<研究ノート>
医学生の考える高齢者像についての分析
‐鳥取大学学生の調査より‐
細田武伸・穆浩生・横山弥枝・徳嶋靖子・大西一成・大谷眞二・黒沢洋一
The analysis of the elderly image think of a medical school students
- From the students of Tottori University
surveys-HOSODA Takenobu, MU Haosheng, YOKOYAMA Yae ,TOKUSHIMA Yasuko
ONISHI Kazunari, OTANI Shinji, KUROZAWA Youichi
キーワード:大学生 医学生 高齢者像
Key words:College student Medical student Elderly image
<研究ノ ート >
医学生の考える高齢者像についての分析
‐鳥取大学学生の調査より‐
細田武伸
・ 穆 浩 生 ・ 横 山 弥 枝 ・ 徳 嶋 靖 子 ・ 大 西 一 成 ・ 大 谷 眞 二 ・ 黒 沢 洋 一The analysis of the elderly image think of a medical school students
- From the students of Tottori University surveys-
HOSODA Takenobu, MU Haosheng, YOKOYAMA Yae ,TOKUSHIMA Yasuko
ONISHI Kazunari, OTANI Shinji, KUROZAWA Youichi
キ ー ワ ー ド : 大 学 生 医 学 生 高 齢 者 像
Key words:College student Medical student Elderly image
緒言
日 本 の 大 学 生 を 対 象 と し た 「高 齢 者 像 」に 関 す る 報 告 は 少 な く , そ の 中 で も Negative な印象 を 持 っ て い る と い う 報 告 し か な い 1)。萩原らは,1997 年と 2007 年の品のテレビ CM を比較 し た 結 果 ,50 歳以上と思われる者の登場する割合は,とりわけ男性で増加しているが,人口の 高 齢 化 ほ ど ,か れ ら の 出 演 頻 度 が 増 加 し て い な い こ と よ り ,テ レ ビCM で真の高齢者といえる 65 歳以上の者の出演が低いことは,視聴者の高齢者に対する否定的態度を助長することが否定 で き な い と 報 告 し て い る 2)。一方,今日の医学教育は,文部科学省から公表された「医学教育 モ デ ル・コ ア・カ リ キ ュ ラ ム 」が 全 国 の 医 学 生 の 教 育 の 基 準 と な っ て い る こ と も あ り ,入 学 早 期 か ら , 福 祉 施 設 , 病 院 施 設 を 見 学 さ せ る こ と で 医 学 生 と し て の 心 構 え を 身 に つ け さ せ る こ と が 一 般 的 に な っ て い る 3)。このため,高齢者に接する機会が従来より多くなったと思われるが, 彼 ら が 高 齢 者 像 を ど の よ う に 捉 え て 理 解 し て い る の か が 十 分 に 明 ら か に な っ て い な い 。 一 方 , 医 学 生 の 殆 ど は , 医 師 と な り 臨 床 の 第 一 線 で 診 療 に 従 事 す る こ と が 予 想 さ れ る が , 平 成 23 年 の 患 者 調 査 に よ る と 医 療 機 関 の 入 院 推 定 患 者 数 の 約 7 割が 65 歳以上であり,同外来推定患者 数 の 約45%が 65 歳以上であったと報告されている 4)。ここから解ることは,彼らが卒業して 医 療 現 場 に て 臨 床 を 行 う 際 に , 遭 遇 す る 患 者 は , 一 部 の 年 少 者 を 若 し く は 性 別 な ど , 特 定 の 母 集 団 を 対 象 と し た 診 療 科 を 除 け ば 高 齢 者 の 割 合 が 高 い こ と が 推 測 さ れ る 。 ま た , 今 日 の 医 療 に お い て は ,adherence に基づいた医師(医療者)と患者の関係を推奨している 5)6)。compliance が 合 同 す る , 服 従 す る と い う 意 味 を 含 む の に 対 し ,adherence は,積極的に参画することを意 味 す る 。 す な わ ち ,adherence は,治療の主体である患者もチームの一員となり,治療計画に 積 極 的 に 意 見 を 述 べ , 治 療 計 画 の 決 定 に 関 与 し , 治 療 計 画 に 従 い 主 体 的 に 治 療 を 行 っ て い く と い う こ と に な る 。