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シェリング進行状況の把握と横裂急進箇所の特徴について

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Academic year: 2022

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(1)

シェリング進行状況の把握と横裂急進箇所の特徴について

九州旅客鉄道(株)正会員 力武 基樹

1.はじめに

シェリングの管理として肝心なのは、正確に横裂深さを把握し(細密検査)、適切な処置を施す(継目板取付け、

レール交換)ことである。管理ルール上、Bランク以上(横裂深さ15mm以上)のものについては即日継目板を 取付け、レール交換を計画することとなっているが、Aランク箇所(横裂深さ15mm未満)については物理的な 処置を施していない。したがって、運転保安上最も危険であるのはAランクに分類されるシェリングが急進する ことによりレール折損に至ることである。そこで今回は、横裂が急進するシェリングについて、その特徴を分析 し、日常管理の強化、次年度レール交換計画に的確に反映させることを目的として本テーマを研究課題とした。

2.シェリングによる横裂深さ進行状況の把握

図1 横裂深さ進行状況 H20 年度「全数検査(6〜8 月)」から「冬期前全数検査(10〜

11月)」、H21年度「全数検査(4〜6月)」にかけて、約1年間共 通するシェリングを対象として、横裂深さに着目した場合の進行 状況を図 1 に示す(サンプル数:1,161)。横裂深さの年間進行量 が「0〜3mmのものを緩やかな進行」、「4mm以上のものを急激な 進行(以下、急進シェリングと称する)」というように区別すると、

緩やかな進行を示すものが全体の 95%以上であることがわかる。

逆に注意すべきは、残り5%未満の急進シェリングである。進行量 が大きいものは3〜5ヶ月で7〜10mmの進行を示すものも存在した。

782

123 109 98

21 11 3 7 7

0 200 400 600 800 1000

0 1 2 3 4 5 6 7 8以上

横裂深さ進み(mm/年)

シェ

緩やかな進行(95.8%)

急激な進行(4.2%)

3.急進シェリング箇所の特徴

表1  環境条件別評価 急進シェリング箇所について、地形的条件、車両から受ける影

響などをもとに、どのような関連性があるのか分析してみた。

(1) 環境条件別評価

①  評価対象

急進シェリング(サンプル数:49箇所)

②  評価項目

「直・曲線・緩和曲線別」、「レール種別(普通、DHH)」、「勾 配」、「ロング(不動、可動区間)・定尺別」「車両からの影響

(加減速、惰行区間別)」「マクラギとの位置関係」の 6 項目 とした。

③  評価方法

急進シェリングが発生した割合と、管内全体に占める割合について比較することで影響の大小を評価する。

急進シェリング 全 体 発生率 割 合

円曲線 3.5% 17.0%

緩和曲線 9.0% 19.6%

直線 87.5% 63.4%

普通 85.1% 82.8%

DHH 14.9% 17.2%

DHHかつ緩和曲線 5.5% 10.2%

可動区間 36.0% 26.0%

不動区間 53.0% 57.0%

定尺区間 10.0% 17.0%

加速区間 37.5% 47.2%

減速区間 14.6% 16.9%

惰行区間 47.9% 35.9%

ロング・定尺 評価項目

直・曲線

車両からの 影響 レール種別

④  分析結果

主な項目について、比較結果を表1に示す。「DHH レール」「ロング不動区間」「加速、減速区間」など悪 影響を及ぼすと見込んでいた項目については、DHHレールより普通レールが急進シェリングの発生率が高く、

加減速区間よりも惰行区間が高いなど説明できない内容となった。ロング・定尺の区分けにおいても、急進 シェリングがロング不動区間に集中して発生するといった結果にはならなかった。

<キーワード>急進シェリング、横裂急進箇所の特徴、落ち込み量、列車通過時の衝撃 北九州市小倉北区京町4丁目7番 門司保線区 (TEL)093-521-7355

土木学会第65回年次学術講演会(平成22年9月)

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Ⅳ‑277

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(2) 通トンによる影響

「年間通トン」、「累積通トン」についても前項と同様の比較検討を行ったが、管理エリア内で大きな差が ないこともあり、急進シェリングを管理強化するうえでの明確な特色は見出せなかった。累積通トンについ ては、4億トンを超えるとシェリング自体の発生率が増大する傾向が明らかとなった。

(3)落込み量との相関関係

図2  落ち込み量と横裂進みとの関係

列車通過時の衝撃が、急進シェリングに与え る影響を分析するため、シェリング個体の落ち

込み量を測定し、横裂進みとの関連性を調べた。 相関係数=0.63

0 5 10 15

0 0.5 1 1.5

落ち込み量(mm)

横裂深さ進み(mm/

2

平均V=105km/h 平均V=122km/h

①  測定方法

1m鋼尺及びシクネスゲージにより最大落 ち込み量を測定した。

②  測定対象

シェリング急進箇所に加え、測定時に周辺 にあるシェリングについてランダムに測定し 追加した(サンプル数:60)。

③  測定結果

測定結果を図 2 示す。落ち込み量が大きくなるに従いなだらかではあるが、横裂深さ進みも大きくなる傾 向が明らかとなった。Aグループに示すように、とりわけ1mmを超えるような大きな落ち込み箇所について は5mm以上/年の横裂進行が確認された。ただし、Bグループに示すように落ち込み量が1mm未満の箇所 でも急激な横裂の進行が生じることがあるので注意が必要である。ここでAグループとBグループについて、

条件の違いを比較すると、列車通過速度(最速列車)に大きな違いがあることが分かった。Aグループは、

平均105km/hに対してBグループは122km/hと非常に高い。

4.まとめ

・  急進シェリングはシェリング全体数量のうち約4%程度である。進行量が大きいものは3〜5ヶ月で7〜10mm の進行を示すものも存在した。

・  「勾配」、「レール種別(普通、DHH)」「ロング(不動、可動区間)・定尺別」「車両からの影響」「マクラギと の位置関係」といった環境条件と急進シェリングの関連性を比較検討したが、明確な因果関係を見出すことは できなかった。通トンによる比較検討についても同様であった。

・ 「1mmを超えるような大きな落ち込みが生じている箇所」及び「0.6〜0.8mm程度の落ち込み箇所であっても、

列車通過速度が高い箇所」については、横裂進行速度が高いと推測される。これは、横裂進行速度が列車通過 時の衝撃の影響を受けることを示唆している。

5.今後の課題

・  「ロング区間のレール軸力」「年間通トン」については、少なからず急進シェリングに与える影響が考えられ るため、今後のデータ蓄積により更なる分析が必要である。

・  横裂進行速度を早める一つの要因として列車通過時の衝撃の影響が大きいことが分かったが、衝撃力(著大輪 重)をより的確に把握するため、今後は軸箱加速度を用いた管理手法についても提案したい。

6.おわりに

今回、急進するシェリング箇所について、その特徴の手掛かりとなるべく分析を行ったが、シェリングはそ の発生から進行に至るまでのメカニズムが明確に解明されているわけではなく、単純に説明できるものではな い。今後も更なるデータの蓄積・分析により精度を高め、的確なシェリング管理とレール交換計画を策定して いきたい。

土木学会第65回年次学術講演会(平成22年9月)

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参照

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