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Vol.63 , No.2(2015)147尾園 絢一「パーニニ文法における補完システム : adとghasの交代をめぐる問題」

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(1)

The Japanese Association of Indian and Buddhist Studies

NII-Electronic Library Service

The  Japanese  Assoclatlon  of  工ndlan  and  Buddhlst 二 St二udles

印 度學 佛教學 研 究 第

63

巻 第

2

号  平成

27

年

3

月 (

245

)

パ

ー ニ ニ

文 法

に

お

け

る

補 完

シ

ス

テ

ム

     

ad と

ghas

の

交

代

を

め

ぐ

る

問 題

尾   園   絢  

一

1

.

補 完 (

Suppletion

)

 

一つ の 活 用 表を複 数の語 幹で分担 し, 補 い 合

う

, 補 完現

象

(Suppleti・n)は

様

々 な原 因か ら起こ る , その 中の 一つ と して , 動 詞の 語 義が元 来 持っ て い る時 間的性

質 (Akti・nsart)が

Aspekt

「相

」

に基づ く

語幹

の 選 択 (現 在語 幹::ア オ リス

i

・語幹) を

制 約 する こ とに起 因 する もの が あ る 1).「食べ る」を意 味 する

2

つ の 動 詞 >ad と

Vghas

は補 完 活 用 (suppletives  Paradigma )を

構

成

す

るこ とが知 られ て い る. ad (uridg .

*

V

 

hled

) は , 元 々 の語 義が 強い 持 続 的 (

iterativ

−

durativ

)性 質 を持っ て い た (「噛ん で い る」) と考 えるな ら ば ,未完 了相 (

imperfektiver

 

Aspekt

) によ る

表

現に

適

してお

り

, 語 幹 形 成 接 尾 辞の 助 けを借 り

ず

に現

在

語 幹 (ad −”) を作る こ と が で き る が, 完了 相 (perfektiver Aspekt) に対 応す る ア オ リス ト語 幹を作る こ と がで き ない .他 方,

元 々 は瞬 間 的 (punktUell)又 は

短

時 間 ・

終 点

的 (m ・mentativ −endterminativ )な

性 質

を

持 っ て い た はずである,

ghas

は アオ リス ト語 幹 を作 る こ と はで きて も現 在 語 幹 を作る こ とが で き ない . その 結果, ad が 現在 語 幹を作 り,

ghas

が ア オ リス ト語 幹 を作 る こ とに よ り, 活用 表を相補 的 に

構

成 する こと になる, ギリ シ ア語 (ホ メ ロ ス)で は,

5

δω,

9

σθ

itO

(<

Iptv

. * e”σθ1 〈  ’ hled−d” i)は現 在 語 幹を 担 い , アオ リス トは 知 αγoレ 「食べ た」(〈 ”

e

−

b

” ag −e!o一又は *

6

一

暁

g−e/o−,貳 ai.餉ψ ” 「分 け前に与る」) が担っ て い る2). 完 了 語 幹 はβ

6

βρω κ α ( * >g’Verh3 「飲み 込 む 」, cf. ai.ノαgδ・・) と

Ptz

.

6

δηδω ‘ (< *hie一届

4

喫 δ∫)3)の よ

う

に

2

つ の

動

詞か ら構 成 さ れ る.

2

. パ ー ニ ニ

文法 学

に お

け

る

補完

活 用

 

複数

の独 立 した動 詞 が一つ の

活

用

表

を

分担す

るとい

う

現

象

を, パ ーニ ニ は , 基

本

的に は一つ の

動

詞が 一つ の 活 用

表

を

担

い , 一定の 条 件の 下で ,

Allomorph

(e.

g

.

ghas9−

bhtiva

−, ・adhi

−

bhava

−) が現れ る と教え る .

補 完

現

象

をどの よ

う

に教 える か は動

詞 に よっ て

様

々 で ある .

DhP

 Iに登 録さ れ る

動

詞, つ ま り幹 母

音

現

在

語 幹 を作 り,

一

850

一

(2)

(

246

) パ ーニ ニ 文法にお ける補 完シ ス テム (尾 園) 幹 母

音

以

外

にア クセ ン トを持つ もの の

中

,

幾

つ か は

P

五

p

.〜

VII

 

3

,

78

に よ る代 置 4) に よっ て 現 在 語

幹

が

導

き 出 さ れる.

