臨床技術
論文受付 2011年 12 月 16 日 論文受理 2012年 9 月 21 日 Code Nos. 251 252ステントアシスト法を用いた未破裂脳動脈瘤コイル塞栓術後に
おける 3D-fusion 画像の有用性
栗山 巧
1坂井信幸
2新井田紀光
3古川 宗
4大西久美子
1三上朋子
1奥町英世
1今村博敏
2坂井千秋
5Importance of Three Dimensional-fusion Image after Stent-assisted
Coil Embolization of Unruptured Aneurysm
Takumi Kuriyama,1* Nobuyuki Sakai,2 Norimitu Niida,3 Hajime Furukawa,4 Kumiko Oonishi,1
Tomoko Mikami,1 Hideyo Okumachi,1 Hirotoshi Imamura,2 and Chiaki Sakai5 1Institute of Biomedical Research and Innovation Hospital: Radiation Technology Department 2Kobe City Medical Center General Hospital: Neurosurgery Department
3Siemens Japan K.K
4Kobe City Medical Center General Hospital: Radiation Technology Department
5Institute of Biomedical Research and Innovation Hospital: Neuro-Endovascular Therapy Department
Received December 16, 2011; Revision accepted September 21, 2012 Code Nos. 251, 252
Summary
Purpose: We made the fusion image of both stent and platinum coil after embolization of an unruptured aneurysm. Method: After scanning with cone beam computed tomography, we made three dimensional (3D) images of stent and coil and fused them. Conclusion: We can evaluate unruptured aneurysm after emboliza-tion by using a fusion image. 3D-fusion image is useful on clinical cases.
Key words: corn-beam computed tomography (CBCT), fusion, coil embolization, stent, aneurysm
*Proceeding author 緒 言 脳血管内治療である未破裂脳動脈瘤コイル塞栓術に おいて,大型脳動脈瘤(最大径 15 mm 以上)およびワイ ドネックな脳動脈瘤(ネック径 4 mm 以上またはドーム / ネック比 2 以下)は,不完全閉塞や coil compaction によ る再開通など根治的治療を得られない症例とされてい る1).これまでバルーンアシスト法,ダブルカテーテル 法などの手技の工夫やデバイスの工夫が行われてきた が,2010 年から脳動脈瘤のある血管内に自己拡張型ス テントである enterprise vascular reconstruction device (Codman 社,日本;以下,ステント)を使用することが 可能となった.このステントアシスト法は,脳動脈瘤コ イル塞栓術の新しい手技として普及し始めている.そ れによって,上記脳動脈瘤に対し,充填したコイルが母 血管へ逸脱することを防ぐ2, 3)とともに,脳動脈瘤のネッ ク近傍までコイルを充填することができるようにな り,不完全閉塞や再開通の低減に有用であることが期 待されている4).しかし,このステントは,頸部5∼7)や 心臓8),腹部9),末梢10)などに使用されるステントと比 較し,X 線透視下での視認性が極端に低いことが問題 となっている. 当センタでは,大型脳動脈瘤やワイドネックな脳動脈 瘤に対し用いる主なステント留置手技は,脳動脈瘤内 にマイクロカテーテルを留置した後,母血管にステント を留置し,プラチナコイルを瘤内に充填するジェイリン グ法11)である.また,動脈瘤コイル塞栓術を行う際 に必要となる血管の長軸方向から見たワーキングア ング ル(Fig. 1a)と血 管 の 短 軸 方 向 から見 た down
1先端医療センター放射線技術科
2神戸市立医療センター中央市民病院脳神経外科
3シーメンス・ジャパン(株)
4神戸市立医療センター中央市民病院放射線技術部
the barrel view12)(以下,バレルビュー)(Fig. 1b)が 重要となる.それらは,100%濃度の造影剤を使用 した three-dimensional-digital subtraction angiography (3D-DSA)によって得られる 3D 画像を用いて C アーム
の角度を決定する.
