残 余 持 分 理 論 と 資 産 の 測 定 基 準
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(2) 清責任編集︑体系近代会計学第一巻︑﹁会計学の基. 阪本安一稿﹁原価主義か時価主義か﹂企業会計︑一九六一年八月号︑七〜九頁︒ 中島省吾稿﹁ゴーイング.コンサーン概念にもとづく資産評価﹂︵黒沢. 良宙易ま窪血−冒o昌oし8H.. 市村昭三稿﹁軍ρ向oミ彗宗俸﹃事・炭隻教授におげる経営剰潤論の展開﹂︑酉南学院大学商挙論集第九巻第二号. 第九巻第二号およぴ第三号 同稿﹁現代会計の一指向﹂︑企業会計︑一九六⁝年八月号. 荒川邦寿稿﹁エドワーズ.ベルによる実質利益の測定について﹂ω②⑧︑酉南学院大挙紀要第二号︑酉南学院大学商学論集. なお︑ヱドフーズHベル両教授の所説については次の誇論稿で詳しく紹介論評されている︒. 向屠弩o・目oミ弩穿俸巾巨=宿ミ.宙①戸弓ぎ↓ぎoξ彗o峯塞ω膏⑭旨彗. 染谷恭次郎著﹁会計学﹂︑昭和三七年︑三頁︒. 礎概念﹂︑第三章第四節︶︑昭和三四年︑一七一〜四頁︒. (2〕(1) (4)(3〕. 3工6. の決定およびその評価に役だつ会計資料の作成という観点から︑歴史的原価︵罰黒oユs−8g︶にかえて現在原価. ︵昌§g叶8邑の採周が提案されている︒ 功 他のひとつは︑ストウバス準教授の﹁投資家のための会計理弘凹にみられるものである︒ここでは︑会計の主たる. 計理論﹂を取り上げ︑その中核をなす残余持分理論と資産の測定基準を明らかにすることによって︑原価主義会計批. 本稿は︑こうした新しい会計理論形成の二つの試みのうち︑後者すなわちストウバス準教授の﹁投資家のための会. 判し︑有用な会計資料の作成という目標に向って理論を展開している点はきわめて興味深いものがある︒. この岡者は︑その視点において︑また接近方法において相違はあるが︑ともに従来の会計理論にみられる不傭を批. から︑残余持分理論が展開され︑時価︵ε胃①巨き巨①︶の採用が主張されている︒. 目的は投資家が投資についての意思決定を行なうさいに役だつ計数的な経済的資料を提供することにあるという観点. ㎜ 判の拠りどころがどこに求められるかを解明するものである︒ 注.
(3) 1蛎. ⑤. 拙稿﹁経営意思の評価に役だつ利益概念﹂︑税経通信︑一九六三年三月号︒ ①8長o−撃暮ぎ9>↓すooq艮>8暮巨ぎ団目8H⁝①go易一岩曾.. 同準教授は︑これに先立って次の論文を発表しているo. なお︑これらについては︑次の論稿で紹介論評されている︒. ︑︑↓ぎ肉窃a竃−b着︷︷勺9目け良≦①ミま>8昌算ぎ堕︑︑§恥ト§§きミ竈完§膏§富目. 同稿﹁残余持分理論におげる貸借対照表の計算構造﹂︑会計学研究︑第七号. 武因安弘稿﹁会計におげる残余持分の観点﹂︑会計学研究︑第二号. 丹波康太郎稿﹁ストーバスの会計におげる残余持分の見地﹂︑会計︑昭和三四年四月号 新井清光稿﹁会杜資本の分類と表示法﹂︑早稲因商学︑第一五九・一六〇合併号. 津曲直鶉稿﹁ストウバス﹃投資者に対する会計の理論﹄﹂︑経済学論集第︑二十八巻第二号. 加藤盛弘稿﹁投資家への会計情報﹂︑同志杜商挙︑第一四巻第二号 山崎佳夫稿﹁残余持分の見地﹂︑富大経済論集︑第九巻第一号. εgI. ストウバス準教授が主張する残余持分の観点あるいは残余持分理論︵篶吻竃墨−①ε茸竃一巨o︷色ΦξJとは︑﹁いず 6︵ ︶. れの利害者集団も特に吸収することを認めないような経済事象が組織体の資産に影響を与える場合に︑こうした影響. の ︵. を受ける組織体の資産に対する衡平的な権利﹂としての残余持分を正しく測定することを通して︑投資の決定に役だ. つ会計資料を提供せんとするものである︒この残余持分の観点は︑いわゆる会計主体論における資本主説と同一視さ. れるおそれがあるが︑資本主説と同一のものではたく︑むしろ資本主説から企業体説へと展開をとげている会計理論 の流れに対するひとつの反省として生まれてきたところにその大きた特徴がある︒. 317. 二.
