 さ れ たイ ンデ ィア ナ 州法 律集 第三 五

⎜三 七⎜ 四⎜ 三 条18

より

︑検 察 官も 被告 人と 全 く同 等 な立 場で 証言 録 取手 続を 利用 す る こと がで きる よ うに なっ た︒ 同 条は

︑証 言録 取 手続 のや り方 を 裁判 所の 規則

︵ 公判 手 続規 則︶ に委 ね てお り︑ 公判 手 続 規則 によ れば

︑ 検察 官が 証言 録 取手 続を 利用 す る際 には

︑被 告 人に 立会 いお よ び反 対 尋問 の機 会を 付 与し なけ れば な ら ない こと から

︑ 当時 の連 邦や 他 の法 域の 考え 方 に従 えば

︑三 五

⎜三 七⎜ 四⎜ 三 条の 制 定時 に州 憲法 上 の障 害が 議論 に な らな かっ たと し ても 何ら 不思 議 では ない

︒ イン ディ アナ 州 では

︑被 告人 は 裁判 所の 許可 を 得な くて も︑ 検 察官 に対 して 書 面告 知 を行 うこ とに よ り証 言録 取手 続 の 利用 が可 能で あ る︒ しか し︑ 被 告人 の証 言録 取 手続 を利 用す る 権利 が裁 判所 の いか な るコ ント ール も 受け ない わけ で は なく

︑証 拠開 示 に関 する 判例 法 理19

裁判 所規 則 の解 釈に より

︑ 司法 的コ ント ロ ール が 行わ れて きた

︒ 例え ば︑ 一九 六 八 年の

A m a ro   v . S ta te

︑ 一︶ 被 告人 から 裁判 所 に対 して 許可 の 申立 てが 行わ れ た場 合︑

事 実審 裁 判官 は制 限的 な 裁 量権 を有 して お り︑ 検察 官が 被 告人 の利 益に 勝 る利 益を 立証 す るの でな い限 り

︑証 人 リス トの 開示 を 許可 すべ きで あ る

﹂と の 刑 事証 拠開 示に 関す る 判例 法理20

︑制 定法 に 基づ く被 告人 の証 言録 取 手続 の申 立て にも 妥 当す る こ と︑ し た が って

︑ 二︶ 被告 人 が単 に証 拠漁 り をし てい るだ け で︑ 申立 て を根 拠付 ける 正当 な 防御 上の 利益 を有 さな い こと が明 ら かで ある 場合

︑ 公判 裁判 所は

︑ 連邦 民事 訴訟 規 則の 証拠 開示 規 定︵ 三〇 条︵ b

︶項

︶ によ り保 護命 令 を出 せる こと と 同 じ様 に︑ 証言 録 取手 続を 拒否 す るこ とが でき る と述 べた 上で

︑ 三︶ 被 告人 が検 察 官に 対す る告 知に よる 利 用を 選択 し た場 合︑ 検察 官 はそ れに もか か わら ず公 判裁 判 所へ 申し 立て る こと によ って

︑ 証言 録 取手 続に 抵抗 で きる こと は明 ら か であ ると 判示 し た21

さら に︑ 一九 七 六年 の

M u rp h y   v . S ta te

︑イ ンデ ィア ナ 州刑 事 訴訟 規則 第二 一 条が

︑ イン ディ アナ 州の 公判 及び 上 訴手 続に 関す る 裁判 所規 則は

︑ イン ディ アナ 州 最高 裁判 所が 刑 事手 続上 の行 為 につ き 採用 した 個別 の 規則 に反 しな い

米国刑事訴訟における証拠開示目的の証言録取手続(田淵)

(10)

限 り︑ あら ゆる 刑 事手 続に 適用 さ れる

︒﹂ と定 めて い るこ と か ら︑ 民 事に おけ る証 言 録取 手続 を定 めた 公判 手 続規 則第 三

〇条 およ び三 一 条が 刑事 にお け る証 言録 取手 続 にも 適用 され る こと を明 言し た22

また

︑証 言録 取書 の 証拠 使用 につ い て も同 様に

︑刑 事 訴訟 規則 第二 一 条を 通じ て︑ 公 判手 続規 則第 三 二条 が適 用さ れ ると 解 され てい た23

そ の後

︑イ ンデ ィ ア ナ州 法律 集第 三 五| 三七

|四

| 三条 が︑

検 察官 及 び被 告人 は イン ディ ア ナ州 公判 手 続規 則に 従っ て 証人 の 証言 録取 手 続を 行う こと が でき る︒

﹂と 定め た こと で︑ 刑事 訴 訟に お け る証 言録 取手 続が

︑民 事訴 訟に つい て定 めた 裁 判所 規則 で ある 公判 手続 規 則の ルー ルに 従 うべ きこ とは 制 定法 上も 明確 に なっ た︒ イン ディ アナ 州 公判 手続 規則 は

