作成日: 2009/7/16 調査部: 伊原 賢
石油開発サービス会社の掘削・開発・生産技術のトレンド
(英 CGES 社、石油・天然ガスレビュー、JOGMEC ホームページ石油・天然ガス資源情報、SPE 資料ほか) 石油開発サービス会社の事業機会は大きいが、変化する環境への対応は避けて通れない。低炭素化 社会への移行や NOC(National Oil Company:国営石油会社)中心の埋蔵量支配がもたらす石油開発業 界の環境変化は、サービス会社に長期戦略の見直しや新規事業の開発を迫っている。 本稿では、まずサービス会社の新しい顧客へのチャレンジについて論じる。次に、石油開発のサービ ス業務に実体感を持ってもらうために、掘削・開発・生産に焦点を当てたケーススタディを紹介する。 2004 年から 4 年間以上にわたる原油価格の高騰の原因であると、米国の投資銀行などが解説した「新 規油田の開発・操業コスト上昇」に根拠はあるのか? その疑問にある程度応える「世界の石油開発にか かるライフサイクルの技術コスト分析」のエキスを紹介し、サービス会社が比較的難しいとされる開発案件 についても、適正なコストで掘削・開発・生産作業に取り組んでいることを感じていただきたい。最後にサ ービス会社がこれから採用するだろう長期戦略の具体策を提示することで、掘削・開発・生産技術の今後 を考えてみたい。 1. はじめに 石油開発のサービス業界は石油会社と同様、複雑に変化する未知な環境への対応に直面している。 また、他の産業と同様に、ビジネス機会は拡大傾向にあるとは言えない。 昨年後半からの世界的経済危機にも関わらず、アジアや中東を中心としたエネルギー需要の高まりは、 原油や石油製品の供給増の幅が狭まる中で、油価に徐々に上向きの変動をもたらすと言われる。既存 油田の 80%以上はそのピーク生産時期を過ぎ、減退傾向に入ったとする専門機関(国際エネルギー機 関 IEA)もある。 このように縮小する投資やビジネス機会に対応した石油開発技術のトレンドとしては、回収率向上、開 発、掘削・坑井刺激・採油増進を通じた生産効率向上の 3 点に焦点が当てられよう。サービス会社のビジ ネスは、地域として中東・アフリカ・旧ソ連・アジア・北米を中心に展開するだろう。 石油開発サービス会社の事業規模は大きいが、変化する環境への対応は避けて通れない。環境の変 化は、ビジネス・技術・人材・製品・プロセス他の多くの側面に影響を与える。低炭素化社会への移行や NOC 中心の埋蔵量支配がもたらす石油開発業界の環境変化は、サービス会社に長期戦略の見直しや 1/33 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
新規事業の開発を迫っている。
2. 新しい顧客へのチャレンジ
世界全体の原油の残存確認可採埋蔵量を見ると、全体の約 8 割も NOC(National Oil Company:国営 石油会社)が支配しており、ロシア企業を除くと民間企業はわずか1割未満を支配するにすぎない(図1)。 現在の国際原油市場は、メジャーズ等 IOC(International Oil Company:国際石油会社)の時代は遠くなり、 国営石油会社の時代になっているという勢力図の変化を如実に示している。サービス会社の顧客も IOC から NOC へ大きくシフトし、NOC の規模・数・影響力が大きくなるに従い、サービス会社の顧客リストも変 わった。 2/33 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ろう。 IOC や独立系石油会社(インディペンデント)は北米 や欧州の会社であり、ほぼ同じ文化を共有しており、 技術的側面も強い。NOC は、北米や欧州以外で事 業を展開しており、技術力や戦略面にも幅がある。例 えば、経済合理性よりも社会還元に重きを置く NOC (ベネズエラ PDVSA, エクアドル Petroecuador 他)も ある。残存確認可採埋蔵量の 8 割近くを握る NOC は、 石油開発の技術移転のグローバル化を背景に、研 究開発や埋蔵量資産の開発に積極的に取り組むよう になった。NOC は権益の問題を避けて、サービス会 社と新しい石油開発や埋蔵量の維持管理に取り組み やすくなっている。埋蔵量の維持管理は、埋蔵量豊富な産油国にとっても政治・経済的に重要だ。油ガ ス田の操業に経験豊富なSchlumberger, Halliburton, Weatherfordといった大手サービス会社は、NOCの 活動を拡大させるのに欠かせない存在となっている。大手サービス会社と NOC の結びつき強化は、 NOCの国内外への展開に大きく貢献しているのだ。一方、IOCは多くの巨大プロジェクトのマネージメン トを担うに当り、サービス会社の重要な顧客であり続けるだ 石油開発のサービス業界は、次の 4 層構造を目指して進化し続けることとなろう。 z 大手・統合型: 世界的な事業展開。顧客の推進する石油開発事業にパッケージ化したサービ スを提供。巨大プロジェクトのマネージメント能力も提供。 z 中小・専門型: 専門化されたツール・機器・ソフトウェア・エンジニアリングサービスを提供。
z 地域密着型: NOCや大手サービス会社と協力しつつ、発展途上国における事業推進のための インフラ整備。現地人員をトレーニングする役目も担う。 z 日用品提供型: 事業に必要な低コストの日用品や役務を提供。インド・中国・旧ソ連・東欧に拠 点を持つ会社が多い。 3. ケーススタディ 石油開発のサービス業務に実体感を持ってもらうために、掘削・開発・生産に焦点を当てたケーススタ ディを紹介する(表 1)。適用分野としては、回収率向上、開発、掘削・坑井刺激・採油増進を通じた生産 効率向上の 3 つに大別できる。 表1 石油開発のサービス業務例(ケーススタディ) 出所: JOGMEC 調査部資料 適用分野 油ガス田 NOC IOC/独立系 サービス会社 サービス業務 回収率向上 3-1. (1) 米国陸上のシェール ガス開発 Chesapeake Devon他 Schlumberger 水平坑井 多段階フラクチャリング マイクロ・サイスミック(モニタリング) 開発 3-2. (1) ナイジェリアのアグ バミ油田 NNPC Chevron Halliburton デジタルオイルフィールド 開発 3-2. (2) ノルウェーのトロール 油ガス田
