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日本における「五胡十六国」研究と本研究の目的

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Academic year: 2022

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(1)三﨑良章氏 博士(文学)学位請求論文 『五胡十六国の研究』審査報告要旨 「五胡十六国」に関する研究は、関係する民族・国家の多様さや史料の僅少さなどのた めに、これまで中国史研究において最も遅れた分野の一つであり、「五胡十六国」全体を 正面から扱った研究は非常に限られていた。本論文は、そうした「五胡十六国」を対象に したわが国でも数少ない基礎的、本格的な研究である。 構成は、序論. 日本における「五胡十六国」研究と本研究の目的. 以下、 5部12章およ. び結論からなっている。第一部 「五胡十六国」の意味と五胡十六国時代の民族、第一章 「五胡」と「十六国」、第二章 前秦における民族状況の一面。第二部 五燕の官僚機 構と民族性、第一章 前燕の官僚機構、第二章 後燕・南燕の官僚機構、第三章 五胡十 六国時代における遼東・遼西地方の民族構成の変化、第四章 北燕の「鮮卑化」。第三部 夏の年号と国家観、第一章. 夏の年号、第二章. 「大夏紀年墓誌」に見える夏の建国意. 識。第四部 異民族統御官、第一章 後漢の破鮮卑中郎将、第二章 東夷校尉。第五部 「十 六国」諸国の国家観と民族認識、第一章 「十六国」諸国の異民族統御官と東晋、第二章 異民族統御官にあらわれた「十六国」諸国の民族認識 第一部では、「五胡」の「五」には数的な意味はなかったこと、「十六国」は北魏の崔 鴻の『十六国春秋』が規定した16の小国を指称するが、当時存在した国家の数が16である という認識は、唐末までは共有されていたわけではなかったことを明らかにした。また「修 鄧太尉祠碑」に記載されている民族名の分析から、当時の社会一般に匈奴・羯・鮮卑・? ・ 羌の 5民族が併存するという認識が存在したわけではないことを立証した。これは従来の 「五胡十六国」の認識に対して、根本的な修正を迫った導論である。 第二部では、前燕の主要官職制度が、謀主股肱制→属僚制→六卿制→属僚制→百官制→ 三公制→八公制へと変化したことを明らかにし、その変遷過程は、他の「十六国」諸国に は見られないほど見事に国家の発展段階と即応していることを述べている。また 4〜 5世 紀の遼東・遼西地方で、鮮卑→? →鮮卑→高句麗→漢という激しい支配民族ないし支配者 の変遷が起こり、そのなかで漢・鮮卑の融合が進展したことを出土資料の検討によって明 らかにし、『魏書』海夷馮跋伝に記された「同夷俗」の意味を、従来の解釈と異なり、「夷 の俗と同じようにする」ととらえた。 第三部では、近年出土した「大夏紀年墓誌」を手がかりに、夏は 407年よりも 418年(真 興元年)を自らの建国の年として認識し、さらに西隣の北涼に対しても夏の真興年号を使 用させたとした。1980年代以降五涼の年号研究が展開されてきたが、これはその成果を中 原国家の国家認識にも連続させうることを示した考察と言えよう。 第四部及び第五部は、本申請者が「五胡十六国」研究の重要な関鍵であるとみなした「異 民族統御官」の研究である。第四部では、破鮮卑中郎将は後漢末における鮮卑の活動の活.

(2) 発化に対応して設置されたこと、東夷校尉の新設時期を 282年から 285年の間と比定し、 さらに東晋が前燕の慕容儁を東夷校尉に任命したのは、「十六国」諸国が周辺独立勢力首 長に異民族統御官を与えたことに影響されたとした。第五部では、そうした「十六国」諸 国の異民族統御官の設置状況から、前趙・後趙・前燕・前秦・後秦は、自らを中原の正統 王朝として位置づけ、東晋を含めた勢力を自らに服属すべきものと認識していたと結論づ けた。 本論文において、本申請者はこれまで注目されることの少なかった「異民族統御官」と いう官職に着目し、また編纂史料とともに、近年の出土資料や覇史佚文を用いて研究を展 開した。そして「十六国」諸国は、一括して扱うことはできない、さまざまな段階にある 国家群であると論定し、そこにおいて漢化・胡化の民族の融合が進展し、それがその周辺 世界へも影響を与えたことを示唆した。ただし北魏史や朝鮮古代史との関連についての考 察はなお不十分の感があり、出土資料の利用も限定的である。これらは今後の課題として 残されている。 本論文は、従来の中国史研究において、単なる混乱の時代として処理されがちであった 「五胡十六国」に焦点を当て、その全体像を提示した基本的研究であり、今後の中国史研 究、東アジア研究に大いに寄与するものと考えられる。 以上の理由によって、本論文は博士(文学)の学位を授与するに価するものと認める。 平成17(2005)年 3月23日 審査委員 主任. 早稲田大学文学学術院教授 早稲田大学文学学術院教授. 文学博士(早大) 博士(文学)早大. お茶の水女子大学文教育学部教授. 福井重雅 李 成市 窪添慶文.

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