母血管に留置したステントは,循環器用 X 線診断装 置によって corn-beam computed tomography(CBCT)を 撮影することで,ステントの形状や屈曲(Fig. 2a)やス テントストラットの破綻,また,Fig. 2a で示す白点線 の領域内をバレルビューで見るとステント内腔の広がり (Fig. 2b)がわかる.さらに希釈造影剤を使用すること で,血管壁への圧着具合を視認することができる13, 14). しかし,コイル塞栓後に CBCT を撮影しても,コイルか らのメタルアーチファクトが強く,ステントとコイルの 接面を評価することは困難である(Fig. 3 黒矢印).
Fig. 1 The angle by 3D-DSA. (a) Working angle
(b) Down the barrel view angle
a b
a b
Fig. 2 The contrast enhancement of pre-CBCT image (MIP). (a) The stent in vessel by working angle
(b) The stent in vessel by barrel angle
Image of Fig. 2 (b) is the view that cut the 1.5 mm width of white point line from left side.
Fig. 3 The post-CBCT image (MIP).
In clinical case, we exported CBCT coil embolized aneurysm. But we can’t see stent by metal artifact of coil on MIP (arrow: stent).
そこで,われわれは,脳動脈瘤のある母血管の短軸 ネック部に留置したステントと脳動脈瘤に塞栓したコイ ルの位置関係を把握するため,コイル塞栓前に撮影し た CBCT によるステントの 3D 画像とコイル塞栓術後の コイルの 3D 画像を重ね合わせて作成する 3D-fusion 画 像の有用性の検討を行った. 1.方 法 1-1 基礎的検討 3D-fusion 画像作成において,3D 画像の重ね合わせ 方の精度を検証するため,脳動脈瘤に充填したコイル と母血管に留置したステントの接面を想定し,自作ファ ントムを作成した(Fig. 4a).ファントムは,弾力のある プラスチック[長軸:superior-inferior(SI)方向 55 mm, 短軸:right-left(RL)方向 20 mm,高さ:anterior-posterior (AP)方向 10 mm]の各面(Fig. 4b)を通るように外 径 0.25 mmの銅線を巻きつけ作成した.寝台上の空気中 にファントムおよび 2 枚 の 1 円 玉を 置き(Fig. 4a), CBCT(以下,pre-CBCT)を撮影した(Fig. 5a,c).その 後,模擬コイルとして約 1 cm3の銅線塊をファントムの 上部に乗せ(Fig. 4c),寝台を cranial 方向に 10 mm お よび right 方向に 10 mm,anterior 方向に 10 mm 動かし た 後,同 様 に CBCT(以 下,post-CBCT)を 撮 影し た (Fig. 5b,d 参照).CBCT の撮影条件を Table 1 に,画 像再構成条件を Table 2 に示す. Pre-CBCT の 3D 画像は,オパシティカーブの ramp を 使 用し window wide(WW)を 1700,window center (WC)を 1150 とした白色で銅線を表示した.Post-CBCT の 3D 画像は,オパシティカーブの trapezoid を使用し WWを 13500,WC を 7900 とした青と水色(各添付画 像では灰色)で模擬コイルを表示した.Pre-CBCT 画像 と post-CBCT 画像を重ね合わせ,3D-fusion 画像を作 成した(Fig. 5c,d).二つの画像の重ね合わせは,ワー クステーション syngo X-workplace(SIEMENS 社,ドイ
Fig. 4 The created phantom (digital image).
