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本文/開催および演題募集のお知らせ

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Academic year: 2021

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(1)

蠢.緒 言 子宮内膜症は生殖期の女性に好発し,子宮内 膜あるいはその類似組織が子宮腔外に存在する 疾患である.この疾患は,月経困難症や慢性骨 盤痛などの身体的症状を呈するのみならず不妊 症の原因にもなり,女性の QOL を著しく損な う.また,婦人科臓器に限らず他臓器にも発症 し,7∼37%に腸管子宮内膜症が存在するとの 報告もある〔1,2〕. 腸管子宮内膜症のなかでも直腸子宮内膜症 は,便秘や下血を主訴として内科や外科などへ の受診となる場合もある.漿膜側のみに存在す る直腸病変では,無治療で経過しているものも 少なくないが,筋層への浸潤を認める症例では, 強度の月経痛や慢性骨盤痛をきたす.また,直 腸の狭窄が生じると便秘や排便痛も伴い,患者 の QOL は著しく損なわれる.そのような症状 の改善のため,最近では低用量ピルなどによる 管理が可能な症例もあるが,挙児希望のある症 例や直腸狭窄のある症例に対しては根治療法に はなり得ない.そのような背景から,難治性の 直腸子宮内膜症に対して,当科では外科との連 携と強調のもと,積極的な腹腔鏡下子宮内膜症 病巣切除および直腸低位前方切除術を施行して いる.今回は,その手術手技と成績を示す. 蠡.対象と診断と手術手技 対象:当科では,2006年4月から2008年1月末 までに325症例の子宮内膜症患者に対して腹腔 鏡下手術を施行した.手術を行った子宮内膜症 症例のうち,9症例に直腸子宮内膜症を認め, 保存的治療と外科的治療に関する慎重なインフ ォームドチョイスの結果,同意の得られた7症 例に対して腹腔鏡下直腸低位前方切除術を施行 した.また,残る2症例に対しては腹腔鏡下に 骨盤内癒着剥離術および卵巣嚢腫摘出術を施行 し,その後は低用量ピルを用いて経過観察中で, うち1症例は本手術を含めた今後の治療方針を 検討している.また,現時点で直腸子宮内膜症 の診断が得られて低用量ピルによる経過観察中 の症例が3症例あり,うち1症例は手術を前提 に経過を観察している.なお,他にも治療前に 自然妊娠例を認めた1症例もある. 診断:当院では子宮内膜症患者の初診時には VAS―Score(図1)を用いて,患者の症状の把 握の補助としている.問診と内診,超音波検査 で深部子宮内膜症が疑われる症例に対しては, 超音波用ゼリーを用いた MRI 所見〔3〕から, その病態の把握を行っている.この MRI ゼリ ー法で腸管子宮内膜症が疑われる症例に対して は,経肛門的内視鏡による補助診断も行ってい る.その直腸子宮内膜症症例の MRI ゼリー画 像を図2に示す.この症例では,直腸の Ra か ら Rb にかけて MRI 画像に欠損を認める直腸 内膜症が疑われたので,その後,経肛門的内視 鏡も行った.その内視鏡検査では直腸の壁外性 の圧迫による狭窄を認めたが,同部位の生検検 査では炎症細胞の浸潤を認めるのみで,子宮内 膜症細胞の同定はできなかった.この症例にお いて,手術の手技と手法について説明する. 手術手順と手技:腹腔鏡下での骨盤内所見では, ダグラス窩の強固な癒着による完全閉塞のた め,両側の卵巣も確認できなかった(図3―1).

直腸子宮内膜症に対する腹腔鏡下直腸低位前方切除術の検討

―外科との連携で行った7症例より―

健保連大阪中央病院婦人科 奥 久人,松本 貴,佐伯 愛,久野 敦,棚瀬 康仁,伊熊健一郎

(2)

【子宮内膜症 痛みの程度問診表】

お名前

痛みの部位を記入してださい。

VAS 耐えられない最強の痛みを10点,痛みなしを0点とした場合の相対的なスコアを各項 目につき選んでください。 鎮痛剤等使用しない場合 →→ ( ) 使用にて ①月経痛 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 → ②月経時 以外の痛み → ③排便痛 →→ ④性交痛 →→ ⑤排尿痛 →→ ⑥排卵期の 痛み → 現在使用している 鎮痛剤の種類 市販薬:イブ,バファリン,ナロンエース,その他 (         ) 処方薬:ロキソニン,ボルタレン,ポンタール,その他 (         ) 坐薬:ボルタレン,インダシン,その他(         ) 鎮 痛剤の 服用 量 個/周期(前回の月経周期) 図1 当院初診時に用いる VAS―Score 表

(3)

