的高い。
(2)3クラスタの購買特性
3クラスタの購買行動について分散分析を行ったと
ころ,すべての項目で有意差がみられた(図8,Q6-9
のみ p<.05,他はすべて p<.001)。第1クラスタは,す
べての項目に対して「あまりあてはまらない」「まっ
たくあてはまらない」と回答する割合が高く,商品や
買い物に対して関心が低いようである。第2クラスタ
は,すべての項目で中間的な値をとっているなかで,
インターネットや SNS などから客観的な情報を比較
し,価格を検討しているようである。第3クラスタ
は,大半の項目に対して「とてもあてはまる」「やや
あてはまる」と答える割合が高く,商品や買い物に対
して意欲的な姿勢を窺い知ることができる。彼らは,
インターネットや SNS などから客観的な情報を比較
し,価格を検討する一方で,自らの五感やセンスを重
視した購買行動を行うとともに,商品がもつ人や環境
への配慮にも共感を抱いているようである。
3クラスタのソーシャルプロダクツに対する不満に
F1.SDGs・SP認知 F5.エコアクション F4.商品の背景や将来への思い F3.SP購入 F2.OG・FT購入 1.5 1.5 1.3941.394 1.0 1.0 0.0 0.0 -0.5 -0.5 -0.016 -0.016 -0.021 -0.021 -0.158 -0.158 -0.029-0.029 -0.193 -0.193 0.110 0.110 -0.108 -0.108 -0.773 -0.773 -0.166 -0.166 0.5080.508 0.634 0.634 0.120 0.120 0.5 0.5 -0.840 -0.840 -0.895 -0.895 Clu01:低関心・低関与型 Clu02:SPアクション型 Clu03:SDGs・SP意識型 -1.0 -1.0 図 7 3 クラスタの特性 表 3 3 クラスタの基本属性Clu01:低関心・中関与型 Clu02:SP アクション型 Clu03:SDGs・SP 意識型
人数 194人 277人 129人
性別 (10~40代の男女80.9%)男性63.9%,女性36.1% (30~60代の女性48.7%)男性36.8%,女性63.2% (10~30代の男性34.9%)男性57.4%,女性42.6%
年齢 (10~30代の男女62.9%)平均35.1歳,中央値32.0歳 (30~60代の男女79.1%)平均45.5歳,中央値49.0歳 (10~30代の男女58.1%)平均37.0歳,中央値36.0歳
3.5 3.3 3.1 2.9 2.7 2.5 2.3 2.1 1.9 Q6-1 .客観的な情報を比較Q6-2 .価格を検討 Q6-3 .五感を重視 Q6-4 .センスで購入 Q6-5 .特定ブランドの購入 Q6-6 .異なるブランド購入 Q6-7 .知らないブランド購入に躊躇ない Q6-8 .買い物時点で購入商品を決めないQ6-9 .スマホやPCでの衝動買い Q6-10 .購入前にネットやSNSなどで調べる Q6-11 .購入後にネットやSNSなどで調べるQ6-12 .商品の口コミ(SNS )をする Q6-13 .商品の背景に関心がある Q6-14 .買い物が将来世代に及ぼす影響Q6-15 .商品の人への配慮に共感 Q6-16 .商品の地球への配慮に共感 3.16 3.16 2.84 2.84 2.44 2.44 2.44 2.44 2.27 2.27 2.31 2.31 2.14 2.14 2.142.14 2.162.16 2.252.25 2.092.09 2.38 2.38 2.2 2.2 1.971.97 1.961.96 1.96 1.96 2.082.08 2.06 2.06 3.06 3.06 2.77 2.77 2.75 2.75 2.65 2.65 2.43 2.43 2.56 2.56 2.57 2.57 2.27 2.27 2.8 2.8 2.48 2.48 2.08 2.08 2.34 2.34 2.22 2.22 2.43 2.43 2.5 2.5 3.3 3.3 3.05 3.05 2.93 2.93 2.86 2.86 2.59 2.59 2.74 2.74 2.872.87 2.36 2.36 3.12 3.12 2.72 2.72 2.38 2.38 2.75 2.75 2.57 2.57 2.84 2.84 2.85 2.85 Clu01:低関心・低関与型 Clu02:SPアクション型 Clu03:SDGs・SP意識型
ついて分散分析を行ったところ,「身近なところで買
える場所がない」「種類が限られている」「企業の社会
的活動に関して透明性が足りない」「価格」の4項目で
有意差がみられた(p<.001,図9)。なかでも,SDGs
やソーシャルプロダクツに関心の高いクラスタ3は,4
項目すべてにおいて不満度が最も高くなっている。
(3)3クラスタのライフタイル特性
3クラスタのライフスタイル性向について分散分析
を行ったところ,すべての項目で有意差がみられた
(図10,p<.001)。クラスタ1は,どの項目においても
「あまりあてはまらない」「まったくあてはまらない」
と回答する割合が高く,ライフスタイルに対して消極
的な姿勢が見受けられる。第2クラスタは,すべての
項目で中間的な値をとっているなかで,「好きな物事
に関する機会をみつけるとワクワクする」一方で,
「物事に際してミスをしないか,よく不安になる」傾
向が高いようである。第3クラスタは,すべての項目
で「とてもあてはまる」「ややあてはまる」と答える
割合が高く,「好きな物事に関する機会をみつけると
ワクワクする」「どうすれば目標や望みを果たせるか
想像することが多い」と答える一方で,「物事に際し
てミスをしないか,よく不安になる」傾向が高いよう
