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映像情報メディア学会誌 Vol. 63,  No. 10,  pp. 1400〜1402(2009)

1400 (62)

知っておきたい キーワード

小 森 秀 樹

超解像技術

†NECエレクトロニクス株式会社 第一SoC事業本部 ASICソリューション事業部

"Super Resolution" by Hideki Komori (ASIC Solution Division, 1st SoC Operations Unit, NEC ELECTRONICS Corporation, kawasaki) キーワード:解像度,再構成型,学習型,画素補間,劣化画像

Keywords you should know. 第45回

超解像技術とは

超解像技術とは,動画や静止画の解 像度を上げる画像処理技術です.

そして解像度とは,どのくらい細か いパターンを解像できるかを示した限 界値を意味します.

例を図1に示します.解像されてい る場合は,右図のように線と線が分離 しており,ストライプがはっきりと認 識できます.解像されていない場合は 左図のように線間が潰れています.

超解像技術を活用すると,解像して いない画像を入力して,超解像技術で

解像の限界値を向上させ,より細かな パターンを表現した画像を生成するこ とができます.

実際に活用されてきたアプリケーシ

ョンは天体観測や衛星写真,顕微鏡な どに応用され,光学的なボヤケや解像 されていない映像に対してボヤケを改 善し,解像させ物体の認識や解析を行 うことを目的として使われています.

これらは,リアルタイム性があまり 重視されないアプリケーションのため,

時間をかけて処理をすることが許され,

主にPCやサーバで実行されます.

そして,超解像技術は古い画像技術 ということもあり,これまでさまざま な手法が提案されています.今回は代 表的な手法である学習型と再構成型の 説明をします.

学習型方式

図2に学習型超解像技術の概念を示 します.解像されているエッジパター ンに対して撮像プロセスで生じる劣化 をシミュレーションし,低解像画像を 生成します.それを何パターンも学習 し,データベース化します.

入力画像(低解像画像)のエッジを解 析し,学習したデータベースと照らし 合わせ,どのパターンと照合するかを 解析し,劣化前のパターンに置き換え ることで劣化画像を高精細化します.

この方式のメリットは,単数枚の画

像のみで実現ができることです.逆に デメリットは,大量のパターンをデー タベースとして蓄積する必要があるこ

とと,パターンに合わない場合に改善 が期待できないことです.

解像された画像から劣化画像を推定した 劣化パターンデータベースを事前に準備

入力画像(低解像画像) 結果画像(高解像画像)

劣化パターン データベース

置き換え結果を フィードバック

劣化画像 照らし合わせ

解像された画像

図2 学習方式型 解像している例

解像していない例

図1 解像について

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超解像技術

再構成型方式

再構成型方式は,幅広い製品に応用 されている超解像技術の一つで,複数 枚の低解像の画像から,高解像度の画 像を推定する技術であり,カメラが持 つ性能以上の高解像画像を推定し生成 する技術です.

この方式は,結果画像の破綻が少な く解像度の向上を行いやすいことが特 徴です.また,複数枚の画像を扱うた め,画像間での画素毎の位置合わせを 行う必要や複数画像データにアクセス するため,演算処理性能とメモリー容 量を要求します.

また,本方式では位置ずれの存在す る複数枚の画像を入力とすることが条 件となります.これにより,1枚では 得られなかった情報が,他のフレーム に存在している可能性が高くなり,そ れらの情報を寄せ集めることで,画像 の情報を増やし,高解像画像を生成す ることが可能になります.

図3に実際に超解像処理を行った合 成結果を示します.

図3(a)は5枚の入力画像の代表の1 枚で,図3(b)の結果画像と同じサイ ズになるように縦横それぞれ2倍に単 純拡大(1ドットを4倍)したもの,図 3(b)は,バイリニア補間で拡大した ものです.図3(c)は,5枚の入力画 像に対して,縦横2倍のサイズとなる ように再構成型超解像技術で処理した 結果です.超解像後の画像は,全体的 にボヤケが取れ画面全体にピントが合 った画像になり,細かなテクスチャ部 分が解像され,素材の質感が復元され ます.

