606
大腸菌に対する4 OxydipkefiySatkerの作用に就て
金沢大学医学部日置内科牽教室(主任日置陸奥夫教授)
小 島 博
Hiroshi五回忌α(昭和25年6月 7日 受倒寸)
緒 大腸菌感染は執拗なる臨床症1伏を呈し從來 医家の処置に窮するものであったが,近來 Streptomycinその他の抗生剤の出現,一方には Phenothiazin, Furacin誘導体等;が有効であると の報告があって,之に対する処置の方途が開け て出た様に思はれる.而も最近叉もや別種の化 合物4−OxydiphenylLitherの大腸菌に対する彊 力な作用を主張する報告が泰西に現はれたが,
之より先我教室に於ても渡辺は「腸チフス・パ ラチフス菌に対する実験治療学的研究」に於て 同菌に対する数種のDiphenylather誘導体に就 て槍索をなし,被:温血血中では独り4−Oxydi−
phenylatherが優れて殺菌力彊く,4−Am圭nodi−
phenyl蕊ther j 4−Acetyldiphenylatherが之に次ぐ と云ふ結果を得,更に後当教室上井は赤痢菌に
言
対する同種化合物の発育抑制作用及び殺菌作用 を醜してその成績に就て夫々述べる所があっ た.其処で今若し4−Oxydiphenylatherのかx る作用に於て之宇瓦菌に対しそれぞれ異なる成 績を示すであらうならば,独り本化合物の抗菌 性を問題となし得るに止らす,その結果は亦之 要心菌の鑑別培養にも利用せられ得るであらう 事が充分に予想せられて良い.即ち著者は此の 逆な意図の下に諸種のDipheny】atherの大腸菌・
チフス・赤痢諸菌に及ぼす影響を改めて検索し,
特に4−Oxydipheny】蕊therの大腸菌・チフス菌.
パラチフス菌に対する発育阻止力の差異を利用 してチフス菌・パラチフス菌の槍出を簡便なら しめんとする努力を試みて見たので,今その成 績を鼓に録せんとする次第である.
実
A.大腸菌保存株に対するDiphenylather誘 導体の作用
1)実験方法
a)菌種:金沢大学医学部細菌学敢室に於て分離継 代培養申の大賜菌保存株の分与を乞ひ,塞天培地より 1白金耳を,pH 7・2の肉汁5・Occに移殖,37・0。Cに て2日間増菌せるものを使用した.
b)供試藥物:当日置内鼠教室に於て合成した以下 のDiphenylather誘導体を使用した,
1) 4−Oxydiphenylttther 2) 4−NitrodiphenyMther
3) 2,2 一Dinitrodiphenylnther 4) 2,4一一Dinit rodiphenyltither験
5) 4,4ノー1)initrod量phenア職ther 6)3−N三tro−4−oxyd圭phe町1蕊ther
7)4−Am五蹟odiphepyl飢her
8) 4−Acetylaminodiphenylzather 9) 4−Caprylaminodipheny]ather 10) 4一一Laurylaminodiphenylather 11) 2−Nitro一一4i−aminodiphenyltither 12) 2一一Laurylamino−4−nitrodiphenylather 13) 4一一Nitro一一4 一一aminodiphenylttther 14) 4−1tr,T41t ro−4 一一caprylaminodiphenyMther 15) 3−Nitro−4−aminodiphenyllither 16) 4−Acetylamino−JO 一nitrodiphenylather 17) 3−Nitro−4−laurylam{nodiphenylEther[ 34 ]
大腸菌に対する4−Oxydiphenylatherの作用に就て 607
18) 4−1]aurylamino−3一一aminodiphenylather
c)試験方法;供試藥物を1%に含有する水晶はア ルコール溶液0・2ccをpH 7・2のO・5%肉汁0・8cc に添加して500×液を作成,同標にして原液0・1ccを
肉汁0.9cc;1.9cc;2.9cc;…9・9cc;10.9ccに添加し て夫々10CO x;2000 x;3000 × ;…10000×;11GOO×
の稀釈液を得た。その各k 1・Gccにa)に於て作成 した大腸菌浮游液1滴を加へ37・O。C 2 日間培養,菌 の壇殖如何を観察し,更に各管より1滴を新鮮な同肉 汁1・Occに移植し,同じく37・0。Cに2日間培養して
殺菌力の如何を槍した.供用肉汁の滅菌は総:てユ00。C
30分とし,1日に1回,3日間繰返した.以 下阻止倍 数,殺菌倍数と称するのは夫k菌の壇殖を見る事がな かった最大廓釈倍数に椙博する.