E

.

g

. 

pb

(DhP  I 

972

)>

pib

−a−, 

ghra

(

DhP

 

I

 

973

)〉 ノ

ighr

−a−, 

dhmd

(DhP  I 

974

)>

dhdm

−a− , stha (

DhP

 

I

 

975

)〉’

娩

勧 一,他 方, 現

在語幹

(athe−

matisch )を

持

つ が, それ以外の 語 幹 を作る場 合 (ardhadhatuke) に別の 動詞 (e.

g

. 

Pras

。

atti : :

Aor

. aghasat , prds. 

hanti

 l:Aor .・avadhit )が

用

い られ る

場合

につ い て は

P

毎

II

 

4

,

35

以下 に定め られ てい る .

pap

, 

II

 

4

,

36

−

40

は ad が

ghas

, ノagdh に代 置さ れ る条 件 を

定

め てい る .概ね (ヴェ ーダの )言 語

事

実に対 応 する が, 以 下に論 ずる よ うに事

実

か ら

逸脱す

る規 則 や 陳述 が一部見 られる,

3

. ヴェ ー ダ に お

け

る ad 〜

ghas

 

>ad は

Pras

. 

dtti

, (lp£

2

.,

3

.Sg ,は

dvayas

,

6v

のα’を持っ て補完 する →

3

.

3

.) , 

Fut

. atsyati ,

Kaus

. 

adayati

, 

Pass

. adyate

等

を

作 り

, 

Vghas

は

Aor

.

(

a

)

ghas

−, 

Per

£ ノα

g

磁3α, 

Desid

.

ノ

ighatsati

, 

VA

(

lj

.ノagdhd

一

等

を

作

る こ とで活用 表や 派生 を相 補 的 (

k

・mplementMr )に

担

う

.

3

.

1

.

Wz

.−

Aor

.(a)

ghas

−t

 

》

ghas

は

Wz

.−

Aor

. 

dghas

, aghat5 >, aghast ∂m (aghattam  RVkh  V 

7

,

2

(

1

)), 

dkSan

 ¥ を

作る (

SrSU

に はa−A・r.が現れる,

→

3

.

3

.)6).

動物犠 牲

祭の神 格へ の 献 供 (daivatdni)

の 時 に

MaitravarLmpa祭

官が 発

す

る

指

図 (p厂卿σ一)7)の 文 言 か ら

, 

Ipf

. 

Du

. 

tittam

(面 ’励 2),

Ip

£

Sg

.

6v

の〜α’ (

6

−avayat,

→

3

.

3

.),

Iptv

.

3

.

Du

. 

ghdistam

(〜MS  ghastあm )

,

Konj

.

3

.

Sg

. 

ghdsat

(cE  

jav

. gaeha4ti)

等

の

語

形が 回

収

さ れ る:

VS XXI  

43

−

45

(〜RVkli V 

7

,

2

(f)〜MS  

IV

 

13

,

7

:

208

,

4

〜

KS

 

XVIII

 

21

:

281

,

19

〜

TB

 

III

 

6

,

11

,

1

−

2

    t       f 〜M 互nSS  V 

2

β,

37

〜

S

劭

khSSV19

,

15

(

Pratika

))                チ      F      t       r

h6ta 

yakSad

 aSvinaor. chdigasya 

havis

. a a−’ tta

’

m  adyd  madhyat6  mtida  

tidbhgetam

 pura−’ 

dvesohhyah

 

purti

ρ 伽 r岬 の ツ 距9♂品 6.9跏5訂 δ脚 nEnc 加 9版56 復1’r ∂顧 η2 ンdvasaprathaman 〜励 sumdtksara4 δth

                ノ      ノ

Siatarudriydu

勧m agnis. v互ttdnd勿 

pivopavasanamp

 

pfirSvattih

 

Sro4itdh

 Sitdmatd utsδ

dat6

’カ

gidafigbd

dvattana

ηa.(中略)/

143f

/ 

h6td

 yaksat sdrasvatim .川 ε頭理o 加 v醜

tivayad

 adyd  madhyat6  mtida

tiddhgrtam

 pura” ptiuruseyya 

ggrbh6

. 

ghdisan

 ntindm .(中略 )〃

44

〃

h6td

 yakSad 

indram

. grFabhtisya

      ノ       t

mesdsya 肋γ細α a−’ vayad  adyd  madhyat6  m6da  tiddhrtam purd pdiurtt5ew∂ grbhj .9層 砌 π nfindrp .