(a) The external view without phantom of aneu-rysm
(b) The external view with phantom of aneurysm (c) The distance of phantom
Fig. 5 The phantom of CBCT image. (a) The pre-CBCT image (RAO) (b) The 3D-fusion image (RAO) (c) The pre-CBCT image (lateral) (d) The 3D-fusion image (lateral)
a c
ツ)を用いて,multi planer reconstraction(MPR)表示し た pre-CBCT 画像に対し,2 枚の 1 円玉を基準点とし て,post-CBCT 画像を手動で RL 方向および AP 方向, SI方向の位置補正を行った. 解析ソフトウェアは,フリーウェアである ImageJ15)を 用いて,pre-CBCT 画像に対し,RL 方向および AP 方 向,SI 方向の銅線上にそれぞれ A 点,B 点,C 点を設 定(Fig. 5a,c)し,plot profile curve をそれぞれ描いた (Fig. 6a).同様に 3D-fusion 画像に対し A’ 点および B’ 点,C’ 点を設定し(Fig. 5b,d)計測した.Pre-CBCT の
3D画像の銅線部分の A 点および B 点,C 点における
plot profile curveから 基 準となる半 値 幅(X)を gray
valueにおける銅線部分のピークの高さ(Y)の半分の位
置となる幅から求めた(Fig. 6a).それぞれの点におい て,基準となる半値幅の計測を 10 回行った.同様に
3D-fusion画像の銅線部分の A’ 点,B’ 点,C’ 点におけ
る plot profile curve の半値幅を計測し,基準とした半 値幅との差分を求め,重ね合わせの精度とした. 有意差検定は,4 step エクセル統計16)付録の Excel ア ドインソフト Statcel ver.2 を使用して,スチューデント の t 検定を用いて危険率 5%に定め,A 点および B 点, C点に対して検定を行った. 1-2 臨床例に対する検討 Fig. 1 に示す 3D-DSA によって得られたワーキングア ングルを用いて,マイクロカテーテルを瘤内に留置し, ステントを母血管に留置した.その後,コイルを充填す る前に CBCT(以下,pre-CBCT)を撮影した.Pre-CBCT は,ヨード含有量 300 mgI/ml である造影剤イオパミ ドール 300 注[バイエル薬品(株),日本]10 ml に対し生 理食塩水 60 ml で 7 倍希釈し,インジェクタ[根本杏林 堂(株),日本]に準備する.インジェクタを用いて X 線 delay timeを 4.5 秒に設定し,1 ml/s で 20 秒間持続注 入しながら撮影した.また,コイルを充填した後にも同 様に CBCT(以下,post-CBCT)を撮影するが,造影剤は 使用しない.ステントとコイルの関係は,脳動脈瘤のあ る血管の短軸ネック部において内腔がはっきりと確認で きる バ レ ルビ ュー で 評 価し た.Maximum intensity projection(MIP)表 示 し た pre-CBCT 画 像(Fig. 7a)と
MIP表示した post-CBCT 画像(Fig. 7b)は,蝶形骨洞
および師骨洞周りの骨を基準点として,手動で RL 方 向および AP 方向,SI 方向と回転による位置補正を行 い重ね合わせた(Fig. 7c).それぞれの WW と WC を 調整後,カッティング機能を用いて骨などを削除し,
pre-CBCT画像からステントの 3D 画像(Fig. 7d)を,
post-CBCT画像からコイルの 3D 画像(Fig. 7e)を抽出し
た.ステントの 3D 画像とコイルの 3D 画像を手動で重 ね合わせ 3D-fusion 画像を作成(Fig. 7f)した. 当センタの臨床研究に関する倫理指針は,当センタ の倫理委員会によって作成されており当センタにおける 診断画像や患者情報についての取り扱いを病院受付の 壁および患者の目に付きやすい場所に掲示している. a b
Fig. 6 The plot profile curve. (a) The pre-CBCT image (b) The 3D-fusion image
患者情報の取り扱いについては,当センタの患者個人 情報保護規程マニュアルを尊守し,掲載している画像 については非連結匿名化を行っている. 2.結 果 2-1 基礎的検討 Fig. 8a に示す模擬コイルのないファントムを撮影した pre-CBCT画像は,WW および WC を調整することで銅 線をきれいに描出することができた.しかし,Fig. 8b に 示す模擬コイルのあるファントムを撮影した post-CBCT 画像において,模擬コイル直下の RL 方向の銅線は,メ タルアーチファクトによって消えてしまい確認できな かった.そこで,post-CBCT 画像は,WW および WC を調整し,コイルのみをきれいに描出することとした.
