• 検索結果がありません。

平成28年3月16日(: 長崎市│監査等の結果

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2018

シェア "平成28年3月16日(: 長崎市│監査等の結果"

Copied!
161
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

平成 27 年度

包括外部監査の結果報告書

平成 28 年3月

長崎市包括外部監査人

(2)

平成 28 年 3 月 16 日

長崎市長

田上

富久

平成 27 年度

包括外部監査人

私は、

地方自治法第 252 条の 37 第1項の規定に基づき、

長崎市の包括外部監

(3)

第1 監査の概要 . . . 1

1. 監査の種類 . . . 1

2. 選定した特定の事件 . . . 1

(1) 監査テーマ. . . 1

(2) 監査の対象期間 . . . 1

3. 特定の事件として選定した理由 . . . 1

4. 監査の方法 . . . 1

(1) 監査の視点. . . 1

(2) 監査の対象及び実施した主な監査手続 . . . 2

5. 監査の実施期間. . . 2

6. 監査実施者 . . . 3

7. 利害関係 . . . 3

8. その他 . . . 3

第2 監査対象の概要. . . 4

1. 全国の地方自治体の状況 . . . 4

(1) 地方自治体を取り巻く環境 . . . 4

(2) 公営住宅等を取り巻く環境 . . . 11

2. 長崎市の状況 . . . 13

(1) 長崎市を取り巻く環境 . . . 13

(2) 市営住宅を取り巻く環境 . . . 19

第3 監査結果の概要. . . 28

第4 監査手続及び結果. . . 31

1. 全般的事項 . . . 31

(1) 今後の市営住宅に関する施策 . . . 31

(2) 近隣の公営住宅の状況 . . . 36

2. 公営住宅システム. . . 39

(1) 公営住宅システムの導入状況 . . . 40

(2) 公営住宅システムの運用状況 . . . 45

3. 個別的事項 . . . 53

(1) 市営住宅に係る長崎市の組織運営 . . . 53

(2) 指定管理者. . . 56

(3) 募集・入居(抽選)・退去 . . . 62

(4) 市営住宅家賃 . . . 77

(5) 市営住宅の取得、修繕、処分 . . . 90

(4)

(7) 設備 . . . 121

(8) 付保状況. . . 122

(9) 入居者等アンケート . . . 123

(10) 市有財産台帳 . . . 129

(11) 文書管理. . . 137

(12) 個別団地の管理運営 . . . 139

(5)

第1 監査の概要

1.監査の種類

「地方自治法」第 252 条の 37 に基づく包括外部監査

2.選定した特定の事件

(1)監査テーマ

市営住宅の管理運営及び有効活用について (2)監査の対象期間

監査対象期間は、原則として平成 26 年度とするが、必要と認めた場合、平成 25 年 度以前の過年度にも遡及するとともに、平成 27 年度についても言及していることを申 し添える。

3.特定の事件として選定した理由

人口減少や少子高齢化によって、公の施設に対するニーズは大きく変化している。 また、長崎市では、近年の市町村合併に伴い、所有する施設の数も増加しており、そ の管理運営の重要性が高まっている。

その中でも、市営住宅は、長崎市が平成 26 年度末時点で所有する公共用財産のうち、 建物の延床面積に関して重要な割合を占める行政財産である。また、長崎市の市営住 宅は老朽化が進んでおり、順次、建替え工事を行っている状況にある。このため、長 崎市では「公共施設マネジメント推進プロジェクト」を市政の重点プロジェクトとし て採用することで、所有する市有財産の管理運営に力を入れているところである。

一方、都市圏及び近隣市町村への人口流出等によって、長崎市の市営住宅に対する 潜在的利用者は減少しており、歳入が厳しい中で、多額の建替え費用などの負担につ いては、その合理性や有効性が、今まで以上に明確である必要があるものと考える。 さらに、市営住宅については、従来から民業との重複、地震対策等の安全性が話題と なっており、近年では、民家の空き家問題及びその有効利用等も社会問題として挙げ られている。このため、長崎市における市政の観点からも、市営住宅に関する政策は 重要性が高い問題のひとつと考えられる。

以上から、「市営住宅の管理運営及び有効活用について」を平成 27 年度の包括外部 監査のテーマにすることが相当であると判断した。

4.監査の方法

(1)監査の視点

(6)

② 市営住宅の管理運営が3E(経済性及び効率性並びに有効性)の観点から、合理 的かつ適切に行われているか。

なお、上記の管理運営については、指定管理者 1

の利用、修繕及び建替え等の工事、 土地・建物の貸借、さらには有効活用の観点から施設の適正配置等に関することも含 む。

(2)監査の対象及び実施した主な監査手続

長崎市が所有する公の施設のうち、市営住宅について、以下の監査手続を実施した。 監査の対象とした部署は、市営住宅の直接的な所管課である住宅課を中心に、市営 住宅の管理運営に関連のある資産経営室及び財産活用課並びに情報システム課である。 また、市営住宅の現状を把握するために、一部市営住宅について現地調査を実施した。

① 市営住宅の管理運営に関する事務手続について、担当者へのヒアリング及び契約 書その他文書の閲覧を行い、関連諸法令・規則への準拠性を確かめた。

② 市営住宅に関連している所管課から関係書類や資料の提供を受け、担当者に対す るヒアリング及び入手資料の閲覧を行い、市営住宅の管理運営の状況と問題点を 把握した。

③ 一部の市営住宅については、現地調査を行い、実際の管理運営状況を確かめると ともに、問題点がないかを確認した。

現地調査については、主に以下の視点により実施した。

① 施設管理状況の把握(市有財産台帳管理、修繕、防災等への対応状況を含む。) ② 施設維持管理担当者(指定管理者、行政センター

2

等)へのヒアリング ③ 施設の利活用状況の把握(収益事業の導入状況を含む。)

④ 近隣施設や他の施設との統廃合の可否の把握

5.監査の実施期間

平成 27 年4月1日から平成 28 年3月 16 日まで

1

指定管理者とは、地方公共団体が、公の施設の管理を行わせるために、期間を定めて指定する団体のことをいう。 2

(7)

6.監査実施者

包 括 外 部 監 査 人 馬 場 正 宏 公認会計士 補 助 者 福 田 充 秀 公認会計士 同 浦 川 晃 司 公認会計士 同 湯 田 高 弘 公認会計士 同 三 浦 敬 司 公認会計士 同 池 下 裕 司 公認会計士

同 林 田 俊 介 公認会計士試験合格者 同 小 峰 英 篤 公認情報システム監査人

7.利害関係

包括外部監査の対象とした事件につき、地方自治法第 252 条の 29 の規定により記載 すべき利害関係はない。

8.その他

本報告書中、一部の元号については、以下のとおり略称を使用している。

略号 元号 凡例

S 昭和 S62=昭和 62 年 H 平成 H12=平成 12 年

また、表中の数値については、単位未満を切り捨てており、合計や差引が合わない 場合がある。なお、数値がゼロの場合は「―」とし、単位未満の場合及び計算結果が ゼロとなる場合は「0」としている。

(8)

第2 監査対象の概要

ここでは、長崎市の現状及び長崎市における市営住宅の概要を記載する。市営住宅 の概要を記載するに当たって、人口(総数及び年代別の構成比率)及び財政状況とい った市営住宅の運営管理に大きな影響を及ぼす環境面の洞察は欠かすことができない ものである。そこで、日本全国及び長崎市の人口(総数及び年代別の構成比率)、日本 全国の地方自治体と長崎市の財政状況、さらには、日本全国の地方自治体が所有する 公営住宅等と長崎市が有する市営住宅の状態、その他関連事項を記載することで、全 国比較の観点から、長崎市の状況を記載することとする。