(中略 )〃

4511

Hot1

は両

ASvin

 8)を讃 える が よい .[両者はコ供物である山羊の,真ん 中から取 り出さ れ た脂肪 (= v 卿

6

− 「大 網」)を今 日 (す な わ ち,先 行する v岬 δ一

homa

におい て)食べ た,諸々 の 敵 意よ り先に,人 間の捕獲 よ り先 に. 今は, 食べ よ, 食べ る こ とにおい て駆 り立て る (食欲 を そ そ る), 牧 草 を 一番 [の 栄 養 ] と する, 流れ (肉汁 ?)を伴 う,

100

の Rudra に 属 す る (捧 げら れる ?),火で甘 く (美 味しく)さ れ た, 周 り に脂肪がある [肉片 を],

(3)

The Japanese Association of Indian and Buddhist Studies

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The  Japanese  Assoclatlon  of  工ndlan  and  Buddhlst 二 St二udles

パ ーニ ニ 文法に おける補完シス テ ム (尾 園) (

247

)

 

わ き腹の [部位]か ら, 臀部か ら,前足か ら,終わ り (直腸 ?)か ら9),一部位 ずつ ,

 

切 り取られ た [肉片を]. (中略 )〃

4311Hotl

は Sarasvatiを 讃 える がよ い . 匚Sarasvatiは]

  供 物である羊の,真ん 中か ら取 り出さ れ た脂 肪を今日食べ た, 諸々の 敵 意より先に,人   間の 捕獲 より先に. 今は, 食べ るが よい. (中略 )〃

44

 

1

! 

Hotl

は

Indra

を讃えるが よい.   [lndraは]供物で ある雄の羊の,真ん 中か ら取 り出 され た脂 肪を今日食べ た,諸々 の敵  意 より先に,人間の捕獲 より先に.今は, 食べ るが よい . (中略 )〃

451

/ こ こ で は

Konj

. 

ghasat

が

使

用 さ れ てい る が , >ad の

Konj

. lo> を

使

用

す

る こ と も可 能で あ っ た は ずで あ る .

Vghas

の 語 義 が 元 来 持 っ て い た, 

Aktionsart

が 語 幹の 選 択に関 与 してい る可 能性が考 えられるが, 用 例に基づ い て証 明 する こ とは難 しい .

 

Ka

≦

ika

 ad 

II

 

4

,

39

  ii)

は, こ の箇 所に現れ る, 

Aor

. 

ghdistam

と

Ip

£ 

dttam

をヴェ

ー ダ語 特

有

の異 例 形 と説 明す る .

Iptv

. 

ghdstbm

につ い て は, 恐 ら く

KESik5

は オ

ー グ

メ ン トの ない

IuN

(lnj. Aor .)12)と理

解

して い た もの と推 測さ れる 13>. 

Pap

. 

VI

 

4

,

100

に よ り

ghas

は子

音

で 始 ま る接

辞

又 は語尾の

前

で は a が脱 落 する が (ghas>ghs ) 14〕

,

ghdstam

に は こ の操

作

が起 こ っ て い ない こ とが異 例であ る . 

Ipf

. 

dttam

は

1uN

(

Aor

.)

と解

釈

さ れてお り15), その 場 合,

bahulam

「

様

々 に

」

16) に よっ て,

1

”N の

前

であっ て も

ghas

の 代置 が起こ ら ない こ と が 正 当化さ れ る .

  Wz

.−

Aor

.は

RV

, 

YV

に多 く現 れ る が, ヴ ェ ー ダ散 文に もし ば し ば見 ら れ る.

E

.

g

. nd vaS ettisya 

brahmapaS

 

getdyd

ッalp 

purdnnam

 aksan 「天 理 に従

う

バ ラモ ン た ち は

昔

は こ

う

し た者の 食べ 物 を食べ る こ とは な か っ たの だ」

TS

 

1

 

5

,

2

,

IP

, 

TS

 

II

 

2

,

5

,

5P

.

パ ーニ ニ は

Wz

.−

AQr

.はマ ン トラ に お い て用 い ら れ る と教 えるが 17), ヴェ

ー ダ散

文

に

見

られ る

言語事実

を

考慮

してい ない .

3

.

2

.

Them

.

Aor

. aghasat

 

M5n

§

S

 

V

 

2

,

9

,

6

は, 上 述 の

PraiSa

(

→

3

.

1

.)の 中で 献 供 する神 格に応じて活 用 を

変 化

させ る こ と (励θ一) を教 える :

Konj

. 

Pras

. adat

, adatam (Iptv.), adan , 

Konj

. 

Aor

,

ghasat

, 

ghast

δm (

Iptv

.), 

ghasan

, 

lnd

.