︑口 頭尋 問に よ る証 言録 取手 続

︵三

〇条

︶と 質 問書 に よる 証人 の証 言 録取 手続

︵三 一 条

︶︑ およ び裁 判所 の 手続 にお ける 証 言録 取書 の使 用

︵三 二条

︶に 関 する 規定 を設 け てい る︒ 三〇 条

︵B

︶︵ 一︶ 項は

︑ 口頭 尋問 によ る証 言 録取 手続 を希 望 する 当事 者は

︑ 訴訟 の他 の 当事 者に 対し て書 面 によ る合 理的 な告 知を 行 わな けれ ば なら ない

︒告 知 書に は証 言録 取 手続 の日 時及 び 場所 並び に︑ そ れが 判明 して い る場 合 は各 被録 取者 の 氏名 及び 住所

︑ 氏 名が 不詳 であ る 場合 はそ の者 を 特定 する に足 り る一 般事 項又 は その 者が 所属 す る特 定 のク ラス 若し く は集 団を 記載 し な けれ ばな らな い

︒被 録取 者に 対 して 文書 提出 令 状が 発付 され る とき は︑ それ に より 提 出す べき 資料 名 を告 知書 に添 付 又 は引 用し なけ れ ばな らな い︒

﹂と 定 めて おり

︑ また

︑同 条

︵C

︶ 項は

︑ 告知 され た 当事 者に 公判 にお ける 証 人尋 問と 同 様に 証言 録取 手 続に 出席 し︑ 反 対尋 問す る機 会 を与 えて いる

︒ さら に︑ 同条

︵ D︶ 項 によ れば

︑告 知 を受 けた 当事 者 又 は被 録取 者は

︑ 管轄 の裁 判所 に 対し

︑尋 問が 不 誠実 に又 は不 当 に被 録取 者若 し くは 当 事者 を苦 悩︑ 当 惑若 しく は抑 圧 す るや り方 で行 わ れて いる こと を 証明 する こと に より

︑証 言録 取 手続 の中 断︑ 又 は第 二 六条

︵C

︶項 の 定め る証 言録 取 手 続の 制限 措置 を 命じ るよ う求 め るこ とが でき る

︒そ して 中断 命 令が 出さ れた 場 合︑ 裁 判所 の許 可が な けれ ば再 会で き な い︒ なお

︑第 二 六条 は証 拠開 示 に関 する 一般 規 定で ある とこ ろ

︑同 条︵ C︶ 項 は︑ 正 当な 理由 があ る 場合

︑裁 判所 は

︑ 当 事者 又は 被録 取 者を 苦悩

︑当 惑

︑抑 圧若 しく は 不当 な費 用負 担 から 抑圧 から 保 護す る ため に︑ 正義 上 要請 され る措 置

(法政研究 78‑3‑310 656)

(11)

を 命じ るこ とが で きる 旨を 定め て おり

︑当 該保 護 命令 上の 措置 と して

︑証 拠開 示 の禁 止 の他

︑証 拠開 示 の日 時場 所を 含 む 条件 や方 法の 指 定等 を例 示し て いる

︒ この よう に︑ イ ンデ ィア ナ州 で は︑ 権利 型を 採 用し た上 で︑ 相 手方 の申 立て に 応じ て

︑裁 判所 が相 手 当事 者や 開示 対 象 者を 保護 する た めに 必要 な措 置 を講 じる 権限 を 留保 する 形で

︑ 必要 な利 害の 調 整を 図 る仕 組み が採 用 され てい る︒ 2

ミズ リ ー州 イン ディ アナ 州 と並 び早 くか ら 権利 型を 採用 し

︑か つ今 日ま で 維持 して きた 法 域と し てミ ズリ ー州 が ある

︒同 州に お い ても

︑制 定法 上 の根 拠︵ ミズ リ ー州 注釈 付き 制 定法 集第 五四 五

・四

〇〇 条︶ に 基づ き

︑被 告人 は証 拠 開示 の手 段と し て 証言 録取 手続

︵ なお

︑同 州で は

﹁暫 定的 証人 尋 問﹂ とも 呼ば れ てい る︶ の利 用 が認 め られ てき た︒ こ れに 対し て検 察 官 は︑ 証拠 保全 目 的の 証言 録取 手 続の 利用 は認 め られ てい たも の の24

長い 間︑ 証 拠開 示 目的 での 利用 は 認め られ てい な か った

︒検 察官 に 証拠 開示 目的 の 証言 録取 手続 の 利用 が認 めら れ るの は︑ 一九 九 五年 に ミズ リー 州注 釈 付き 制定 法集 第 五 四五

・四 一五 条 が制 定さ れて 以 降の こと であ る

︒ 五四 五・ 四〇

〇 条は

︑重 罪事 件 の被 告人 が︑ 訴 訟が 係属 する 裁 判所 の書 記官 の 発付 す る命 令状 に基 づ き︑ ある いは 検 察 官に 対す る告 知 によ り︑ 自己 の ため に暫 定的 に 証人 尋問 する こ とを 認め てい る とこ ろ