1.全国の地方自治体の状況

(1)地方自治体を取り巻く環境

公の施設、特に公営住宅等の有効活用を考えるに当たり、人口の推移及び年代別の 人口構成比率の変動を把握することは重要である。現在の鉄筋コンクリート造の建物 の耐用年数は 60 年ほどと長期であるため、建設当初に行った判断が、現在、あるいは 将来においても必ずしも最適であるとは限らない。

つまり、人口の推移及び年代別の人口構成比率の変動を把握することは、既存の市 営住宅の施設規模や修繕等についての将来計画を決定する上で重要な事項である。

公営住宅等の管理運営においては、新規の建設、あるいは既存住宅の建替えの際に 一時的に多額の資金が必要となる。また、公営住宅等を維持し続けるためには、定期 的な修繕及び管理に係る費用が必要となる。このため、地方自治体においては、建設 コストだけではなく、維持管理費等の将来負担も含め、自らの財政状態を考慮した上 で、公営住宅等に関する行政判断を行うことが求められる。

そこで、はじめに、全国的な地方自治体の施設を取り巻く環境の変化を把握するこ とを目的として、総人口及び年代別人口構成比率の推移を記載し、その後に地方自治 体の財政状況について述べることとする。

ア. 人口の推移及び年代別人口構成比率の推移 ( i ) 人口の推移

全国の人口は、以下のグラフ【総人口の推移(全国)】のとおり、これまで一貫し て増加し続けてきたが、今後は急激に減少することが予想されている。

(9)

また、近年では、過去に建設した公共施設の老朽化・耐震化問題も顕在化してお り、既存の公共施設の運営に関する舵取りを行う中で、各地方自治体にとって、よ り難しい判断が迫られる局面が増えてくると考えられる。

公営住宅等についても、人口減少社会の中で、需要が先細りとなる可能性は極め て高く、需要の減少に伴い、今後は供給側を縮小することが必要になってくると考 えられる。しかし、公営住宅等においては、生活の基礎となる「衣」・「食」・「住」 のうち、「住」に関連するものであり、取壊しなどによって容易に縮減ができるもの ではない。このため、その他公共施設に比べても、今後の運営に係る計画の策定及 びその実行は相対的に困難が伴うことが推測され、より慎重かつ長期的な視点でと らえる必要がある。

【総人口の推移(全国)】

※ 出所「総務省統計局データ」

( i i )年代別人口構成比率の推移

全国の 14 歳以下の人口(以下「年少人口」という。)、15 歳以上 64 歳以下の人口 (以下「生産年齢人口」という。)及び 65 歳以上の人口(以下「老年人口」という。) は、以下のグラフ【年代別人口構成比率の推移(全国)】のとおり、一貫して少子高 齢化の傾向にある。

全国的な出生率の低下に伴い、総人口は将来的には減少することが見込まれてい る。また、高齢化については既に顕在化しており、老年人口割合(老年人口の総人 口に占める割合)は、昭和 50 年の 7. 9%から平成 25 年には 25. 1%へと大きく上昇 している。それに伴い同時期の年少人口割合(年少人口の総人口に占める割合)は 24. 3%から 12. 9%に下落し、生産年齢人口割合(生産年齢人口の総人口に占める割 合)は 67. 7%から 62. 1%に下落している。

総人口の推移が量的な変化をもたらすのに対し、年代別人口構成比率は、公共施

40, 000 50, 000 60, 000 70, 000 80, 000 90, 000 100, 000 110, 000 120, 000 130, 000

(万人)

ピーク時:

(10)

設に対する要求事項を質的に変化させる。すなわち、老年人口割合が上昇すること で、公共施設に対しては、高齢者からの要求事項への対応を求められる局面が増加 すると考えられる。まさに、現在、少子高齢化は日本が対処すべき大きな課題とな っている。このため、公共施設の在り方についても、現在の年代別人口構成比率に 対する要求事項に対応するだけではなく、将来的な少子高齢化を緩めることの一助 になるような行政判断を行うことも求められていると考えられる。

ここで、公営住宅の入居者の年代別人口構成比率の推移が、日本国民の年代別人 口構成比率の推移と大きく異なるものではないと仮定すると、その入居者について も高齢化が進んでいると考えられる。このため、今後の公営住宅に対する施策にお いては、高齢者への対応が必要となると同時に、少子化を緩和するための対応も求 められるといった、ある面では相反する対応の必要性に迫られており、非常に困難 な行政判断を迫られているといえる。

【年代別人口構成比率の推移(全国)】

※ 出所「総務省統計局データ」

イ. 全国の地方自治体の財政負担残高及び地方自治体の一般財源の推移 ( i ) 地方自治体の財政負担残高

財政負担残高とは、地方自治体が将来負担すべき財政負担額の残高であり、地方 債現在高と債務負担行為額の合計から積立金現在高を差引いて算出したものである。

以下のグラフ【地方自治体における年度末の財政負担残高の推移】は、その推移 を示したものである。地方自治体の財政負担残高は、バブル経済崩壊後一貫して増 加し続けたものの、直近の 10 年では、ほぼ横ばい( 140 兆円程度) で推移している。

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

(11)

【地方自治体における年度末の財政負担残高の推移】

※ 出所「平成 27 年版地方財政白書」

当該グラフに記載した地方債現在高、支出負担行為額、積立金現在高の説明は、 以下のとおりである。

地方債現在高 地方自治体が発行者として発行した地方債の残高であり、 支払期限が到来した際に利息及び元金の返済を行うことと なる債務をいう。

債務負担行為額 将来負担する契約等を既に締結しているなど、将来的に財 政的な負担が予定された行為に対する予想支出額のことを いう。

積立金現在高 基金等の積立額であり、将来的な支出に対して、現状で積 立を行っている金額のことをいう。当該金額については、 将来的な負担を減少させるものであることから、財政負担 残高を算定する際に差し引いている。

( i i )地方自治体の一般財源の推移

地方自治体の財政負担残高は、「第2 1. (1)イ.( ⅰ) 地方自治体の財政負担 残高」に記載したとおり、平成 16 年度末から平成 25 年度末にかけて 140 兆円付近 で高止まりしている。これに対する歳入項目としての一般財源は、地方自治体が自 己の裁量で使用できる財源であり、当報告書では臨時財政対策債を含めて、地方税、 地方贈与税、地方特例交付金、地方交付税の合計としている。

( 50)

0 50 100 150 200

H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 (兆円)

(12)

一般財源の内訳についての説明は、以下のとおりである。

地方税 地方自治体自体が課税を行い、納税者が直接地方自治体に 納税する税金をいう。

地方譲与税 国税として徴収され一定の配分に基づいて、地方自治体に 譲与される税金をいう。

地方特例交付金 恒久的な減税の影響による地方の減収を、補てんするため に創設された交付金をいう。

地方交付税 本来地方の税収とすべきであるが、地方自治体間の財源の 不均衡を調整し、全ての地方自治体が一定の水準を維持し 得るよう財源を保障する見地から、国税として国が代わっ て徴収し、一定の合理的な基準によって再配分する税金を いう。

臨時財政対策債 国から地方公共団体に分配する地方交付税が足りないた め、その不足する金額の一部を、いったん地方自治体で借 金をしてまかなうために発行する地方債のことをいう。地 方交付税の振替であり元利償還金については後年度全額地 方交付税で措置される債務をいう。

年度ごとに増減はあるものの、平成 16 年度から平成 25 年度にかけての一般財源 の金額は、以下のグラフのとおり、総じて減少傾向であり、地方自治体の財政は厳 しい状況となっている。

なお、近年では企業の業績や給与所得の改善といった報道等もあり、一般財源の 増加見込みがまったくないわけではないが、近い将来、地方自治体の財政状況が急 激に改善することは望めそうもない。このため、地方自治体としては、今後も一層 の財政状況改善への取組が必要である。