adherence では,患者が主体となることが重要であり,その為には,医師ら 医 療 者 に 患 者 自 ら の 生 活 の 問 題 も 含 め た 身 体 ・ 精 神 の 問 題 と そ の 周 辺 を 取 り 巻 く 環 境 問 題 に つ い て 説 明 す る こ と が 必 要 に な る 。 こ の 時 に 医 療 者 の 姿 勢 と し て , 生 活 者 と し て の 患 者 と い う 視 点 が 重 要 と な る 。 医 療 機 関 を 傷 病 者 の 治 療 及 び 療 養 を 行 う 場 所 と 考 え る と , た と え 高 齢 者 で あ っ た と し て も , 人 生 の 大 部 分 の 期 間 は , 家 庭 若 し く は そ れ に 類 す る 機 関 で 過 ご す こ と が 多 い と考 え ら え る 。 す な わ ち , 日 常 生 活 無 し に は そ の 人 の 人 生 は 考 え ら れ な い と い う こ と と な る 。 医 学 生 が 高 齢 者 で あ る 患 者 に 接 す る 機 会 が 多 い こ と を 前 提 と す る と , 医 学 生 が 医 学 部 卒 業 ま で に 多 様 な 高 齢 者 像 を イ メ ー ジ す る こ と が で き る よ う に な る こ と は 非 常 に 重 要 で あ る と 考 え る 。 そ こ で , 福 祉 施 設 及 び 医 療 施 設 の 見 学 を 終 え , 専 門 基 礎 医 学 教 育 に て , 社 会 保 障 制 度 に て 高 齢 者 の 実 態 を 学 ぶ 前 の 学 生 が 高 齢 者 像 を ど う 捉 え て い る か 調 査 す る こ と で , 教 育 に て 高 齢 者 像 を い か に 教 授 し て い く の か 具 体 的 な 課 題 を 推 定 す る こ と を 本 研 究 の 目 的 と し た 。
対象と方法
鳥 取 大 学 医 学 部 医 学 科 2 年次にて「社会環境医学」を履修している学生を対象とした。2011 年 は ,100 名(男性 68 名,女性 32 名)を対象とした。年齢は 19 歳以上 35 歳未満である。同 様 に2013 年は,108 名(男性 68 名,女性 40 名)を対象とした。年齢は 19 歳以上 38 歳未満 で あ る 。 2011 年 10 月及び 2013 年 11 月に「社会環境医学」の授業開始時に出席票を兼ねて「あなたの考 え る 高 齢 者 像 を 記 述 し な さ い 。」と い う テ ー マ で ,自 由 記 述 方 式 の ア ン ケ ー ト を 実 施 し た 。調 査 の 分 析 を 行 う に 当 た り , 個 人 情 報 に 配 慮 し , ア ン ケ ー ト 票 と 出 席 票 を 切 り 離 し て , ア ン ケ ー ト 票 の み 分 析 に 使 用 し た 。 自 由 記 述 で 得 ら れ た 結 果 は , 備 酒 ら が 行 っ た 調 査 の 分 類 に 従 い , 以 下 の よ う に 回 答 し た 言 葉 を , 質 的 デ ー タ か ら 量 的 デ ー タ に 変 換 し て 分 析 し た 。 但 し , 本 研 究 で は , 調 査 対 象 者 と な る 医 学 生 が 大 学 に 入 学 し て か ら 本 調 査 ま で ,授 業 に て 高 齢 者 に 接 す る 機 会 が 複 数 回 設 け ら れ て お り , 高 齢 者 に 対 し て よ り 複 雑 な 感 情 を 頂 い て い る 可 能 性 を 考 慮 し , 単 純 に 個 人 ご と の 解 答 に 「Positive な回答(以下,Positive と略す。)」,「Negative な回答(以下,Negative と略す。)」, 「Not positive and negative な回答(Not positive and negative と略す。)」と割り振るのでは な く , 学 生 の 複 数 の 記 述 を 単 語 に 分 け て 前 記 の 3 つに分類した。回 答 例 ,Positive,「生きる知恵を多く持っている。」,「仕事を退職して第 2 の人生を歩んでい る な ど 。」と ,Negative,回答例,「日常生活に支障をきたすことが多い。」,「複数の疾患にか か り や す い 。 」な ど と ,Not positive and negative,回答例,「時間に拘束されず自由であるが 一 方 で 時 間 を も て あ ま し て い る 。」,「年 金 に て 生 計 を た て て い る 。」な ど ,に 分 類 し た 。統 計 解 析 に は ,SPSS for 14.0 を用い,各年度と性別による分布を t 検定にて検討した。
