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Academic year: 2021

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研究発表

1.はじめに

近年 , Twitter や Facebook などの SNS(Social Networking Service)が爆発的に普及し,TV番組の視 聴体験をユーザー間で共有して,TV番組をより楽しも うという動きが活発化している。放送局やコンテンツ プロバイダーの多くはインターネットを利用して,さ まざまなサービスを提供しており,その中には番組レ ビュー機能*1やSNSとの連携機能を備えたものも少な くない。イギリスの公共放送BBCは,インターネット を経由して見逃した番組を視聴できるキャッチアップ サービスiPlayer1)を提供している。iPlayerは外部の SNSとの連携機能を備えており,ユーザーは外部で築い *1 番組の感想などを書き込む機能。

ABSTRACT

Social networking services(SNSs)have become hugely popular, and people around the world are actively using them to share their experiences relating to TV programs they have watched. At STRL, we are developing a social TV system called teleda that combines a broadcast service with an SNS so that viewers can enjoy TV programs in a new way. The teleda system includes functions that allow users to express their feelings and share their experiences while watching broadcasts currently on air or previously aired programs. Since this system makes horizontal connections among viewers in addition to vertical connections between the broadcaster and viewers, the viewers can get many opportunities to encounter programs which they ve never watched before by communicating with other viewers. In this paper, I will describe the service model and system including the teleda API for providing resources such as programs and social graphs. I will also show an overview of the three­month­long field trials on the Internet conducted in fiscal 2010, where approximately 1,000 users experienced the experimental teleda website, and I will discuss the feasibility of services that combine broadcast services with SNSs. Finally, I will introduce our field trials on teleda with extended functions that were held in fiscal 2011, and I will discuss our future plans.

ソーシャルテレビシステムteledaでの

視聴行動分析

大竹 剛

Analysis of User Behavior in Social TV System

−teleda−

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従来の放送サービスモデル 縦のつながり 新しい放送サービスモデル SNS 機能 横のつながり 外部連携

SNS(Social Networking Service) (Twitter, Facebookなど) 公共の広場 放送局 放送局 視聴者 た人とのつながりを利用して番組を推薦し合うことが できる。アメリカではVOD(Video On Demand)視聴 の他に,番組に関する感想などを書き込むことのでき フールー るサービスHulu2)が提供されている。動画配信サイト YouTube3)においても,ユーザーはアップロードされた 動画に関するコメントや評価を書き込むことができ, 特定のコンテンツを通してコミュニケーションができ るようになっている。一方,自分の好みの番組を好き な時間に好きなデバイスで視聴することのできるVOD 視聴は,細分化や個人化を進めた「孤独な視聴」につ ながる可能性も指摘されている4) 当所では,TV番組の新たな楽しみ方を提供するため に,放送サービスとSNSを融合したソーシャルテレビシ ステムteleda*2の開発を進めている。本稿では,teleda のサービスモデルとそれを実現するためのシステムを 説明した後,2010年度に行った実証実験の概要と視聴 行動の分析結果を紹介する。また,分析結果に基づい て,放送サービスとSNSを融合させたサービスの可能性 を述べる。更に,2011年度に行ったサービスや機能を 拡張した実証実験の概要を紹介し,今後の実用化に向 けた取り組みについて述べる。

