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Academic year: 2021

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論文内容要旨

在職うつ病男性を対象とした集団認知行動療法の効果とその要因

精神医学講座 衛藤 暁美

近年、医療機関を受診する精神疾患患者数の増加とともに、気分障害に よる休職、離職者も増加している。うつ病の診断を受けて休職を要した職 業人が、改善して復職した後に再発し休職を繰り返すことが社会問題にな っている。その理由の一つとしてうつ病に特徴的な認知のゆがみに基づく 過活動や、対人関係上の困難などを発端とする疲弊などが考えられる。そ のため、うつ病に特徴的な非機能的な認知を修正し、自己・状況・将来に 対する新たなとらえ方や考え方(認知)を獲得することによって適応的な 問題解決方法を選択し、適切な自己主張を行える良好な対人関係を築くス キルを身に着けることを治療目標としている認知行動療法が着目された。

個人療法だけではなく、集団での効果も報告されており、本邦では集団認 知行動療法がうつ病患者の復職支援として実施されることが少なくない。

集団認知行動療法の効果の検討は行われているが、その効果の要因の検討 を行ったものは少なく、本研究では抑うつ症状、社会機能、非機能的認知、

復職状況の改善における要因を検討した。精神療法を集団で行う際の注意 点として脱落率の高さがある。本研究では脱落者はいなかったが、私たち が実施した予備的研究では計

2

クールの集団認知行動療法に参加したメ ンバーの半数近くが脱落する結果となった。予備的研究の解析結果から脱 落者は集団認知行動療法の場が発病時の職場体験の再現となるような心 理的負荷となった可能性や、集団精神療法の初期不安に耐えられなかった 可能性が考察された。そのため本研究では本人とプレ面接を行い、十分な 心理教育を行い、治療の動機づけを高める工夫をした。またスタッフミー ティングやスーパービジョンを行うことによって、スタッフが個々の参加 メンバーの概念化を共有し、集団力動を理解することによって参加メンバ ーの不安が高まりすぎないように配慮したことが脱落者ゼロの結果をも たらしたと考えられた。本研究の対象は

30

歳から

55

歳の大うつ病性障 害、気分変調症、双極Ⅱ型障害(現在、抑うつ状態)の診断基準を満たす 男性患者で、休職中、もしくは復職

1

ヶ月以内で、退職の見込みのない者 とした。先行研究ではスキーマや非機能的態度を表す

DAS

は改善しなか ったが、本研究では改善を示した。その改善要因として集団精神療法治癒 因子の「相手にどういう印象を与えるか学べたこと」、「情報

(2)

取得」が抽出され、非機能的認知に基づく態度の修正に、個人精神療法に はない、集団認知行動療法独特の治癒因子が作用した可能性が示唆された。

また、復職率が集団認知行動療法の終了時、終了後

6

ヶ月、終了後

12

ヶ 月と上昇し続けたことは不安を乗り越え集団認知行動療法をやり終えた ことが復職の予備練習になり、その後追跡調査を行うことで治療終了後も 実際の生活の中で繰り返し行動実験をつづけた結果、認知は改善し続けた と推察された。

参照

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