【一般財源の推移】

※ 出所「平成 27 年版地方財政白書」 54

56 58 60 62 64 66

(13)

また、地方自治体が自ら置かれている環境の変化に対応するには、柔軟な財政運 用を行うことが求められることから、財政の弾力性を確保することが必要となる。 これを測る指標の一つとして経常収支比率が挙げられる。これは、経常的な収入に 対する経常的な支出の割合で算定される。

経常収支比率が高ければ、経常的支出に経常的収入のほとんどが費やされ、臨時 的経費に充てることのできる収入が少なくなってしまい、柔軟な財政運営ができな い状況となる。

近年の高齢化による社会福祉費等の増加に伴い、地方自治体全体の経常収支比率 は上昇傾向が継続している。一般的に経常収支比率の健全な範囲は 70%から 80%の 範囲とされ、従来の総務省の指導では、道府県で 80%、市町村で 75%を上回らない ことが望ましいとされていた。しかしながら、以下のグラフのとおり、直近の 10 年間では、毎年度 90%を超える水準で推移している。この結果、地方自治体におい て、弾力的な支出が難しくなっているといえる。

このため、公営住宅等に対する予算も、現在の日本の人口の推移等からは当然減 額される方向にあると考えられる。そのため、公営住宅等に関する行政についても、 今後はより一層の効率的かつ効果的な予算設計が求められる。

【地方自治体における経常収支比率の推移】

※ 出所「平成 27 年版地方財政白書」

ウ. 地方公会計の整備促進

(14)

【統一的な基準による地方公会計の整備促進について抜粋】

(包括外部監査人による強調事項を明確にするために一部下線をつけている) 地方公会計については、これまで、各地方公共団体において財務書類の作成・ 公表等に取り組まれてきたところですが、人口減少・少子高齢化が進展してい る中、財政のマネジメント強化のため、地方公会計を予算編成等に積極的に活 用し、地方公共団体の限られた財源を「賢く使う」取組を行うことは極めて重 要であると考えております。

今後の地方公会計の整備促進については、「今後の地方公会計の整備促進につ いて」(平成 26 年5月 23 日付総務大臣通知総財務第 102 号)のとおり、平成 26 年4月 30 日に固定資産台帳の整備と複式簿記の導入を前提とした財務書類の作 成に関する統一的な基準を示したところです。その後、「今後の新地方公会計の 推進に関する実務研究会」を設置して議論を進めてきましたが、平成 27 年1月 23 日に「統一的な基準による地方公会計マニュアル」を取りまとめております。

当該マニュアルにおいては、統一的な基準による財務書類の作成手順や資産 の評価方法、固定資産台帳の整備手順、連結財務書類の作成手順、事業別・施 設 別 の セ グ メ ン ト 分 析 を は じ め と す る 財 務 書 類 の 活 用 方 法 等 を 示 し て お り ま す。

つきましては、当該マニュアルも参考にして、統一的な基準による財務書類 等を原則として平成27 年度から平成 29 年度までの3年間で全ての地方公共団 体において作成し、予算編成等に積極的に活用されるよう特段のご配慮をお願 いします。

特に、公共施設等の老朽化対策にも活用可能である固定資産台帳が未整備であ る地方公共団体においては、早期に同台帳を整備することが望まれます。

※ 出所「統一的な基準による地方公会計の整備促進について」

(15)

したがって、公営住宅等の状況についても、これまで以上に詳細かつ比較可能な 情報が開示されることが予想され、公営住宅等の管理運営についても、今後より一 層の説明責任が地方自治体に課されるようになると考えられる。

(2)公営住宅等を取り巻く環境 ア. 公営住宅等の推移

平成 25 年度末現在における公営住宅等(「公営住宅法」(昭和 26 年法律第 193 号) に基づく公営住宅、「住宅地区改良法」(昭和 35 年法律第 84 号)に基づく改良住宅 及び地方公共団体が独自に建設する単独住宅)の総戸数は 239 万 9, 051 戸であり、 前年度末と比べると 5, 841 戸減少(0. 2%減)している。この状況を平成 16 年度末 の総戸数 242 万 5, 872 戸と比べると、2万 6, 821 戸減少(1. 1%減)している。

平成 16 年度末から平成 25 年度末にかけての公営住宅等の戸数は、都道府県営の 公営住宅等は 97 万 1, 164 戸から 96 万 901 戸へ1万 263 戸減少し、市町村営の公営 住宅等は 145 万 4, 708 戸から 143 万 8, 150 戸へ1万 6, 558 戸減少している。つまり 都道府県営、市町村営にかかわらず、公営住宅全体が減少傾向となっているといえ る。

なお、平成 16 年度末から平成 25 年度末の公営住宅等の戸数の推移は、以下のグ ラフのとおりである。

【公営住宅等の戸数の推移】

※ 出所「平成 27 年版地方財政白書」

イ. 公営住宅等に関する国の方針

(16)

下のように方針を決定している。

【経済財政運営と改革の基本方針 2014( 平成 26 年6月 24 日閣議決定) の抜粋】 社会資本整備については、厳しい財政状況の下、国民生活の将来を見据えて、 既 設 施 設 の 機 能 が 効 果 的 に 発 揮 さ れ る よ う 計 画 的 な 整 備 を 推 進 す る 必 要 が あ る。

また、国際競争力の強化、地域の活性化、国土強靭化(ナショナル・レジリ エンス)、防災・減災対策、老朽化対策等の諸課題に対して一層の重点化を図り つつ、人口減少・高齢化、財政制約の下、民間活力の最大限の発揮等による効 率化を図りながら、マネジメントを重視した社会資本整備を計画的に推進する ことが求められる。

このため、集約・活性化、都市・地域再生等の観点からの社会資本の整備目 標についての重点化・優先順位付け、インフラの利用の在り方、効果的・効率 的な政策手段の在り方等について見直しを行い、以下の取組を推進する。

※ 出所「経済財政運営と改革の基本方針 2014」

同基本方針の中では、民間活力として、「収益施設等を活用したPPP/ PFI 3

事 業による維持管理・更新を推進するとともに、公営住宅分野において事業に先立っ てPPP/ PFIの導入を検討する地方公共団体の取組を推進する」としており、公 営住宅等に対しても民間活力を導入することで地方財政の改善を推進しようとして いる。つまり、今後の公営住宅等の在り方については、過去とは異なった手法での 建設及び運営管理を求められていくと考えらえる。

また、同基本方針には「公共施設等の全体の状況を把握し、長期的な視点に立っ て、更新・統廃合・長寿命化など総合的かつ計画的な管理を行うため、各地方公共 団体における『公共施設等総合管理計画』の策定を促進する」とも記載している。 つまり、従来の公共施設の管理手法についても、より効率的かつ効果的なものを策 定するよう地方自治体に求めている。その中でも、統廃合を明記し、今後の地方自 治体の公共施設のスリム化を求めるという人口減少に対する国の方針を明確にして おり、公共施設を所有する地方自治体にとって重要な指針であるといえる。

このように、今後の地方自治体の公営住宅等の運営については、様々な視点から 最低限のコストで最大限の成果を挙げられる施策が求められているといえる。

3

(17)

2.長崎市の状況

(1)長崎市を取り巻く環境

ア. 人口(総人口、年代別人口構成比率)の推移及び市町村合併の推移 ( i ) 人口の推移及び年代別人口構成比率の変化

長崎市の総人口は、以下のグラフのとおり、昭和 50 年度末は約 50 万人であった が、近年は一貫して減少傾向であり、平成 26 年度末には 43 万人にまで減少してい る。また、今後も人口減少が継続すると見込まれている。