(4) 318. ストウバス準教援は︑これまでのおもだった会計学の文献について投資家をどのように扱っているかを調べたあと. で︑ ﹁会計理論に関する多くの研究は︑投資家を会杜の報告書の利用者であると考えている︒しかし︑投資家が直面. している間題に対して特別の注意を払っている研究は少ないし︑投資家を会計資料の主たる利用者と考え︑ωこうし. た投資家がどのような間題をもっているか︑②またその間題を解決するためにどうような種類の資料を必要としてい. るか︑③こうした資料を利用者に伝達するためにはどのような報告の形式が望ましいかを首尾一貫して明らかにして 割 いる研究はまったくない︒﹂と述べている︒企業撹模の拡大にともなう資本と経営の分離によって︑今日︑犬多数の. をいい︑このグル︑︑ブには︑個人企業の企業主︑組合企業の組合員︑普遼株主あるいは優先株主といういわゆる所有. か︒投賢家とは︑将来において当初の投資額を上まわって払戻しを受けることを期待して企業に資産を投下するもの. さて︑ストウバス準教援のいう投資家とは具体的に誰を指し︑また彼等の関心は何に向げられているのであろう. 業の現実に立脚した会計理論であるといえる︒. 背景があったように思われる︒この意味において︑ストウバス準教授が展開する残余持分理論は︑近代的株式会杜企. 資家の立場が弱められたという現実のなかに︑投資家こそ会計資料の主たる利用者であるとする会計理論の生まれる. 逆説的ないい方であるが︑会計において近年︑﹁企業それ自体﹂というものが強く意識され︑株主をはじめとする投. る資料を十分提供しないとすれぱ︑投資家は投資の決定にさいしてまったく批りどころを失うことになる︒きわめて. 入が期待できるかを知るだげである︒したがって︑もし公表する財務諸表が︑投資家が投資の決定に関して必要とす. 財務諸表によって︑自分たちの投下した資本が効果的に利用されているか︑また将来その投資に対してどれだけの収. 支払ってくれれぱ望ましいと自ら進んで請求することができないようた地位におかれている︒彼等は会杜が公表する. 投資家は︑経営から離れて企業の外部に後退を余儀なくされている︒そして︑こうした投資家は︑会杜がどのくらい. 126.
(5) 127. 有. 選択できるコース. 将. 投資を行な. う. 不. 利. 来. の. 投. 資. 利. 家. この投資から将来現金収入が. 現在の現金を支出する(現金. ある. を別のコースに利用Lて利益 を得ることがどきない). 投資を差し控える. 現在現金を支出しない(現金. この投資からは将来現金収入. を別のコースに利用した利益 がない を得ることができる) 現 投資関係を継続する. 投資関係を中断する. 在. の. 投. 資. 家. この投資から将来現金収入が. 現在の請求権を譲渡して現金. ある. を受け取ることができない (現金を別のコースに利用し て利益を得ることができない). 現在の請求権を譲渡Lて金を この投資から将来窺金を受げ 受け取る(この現金を別のコ. 取ることができ舳・. 一スに利用して利益を得るこ とができる). り 投 不 ど こ で 資 利 れ の あ 家 で を. 奈鮎婁雲奮 択. よ. 不 利. の. 有 利. 基 本. 将 来. ス. 的. の. か. に. 投. と い. コ. る. か. ら な げ. 有 利. ら ひ と. 投. は. で あ. つ. 資. 新. 決 定. を. に. し. を. 現 在. り. 選. 関. く. 行. の. ぶ. し て. 投. 淀 う. 投. よ. ぱ. ○. び. 上. 将 来. の. う. と お. 319. 断 す. で に 決 当 な 含 定 局 う く め を も ら 行 L た 将 れ な 企 投 来 る う 業 資 の と に. と. な ら な い. の. の. か 中. が. 表 示 す れ. お. ㌧. 知. を. 現 在. る. ち. か を. れ ぱ. う に. わ. ど. れ. と. を. 選. で あ. ぶ し. た. 岳ミ. ら 明 ら か な. つ か. 選 択. 資 家. 資 関 係. う. 家 は. と. 係. に. が. を. り. で き. 入. る. る. と. そ. い. 必 要 で. 継 続 す. が. の. く. と. あ. る. 権 者 も 含 め ら れ. 着 を は じ め い. 投とい対がる 資 も う し 。 家. 資 関. か ら 間 題 は あ る. も. 含. め. あ. る. ま. らた. 理. て. 財. か. 資. の. 由. ら. 投貨. 家. ろ. い ろ な. ま. た. 洪. 契. r 約. ・と給投. れ現投同者資 毛(・)奮豪㍑窒. に も と. 投 の う 業 と 資 グ た 員 い 家 ル 経 う. 各 種. づ く. だ 1 済 税 言 の け ブ 的務 葉 資.