結果
回 答 者 数 と 回 収 率 を Table1 に示した。回収率は,2011 年が 99.0%(回答者数 99 人),2013 年 が99.1%(回答者数 107 名)であった。性別では,2011 年は,男性 98.5%(同 67 人),女 性100%(同 32 人)であった。2013 年は,男性 98.5%(同 67 人),女性 100%(同 40 人) で あ っ た 。 調 査 対 象 者 で あ る 医 学 生 の 高 齢 者 の イ メ ー ジ に 関 す る 言 葉 の 分 類 を Table2 に示し た 。2011 年は,高齢者のイメージに関する言葉の数は全部で 313 語であった。この内,Positive は20 語,Negative は 199 語,Not positive and negative は 94 語であった。性別では,男性 で は ,Positive は 16 語,Negative は 128 語,Not positive and negative は 6 語であった。女 性 で は ,Positive は 4 語,Negative は 71 語,Not positive and negative は 88 語であった。 2013 年は,高齢者のイメージに関する言葉の数は全部で 328 語であった。この内,Positive は 62 語,Negative は 164 語,Not positive and negative は 102 語であった。性別では,男性で は ,Positive は 32 語,Negative は 100 語,Not positive and negative は 66 語であった。 女 性 で は ,Positive は 30 語,Negative は 64 語,Not positive and negative は 36 語であった。 t 検定では,有意確率が 0.077 であり,年度と性別間では有意な差はなかった。また,2011 年 と2013 年で最も多かった種類の語を Table3 に示した。
Table 1
Study subjects and response rate in 2011 and 2013 surveys
2011
2013
2011
2013
2011
2013
Men
68
68
67
67
98.5
98.5
Women
32
40
32
40
100
100
Total
100
108
99
107
99.0
99.1
Gender
Subject
Respondent
Response rate (%)
Table 2 Students' image of elderly people in 2011 and 2013 surveys
2011 2013 2011 2013 2011 2013 2011 2013 2011 2013 Men 16 32 128 100 6 66 150 198 Women 4 30 71 64 88 36 163 130 Total 20 62 199 164 94 102 313 328 **p<0.05, *p<0.01 t-test Gender
Positive Negative Neither positive nor negative Total
0.077
Table.3 The most words type in 2011 and 2013 surveys
Positiv Negative Not positive and negative 最も多かった種類の語 経験の多さを指摘する語 心身の虚弱や病弱であることを 指摘する語 単に60歳以上又は65歳以上と 年齢での区分を指摘する語
考察
今 回 の 調 査 で は ,2011 年は全体では Negative は Positive の約 10 倍,2013 年は 2.6 倍であ っ た 。 性 別 で は ,2011 年は,男性は 10 倍,女性では約 18 倍で,2013 年は,男性は 3.1 倍, 女 性 で は 約2.1 倍と異なる結果であった。2011 年と 2013 年の学生では,1・2 年の間に学習す考 え ら え る 。 す な わ ち , 日 常 生 活 無 し に は そ の 人 の 人 生 は 考 え ら れ な い と い う こ と と な る 。 医 学 生 が 高 齢 者 で あ る 患 者 に 接 す る 機 会 が 多 い こ と を 前 提 と す る と , 医 学 生 が 医 学 部 卒 業 ま で に 多 様 な 高 齢 者 像 を イ メ ー ジ す る こ と が で き る よ う に な る こ と は 非 常 に 重 要 で あ る と 考 え る 。 そ こ で , 福 祉 施 設 及 び 医 療 施 設 の 見 学 を 終 え , 専 門 基 礎 医 学 教 育 に て , 社 会 保 障 制 度 に て 高 齢 者 の 実 態 を 学 ぶ 前 の 学 生 が 高 齢 者 像 を ど う 捉 え て い る か 調 査 す る こ と で , 教 育 に て 高 齢 者 像 を い か に 教 授 し て い く の か 具 体 的 な 課 題 を 推 定 す る こ と を 本 研 究 の 目 的 と し た 。