である。
(4)3クラスタの心理的距離
以下では,社会的課題に対する関心度や心理的距離
にもとづいて,3クラスタの特性を明らかにしていく。
①社会的課題への関心
社会的課題に関しては,既にクラスタ3>2>1の順
に高いことが統計的に示されているが,これに加え
て,「企業の社会的活動への評価」について分析をし
たところ,すべての項目において有意な差がみられた
(p<.001,図11)。
②経験的距離
3クラスタの経験的距離(該当する社会的課題に関
して過去に具体的な行動を行ったか否か)について
は,ほぼすべての項目に有意差(p<.05)がみられ
た。寄付や募金といった社会的行動に関して,3クラ
スタ間のそれぞれで明確な有意差がみられたのは,
「Q2-1.寄付・募金」「Q2-2.ボランティア参加」
「Q2-4.省エネ」「Q2-5.廃品回収・フリマ」「Q2-3.40 3.37 3.37 3.12 3.12 2.85 2.85 2.99 2.99 2.74 2.74 2.762.76 2.54 2.54 2.46 2.46 2.41 2.41 2.72 2.72 2.41 2.41 2.63 2.63 2.98 2.98 2.54 2.54 2.282.28 2.14 2.14 2.242.24 2.172.17 3.20 3.00 2.80 2.60 2.40 2.20 2.00Clu01:低関心・低関与型 Clu02:SPアクション型 Clu03:SDGs・SP意識型
ル・プロダクツへの不満としては,「どれが該当する
商品なのか分からない」「身近で買える場所がない」
といった意見が多いことから,企業のプロモーション
に課題があるといえる。価格への不満に対しては,商
品の価値を理解してもらうための工夫が求められる。
企業の社会的な取り組みに対しては,総じて高い評価
となっていることから,様々なコミュニケーション・
ツールを活用した積極的な情報発信が期待されている
と考えられる。
クラスタ分析の結果からは,以下の点が明らかに
なった。「クラスタ1:低関心・低関与層」は,比較的
年齢層の低い未婚の男女が多く,社会的課題や消費生
活に対する関心が低い。心理的距離に関しても,殆ど
の項目で低い値となっている。彼らに対しては,身近
な生活課題からソーシャル・プロダクツへの興味・関
心を高めることで,社会的課題の解決につなげること
ができると考えられる。「クラスタ2:SP アクション
型」は,ソーシャル・プロダクツの購入経験がある中
高年層が多く,心理的距離については,殆どの項目で
中程度の値を示しているものの,寄付つき商品や障害
者支援商品,復興支援商品といった利他的な消費行動
を行う傾向が高い。彼らが抱くソーシャル・プロダク
ツの種類の少なさや価格に対する不満を解決すれば,
社 会 的 消 費 は 高 ま る と 思 わ れ る 。「 ク ラ ス タ 3 :
SDGs・SP 意識型」は,比較的年齢層が低く,社会的
課題や消費生活に関して関心が高い層で,心理的距離
についても高い値を示している。彼らは,健康やエコ
グッズ(省エネ)といった利己的動機にもとづく社会
的な消費傾向にある一方で,SDGs とソーシャル・プ
ロダクツ,社会的消費などを一体として認識していな
いようである。
注1)Mohr Lois A., Webb Deborah J., Harris Katherine E. (2001). 2)SDGs については,外務省 https://www.mofa.go.jp/mofaj/
gaiko/oda/sdgs/about/index.html 及び,国際連合広報セン ターhttps://www.unic.or.jp/activities/economic_social_devel-opment/sustainable_development/2030agenda/ に詳細が記さ れている(ともに2020/11/1アクセス)
3)Yaacov Trope and Nira Liberman (2003).
参考文献
・阿部周造(2009)「解釈レベル理論と消費者行動研究」『流通 情報』41(4),6-11頁。
・Alexa Spence, Wouter Poortinga, Nick Pidgeon (2012), “The Psychological Distance of Climate Change,” Risk Analysis, Vol.32, No.6, pp.957-972. ・神原理(2020)「社会的消費と SDGs に関する意識調査」 『専修ビジネスレビュー』Vo.15,No.1,51-59頁。 ・神原理(2020)「社会的消費に関する一般的傾向の抽出と検 証―MAXQDA を用いた特性の抽出―」『専修ビジネスレ ビュー』Vo.15,No.1,61-73頁。
・Mohr Lois A., Webb Deborah J., Harris Katherine E. (2001), “Do Consumers Expect Companies to Be Socially Responsible? The Impact of Corporate Social Responsibility on Buying Behavior”, Journal of Consumer Affairs, Vol.35, No.1, pp45-72.
・Rebecca Hamilton (2015), “Bridging Psychological Distance”, Harvard Business Review, 93(3), pp.116-119. ・Yaacov Trope, Nira Liberman (2003), “Temporal Construal,”