︑証 言録 取手 続 のや り方 につ い て は民 事訴 訟に お ける 法の 定め に 従う もの とし て いる

︒そ の後

︑ 一九 七九 年に 州 の刑 事 訴訟 規則 に証 拠 開示 と証 言録 取 手 続に 関す る新 た な規 定が 採択 さ れた 際︵ 一九 八

〇年 一月 一日 発効

︶︑ 事件 に限 定な く︑ 被告 人に よる 証言 録 取手 続の 利 用規 定が 設け ら れた

︵二 五・ 一 二条

︶︒ 続い て二

〇三 年の 規 則改 正の 際︑ 一 九九 五 年の 制定 法に より 可 能と なっ て い た検 察官 によ る 証言 録取 手続 に 関し て も︑ 被 告人 の それ とは 別に 手続 規 定が 設け られ た︵ 二 五・ 一五 条︶

︒し か し︑ 二 五・ 一二 条や 二 五・ 一五 条に お いて も︑ 具体 的 な証 言録 取手 続 のや り方 は民 事 訴訟 に おけ る証 言録 取 手続 に関 する 規

米国刑事訴訟における証拠開示目的の証言録取手続(田淵)

(12)

定 に従 うも のと さ れて いる

︒そ し て︑ ミズ リー 州 民事 訴訟 規則 第 五六

・〇 一条

︵ c︶ 項 によ れば

︑裁 判 所は 証拠 開示 目 的 の証 言録 取手 続 に対 して

︑当 事 者又 は被 録取 者 を苦 悩︑ 当惑

︑ 抑圧 若し くは 不 当な 費 用負 担か ら抑 圧 から 保護 する た め に︑ 正義 上要 請 され る措 置を 命 じる こと がで き るも のと され て おり

︑こ の点 で はイ ン ディ アナ 州と 同 じで ある

︒ ミズ リー 州法 の 特徴 とし て︑ 同 州の 刑事 訴訟 規 則に よれ ば︑ 被 告人 は︑ 検察 官 によ る 証拠 開示 目的 の 証言 録取 手続 に 物 理的 に立 ち合 う こと は許 され な い︵ 二 五・ 一五 条︵ c

︶項

︶︒ そ れど ころ か︑ 被 告 人が 証言 録取 手続 を利 用 する 場合 も

︑原 則と して 被 告人 には 物理 的 立会 権は 認め ら れな い︒ ただ し

︑後 者の 場合 は

︑被 告 人の 申立 てに よ り正 当な 理由 が 証 明さ れた 場合 は

︑裁 判所 が被 告 人の 物理 的立 会 いを 命令 する こ とが でき るも の とさ れ てい る︒ そし て

︑裁 判所 が被 告 人 の物 理 的立 会い を命 じる か否 か を判 断 す る 際︑

1︶ 効 果 的 な 開 示を 得 る た めに 被 告 人 が 物理 的 に 立 合 う必 要 性︑ 2︶ 被告 人の 立会 い が証 人に 及ぼ す 影響

︑お よび

︵ 3︶ 遮蔽 板 の使 用の 可能 性又 は その 他の 被告 人が 制限 さ れた 範囲 で 証人 を観 察す る こと を可 能に す る代 替的 記録 若 しく は録 音録 画 方法 及び 弁護 人 と相 談 する 能力 を考 慮 しな けれ ばな ら な いと され る︵ 二 五・ 一二 条︵ c

︶項

︶︒ これ らの 考慮 要素 か ら︑ ミ ズリ ー州 が

︑証 拠開 示目 的の 証言 録取 手 続に 被告 人 が物 理的 に立 会 うこ とを 制限 し たの は︑ 証人 保 護を 念頭 に置 い たも ので ある こ とが 分 かる

︒ 他方 で︑ 被告 人 の証 人対 面権 へ の配 慮か ら︑ 検 察官 が証 言録 取書 の 証拠 使用 を申 し出 た 場合 は︑

a︶ 被 告 人自 らが 証 言録 取手 続に 立 会い

︑証 人に 反 対尋 問す る権 利 を有 して いた か

︑若 しく はそ れ を放 棄 した こと

︑ま た は裁 判所 によ る 立 会命 令に 応じ な かっ たこ と︑ お よび

︵b

︶公 判 にお いて 証人 が 利用 不可 能性 で ある こ とが 要件 とさ れ てお り︑ 証拠 開 示 目的 の証 言録 取 手続 に被 告人 を 立ち 会わ せな か った とき は︑ そ こで 作成 され た 証言 録 取書 を検 察官 の 証拠 使用 する こ と はで きな い︵ 二 五・ 一六 条参 照

︶︒ これ に対 し︑ 被 告人 が 証 言録 取書 を証 拠使 用す る 場合 は︑ 検 察官 の立 会 権は いか な る場 合も 制限 さ れて いな いた め

︑証 人の 利用 不可 能性 のみ が要 件 とさ れて いる

︵二 五

・一 三条 参照

︶︒ こ の よう にミ ズ リー 州の 刑事 訴 訟規 則に よれ ば

︑被 告人 は証 言 録取 手続 か公 判 にお ける 証人 尋 問の い ずれ かに おい て 一度 は︑ 証人 に

(法政研究 78‑3‑312 658)