(6) 320. 投資家が行なう投資の選択にともなう有利・不利は結局︑ωもし投資関係を開始するか継続するとすれぱ受げ取るこ. ¢. 資料﹂でなけれぱならたいのである︒. ここにいたって︑われわれのの関心は︑. 要素である現金を支払う能力は︑第二の要素とは一応切り離して考えられるものであり︑それは現金の保有︑すな. 傭の取替もしくは拡張に必要な現金支出︑支払期目前の債務の返済その他の現金支出を考慮Lて決められる︒第一の. ことができる︒第二の要素は︑取締役会の考え方に依存するものであり︑近い将来に返済すべき賛務の支払︑生産設. の請求権に関する法律上の順位は︑会計の領域の外にあるものであり︑これに関する資料は会計報告書以外に求める. 思︑︑③投資家の請求権に関する法律上の順位という三つの要素に依存する︒・﹂のうち︑第三の要素︑すなわち投資家. るが︑ストウバス準教授に従えば︑これは︑ω企業が現金を支払う財務的能力︑②経営着の投資家に対する支払の意. ﹁投資家が受げ取ることのできる将来の現金収入﹂に向けられることにな. すれ蝦︑それは︑ ﹁投資関係をもつ結果として投資家が受げ取ることのできる将来の現金収入の時期と金額に関する. ついての資料は︑企業の側からは提供できないのである︒もし︑企業が投資の決定に役だつ会計資料を提供できると. らないか︑③また︑いま投資関係を中断するとすればどれだげの現金を受げ取ることができるかというような間題に. に現金を利用すればどれだけの利益があるか︑②いま投資を開始するとすれば︑どれだげの現金を支出しなけれぱ在. ぱ︑投資家にとってきわめて役だちの多いものとなる︒しかし︑こうした有利一不刑のうち︑ω投資家が別のコース. したがって︑企業が提供する会計資料が︑こうした投資家の選択にともたう有利・不利を明らかにするものであれ. したいですむ﹁現在の現金支出﹂︵あるいはその現金を別のコースに利用する可能性︶という二点に要約される︒. 関係を開始するか継続するとすれば支出しなけれぱならないが︑反対にその投資関係を差し控えるか中断すれぱ支出. とができ︑反対にその投資関係を差し控えるか中断すれぼ受げ取ることができない﹁将来の現金収入﹂と②もし投資. ㎜.
(7) ユ. 29. わち企業の現金残高によって示される︒したがって︑これらの三つの要素のうち︑会計が投資家に対して提供できる. 唯一の資料は︑企業の現金残高に関する資料であるということになる︒こうした資料が投資家にとってなぜ必要とさ. れるのかについて︑ストウバス準教授は︑﹁株主は︑特定の期日に特定の金額を支払ってくれるよう企業に対して講. 求する権利をもっていないから︑とくに決まりがあるわげではないが︑かなり長い期聞についての企業の現金残高に. 関する資料を必要とする︒さらに︑その持分を売却する場合の売却価値は︑売却時において予想される将来の見通し. によって左右されるから︑投資家は企業からその譲受人に対して将来なされる現金支出に関する清報を得たいのであ ⑫ る︒﹂と述べている︒. すなわち︑残余持分理論の基本的な考え方に従えぼ︑投資家が投資の決定を行なうのに役だつ会計資料を提供する. ことが財務会計の任務であり︑それは企業の現金残高の把握を通して︑投資家が受げ取ることのできる将来の現金収. 岩竃 やo〇一. 会許主体論に関してぱ︑これまできわめて数多くの論文が発表されているが︑こうした内外の論争を展望したものに次の文. ◎8H胴o−ω冨目げ易一.︑↓ブo勾窪己自邑目o邑ξ弓色昌け艮<寂奏ぎ>8◎貝算ぎ軍..ドざト§oミミぎ崎亀§膏§−胆冒. 入を明らかにすることである︒. ω. 注㈹. 献がある︒. 飯野利夫稿﹁いわゆるエンティティ論争﹂︵財務会計セミナー︶︑企業会計︑第九巻︑第六目苛. 新井清光稿﹁会計主体論争﹂︵飯野利夫・山桝忠恕編集︑会計学基礎講座第一巻︑企業会計原理︶︑昭和三八年︒. o8轟①−ω冨目げ易し宝旦︷b一畠1. ⑧ ooo轟①−ωs邑︺易一>↓ブo昌︸o︷>o8冒目饒冒o目ざ5きgo屋一畠2一po〇一. ⑨. ㊦8長①H1ω冨冒ず崔吻し蟹以.一〇一旨一. ⑩ o8嚢−望彗び易一ま峯一p崖. ⑩. 321.