対象と方法
鳥 取 大 学 医 学 部 医 学 科 2 年次にて「社会環境医学」を履修している学生を対象とした。2011 年 は ,100 名(男性 68 名,女性 32 名)を対象とした。年齢は 19 歳以上 35 歳未満である。同 様 に2013 年は,108 名(男性 68 名,女性 40 名)を対象とした。年齢は 19 歳以上 38 歳未満 で あ る 。 2011 年 10 月及び 2013 年 11 月に「社会環境医学」の授業開始時に出席票を兼ねて「あなたの考 え る 高 齢 者 像 を 記 述 し な さ い 。」と い う テ ー マ で ,自 由 記 述 方 式 の ア ン ケ ー ト を 実 施 し た 。調 査 の 分 析 を 行 う に 当 た り , 個 人 情 報 に 配 慮 し , ア ン ケ ー ト 票 と 出 席 票 を 切 り 離 し て , ア ン ケ ー ト 票 の み 分 析 に 使 用 し た 。 自 由 記 述 で 得 ら れ た 結 果 は , 備 酒 ら が 行 っ た 調 査 の 分 類 に 従 い , 以 下 の よ う に 回 答 し た 言 葉 を , 質 的 デ ー タ か ら 量 的 デ ー タ に 変 換 し て 分 析 し た 。 但 し , 本 研 究 で は , 調 査 対 象 者 と な る 医 学 生 が 大 学 に 入 学 し て か ら 本 調 査 ま で ,授 業 に て 高 齢 者 に 接 す る 機 会 が 複 数 回 設 け ら れ て お り , 高 齢 者 に 対 し て よ り 複 雑 な 感 情 を 頂 い て い る 可 能 性 を 考 慮 し , 単 純 に 個 人 ご と の 解 答 に 「Positive な回答(以下,Positive と略す。)」,「Negative な回答(以下,Negative と略す。)」, 「Not positive and negative な回答(Not positive and negative と略す。)」と割り振るのでは な く , 学 生 の 複 数 の 記 述 を 単 語 に 分 け て 前 記 の3 つに分類した。回 答 例 ,Positive,「生きる知恵を多く持っている。」,「仕事を退職して第 2 の人生を歩んでい る な ど 。」と ,Negative,回答例,「日常生活に支障をきたすことが多い。」,「複数の疾患にか か り や す い 。 」な ど と ,Not positive and negative,回答例,「時間に拘束されず自由であるが 一 方 で 時 間 を も て あ ま し て い る 。」,「年 金 に て 生 計 を た て て い る 。」な ど ,に 分 類 し た 。統 計 解 析 に は ,SPSS for 14.0 を用い,各年度と性別による分布を t 検定にて検討した。
結果
回 答 者 数 と 回 収 率 をTable1 に示した。回収率は,2011 年が 99.0%(回答者数 99 人),2013 年 が99.1%(回答者数 107 名)であった。性別では,2011 年は,男性 98.5%(同 67 人),女 性100%(同 32 人)であった。2013 年は,男性 98.5%(同 67 人),女性 100%(同 40 人) で あ っ た 。 調 査 対 象 者 で あ る 医 学 生 の 高 齢 者 の イ メ ー ジ に 関 す る 言 葉 の 分 類 を Table2 に示し た 。2011 年は,高齢者のイメージに関する言葉の数は全部で 313 語であった。この内,Positive は20 語,Negative は 199 語,Not positive and negative は 94 語であった。性別では,男性 で は ,Positive は 16 語,Negative は 128 語,Not positive and negative は 6 語であった。女 性 で は ,Positive は 4 語,Negative は 71 語,Not positive and negative は 88 語であった。 2013 年は,高齢者のイメージに関する言葉の数は全部で 328 語であった。この内,Positive は62 語,Negative は 164 語,Not positive and negative は 102 語であった。性別では,男性で は ,Positive は 32 語,Negative は 100 語,Not positive and negative は 66 語であった。 女 性 で は ,Positive は 30 語,Negative は 64 語,Not positive and negative は 36 語であった。 t 検定では,有意確率が 0.077 であり,年度と性別間では有意な差はなかった。また,2011 年 と2013 年で最も多かった種類の語を Table3 に示した。