子宮内膜症では,反復する月経による炎症性変 化によって引き起こされる線維性の癒着によ り,解剖学的構築は生理的な状態から著しくか け離れた状態となる.このような癒着は,子宮 内膜症のほとんどの症例にみられ,剥離操作が もっとも重要な操作となる.このような癒着剥 離の手技に関しては,松本らの報告した手技に 基づいた手法で対処している〔4〕.その方法は, 針状電極で,繊細に切開し開放していくもので, 切開 剥 離 操 作 に は pure cut 60―70W で,シ ャ ープに微細な切開を試みている(図3―2).剥 離を進めていく際には,尿管の走行を含め,骨 盤 内 の 解 剖 の 把 握 が 極 め て 重 要 で,step by step で骨盤内の解剖学的な構築を再現しなが ら子宮内膜症病変の切除を行う方法を取ってい る.図3―3に右仙骨子宮靭帯の切除状態を示 す. 子宮内膜症病巣の切除が終われば,直腸を露 出し,3―0 PDS で肛門側の直腸子宮内膜症 の切離部位をマーキング(図3―4)した後, 消化器外科医師による手術へのバトンタッチと なる.全周性に授動し遊離した直腸壁を露出し た後,45mm の自動縫合切断器2発で直腸の切 断(図3―5).引き続き,下腹部正中のトロッ カー創を3cm に延長し,その腹壁創に開窓用 3M steri-dreapeTMを装着させて,遊離・切断 した直腸を引き出し,病巣部の直腸を切離(図 3―6).ついで,口側断端部にアンビルヘッド を挿入し,そのアンビル軸に口側腸管断端を縫 合結紮で固定し腹腔内に還納する.腹腔内で, このアンビルヘッドとサーキュラーステープラ による腸管の端々吻合を行う(図3―7).この 後,リークテストをして吻合状態を確認し,ド レーンを挿入して手術を終了する(図3―8). 蠱.結 果 これまでに行った7症例の内訳を表1に示 す.手術時間は306.3±72.8分で,出血量は114.3 ±50.6ml であった.術後の食事開始は5.0±0.8 日目,退院は術後15.4±1.3日目であった.術 中にも術後に腸管穿孔や縫合不全などの合併症 は認めなかった.しかし,1症例に術後短期間 の排尿障害を認めたが6日後には自然軽快し た.他に,1症例に創部感染を認めたが,保存 的に対処ができた.これら7症例において全例, 術後には排便痛や下血などの症状は消失し,現 在のところ再発兆候は認めていない 蠶.考 察 子宮内膜症は,生殖年齢の女性に好発する. とくに,近年の晩婚および少子化も一因となり その発症頻度は増加傾向にあり,直腸子宮内膜 症を含む重症子宮内膜症も今後増加するものと 考えられる.しかし,直腸子宮内膜症では慢性 的な排便痛や月経時の下血などが主たる症状の ため,必ずしも婦人科の受診にはならない.多 くの場合が,消化器内科や消化器外科に受診し ているものと考えられる.そのため,他科であ っても女性の診察にあたっては常に,月経周期 を念頭においた診察が重要になってくる.また, 1 2 3 4 5 6 7 310 188 333 372 404 283 254 200 100 50 100 130 150 70 4 6 6 5 5 4 5 14 15 16 18 14 16 15 排尿障害 創部感染 平均 SD 306.3 72.8 114.3 46.9 5 0.8 15.4 1.3 図4 当院で直腸子宮内膜症に対して直腸低位前方切 除術を施行した症例の内訳 図2 直腸子宮内膜症症例の MRI ゼリー法によ る画像所見

(4)

図3 腹腔鏡での手術手順と内容 1.ダグラス窩の閉鎖した所見 2.針状電極による切離 3.右仙骨子宮靭帯の子宮内膜症病変切除 4.直腸切断部の肛門側断端をマーキング 5.自動縫合切断器による直腸の切断 6.体外での直腸病変の切断 7.腸管の端々吻合 8.術後の吻合状態の確認 1 2 3 4 5 6 7 8

(5)

背景を考慮したオーダーメードの治療が必要と なるため,複数の関連科の連携による治療が必 要となることもある.多くの症例は,低用量ピ ルなどで症状のコントロールがなされていると 思われるが,挙児希望のある症例や狭窄症状を 認める症例に対する根治療法としては,本手術 のような外科的治療が必要になると考える. しかし,一方では腸管の手術では縫合不全と いった致命的な合併症の対策も求められる.外 科領域では一般的な直腸低位前方切除手術にお ける縫合不全の頻度は,約10%との報告もある 〔5〕.直腸子宮内膜症に対するこの手術の適応 となる症例は,漓年齢が生殖年齢と若く栄養状 態が良い,滷腸管の切除範囲が短く縫合部のテ ンションは比較的軽い,澆癌とは異なりリンパ 節郭清は行わないため血流障害が少ない,など 手術条件は比較的良いと考えられる.しかし, 腹腔鏡下手術は低侵襲である反面,熟練した高 度な手技や積み重ねた経験も必要となる.とく 術や術後の管理に努めることが大切である.ま た,腹腔鏡下手術では開腹手術に比べ,前述の 腸管縫合不全などのリスクも伴うことは否めな い.そのため,直腸低位前方切除術の適応とし て,術前の十分なインフォームドチョイスの提 供も大切なことであると考える. 文 献

〔1〕Jubanvic KJ et al. Extrapelvic endometriosis. Ob-stet Gynecol Clin North Am 1997;24:411−440 〔2〕武内裕之ほか.子宮内膜症におけるダグラス窩閉 塞の病態と腹腔鏡下手術を用いた治療ストラテジ ーに対する検討.日産婦誌 2003;55:903−914 〔3〕Takeuchi H et al. A novel technique using

mag-netic resonance imaging jelly for evaluation of rectovaginal endometriosis. Fertil Strril 2005; 83:442−447 〔4〕松本 貴ほか.子宮内膜症症例に対する腹腔鏡下 手術のコツとその実際.産科と婦人科 2008;75: 62−71 〔5〕藤原 有史ほか.直腸癌に対する腹腔鏡下手術. 癌の臨床 2007;53:119−123

参照

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