StatoilHydro Baker Oil Tools Halliburton INTEQ Schlumberger 大水深開発システム デジタルオイルフィールド(インテリジェント坑 井仕上げ) 開発 3-2. (3) ノルウェーのトルディ ス油田 StatoilHydro FMC 大水深開発システム(海底分離および水圧入 システム) 生産効率向上 3-3. (1) エクアドルのブロック 15油田 Petroecuador Occidental (2006年撤退) Weatherford デジタルオイルフィールド(電動サブマージブ ルポンプ) 生産効率向上 3-3. (2) ブルネイのチャンピ オン・ウエスト油田 Shell デジタルオイルフィールド(インテリジェント坑 井仕上げによるスネークウェル) 生産効率向上 3-3. (3) サウジアラビアのハ ラド油田
Saudi Aramco Baker Oil Tools Halliburton Schlumberger Weatherford デジタルオイルフィールド(インテリジェント坑 井 仕 上 げ の 最 終 形 Maximum Reservoir Contact/MRC坑井) 生産効率向上 3-3. (4) ガザフスタンのテン ギス油田の追加開発 カズムナイガス Chevron Weatherford Sigma Engineering
Managed Pressure Drilling (MPD)
生産効率向上 3-3. (5) UAEの上部ザクム油 田 ADNOC ZADCO (JODCO, ExxonMobil)
Halliburton Multi-Lateral Tie Back System (MLTBS)を適用 した水平坑井 生産効率向上 3-3. (6) メキシコ陸上のチコ ンテペック盆地 PEMEX Schlumberger Weatherford 不均質で断層によってコンパートメント化され た油層への多数掘削(年1,000坑以上) 3-1. 回収率向上 (1) 米国陸上のシェールガス開発 最初のシェールガス井は 1821 年に地下 27 フィートの Devonian Dunkirk シェールへ掘削され、生産 3/33 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
されたガスはニューヨーク州 Fredonia の民家を灯すのに使われた。しかしそのご長い間シェールは、資 源とは見なされず、根源岩や貯留層構造のシールとして取り扱われた。 天然ガスは第二次世界大戦後に資源として注目を集めるようになったが、天然ガス生産者は天然ガ ス需要増や既存ガス田の減退に対応すべく新たな供給源として、まず 80 年代よりタイトガスサンドに注 目した。90 年代初頭にはコールベッドメタン/CBM に、2000 年に入るとシェールガスに注目が集まるよう になった(2000 年米国 シェールガス井 28,000 坑, 年生産量 700Bcf)。2005 年米国の天然ガス消費量 は 23Tcf(生産量 19Tcf)に達し、カナダからのガス輸入もあるが需給ギャップを埋めるべくシュールガス が注目を集めたのだ。この背景として、シェールの賦存エリアは通常の石油・天然ガス生産地域とは別 であり、米国内でシェールは手付かずの所が多いとの認識がある。 米国における主要なシェール分布を示す(図 2)。近年ガス生産量と可採埋蔵量の激増がみられ、シ ェールガス革命ともいわれており、500~780Tcf の原始埋蔵量が期待されている。
4 大シェールガスのプレイ(Barnett, Haynesville, Marcellus, Fayetteville)での開発活動が活発化して いる。ほかに Antrim や Woodford も開発されている。 図 2 米国における主要なシェール分布 出所: Schlumberger 社資料より作成 4/33 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
5/33 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 シェールガスの貯留層特性: 泥岩の一種で薄片状にはがれやすい(粘板岩、黒板のよう)。数 百フィートの層厚や数百万エーカーの広範囲な頁岩が天然ガスの貯留層になるケースが一握 りの堆積盆地で見られる。地温上昇によって頁岩中の有機物からガスが発生する(水の流入や バクテリアの存在も生物起源のガス発生に関与)。貯留層に十分な熱供給があったため乾ガス 主体で不純物も少ない(液体分は分解済)。具体的な数字を次に列挙する。 ・ 米国での賦存深度は250~8,000 フィートである(New AlbanyおよびAntrimシェールに掘られた坑井 9,000 坑の坑底深度は地下 250~2,000 フィート、Appalachian 盆地・Devonian および Lewis シェール に掘られた坑井20,000 坑の坑底深度は地下3,000~5,000 フィート、Barnett および Woodford シェー ルに掘られた坑井の坑底深度はもっと深く層厚は 100~1,000 フィート、Caney および Fayetteville シ ェールに掘られた坑井の坑底深度は地下 2,000~6,000 フィート/貯留層は地下 2,500~4,500 フィー トの範囲に位置)。 ・ 良好なシェールガスの貯留層の層厚は 300~600 フィートと言われる。 ・ 良質な貯留層は広大にフラットで層厚が厚いため生産井の寿命は一定レートで10年以上に及ぶこと がある。