(13)

対 峙し 尋問 を行 う 機会 が与 えら れ る仕 組み にな っ てい る︒

︵ 三

︶ 併 用 型 1

バー モ ント 州 バー モン ト州 は 証拠 開示 目的 の 証言 録取 手続 が 認め られ なか っ た時 代を 経て

︑ 一九 六 一年 に裁 量型 の 制度 を導 入し

︑ 七 三年 に権 利型 の 制度 に転 換し た 後︑ さら に九 一 年に 併用 型へ と 変遷 して おり

︑ その 間 の議 論も

︑あ る 程度 詳細 に把 握 す るこ とが でき る

︵1

︶ 裁量 型の 導入 に 至る まで バー モン ト州 で は︑ 一九 六一 年 法律 第一 四七 号25

より 刑 事訴 訟 に証 拠開 示目 的 の証 言 録取 手続 が導 入 され てい ると こ ろ

︑議 論の 発端 は

︑州 議会 が連 邦 民事 訴訟 規則 を 参考 に一 九五 七 年法 律第 二一 七 号26

制 定し たこ とに 遡 る︒ 同法 第一 条 は

︑ 郡裁 判所

︑衡 平 法裁 判所 又は 市 裁判 所に 係属 す る訴 訟の 当事 者

a n y  p a rt y  to  a n y  a ct io n

︶は

︑ 証拠 開示

︑訴 訟 に おけ る証 拠使 用 又は その 両方 の 目的 で︑ 口頭 尋 問又 は書 面に よ る質 問に 基づ く 証言 録 取手 続に より

︑ 当事 者を 含む 者 の 証言 を得 るこ と がで きる

︒﹂ と規 定 して おり

︑文 言 上︑ 証 言録 取手 続を 利 用で きる 訴訟 や当 事 者を 限定 して いな かっ た

︒さ っそ く翌 年

R ee d   v .

27

A lle n

に おい て

︑当 該法 律が 刑 事訴 訟に も適 用さ れる か が争 点と なっ た

︒当 該 事 件に おい て 州最 高裁 は︑

証言 録取 手続 の権 利 はコ モン ロー 上 のル ール にな い権 利で あり

︑常 に厳 密に 解釈 され なけ れ ばな らな い とい う判 例 法理 が確 立し てい る︒ もし

︑ 訴 訟﹂

a ct io n

︶に 刑事 事件 を含 めて 解 釈す れば

︑ 州︵ 検 察官

︶も 被告 人に 対 し自 由に 証言 録 取手 続を 行え る こと にな り︑ 憲 法の 保障 する 自 己負 罪拒 否特 権 と矛 盾 する こと にな る

︒ま た︑ 被申 立

米国刑事訴訟における証拠開示目的の証言録取手続(田淵)

(14)

A lle n

判事

︶ の解 釈は

︑法 律 が 大陪 審及 び死 因審 問︵

in q u es t

︶の 手続 の秘 密を 保護 し てい る 点 を無 意 味 に して し ま うこ とに なる

︒ 立法 者が

︑一 九 五七 年法 律第 二 一七 号を 刑事 事 件に 適用 して

︑ 現行 刑 事手 続の 過激 な 大変 動を もた ら そ うと 意図 した と は考 え難 い﹂ と の理 由か ら︑ 刑 事訴 訟に 対す る 上記 条文 の適 用 を否 定 した28

また

︑当 該規 定 とは 別に

︑バ ー モン ト州 注 釈付 き法 律集 第六 六 八一 条︵ 当 時︶ は

︑ 犯罪 によ り告 発︑ 略 式 起訴 又は 正 式起 訴さ れた 者 は︑ 最高 裁判 所 の裁 判官

︑上 級 裁判 官又 は郡 裁 判所 の裁 判官 に 対し て

︑あ る特 定の 証 人の 証言 が彼 の 防 御の ため に重 要 であ る旨 の宣 誓 供述 書を 提出 す るこ とが でき

︑ これ に基 づき 民 事訴 訟 にお ける 証言 保 全手 続と 同様 の 手 続を 行う こと が でき る︒

﹂と 定め て いた とこ ろ︑

H a ck el  v .

29

W ill ia m s

で は︑ 当 該規 定を 証拠 開 示目 的の 証言 録取 手続 に も準 用で きる か が争 われ た︒ こ の時 も州 最高 裁 は︑

あら ゆ る事 件に おけ る無 制限 の 証拠 開示 は︑ 正 義を 導 き出 すの で はな く︑ 正義 を 誤ら せる こと に なろ う﹂

︑ 一般 に︑ 刑事 訴訟 に おけ る証 言録 取 手続 は

︑例 外的 状況 に おい ての み司 法 の 過誤 を防 止す る ため に行 われ る もの であ り︑ か つそ の要 件の 立 証責 任は 申立 人 にあ る