Fig. 7 The method of making 3D-fusion image. (a) The pre-CBCT image
(b) The post-CBCT image
(c) The fuse pre-CBCT image and the post-CBCT image (d) The 3D-stent image by MIP
(e) The 3D-coil image by MIP
(f) The 3D-fusion opacity of 3D image (stent 75% and coil 25%)
Fig. 8 The image from short axial. (a) The pre-CBCT image (b) The post-CBCT image (c) The 3D-fusion image Arrow: the part of copper line
そして,pre-CBCT 画像と post-CBCT 画像の 3D-fusion 画像を作成することによって(Fig. 8c),模擬コイルの アーチファクトは軽減でき,模擬コイル直下の RL 方向 の銅線を確認することができた. 各方向の基準とした半値幅は,A 点が 0.55±0.03 mm (平均 ± 標準偏差)および B 点が 0.71±0.04 mm,C 点 が 0.76±0.08 mm であった.各 方向の 3D-fusion 画 像の半値幅は,A’ 点が 0.69±0.09 mm および B’ 点が 0.74±0.08 mm,C’ 点が 0.81±0.14 mm であった.A 点と A’点の半値幅の間には有意差(p<0.001)があり,B 点と B’点の間には有意差(p=0.373)がなく,C 点と C’ 点の 間にも有意差(p=0.378)がない結果となった(Fig. 9).重 ね合わせの精度としたそれぞれの差分は,A 点と A’ 点 の間において 0.14±0.06 mm,B 点と B’ 点の間において 0.03±0.04 mm,C 点と C’ 点の間において 0.05±0.06 mm であった. 2-2 臨床例に対する検討
Fig. 10a に示すコイル塞栓後の DSA 画像は,Fig. 1 に示した症例であり,内頸動脈の床上部眼動脈近傍に 上向きに発症した脳動脈瘤である.この脳動脈瘤は, Fig. 1bに示すように母血管に覆い被さる形で存在して いることが確認できる.そのため,ワーキングアングル から見ると母血管にコイルが逸脱しているように見え る.しかし,3D-fusion 画像によって脳動脈瘤のある母 血管の短軸ネック部に留置されたステントは,母血管腔 を確保し,脳動脈瘤と考えられる母血管周りにコイルが 充填されていること(黒矢印)が確認できた(Fig. 10b). Fig. 11a に示すコイル塞栓後の DSA 画像は,内頸動 脈の床上部眼動脈近傍に外向きに発症した脳動脈瘤で ある.コイル塞栓術終了時に最後に充填・離脱したコイ ルが,マイクロカテーテルと一緒に瘤外へと逸脱した. しかし,その逸脱したコイルは,3D-fusion 画像を作成 することでステントの外側であり血管壁の内側(以下, ジェイル腔)にあると判断できた(Fig. 11b 黒矢印). Fig. 12a に示すコイル塞栓後の DSA 画像は,内頸動 脈の床上部眼動脈近傍に外向きに発症した脳動脈瘤で ある.コイル塞栓術の手技中,DSA によるワーキング アングルおよびバレルビューではコイルの逸脱を確認で きなかったが,3D-fusion 画像によってステントストラッ トからコイルが血管内腔に逸脱していることが確認でき た(Fig. 12b 黒矢印).
Fig. 9 The measurement of RL axis and AP axis and SI axis on the FWHM of pre-CBCT image and FWHM of 3D-fusion image.
X direction is A point and A’point in Fig. 5. Y direction is B point and B’point in Fig. 5. Z direction is C point and C’point in Fig. 5.
Fig. 10 Clinical case 1, coils in an aneurysm after coil embolization.
(a) The DSA image by working angle
(b) The fusion image by barrel view on the part of neck on short axial
Arrow: the coil is in aneurysm
3.考 察
3-1 基礎的検討
3D-fusion 画像は,pre-CBCT 画像と post-CBCT 画像 の WW,WC をそれぞれ独立して調整することでステ ント(基礎実験では銅線)およびコイルを描出することが できる.そして,それぞれの 3D 画像を精度よく重ね合 わせることが重要となる.そこで,基礎的検討では pre-CBCT画像と post-CBCT 画像の重ね合わせの精度につ いて検証するため,ファントムの 3D-fusion 画像を用い て各方位に配置した銅線の半値幅を解析した. 3D 画像の画像 再 構成条件である voxel size は, 0.25 mmの銅線を描出することを目的としているため 0.11 mm とした.C アームで撮影する CBCT の modulation transfer function(MTF)は, 一 般 的 な multi detector
computed tomography(MDCT)よりも特に高コントラス
トの信号では明らかに分解能が高いとの報告17)がある.