(8) 130. ⑫Ω8轟①−1撃彗ぎ夕婁山. U︑ 〇二. 肉一. 困一. ;LΦ・. 港き︵片口壽減﹁べτび章米θ︑漫齢粋圧 ÷鳶滞θ章米θ睦齢冷圧. 坐峨渚θ濁齢﹄肩>. 灘諦θ濁齢鳶瑛. 口十射Ho匙十〇一 ・:⁝:::::::::::・::・::=・::::・:::・㊥. この等式を次のように変形すれぽ︑確定している支出と︑不確定の支出との区別が明らかになる︑. ら企業が受け取ったすべての現金は企業の所有老によって請求されるという事実の上に︑この式は成立している︒. 現金の支出は︑使用できる現金をこえては行なわれないし︑また現金はすべての人問にとって好ましいものであるか. 澤蒔θ澤紛鳶褒十薫米θ窯紛漬>u坐幽渚θ澤紛料圧⁝θ. こうした計算書の内容は︑次のような現金等式︵s穿8暮ま箏︶によって表わされる︒. 出︵本来の意味での投資家以外に対する︶を明らかにする計算書がこれに代わることになる︒. ないから一投資の決定を行なう時点における企業の現金残高と投資関係が続いている期聞の企業の現金収入と現金支. だげ支払ってくれるかを明らかにする計算書である︒しかし︑︸﹂うした投資家に対する支払計算書はふつう利用でき. 投資関係を開始あるいは継続しよとうする投資家にとってもっとも有用た資料は︑企業が投資家に対して将来どれ. しようo. 前節において︑われわれは︑残余持分理論の基本的な考え方を明らかにしたが︑つづいてその計算構造を明らかに ⑱. 三. 322.
(9) 131. ⁝⁝⁝⁝⁝・⁝⁝⁝:⁝⁝⁝・⁝⁝⁝⁝⁝−:◎. さらに︑この等式は次のように変形できる︒ d+内IU邑HU甫. この等式において明らかなように︑叫はB︐R︑以に完全に依存するものであり︑会計上独特の計算要素である︒. また将来の現金収入にたえず注意を払っている投資家にとっては︑投資契約が完全に履行されるというあてがないか. ぎり︑投資家は︸﹂の以のなかに将来の現金収入を見いださなければならないから︑さらに重要な意味をもっている︒. Lかし︑今日の企業は︑現金だげを保有しているわげでもないし︑現金だげの取引を行なうものでもないから︑こ. うLた現実に適合させるために︑現金以外のサービスの収入および支出をこれに含めて︑第三式を変形すれぽ次の等 式が得られる︒. 竜米θ斗1〜メ芦>. 謁渚θ騨紛気>. ︸十内〇十内宙IUSIU身1lU直⁝⁝⁝⁝⁝⁝・⁝⁝⁝⁝:⁝⁝㊥. 肉二 カ由一. ∪暮一 鳶潮rべτか竜米θ陛紛鴻圧 U身一 轟浦⊂べτび薫渚θ寺1〜メ料圧. すなわち︑−﹂の凪は︑将来の収入分を含めて企業が所有している現金およびサーピスのうち︑確定している将来の. 現金およびサービス支出をこえる部分を表わす︒そして企業に関係をもっている利害者集団のなかで︑こうした超遇. 部分を受け取る権利をもっている集団が︑企業のいわゆる﹁残余持分﹂の所有者である︒より正確にいえぱ︑残余持. 分とは︑利害関係者葉団の確定している請求権を満すために必要とされるサービスをこえて︑企業が提供できるすべ ての サ ー ビ ス を 受 げ 取 る 権 利 で あ る ︒. 凪に示される残余持分は︑︸﹂の等式から明らかなように︑ただ差額として測定されるのである︒この等式における. 323.