︒も し︑ 立法 者 が合 衆国 の他 の 州 に存 在す る手 続 から 外れ る手 続 を採 用し よう と 企図 した ので あ れば

︑そ の意 図 を推 測 に委 ねた とい う こと は考 え難 い

︒ 証 言録 取手 続の 立 法は コモ ンロ ー には ない 制度 で あり

︑厳 密に 解 釈さ れな けれ ば なら な い﹂ とい う理 由 から

︑六 六八 一 条 の準 用を 否定 し た30

いず れの 事件 に おい ても

︑州 最 高裁 は︑ 証言 録 取手 続が コモ ン ロー 上の ルー ル にな い こと から

︑制 定 法の 厳密 な解 釈 を 要求 し︑ 刑事 訴 訟に おい て証 拠 開示 目的 によ る 証言 録取 手続 を 許容 しよ うと す る立 法 者の 意図 は条 文 に明 示さ れて い な い点 を重 視し て いた

︒そ こで 一 九六 一年 に州 議 会は

︑被 告人 に 証拠 開示 目的 の 証言 録 取手 続や 証拠 物 の提 示・ 閲覧

・ 謄 写の 権利 を付 与 する 立法 を行 っ た︵ バー モン ト 州注 釈 付き 法律 集 第一 三編 第六 七二 一条 乃 至六 七二 七条

︶︒ 六七 二一 条 は次 のよ うに 規 定し てい た︒

刑事 訴訟 にお ける 被告 人は 正式 起訴 状︑ 略式 起訴 状又 は告 発 状の 提出 後︑ 何 時で も︑ 検 察官 及び 他の 被 告人 に告 知し た 上で 証人 の証 言 録取 手続 を行 う こと がで きる

︒ その 際

︑被 告人 は︑ 当 該証 人の 証言 が

(法政研究 78‑3‑314 660)

(15)

公 判に おい て重 要 性若 しく は関 連 性を 有し

︑又 は 被告 人の 防御 の 準備 に役 立ち う るこ と を証 明し なけ れ ばな らず

︑か つ 当 該証 明が あれ ば

︑裁 判所

︑上 級 裁判 官︑ 郡裁 判 所裁 判官 又は 市 裁判 所裁 判官 は

︑証 言 録取 手続 によ り 当該 証人 の証 言 を 録取 する よう 命 じな けれ ばな ら ない

︒﹂ 当該 法律 の 制定 に よ り︑ 刑 事訴 訟に おい て 証拠 開示 目的 の証 言録 取 手続 の利 用 を許 容す る立 法 者の 意思 は明 確 にな った31

この よう に︑ バ ーモ ント 州が 一 九六 一年 の制 定 法に より 証拠 開 示目 的の 証言 録 取手 続 を導 入し たの は

︑州 最高 裁が 被 告 人に 無制 限の 証 拠開 示を 許容 す るこ とに なら な いか 懸念 を示 す 中で

︑州 議会 が 主導 的 役割 を果 たし た ため であ る︒ 一 九 六一 年の 法律 制 定か ら五 年間 の 実務 の状 況を 調 査し た︑ バー モ ント 州の ラン グ ロッ ク 弁護 士は 次の よ うな 調査 結果 を と りま とめ てい る32

︵一

︶ 証言 録取 手続 の 対象 とさ れた 証 人は

︑基 本的 に 警察 官か 目撃 証 人で ある こと

︵二

︶ これ らの 証人 に 対し 証言 録取 手 続を 行っ た 目的 は︑

① 一 般的 な証 拠開 示︑

② 証 人の 供述 を特 定の ス トー リー に固 定さ せる ため

③検 察官 に対 し てそ の主 張の 弱 点を 示す ため の 公式 の事 実を 提 供す る 試み

︑ま たは

④ 被告 人に 対し て 検察 官の 主張 の性 質 と強 さを 明ら かに す るた めに 公式 の事 実 を提 供さ せ る 試み

︑で あっ た こ と︒ 他方

︑⑤

﹁ 証拠 漁 り﹂ のた めの 利 用を うか がわ せ るも のは なか っ たが

︑取 調官 に 対す る尋 問に つ いて は

︑州 側が どの よ うな 証拠 を有 し てい るか にま で 及ぶ こと が通 常 であ り︑ その 結 果︑ 被告 人が 事 前に 把握 して い ない 情 報を 引き 出す こ とも あっ たこ と

︵三

︶ 法律 上︑ 被告 人 の証 言録 取手 続 を行 う権 利は 申立 てに 基 づき 裁判 所に よっ て 認 めら れる こと にな って いる が︑ 実 際に はこ の規 定 によ るこ とは ま れで

︑ほ とん ど の場 合が 当事 者 間の 合意 に基 づ き実 施 され てお り︑ こ うし た慣 行の 例 外は

︑警 察官 が 誤認 逮捕 の責 任 を問 われ る可 能 性が ある 場合 な ど︑ 証人 が賠 償 責任 を 問わ れる 可能 性 があ る場 合に み られ るこ と︒