人口減少のペースに関しても、現状年間3千人ほどのペースの減少が将来的には 年間4千人のペースで減少すると見込まれ、20 年後の平成 47 年には、約 35 万人と なることが予想されている。人口が減少傾向であることについては、全国と同様で あるが、全国では 20 年後の平成 47 年までに 11. 4%の人口減少を見込んでいるのに 対して、長崎市は同期間の人口減少率として 17. 6%を見込んでおり、全国平均を大 きく上回る人口減少となることが予想されている。つまり、長崎市は全国に先駆け て人口減少局面に入っている状況である。

このように、人口減少が継続している現状では、公共施設について、これまでと 同様の規模及び運営管理を継続した場合、将来的に余剰感が増してくることが予想 される。特に、市営住宅は住居設備を提供しているものであり、民間も同様のサー ビスを実施していることから、民間の賃貸住宅の余剰も含めた賃貸住宅に関する施 策を考えていく必要性が増していると考える。これは全国も同様の状況であるため、 国として施策が出される可能性もある。また、長崎市については離島があることや 地域間での住宅事情の違いも大きいことから、国から出される施策に留意しつつ、 長崎市の実態に合った対応を行うことが求められる。

【長崎市の総人口の推移(市町村合併等により編入された地域分を含む)】

(18)

長崎市の年代別人口構成比率の推移は、以下のグラフのとおり、全国同様、一貫 して少子高齢化傾向である。このため、総人口の減少もあいまって、老年人口割合 は昭和 55 年度末の 8. 9%から平成 27 年度末には 29. 2%へと大きく上昇することが 見込まれている。

なお、今後は老年人口割合の上昇は緩やかになると推定されているとはいえ、老 年人口割合が上昇し続けることに変わりはない状況である。

【長崎市の年代別人口構成比率の推移】

※ 出所「平成 26(2014)年以前実績値:長崎市統計データ 平成 26(2014)年以降 推計値:国立社会保障・人口問題研究所推計」

このような人口の推移(総数、年代別人口構成比率)を辿っている長崎市におい て、市営住宅に対する将来的な要求事項は、過去から大きく変わることが推測され る。つまり、市営住宅の多くは高度成長期の人口増加の段階で建設されたものが多 い。一方、現状は、老年人口割合が上昇している状況であり、建設時と現在の状況 は大きく異なっている。このため、市営住宅についても、人口減少及び少子高齢化 への対応が求められることとなる。

なお、人口減少及び少子高齢化に対しては即効性のある妙薬はなく、長期的な視 点で市営住宅の管理運営、あるいは制度設計の見直しを考えていかざるを得ない。

( i i )市町村合併の推移

長崎市は、明治 22 年の市制施行以来、その他の都市と同様、合併(編入)を繰り 返している。また、平成 26 度の長崎市の統計年鑑では、行政面積は 405. 81k㎡と なっている。

(19)

有する市営住宅の管理戸数は大きく増加した。

なお、市域への編入等の推移は、以下のとおりである。

【長崎市市域への編入等の状況】 (単位:k ㎡)

年 編入等状況 面積

明治 22 年(1889 年) 市制施行 7. 00 明治 31 年(1898 年) 下長崎村、戸町村、淵村等編入 16. 00 大正 9 年(1920 年) 上長崎村、浦上山里村編入 41. 10 昭和 13 年(1938 年) 小榊村、土井首村、小ヶ倉村、西浦上村編入 90. 54 昭和 25 年(1950 年) 福田村網場の脇編入 90. 60 昭和 30 年(1955 年) 深堀村、福田村、日見村編入 121. 32 昭和 37 年(1962 年) 茂木町、式見村編入 165. 41 昭和 38 年(1963 年) 東長崎町編入 206. 62 昭和 48 年(1973 年) 三重村、時津町(横尾地区、巡り地区)編入 239. 03 平成 17 年(2005 年)

香焼町、伊王島町、高島町、野母崎町、外海 町、三和町編入

338. 72 平成 18 年(2006 年) 琴海町編入 406. 35

平成 26 年(2014 年)

平成 26 年 10 月 1 日の面積減は、国土地理院 による「全国都道府県市区町村面積調」の算 出方法の変更によるもの。

405. 81

※ 出所「平成 26 年度長崎市統計年鑑」

上記のとおり、平成 17 年及び平成 18 年に複数の町を編入していることから、長 崎市の市営住宅管理行政においては、それ以前の長崎市(以下、「旧長崎市」という。) とその時に編入された町(以下、「旧町」という。)とでいくつかの相違点がある。 なお、旧長崎市と旧町における市営住宅管理行政の相違点については、「第4 監査 手続及び結果」で詳細に記載することとし、ここでの記載は省略する。

イ. 歳入及び歳出並びに市債残高の状況 ( i ) 長崎市における歳入及び歳出の推移

長崎市の普通会計 4

の歳入及び歳出の直近4年間の推移は、以下のとおりである。

【歳入及び歳出の推移】 (単位:億円)

平成 23 年度 平成 24 年度 平成 25 年度 平成 26 年度 歳入 2, 064 2, 113 2, 109 2, 163 自主財源 752 818 739 769 依存財源 1, 312 1, 295 1, 370 1, 394

4

(20)

平成 23 年度 平成 24 年度 平成 25 年度 平成 26 年度 歳出 2, 047 2, 085 2, 067 2, 129

人件費 298 298 285 275

扶助費 696 704 700 718

公債費 252 220 214 216

投資的経費 204 237 242 276

その他 597 626 626 644

差額 17 28 42 34

※ 出所「長崎市ホームページ」

なお、上記の表中の項目の定義は、以下のとおりである。

自主財源 市税、使用料及び手数料、財産収入など自治体が自主的に 収入できる財源をいう。

依存財源 地方交付税、国・県の支出金、市債など、国や県の意思決 定に基づいて収入される財源をいう。

人件費 職員の給与などに係る費用をいう。

扶助費 生活保護、障害者支援などの福祉に係る費用をいう。 公債費 過去に借り入れた市債( 借金) の返済に係る費用をいう。 投資的経費 学校、道路、公園など公共施設の整備に係る費用をいう。

上記のとおり、長崎市は、歳入における依存財源が自主財源を上回っており、国 や県の意思決定に基づいて交付される財源が過半数を占めている。

また、人件費、扶助費、公債費といった支出削減が容易ではない、いわゆる義務 的経費の割合が平成 26 年度では 56. 7%となっており、歳出の過半数を占める結果と なっていることから、支出の弾力的な運用の余地は限られているといえる。

( i i )長崎市における財政負担残高の推移

財政負担の算出方法を、「第2 1. (1)イ. ( ⅰ) 地方自治体の財政負担残高」と 同様の方法とした場合、長崎市の普通会計の財政負担残高の直近4年間の推移は、 以下のとおりである。

なお、ここでの基金残高は、財政運営のための基金(財政調整基金・減債基金) の残高とし、使途が限定されている特定目的のために使われる基金(こども基金や 緑化基金など)は含めていない。

【財政負担残高の推移】 (単位:億円)

平成 23 年度末 平成 24 年度末 平成 25 年度末 平成 26 年度末

市債残高 2, 310 2, 341 2, 412 2, 496

債務負担行為額 10 6 5 4

基金残高 90 98 120 152

(21)

上記のとおり、長崎市の財政負担残高は、平成 24 年度以降の直近2年では毎年 50 億円ほど増加しており、平成 26 年度末には 2, 348 億円に達している。

この平成 26 年度末の財政負担残高は、平成 26 年度の自主財源の3倍となってい る。歳出が増加し、自主財源が伸び悩んでいる中で、財政負担残高は増加している ことから、長崎市の財政状況は、将来的には予断を許さない状況であると考えられ る。