2.ソーシャルテレビシステムteleda

2.1 サービスモデル teledaのサービスモデルを1図に示す。当所では,公 共放送としての役割を果たすために,視聴者が安心し て情報発信や意見交換を行うことのできるインターネッ ト上のコミュニティー「公共の広場」を実現すること を目指している。公共の広場を実現するためには,従 来の放送サービスで築き上げた放送局と視聴者の「縦 のつながり」だけでなく,視聴者間の「横のつながり」 を築くことが必須である。SNSの機能を番組視聴の枠組 みに取り入れることで,視聴者間のつながりを活発化 し,番組を通してさまざまな価値観や立場が出会う言 論・情報の空間を実現することが可能となる。 2.2 システム teledaのサービスモデルを実現するために,NHKが 保有する膨大な番組と視聴者情報を関連付けたデータ を提供し,番組を通して視聴者間で自由にコミュニケー ションを行うことのできるシステムを開発した(2図)。 開発したシステムは,放送番組やメタデータなどの放 送局データとソーシャルグラフ*3や視聴行動履歴など のユーザーデータで構成されるサービスリソースを保 有している。また,動画配信や番組推薦,ソーシャル*4 などの各種のサービスを提供する機能がある。例えば, レビュー投稿数の多い番組やユーザーの満足度の高い 番組をランキング表示するなど,番組とユーザーの視 聴行動を関連付けたサービスを提供することができる。 teledaで は,こ れ ら の リ ソ ー ス や 機 能 にAPI (Application Programming Interface)を利用して容 易にアクセスでき,番組やソーシャルグラフなどさま *2 英語の「television」と日本語の「枝:eda」を組み合わせた造語。 視聴者同士が木の枝のようにつながっていくとともに,視聴者自 身が枝を広げるように自分の世界を広げていく,という思いを込 めた。teledaは放送サービスとSNSを融合したプラットホームの 総称であり,そのプラットホーム上に試作した実験用Webサイト の名称でもある。 *3 現実社会またはインターネット上における友達関係。 *4 番組に関するさまざまな情報を友達同士で共有するサービス。 1図 teledaのサービスモデル

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新機能の 追加 ユーザーデータ サービスリソース サービス間の 相互乗り入れ いつでもどこでも どんな端末でも 番組推薦 teleda-API 放送番組 メタデータ ソーシャルグラフ 視聴行動履歴 動画配信 ソーシャル プレゼンス ユーザー 認証 拡張 サービス 拡張機能の開発 開発用API サービス提供API サービス提供機能 Twitter, Facebook,地域SNS 端末に合わせたコンテンツ提示 外部コミュニティーとの連携 音声処理 テキスト処理 UGC※生成 連携API

※User Generated Content

ざまなリソースを活用した新たな機能を開発・追加す ることができる。また,パソコン・TV・タブレット・ スマートフォンなどの各種の端末に合ったコンテンツ の提示が可能で,teledaのサービスをいつでもどこでも 利用することができる。更に,TwitterやFacebookなど の外部のコミュニティーサイトと連携しており,より 多くの人がサービスに気軽に参加でき,コミュニケー ションの活性化が期待できる。

3.実証実験

放送サービスとSNSを融合することで視聴者の間にど のようなコミュニケーションが生まれるのか,また, そのコミュニケーションが視聴者の行動にどのような 影響を与えるのかを検証することを目的として実証実 験を行った*5。試作したteledaのWebサイトで提供さ れる機能は以下のとおりである。 (1)VOD機能 多くのVODサービスと同様に,番組のジャンルや番 組表,キーワードなどを用いて,自由に番組を検索す ることができる。teledaの番組検索画面を3図に示す。 teledaの番組検索画面で見つけた番組を直接視聴するこ ともできる。 (2)コミュニケーション機能 番組に対するレビュー(感想)の書き込みや5段階 で評価した満足度,「お気に入り」への登録を行うこと ができる。他のユーザーの書き込みに対してコメント を付けたり,「いいね」ボタンで簡単に賛同することが *5 実証実験はNHK放送文化研究所,NHK視聴者事業局と共同で実施 した。 2図 teledaのシステム 3図 teledaの番組検索画面