再構成型超解像の概念を図4に示し ます.

ここでの目的は,各入力低解像画像 群(yt)と,推定する超解像画像(x)に 対して画像劣化をシミュレートするこ とで生成した低解像画像(zt)との誤差 を最小化するxを推定することです.

具体的には,実際に撮影された画像

(yt)と超解像画像の推定結果(x)を,

画質劣化の過程をシミュレーションし た画像(zt)と比較し,その誤差を推定 し,超解像処理結果にフィードバック していくことで,本来の画像を構成し ていきます.

上記処理を,入力画像枚数分・各画 素毎に推定します.

撮影過程をシミュレーション 実際の撮影過程

被写体

比較 → 差分(誤差)

超解像を推定した画像(x)

x → 画像劣化シミュレーション から得られた低解像画像群(zt

撮影で得られ た画像群(yt 誤差情報を

フィードバック

複数枚 撮影

(幾何変換・ボケ・

   ダウンサンプリング)

誤差値が 収束するまで

繰り返し 撮像過程の

画質劣化を シミュレーション

撮像過程でおきる 画質劣化

図4 再構成型超解像技術の概念図

(a)単純拡大(最近傍補間) (b)画素補間(バイリニア補間) (c)再構成型超解像

図3 超解像処理画像比較

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映像情報メディア学会誌 Vol. 63,  No. 10(2009)

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超解像技術

超解像の今後と応用

昨今,地上波テレビのアナログ放送 からデジタル放送へ移行が騒がれてい ます.ただ単に放送の方式がアナログ からディジタルに変わっただけではな く,放送される映像のデータ量も大き く増え,より緻密な映像を楽しむこと が で き ま す . ア ナ ロ グ 時 は S D

(720x480i)で放送されていましたが,

ディジタル化ではその約4倍のサイズ となります.

デジタル放送においても,放送すべ てのソースがHDではなく,SDソース をアップスケールして送信する場合も あります.これまでのスケーリングで あれば,画像がボヤケてしまうのが常 です.

応用例としては図5に示したように,

放送局側にある過去に蓄えられたSD フォーマット映像素材を,放送局側で 超解像技術にて高画質化することや,

家庭にあるDVD,ビデオテープのSD 素材を,再生時に超解像処理を行うこ とで,高精細なテレビの性能を最大限 に生かして楽しむことも,将来的には 実現できると考えられています.

また,図6の場合ビットレートを落 としてビデオデータを伝送すること で,トラフィックの帯域を抑え,再生 する側は超解像処理により,解像度を 改善した解像感のある映像を楽しむこ とも可能になると考えられています.

他にも,ディジタルカメラのディジ

タルズーム画質の改善や,監視カメラ の画質改善,車載カメラの視認性向上 など,画像を扱う装置やシステムに幅 広く応用が考えられます.

これらアプリケーションを実現する

ため,リアルタイム処理性能の向上や 半導体チップに搭載が行えるように,

省メモリー化やアルゴリズムの最適 化,演算効率改善の対応が課題となっ ています. (2009年7月2日受付)

ビデオサーバ

低ビットレートで送信

インターネット

受け手側:

超解像処理で高画質化 携帯電話回線

基地局

図6 超解像技術を応用した例(2)

インフラは HD/FullHD 対応

テレビ局 家庭

HD/FullHD 超解像

SD 素材

各家庭には

HD/FullHD 対応テレビが普及 再生時に 超解像

ビデオテープや DVD などの SD 素材

図5 超解像技術を応用した例(1)

小森こ も り 秀樹ひ で き 1992年,東京電機大学 工学部応用理化学科卒業.現在,NEC エレクトロニクス(株)にて,ASICを軸 とした画像や音声などを応用した技術開 発に従事.

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