・ Gas Technology Institute によれば米国のシェールガス埋蔵量は 780Tcf(500~1,000 Tcf)もあると推 定され米国外もその程度とされる。しかしながらシェールガスが天然ガス供給に主要な位置を占める のは、現在の所米国のみである。 シェールガスの生産を可能にした技術: 水圧破砕と水平坑井(90 年代半ばより世界中に浸透、 在来型貯留層・石炭層・タイトガスサンド・シェールガスに適用)。例えば 1999 年Barnettシェー ルにおいて 4 坑の水平坑井は 2004 年末までに 744 坑に急増した(水平坑井の掘削仕上げコス トは垂直井の 2 倍であったが、一坑あたりの生産量と可採埋蔵量は 3 倍と報告)。特に水平坑井 の仕上げ技術(多段階フラクチャリング:Multistage Stimulation, 水平区間の部分仕上げ 図 3) の進歩が大きい(シェールガス層の掘削はたやすいが経済的に生産させる坑井の仕上げが難 しい)。具体例を次に列挙する。 ・ 水圧破砕においては 8,000psi にもポンプ昇圧された高粘性流体で坑井内穿孔部から長さ 3,000 フィ ートものフラクチャーをシェール内に作れる。 ・ 深い高圧シェールには低粘性である水ベースの流体(slick-water: ポリマーを少量混ぜて坑井内の 圧損を低減)をシェールの破砕に用いる(Barnettシェールでは 1997 年より適用。2005 年頃より Fayettevilleや Marcellusシェールにも展開)。6~9 段階ものフラクチャリングが可能で、使用プロパン
6/33 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 トは少なく済む利点がある。 ・ 浅いところにある低圧のシェールについては地層にやさしい窒素の泡ベース流体を用いフラクチャ ーを作る(New Albany, Antrim, Ohioシェール)。
・ Barnett シェールでは 90%以上の生産井が水平坑井・マルチラテラル井である。 ・ シェールガスでは、水平坑井のケーシング仕上げに多段階フラクチャリングを施すのが一般的となっ た。 水圧破砕の技: 水圧破砕で形成されたフラクチャーを半永久的に支持するため、プロパントと 呼ばれる砂粒状の物質を徐々に高粘性のジェルに混ぜ圧入する。フラクチャー内に留まった プロパントがフラクチャーを支持し完全に閉じるのを防ぐ。フラクチャーの長さや幅をある程度 維持し、ガスの流路を確保するには、プロパントの分布と圧入流体に工夫が必要。巨大なシェ ールガス層は 10 年以上生産しても貯留層圧力の落ちは小さいとされる。個々の坑井における 圧力損失は貯留層圧力の低下よりもフラクチャーの閉塞による所が大きい。 フラクチャリング作業のモニタリング: ティルトメーターとマイクロ・サイスミックを使用。Barnettシ ェールではフラクチャーを下部Ellenburgerグループの水層に伸展させないためにも、出来たフ ラクチャーのモニタリングは大事である。シェールガス層におけるマイクロ・サイスミックの三次 元イメージを(図3)に示す。マイクロ・サイスミックとは、GeophoneとSeismic Lineを使ってフラクチ ャーの場所・サイズ・形・方向を把握する技術。フラクチャーの伸展具合がモニタリングでき、貯 留層の生産挙動評価に用いられる。水平坑井を横切るフラクチャーにより貯留層とのコンタクト を最大にするのがフラクチャリングの目的だが、マイクロ・サイスミック技術により、ほぼリアルタ イムにステージ間のフラクチャーの導通を確認できるようになった。
Using real-time microseismic monitoring and coalescence microseismic mapping, Chesapeake engineers observed what they believed to be cross communication between stages 1 and 2. During stage 2, engineers on location noted that bottomhole treating pressures matched those of stage 1, reinforcing their assessment. As a remedy, three proppant slugs were pumped at a reduced rate to divert away from the perforations that were taking most of the treatment.
図 3 シェールガス層に掘られた水平坑井を横切る多段階のフラクチャー分布(マイクロ・サイスミックのイメージ) 出所: Schlumberger 社資料より作成 7/33 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
8/33 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 シェールガス生産の経済性(タイトガスサンド開発との違い): ・ ピーク期間の違い: タイトガスサンドは最初の数ヶ月で多量のガスを生産するため減退速度が速い。 一方シェールガスは低浸透率のため高レートは確保できないが、フラクチャーの長さや幅をある程度 維持し、ガスの流路を確保できれば、シェールは高範囲に賦存するため、長期間(30 年)の安定生産 が可能となる。 ・ シェールガスに掘られた水平坑井の生産レート 1MMcfd と仮定。1 平方マイルに水平坑井を 10 坑掘る と 10MMcfd。そこに眠る可採埋蔵量を 120Bcf とすると生産期間は 30 年以上と試算できる。それに技 術進歩(水平掘削ツール、三次元震探イメージング、油層モデリング)を加味すると、シェールガス生 産に関心を寄せる人が増えるのもうなずける。 技術進歩がもたらす効果とトレンド: ・ 技術としてはフラクチャーの効率的な作り方が鍵。ほとんどの生産井は水平坑井であり、フラクチャリ ングにかかるコストは坑井の掘削仕上げコストのなんと 25%にも達する。 ・ フラクチャリングは通常段階(ステージ)毎に穿孔と水圧破砕作業を繰り返すのが効果的とされる。1 ス テージの作業が終わるとサンドほかでプラグを打ち、次(より浅部)の仕上げ区間での作業に移る。通 常 500 フィートの水平区間に 2~4 箇所の穿孔部を設ける。水平区間の全長が 2,000 フィートだとする と、計 4 ステージの作業が行われ貯留層から坑井内へのガスの流路は 8~16 箇所設けられる。穿孔 部の大きさを考えると、水平区間長の 90%はガスの坑井内への流路を持たないこととなる。シェール ガス生産の技術開発では、フラクチャリングのステージ数を如何に安価に増やせるかが課題。理想的 には、ステージ数を 10 倍増やした 40 ステージ程のミニ・フラクチャリングができるようになるのが理想 である(現状では高すぎて実践的でないが)。 ・ Schlumberger 社が検討しているのはフラクチャーの伸展方向(正しい角度で坑井軸から離れる方向に 発達するのが良い、坑井軸方向に平行なフラクチャーの効果は?)についての評価。プロパントと圧 入流体についての研究も大事。Barnett シェールの場合、砂と水を使用。水ベースの圧入流体 (slick-water)を用いたフラクチャリングは、使用プロパント量が少ないせいか十分なフラクチャー幅を 確保できない場合がある。その対策としてはプロパントが長時間フラクチャー内に留まることが大事で ある。そのためにプロパントと圧入流体について次の様な改良が行われている。 ・ ClearFRAC(圧入流体中に固形分を含まず、フラクチャー内へのプロパント/砂の運搬・保持性能が優 れている -> フラクチャー長さ・幅の確保)。 ・ FiberFRAC(図 4 フラクチャー内へのプロパント/砂の優れた運搬・保持性能、圧入流体中に含まれ