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のすけ さん うさぽん さん ASHIKA さん おやぶん さん 柊太郎 さん 海子 さん haruwaa… さん aska さん teleda 広… teleda へ… 大相撲 きりん さん 南国白クマ さん のすけ さん ギブソン さん さっきー さん Mako さん できる。また,番組とは関係のないテーマでコミュニ ティーを作成し,そこに集まったユーザーと意見交換 を行うこともできる。レビューやコメントを書く際に は,特定の番組へのリンクや特定の番組シーンへのリ ンクを付加することもできる。 (3)番組推薦機能 ユーザーの視聴履歴や満足度を利用して,視聴回数 の多い番組や書き込み数の多い番組,評価の高い番組 を推薦することができる。 (4)ソーシャル機能 TwitterやFacebookなどと同様に,他のユーザーを フォローしたり,番組をお気に入りに登録したりする 機能を利用して,他のユーザーや番組とつながりを作 ることができる。作成されたソーシャルグラフはサイ ト上に表示され,ユーザーとユーザー,ユーザーと番 組,ユーザーとコミュニティーがどのようにリンクさ れているかを一覧することができる(4図)。 (5)MyPage機能 5図に示すMyPageにはTwitterのタイムラインや Facebookのニュースフィードと同様に,自分がフォ ローしているユーザーの書き込みや自分がお気に入り に登録した番組への書き込みが時系列で表示される。 ユーザーはこの機能を利用することで,自分自身で番 組を探して視聴するだけでなく,他のユーザーのレ ビューやコメントあるいは番組評価などを通して新し い番組に出会うことができる。 3.1 実証実験の概要 2010年12月13日∼2011年3月13日の3か月間で試作 したteledaのWebサイトを用いて実証実験を行った。実 験参加者をNHKのインターネットサービス「NHKネッ トクラブ」の会員から募集し,1,032名が実験に参加し た。参加者の年齢構成を1表に示す。1表に示すよう に40歳代と50歳代で全体の約半数を占める。実験で使 年齢 参加者数(割合) 10歳代以下 15( 1%) 20歳代 43( 4%) 30歳代 170(16%) 40歳代 269(26%) 50歳代 241(23%) 60歳代 172(17%) 70歳代 79( 8%) 80歳代以上 8( 1%) 不明 35( 3%) 合計 1,032 4図 teledaでのソーシャルグラフの表示例 1表 実験参加者の年齢構成 5図 MyPage画面

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用した番組はNHKのVODサービス「NHKオンデマン ド」で提供されている約2,500本の番組(見逃し番組と 特選番組)である。 3.2 実験結果と考察 3.2.1 teledaの利用状況 3か月間の実験期間で,総視聴回数は19,099回,総書 き込み数は5,549であった。総視聴回数および総書き込 み数に占める各年齢の割合を2表に示す。参加者の多 い40歳代と50歳代のユーザーだけでなく,60歳代のユー ザーも積極的に視聴や書き込みを行っている。 実験参加者をteledaの利用傾向に応じて以下の4つの グループに分類し,行動を分析した5) グループA:番組は視聴するが,書き込みを全く行わ ないユーザー グループB:番組に対してレビューは書くが,他人の 書き込みに対してコメントを付けない ユーザー グループC:他人の書き込みに対してもコメントを付 けるユーザー グループD:視聴・書き込みを全く行わないユーザー 実験参加者に占める各グループの割合を3表に,年 齢別のグループ構成を4表に示す。一般的なSNSの中心 的な利用者層である20歳代と30歳代はグループAに所属 している参加者が多く,teledaをコミュニケーション 年齢 視聴数 書き込み数 10歳代以下 308( 2%) 33( 1%) 20歳代 1,178( 6%) 119( 2%) 30歳代 1,980(10%) 459( 8%) 40歳代 4,548(24%) 1,438(26%) 50歳代 4,216(22%) 1,187(21%) 60歳代 4,003(21%) 1,228(22%) 70歳代 1,198( 6%) 410( 7%) 80歳代以上 51( 0%) 13( 0%) 不明 1,617( 8%) 662(12%) 合計 19,099 5,549 1人当たりの平均 18.5 5.4 グループ 特徴 参加者数(割合) A 番組視聴だけ 356(34%) B 番組レビューだけを投稿 187(18%) C 他者へのコメントも投稿 237(23%) D 視聴も投稿もしない 252(24%) 年齢 グループA グループB グループC グループD 10歳代以下 7(44%) 2(13%) 3(19%) 4(25%) 20歳代 21(49%) 4( 9%) 7(16%) 11(26%) 30歳代 74(44%) 31(18%) 25(15%) 40(24%) 40歳代 97(36%) 41(15%) 56(21%) 75(28%) 50歳代 81(34%) 59(24%) 54(22%) 47(20%) 60歳代 44(26%) 30(17%) 49(28%) 49(28%) 70歳代 24(30%) 11(14%) 28(35%) 16(20%) 80歳代以上 2(25%) 1(13%) 2(25%) 3(38%) 不明 8(22%) 8(22%) 13(36%) 7(19%) 3表 実験参加者のグループ構成 4表 各年齢のグループ構成比