そのため,画像再構成をする際に,flat panel detector (FPD)の物理的解像度である 0.154 mm/pixel よりも小 さな voxel size である 0.11 mm は,実際の物理解像度 より小さく妥当であると考えられる. 今回使用したワークステーションの機能には自動で 画像の重ね合せを行う方法もあるが,本検討では, pre-CBCT画像と post-CBCT 画像の重ね合わせは,手 動による手法を用いた.ソフトが自動で行う重ね合わせ には,いくつかの成熟された手法18)がある.しかし,重 ね合わせの精度に関しては手動の方が高く,自動によっ て重ね合わせた画像の最終確認を手動で行うことに よって精度を高くするとの報告19)もある.本検討におい て,A 点と A’ 点の間の差分は,0.14±0.06 mm であり, B点と B’ 点の間および C 点と C’ 点の間の差分に比べ ると値が大きかった.つまり,A’ 点の重ね合わせの精 度は,他 2 点と比較すると低いといえる.しかし,それ は,3D-DSA 画像の再構成における歪み17)であるとも目
測による plot profile curve を解析する際の誤差であると も考えられる.基準とした半値幅 A 点と 3D-fusion 画像 における半値幅 A’ 点とには有意な差があるものの, FPDの物理的解像度である 0.154 mm/pixel 以下である ことから,本検討における 3D 画像の重ね合わせは,手 動で行っても十分な精度が得られていると考える. なお,銅線の半値幅計測において,CBCT は FOV の
Fig. 11 Clinical case 2, part of coil in jail after coil embolization.
(a) The DSA image by working angle
(b) The fusion image by barrel view on the part of neck on short axial
Arrow: the coil is in jail
a b
a b
Fig. 12 Clinical case 3, part of coil in stent after coil embolization.
(a) The DSA image by working angle
(b) The fusion image by barrel view on the part of neck on short axial
点が 0.71±0.04 mm,C 点が 0.76±0.08 mm であった.銅 線(0.25 mm)よりも大きい焦点サイズ(0.30 mm)による 投影像のボケおよび回転中心と FPD 間の距離の拡大 率が足されることで,各点の基準の半値幅は,銅線の 真値である 0.25 mm よりも大きな値になったと考えら れる. 3-2 臨床例に対する検討 臨床での 3D-fusion 画像を作成する場合,pre-CBCT 撮影による 3D 画像としてのステント描出が必須とな り,撮影時の造影方法は重要となる.本手法での pre-CBCT撮影は,7 倍希釈の造影剤を使用している.しか し,撮影時にガイディングカテーテル内に DSA などで 使用した 100%濃度の造影剤などが混入した場合は, 3D画像再構成された血管はいびつな形17)となり,ステ ントの描出不良の原因となることもある.そこで,イン ジェクタによる注入時の X 線 delay time を 4.5 秒とする ことで,どの症例に対してもステントの 3D 画像の描出 を一定の程度とすることが可能となった. 臨床での 3D-fusion 画像として重ね合せをする場 合,変形するものではない剛体モデルである蝶形骨洞 および師骨洞周りの骨を基準点としている(Fig. 7).そ のため,得られる 3D-fusion 画像について,位置関係に ずれが生じる可能性は少ないと考える.しかし,本手法 によって評価する対象は,ステントの 3D 画像とコイル の 3D 画像であり,それらは脈動などによる動きをもつ 柔体モデルとなる.そのため,充填したコイルによる脳 動脈瘤の形状変化や脈動による血管の動きなどによる 経時的な変化を要因としたずれを考慮する必要性があ ると示唆される.つまり,Fig. 10b に示す 3D-fusion 画 像は,短軸ネック部において充填したコイルとステント の位置関係にずれがあるように見える. 本手法で得られる 3D-fusion 画像は,WW と WC が 異なる画像である.