た固形物のネットワーク/Fiber が機械的にプロパントを閉じ込めながらフラクチャー内へ移動、Fiber は熱により分解され貯留層に浸み込む)。
図 4 FiberFRAC のイメージ
出所: Schlumberger 社資料より作成
生産量と可採埋蔵量増に必要な技術サイクル: まず地化学検層データからシェールの鉱物組 成(炭酸塩、黄鉄鉱/Pyrite、粘土、石英、Total Organic Carbon/TOC)を分析する。岩石中の TOCを知ることで、マトリクスの孔隙率と水飽和率が判り、シェールの浸透率とシェール中のガ ス量(孔隙内とシェールの有機物に吸着の 2 種類)の推定につながる。シェール中の有機物は ガス源のみならずガスの吸収媒体であることに留意しなければならない。地化学検層データか らは粘土分のタイプも判り、それが圧入流体の仕様を決めるのに役立つ。
次に Electrical Imaging と Sonic データからフラクチャーを貯留岩元来のものと掘削によるものに 分類し、シェール中で最も浸透率の高い箇所を捜し当てる。そこに穿孔とフラクチャリングを施 し 高生産レ ー ト を 目指す 。 地層圧力の 計測も 必要だ 。 水平掘り や 傾斜掘り 、 MWD (Measurement While Drilling)、ガンマ線検層、Rotary Steerable System 他の掘削・検層技術を 適用し、貯留岩特性を把握し、貯留岩内の流体挙動シミュレーションを実施し、その結果を坑井 刺激法に的確に反映させ、ガスの生産量及び可採埋蔵量増に結びつける。シェールガスを開 発するオペレーターには、この技術サイクル(図 5)の理解と適切な実践が求められる。 9/33 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
図 5 シェールガス開発に適用される技術サイクル 出所: Schlumberger 社資料より作成 3-2. 開発 (1) ナイジェリアのアグバミ油田 2008 年 7 月に Chevron はナイジェリア沖合のアグバミ/Agbami 油田(可採埋蔵量 10 億バレル)の生産 を開始した。回収率向上のため最初から油層頂部にガス圧入を実施している。Chevronは、Halliburtonと ともに、油田操業の半自動化を推進するデジタルオイルフィールド(Chevron は i-Field と呼ぶ)の概念を アグバミ油田開発に適用した。坑井内に流量計や圧力・温度センサーを装備し、生産挙動の遠隔操作を 行う Intelligent Well Completion(IWC)を採用している。油層や操業の管理に IT を全面的に採用し、各種 計算ソフトやデータベースを生産現場と陸上の管理基地とで共有化し、施設の信頼性評価や次の作業 の意思決定をタイムリーに行える(図 6)。作業効率と回収率の向上を目指すもので、増進回収法と IT を 融合させたもの。デジタルオイルフィールドは遠隔地の油田管理ツールとして一つのトレンドとなりそうだ。 ナイジェリアの国営石油会社 NNPC も、この付加価値を付けた油田開発技術のナイジェリアへの移転に 期待していると聞く。 10/33 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
図 6 ナイジェリア沖合アグバミ油田におけるデジタルオイルフィールド(PC 画面より) (2) ノルウェーのトロール油ガス田 9 StatoilHydro がノルウェー第 2 の都市ベルゲンの北西沖合で手掛ける油ガス田開発プロジェクト。 水深 300m 越え。 9 開発概要: 胚胎面積 700km2、層厚 4~27m、原油 の埋蔵量も 40 億バレルと豊富、1979 年に発見。3 構造(東部のガスTroll East、西部のガスTroll West Gas Province/TWGP、西部の原油Troll West Oil Province/TWOP)。
Troll East は 1996 年Troll-A プラットフォーム(洋上 のコンクリート式構造物を係留索で海底に固定)か らガスを、Troll West はプラットフォーム Troll-B と Troll-C から各々1995 年、1999 年から原油を中心 に生産開始。中浸透率の砂岩(<10md, m-sand)と 11/33 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
高浸透率の砂岩(1~30d, c-sand)の互層からなる貯留層。西部の原油は薄油層の油水界面の 直上の掘られた裸坑仕上げの水平区間の長い水平坑井より生産(掘削・仕上げ技術の進歩に伴 い原油生産が可能に)。裸坑仕上げの長さは開発当初は 800m 程度であったが、4,400m にまで 延長可能となった。マルチラテラル井では裸坑仕上げのラテラルの長さは合計で 14,200m まで 可能となり、薄油層における排油体積を最大化することができた。東部と西部の間で貯留層圧力 の導通が明らかとなっているため、薄油層からの原油生産は急ぐ必要があったのだ。また、構造 間でのガスや水の動きが見られ、貯留層特性は複雑である。
9 Intelligent Well Completion(IWC)の適用: (図 7)
① 坑井内へのガスリフトバルブの設置(1 回の設置で済ます)。