︵四

︶ 証言 録取 手続 の 利用 は通 常︑ 比 較的 重い 事件 に限 られ る が︑ バー モン ト州 では 陪 審裁 判の 対象 事件 で ある

︑ 強い

米国刑事訴訟における証拠開示目的の証言録取手続(田淵)

(16)

争い のあ る交 通 犯罪 の場 合に も 利用 され てい る こと

︵五

︶ 調査 した 検察 官

︑裁 判官 およ び 弁護 人の うち

︑ 証言 録 取 手続 によ り公 判審 理に 至 る蓋 然性 が高 まっ た と 回答 した もの はひ とり も おら ず︑ 経験 の ある 弁護 士ほ ど

︑証 言録 取手 続 によ り公 判審 理 に至 る 蓋然 性は 低下 す ると 感じ てい る こと

︒そ の理 由 は︑ オー プン フ ァイ ルポ リシ ー によ り公 判審 理 に至 る蓋 然性 が 低下 す るの と同 様で あ り︑ 被告 人に 対 し推 測で はな く 知識 とし て検 察 官の 主張 を知 る 機会 を向 上さ せ

︑両 当事 者に 刑 事訴 追 を解 決さ せる 方 向に 作用 する こ と︒

︵六

︶ 当該 法律 の濫 用 に言 及し た者 は ひと りも いな か った こと

︒ 以上 の調 査結 果 に基 づき

︑ラ ン グロ ック 弁護 士 は︑ 刑事 証拠 開 示の 領域 での 反 対論 者 が唱 えて いた

︑ 証人 への 威圧

︑ 偽 証の 機 会の 増加

︑ 検察 官や 警 察官 への いや がら せ︑ 検察 官の 負担 増︑ 刑 事 司法 の運 営上 の費 用 の 増加 な ど の 諸々 の

﹁恐 ろ しい こと

﹂は

︑ バー モン ト州 の 経験 が示 すと こ ろに よれ ば︑ す べて が空 想で あ った と結 論付 け た33

︵2

︶ 権利 型へ の転 換 から 併用 型に 至 るま で その 後︑ 一九 七 三年 に刑 事訴 訟 規則 を制 定し た 際︵ 同 年一

〇月 一 日に 発効

︶︑ 同 規 則第 一五 条に おい て証 言 録取 手続 に 関す る規 定が 設 けら れた

︒制 定 法に 基づ く従 来 の実 務を 踏襲 し

︑正 式起 訴状 又 は略 式 起訴 状提 出後

︑ 所定 の期 間内 で あ れば 何時 でも 証 人録 取手 続を 行 うこ と がで きる こと とし た︵ 同条

︵ a︶ 項

︶︒ ま た︑ この 際︑ 検 察官 にも 証 言録 取手 続 の利 用を 認め る こと とし た︒ 検 察官 が被 告人 を 証言 録取 手続 の 対象 とす るこ と も禁 止 して いな いも の の︑ 被告 人本 人 の 同意 が条 件と さ れて いる

︵同 条

︵d

︶︵ 1︶ 項︶

︒制 定法 では 証 言録 取手 続の 開 始の た めに は裁 判所 の 命令 が必 要と さ れ てい た のに 対し

︑ 規則 は︑ 民 事 訴訟 の場 合と 同様

︑当 事者 によ る告 知だ け で開 始で き る こ と とさ れ た︵ 同条

︵b

︶ 項

︶︒ また

︑連 邦刑 事 訴訟 規則 第一 五 条に 倣い

︑資 力 のな い被 告人 のた め に︑ 州 が旅 費の 費用 を 負担 する 規定 を設 け︑

(法政研究 78‑3‑316 662)

(17)

権 利の 実質 化が 図 られ た︵ 同条

︵ c︶ 項︶

︒さ らに

︑ 証言 録 取 書の 証拠 使用 につ き︑ 従来 は弾 劾ま たは 反駁 目 的の 使用 に 限定 して いた と ころ

︑公 判時 に おけ る証 人の 利 用不 可能 性お よ び被 告人 の証 言 録取 手 続へ の立 会い の 機会 の付 与を 条 件 に︑ 実質 証拠 と して 使用 する こ とを 許 容 した

︵ 同条

︵h

︶項

︶︒ この よう に七 三年 規 則は

︑ 当事 者が 証言 録 取手 続を 利 用す る権 利を

︑ 以前 より も強 化 する 方向 で制 定 され た︒ 一五 条は

︑一 九 七三 年の 制定 か ら現 在ま でに

︑ 八二 年︑ 八四 年

︑八 五年

︑九 一 年お よ び二

〇一

〇年 と 五回 の改 正が 加 え られ た︒ これ ら のう ち八 五年 以 降の 改正 は︑ 証 人保 護や コス ト 節減 の観 点か ら 証言 録 取手 続の 利用 を 規制 する 方向 の 改 正で あり

︑と り わけ 九一 年改 正 は次 のと おり か なり 大幅 な改 正 とな った

︒ 第一 に︑ 軽罪 事 件に つい ては

︑ 当事 者間 の合 意 又は 明ら かに 正 当な 理由 に基 づ く裁 判 所の 許可 があ る 場合 を除 き︑ 証 言 録取 手続 の対 象 から 外 され た︵ 同 条︵ a