2)実験成績
成績は次表に総括してみる.之を要するに,
保存大腸菌株に対する作用の最も優iれたのは 4.Oxydii)henylSther−6・あって,その菌発育抑制 力は1eOOO×殺菌力は4000 xで,4−Aminodi−
phenylatherが之に継ぎ抑制力7000 ×i殺菌力 3000×と云ふ成績を示した.
No.
ユ
物 質
4一 Oxydipheny!ather
1
2 14−Nitrodiphenylather
3
4
5
6
7
8
9
10
2,2 一Dinitrodiphenylather
L
2,4 一Dinit rodiphenylather
構 造
式〈二〉一・《二〉・H
〈二〉一・一〈二>N・・
r rM Nroi … No2
4,4 一Dinitrodiphenylather
3−N it ro一 4−oxydiphenyl−
ather
4−Aminodipheny]ather
4一一Acetylaminodiphenyl一 邑ther
4−Caprylaminodiphenyl一
蕊ther4−1.aurylaminodiphenyl一 鼓ther
し、、}2−N ・・び輌 ・・d p・…1−
1銭th・・.
!一×.一〇一一/ N
L/
×一/
NO2
NO2〈:〉一〇一〈=〉
N・・〈二〉…⊂>N・s
NO2
〈1一>t−o一〈:>oH
〈=〉…〈二〉曲・
〈二〉一・一く⊃・NHC・CH・
〈=〉一〇一〈IIIIII>)gTLHcocq,Hig
〈:>Nony.〈=>NHCOCItH23 NO2
NH2〈=〉一〇一〈=〉
12 2−Laurylamino−4−
nitrodiphenylttther
NIICOCIIS/ll,.3
〈=〉一〇・一一〈=>NO2
阻止倍数
10000 ×
殺菌倍数
4eoo ×
L
一 1〈soo x
一!
×
7000 ×
3000 ×
×
1000 ×
x
×
〈soe ×
〈500 ×
〈500 ×
3000 ×
2000 x
く50叡
×
500 ×
x
[ 35 ]
608
小
島13
14
15
4−Nit ro−4 一aminodiphenyl一 邑ther
4−N itro−4Lcaprylamino−
diphにny1飢her
3−Nit ro一一 4一 aminodiphenyl一 斗ther
16 1 {TillCetY.iar}iino−3 一nitro.
{d量phenyl翫the「
17
18
3−Nitro−4一一]aurylamino−
diphenylather
4−Laurylamino一一3−amino−
diphenylather
NII2〈:〉一 O 一〈:>NO2
NHC OCg, Hlf〈=〉 一一一 O 一一一 〈:一 >NO,,
NO2
〈一一 :一〉一〇一一〈:>MI2
画σ2
〈=〉一・一く⊃dHNC・cH・
NO2
〈一一〉一〇.一..〈=>NIICOCIIH23
NH2
く=》・一<=>M・C・C1・H・・
〉く
3000 ×
1000 x
く5000x
×
く500x
2000 x
〈500 x
500 ×
註)1)<500×:500xよむ少なるを示す.
2)==結晶析出による混濁のため判定困難.
3)x=水及びアルコpルに不溶のため槍査不能.
B.4−Oxydiphenylatherの保存大腸菌・チフス 菌・パラチフス菌・赤痢菌に対する作用の比較 1)ブイヨン中培養比較成績
前記に於て著者は被槍D{phenyl且ther誘導体 申では4−Oxydipheny15therカミ大腸菌に対して 比較的強い作用を有するのを知った.本化合物
はその雪水に可溶匪であるから万一利用せられ るものがあるとすれば殊に便利な物質である.
本物質が大腸菌及び腸内病原菌に対して果し て如何なる作用の差異を呈するかに就ては,前 述の成績を渡辺,上井のチフス菌・赤痢菌(志賀 菌)に対する成績に比較すると次の檬である.
菌 種 阻止倍数 殺菌倍数
大腸菌
10000 × 4000 ×
赤面チフス劇繍刻繍フ
4000 × 4eoo ×
4000 × 2eao ×
400e × 20eo ×
40GO x 2000 ×
即ち如上の成績を信ずるならば,本化合物の 之一項菌に対する作用中最:も二大なの.は大腸菌 に対してS ある.著者は此処に着目して,次の 各種の条件に於けるその作用を夫々比較考察し
た。
2)下天培地上培養比較成績
pH 8,0の05%肉汁寒天培地を作成,之に
4一・Oxydiphenアlatherの100 x水溶液を1:119;
1:109; 1:10 ; 1:99; 1:94; 1:89; 1:84; 1:79」
1:74;の割合に添加し,夫々4−Oxydipheny]芭ther
を「 12000xJ 11000Jx lO500x3 10000x3 9500 xj 9000 × ;8500x;8000×17500xに含有 せる寒天培地を作成,滅菌,李板となし各種菌 の保存株を移植,37.0。C.48時闇培養したとヒ ろ下表の如き成績を得た.
