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九州大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

多元的無知が非合理的社会現象の普及および維持過 程において果たす機能

宮島, 健

https://doi.org/10.15017/1931680

出版情報:Kyushu University, 2017, 博士(心理学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)

(様式6-2)

氏 名 宮島 健

論 文 名 多元的無知が非合理的社会現象の普及および維持過程において果 たす機能

論文調査委員 主 査 九州大学 教授 氏名 山口 裕幸 副 査 九州大学 教授 氏名 中村 知靖 副 査 九州大学 教授 氏名 南 博文 副 査 九州大学 准教授 氏名 池田 浩

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

本論文は、「集団の多くの成員が,自分 自身は集団規範を受け入れていないに もかかわら ず,他の成員のほとんどがその規範を受けいれていると信じている状 況」と定義される多元的

無知 (pluralistic ignorance) が、多くの成員の受け入れていない社会規範 (i. e. unpopular

norm) を維持・再生産させる機能を果たすことに着目し、集団や社会を構成する個人のいか なる心理プロセスを経て,この現 象に結びつくのか、一連の実証的研究に よって得られた結 果に基づいて議論した ものである。実証的な検討は、現在の日本において顕在化している社会

現象(i. e. 日中関係,男性の育児休業問題)を題材に,多元的無知が人々の認知や行動意図に

及ぼす影響を明らかにし,それが生み出すマクロな社会的帰結について議論した 具体的には、

多元的無知と意見表明意図との関連性、多元的無知に よる不支持規 範の維持・再生産プロセ スをより強固なものにする社会的機能を担う「偽りの実効化(false enforcement)」の生起メ カニズム、組織における「心理的安全」の知覚が多元的無知状態が行動意図へ及ぼす影響を緩 衝する効果に関する検討を行い、総合的考察を行っている。

本論文は,多元的無知をあるトピックにおける成員聞の認知のズレと記述する だけではなく,

それが人々の認知や行動にどのような影響を及ぼし,結果的に集 団内のダイナミックスにおい て,どのような社会的機能を担うのかという、マイクローマクロ ・ダイナミズムの観点からア プローチした重要な研究成果を報告するものであり、多元的無知現象に 関する社会心理学的研 究 の発展に寄与する もの となっている。現状の研究における限界と今後の課題も的確に認識 されており、今後さ らなる研究の発展が期待される。これらの研究の成果は、国際ジャーナル に発表 し、世 界的な関心を集め 、新聞な メディアでも数多く取り上げられてきた。研究テ マ は心 理学としての学術的価値の高さのみならず、多元的無知による不合理な社会現象の解決 に関する有益な実践的提言につながるものとしても評価できる。よって,本論文は博士(心理 学)の学位に値するものと認める。

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