︶項

︑ e︶

︶項

︶︒ ま た︑ 再 度の 証言 録 取手 続︑ 複 数被 告人 に よる 二回 以 上の 証言 録取 手 続︑ 一定 の法 執 行官 の証 言録 取 手続 が︑ 正当 な 理由 に基 づく 裁 判所 の 許可 がな い限 り 禁止 され た︵ 同 条

︵e

︶︵ 1︶

〜︵ 3

︶項

︶︒ さら に︑ 医療 従事 者

︑精 神健 康専 門 職︑ ソー シャ ル

・ワ ー カー

︑カ ウン セ ラー 等の 被害 者 の 援助 者に 対す る 証言 録取 手続 に も制 約が 加え ら れた

︵同 条︵ g

︶項

︶︒ 第二 に︑ 証言 録 取手 続に 対す る 裁判 所の コン ト ロー ル権 限が 強 化さ れ︑ 被録 取 者を 困 惑や 威嚇 から 保 護す るた めの 保 護 命令 や証 言録 取 手続 を迅 速に 終 了さ せ る ため の手 続計 画の 措 置が 導入 され た︵ 同 条︵ a︶ 項︶

︒保 護命 令 には

①証 言 録取 手続 を当 該 手続 の日 時︑ 場 所及 び方 法に 関 する 条件 の設 定

︑② 書面 によ る 質問 へ の制 限︑

③質 問 事項 の制 限︑

④ 立 会人 の指 名︑

⑤ 証言 録取 記録 の 封印

︑⑥ 証言 録 取手 続の 禁止 等 の措 置を 含め る こと が でき る︵ 同条

︵ f︶

︵ 3︶ 項

︶︒ 第三 に︑ 被告 人 本人 が証 言録 取 手続 に物 理的 に 立合 うこ とは

︑ 正当 な理 由に 基 づく 裁 判所 の命 令が あ る場 合を 除き

︑ 禁 止さ れた

︒た だ し︑ 裁判 所が

︑ 証言 録取 書が 公 判で 実質 証拠 と して 使用 され る 合理 的 な蓋 然性 があ る と判 断す る場 合 は

︑正 当な 理由 が 認め られ る︒ ま た︑ 当該 規定 は

︑弁 護人 のい な い被 告人 につ い てま で 物理 的な 立会 権 を奪 う趣 旨と は

米国刑事訴訟における証拠開示目的の証言録取手続(田淵)

(18)

解 され てい ない

︒ なお

︑証 言録 取 手続 が公 判又 は 審問 にお ける 証 人の 証言 を保 全 する た めに 行わ れる と きは

︑被 告人 は

︑ 保 護命 令に 従っ て 証言 録取 手続 に 立ち 合う 権利 が 認め られ る︵ 同 条︵ b︶ 項︶

︒ 第四 に︑ 被録 取 者は 証言 録取 手 続の 当事 者と し ての 地位 を有 す るこ とが 明確 に され

︑ 弁護 士の 援助 を 受け る権 利を 含 め 手続 上の 権利 が 強化 され た︵ 同 条︵ f︶

︵1

︶項

︶︒ 第五 に︑ 一六 歳 未満 の者 及び 一 定の 性犯 罪の 被 害者 を﹁ 不安 定 証人

se n si tiv e  w it n es s

︶と し︑ これ ら の者 が被 録取 者 とさ れた 場合 の 保護 策を 強化 し た︵ 同条

︵f

︶ 2

︶項

︶︒ さら に︑ 二〇

〇 九年 法律 第一 号 第二 六条 によ り バー モン ト州 刑 事訴 訟規 則が 改 正さ れ

︑性 的虐 待の 被 害を 受け た未 成 年 者を 証言 録取 手 続か ら保 護す る ため の手 続が さら に強 化さ れた

︵二

〇〇 九年 七月 一日 発 効︶

︒具 体 的に は︑ 所定 の性 暴 力犯 罪の 被害 を 受け たと され る 一六 歳未 満の 未 成年 者は

︑当 事 者間 の合 意又 は 裁判 所 の承 認が ある 場 合を 除き

︑証 言 録 取手 続の 対象 か ら除 外さ れた

︵ 同条 一五 条︵ e

︶︵ 5︶ 項︶

︒ま た︑ 例外 的に 証 言録 取 を受 ける 場合 に 備え て︑ 不安 定 証 人の 範囲 が広 げ られ た︵ 同条

︵ f︶

︵1

︶項

︶︒ かつ

︑本 人弁 護 を行 って いる 被 告人 が 不安 定証 人に 対 して 直接 質問 す る こと を禁 止し

︑ 必要 的弁 護事 件 とし た︵ 同条

︵ f︶

︵4

︶項34

︒ 以上 に概 観し た よう に︑ バー モ ント 州に おい て は︑ 州議 会の 主 導に より 一九 六 一年 に 他の 証拠 開示 と 並ん で被 告人 の た めの 証拠 開示 目 的の 証言 録取 手 続が 創設 され た が︑ 司法 府が 当 初抱 いて いた 懸 念に 反 して

