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はじめに

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Academic year: 2021

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(1)

アルコール依存症関係機関 機能向上のためのマニュアル

厚⽣労働科学研究費補助⾦

(障害者対策総合研究事業(障害者政策総合研究事業(精神障害分野)))

アルコール依存症に対する総合的な医療の提供に関する研究 研究班作成

(2)

はじめに

アルコール依存症の回復には医療機関、精神保健福祉センターや保健所 などの⾏政機関、断酒会、DARCDrug Addiction Rehabilitation

Center)、AAAlcoholics Anonymous)、MAC (Maryknoll Alcohol.

Center)など当事者による⾃助団体、Al-Anonなど家族や友⼈などによる⾃

助団体などの関係機関が重要な役割を担っています。

その重要性は平成2411⽉から平成253⽉にかけて厚⽣労働省で開催 された「依存症者に対する医療及びその回復⽀援に関する検討会」でも指 摘されています。

そこで、アルコール依存症の関係機関の機能向上のための具体的な取り 組みとして、厚⽣労働科学研究において、アルコール依存症の関係機関の 機能向上に不可⽋な要素をアルコール依存症患者の視点から抽出するとい う研究を⾏いました。

この研究により、患者本⼈が医療機関に繋がるには、

①「最近、飲酒量が増えてきた」と⾃覚する。

②「家族関係が悪くなった」と⾃覚する。

③「まずいなと考えつつも飲酒を続ける」ようになる。

④「⽌めたいけど⽌められなくなる」ようになる。

⑤「家族に説得されてやっと受診する」ようになる。

という経過をたどることが明らかとなりました。

また、これら各ステージにおける関係機関の関わりについて「なるべく 早く関係機関に繋がる」ことの重要性が⽰唆されました。

これらの結果を踏まえ、関係機関の機能向上のためのマニュアルを作成 しました。

各関係機関に関わる皆様に、本マニュアルを活⽤していただき、アル コール依存症の予防、回復に役⽴てていただければ幸甚です。

(3)

各ステージにおける関係機関の役割①

「最近、飲酒量が増えてきた」

と⾃覚するステージ

このステージで関係機関に繋がろうと する⼈は極めて少ないと考えられます。

しかし、その後、アルコール依存症とな る可能性が⾼い⼈も多いことから、この ステージでアルコールに関する教育を⾏

うことが必要と思われます。

関係機関に関わる⽅が、保健所などと

連携し、⼀般の⼈たちへアルコール依存

症という病気の啓蒙活動を⾏っていただ

くことは、その後のアルコール依存症の

発症を予防するという点で重要な意味が

あります。

(4)

各ステージにおける関係機関の役割②

「家族関係が悪くなった」

と⾃覚するステージ

このステージで医療機関の受診をする

⼈は少ないと考えられます。しかし、こ のステージにいる⼈は、アルコールが問 題で、同じように家族関係が悪くなって しまった仲間の話は聞きたいと思ってい るようです。

関係機関に関わる⽅は、保健所などと 連携し、そのような悩みを抱えている

⽅々にお話をしていただくことは、その

後のアルコール依存症の発症を予防する

という点で重要な意味があります。

(5)

各ステージにおける関係機関の役割③

「まずいなと考えつつも飲酒を続ける」

ようになるステージ

このステージで⾃助グループに繋がっ ていれば良かったと考える⽅が多いよう です。つまり、このステージが実は関係 機関に⼀番繋がりやすい時期だと⾔えま す。

アルコール依存症と診断される前段階

の⼈に、関係機関の存在を周知し、でき

るだけ早く関係機関に繋がれることが重

要です。

(6)

各ステージにおける関係機関の役割

「⽌めたいけど⽌められなくなる」

ようになるステージ

このステージの⼈は、アルコール依存 症と診断されることへの不安が強く、医 療機関への受診に抵抗を⽰すようです。

この時期は無理やり医療機関を受診さ

せるよりも、関係機関の⽅がお話を聴く

などして不安を取り除き、できるだけ早

く関係機関に繋げることが重要です。

(7)

各ステージにおける関係機関の役割⑤

「家族に説得されてやっと受診する」

ようになるステージ

このステージにいる⼈は、実は医療機 関に繋がって「ほっとする」と感じられ るようで、この時期になるべく早く関係 機関に繋がれることが⼤切と思われます。

医療機関と連携をして情報の共有を⾏

い、可能な限り早急に関係機関に繋がる

体制を整えることが必要です。

(8)

より早く関係機関に繋がるために

関係機関との繋がりに関しては、研究の結果、次のような意

⾒が得ることができました。

§ もっと早い時点で、関係機関に繋がれたら良かったかもしれな い。

§ 医療機関から関係機関を紹介されたが、すんなりと訪問する気 にはなれなかった。

§ 関係機関ではどのようなことをするのかわからず不安を感じた。

§ ミーティングに⼀回⾏ってみて「これは合わないな」と感じた。

§ 初めてのミーティングの帰り際に「どうでしたか?」と声をか けてもらい気が楽になった。

このことからわかるのは、早い時点で関係機関に繋がること は⼤切だけれども、関係機関というものがどういうことをする ところなのかよくわからないために、利⽤を躊躇しがちだとい うことです。そのためには、関係機関がその活動を周知するだ けでなく、医療機関、⾏政機関などにもどのような活動をして いるかということを伝えていただくことが必要でしょう。

また、初めて訪問した⼈に対し、「ミーティングに参加して みていかがでしたか?」などのフィードバックを求めるなどし て、親しみやすい雰囲気を積極的に作っていただくことが⼤切 です。また、⾃助グループメンバー同⼠で「コミュニケーショ ンスキル」の練習なども有効かもしれません。

(9)

医療機関、⾏政機関との連携について

アルコール依存症の回復、予防について、関係機関だけでな く、医療機関、⾏政機関とも連携した活動というものはとても 重要です。

アルコールの問題を抱えた⼈が、より早く関係機関に繋がる よう、地域の医療機関、⾏政機関とともに情報収集、情報の共 有を⾏うことはとても有効かもしれません。

また、医療機関、⾏政機関が、アルコールの問題を抱えてい る⼈に関係機関での活動内容を伝えられるよう、⽇頃から医療 機関、⾏政機関と定期的に顔合わせを⾏うことも有効と思われ ます。

(10)

おわりに

今まで、アルコール依存症はなかなか回復に繋がりにくい病 気でした。

また、その回復には、医療だけでなく関係機関の果たす役割 が⼤変に重要であるにも関わらず、なかなか連携が取りにくい という実情がありました。

是⾮とも関係機関の皆さんにご協⼒いただいて、このような 状況を少しでも良い⽅向に変えていきたいと研究班⼀同考えて おります。

これからも、ご協⼒をお願い申しあげます。

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