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著者 吉田 真紀子

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Academic year: 2022

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2次元ホールアレイ構造プラズモニックチップによ る乳がん細胞の高感度発光イメージング

著者 吉田 真紀子

URL http://hdl.handle.net/10236/00028854

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2019年度修士論文要旨

2 次元ホールアレイ構造プラズモニックチップによる 乳がん細胞の高感度発光イメージング

関西学院大学理工学研究科

環境・応用化学専攻田和研究室 吉田真紀子

【背景】プラズモニックチップは表面を金属薄膜で覆った波 長オーダーの周期構造をもつ基板であり,発光を増強させる ことが来る。プラズモニックチップに外部から光を照射する と,格子結合型プラズモン共鳴(GC-SPR)によって基板表面 に増強電場が発生する。SPR によって生じた増強電場を励起 場として,金属薄膜近傍に存在する蛍光物質の蛍光を増強す る方法を表面プラズモン励起増強蛍光(Surface Plasmon-Field Enhancement Fluorescence : SPF)法という。一方で,金属薄膜 表面では消光が起こるので,消光抑制をするためのスペーサーが必要となる。加えて,入射光と 反射光による反射干渉が生じるため,その増強電場を利用できるようにスペーサーの厚さを調 節することが望ましい。先行研究では、プラズモニックチップによる乳がん細胞の10倍以上の 増強蛍光イメージングが行われた1)。また,ピッチ400 nmのBull’s eye構造プラズモニックチッ プでは,細胞の2種類の膜タンパク質をそれぞれ異なる蛍光標識抗体(APC-EpCAM(Anti-human CD326(EpCAM))とAlexa488-EGFR(Alexa Fluor®488 anti-human EGFR))によって2波長で高感度 にイメージングを行う事ができた2)。本研究では,先行研究を超える高感度多波長発光イメージ ングを目指し, 2次元ホール(細孔)アレイ構造のプラズモニックチップを用いた(図1)。図 2に1次元(ライン&スペース)構造と2次元ホールアレイ構造を示す。1次元(ライン&スペー ス)構造は図2(a)に示すように1種類のみの格子ベクトルをもつが,2次元ホールアレイ構造(図

2(b))では2つの異なるピッチの格子ベクトルをもつ事で様々な波長領域の蛍光剤を同時に使用

するのに有利であると考えられる。そこで,本 研究では乳がん細胞の2波長蛍光イメージング を行い,それぞれについて蛍光強度を調べた。

【実験】プラズモニックチップのレプリカは UV ナノインプリント法によって作製した。作 製したレプリカにRfスパッター法を用いてTi,

Ag,Ti,SiO2 の順に成膜を行い,Ag 膜厚を

120±10 nmで成膜した。SiO2は29 nm,80 nm,107 nmの3種類を調製した。プラズモニックチ ップと参照の為のカバーガラス表面をアミノ化し,コラーゲンでコーティングをした。観察には 正立落射蛍光顕微鏡を使用し,光源はハロゲンランプと水銀ランプ,対物レンズは40x(NA:0.75),

検出にはEMCCDカメラを用いた。明視野像にはBFフィルターを,蛍光像にはCy5フィルター

(励起波長:605-650 nm,蛍光波長:670-715 nm)とGFPフィルター(励起波長:460-480 nm,蛍

a) b)

2 プラズモニックチップのプラズモンモード a) 1次元構造 b) 2次元構造 1 ホールアレイ構造のAFM

(3)

光波長:495-540 nm)を使 用 し た 。 乳 が ん 細 胞 は MDA-MB-231(産総研山 村グループ長より提供)

を用いて,2種類の蛍光標 識 抗 体 APC-EpCAM と Alexa488-EGFR を使用し て 免 疫 蛍 光 染 色 を 行 っ た。

【結果】2次元ホールアレイ構 造のプラズモニックチップ上 で多波長発光イメージングを 高感度に行う為,SiO2 層の膜 厚を変化させて蛍光強度を評 価した。プラズモニックチッ プ 増 強 度𝐸𝐹 (Enhancement factor)は,細胞の蛍光像の中 心部(基板への接着面)の蛍光 強度について,プラズモニッ クチップ上の値をカバーガラ ス上の値で割って算出した。

SiO2 層の膜厚を増加させると 𝐸𝐹が増加したことから,消光 抑制と反射干渉効果を利用で きるSiO2層の膜厚は80 nmが 良いことがわかった。

MDA-MB-231 細 胞 の

Alexa488-EGFR(図3(b))とAPC-EpCAM(図3(c))の蛍光像の解析から,APC-EpCAMでは𝐸𝐹=12±2 倍,Alexa488-EGFRでは𝐸𝐹=13±2倍の増強度を得ることができた。これは先行研究のピッチ400 nmのBull’s eye構造プラズモニックチップの9±3倍(APC-EpCAM),7±2倍(Alexa488-EGFR)

よりも大きな値で増強度を向上させることが出来た。図4はピッチ500 nmの2次元構造での水 界面の理論共鳴角を表している。これからわかるように,APC-EpCAM(赤色波長域)とAlexa488- EGFR(緑色波長領域)の励起・蛍光波長域がそれぞれ𝑘𝑔𝑥(1)の共鳴角と𝑘𝑔𝑥45(2)の共鳴角の波長 領域と重なっており,どちらも効率よく共鳴を起こすことが出来る為である。

【謝辞】乳がん細胞をご提供いただきました産業技術総合研究所山村昌平グループ長,木村蕗子 氏と光硬化性樹脂をご提供いただきました東洋合成工業株式会社に感謝いたします。

1) Keiko Tawa et al., ACS Appl. Mater. Interfaces, 2016, 8, 29893−29898 2) Shota Izumi et al., Sensor, 2017, 17, 2942

図4 2次元構造での水界面の方位角(0~90°)を考慮した 理論共鳴角スペクトル

図3 乳がん細胞の (a)BF像,(b)Alexa488-EGFR蛍光像,

(c)APC-EpCAM蛍光像

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