ウ. 長崎市における資産の状況

現在の地方公会計では、現金主義・単式簿記を採用している。単式簿記では、現 金の収支のみ処理がなされることとなる。このため、資産購入時において、現金の 支出時に歳出として処理されるだけで、資産は計上されない。また、将来負担すべ き負債についても、支出時に歳出として処理がなされるのみで、現状として将来負 担すべき金額については、決算に反映されないこととなる。つまり、原則として、 所有している資産・負債の金額を明らかにすることはできない。このため、「第2 1. (1)ウ.地方公会計の整備促進」に記載したとおり、国主導で、発生主義・複式 簿記を採用する地方公会計の基準の策定を行っている。発生主義・複式簿記を採用 した場合、資産購入時には現金の支出に加え、資産の取得としての処理がなされる。 また、将来負担すべき負債についても、決算に反映されることとなり、現金主義・ 単式簿記を採用した場合と比べて、地方自治体の財政状態がより明らかなものとな る。

地方公会計の基準は、地方公共団体が適用すべきものとなっており、将来的に全 ての地方公共団体の資産・負債の金額を明らかにしようという流れとなっている。た だ、長崎市では、現在においても、「総務省方式改訂モデル」によって、一定の算定 方法で決算日時点の地方公共団体が所有する資産及び負債の金額を明らかにしてい る。

長崎市では、「総務省方式改訂モデル」によって平成 24 年度末及び平成 25 年度末 の貸借対照表

5

を作成しており、以下のとおり公表している。当該貸借対照表でもわ かるとおり、長崎市の資産・負債の内訳に大きな変動はなく、所有している資産の 中で大きな割合を占める項目は土地・建物等の有形固定資産である。このため、長 崎市にとって今後の公共施設についてのマネジメントは非常に重要な意味を持つこ とが当該貸借対照表からも読み取ることができる。

5

(22)

【長崎市の貸借対照表】 (単位:億円) 資産の部

金額

平成 24 年度末 平成 25 年度末

公共資産 6, 879 6, 677

(1)有形固定資産 6, 875 6, 674

(2)売却可能資産 3 2

投資等 803 829

(1)投資及び出資金 432 459

(2)貸付金 32 22

(3)基金等 319 332

(4)長期延滞債権 27 23

(5)回収不能見込額 △ 9 △ 7

流動資産 138 173

(1)現金預金 125 162

うち歳計現金 27 41

(2)未収金 12 11

うち回収不能見込額 △ 3 △ 2

資産合計 7, 820 7, 680

負債の部

金額

平成 24 年度末 平成 25 年度末

固定負債 2, 400 2, 415

(1)地方債 2, 095 2, 158

(2)長期未払金 8 4

(3)退職手当引当金 295 251

(4)損失補償等引当金 1 0

流動負債 300 267

(1)翌年度償還予定地方債 285 253

(2)未払金 1 0

(3)賞与引当金 13 13

負債合計 2, 701 2, 683

純資産の部

公共資産等整備国県補助金等 1, 087 1, 099 公共資産等整備一般財源等 4, 352 4, 191 その他一般財源等 △ 1, 110 △ 1, 060

資産評価差額 789 766

純資産合計 5, 119 4, 997

(23)

(2)市営住宅を取り巻く環境 ア. 長崎市全体の公共施設の概要

平成 23 年度のデータではあるが、長崎市の人口一人当たりの公共施設の土地、建 物の保有面積は、下表のとおりであり、長崎市は、市民一人当たりの建物が、中核 市

6

平均と比較して広くなっている。

【市民一人当たりの公共施設の土地、建物の保有面積】 中核市平均 土地 25. 51 ㎡

建物 3. 29 ㎡ 長崎市 土地 25. 20 ㎡ 建物 4. 13 ㎡

※ 出所「長崎市提供資料」

また、長崎市では、今後も同じ面積の資産を保有し続けた場合、人口減少によっ て、平成 42 年には、市民一人当たりの公共施設の建物の延床面積は 5. 45 ㎡まで拡 大すると試算している。

長崎市の平成 27 年3月 31 日現在の公共施設における築年数別延床面積は以下の とおりであり、築年数 30 年を超えるものが延床面積ベースでは過半数となっている。

なお、ここでいう公共施設は、行政財産 7

としての建物(文化財を除く)を指す。 【長崎市の公共施設の築年別整備状況】

※ 出所「長崎市資産経営室提供資料」

6

中核市とは、人口 20 万人以上の要件を満たす政令指定都市以外の規模や能力などが比較的大きな都市の事務権限を強化 し、できる限り住民の身近なところで行政を行うことができるようにした都市をいう。

7

行政財産とは、長崎市において公用又は公共用に供し、または供することと決定した財産をいう。

中核市 41 市のうち、

(24)

既述のとおり、長崎市の公共施設は、延床面積ベースでは中核市平均と比較して 市民一人当たりの面積割合が広い。また、上記グラフのとおり、築年数が 30 年以上 の施設が過半数を占めている。このため、長崎市における今後の公共施設の集約化 等も含めた公共施設の有効活用の重要性は、中核市の中でも相対的に高い都市であ るといえる。特に、長崎市が所有する公共施設は、建物の延床面積における学校及 び住宅の割合が高いものとなっている。さらに、築年数に関しても、学校及び市営 住宅は築年数が 30 年を超え、老朽化が進んでいる物件が多い状況である。

なお、長崎市の平成 26 年度末時点の公共施設のうち、建物の延床面積の項目別の 内訳は、以下のグラフ【長崎市の公共施設(建物)の延床面積の内訳(グラフ)】の とおりである。これをみると、学校、住宅施設及びその他の施設の構成が、それぞ れ3分の1となっている。

【長崎市の公共施設(建物)の延床面積の内訳(グラフ)】

※ 出所「財産に関する調書(平成 26 年度)」

【長崎市の公共施設(建物)の延床面積の内訳(表)】 (単位:㎡、%)

区分 延床面積 割合

本庁舎 26, 878. 62 1. 5

その他の

行政機関

その他の庁舎 25, 799. 84 1. 4

職員宿舎 2, 056. 67 0. 1

消防施設 26, 807. 82 1. 4

土木施設 2, 332. 54 0. 1

公共用財産

保健衛生施設 87, 141. 71 4. 7

産業経済施設 71, 002. 86 3. 8

社会福祉施設 63, 238. 18 3. 4

体育文化施設 97, 433. 10 5. 3

学校

33%

住宅施設

34%

その他

33%

(25)

区分 延床面積 割合

公共用財産

学校 601, 421. 28 32. 5

その他の教育施設 131, 376. 59 7. 1

住宅施設 637, 142. 51 34. 4

観光施設 41, 713. 78 2. 3

中央卸売市場 36, 414. 90 2. 0

公共用予定施設 1, 488. 33 0. 1

合計 1, 852, 248. 73 100. 0

※ 出所「財産に関する調書(平成 26 年度)」

イ. 長崎市における公共施設マネジメントの概要

「第2 2.(2)ア.長崎市全体の公共施設の概要」に記載したとおり、長崎市 が所有する公共施設は築年数が 30 年以上のものが過半数となっており、市民一人当 たりの公共施設の延床面積は中核市の中でも上位に位置している。このため、長崎 市が現在保有する公共施設を今後も維持し続けるとすると、維持管理のために多額 の修繕費が必要となるおそれがある。一方、「第2 2.(1)イ.歳入及び歳出並び に市債残高の状況」に記載したとおり、長崎市は歳入における自主財源の割合が少 なく、人口減少も予想される中で、長崎市では多額の修繕費負担に耐え続けること は困難であるとの考えに至っている。このため、長崎市では市の方針として、平成 23 年度に公共施設の効果的・効率的な管理運営を推進するために「長崎市公共施設 マネジメント基本計画」を策定している。さらに、平成 26 年度には、行政サービス 分野ごとに公共施設の将来のあり方を示す「長崎市公共施設の用途別適正化方針」 を策定している。