3)小 括
勿論実験条件に依って化合物の示すと■ろの 細菌に対する発育抑制力・殺菌力は相違すると とろ大なるものがあるが,大休晶晶菌株では 4−Oxydiphenylatherの藥物作用はチフス菌・パ
[ 36 )
大腸菌に対する4一一〇xydiphenylatherの作用に就て 609
隷
1:12000 1:nooe 1:10500 1:10000 1:9500 1:goeo 1:8500 1:8QOO 1:7500TII 十 十 十 十 十
TO
十 十 十 十
± P.A.
十
十 十 十 十 十 十 士
P.B.1 S
十 十 十 十 十 十 十 十 十
十
KLA
十 十
KBi iKBm
十 十 十 十 十 十 土
十 十 十
C
十
±
TH:チフス菌H型 TO:チフス菌0型 P・A・ :パラチフス菌A型
:P.:B.:パラチフス菌:B型
S:赤痢志賀菌 1(A=赤痢駒込A型菌 KBI:赤痢駒込BI型押 KBm=赤痢駒込BIII型菌 C:大賜菌
ラチフス菌に対するより明らかに大腸菌に対し て強く現はれてるる.
C.4−Oxydipheny】三ither含有二天培地上人糞 内大腸菌等の発生歌況
前述の成績に依れば4−Oxydiphenyl巨therを
:普通一天培地に適当な濃度に含有せしめたなら ば簡軍に大腸菌の発生を阻止し得べき筈であ る.此の様な培地が実際人糞中の大腸菌を如何 様に抑制し得るであらうか.叉その場合に於 て,他種の腸内菌が如何様に増殖し來るであら
うか.之等を観察せんとして次の実験を行っ た.即ち,前章に述べたと同様の方法に依って 4−Oxアdipheny】atherを種々の割合に含む寒天培 地を作成,準板とし,その上に外來検便患者よ りの糞下を少量の水にといた物を極く少量塗抹 し,37.0。C 2日聞培養後集落の有無を槍したと tろ下表の如き成績を得た,
但し上記集落中には大腸菌集落のみならす各 種の球菌及びアルカリ性糞便菌と思はれる桿菌 に依る集落も相当数に含まれてみた.又上表で
1含有量
集落発生例
割合(%)
1:12000
100
1:11000
100
ユ1105CO
., 1 eo
i:ioooo l ].:gsoo
60 50
1:9000
50
1:8500
40
1:8000
25
1:7500
15
は仮令集落の発生数が一二板上只1個でも之を 陽性として挙げたのであるが,無論藥物の作用 に依って個々の雫板上の集落数は普通肉汁塞天 上に於けるより遙かに凹く,例へば1:10000二 物含有手板上では僅かに0〜30個の程度を算し たに過ぎない.併しとに恥く藥物の含:量が之よ
り低下すればする程菌集落発生(大腸菌をも含 め)の率を増加したのであるから,之に依って みるも人糞内大腸菌は保存株とは著しくその活 力を異にする事を知るに至ったのである.
D.4−Oxydiphenylather並びに2,4−D三brom−
6−nitrophenolkalium含有回天培地上に於けるチ フス菌・パラチフス菌・大腸菌保存株及び人糞内 大腸菌等の発生域績
箪に4−Oxydiphenyl蕊therのみを含有せる寒
ptm..op,..E
天培地では上記の如く相当数の球菌集落の発生 を認めたので4−Oxydiphenyl蕊therに更に2,4−
D1brom−6甫itrophenolkaliumを寒天培地に含有 せしめ,之に依ってチフス菌・パラチフス菌と 大腸菌の発育にそれぞれ差異を保有せしめた上 に,人糞内諸雑菌の発生を更に稀ならしめ得る か否かにつき槍回したところ下表の如き成績を
.得た.因に上記2,4−Djbrom−6−nitrophenolkal{um は.黄色葡萄朕球菌に対して1:76800稀釈に於 て之が発育を阻止し得た。但し大腸菌の発育に 対しては1=2000含有寒天培地上に於ても之を
:全然抑制し得なV・.
