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20 年以上を経過した長期防錆型塗装系の現況と管理手法

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Academic year: 2022

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20 年以上を経過した長期防錆型塗装系の現況と管理手法

本州四国連絡橋公団  正会員 ○平原 伸幸 本州四国連絡橋公団  正会員  帆足 博明 本州四国連絡橋公団       齊藤 哲男 本州四国連絡橋公団     小林 克己  

1.はじめに 

本州四国連絡橋は厳しい腐食環境の中、長期にわたる健全性を確保し、かつライフサイクルコストや膨大な 現地作業を低減するため、長期防錆型塗装系を開発・採用している。この長期防錆型塗装系は大規模に施工さ れた前例がない。本州四国連絡橋ではすでに施工後20年以上が経過していることから、長期防錆型塗装系の 検証のため、その現況とLCCを考慮した管理手法および維持管理上の課題について報告するものである。

2.塗装仕様 

本州四国連絡橋の塗装仕様の特徴は、①重防食塗装システムの性能を生かすため、膜厚や塗装間隔等に対す る品質管理が十分に行き届く工場で上塗りまで仕上げている。②素地調整は、2次素地調整(製品ブラスト)

も行うことで、製作時に付着する表面錆、その他の付着物を除去し、高い除錆度を確保するとともに、鋼材表 面にアンカーパターンを設ける。③下地には、金属亜鉛粉を高濃度に配合することによる電気化学的な防錆機 能により非常に優れた防錆力を有する厚膜型無機ジンクリッチペイントを採用していることなどである。

建設時の塗装仕様を表−1に、塗替塗装時の塗装仕様を表−2に示す。 

*塗装仕様 塗装系

*:本四塗装基準 [ ]内の数字は、塗装の乾燥膜厚(μm)を示す。

ふっ素樹脂 (上塗)

[25]

[255]

[250]

5(1)

(外面用) E (外面用)

製品ブラ スト

厚膜型エ ポキシ (下塗) [60]

厚膜型エ ポキシ (下塗) [60]

ポリウレタン (中塗) [30]

ポリウレタン (上塗) [30]

エポキシ樹脂

(中塗)

[30]

第3層 第4層 原

板 ブ ラ ス ト

無機 ジンク リッチプ ライマー [20]

厚膜型 無機ジン クリッチペイ ント [75]

ミストコート

表−1 建設時塗装仕様(上段:因島大橋、大鳴門橋、瀬戸大橋の例、下段:明石海峡大橋、来島大橋の例)

第5層 第6層

2次下地

処理 第1層 第2層 合計膜厚

(μm) 1次下地

処理

 

塗装系 適用部位

*:本四塗装基準 [ ]内の数字は塗料の標準使用量(g/m2)を示す。

表−2 塗替塗装仕様

エポキシ樹脂 プライマー [はけ 120]

超厚膜型エポキシ 樹脂塗料 [はけ 1000]

エポキシ樹脂塗料 中塗 [はけ 140]

ふっ素樹脂塗料 上塗 [はけ 120]

一般外面の 2種 部分塗替用 S

*塗装仕様

素地調整 第1層 第2層 第3層 第4層

U 全面塗替用 4種

エポキシ樹脂塗料 中塗 [はけ 140]

継手部外面 の 部分塗替用

2種

エポキシ樹脂 プライマー [はけ 120]

超厚膜型エポキシ 樹脂塗料 [はけ又はへら 2500]

エポキシ樹脂塗料 中塗 [はけ 140]

ふっ素樹脂塗料 上塗 [はけ 120]

ふっ素樹脂塗料 上塗 [はけ 120]

− −

  3.塗膜の管理手法 

  長期防錆型塗装系の管理においては、現場での復旧がきわめて困難な無機ジンクリッチペイントを健全な状 態で維持することが重要となる。 

  したがって、保護層である下塗塗膜をほぼ完全な状態に維持(塗替の終盤には一部下塗の損耗を許す)するた め、図−1のようなフローで塗装管理を行っている。 

キーワード 長期防錆型塗装、管理手法、 

連絡先   〒651‑0088 神戸市中央区小野柄通 4‑1‑22 TEL(078)291‑1093   

土木学会第60回年次学術講演会(平成17年9月)