(26)

※ 出所「長崎市資産経営室提供資料」

上記のコストシミュレーションでは、長崎市が現状の公共施設を所有し続けた場 合、今後 30 年間で 3, 340 億円の費用がかかると見込んでいる。また、一般財源と公 債費(市債発行額)から見込まれる今後の財源許容額は 2, 461 億円と算定しており、 このままでは、今後 30 年間で 879 億円の財源不足となると見込んでいる。

長崎市では、公共施設マネジメントの取組として、財源不足と見込まれる 879 億 円を、今後 30 年間ではなく、さらに短い 15 年間で解消することを計画している。 また、「長崎市公共施設の用途別適正化方針」では、その解消策として、①施設設備 の選択と集中、②保有延床面積の削減(総量抑制)、③新たな財源の確保の3つの取 組方針に沿って対応策を考えている。

(27)

【公共施設マネジメントの基本的な考え方】

※ 出所「長崎市資産経営室提供資料」

また、長崎市では、「長崎市公共施設の用途別適正化方針」において、市営住宅の 今後のマネジメントの方向性として、以下のように記載している。

【長崎市公共施設の用途別適正化方針の抜粋】

市営住宅については、人口動態の変化や民間の空き家の増加など、今後の住 宅需要の変化を踏まえ、民間住宅との役割分担を十分に勘案し、入居基準の見 直しも含め、住宅の建替え等に合わせ管理戸数を減少させていきます。 1. 施 設 整 備 の

選択と集中 【削減目標】

今後 30 年間( 2015∼2044 年) の財源不足額 879 億円 ( 公共施設の保有延床面積 25%削減に相当)を解消する。

2. 保 有 延 床 面 積の削減 ( 総量抑制)

3. 新 た な 財 源 の確保

【計画期間】 15 年間

( 2015∼2029 年)

①≪対象を絞る≫

投資的経費は、存続させる施設にのみ 投入する。

・廃止対象施設の大規模改修の凍結 ・存続させる施設に対する計画的予防

保全・長寿命化

②≪数を減らす≫

将来の市民ニーズ、社会環境の変化等を 十分に検証し、今後も行政として保有す べき施設だけを残す。

・施設の統廃合

③≪複合化を促進する≫

施設と機能(行政サービス)を切り離し、 複合化(1施設多機能化)の促進により 施設規模の適正化を図る。

・既存施設の余剰スペースへの他施設 の機能の複合化

・建替え時の適正規模と複合化の検討

④≪枠を守る≫

施設の新規整備は、総量抑制の数値目 標内で行う。

・新規施設の床面積と同規模の既存施 設の床面積の削減

⑤≪財源を創る≫

民間活力を積極的に活用する。 ・PPP(公民連携)の導入

⑥≪収入を増やす≫ 自主財源を拡大する。

・低未利用資産の売却及び貸付 ・受益者負担の見直し

≪取組方針≫ ≪方策及び手法≫ ≪効果≫

・施設の安全性の向上 ・長寿命化による施設の

有効活用

・改修・維持管理コスト の削減

・統廃合による建替え、 改修、維持管理コスト の削減

・目的が異なる利用者の 集約による多世代交流 の促進及びコミュニテ ィの活性化

・複合化により玄関、階 段、会議室等を共有 することによる総床面 積の削減

・余剰スペースの有効 活用

・部局間連携の促進

・施設の過剰整備の抑制

・新たな行政サービスの 展開

・公費投入の低減

・市有地の売却・貸付に よる収入増

(28)

また、島しょ部などの空き家の状態が恒常化し、入居が見込めない住宅につ いては移転集約や除去等を行うことにより、施設規模の縮小を図ります。

さらに、縮減後の余剰地について、他用途への活用や売却を図るなど、新た な財源確保に努めるとともに、民間活力を導入した施設整備を検討するなど、 財政負担の軽減に取り組みます。

※ 出所「長崎市公共施設の用途別適正化方針」

このように、長崎市としては、市営住宅について、今後の新設は原則として考え ておらず、減少させていく方向であることを明確にしている。

ウ. 長崎市の市営住宅の概要

「第2 2.(2)ア.長崎市全体の公共施設の概要」に記載したとおり、市営住 宅は長崎市が所有する公共施設の延床面積のうち、3分の1を占めている。このた め、長崎市全体の公共施設の将来計画を立てるに当たっても、市営住宅は非常に重 要な位置を占めている。ここでは、長崎市が所有する市営住宅の概要について述べ ることとする。

長崎市では平成 27 年4月1日時点で、106 団地、9, 569 戸の市営住宅を有してい る。また、長崎市が所有する市営住宅は6種類あり、種別の根拠条例、設置目的及 び平成 27 年4月1日時点の管理戸数は、以下のとおりである。

【市営住宅の種別及び根拠法令等】

種類 根拠法令等 設置目的 管理戸数

公営住宅 公営住宅法 国 及 び 地 方 公 共 団 体 が 協 力 し て 健 康 で 文 化 的 な 生 活 を 営 む に足りる住宅を整備し、これを 住 宅 に 困 窮 す る 低 額 所 得 者 に 対して低廉な家賃で賃貸する。

88 団地 8, 121 戸

改良住宅 住宅地区改良法 不良住宅が密集して、危険又は 有 害 な 状 況 に あ る 地 区 を 指 定 し、不良住宅を除却することに 伴い、その居住する住宅を失い 住 宅 に 困 窮 す る と 認 め ら れ る 者に賃貸する。

10 団地 977 戸

再開発住宅 再 開 発 住 宅 制 度 要綱

市 街 地 再 開 発 事 業 の 施 行 区 域 等内に居住する借家人等で、住 宅 に 困 窮 す る こ と と な る 者 に 賃貸する。

1団地 36 戸

コ ミ ュ ニ テ ィ 住宅

密 集 住 宅 市 街 地 整 備 促 進 事 業 制 度要綱

密 集 住 宅 市 街 地 整 備 促 進 事 業 の施行に伴い、その居住する住 宅を失い、住宅に困窮すると認 められる者に賃貸する。

(29)

種類 根拠法令等 設置目的 管理戸数 特 定 公 共 賃 貸

住宅

特 定 優 良 賃 貸 住 宅 の 供 給 の 促 進 に関する法律

国 及 び 地 方 公 共 団 体 が 協 力 し て 居 住 環 境 が 良 質 な 住 宅 を 整 備し、これを中堅所得者に賃貸 する。

6団地 106 戸

単独住宅 法適用外 収入基準が超過しており、公営 住 宅 に 入 居 で き な い 者 等 に 対 する住宅の提供、教職員住宅等 の 用 途 廃 止 後 に お け る 施 設 の 有 効 活 用 等 を 図 ろ う と す る も ので、住宅を必要とする者に賃 貸する。

15 団地 299 戸

※ 出所「長崎市住宅課提供資料」 上記のとおり、長崎市が所有する市営住宅の約 85%は公営住宅であることから、 当報告書では、原則として公営住宅を中心に記載している。

また、市営住宅の管理運営については、原則として長崎市の予算内で行うことと なっているが、建物の建設及び土地の造成コスト等については、国からの補助があ り、長崎市ではおおむね建設コストの 45%を国からの補助に頼っている状況にある。

平成 26 年度決算の中で、市営住宅に関連する収支は、以下のとおりとなっている。 長崎市の負担額のみを考慮した場合、市営住宅については市債の返済まで含めても 収支は黒字となっている。

【長崎市の市営住宅に係る収支の状況】 (単位:百万円)

【収入】 金額

家賃収入 2, 215

駐車場収入 227

小計 2, 442

【支出】 金額

維持補修費 128

管理委託費 298

住宅損害共済損害保険分担金 9

借上公営住宅借上料 71

管理事務費 36

職員給与費 71

公債費(元金) 1, 136

公債費(利子) 215

その他 0

小計 1, 967

差額 475

(30)