Table 1
Study subjects and response rate in 2011 and 2013 surveys
2011
2013
2011
2013
2011
2013
Men
68
68
67
67
98.5
98.5
Women
32
40
32
40
100
100
Total
100
108
99
107
99.0
99.1
Gender
Subject
Respondent
Response rate (%)
Table 2 Students' image of elderly people in 2011 and 2013 surveys
2011 2013 2011 2013 2011 2013 2011 2013 2011 2013 Men 16 32 128 100 6 66 150 198 Women 4 30 71 64 88 36 163 130 Total 20 62 199 164 94 102 313 328 **p<0.05, *p<0.01 t-test Gender
Positive Negative Neither positive nor negative Total
0.077
Table.3 The most words type in 2011 and 2013 surveys
Positiv Negative Not positive and negative 最も多かった種類の語 経験の多さを指摘する語 心身の虚弱や病弱であることを 指摘する語 単に60歳以上又は65歳以上と 年齢での区分を指摘する語
考察
今 回 の 調 査 で は ,2011 年は全体では Negative は Positive の約 10 倍,2013 年は 2.6 倍であ っ た 。 性 別 で は ,2011 年は,男性は 10 倍,女性では約 18 倍で,2013 年は,男性は 3.1 倍, 女 性 で は 約2.1 倍と異なる結果であった。2011 年と 2013 年の学生では,1・2 年の間に学習す で は ,Positive は 32 語,Negative は 100 語,Not positive and negative は 66 語であった。女 性 で は ,Positive は 30 語,Negative は 64 語,Not positive and negative は 36 語であった。 t 検定では,有意確率が 0.077 であり,年度と性別間では有意な差はなかった。また,2011 年 と2013 年で最も多かった種類の語を Table3 に示した。
Table 1
Study subjects and response rate in 2011 and 2013 surveys
2011
2013
2011
2013
2011
2013
Men
68
68
67
67
98.5
98.5
Women
32
40
32
40
100
100
Total
100
108
99
107
99.0
99.1
Gender
Subject
Respondent
Response rate (%)
Table 2 Students' image of elderly people in 2011 and 2013 surveys
2011 2013 2011 2013 2011 2013 2011 2013 2011 2013 Men 16 32 128 100 6 66 150 198 Women 4 30 71 64 88 36 163 130 Total 20 62 199 164 94 102 313 328 **p<0.05, *p<0.01 t-test Gender
Positive Negative Neither positive nor negative Total
0.077
Table.3 The most words type in 2011 and 2013 surveys
Positiv Negative Not positive and negative 最も多かった種類の語 経験の多さを指摘する語 心身の虚弱や病弱であることを 指摘する語 単に60歳以上又は65歳以上と 年齢での区分を指摘する語