1)1:11000,4−Oxγdiphenア翫her含有塞天培 地に各種濃i度に2,4・Dibrom−6−nitrophenolkaliUm を含有せしめたる成績
[ 37 )
610
小
島.ぱ 1:60000 1:50000
1:40000 1:30000 1:20000 1:lsoeo 1:10000 1:5000 1:4000T.H.
十 十 十 十 十 十 十 十 十
rr . O・
十 十 十
十 十
十 十 十十
P.A.
十,
十 十 十 十 十 十 十 十
P.B.
十 十 十 十 十 十 十 十 十
。.
±
±
±
± 士
±
±
2,4−Dibrom−6−nit rophenollcalium
含有量 工 10000 1 : saeo 1: 4eoo
人糞中諸菌 の発生頻度
80e/a soe/0 300/o
2)1:10000,4一一〇xydiphenyl蕊ther含有寒天培 地に添加せる場合の成績
\菌種1T.H.
舗壷\1
1:600eo 1:socoe
1:400ee 1:300eo 1:200001:lsooe
1:10000 1:5000 1:troOO十 十 十 十 十 十 十 十
±
f T.O@.?P.A.
十 十 十 十 十
十 十
÷
± 十 十 十 十 十 十 十 十
± P.B.
十 十 十 十 十 十 十 十
± C.
上記成績の如く 4−Oxγdiphenylatherをそれ ぞれi:10000,1:110eoに含有せしめた上更に
2, 4−Dibrom一一6−nitrophenolkalium を 1:5000〜
10000に含有せしめる事に依ってチフス菌・パラ チフス菌・大腸菌の発育上の差異をその儘か或 はそれ以上に保有せしめ得る事を知った,
次で1:1100⑪,4−Oxアdiphenyl且ther及び1:1
0000,一一v4000, 2,4−Dibrom−6−nitrophenolkalium
含有寒天培地に於ける入毛内諸菌の癸生を通し たとヒろ集落発生率は更に次表の如く低下し,
殊に1:11000,4−Oxydipheny撫her及び1:400 0,2,4−Dibrom−6−nitrophenolkalium含有培地 の場合には雑菌の発生は下表の如き牽となり,
而も一貫板上1⑪個内外に減少し,その殆んどが アルカリ性糞便菌に属した.
3)小 括
之を要するに,適当なる濃度の4一一〇xydiphe−
ny15ther及び2, 4−Dibrom−6−nitrQphenolkalium を含有せしむる事に依ってチフス菌・パラチフ ス菌の発育に特に大なる障碍を与へす,而も輩 に4−Oxydipheny15therのみを使用した場合よ りも更に張力に腸内雑菌の増殖を阻止する事が
出來た.
E.鑑別培地作成の試み
前述の如く保存種では完全に大腸菌の発育を 阻止し独りチフス菌・パラチフス菌のみの増殖 を許し得るが如き条件が得られたのであるが,
実際には人糞内大腸菌その他の活力が平なる事 に依って鑑別培地作成可能の予想とは梢ζ反 する結果に至ったのである.併し4−Oxydiphe−
nylatherを1:11000並びに2,4−Dibrom−6−
nitrophenolkaliumを1:4000・一5000に含有せし めた培地では少くともチフス菌・パラチフス菌 を充分発育せしめ得る事が可能であり,此の場 合大腸菌の槍出率は予期に反して少くなかった とは謂うものの,無論何等本化合物を含有せし めざる培地に増殖せしめたるに比すれば癸生す る大腸 菌その他雑菌集落数は甚だ制限せられた ので,著者は本培地を基礎として一種の鑑別培 地を考案した,要は上述の如くして大腸菌及び 各種の球菌の発育を抑制し,猫且生する集落中 より糖分解を利用して糖非分解性諸雑菌を除外 せんとしたものである.