字の状況といえる。

また、上記内訳の借上公営住宅借上料(71 百万円)は、長崎市が一棟借上げを実 施した松が枝団地と戸町団地の2つの団地に係るものである。その他の団地は全て 長崎市所有の行政財産である。

長崎市の市営住宅における平成 22 年度から平成 26 年度までの募集倍率(5年間 累計)は、以下のとおりであり、長崎地区(旧長崎市)に募集が集中している。

【地区別の募集倍率】 (単位:戸、%)

地区 募集戸数 応募数 募集倍率

長崎地区 1, 227 7, 759 6. 32

香焼地区 95 294 3. 09

伊王島地区 34 46 1. 35

高島地区 36 10 0. 28

野母崎地区 32 18 0. 56

外海地区 105 54 0. 51

三和地区 52 140 2. 69

琴海地区 3 1 0. 33

長崎市全体 1, 584 8, 322 5. 25 ※ 出所「長崎市住宅課提供資料」を基に監査人が作成

さらに、長崎地区では、募集倍率が 10 倍を超えている市営住宅は、以下のとおり であり、住宅街や日常生活が便利な地域の募集倍率が高い状況となっている。

【団地別の募集倍率】 (単位:戸、%)

団地名 募集戸数 応募数 募集倍率

若葉 4 179 44. 75

花丘 3 82 27. 33

松が枝 1 27 27. 00

チトセピア 28 727 25. 96

三芳 23 585 25. 43

清水 12 258 21. 50

滑石 90 1, 913 21. 26

文教 21 322 15. 33

二本松 31 444 14. 32

戸町 8 91 11. 38

狩股 15 160 10. 67

大園 72 745 10. 35

小浦 35 362 10. 34

その他 884 1, 864 2. 11

長崎地区全体 1, 227 7, 759 6. 32 ※ 出所「長崎市住宅課提供資料」を基に監査人が作成

(31)
(32)

第3 監査結果の概要

「第2 監査対象の概要」では、長崎市の市営住宅を取り巻く環境を述べる前提とし て、日本全国の人口の推移や地方自治体の財政負担残高等の状況を記載し、その後、 長崎市の人口の推移や財政負担残高等の状況を記載した。また、長崎市の公共施設全 体の状況を記載し、その中における市営住宅の状況を記載した。

さらに、長崎市では、市営住宅について、集約化等を行い、縮減する方針であるこ とを記載した。

そこで、「第4 監査手続及び結果」では、まず、市営住宅に係る全般的事項を記載 し、次に、市営住宅関連業務で利用している公営住宅管理システムについて記載する こととする。さらに、個別的事項として、以下の 12 項目について記載することとする。

(1)市営住宅に係る長崎市の組織運営 (2)指定管理者

(3)募集・入居(抽選)・退去 (4)市営住宅家賃

(5)市営住宅の取得、修繕、処分 (6)借上げ住宅

(7)設備 (8)付保状況

(9)入居者等アンケート (10)市有財産台帳 (11)文書管理

(12)個別団地の管理運営

これらの項目を記載するに当たっては、原則として各項目を「ア.概要」、「イ.実 施した監査手続(及び考察)」、「ウ.結論」に分けて記載することとした。また、実施 した監査手続については、「第1 4. (2)監査の対象及び実施した主な監査手続」に 記載したとおりである。

(33)

「指摘」、「意見」とは、以下のとおりである。

指摘 主に合規性(法令、条例、規則等への適法性、正当性)について形 式的な違反がある、あるいは形式的な違反はないが、実質的に合規 性に反している状況にある場合をいう。

その他、社会通念上著しく不当であると判断される、と結論づけた 場合も含まれる。

意見 指摘 には該当し ないが、経済 性及び効率 性並びに有効 性の観点 か ら、組織及び運営の合理化に資するものとして、包括外部監査人が 専門的な見地から改善勧告した事項をいう。

【「指摘」、「意見」の要約】

大項目 内容 指摘 意見 頁

全般 資産経営室と各所管課との連携 ○ 33

市営住宅に関する施策の検討課題 ○ 33

住宅バウチャー制度の導入 ○ 34

空き家の有効活用 ○ 34

旧町における市営住宅に関する施策 ○ 35 長崎県との連携

37 142 システム システム導入に係るガイドラインの策定 ○ 44

移行判定手続の実施 ○ 44

ネットワーク構成図の更新 ○ 50

長崎市情報セキュリティポリシーの見直し ○ 51 システムの運用管理業務の効率化 ○ 51 情報システムに係る事業継続計画の策定 ○ 52

管理運営 募集方法の見直し ○ 65

受渡確認書の作成

70 76

入居希望者への情報提供 ○ 70

入居補欠者の選考 ○ 70

自己都合による入居辞退者への対応 ○ 71

連帯保証人の確保への対応 ○ 71

退去修繕についての対応 ○ 76

指定管理者の外注先選定のモニタリング ○ 110

空き家修繕費予算の策定方法 ○ 110

収支計画の精緻化 ○ 119

(34)

大項目 内容 指摘 意見 頁 台帳関連 資産取得に係る付随費用の取扱い ○ 93

資本的支出の取扱い ○ 111

市有財産台帳価格 ○ 134

不動産借受報告書の作成 ○ 134

市有財産台帳の登録内容の統一

134 142 147

市有財産台帳の管理体制 ○ 135

市有財産台帳と現物との照合

142 146 152

市有財産台帳への登録漏れ ○ 146

処分財産の市有財産台帳への登録漏れ ○ 152 有効活用 駐車場の空き区画の有効活用 ○ 143

団地内スペースの有効活用

143 147

団地の集約化 ○ 147

その他 利便性係数の算定方法 ○ 89

地方公会計の整備促進に向けた体制の構築 ○ 135 入居者関連書類の永年保存の見直し ○ 138

駐車場の利用実態調査の実施 ○ 153

(35)

第4 監査手続及び結果

1.全般的事項

公営住宅の目的は、公営住宅法(昭和 26 年法律 193 号)第1条として、以下のよう に定められており、公営住宅の在り方を示している。

【公営住宅法の抜粋】

第 1 条 国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる 住宅を整備し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸し、 又は転貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを 目的とする。

※ 出所「公営住宅法」

長崎市の市営住宅は、昭和 40 年代から昭和 50 年代に建てられたものが多く、日本 の高度経済成長とともに、その供給戸数が増加してきたものである。

その時代は以下のような状況であり、公営住宅法でいう「住宅に困窮する低額所得 者」へ住居を供給するために、市営住宅は必要不可欠なものであった。

長崎市の人口は増加しており、住宅需要が高止まりしていた。 民間の賃貸不動産市場が未成熟であり、供給戸数が不足していた。

しかし、現在の長崎市における住宅環境は、以下のとおりである。 人口減少局面を迎えており、住宅需要も減少する見込みである。

民間の賃貸不動産市場も成熟し、供給戸数を含め、住環境は充実している。また、 一部地域では賃貸住宅に対する供給が需要を上回っており、余剰感も出てきている。

このように、市営住宅を取り巻く環境は、建築ラッシュであった時代から大きく変 化しており、市営住宅の在り方も変化している。また、建築から 30 年以上経過した市 営住宅も多く、老朽化対策等を含めた各種施策を検討する必要がある。

このような現状を前提に、長崎市における市営住宅の全般的な施策について、以下 に述べていくこととする。

(1)今後の市営住宅に関する施策 ア. 概要

(36)