 

Aor

. aghasat

, α

g

ぬα3’δ那, aghasan . ま た

SankhSS

VI

 

1

,

5

に は a−

Aor

. aghasat , aghasan , 

Wz

.−

Aor

. aghat , akSan が 挙 げ ら れ, a

−

Aor

.と

Wz

.−

Aor

.の 両

方

が

Uha

に 用い ら れ る と

す

る. 上述の

ManSS

は, 両 数に

Wz

.

−

Aor

.

aghastam を,

単数

と

複数

にa

−

Aor

. aghasat , aghasan を

挙

げてい るこ とが注 目され る。

agh αsat は

1

.

Sg

, *

aghas −am  (< *

a−ghas−Pt)が aghasa −m と再

解釈

され た こ と に由 来す る もの (c£ lp£ 記 砿 →

fU

.・

22

)か

, 又は

Konj

. 

ghas

αtへ の 類 推か ら生 ま れ (

lptv

. 

Aor

.

Du . 

g

伽 ’伽 : :Ind. Aor . Du . aghastam >

Konj

. 

Aor

. 

3

.

Sg

. ghasat::

X

;X 冨o帥卿 ’)

, 次 第に

Wz

.

−

Aor

. aghas −t に取っ て代わ っ た もの と

推

測さ れ る.

 

Pap

. 

II

 

4

,

37

は

Aor

.と

Desid

.を

作

る

時

は

ghas

が

代

置 す る と教 える

18)

. 

ghas

は

g

一

848

 一

(4)

(

248

) パ ーニ ニ 文法にお ける補 完シス テム (尾 園) を記

号音

(it)に

持

つ の で, 賄ロ. 

III

 

1

,

55

により 19) , a−

Aor

. aghasat が

導

き

出

される 20) .

a−

Aor

. aghasat は

SrSU

以 降に普 及 し

, パ ー ニ ニ の時代 に は標

準

的な形 と なっ て い た もの と推 測 さ れ る .

3

.

3

.】[

pf

.厖ツ

4y

α’,西ぱα’

 

>ad の

Ipf

.

2

.,

3

.

Sg

. は   vα 一「栄養

」

の

Denom

. 

avaya

−’ (Kar1 Hoffinann , Aufsditze zur

lnd

・ir・nistik, 

Band

 

3

, 

Wiesbaden

:L . Reichert,

1992

, 

p

.

773

) を もっ て補 完 するこ とが 知 ら

れ て い る ,

Vad

か ら

作

る と

す

れ ば,

*

漉 (〈 *

d

−ad −t) が期

待

さ れ る が, 明 瞭 化の た め避

け

られた もの と

考

え られ る (

Hoffmann

, op. cit., 

p

.

770

).

但

し, 

RV

 

X

 

68

,

6

に

見

ら

れ る

ddat

は >ad の

lpf

.とも

解

し得る21)(

Hoffmann

, op . cit., p. 

771

):

dadbhir

 nd 」

’

ihvti

 

pdri

− v紋硼

6

伽

41

δvか η励 誡厂 σ々脚

4

〃 ε吻勿伽 「あ た か も歯た ちに よっ て ,舌に よっ て , 供され た もの を食べ たか の よ

う

に [

vala 「砦

」 を

弱体化

させ る時,]

彼

(

B

τ

haspati

) は

赤

い [牛 ]たちか らなる蓄え たちを露わに した⊥

Ip

 

f

. 

adat

 22>は

恵a

 

kkh

≦

s

,入

SvSS

にマ ン トラの改 変 励 α一)の例 として挙がっ てい る (→

3

.

2

.).パ ーニ ニ は

adat

, 

adan

,

etc.が ad の標

準

的 な

lpf

.で ある こ とを教 える :

PArp

. 

VII

 

3

,

100

 adak  sarveSam

[

ag 

99

,

apglkee 

96

, sltrvadhfituke  

95

, afigasya  

VI

 

4

,

1

] 「全ての者たちに よ れ ば, ad の

後

に,

単

子

音

の sarvadhatUka (つ ま り語 尾 )の 始め に付 加 音 aT が 生 じ る」. 

SrSU

以 降, 

Ipf

.

adat

は急 速に生 産 的に な

り

, パ ーニ ニ の

時代

に は

標

準 形 と な っ て い た もの と推 測 さ れ る .他 方,

avay

α一 t に

直

接 言 及

す

る 規則は見い だ せ ない .パ ーニ ニ が こ の形を 見 落と した の か, 説 明 する必 要 が ない と考 えたの か は判 断が難 しい .

NighaPtu

 

II

8

に は

avayati

が

食

べ る行 為を表 す動 詞 (atti−

karman

−)と して

挙

げら れ て い る (Hoffmann ,

op 。 cit., p.

772

). 