(10) 1一. B︵現在の現金残高︶︑&︵将来の現金収入︶︑. お︑一び恥︵企業が所有しているサーピスの貯蔵︶であり︑. 324. プラスの項目は︑. ○ これらは一般に資産︵竃竃邑とよぼれるものを指す︒これに対してこの等式におけるマィナスの項冒は︑以︵確定し. 8 ている将来の現金支出︶と以︵確定している将来のサーピス支出︶であり︑特定持分︵名g葭o8皇一鶉︶または負債︵茅− 一︺婁庄g︶とよばれるo. したがって︑第四式は︑次のように書き直すことができる︒ 蟻繰−奪甫講串H蟻粉講ヰ⁝⁝⁝−・⁝−⁝−:⁝−−・⁝⁝⁝⁝㊥. この等式こそ︑残余持分理論の計算構造を明らかにするもっとも基本的な等式であり︑残余持分理論は︑この等式に. が︑この残余持分は特定持分の所有老にとってもまた重要な意味をもっている︒それは︑残余持分が緩衝器︵ぎまH︶. 残余持分の所有者が︑このようにして計算される残余持分に対して関心をもっていることは説明するまでもない. るo. 必要とするサー−ビスのほかにサーピスを受げ取る権利を有する自然人もしくは法人が必ず存在するということであ. うことである︒すなわち︑企業でも︑非営利事業でも︑政府でも︑その他の組織体でも︑特定の契約を履行するのに. 有者が︑残余持分の所有者になるということである︒第二点は︑すべての会計実体において残余持分が存在するとい. 規の残余持分の所有老が︑損失その他の理由でその持分を失ったとき︑優先株主とか債権者という次の順位の持分所. ⑭ という貸借対照表方程式ときわめて類似しているが︑二つの点で両者は異なっている︒第一点は︑伝統的ないしは正. 癖蹄−漆蹄11 謹 奉 醍. もとづいて展開されるのである︒なお︑この等式は︑資本主説において成立している. 32.
(11) ユ. とLての役目を果Lているからにほかならたい︒すなわち︑残余持分が大きいことは︑上位の持分所有者の安全性が. 大きいことを意味するし︑残余持分が小さいことは︑上位の持分所有考の安全性が小さいことを意味する︒. また︑この残余持分についての最も大きな特徴は︑その大きさが︑資産および特定持分という他の計算要素によっ. て左右されるという点に見いだされる︒すなわち︑資産および特定持分を正確に測定Lなければ︑残余持分を正確に 測定することはできないのである︒ 注⑱08蟹O−望彗ぎ9>↓ぎO︷良ト08冒葦Oq8H毫Oω8轟し⑩含1りやミーε ⑭ O①O轟①﹁ω冨亭豪し9臥−一〇.岩1. 残余持分は︑すでに明らかにしたように︑資産と特定持分との差額として測定される︒したがって︑残余持分が︑. 投資家の将来の現金収入額をよく表示するように測定されるためにぱ︑資産について予想される将来の現金の収入額. および特定持分について予想される将来の現金支出額が正しく測定されたけれぱたらないわけである︒こうLた資産. および特定持分の測定に関連して考えられる第一の方法は︑個々の資産についての将来の現金収入額を合計L︑それ. ⑮. から個々の特定持分についての将来の現金支出額の合計を差し引くという方法であり︑これは加算法︵豊目昌きg. もし︑すべての資産および特定持分について︑その将来の現金の収入額および支出額が関確であれぱ︑この加算法. はきわめてすぐれた測定方法であるが︑土地︑建物のよう恋固定資産︑あるいは現金を支払うのではたくて︑財貨も. Lくはサーピスを提供するというよう淀債務については︑将来の現金の動きをはっきりと把えることができない︒し. 325. 岩宥塞9︶とよばれるo. 33.
(12) 134. たがって︑︸﹂の加算法によって資産および特定持分を測定しようとすれぱ︑サーピスは提供するが︑︑ての将来の現金. の収入額が測定できない資産や︑サーピスもしくは財貨を提供しなげれぽならないが︑それについての将来の現金支. 出額が測定できない債務は︑資産および特定持分からそれぞれ除かたげれぱたらなくなる︒. この加算法に代る方法は︑残余持分を時価︵o膏冨gく巴毒︶で測定しようとするものであり︑残余持分時価法 ⑤. ︵塞昌⑰鼻H鶉匡畠一遭奏︸岩零富oaとよぱれる︒ここでいう残余持分の時価とは︑現価︵勺︑︒閉︒︒一く匝−︒︒︶で測定さ. れた資産の総額から︑現価で溺定された特定持分の総額を差し引いたものである︒この方法は︑一見︑投資家にとっ. て最大の関心事である企業における将来の現金収入および将来の現金支出に関する資料を放棄するような感を与える. が・現価は将来の現金の収入あるいは吏出を割り引いたものであるから︑もL資産や特定持分についての現価に相当. するものが確実な証拠にもとづいて計算されるとすれば︑それは蒔聞の要素をも含めて︑資産や特定持分にかかわる. 将来の現金の動きを表わすことができる︒︸﹂の意味において︑時価法によつて求められる資料は︑将来の現金坂入あ るいは現金支出を単純に加算して得られる資料よりも有用であるといえる︒. さて︑資産および特定持分を時価法で測定する場合には︑利用できる資料を十分に活用して︑できるだげ新しい時. 価で測定することが必要となる︒この場合にわれわれが利用できる証拠はいろいろある︒ある場合には︑将来の現金. の動きについての契約上の証拠が求められるであろう︒他の場合には︑現在の市場の相場が︑資産および特定持分が. 残余持分の所有者に対してもっている将来の役だちを表わすもつとも適切な証拠であるし︑また︑現在の市揚の相場. が利用できないために遇去の椙場を利用しなげれぱならない場合もあろう︒ストウバス準教援は︑資産および特定持. 分を濁定する基準として︑ω額面︑②将来の現金の収支についての契約︑⑧正味実現可龍価額︑④再調達原価︑⑤修 ⑰ 正原価︑⑥取得原価をあげている︒.