【長崎市公共施設の用途別適正化方針の抜粋】

現在保有している公共施設を今後も同規模で保有し続けた場合の将来的な建 替え(周期 60 年)や大規模修繕(周期 20 年)に必要な費用について、平成 27 年(2015 年)から 60 年間の市の実質的負担額として一般財源と公債費を算出し、 中長期的な財政見通しによる財政許容額と比較したものです。

その結果、平成 27 年から 60 年間に必要となる公共施設の建替え・改修費の 合計は総額 8, 035 億円となり、一方で、その期間の財政許容額は、総額 4, 531 億円で、その差は 3, 504 億円となりました。同様に、平成 27 年からの 30 年間 では、建替え・改修費が 3, 340 億円となり、30 年間の財政許容額は 2, 461 億円 で、差額は約 879 億円という結果になりました。

※ 出所「長崎市公共施設の用途別適正化方針」

長崎市が実施したコストシミュレーションでは、現在の公共施設を維持した場合、 今後 30 年間で 879 億円の財源が不足する見込みとなっている。

この財源不足額を解消するために、長崎市では、①施設設備の選択と集中、②保 有延床面積の削減(総量抑制)、③新たな財源の確保を骨子とした対策を考えている。

イ. 実施した監査手続

「長崎市公共施設の用途別適正化方針」等を用いて、住宅課や資産経営室に対し、 コストシミュレーションの算定方法、市営住宅の現状や今後の方針等についてヒア リングを行った。

ウ. 結論

市営住宅を含めた長崎市の公共施設全体に関するコストシミュレーションや適正 化方針等は、各所管課が基礎となる情報の提供を行い、資産経営室が主導で取りま とめられたものである。

長崎市は、「第2 2.(2)ア.長崎市全体の公共施設の概要」に記載したとおり、 中核市平均と比較して公共施設の保有が多く、今後、長崎市の人口が減少していく 中で、そのまま保有し続けることは、今後の財政へ大きな影響を与えることになる。 このため、部分的ではなく、長崎市全体としての公共施設のマネジメントを行うこ ととした長崎市の対応は適切なものと認められる。

各課が所管する公共施設の今後の在り方については、各所管課で個々に検討する ものと思われるが、その場合、部分最適は達成できても、それが必ずしも長崎市の 全体最適となるとは限らない。このため、資産経営室が、全庁的にコントロールを 行い、各所管課の施策を検討することは、全体最適の視点から重要である。

(37)

( ア) 資産経営室と各所管課との連携(全般・意見)

長崎市が公共施設マネジメントを行う上で算出したコストシミュレーションは、 現状分析のために資産経営室が行ったものであり、今後、各所管課が具体的な施策 を立案する際のベースとなるものである。

市営住宅は、年間 22 億円の家賃収入を得ている施設であり、また、その管理のた めに人件費もかかっている。コストシミュレーションに当たっては、修繕や建替え に係るコストから家賃収入を控除した、実質的な長崎市の財政負担額を算出するこ とが望ましい。しかしながら、当該コストシミュレーションでは、修繕や建替えに 係るコストのみが対象となっており、家賃収入や人件費コスト等は考慮されていな い。

このように、当該コストシミュレーションには、所管課が把握している、より実 態に即した情報については反映されていない状況である。

したがって、資産経営室が各所管課との連携を密にして、より実態に即した情報 を入手した上で、より精緻なコストシミュレーションを作成する必要がある。

( イ) 市営住宅に関する施策の検討課題(全般・意見)

「第2 2.(2)ア.長崎市全体の公共施設の概要」に記載したとおり、市営住 宅は、公共施設の延床面積の3分の1を占めており、長崎市が公共施設をマネジメ ントするに当たり、重要な対象資産である。

また、市営住宅は、「住宅に困窮する低額所得者」へ住居を提供するという公営住 宅法の趣旨を遵守し、入居者の住生活を守る必要があることから、配慮すべき課題 が多い。そのため、これらに関連する施策の立案等を行う住宅課は、資産経営室等 の関連部署と、より広範かつ深度のある連携が求められる。

なお、資産経営室が主導する全庁的な公共施設マネジメントを推進するに当たっ ては、以下のような点に留意する必要がある。

全庁的な最適化の視点での対応が求められることから、市長が強力なリーダーシッ プを発揮する必要がある。

各施策の検討・実行に当たっては、計量可能な目標数値をKPI 8

として設定する。 KPIは、目標数値をさらに分解して導き出される関連指標を用い、より具体的な 施策に落とし込めるように決定する。

市営住宅におけるコスト削減のためのKPIとして、例えば以下のようなものが 考えられる。

棟単位の長寿命化対策率(長寿命化対策が実施されることで、建物の維持・管理コ ストのなかでも特にコストがかかる建替えの頻度を減らすことができる。)

8

(38)

移転集約の達成率(移転集約が達成されることで、維持管理等に係るコストの削減 が可能となる。)

なお、市営住宅は、建替えや修繕等が棟単位で実施されることが多いことから、 施策の検討及び実行は、棟単位で実施する必要がある。

( ウ) 住宅バウチャー制度の導入(全般・意見)

長崎市における市営住宅を取り巻く環境は、建築した時代から大きく変化し、市 営住宅の在り方が変化している。

このような環境変化に対応する政策の一つとして、住宅バウチャー制度の検討に ついて提言したい。

住宅バウチャー制度とは、空き家となっている民間住宅を活用するために、「住宅 に困窮する低額所得者」に対し、民間と公営住宅の家賃の差額を補填する家賃補助 制度である。つまり、該当者は公営住宅に入居した場合と同様の家賃で民間住宅を 賃借することができ、民間家賃との差額を自治体が負担する制度である。住宅バウ チャー制度は、近年、各自治体において、新たな住宅セーフティーネットの一つと して検討がなされている施策である。

住宅バウチャー制度を採用する場合、長崎市における主なメリット及びデメリッ トは以下のように考えられる。

【住宅バウチャー制度のメリット、デメリット】

メリット デメリット

 ストックを減らしつつも「住宅に困 窮する低額所得者」への住居の提供 が可能であり、長期にわたり施設の 維持管理コストを抑えることができ る。

 長崎市内における空き家の有効活用 に繋がる。

 抽選による選定がなく、入居資格を 満たす者全員が支援を受けることが できる。

 市営住宅としての供給戸数を、需要 に合わせて調整できる。

 市営住宅に空き家がある現状では、 住宅維持管理コストと住宅バウチャ ーコストが二重に発生してしまう。  住宅扶助等の給付を行う生活福祉政

策との二重行政となる可能性があ る。

 住宅バウチャーが住宅のみに利用さ れることを制度的に検証する仕組み の構築が必要となる。

住宅バウチャー制度には、市営住宅を取り巻く環境の変化に対応するための施策 の一つとして、採用した場合と現状のコストを比較するなど検討を行う余地がある と考えられる。

( エ) 空き家の有効活用(全般・意見)

参照

関連したドキュメント

継続企業の前提に関する注記に記載されているとおり、会社は、×年4月1日から×年3月 31

平成 28 年 3 月 31 日現在のご利用者は 28 名となり、新規 2 名と転居による廃 止が 1 件ありました。年間を通し、 20 名定員で 1

都における国際推進体制を強化し、C40 ※1 や ICLEI ※2

一方で、平成 24 年(2014)年 11

第1回 平成27年6月11日 第2回 平成28年4月26日 第3回 平成28年6月24日 第4回 平成28年8月29日

    その後,同計画書並びに原子力安全・保安院からの指示文書「原子力発電 所再循環配管に係る点検・検査結果の調査について」 (平成 14・09・20

損失に備えるため,一般債権 については貸倒実績率によ り,貸倒懸念債権等特定の債 権については個別に回収可能

 国によると、日本で1年間に発生し た食品ロスは約 643 万トン(平成 28 年度)と推計されており、この量は 国連世界食糧計画( WFP )による食 糧援助量(約