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視聴回数 番組の視聴数順位 250 200 150 100 50 0 101201301401501601701801901 1,101 1,001 1,2011,3011,4011,5011,6011,7011,8011,901 1 ツールとしてではなく,主にVODサイトとして利用し たことが分かる。一方,グループCに属する割合が比較 的多い年齢は60歳代(28%)と70歳代(35%)であり, シニア層が番組を通してコミュニケーションを積極的 に行っていることが分かる。 3.2.2 番組視聴傾向 番組に付加されている番組ジャンル情報6)*6を利用し て,実験参加者の番組視聴の傾向を検証した。各グルー プが視聴した番組ジャンルの傾向を5表に,書き込み した番組ジャンルの傾向を6表に示す。5表に示すよ うに,グループCはグループAやBよりもドキュメンタ リー・教養,ニュース・報道系の番組を視聴する割合 がやや多く,グループAは他のグループよりもドラマや バラエティー番組を視聴する割合が多い。また,6表 に示すように,グループCはグループBよりもドキュメ ンタリー・教養,ニュース・報道系の番組への書き込 み傾向がやや強く,ドラマへの書き込み傾向がやや弱 いことが分かる。 6図は番組の視聴回数を順番に並べたものである。 グラフは典型的なロングテール7)となっている。また, 視聴回数の多い上位の番組には,実際の放送時の視聴 率が低い番組も含まれており8),teledaでの視聴は通常 の視聴率とは違った傾向のあることが分かった。7図 はteledaでの視聴番組を視聴回数のランキングの上位か ら100番組ごとに大きくまとめ,100番組ごとの視聴回 数に占める各グループの割合を示している。ランキン グが下位の番組ほどグループCの割合が高くなることが 分かる。 *6 teledaで提供する番組には,デジタル放送で利用されている10 種類のジャンルデータと103種類のサブジャンルデータが付加さ れている。 グループA グループB グループC ドキュメンタリー・教養 852(24%) 1,081(26%) 3,356(30%) ドラマ 883(25%) 788(19%) 1,686(15%) バラエティー 525(15%) 582(14%) 1,425(13%) 趣味・教育 414(12%) 549(13%) 1,418(13%) ニュース・報道 271( 8%) 420(10%) 1,407(13%) 情報・ワイドショー 281( 8%) 450(11%) 884( 8%) 音楽 256( 7%) 204( 5%) 507( 5%) アニメ・特撮 59( 2%) 71( 2%) 135( 1%) 劇場・公演 12( 0%) 44( 1%) 108( 1%) スポーツ 19( 1%) 13( 0%) 83( 1%) グループB グループC ドキュメンタリー・教養 179(27%) 1,064(31%) ドラマ 129(19%) 460(13%) バラエティー 85(13%) 445(13%) 趣味・教育 85(13%) 392(11%) ニュース・報道 85(13%) 644(19%) 情報・ワイドショー 67(10%) 265( 8%) 音楽 29( 4%) 109( 3%) アニメ・特撮 8( 1%) 24( 1%) 劇場・公演 1( 0%) 16( 0%) スポーツ 5( 1%) 16( 0%) 5表 グループ別の視聴番組ジャンル傾向 6表 グループ別の書き込み番組ジャンル傾向 6図 番組の順位別の視聴回数