Sayapa

 ad 

RV

 

X

 

113

,

8

は

Nigha4tu

 

II

 

8

に基づ き,

6v

の α’を

avayati

の

Ip

£ と した 上 で,  abhakSayat と語 釈 する ,

3

.

4

.

Per

£ ノaghdsa , etc.

 

完 了 語 幹 は

ghas

か ら作 られる.

>

ad の

Per

£ の 用 例 は, 文

法

学

者

が挙 げる もの

を除 けば, ヴェ

ー ダ に も古 典サ ン ス ク リ

ッ トに も知ら れてい ない . に もか か わ ら

ず,

Parp

. 

II

 

4

,

40

は ad と

ghas

の どちらか か ら

作

ら れ る と教え る:

Parp

. 

II

 

4

,

40

 anya 一

撫 鰐 伽 嬢 「

1i

τの前 で は,  ad の 代わ りに

ghas

が任 意 に 生 じ る (ad か ghas の どち

ら かで あ る)⊥ こ こ で言

う

anyatarasydm

「

どち らか一

方

で

」

は, 完 了 語 幹 を作る

場合 は, ad か

ghas

の ど ち らか が用い ら れる こ とを

示

して い る. 

Kasika

は ノaghdsa ,

ノα細 砿 プα蜘 厂, 

dda

, 

adatur

, 

ndur

を挙 げる. だ が, 恐 ら く, こ の 規 則は ad と

ghas

と が完 全 に交 換 可 能 な 関 係にある こ とを意図 した もの で は ない .

ghas

は完全 な 活 用 表 を持た ない 動 詞 (

defektiv

) なの で, 理

論

上 ad か ら

Perf

.を作 るこ とがで き

(5)

The Japanese Association of Indian and Buddhist Studies

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パ ーニ ニ 文法に お ける補完シ ステ ム (尾  園) (

249

) て も, 実 際に用 例 が ない

場

合は, 用 い ら れない ( →

4

). とは い え , もし パ ーニ ニ の時代 に お い て も ad の 完了語 幹が全 く存 在し な かっ た とすれ ば , 

Pdp

 

II

 

4

,

37

(→

3

.

2

。)に 伽 「

liT

(

Per

£)の 前で」とい う条件 を加 えれ ば よ く, こ の規 則を 立 て る必 要が ない . こ

う

し た こ とか ら, パ ー ニ ニ の時 代になると ,

>

ad か ら新た に

完

了

語

形が 限定 的に作 られ, 完 了語 幹 ノaghas 一の 活用 表の 中に混 入 し て い た可 能 性が考 え

ら

れ る.パ ー ニ ニ の 規 則か ら

存在

が推測 さ れ る形は

2

.

Sg

. 

aditha

で ある. 

P

  .

VII

 

2

,

66

に よ れ ば, ad の 後で , 

Perf

. 

2

.

Sg

. thaLの 前に

i

が 生 じる 23) . また Pat. ad  

VII

2

,

61

に は

dditha

と

jaghasitha

が 現 れ る こ とか ら, 当時 実 際に使 用 さ れ て い た 可能 性がある.

4

.

1

)

hP

 

I

 

747

 

ghasv

 

ghas

 L’は ad の 代 置 要

素

(

PEo

. 

II

 

4

,

3

〔

F40

) と見 な され る. 一

方

DhP

 

I

 

747

に も

g

乃α評 が 登録さ れてお

り

, 本 来 作るこ とがで きない 現 在 語

幹

を は じめ , あら ゆ る 語 形を作るこ とがで きて て しま

う

: Ny 五sa ad P五な, II 

4

,

40

n・nu ・ゴ ‘ ghasg adan ” ity etasya ノα9傭 αノα細 助 ノα細・漉 餉α嚇 飢 “

ada 

bhakE

αrpe

”

の・asy・

露α Edatuh bdur iti. asti ghasih. prakgetyantaram,

“

sgrghasyadah  kmarac ” iti kmarojvidhan∂t. tat

katham ’加 媚 v’勧 加αv∫励 伽α1η?ghaseh prakrり

yantarsya

−

sarvavis . aJ,atvaj

’

n”dρanartham  

1

 tena tasya S巨rvadhatuke  nrdhadhatuke ca yatra 

tin

’

 ga脚 nδsti vacana 脚 ca, tatra prayogO na  

bhavati

.