特にコイル塞栓術後においては,コ イルからのメタルアーチファクトが強いため,オーバー WCを独立して調整ができることから,最適な WW お よび WC の状態でコイル近傍におけるステントの視認 性を損なうことなく表示できると考える. また,母血管にステントを留置することで血流の整流 効果が期待されるとの報告23)がある.しかし,その一方 で,コイル塞栓術後にステントストラットから血管内腔 にコイルが逸脱した場合(Fig. 12b)は,血管内腔の異物 とみなされ血栓ができやすくなる.そのため,ステント とコイルの 3D-fusion 画像は,コイルによるステントへ の影響や血管内腔へのコイル逸脱,ジェイル腔へのコ イル迷入を確認できることから,予後を推測するにも臨 床的に必要不可欠な支援画像であると考える. 4.結 語 ステントアシスト法を用いた脳動脈瘤コイル塞栓術で は,ステントの 3D 画 像 とコイル の 3D 画 像 による 3D-fusion画像は,脳動脈瘤の短軸ネック部において, コイルによるステントの圧排具合およびジェイル腔への コイルの迷入,母血管へのコイルの逸脱をほぼ正確に 把握することができる可能性が示唆された. ただし,本検討では脈動による血管の動きやコイル による脳動脈瘤の変形に対し,重ね合わせをする際に 生じる可能性のあるずれに対しての検証は行っていな いため,3D-fusion 画像を作成する際の留意点とし,今 後の検討課題としたい. 謝 辞 この論文を執筆するにあたり,有益な議論とご指導 をいただいた西記念画像検診クリニックの久保和広氏 および先端医療センター分子イメージング研究グループ の西田広之氏に深く感謝致します. 本報告の要旨は,第 26 回日本脳血管内治療学会総 会(2010 年 11 月,小倉),第 67 回日本放射線技術学会 総会学術大会(2011 年 4 月,横浜)にて発表した.
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Fig. Post-CBCT画像(MIP表示) コイル塞栓術後にCBCTで撮影した.しかし,MIP表示では,コイルのアーチファクトによってステントが確認できない. 矢印:ステント Fig. 4 自作ファントム(デジタル写真) (a)模擬脳動脈瘤のない外観図 (b)模擬脳動脈瘤のある外観図 (c)ファントムの方向 Fig. 5 ファントム画像における(CBCT画像) (a) Pre-CBCT画像(左前斜位像) (b)3D-fusion画像(左前斜位像) (c) Pre-CBCT画像(側面像) (d)3D-fusion画像(側面像) Fig. 6 Plot profile curve
(a) Pre-CBCT画像 (b)3D-fusion画像 Fig. 7 3D-fusion画像の作成の仕方 (a) Pre-CBCT (b) Post-CBCT (c) Pre-CBCTとpost-CBCTの画像を重ね合わせた画像 (d) MIP表示したステントの三次元画像 (e) MIP表示したコイルの三次元画像 (f)3D-fusionの表示割合(ステント 75%,コイル 25%) Fig. 8 短軸方向から見た画像 (a) Pre-CBCT (b) Post-CBCT (c)3D-fusion画像 矢印:銅線の部分
Fig. 9 各方向におけるpre-CBCT画像の半値幅と 3D-fusion画像の半値幅
X方向は,Fig. 5におけるA点およびA’点である.Y方向は,Fig. 5におけるB点およびB’点である.Z方向は,Fig. 5に おけるC点およびC’点である. Fig. 10 コイル塞栓術後,塞栓したコイルがステントを圧排した症例 (a)ワーキングアングルのDSA画像 (b)短軸ネック部におけるバレルビューの 3D-fusion画像 矢印:瘤内コイル Fig. 11 脳動脈瘤内に塞栓したコイルがジェイル腔に逸脱した症例 (a)ワーキングアングルのDSA画像 (b)短軸ネック部におけるバレルビューの 3D-fusion画像 矢印:逸脱したコイル Fig. 12 脳動脈瘤内に塞栓したコイルがステント内腔に逸脱した症例 (a)ワーキングアングルのDSA画像 (b)短軸ネック部におけるバレルビューの 3D-fusion画像 矢印:逸脱したコイル Table 1 CBCTの撮影条件と画像収集条件 Table 2 3D画像再構成条件 問合先 〒 650-0047 神戸市中央区港島南町 2-2 先端医療センター放射線技術科 栗山 巧