考察
今 回 の 調 査 で は ,2011 年は全体では Negative は Positive の約 10 倍,2013 年は 2.6 倍であ っ た 。 性 別 で は ,2011 年は,男性は 10 倍,女性では約 18 倍で,2013 年は,男性は 3.1 倍, 女 性 で は 約2.1 倍と異なる結果であった。2011 年と 2013 年の学生では,1・2 年の間に学習す Genderる シ ラ バ ス に 大 き な 変 更 は な い , と な る と , 大 学 で の 教 育 内 容 の 詳 細 と , 医 学 生 が 知 る 世 間 の 医 療 の 状 況 が 大 き く 変 わ っ た こ と が 考 え ら れ る 。WHO では,2001 年の会議にて,医師患者関 係 を compliance から adherence への転換を推奨しているが,我が国にてこの言葉が医師以外 の 団 体 に 取 り 上 げ ら れ 始 め た の は 2005 年頃であり 5),医師等に広く読まれている「今日の治 療 薬2013 年版」にこの言葉が今日の医療のトピックスとして掲載された 6)。すなわち,ここ の 数 年 に て 非 常 に 広 く 医 療 界 に 知 れ 渡 っ た と 考 え る こ と が で き , 調 査 対 象 者 の 医 学 部 小 論 文 ・ 面 接 受 験 対 策 等 に 変 化 が あ っ た こ と が 考 え ら れ る 。 ま た , 大 学 入 学 後 で は ,1 年次前期に開講 さ れ る 医 学 概 論 に て , 本 学 医 学 部 教 員 が , 医 学 , 医 療 , 生 命 科 学 の 重 要 な 話 題 に つ い て 講 義 す る こ と と な っ て お り , そ の 中 で , 今 日 の あ る べ き 理 想 と さ れ る 医 師 患 者 関 係 に つ い て 述 べ た 可 能 性 も あ る 。こ れ ら の こ と か ら ,2011 年と 2013 年の時点では,本学医学生の医師患者関係の 在 り 方 に つ い て 大 き く 認 識 が 変 わ っ た こ と が 推 測 さ れ た 。 そ し て , 理 想 と さ れ る 医 師 患 者 関 係 か ら 治 療 の 主 体 と な る 高 齢 者 に つ い て も 多 様 な 者 が 存 在 す る と 認 識 が 生 ま れ , 回 答 内 容 に 変 化 が あ っ た こ と が 考 え ら れ た 。 鳥 取 大 学 の 医 学 生 が 学 ぶ カ リ キ ュ ラ ム で は ,1 年次の 4 月~7 月末の間に「早期体験・ボラン テ ィ ア 」演 習 に て ,高 齢 者 の 入 院 が 多 い 医 学 部 附 属 病 院 見 学 や ,同 じ く 高 齢 者 の 通 院 の 多 い 病 院 や 診 療 所 を 見 学 し ,2 年次の 4 月~5 月末での間に「ヒューマンコミュニケーションⅡ」演習に て , 介 護 老 人 保 健 施 設 に 入 所 し て い る 高 齢 者 と 直 接 触 れ 合 う 機 会 が あ る 。 こ の た め , 彼 ら は , 今 回 の 調 査 を 行 っ た10 月までの間に大学にて履修しなければならないカリキュラムだけ でも, 病 気 に よ り 入 院 者 や 通 院 を し て い る 者 や 介 護 が 必 要 に な り 介 護 老 人 保 健 施 設 に 入 所 し て い る 高 齢 者 と 接 す る 機 会 が あ っ た 。 こ の た め , 健 康 で な い 高 齢 者 が 2011 年の 2 年生には強く印象づ け ら れ た 可 能 性 が あ る 。 す な わ ち , 大 部 分 の 健 康 な 高 齢 者 は 入 院 を せ ず , 通 院 も 少 な く , 介 護 を 受 け ず 自 立 し た 生 活 を 送 っ て い る が , そ の よ う な 高 齢 者 と 調 査 対 象 者 で あ る 医 学 生 は 接 す る 機 会 が 非 常 に 少 な い こ と が 2011 年調査結果に反映されていることが考えられた。とりわけ, 男 子 学 生 よ り 女 子 学 生 は ,健 康 な 高 齢 者 と 接 す る 機 会 が 少 な い と 考 え ら れ た 。2012 年の国民生 活 基 礎 調 査 よ る と ,65 歳以上の者のいる世帯は,全世帯の約 43%である。高齢者全世帯の内, 3 世帯同居の世帯はわずか 15.3%であり,65 歳以上の者だけの世帯の半分にも満たない 7)。 