② マルチラテラル井からの生産をコントロールする(例えば、ガスや水の水平坑井部へのコーニ ングを和らげる)Inflow Control Valve/ICV。西部のガス構造では、通常の水平坑井では、すぐ にガスコーニングを引き起こすと生産試験の結果から予測されたため、ICV を導入することで、 水平坑井部への流体流入分布の均一化を図ることが出来た。 ③ の坑井内への流入を防ぐスクリーンパイプ(貯留層は海底面下1,240mと比較的浅部にあるが、 スクリーンパイプは水平坑井のため掘削長6,500mまで下げねばならなかった。スクリーンパイ プの軽量化や坑壁との摩擦軽減のため、2000 年にはスクリーンパイプの設計変更を行い、 2008 年 3 月時点でスクリーンパイプの設置総延長は 80km に及ぶに至った。 図 7 IWC の適用(左から ①ガスリフトバルブ、②ICV、③スクリーンパイプ) 出所: StatoilHydro 社資料より作成 ④マルチラテラル井の仕上げでは、テクノロジーアドバンスメントマルチラテラル(TAML)のレベ 12/33 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
ル 5 を達成した。TAML コンソーシアムは、大手および有力独立系石油会社が開発を推進する 水平坑井の技術水準(レベル 1~6)を定義している。レベル5 は特殊仕上げにより分岐部分の圧 力遮断を確実にし、ICV のラテラル内設置により流量コントロールが可能となった水平坑井であ る。海底クリスマスツリーからの油圧ラインで複数の ICV の開度調整が可能となった(図 8)。 図 8 マルチラテラル井の仕上げ(TAML のレベル 5) 出所: Halliburton 社資料(SPE 103912)より作成 9 ①~④に亘る IWC 技術を適用させることによって、各ラテラルからの流量を制御するマルチラテ ラル井を仕上げることができた。2007 年 9 月時点の数字ではあるが、計 250 のラテラルを有する 水平坑井 150 坑を掘削し仕上げた。生産量の更なる増加が期待されている(図 9)。 図 9 Troll 油ガス田におけるマルチラテラル井の生産増への貢献 13/33 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
出所: StatoilHydro 社資料より作成
(3) ノルウェーのトルディス油田
9 世界で最初のフルスケールの海底分離および水圧入システムSSBI(図 10): オペレーター StatoilHydro、パートナー(Petroro, ExxonMobil, Total, RWE, 出光)、海底分離及び水圧入シス テムは 2007 年稼動開始(Tordisサテライト自体は 1994 年に生産開始)、水深 200m、ピーク生産 7 万バレル/日(1995 年)、分離された産出油は 10 km離れたホストのGullfaks Cプラットフォーム (コンクリート製重力式)へタイバックされたフローラインを通じて、移送。
図 10 SSBI(Subsea Separation, Boosting and Injection system)
出所: StatoilHydro 社資料より作成 9 課題と計画: 大量の産出水(高いウォーターカット)により、2005 年には生産量が 1.2 万バレル/ 日まで減退(その時点での残存確認可採埋蔵量 35 百万バレル)。この可採埋蔵量を地上に取り 出すために、海底にて産出された水を分離し、水圧入井を通じて地層(帯水層)へ圧入し、分離 された産出油は 10km離れたホストのGullfaks Cプラットフォームへタイバックされたフローライン を通じて、移送することを計画。Gullfaks Cプラットフォームの設備は必要に応じてアップグレード (図 11)。 14/33 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
図 11 Tordis サテライトのレイアウトと SSBI のシステムフロー 出所: StatoilHydro 社資料 9 SSBI: 総重量 1,300 トン、100 百万ドル、(点検・修理しやすいように)機器はモジュール化(図 12)、セパレーター(ガスはサイクロンで、水は重力にて分離、産出砂も週 2 回分離)、海底昇圧 ポンプにて分離された油とガスをGullfaks Cプラットフォームへ移送。分離された水(16,000 m3/ 15/33 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
日)と砂(500kg/日)は水圧入井を通じて帯水層(海底面下 800~1,000mのUtsira層)へ圧入。 図 12 モジュール化された SSBI 出所: StatoilHydro 社、FMC 社資料 9 問題発生: 水圧入開始の 6 ヶ月後の 2008 年 5 月に海水面に油検知。海底面に陥没(幅 40 m、 深さ 7 m)発生。陥没個所はもっと近いテンプレートからは 60 m、水圧入井からは東に 310 mと近 かった。水圧入井の坑底にて、圧入特性と帯水層特性の不適合(地層の不十分な事前調査)か ら複数の大きな人工のフラクチャーを発生させる結果となり、帯水層が地下で崩壊し、水圧入井 から 310 m離れた場所で海底面が大きく陥没。産出水には 100 から 500 ppmの油分を含み、そ れが陥没面から浸みだし、海面で検知された。50~150 m3の油流出と推定(図 13)。 9 対処: 陥没の原因としては、地層の不十分な事前調査のほかに、海底面の不安定性、水圧入 井位置がSSBIからのジャンパーホースの長さに依存したことが挙げられたが、水圧入井の仕様 をチェック・改善した後、産出水量(水圧入量)を抑えるべく幾つかの生産井からの産出流体量を 制限し、生産継続。SSBIの導入によりTordisサテライトからの産出寿命は 17 年延び、19 百万バレ ルもの採油増収量が期待されている。 16/33 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
図 13 Tordis サテライトの平面図(水圧入井、SSBI、海底面の陥没) 出所: StatoilHydro 社資料 3-3. 生産効率向上 (1) エクアドルのブロック 15 油田 エクアドル政府は 2006 年 5 月、2000 年に Occidental が政府の許可を得ずに EnCana にブロック 15 の権益の 40%を譲渡したことから、Occidental との Block15 の契約を無効とし、ブロック 15 を接収 17/33 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