(反論 )だ が,

DhP

 

I

 

747

 ghasg adane とい うこれ (動詞 語 基)に たい し て はy ’ aghdSa ,y’aksatur , ノα畑 r と [い っ た形が ]用い ら れ る こ とに なり, [同時に] DhP II l ada  bhaksarpeとい う これ (動 詞語基)に対 して は ada, ddatur , ddur とい っ た [形が用い られる こ とになる]で

はない か. 匚とい うの も]別の 語基 帥05 (ghasi−)がある ;∫r−ghasy−ad α

h

 

kmarac

(pall. m

2

,

160

)とい うKm αraC の規 定がある か ら. なの に,どうして こ こ で は

IiT

の前で任 意規 定

が あ るの か ? (答え)別の語 基で ある ghas は全 て [の 形]を対 象とす る の で は ない とい

うこ と を示唆するた め に.そ れ に よっ て, そ れ (ghas)に関 して, s5rvadhstuka と5rdha−

dhatuka

の 前で, 手が か りがな く 匚語形の ] 明 言 もない場 合 ,その場 合は使用 は起こ ら

ない .

P

帥 .

III

 

2

,

160

は

ghas

(ghasi−)の 後 ろ に

切

一

Suthx

 Kmarac を

導

入 して

gh

αsmara − (c£

ghasvara

− 「食 らう [者 ]」ManB  U 

5

,

1

)

等

が作 られ るこ と を教え て い るが 24) ,  maraC の前で, ad か ら

ghas

へ の 代 置 を定め た規 則は ない の で, 当

該

規 則の

ghas

は代 置 要 素で は な く動 詞 語基 で な け れば な らない . だ が,

DhP

 

1

 

747

 

ghas

が 完 全 な活 用 を持つ 動 詞 語基 と して存 在 す るな らば, ad か ら

ghas

へ の

代

置 (parp. II 

4

.

40

,→

3

.

4

.) を適 用 し な くて も

完

了 語 幹 を作 る こ とが 可

能

に な

り

,

P

的 . 

II

 

4

,

40

が無 意 味 に な 一

846

N工 工一Electronlc  Llbrary  

(6)

(

250

> パーニ ニ 文法にお ける補 完シス テム (尾  園)

る . そ こ で,

DhP

 

1

 

747

 

ghas

は

完

全な

活

用 を

持

た ない (na sdrvatrikak )

動

詞で ある

か ら25),

Perf

.は , 

DhP

 

I

 

747

の

ghas

か らで はな く,

DhP

 

II

 

1

 ad か ら

Parp

. 

II

 

4

,

40

に

よ る代 置 を経 由して

作

られる と説 明 する こ と に よ り,

P

的 . 

II

 

4

,

40

の 存 在 意 義が 認 め られるこ と にな る.現 在 語 幹 又 はそ もそ も動 詞 形 が 見い だせ ない 動 詞 語 基の 相 当 数が

DhP

 

I

に登 録さ れ て お りee), 

ghas

もま た特 定の 派生形 (ghasamara −, et。.) を

導

き出 すた めに

代

置 要

素

の

g

加

謎

(ghasl−bhava −)と は別 個 に登 録 され た もの と説 明 され得 る. だ が,

DhP

 

1

 

747

 

ghas

  L’ もまた

g

を

it

するの で,  a −

Aor

.を

作

る こ とが で き る (→

3

.

2

.).つ ま り , aghasat は

DhP

 

II

 

1

 ad か ら

Pap

. 

II

 

4

,

37

に よ る代 置 (ad >

ghas

) を経 由 して作 られるが (→

3

.

4

.) , 同時に

DhP

 

I

 

747

 

ghas

か らも同じ

形

が

導

き 出 されるこ とが 問 題となる.パ ーニ ニ 自

身

が

代置要 素

と

動詞語

基 とを どこ まで

厳

密に 区別してい た かにつ い て は今 後さ らに個々 の動 詞 語 基を精 査 する必 要がある.

1

)イン ド ・ヨ ーロ ッ パ祖 語の 動 詞 組織 ・カ テ ゴリー, 用語等につ い て は後藤敏文 「イ ン ドヨーロ ッ パ 祖 語に お ける動詞表現の 諸カ テ ゴ リー  枠 組み 再建の ス ケッ チー 」 『文 化の基礎 理 論と諸相の研 究 』(岩 手大 学 人文社 会 学部 総合 研 究委 員会 ,

1992

)を参照.

2

)Cf . Daniel K611igan, 

SUp

ρ

letion

 und  

Defektivtdit

 im grieehischen Verbum (Bremen :Hempen

,

2007

),p . 

67ff

.