こ の た め ,調 査 対 象 者 の 医 学 科 2 年生においても,日常的に親族である高齢者と接する機会が 少 な い 者 が 多 い こ と が 考 え ら れ た 。さ ら に 彼 ら の 記 述 内 容 は ,2011 年,2013 年共に Not positive and negative で は,「65 歳以上の者」と 記述して い る者が多かっ た。これは , World Health Organization(WHO)が高齢者の定義を 65 歳以上と定義していることに記述していることに 起 因 し て い る と 思 わ れ た 。 次 い で 多 か っ た の は , 「年 金 生 活 を し て い る 者 」で あ っ た 。 こ れ は , 日 本 の 公 的 年 金 制 度 に お い て , 現 時 点 に て 彼 ら の 世 代 が 老 齢 基 礎 年 金 の 受 給 権 を 得 る こ と が で き る 年 齢 は 65 歳からであることに起因すると思われた。彼らの Negative な記述内容は,「老 化 に よ り 病 気 に か か り や す い 。」,「虚 弱 で あ る 。」「社 会 的 弱 者 で あ る 。」「頑 固 で あ る 。」と い う よ う な ス テ レ オ タ イ プ の 記 述 が 多 か っ た 。 こ れ に 対 し て , 彼 ら の Positive な記述内容は,「趣 味 に 生 き て 年 齢 に 関 わ ら ず 生 き 生 き と し て い る 」, 「年 齢 か ら く る 病 気 を か か え な が ら も , 日 常 生 活 を 活 発 に 行 っ て い る 」と い っ た ,自 ら の 高 齢 者 と の 体 験 に 起 因 す る と 思 わ れ る 記 述 内 容 が 多 か っ た 。 備 酒 ら の 調 査 で は , 文 系 大 学 生 は 中 高 年 者 と 比 較 す る と , 身 体 機 能 , 精 神 機 能 , 生 活 の い ず れ に も ネ ガ テ ィ ブ な 印 象 な 印 象 が 強 く , 少 な く と も 「暗 い 高 齢 者 像 」を 持 っ て い た と 報 告 し て い た 1)。この報告は,本調査の結果と類似していた。一方で,備酒らの調査では,かれら の 回 答 に 性 差 は な か っ た と 報 告 し て い た 1)。これに対して,本調査は有意差こそなかったが, 2011 年の男性と女性を比較すると,女性は男性の約 2 倍 Negative な回答が多かった。またこ の 原 因 に つ い て は , 調 査 対 象 者 数 が 女 性 が 男 性 の 約 1/2 人であり,人数が少ないことによる影 響 や 実 際 に 3 世帯同居である者が男性より少ないかも知れない こと,学習態度が真面目な者が 多 い た め こ の ア ン ケ ー ト 以 前 の 講 義 や 演 習 に て , 病 弱 な 高 齢 者 像 及 び 介 護 が 必 要 な 高 齢 者 像 が 彼 女 ら に 印 象 づ け ら れ た 可 能 性 な ど が 考 え ら れ た が ,詳 細 な 原 因 は 不 明 で あ っ た 。2013 年では, 女 性 が 男 性 の 約1.5 倍 Positive な回答が多かったが,これは女性の比率は 2011 年度より増え た こ と , 実 際 に 3 世帯同居である者が多いかも知れないこと,学習態度が真面目な者が多いた め , ア ン ケ ー ト 以 前 の 講 義 や 演 習 に て 医 療 者 や 福 祉 従 事 者 か ら 今 日 の 医 師 患 者 関 係 と そ れ に 伴 う 高 齢 者 の 捉 え 方 を 聞 き 彼 女 ら に 印 象 づ け ら れ た 可 能 性 な ど が 考 え ら れ た が , 詳 細 は 不 明 で あ っ た 。 2011 年患者調査によると。2011 年 10 月の 65 歳以上の推定入院患者数は,約 91 万 5 千人 で あ り8),同外来推定患者数は約 330 万人であった。これに対して,日本の総務省統計局が公 表 し て い る2012 年 10 月 1 日現在の 65 歳以上の推計人口は,3,079 万 3 千人であった 9)。こ の2 つの報告から,高齢者の多くは,医療機関に入院せずかつ頻度が高く通院はしてはいない こ と が 解 る 。本 調 査 対 象 者 は ,Negative な回答をした者は,医療の対象者としての視点で高齢 者 を 捉 え て お り 生 活 者 と し て の 視 点 で は 捉 え て い な い こ と が 推 測 さ れ た 。 実 際 に 本 調 査 の 対 象 者 の 大 部 分 が 医 師 と な り , 高 齢 者 で あ る 患 者 を 実 際 に 診 察 す る こ と が 予 想 さ れ る 。 