(13) 135. ω. 額面による測定. 会計上の測定単位は貨幣単位であるから︑資産のうちでもっとも測定が容易なのは︑現金の測定である︒すべての. 将来の現金の収支についての契約. 貨幣には︑その大きさが明示されているから︑その額面によって測定することができる︒. ②. 文書によるものでも︑口頭によるものでも︑将来の現金の収入あるいは支出について契約があれば︑それは将来の. 現金の動きに関する証拠としては認められるが︑こうした将来の現金の動きの大きさとその時価は等しくない︒そこ. で︑ ﹁すでにその大きさがわかっている一将来の現金の動きを測定目現在において割り引くことが必要となる︒した. 正味実現可能価額による測定. がって︑満期目のわかっている債権や返済期限のわかっている債務については︑こうした基準で測定することができ るo. ③. 多くの資産項目あるいは特定持分の項目は︑額面もないし︑将来の現金の蚊入あるいは支出に関する契約もたいの. がふつうである︒しかし︑もしこうした資産を販売する一般的な方法がわかっており︑現在その一般的杜方法で飯売. する場合に得られる金額もわかっているが︑販売の時点およびその時点で販売する場合にいくら得られるかがわから. ない場合には︑現在わかっている資料を利用﹂て︑将来の収入額を捷定することができる︒. 正味実現可能価額とは︑ある資産について予想される販売価額からその販売に必要とされる費用を差し引いたもの. であり︑販売による正味の収入額を表わす︒したがって︑市場が確立していて︑販売に要する費用があまり大きくな. くしかも予定することができるような有価証券とか商品については︑この基準があてはまる︒また特定持分について. も︑この正味実現可能価額で測定することができる︒もちろん︑この場合は企業の側からはマイナスを意味するが︑. 327.
(14) 328. それは現在その特定持分を消去するために必要な支出に等しい︒. ω再調達原価. 再調達原価も一種の時価であるが︑正味実現可能価額が資産の販売市場における時価を表わすのに対し︑この再調. 達原価は資産の購買市場におげる時価を表わす︒したがって︑販売を目的とする資産については︑正味実現可能価額. ⑱. によるほうが︑資産の由来︵竃⁝8︶.よりもその目的︵宗眈ま量ま目︶に重点をおくことができるから・測定基準とし ては望ましい︒. しかし︑材料︑仕掛品のように加工度が少なく︑そのままでは販売できたいもの︑あるいは製品でも販売までに要. する費用がまったく予定できないようなものについてまで正味実現可能価額を適用するとすれば︑かえって未如の資. 外のサービスもしくは財貨を提供しなけれぼならない債務についても適用できる︒. ための修正は︑たとえぱ一殻的な物価指数を用いて行なうことができる︒このようにして修正された原価は︑現金以. 準で表示されているのであるから︑こうした資産についても修正を加えて︑新しい水準に揃える必要があろう︒この. ができない︒こうした場合には︑額面︑契約価額あるいは時価という基準で測定されるその他の資産が現在の貨幣水. となる︒たとえば︑きわめて特殊た資産については︑それを取得するために支出した原価以外には資料を求めること. 現金︑債権および時価が確められるようなある種の資産以外の資産については︑過去の時価がもっとも適切た基準. ⑤修正原価. になるから︑残余持分に対する将来のサービスの大きさを表わすことにもなろう︒. いし︑これに一定の投下資本利益率を生みだすようた正常利益額を加えたものは︑正味実現可能価額にほぼ近いもの. 料を多く利用しなげれぱならなくなる︒したがって︑このようた場合には︑むしろ再調達原価を用いることが望まし. 136.