  

3

)

ti

λε

be

−::

iAijAv

θα (

hile

−

hlludh

−)の ような型に倣っ て 形成さ れ た

もの と思わ れる (

Helmut

 

Rix

, 

Historische

 

Grammatik

 

des

 

Griechischen

:

Laut

− und  

Fortnenlehre

,

2

.Auflage [

Da

  stadt:

Wissenschaftliche

 

Buchgesellschaft

,

1992

コ,p.

205

).     

4

)

Pi

瞭. 

VIl

3

,

78

 

p

互rghr 巨一dhm 凌一sth∂−mna −

da4

−

drSy

−artti−sartti.

Sad

−sad めm  piba −」

’

ighra−

dhama

一的功α一mana −

yaccha 一ρaSya −rccha −dhau 一吻α一5i4融 隣”

75

, angasya  VI 

4

,

1

コ 「pa , ghrδ,

4

伽 距, sthd , mna ,面 ,

drSy

, 

ge

, sr, 

Sad

, sad の 語幹の 代わ りに

S

を

it

とする もの の前で, 

pib

,ノighr, 

dham

,∫’勲 , man ,

yacch, paSy, rcch , 

dhau

,伽 , sid が生 じ る⊥

    5

)本 来はaghas (〈

*

α一ghas −’). aghat

は

2

次的 に成立 し た 形 (Hans Oertel

, Kleine Schrtften 1 [

Stuttgart

:

Franz

 

Steiner

〜セrlag],p.

262

).

6

)ヴェ ーダ文献の略 号は ToshifUmi Got6

, Die

 “1. Prdisensklasse”im Vedischen (Wien :

Verlag

der

 

Osterreichischen

 

Akademie

 

der

 

Wissenschaften

,

1987

),

pp

.

15

−

19

に 従 う.

   

7

)

C

£

Julius

 

Schwab

, 

Das

 

Altindischen

 

Tieropfer

(Erlangen:Verlag von  Andreas Deichert,

1886

),

p

.

144

.

8

) 白

YV

で は, 神 格は

Agvin

(

Sautr

巨ma4i , ef. K5tySS  XIX  

6

,

24

).黒 YV の神 格は lndra

と Agni (KS は ASvin),  RV 学派は Agni と

Soma

(

AgniSomiya

 

Pa

≦u, c£ 

SfinldiSS

 V 

19

,

15

).

9

)utsadatdh :

Paul

−

Emile

 Dumont , TB (Proceedings of the 

American

 

Philosophical

 

Society

106

, no.

3

)p.

259

は 不確か と し な が ら も 「直腸 」(rectum ) と訳 す . 

Mahidhara

 ad 

VS

 

XXI

43

は 「切 り口の 部 位 」(chedanapradeSa −)と解 釈 する.

  

10

)

E

.g. 

ddat

 

AVS

 

X

 

8

,

22

, +

ddat

 

MS

 III 

2

,

8P

:

23

,

3

, 

3

.Pl.tidZin(hypercharakterisiert)

AVS

 

VI

 

50

,

1

, adan  

AB

 

VIII

 

24

,

2

.

11

)

P5n

. 

II

 

4

,

39

 

bahulamp

 chandasi [adak  

36

, ghas9 

37

]「ヴェ ーダ語で は, 様々 に ad の代わ

り にghas が 生 じ る」.

   

12

)Pan .VI 

4

,

74

 

bahulam

 chandasy  amdeyoge ’

pi

[at 

71

, 0t 

72

,

afigasya  VI 

4

,

1

] 「ヴェ ーダ語で は, 禁止辞 md と結びつ く時以外で も

, 語幹の 最 初に aT

(7)

The Japanese Association of Indian and Buddhist Studies

NII-Electronic Library Service

The  Japanese  Association  of  工ndian  and  Buddhist 二 St二udies

パ ーニ ニ 文法にお ける補 完シス テム (尾  園) (

251

)

Aor .)の解釈を考える.     

14

)P的. VI 

4

,

100

 ghasibhαs’or hali [chandasi  

99

, loρah , krkiti

98

,μρα励 凌v融

89

。aei 

77

, aftgasya  

1

] 「ヴェ

ーダ語で は, 

k

とthを

it

とする子 音又 は母音で 始まる [接 辞 ]の 前で, ghas と

bhas

の 語幹の 最 後か ら

2

番 目の 音の 代わ りに 10paが生

じ る」.

  

15

)Nyasa は

luN

(Aor ,)の 可能 性 も考 える,  Aor .−s− (sic) が 脱 落 した形

と説明する.     