︑当 該手 続 の濫 用の 問題 は お こら ず︑ 逆に 早 期解 決事 件の 増 加に も結 び付 い た︒ 七三 年の 刑 事訴 訟規 則制 定 の際 に 権利 型に 強化 さ れる と同 時に

︑ 検 察官 によ る利 用 も認 めら れた

︒ しか し︑ 八五 年 改正 以降 は︑ 証 人保 護や 証言 録 取手 続 に伴 うコ スト 節 減の 観点 から 利 用 を規 制す る流 れ とな り︑ 特に 九 一年 改正 では

︑ 軽罪 事件 が原 則 対象 外と され た 他︑ 被 録取 者を 困惑 や 威嚇 から 保護 す る ため の保 護命 令

︑証 言録 取手 続 を迅 速に 終了 さ せる ため の手 続 計画

︑被 告人 本 人の 立 会権 の制 限等 の 措置 が導 入さ れ

︑ 今 日に 至っ てい る

(法政研究 78‑3‑318 664)

(19)

2 フロ リ ダ州 フロ リダ 州で は バー モン ト州 と は異 なる 背景 か ら︑ 権利 型の 証 拠開 示目 的の 証 言録 取 手続 が導 入さ れ た︒ フロ リダ 州 の 検察 官 は︑ 古 くか ら制 定法

︵フ ロリ ダ州 制定 法集 第 二七

〇四 条︶ に より

︑文 書提 出令 状を 含 む 罰則 付 き 召 喚令 状

su b p o en a

︶を 自ら 発 し︑ 証人 を強 制 的に 自己 の下 に 呼び 出し

︑宣 誓 の上 で尋 問す る 権限 が 与え られ てき た︒ 当該 権限 に 基づ き検 察官 は 訴追 だけ でな く 捜査 の役 割も 担 って きた こと か ら︑ しば しば 大 雑把 な 意味 で﹁ 一人 制 の大 陪審

o n e-

m a n  g ra n d   ju ry

︶﹂ と呼 ば れた り もし てき たと さ れる35

こ れに 対 し︑ 被告 人に は

︑一 九 六八 年刑 事訴 訟 規則

︵同 年一 月 一 日発 効36

によ り

︑証 拠開 示制 度

︵当 時の 一・ 二 二〇 条︶ の一 部 とし て証 拠開 示 目的 の 証言 録取 手続 が 設け られ た︒ 同 条

︵f

︶項 は︑ 裁 判所 が証 拠開 示 目的 の証 言録 取 手続 を命 じな け れば なら ない 要 件と し て︑ 被告 人が

①当 該証 人の 証 言 が公 判に おい て 重要 性若 しく は 関連 性を 持ち 得 るこ と︑ 又は 被 告人 の防 御の 準 備の た めに 有用 であ り 得る こと

︑及 び

② 当該 証人 が任 意 に署 名入 り供 述 書を 被告 人又 は 弁護 人に 交付 す るこ とに 協力 す る意 思 がな いこ とを 証 明す るこ とを 要 求 して いた

︒し た がっ て︑ 被告 人 のた めに も証 拠 開示 目的 の証 言 録取 手続 が導 入 され た とは いえ

︑検 察 官の 有す る強 制 的 証人 召喚 権と 比 較す れば 制限 さ れて いた

︒ 一九 七二 年に 刑 事訴 訟規 則が 全 面改 正 され

︵ 同年 二月 一日 発 効37

︑ その 際︑ 一

・二 二〇 条︵ f

︶項 か ら移 動 した 同条

︵d

︶ 項は

︑権 利強 化 の方 向で 抜本 的 な修 正が 加え ら れた

︒ま ず︑ 上 記② の証 人の 協 力意 思の 不存 在 の要 件は 削除 さ れ︑ 被 告人 は正 式起 訴 状又 は略 式起 訴 状が 提出 され た 後で あ れば 何時 で も︑

訴追 犯罪 に 関連 する 情報 を有 して い る可 能性 の ある 者﹂ に対 し

︑証 言録 取手 続 を行 える よう に なっ た︒ また

︑ 手続 的に も裁 判 所の 命 令を 不要 とし

︑ 権利 性が 強化 さ れ た︒ そし て︑ 対 象者 を証 言録 取 手続 の場 に出 頭 する こと を強 制 する ため に必 要 があ る 場合 にの み︑ 裁 判所 また は裁 判 所 書記 官に 罰則 付 き召 喚令 状︵

su b p o en a s

︶ の発 付を 請求 す るも のと した

︒ 七三 年規 則 が︑ な ぜ供 述書 面の 任 意提 出に 関 する 証人 の協 力 意思 の不 存在 の 要件 を削 除し た のか は不 明で あ る︒ また

︑裁 判 所の 命 令を 不要 とし た 理由 につ いて も

米国刑事訴訟における証拠開示目的の証言録取手続(田淵)

参照

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