(15) ⑥取得原価. 以上述べた五つの基準に比べて資料としてもっとも役だちの少ないのが︑資産の購入跨におげる支出額としての取. 測定の対象と改る資産の数がきわめて多い場合には︑この取得原価を適用することがもっとも簡単である︒童た資産. を購入するという決定は︑将来それからもたらされるたんらかのサービスを期待して行なわれるのであるから︑その. 限りでは将来とまったく関係がないとはいいきれない︒しかし︑それとても推量の域を出るものではない︒. 資産は︑将来に対するサーピスの貯蔵であるという意味では︑同質的であり︑残余持分の所有者に対して直接的︑. 間接的な役だちをもっている︒しかし︑その役だちの仕方において︑各資産項目はそれぞれ異なっており︑こうした. 違いは︑とくに測定との関達において十分考慮されたげれぱならない︒すなわち︑資産および特定持分を穣成する個. 々の項目をひとつの目標に向って測定する㌔﹂とは必要であるが︑それらの項目のすべてを画一的な基準にもとづいて ㈲ 測定する必要はないのである︒したがって︑以上述べた六つの基準が︑それぞれの資産や特定持分の性質に応じて︑. それぞれの時価が正しく表わされるように使い分けられなげれぼならない・﹂とになる︒・﹂のよう次観点から︑ストウ. バス準教授は︑資産を貨幣的資産と実物資産に分類し︑また特定持分を貨幣的特定持分と実物特定持分に分類して次 ⑳ のよラな資産および持分計算書︵貸借対照表︶を示している︒ この資産および持分計算書は︑さきに示した現金等式の第四式 吋十射o+肉由IO§1U募1IU高. ○. のうち山︵確定している将来の現金支出︶を短期のものと長期の︑ものとに二分して︑. 329. 得原価である︒この取得原価は残余持分の所有者に対する将来の役だちという点からは︑ほとんど意味をもたたいが︑. 137.
(16) ユ38. 資産および持分計算書 資. 産. お. よ. び. 持. 分. 12月31目. 1960. !. 1959. 短期貨幣的資産 ■ 現 金……・・…・…一………・…・・…一・……一…・一I轟230=$180 国. 儘. (正味実現可能価額). ……………・・…・……….. 受敢手形($45.30,満翔目40肩以内)……………川...、. 210r. 160. 45■. 売掛金(蕃257,期聞60目,貸倒引当金$5と割引=. ≡. 額$2を控除)・………………・・………・…. 2501. 220. 鳩鳥篇慧竺ツ鴛=二三11二しllllll11111、、。 短期貨幣的資産合計. ・一…一・_・・_…__、_。__.需880. 短期貨幣的特定持分. コ. 未払賃金(名目価値)…・・…一・・一……………・…・…. 買. 1$25$20. 掛金(大部分が支払期目30目以内)………………;110. その他見越負債 ……………一・・…………一…・………………■ 未払運邦所得税 (支払期目1961年3月15目,6月15目5% 「. 40. 鯛)……・……・…一…一一・・……・……「 短期手形借入金. ($工22,支払期目196工年4月26目)・…一一1. その他短期貨幣的特定持分 短期貨幣的特定持分合計. 正昧短期貨幣的資産 長期手形傍入金. 杜. 60. 40. ……………一…一一……一・・…!. 30. 80. ……・・………・……………………」$385!$285. 一一一一一・………………………■$. 495;$415. ($42α償還期目1975年7月1目,2%利. 「$ユ20. 1. i. 礼の支払目。月。目およぴ。月。目,。l %割引,短期貨幣的特定持分に含められ. i. l ■. る1961年度の剰礼支払分を控臨なお㌧ 5%累穣優先株. 40. 120. (奪122,支払期目1961年4月26目)…・・…一;. 債. 105. 1. の時価は$345)……・……・.…・…………・.1笛369. (発行価額から1961年度の配当を控除。蒔 1. 姻$540:清算価値霊630)………・…1・…f. 601;. 386. 632. 長期貨幣的特定持分合計 …一一………・………………・一・$g701$ヱ,ヱ38 正味貨幣的特定持分 ……・……一・・……一・一……・・……■$475」$723. 実物資産. 棚卸資産 製. ! 品. 製. (正味実現可能価額). …………・・……. $. 晶(再調達原価)……・……一・…__、_.. 1 220≡$. 200. 360{. 375. 仕掛品(再調達原価)…一・・…………………i30125 330.