し Petroecuador に操業を引き継がせた。2007 年 12 月、Block15 の操業を行う国営石油会社 Petroamazonas を設立。資本の 80%を Petroecuador が、20%を同社子会社の Petroproduccion が保有。
Occidental 社撤退後のブロック 15 油田(145 坑井より ESP/電動サブマージブルポンプにて日量9.4 万バレルの油と 43.1 万バレルの水を生産)に Weatherford 社の Digital Oilfield 技術を適用。 Weatherford 社エンジニアから Petroamazonas の人員へのトレーニングを通じて、人とワークフローと技 術を融合させた。その結果、坑井トラブルの予知・減少、生産量の増加に繋がった。 18/33 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 (2) ブルネイのチャンピオン・ウエスト油田 9 ブルネイ沖合の油層が分散したチャンピオン・ウエスト油田へ、2003 年からの第2 開発段階にお いて、回収率の増大を狙い、センサーを多用し蛇や竜のように曲がりくねった水平坑井を適用。 9 開発概要: ブルネイの沖合90km、南シナ海、水深40~50m、胚胎面積48km2、1975年に発見。 1994 年からの第 1 開発段階においては、新掘井 4 坑と既存井から 1 坑サイドトラックされたが、 コンパートメント化した 1,000 個以上の貯留層構造が開発対象となるため、仕上げが複雑かつ高 価となり、本格開発に至らなかった。その後、貯留層構造内の流体分布や特性を詳しく調べ、フ ィールド全体の開発計画を見直した。 9 IWCの適用: 見直した計画として、2003 年からの第 2 開発段階において、油井 6 坑、ガス井 2 坑が計画され、IWCの適用事例として、センサーを多用した蛇や竜のように曲がりくねった水平
坑井(スネークウェル)が掘削された。通常の水平坑井やマルチラテラル井では、コンパートメン ト化した多数の貯留層構造を貫くこと(坑跡の制御)は難しく、例え出来ても多数のラテラルが必 要となり掘削コストが膨大になるため、分散する貯留層構造を蛇のように貫くスネークウェルの登 場となった(図 14)。 図 14 分散する貯留層構造を蛇のように貫くスネークウェル 出所: Shell 社資料 2005 年 12 月からスタートした第 3 開発段階においては、20 坑からの生産が計画された。第 29 号井からの初期生産は予想よりも 30%多い 16,700 バレル/日という高レートを記録した。2008 年 8 月時点では、5 坑が掘削・仕上げされ、約 1 年の掘削キャンペーン期間は 50 日ほど短縮でき た。累計の掘削長は 34km にも及んだ。スネークウェルの水平掘削区間は 800m 程の 4 区間に 分けられた。そのうち、第 31 号井は 8,001m もの掘削長を持ち、7,334m という奥まった所に IWC 用の機器がセットされている。
IWC 用の機器としては、ICV、圧力ゲージ、DTS(Distributed Temperature Sensor)、および部分 仕上げを可能とするパッカーが多用される。IWC 用の機器は、スネーク状の坑井内に溜まった 廃材をクリアにする役目もある(図 15)。 図 15 IWC 用の機器と坑井内からクリアにされた廃材 19/33 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
出所: Shell 社資料 ICV によって蛇状の水平仕上げ区間への流体流入分布(ドローダウン)の均一化を図ることが出 来、ガスや水の坑井へのコーニング現象も遅らせることができ、結果として、可採埋蔵量の増大 につながる。 例えば、第20号井では、水平区間の先端部(toe)、中間部、立ち上がり部(heel)におけるICVの 開度を 100%、70%、30%に調整することで、流体流入分布の均一化を図ることが出来た。水平 区間の先端部(toe)から 700m のライナーパイプを据え付け、先端部(toe)に ICV を 1 個、立ち上 がり部(heel)に ICV を 2 個設置。ICV の開度を調整することで、水平区間全体からの生産に引き 続き、先端部(toe)のみからの生産も可能となり、ライナーパイプだけだと取り残しになる 100 万 バレルの原油が回収可能となり、本 20 号井からの生産量も 25%アップを記録できた。 また、6,300m の掘削長を持つ第22 号井では、セメンチングや穿孔作業時に、貯留層からのガス のキックに遭遇したが、IWC 用の機器として、パッカーを追加設置しガスのキック区間 260m を隔 離して、ガスの坑井内へのコーニング現象を防ぐことができた。 (3) サウジアラビアのハラド(Haradh)油田
9 Maximum Reservoir Contact (MRC) 坑井: 1 坑あたり貯留層とのコンタクト(水平区間長の合計) が 5kmを越えるマルチラテラル井。当然高生産レートが期待。ガスや水の坑井へのコーニング 現象も遅らせられる。全体の坑井数を少なくでき、開発コストの低減につながる。IWCはMRC坑 井実現のために必須の要素技術。サウジアラムコでは 2007 年にMRC坑井が 99 坑も掘削され た。 9 開発概要: Haradh油田構造は、ガワール(Ghawar)油田の南部に位置し、その範囲は東西 20/33 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