-325- 5-163

(2)

調  査 劣化予測 評価・判定 対  策 定点塗膜調査 塗膜劣化曲線の作成 塗替塗装開始・完了時期の決定 塗替塗装の施工

調査定点設置後 1,3,5年、以降5 年毎に調査

塗膜厚データにより、

橋梁毎に塗膜劣化曲線 を作成

塗膜劣化曲線、塗替期間より塗 替塗装着手・完了時期を決定し 塗替計画を作成

塗替計画に基づき塗替を 実施、塗替の中で足場の 改良や省力化を検討 図−1 塗装の管理フロー

4.塗装の現況 

本州四国連絡橋の塗替塗装は、最も腐食環境が厳しい大鳴門橋については、供用 14 年目(1997 年)から 21 年目(2005 年)までの 8 年間で、因島大橋については、供用 14 年目(1997 年)から塗替塗装を実施している。ま た、中塗・上塗に塩化ゴム系の塗装を行なっていた大三島橋は、供用 10 年目(1989 年)から 17 年目(1996 年) までの 7 年間で塗替を完了している。 

これら塗替塗装の実績から見ても、一般橋梁の塗装系に比べ塗替サイクルが長く、防錆性・耐久性に優れる という長期防錆型塗装系の機能が十分に発揮されていることがわかる。 

また、瀬戸大橋についても塗膜調査の結果、供用開始15年後のウレタン塗膜消耗量は 5μm〜22μm で部位、

方向等によりばらつきはあるものの単純平均で 11μm 程度であり塗膜の損耗量としては少ない数値となって いる。なお、瀬戸大橋の塗替塗装については塗膜の劣化予測から、供用 18 年目にあたる 2006 年頃から全面塗 替塗装に着手する予定であり、現在は局部的あるいは部材単位で劣化が進んでいる箇所の補修を小規模で実施 している。 

5.維持管理上の課題 

  本州四国連絡橋における塗装の維持管理面積は、

400万㎡と膨大な数量であり維持管理費に占め る塗装費用は 2〜3 割を占める。さらにその約 5 割 が塗装用足場費であり、足場の改良とともに塗装 ロボットの開発、耐久性のある塗料の開発など維 持管理コストの削減のための開発・検討を行って いる。      

また、長期防錆型塗装系の特徴でもある厚膜型 無機ジンクリッチペイントの層内で亜鉛微粉末の

劣化(酸化)による膨れ・われ等の塗膜剥離(凝集破壊)が一部の橋梁で発生している。塗替塗装は、この無機ジ ンクリッチペイントが半永久的に健全であることを前提としていることから、この剥離現象についても原因の 究明を行っている。現在までに得られた室内再現試験結果では、亜鉛微粉末の劣化(酸化)は見受けられず、剥 離現象については個々の箇所における塗装時の施工要因が積み重なり発生したものではないかと考えている。

今後も慎重に無機ジンクリッチペイントの経年変化の有無を調査して行く予定である。 

6.おわりに  

 塗膜の劣化・損耗状態は各メーカー、施工状況、部材方向等の様々な要素からバラツキが大きく、一概に求 められるものではない。しかしながら、瀬戸大橋に見られるように塗膜の損耗量はきわめて小さく長期防錆型 塗装の目的は達成できているものと考えている。また、第1回目の塗替塗装についても、前例のない長期サイ クルで実施している。しかし、長期防錆型塗装系の塗替は始まったばかりで、第2回目、第3回目の塗替塗装 の実施までにも、必要な調査・検討を継続するとともにコスト削減を図り、貴重なインフラである本州四国連 絡橋を後生に健全な状態で、かつ、経済的な維持管理の手法とともに継承することが重要と考えている。 

 

     写真−1 改良足場の例         写真−2 塗装ロボットの開発 土木学会第60回年次学術講演会(平成17年9月)

-326- 5-163

参照

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