16

)

bahutam

「様々 に 」は伝 統 的に, 文 法 操 作が適用さ れ る場 合,

適用 さ れない場 合, 任 意に適 用され る場 合, 別の 条件の 下 (乂は別の操作が)適用さ れ

る場合 に 分 類 さ れ る (

Cf

. Yoshiyuki lwasaki,

“

Formulating 

Deviccs

 

in

 the 

Papinian

 

Grammar

System :With Reference to nip ∂tana,5αηり叛 , and 

bahulam

,”

Sapporo

 

Otani

翫 脚

D

α∫gσん〃 切 δ

札幌大 谷 短 期 大 学 紀 要

34

,

2003

,pp .

19

−

20

).   

17

)

P

的. 

II

 

4

,

80

 mantre  ghasa−

hvara

−naSia− vge−4α娵 ゴーvガー侮gα加ゾα η必勿o 燥 「マ ン トラ で は,  ghas, hvar, na 9., vgl, dah 及 び a で終 わ る 動

詞 語 基,vgコ’, 

tr

, gα鵬 ノ砌 の後で , 

li

(

Aor

.

Cli

, Perf. 

liT

)の代わ りに lukが 生 じ る」.

18

)

P

蕊ロ.

II

 

4

,

37

伽 5砌 or g加∫![adah  

36

] 「luN (Aor .)とsaN (Desid.)の 前で,  ad の代わ

りに ghas4

’

が生じる」.

   

19)P的。 III 1,

55

 pusadyutad 

gdit

α

h

 parasmaipades. u [ari 

52

, cleh

44

, dhatoh 

l

,

91

,

parah

 

1

,

2

, 

pra

り

yayah1

,

1

] 「Akt .の語尾の 前で, 

puS

, 

dyut

, 

g

を itとする動 詞

語基の後に Aor .〔

i

、の代わ り に♂ が生 じ る」.

  

20

)ad −

1

  us

 

III

 

2

,

110

>ghas −

1

 

II

 

4

,

37

>

aTghas −

l

 VI 

4

,

71

>aghas −cli −l III 

1

,

43

>aghas −1−tiP III 

4

,

78

>aghas −

t

−t III 

4

,

100

>aghas −aN−t 

III

1

,

55

.

  

21

)そ れ 以外の箇所に 見 ら れ る

ddat

は a−>da か ら作 ら れ た

Wz

“Aor .

Med

.

3

.

Sg

.

で ある. 但 しRV  X 

68

,

8

の 例 も同 様に理解 する こ と も 可能で あ る.  Med .

3

.Sg .−a (t)に

つ い て は,Jacob Wackernagel, Kleine Schriften 1 (

G6ttingen

:Vandenhoeck &

Ruprecht

,

1969

),

p.

429ff

., Toshifumi 

Got6

,

01d

 

Jndo

−

A

 ryan  

Morpholog

ソ (

Wien

:

Verlag

 

der

 

6sterreichisch

Akademie  

der

 Wissenschaften

, 

2013

),

fn

.

 

202

を見よ.

   

22

)*ad−am , ad−an か らの 類推

形成 (Ho幵hmann, op . cit., p.

770

),   

23

)

P

知. 

VII

 

2

,

66

 id. atty−arti−vyayatinam [thali

 

61

,

angasya  

VI

 

4

,

1

]「ad , ge,.vye の語 幹の後では, thaL の前に iが 生 じ る」.

   

24

)P砥 Ill 

2

,

160

∫『−ghasy −adah  

kmarac

[tacchila −taddharma .ta tsadhuka−ris. u 

134

, 

dhdtoh

 

1

,

91

,parah  

1

,

2

,

pratyayahl,

1

] 「“そ れ を習慣とする者”,“そ れ を義務 とする者”, “ そ れ を 正 し く行 う者” とい う意味で, 5r, ghas, ad とい う動 詞語基の後に KmaraC の接辞が生 じ る」.

   

25

)

Cf

,

Siddh

.Kaum .

2341

(

DhP

 

I

 

747

)

,

Gajanan

 Balkrishna Palsule, The Sanskrit Dhatupathas

:

A

σ・’”cα

1

跏 め (

Poona

:

University

 of 

Poona

,

1961

),

p

.

196E

  

26

)現在 語 幹 を持たない動

詞 語 基の例は

Palsule

, 

The

 

Sanskrit

 

Dhatupathas

, 

p

. 

197ff

.

(平 成

26

年 度科 学研 究 費補 助金若 手研 究 (B)課 題番号

2670020

に よ る研究 成 果の一部 )

<キーワー ド> 

Suppletion

, 

defektiv

,α

d

, ghast 

Aktionsart

, 

Aspekt

, パ ーニ ニ , ヴ ェ ー

          ダ語

        (東 北大 学助 教)

一

844

一

参照

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