1)培地製法
1%肉汁を含有する3%寒天培地を型の如く作成,
pH 8』〜8・4に修正,10⑪Oc・c・に対し4−Oxydiphey−
IZther O,lg; 2,4一一Dibrom−6−nitrophenolkalium O.275g
を混合加熱,充分溶解後60・0。Cに冷却するを待ち予 め小羅の水に溶解せるRhamnose及びXylose各々 7・59を加へ充分混和する.その同病1時間1GO。C に加熱して後60。Cに冷却しpH 8・0に修正,更に
[ 38 ]
大腸菌に対する4・一〇xydiphenyltitherの作用に就て
6ユ1:Lacmus 8〜1egを水約50cc lこ溶解ぜるものを加へ,
混和,容稜を1100ccに修正,分注,100。Cにて30分 聞滅菌して冷暗所に貯藏,用に臨み李板として使用す
る,
2)作成上の注意事項
心密を要し,特にpH修正は正確でなけれぽならな い.完成品は李板とした場合青紫色透明なるべきで,
赤褐色の勝つた物は不i適品である。
3)集落の判別法
腸チブス菌・パラチフス菌を含むサルモネラ菌及び 極く小数乍ら発生する大腸菌は37。Cにて2日間の培 養後赤色の集落を作る.而して目的とする腸チフス菌 ゴ・パラチフス菌は之より試験凝集その他に依って判別
する.
:F.実際橡便成績
無論上記の鑑別培地は当教室にある保存菌株 には充分の成績を示したので,6〜10月の5ケ 月に亘って,ともかくも腹部症状を主訴とした 患者及び面一患者にして槍便を要する者総てを 対象として培養を試みた結果,以下の如き威績
月 別i6月
一L二 検便例数
赤色集落発 生乱数 赤色集落発
生率(%)
青色集落発 生例数 青色集落発 生率集(%)
落を発せざ
る例数
42
12.4
ユ
2.4
40
7月 8月
421 lo2
7
16.7
9 21.4
26 9
8.8
17
工6.6
76
9月 361、。創繍
78i 3eO
51 O
13.7
3
8.3
28 e
o
22
7.1
30 Ol 10.0
781 248
を得た.
此処に甚だ興味あるのは,初夏6月に於け る成績が42例中青赤色集落発生例数各1であっ て,発生する集落数は頗る勘かつたと同様の傾 向がやがて冬期に向ふ10月の既倒に現はれた事 である.即ち10月vaは何等集落の発生を見得な かったのである.之に反して夏期には本培地を 以てするも集落の発生数が比較的多く赤青両集 落を合して28〜30%に達した.此の事は著者の 取扱つた槍便材料の採取が恰も被検地城内に於 て赤痢症をも含め流行性下痢患者の頻i発に際し て行はれた事を勘考するとき頗る興味深bもの がある.又夏期に本夕地上に発生した青色集落 中には或種の赤痢菌集落が発生存在せる可能性 があり,被検患者中には正しく臨床上赤痢と目 されるものがあったが,本鑑別培地は專らチフ ス・パラチフス菌を耳蝉上の対象としたので,
これ以上の槍索は行はなかった.而して赤色集 落発生22例に重てはその個々の集落のマルトー ゼに対する糖分解を博し,非分解性の菌に就て チフス・パラチフス血清に依る凝集反応を試み だところ明らかにパラチフスB型菌に該当せる もの2例を得,爾余は他のサルモネラ族に属す る菌株及び極く少数の大腸菌族であった.叉2 例のパラチフス菌集落を得た糞便は1例は発熱 以來8日目に採取せるものであり,他の1例は 13日目の採取になるものであった,2例共に定 型的の高熱を持続したものであって,難癖の前
日迄は便秘のため槍便不能であっk.
結 1)著:者は各種Dipheny15ther誘導体の大腸 菌・赤痢菌・チフス菌・パラチフス菌に対する発 育阻止力及び殺菌力を槍し,4−Oxydiphenylather に於てチフス菌・パラチフス菌と大腸菌との間 に発育阻止力の相違,即ち大腸菌の発育をより 彊く抑制すると云ふ結果を得た.
2)併し本物質を軍に寒天培地に加へたので
論
は聖人二尉の大腸菌その他の雑菌の混入を防く 事が至難であったので,更に 2, 4−Dibrom一一6−
nitr⑪phenolkaliumを添加し且Xylose, Rhamnose を加へてその分解を利用する薪鑑別培地を試作
した.
3)而して本培地を利用して,6〜10月の5 ケ月闇に亘り著者の関係する病院外來患者300
[ 39 ]
612 小
島例の槍便を行ひ2例に於てその尿中にパラチフ ヌ菌を得た。
4)猫本培地を以てする赤色集落中チフス菌 以外のサルモネラ族の菌の発生は夏季に於て相
当数に認められ允が,冬季には殆んど認められ
なかつ1た.
稿を終るに臨み終始御指導を賜e) s更に御絞閲の労 を探られた恩師日置教授に甚深の謝意を表する.
1)上井:十全会雑誌,51,349,工949・
文 献
2)渡辺:金沢医大日置内科実験的治療研究藁報.
[ 4e ]