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番組の視聴数順位 80% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 0% グループ A グループ B グループ C 101-200位201-300位301-400位401-500位501-600位601-700位701-800位801-900位 901-1,000位 1,101-1,200位 1,001-1,100位1,201-1,300位1,301-1,400位1,401-1,500位1,501-1,600位1,601-1,700位1,701-1,800位1,801-1,900位1,901-2,000位 1-100位 利用回数 50 45 40 35 30 25 20 15 10 0 5 グループ A グループ B グループ C 総視聴回数 書き込み総数 フォロー数被フォロー数 いいね数 被いいね数 ファンになった番組数参加コミュニティー数執筆番組レビュー数 被コメント数 3.2.3 ソーシャル機能の利用傾向 8図はteledaのソーシャル機能の利用回数を各グルー プ別に示したものである。書き込みや視聴機能だけで なく,「他人をフォローする」「番組のファンになる」と いった他の機能においても,グループCのユーザーのア クティビティーが高いことが分かる。 実際に視聴した番組を見つけた手段を9図に示す。 teledaの検索機能を利用して自分で探したのか,あるい は,teledaのソーシャル機能を利用して他人の書き込み や視聴回数の多い番組といった情報を利用して見つけ たのかを,視聴回数のランキングで100番組ごとに大き くまとめて示した。視聴回数が多い番組ほど,ソーシャ ル機能を利用して見つけた割合が高く,VODとSNS を融合することによって,番組の視聴回数の増大が期 7図 番組視聴数に占める各グループの割合 8図 ソーシャル機能のグループ別利用頻度(1人当たりの平均)

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視聴に占める割合 検索機能を使って番組に到達 ソーシャル機能を使って番組へ到達 番組の視聴数順位 80% 90% 100% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 0% 101-200201-300301-400401-500501-600601-700701-800801-900 901-1,000 1,101-1,200 1,001-1,1001,201-1,3001,301-1,4001,401-1,5001,501-1,6001,601-1,7001,701-1,8001,801-1,9001,901-2,0002,001-2,100 2,101-1-100 待される。 3.2.4 視聴ジャンルの広がり ソーシャル機能の導入がユーザーの視聴する番組ジャ ンルの広がりにどのような影響を与えたのかを検証し た。ここでは,ユーザーがteledaで視聴した番組サブ ジャンルの数を「番組視聴の幅」として,各グループ のユーザーがどの程度の幅で番組を視聴したのかを調 査した。各グループのユーザーが実験中に視聴したサ ブジャンル数(1人当たりの平均)を7表に示す。グ ループCの番組視聴の幅が最も広いことが分かる。 3.3 考察 実験では,60歳代と70歳代のユーザーが積極的に書 き込みを行っており,番組を通したコミュニケーショ ンがシニア層に親しみやすい形態であったと考えられ る。一方,30歳代以下のユーザーはあまり書き込みを 行っていない。teledaの持つインターフェースや機能が 若年層の求めるコミュニケーションに十分に対応して いなかったことや,他の年齢との世代間コミュニケー ションをしたがらない何らかの要因があったことなど が考えられる。 グループCのアクティビティーは非常に高かった。8 図に示すように,グループCのユーザーはフォローやお 気に入りといったソーシャル機能の利用や,書き込み やコミュニティー参加へのモチベーションも高かった。 また,7表が示すように,グループCのユーザーは他の グループのユーザーよりも幅広いジャンルの番組を視 聴しており,ロングテール部分の番組への接触率も高 い。このことから,グループCに属するユーザーの行動 を利用することで,あまり知られていない番組への接 触数を伸ばすことができるという可能性がある。グルー プCは視聴・書き込み傾向が共にドキュメンタリー・教 養とニュース・報道系番組で高く,それらのジャンル の番組はコミュニケーションの活発化につながるテー マを比較的多く提供していたと考えられる。 今回の実験では,teledaにおける視聴回数が上位の番 組では,ソーシャル機能を利用して番組を見つけた割 合が50%以上であった。既に述べたように,視聴回数 が上位の番組には視聴率が低い番組が含まれている。 グループ 視聴サブジャンル数 A 3.8 B 7.2 C 12.3 全体平均 7.0 9図 視聴番組への到達経路の割合 7表 グループ別の視聴サブジャンル数(1人当たりの平均)