26km・南北 75kmに及ぶ。北から南にI~IIIのゾーンに分け開発。ゾーンIは垂直井で1996年生 産開始。ゾーンIIは 2003 年より水平坑井にて生産が開始され、その後、MRC坑井の概念を検証 する掘削仕上げおよび産出試験が行われた。ゾーンIIIは 2006 年 2 月よりMRC坑井を全面的に 採用した生産が開始されている。 ゾーン III の開発には MRC 坑井、多相流量計、坑内モニタリングシステムを採用した最新の生産 システムが採用されており、2007 年 3 月には 30 万バレル/日の原油生産を記録した(図 16)。 図 16 ゾーン III に適用された MRC 坑井システム 出所: Saudi Aramco 社資料 ゾーン III は高浸透率だが、フラクチャー網の発達した不均質の油層であり、回収率向上には水 圧入が適する。MRC 坑井による開発方式を垂直井や水平坑井による方式と比べたところ、開発 コストの大幅な低減が期待できる(水平坑井の約半分)。 21/33 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
9 IWCの適用: 坑井の生産性維持、ラテラルからの生産量コントロール、水コーニング抑制ほか の見地からIWCの適用が検討され、100mdより小さい浸透率を持つ貯留層の場合にMRC坑井の ラテラル長さは 2.5~3km、1dより大きい貯留層にはラテラル長さは 1~1.5kmとの推算結果が得 られた。
最初の MRC 坑井となった A-12 号井では、2004 年 4 月に主坑とそこから分岐する 3 本の裸坑 仕上げのラテラルが掘削された。生産指数(Productivity Index:PI)は 350 バレル/日/psi と垂直 井や水平坑井のそれ(17 バレル/日/psi、31 バレル/日/psi)に比べ、飛躍的な向上を見たが、2 ヶ月後には水の生産が始まり、油の生産レート8,000バレル/日では水分率(ウォーターカット)は 23%にも達した。長さ 13m 程の IWC 機器を設置すべく、2005 年 4 月には A-12 号井は改修さ れることとなった。坑井寿命に応じ、油圧駆動の ICV の開度は 18 段階に調節できる。坑内の常 設モニタリングシステムはパッカー(QMP Packer)直上にセットされ、流量、坑内の密閉圧力、お よび温度が監視できるようになった(図 17)。ICV の開度調整によって、ウォーターカットが 0%で 安定的に生産できるレートは 6,000 バレル/日であることが分かった(図 18)。 図 17 MRC 坑井 A-12 号井の仕上げ 図 18 ICV の開度調整によるウォーターカット低減 出所: 共に Saudi Aramco 社資料 22/33 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
結果として、IWC を装備した MRC 坑井の Haradh 構造のゾーン III への適用は、貯留層とのコン タクトを大きくすることがまさしく生産指数(Productivity Index:PI)の向上(図 19)、生産量や可採 埋蔵量の増大につながることが証明された。図19は、1 坑当りの水平区間長が 1km から 5 km に 延びるに伴い、PI が 27 バレル/日/psi から 120 バレル/日/psi へと飛躍的に向上したことを示し ている。 図 19 MRC 坑井による Haradh 構造の生産指数と水平区間長との関係 出所: SPE 資料(SPE 105187)より作成 (4) ガザフスタンのテンギス油田の追加開発 Caspian 盆地 50 万 km2の南部、カスピ海の北東に位置する陸上油田(図 20)、プレソルトの炭酸 塩岩、カザフスタン政府(カズムナイガス)とシェブロンの合弁会社 Tengizchevroil(TCO)が油田開発 のオペレーター。 図20 Tengizフィールドの位置 出所: SPE 資料(SPE 79850)より作成 23/33 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
24/33 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 油層: 高圧でH2S含有のフラクチャー型で石炭紀の油層(大きく 3 枚の油層から成り、そのトップ深 度はユニット 1 で 3,850 m、ユニット 3 で 5,429 m)なので、掘削時の坑井制御(ウェルコントロール) が難しいとされる。ウェルコントロールとは、掘進中に異常高圧層に遭遇し、掘削泥水柱の圧力(アニ ュラスの圧力)が地層圧力よりも小さくなり、ガスや油または地層水が坑井内に浸入してきた場合に 安全に地上へ排出し、掘進を再開できるようにすること。
LAMCDによるManaged Pressure Drilling(MPD)の動機:
Light Annular Mud Cap Drilling(LAMCD)が、MPD として採用。採用理由は次の 4 点。
9 掘削中に多くの逸水問題に遭遇(1993 年以前に掘削した 83 坑の内 38 坑で遭遇)。0.3 ppg (0.035g/cm3)のオーバーバランス掘削で一時間当たり 800 バレルを超える掘削流体の地層への逸 水を経験。 9 地層を掘削中に、しばしばフラクチャーや空洞に遭遇。 9 貯留層流体に H2S を含む腐食環境なので、掘削中に地層流体の地表への流出は許されない。 9 TCO が油田開発オペレーターになる以前は、ユニット 1 油層で 24 件もの掘削失敗を経験。 キーとなる技術LAMCDとその経済的見返り:
LAMCD は Closed Hole Circulation Drilling(CHCD) とも言われる。 常に地層圧力を上回るように、アニュラスの泥水柱圧 を変化させながら、逸水のひどい所に対して、低比重の 掘削流体が(地表に戻ることなしに)カッティングスと共に 地層に入り込むことで(栓の働きをして)、逸水の程度を 低減させる。地層圧力と比べ等価ベースで低比重の掘 削流体を用い、地層にできるだけダメージを与えないの が、この掘削技術のミソ。掘削に際し、低比重の粘性掘 削流体を定期的にアニュラスへ圧入しておく(図 21)。坑 井内に浸入する H2S の量をドリラーが調整できる。 図 21 Tengiz フィールドにおける LAMCD 技術の適用 出所: SPE 資料(SPE 79850)より作成
LAMCD 技術の適用はたやすくないが、掘削の失敗確率を飛躍的に低減できる(経済的な見返 りが大きい)。通常のオーバーバランス掘削では、掘削深度 4,572 m において、そこから 200 m 掘進 するのに 6 週間かかった。LAMCD を使うと、1,500 m を掘進するのに 6 日で済んだ。これをコストで 比較すると適用が進んだ LAMCD のコストは通常のオーバーバランス掘削コストの 55%減となった (図 22)。 図 22 Tengiz フィールドにおける LAMCD 技術の経済的見返り 出所: SPE 79850 資料より作成 オペレーション:
暴噴防止装置(BOP)の直上に図 23に示す Rotating Control Device(RCD)を設置し、アニュラス の圧力をきっちり制御し、チョークを通じて泥水を地表に戻すことが可能となった。それによって、掘 削流体の圧入仕様(圧力、レート、量)を正確に推定できるようになった。Downhole Deployment Device(DDV)も使用した。 図23 RCD 出所: Weatherford 社資料より作成 25/33 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
26/33 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 T-7252 号井での操業実績: 与えられた掘削泥水の循環システムの制約条件から、比重 8.33 ppg (ポンド/ガロン)、レート 350 gpm(ガロン/分)の掘削泥水の圧入圧力が計算される。逸水のひどい所 へ栓をする目的で、掘屑(カッティングス)と共に地層に入り込む低比重の掘削流体を作製するのに 必要な水を十分確保した。Tengiz油田の開発当初に使われたオイルベースの掘削泥水に、亜鉛酸 化物3 ポンド/バレル、石灰6 ポンド/バレルを混ぜアニュラスへ圧入することで、坑井内におけるH2S 腐食の発生を抑えた。4 時間毎に高粘性のポリマーの固まりを 20 バレル、ポンプで掘管内へ圧入し、 坑井内クリーニングの助けとした。LAMCDの計画に要した期間は 80 日。オペレーションの一助とし て、Sigma Engineering社が 2 日間のトレーニングコースを開催し、140 名の掘削オペレーター(英語 は喋れない)が受講した。オペレーションについては、HSEの一環でProcess Hazard Analysis(PHA) が実施された。
(5) UAE の上部ザクム油田 実施形態および期間:
JODCO、旧石油公団TRC、および現地操業会社ZADCOの3者が、新システムの開発指針、デザイ ンコンセプト、現場作業手順および緊急時対策を共同立案し、Sperry Sun Drilling Services社(Halliburton 社の子会社)が必要な機器の開発設計を担当した。上記の4社に加えて油田の共同事業者である ADNOCと、掘削作業を請け負っている別の操業会社であるADMA-OPCOが本プロジェクトに参画した。 本プロジェクトの達成には2002年より3年を要した。 技術水準: 本油田で実施されたMLTBSは既存坑井での事例としては世界初であり、テクノロジーアドバンスメ ントマルチラテラル(TAML)のレベル5を達成した。TAMLコンソーシアムは、大手および有力独立系石 油会社が開発を推進する水平坑井の技術水準(レベル1~6)を定義している。レベル5は特殊仕上げに より分岐部分の圧力遮断を確実にした水平坑井である。 結果: 通常の既存坑井の水平化作業と比べ、穿孔作業および追加坑内機器などのために、US$2百万の 追加投資が必要となったが、コイルドチュービングを水平坑井の坑底まで降下することが可能となり、効 果的な酸処理が実施できた(図24左)。 酸処理後の生産量は酸処理前と比較して、タママI A層で5倍,タママII層で2倍に増加した。また、
生産検層(PLT)による坑井内への流体流入分布情報の入手が可能となり、油層モデルや坑井内の流動 モデルに反映された。 図 24 MLTBS 試行(左)とその後(右) その後の展開: タママI A層に続いて、II層に対するMLTBS化、および二次的なラテラルが掘削された(図24右)。 この二次的なラテラルとは、MLTBS の水平坑から更に魚の骨状に掘削するラテラルを意味し、MLTBS と 同じ技術水準レベル 5 を目指した。 (6) メキシコ陸上のチコンテペック盆地 (図 25) 増産計画: 9 2 0 0 8年から2 0 1 2年の投資予定 1 1 0億ドル(2 0 0 9年2 3億ドル)。 9 インフラ整備、1,2 0 0 油井掘削予 定@2 0 0 9 年、パイプライン整備 窒素圧入計画。 、 2 標。 9 現状3万1,000バレル/日、7万 2,000バレル/日@2010年目標、ピ ーク生産6 0 万バレル/日@ 2 0 0 年以降の目 図25 メキシコの主要堆積盆地と油田位置 27/33 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
9 掘削効率の向上: 掘削日数8 日/坑(Schlumberger)。2009年3月第3次掘削入札500坑を53億9,000 万ドルでSchlumbergerが落札。先立つ第1次および第2次入札はWeatherford社が落札。Weatherford 社は、イラク陸上での坑井改修作業も200坑以上の実績あり。
4. 原油や天然ガスの生産コスト推定
世界の石油開発にかかるライフサイクルの技術コスト分析レポート(Upstream costs and the price of oil: 英コンサルタント会社 CGES、2008 年)をレビューした。 4-1. 生産コスト推定の難しさ z 生産コストの内訳: 技術コスト(探鉱、開発、操業)、資金コスト(金利)、公租公課(租税、ロイヤ ルティ)、適正利潤(IRR年 15%程度)。技術コストは、発見コスト(バレル当りの探鉱費と開発費の 合計)、生産/リフティングコスト(バレル当りの操業費)という分け方もある。 z 探鉱費の大半は経費処理され、資産化されず。一方、開発費の大半は資産化され、生産開始後、 減価償却されて費用計上。操業費は可変費用で毎期に経費処理。一般に初期の探鉱費支出と 油田生産後期の操業費支出では、数十年のタイムラグがあることも普通で、インフラ等貨幣価値 の調整をどうするかも問題。 z 将来の資源量アベイラビリティの推定を図 26に示す。縦軸は総合生産コスト(技術コスト + 公租 公課 + 適正利潤)。横軸は原油換算の日産量。 図 26 将来の資源量アベイラビリティの推定 28/33 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。