(17) 139. び. 益置. 20. よ耗. 480 $ 700 朝. 資本金…・…………一1……_._._..。.____...1. 70 701. 土地(修正原価). 75. 240. 未収収益(取得原価)………・・一……一…………… ・・ 50 機械・装置(大部分は惨正原価,他は再調達原価,総 額$340から減価償却費を控除) 250. お 収装 料 ・ 材消収械 未機. 40 $. 654 $. ︸十肉由1U§由IU§⁝十射由IU募1lU斗. という形で示したものである︒この資産および持分許算. 書からわかることは︑資産および特定持分の各項冒がこ. の現金等式のもつ本来の意味を活かすように測定されて. 勺一〇〇N一. o①oお①−撃彗げ轟一>↓ぎoξo︷>8昌冒饒目oo85−. いるということである︒ 注㈲. ooo長①−撃彗一︺易二雲o. く霧ぎ轟一ε腎一戸ωρ. 棚卸資産の評価に関遠して︑モーリニロ教授も︑次のよ. ΩOO擾O−.ωけ彗げ冨しま〜恒O.震−窒.. うに述べて正咲実現可能価額を主張しているo ﹁麗論上︑再調逢するために蔓する原価は︑すでに驚入 されている財貨の評価に対してはなんの関係もないoすで. に手許にある財貨は飯売されるものであるoさらにこれら の財貨は顧客に対して通常の営業過穫を通して販売され. る︒﹂たがって︑財貨の価値は︑販売という通常の営業遇 程において顧客から受げ敢る価格との関連において測定さ. ︵旨ω毫ブ>竃彗ユ①二9︑.ωo嘗ozo↓霧昌>8暮鼻ぎ胴. れなげればならないo﹂. 勾鶉轟富︸︸邑−gぎ墨lH目く彗8ξ零︸oヲ堕︑︑﹃ぎき§. さ喜9ミ嵩辻§ミざ㌧§§§§ミ一旨気一岩轟一や装p︶. ooo蟹Φ−ω冨邑︺畠二婁ξo.ω9. Ω①o轟①−架彗げ富二宣早ool昌o山旨.. 331. ⑱⑰⑯. ⑳⑲. ・ ・・.$1,360$1,327 正味実勧資産. 40 轟 製晶保証見積僚務. 885 $. 計 合. 124 185 他 の そ. ・ ・・.$885轟604 産 資 正味. ・一一…・……・、…_..。__。__、、_.、、. 一$1.4001轟1,367 実物資産合計. 20. 耗. 消. 320!315 . 控除)……・・…・……・・……・………………・. 75. 品(敢得原価). 80■ 部 (再調達原価) 材料および部品. 建物(再調逢原価,$420から減価償却費を. 実物特定持分. 普通株主の残余持分.
(18) 以上︑ストウバス準教援の主張する残余持分理論の基本的た考え方とその展開としての資産︵特定持分も含めて︶の. 測定基準を明らかにすることを通して︑われわれは︑投資家の決定に役だつ会計資料の作成・提供という観点から会. 計理論を形成せんとする立場にたつかぎり︑近代会計理論の基底をなしている原価主義が批判されなければたらない ことを知りえたと思うo. 残余持分理論とは︑すでに明らかにしたように︑残余持分たる概念を理論形成の中核とし︑その正確な測定を行な. うことによって︑投資家の決定に役だつ会計資料を提供せんとする財務会計の理論である︒ここにいう残余持分と. は︑投資家が受げ敢ることのできる将来の現金収入額であるが︑現金等式に示されているように︑それは資産と特定. 来の潜在的た現金収入額として把えるが︑その測定において︑一部︑時価の適用を断念している︒しかしこれは︑で. 減計算に触れるト﹂とばできなかった︒︸﹂のかぎりにおいても︑若干の間題がたいわげでは放い︒たとえぼ︑資産を将. ころとはなりえないであろう︒本稿では︑紙幅の関係から︑残余持分の有高計算のみを主として取り上げ︑その増. しかし︑こうLた残余持分理論が︑もし財務会計の理論として適切なものでないとすれば︑原価主義批判の拠りど. を採用するおもた理由がある︒. に表示するように測定されるためには︑できるるだけ新しい時価によることが必要となる︒ここに原価にかえて時価. 現金収入額を意味するのであり︑特定持分はそのマイナスを意味する︒資産および特定持分がこうLた大きさを適切. な課題となる︒資産については︑サービスの貯蔵であるという一般的な定義に従うが︑具体的には︑将来の潜在的な. 持分との差額として把握される︒したがりて︑残余持分理論においては︑資産および特定持分の測定がきわめて重要. 140. 332.
(19) 14ユ. きるだげ確実な証批にもとづいた測定を行なわんとする努力の現われにほかならない︒従来︑時価の採用について. は︑それが客観性・確実性に乏しいという理由で反対を受げてきたが︑ストウバス準教授は︑六つの基準を資産の性 質に応じて適用することによって︑客観性・確実性を傑とうとしたのである︒. また︑投資家に財務会計の中心的地位を与えるという基本的た立場に対しては︑資本主説の流れを汲むものであっ. て︑近代的企業観にそぐわないものであるという批判もあろう︒しかし︑近代企業において投資家の地位が弱められ. たという事実を認めるとしても︑それはすべての利害関係老集団が画一酌に取り扱われてよいということには繕びつ. かないと思う︒とくに株式会杜の形態をとる企業において︑株主を軽視する会計は︑財務会計本来の任務を忘れたも. のということができる︒この意味において︑残余持分理論は︑財務会計の理論形成におけるひとつの正しい方向を示. したものであり︑原価主義批判のひとつの有力な拠りどころをわれわれに与えるものである︒. 333.
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