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になることで,あまり知られていない番組でも視聴回 数が多くなるという傾向が見られた。グループCのユー ザーは多種多様な番組を見つけるモチベーションが他 のグループより高い。コミュニケーションを取ること に積極的なグループCのユーザー数を増やすことが新し い番組への出会いを増やすことにつながると考えられ, コミュニケーションをサポートする機能を提供するこ とが重要である。 3.4 追加実験の概要 2010年度に行った実証実験の結果,ソーシャル機能 や書き込み機能を積極的に利用するユーザーの存在に よってコミュニケーションが活性化し,新しい番組に 出会う機会が増える可能性があることが分かった。そ こで,teledaにおけるアクティブユーザーの数を増加さ せるために,以下の機能を拡張した。現在,2011年12 月20日∼2012年3月20日に行った追加実験の結果を分 析中である。 (1)外部SNSとの連携機能 teledaで書き込んだレビューをTwitterやFacebook などの外部SNSサイトに書き出す機能を追加した。 teledaと特徴が異なる外部SNSと連携することで,ユー ザーの視聴行動がどのように変化するのかを検証する。 (2)個人向け推薦機能 外部SNSサイトのAPIから得られるソーシャルデータ を用いて個人プロファイルを生成し,個別に番組やユー ザーを推薦する機能を追加した。外部SNS上のユーザー 響を与えるのかを検証する。 (3)リアルタイム機能 実際に放送されている番組やVODで同じ番組を同時 に視聴しながらリアルタイムで書き込みを行うチャッ ト機能や,現在の視聴状態をユーザー間で共有できる 機能を追加した。リアルタイムに情報を共有すること でコミュニケーションに違いが生まれるかどうかを検 証する。 (4)番組予告機能 番組の予告動画を配信し,放送またはVODに誘導す る機能を追加した。未来(予告動画),現在(放送中), 過去(VOD)という時系列でユーザー間のコミュニケー ションがどのように変化するのかを検証する。

4.むすび

参加者が番組を通してつながることのできるソーシャ ルテレビシステムteledaを用いた実証実験の概要と視聴 行動を分析した結果を紹介し,放送サービスとSNSを融 合したサービスの可能性を示した。 今後,機能を拡張した追加実験の詳細な分析を行う とともに,当所で研究を進めている放送通信連携サー ビスHybridcast® 9)*7でteledaの機能を利用し,ソー シャルテレビシステムに求められる技術要件を明らか にしていく。 *7 Hybridcast®は(財)NHK­ESの登録商標です。

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参考文献

1)http://www.bbc.co.uk/iplayer/tv/ 2)http://www.hulu.com/

3)http://www.youtube.com/

4)M. Brookes:Watching Alone:Social Capital and Public Service Broadcasting,BBC and the work foundation (2004)

5)シャーリーン・リー,ジョシュ・バーノフ:グランズウェル ソーシャルテクノロジーによる企業戦略,翔泳社(2008)

6)電波産業会:“地上デジタルテレビジョン放送運用規定(4.8版),”ARIB TR­B14(2012)

7)C. Anderson:“The Long tail,”http://www.wired.com/wired/archive/12.10/tail.html

8)米倉,宮崎,浜口:“放送の「ソーシャルメディア性」を拡張する試み∼番組レビューSNSサイト“teleda”の実証実験か

ら①∼,”放送研究と調査,8月号,pp.14­25(2011)

9)A. Baba, K. Matsumura, S. Mitsuya, M. Takechi, H. Fujisawa, H. Hamada, S. Sunasaki and H. Katoh:“Seamless, Synchronous and Supportive:Welcome to Hybridcast­An Advanced Hybrid Broadcast and Broadband System­,” IEEE Consumer Electronics managine,Vol.1, No.2, pp.43­52(2012)

おおたけ ごう 大竹 剛 2001年入局。放送技術研究所において,電 子透かしなどの著作権保護用画像処理,デジ タル署名,暗号プロトコルなどのセキュリ ティー技術,ソーシャルテレビシステム teledaの研究・開発に従事。現在,放送技術 研究所次世代プラットフォーム研究部に所 属。博士(情報学)。

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