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Academic year: 2022

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陸前高田市震災復興事業の一体的業務による事業促進(その1)

- 仮設吊橋及びベルトコンベヤ高架部の設計・施工 -

清水建設株式会社 正会員○占部 昇芳 正会員 峯澤 孝永 正会員 日原 邦夫 株式会社エスシー・マシーナリ 西川 一正 加藤 秀樹

古河産機システムズ株式会社 片股 博美

1. はじめに

本工事は、東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手県陸前高田市の被災市街地土地区画整理事業である。

高台住宅地となる今泉地区の山を掘削し、発生した土砂や破砕岩を巨大ベルトコンベヤで搬送し、高田地区 のかさ上げ工事を CM 方式を活用して行う。施工面積は両地区合せて 300ha、切土量 1,200 万㎥、盛土量 1,100 万㎥に及ぶ大規模造成工事である(写真-1)。

・事業施行者:陸前高田市

・工事発注者:独立行政法人都市再生機構

・工事受注者:清水・西松・青木あすなろ

・オリエンタルコンサルタンツ・国際航業JV

・業 務 名:陸前高田市震災復興事業の工事施工等 に関する一体的業務

・工 期:平成 24 年 12 月 11 日~平成 30 年 3 月 31 日

2. ベルトコンベヤ設備構造概要

河川横断部付近のベルトコンベヤ設備の構造概要を図-1に示す。

2.1.高架部

コンベヤローラーを設置するガーダーフレームを高さ約 20m の鋼製脚にて支持する構造である。鋼製脚 の基本スパンは 18m であり、標準脚(2 本脚)および耐震脚(4 本脚)によって構成される。一般部の基礎は直 接基礎であり、直下地盤は軟弱地盤であったため、浅層混合処理工法によって改良した。

2.2.河川横断部

土砂の採取地と搬送先である仮置き場は、幅約 190mの河川の右岸、左岸に位置するため、これを横断 する必要がある。上部工は支間長 220m の単径間補剛桁吊橋とし、下部工は鋼管杭基礎とした。

3. 河川横断部の課題と解決策

横断する気仙川の渡河部付近にはサケやアユの漁場があるため、河川環境に配慮する必要があり、中間橋 脚の設置は避けるべきと判断した。また、渡河部の約 250m 下流の河口では、水門設置工事が本事業の土砂搬 送期間と同時期に行われ、河川上の仮橋の解体時期には完成しているため、仮橋解体に必要な作業船の出入 キーワード 震災復興 CM方式 大規模造成 ベルトコンベヤ 吊橋 ケーブルクレーン

連絡先 〒104-8370 東京都中央区京橋二丁目16-1 清水建設(株)土木技術本部 TEL 03-3561-3897 写真-1 ベルトコンベヤ設備全景

標準部 支間長:18m 道路横断部

支間長:35m~53m 河川横断部

支間長:220m 標準部

支間長:18m φ=1200、t=14

L=34.0m、N=15 本

鋼管杭(吊橋) φ56、ST1470×2 本 耐風索 φ=800

t=9 L=19.5m N=8 本 鋼管杭

(道路横断部) 国道 45 号 アンカレッジ (メインケーブル用:2 基)

アンカレッジ (耐風索用:4 基) 主塔

h=42.6m メインケーブル

φ37 ST1470×7 本

耐震脚(4 本脚) h=14.6m~19.0m 標準脚(2 本脚) h=14.4m~22.2m

図-1 ベルトコンベヤ設備構造概要(河川横断部付近)

道路横断箇 気仙川

仮置き場

ベルトコンベヤ

今泉地区

国道340号

国道45号

ベルトコンベヤ

高田地区→

仮置き場

仮置き場

:道路横断部

ベルトコンベヤ進行方向

標準部

気仙川

土砂採取地 仮置き場

土木学会第70回年次学術講演会(平成27年9月)

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りは不可能となる。これらの課題を解決するために、河川内の 橋脚が不要となり、また、ケーブルクレーン(写真-2)による解 体を行うことで作業船による解体作業が不要となる吊橋構造を 採用した。

現場は臨海部であり、断続的に強い風が吹く。ベルトコンベ ヤ設備を安定して運転させるために、吊橋の風による横揺れを 抑え、支間中央部での水平変位を 730mm 以下とする必要があっ た。設計計算では強風時の同変位が 1100mm 発生したため、耐風 索によって揺れを防ぐ構造とし、660mm に抑え、設備の安定した 運転を可能とした(写真-3)。

施工時の課題として、気温変化に対する桁の伸縮と、メイン ケーブルの張力管理があった。

桁の伸縮については、部材温度が安定する夜間に桁長を測定 し、年間の温度変化を考慮して最適となる可動支承の設置位置 を設定した。

現場での張力管理の簡略化のため、工場でメインケーブルに 設計張力を作用させ、主塔頂部のサドル位置等にマーキングを した。現場では位置合わせにより張力管理を行った。

4.道路横断部の課題と解決策

ベルトコンベヤ設備は、7km 離れた土砂採取地と仮置き場の間 で、4 箇所の道路横断部がある(写真-1)。施工時の通過交通への 影響を最小とすることと、約 2 年間の設備設置期間中、交差交 通の安全性を確保することが課題であった。

軽量化、長スパン化を目的として、構造形式をプレートガー ダーからトラスに変更した。このことで重量を約 25%低減するこ とができ、スパンは最大で 53m とすることができた。軽量化に より、クレーンによる一括架設が可能となり、架設時の交通制 限は、夜間片側通行を 1 日のみとすることができた(写真-4)。

また、長スパン化により、中間橋脚を省略でき、設置期間中の 交通の安全性を確保できた(写真-5)

また、冬季の氷雪の落下による歩行者、通過車両への災害を防 止するため、雨樋等に融雪ヒーターを設置した(写真-6)。

5. おわりに

現在、ベルトコンベヤ設備は順調に稼働しており、毎日20,000 m3の土砂を掘削、搬送、仮置きしている。今後も一日も早い陸 前高田市の復興をめざし、工事を進めていく。

参考文献

1) 占部他:巨大ベルトコンベヤによる大量搬送と大規模かさ上げ工事への取り組み 土木施工(平成27年3月) 2) 占部他:陸前高田市におけるかさ上げ盛土工事 コンクリート工学(平成27年1月)

写真-4 道路横断部一括架設状況

写真-5 道路横断部架設完了

写真-2 ケーブルクレーンによる吊橋架設

写真-3 耐風索の設置

耐風索

写真-6 道路横断部融雪ヒーター 融雪ヒーター (雨樋内) 土木学会第70回年次学術講演会(平成27年9月)

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参照

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