診 察 に 必 要 に な る の は , 身 体 症 状 の 原 因 で あ る 病 因 を 推 定 す る 知 識 と 技 術 で あ る が , 一 方 で は 生 活 者 と し て の 視 点 を 持 ち , 高 齢 者 で あ る 患 者 が 日 常 生 活 を 送 る 際 に 必 要 な 医 学 的 援 助 は 何 か と い う 知 識 が ,と り わ け 通 院 者 の 治 療 や 在 宅 医 療 を 行 う 際 に は 必 要 と な る 。今 回 の 調 査 か ら 解 っ た こ と は , 健 康 な 高 齢 者 が ど の よ う に 生 活 し て い る の か 少 な く と も 2011 年の 2 年生はもっと知る必要性 が あ る い う こ と で あ っ た 。 平 成24 年版高齢社会白書によると 2011 年 10 月 1 日現在の日本の 高 齢 化 率 は ,約23%であったと報告され,今後も高齢化率の上昇が見込まれている 10)。高齢 者 人 口 の 増 加 は , 高 齢 者 患 者 の 増 加 に 大 き く 影 響 す る と 思 わ れ る が , 特 定 の 人 口 集 団 の 増 加 は 多 様 な 生 き 方 を す る 者 が 増 加 す る こ と に も つ な が る た め , 医 学 生 に お い て も Negative な視点 だ け で な く , 多 様 な 視 点 に て 高 齢 者 を 捉 え る こ と の で き る 教 育 を 行 う 必 要 が あ る と 思 わ れ る 。
調査の限界
本 研 究 は , 鳥 取 大 学 医 学 部 2 年 生 を 対 象 に 2011 年 と 2013 年 に 調 査 し た 結 果 を 考 察 し た も の で あ り , 他 の 年 度 や 他 大 学 の 医 学 生 が 同 様 な 結 果 で あ る か 解 ら な い 。 本 研 究 の 一 部 は , 2013 年 第 61 回 日 本 社 会 福 祉 学 会 秋 季 大 会 に て 「 医 学 生 の 考 え る 高 齢 者 像 に つ い て の 分 析 ‐ 一 養 成 施 設 で の 分 析 ‐ 」 に て 発 表 し た 。 参 考 文 献 1)備酒伸彦,山本 大誠, 川越 雅. 中高年者と大学生の抱 く高齢者像―生涯学習に参加する中高年者と 文 系 大 学 生 を 対 象 と し た 調 査 ―. 神戸学院大学リハビリテ ーション研究,2( 1), p83-90, 2007. 2)萩原滋, PRIELER Michael, KOHLBACHER Florian, 有馬明恵. 日本のテレビ CM における高齢者像の 回 答 に 性 差 は な か っ た と 報 告 し て い た 1)。これに対して,本調査は有意差こそなかったが, 2011 年の男性と女性を比較すると,女性は男性の約 2 倍 Negative な回答が多かった。またこ の 原 因 に つ い て は , 調 査 対 象 者 数 が 女 性 が 男 性 の 約 1/2 人であり,人数が少ないことによる影 響 や 実 際 に3 世帯同居である者が男性より少ないかも知れない こと,学習態度が真面目な者が 多 い た め こ の ア ン ケ ー ト 以 前 の 講 義 や 演 習 に て , 病 弱 な 高 齢 者 像 及 び 介 護 が 必 要 な 高 齢 者 像 が 彼 女 ら に 印 象 づ け ら れ た 可 能 性 な ど が 考 え ら れ た が ,詳 細 な 原 因 は 不 明 で あ っ た 。2013 年では, 女 性 が 男 性 の 約1.5 倍 Positive な回答が多かったが,これは女性の比率は 2011 年度より増え た こ と , 実 際 に3 世帯同居である者が多いかも知れないこと,学習態度が真面目な者が多いた め , ア ン ケ ー ト 以 前 の 講 義 や 演 習 に て 医 療 者 や 福 祉 従 事 者 か ら 今 日 の 医 師 患 者 関 係 と そ れ に 伴 う 高 齢 者 の 捉 え 方 を 聞 き 彼 女 ら に 印 象 づ け ら れ た 可 能 性 な ど が 考 え ら れ た が , 詳 細 は 不 明 で あ っ た 。 2011 年患者調査によると。2011 年 10 月の 65 歳以上の推定入院患者数は,約 91 万 5 千人 で あ り8),同外来推定患者数は約 330 万人であった。これに対して,日本の総務省統計局が公 表 し て い る2012 年 10 月 1 日現在の 65 歳以上の推計人口は,3,079 万 3 千人であった 9)。こ の2 つの報告から,高齢者の多くは,医療機関に入院せずかつ頻度が高く通院はしてはいない こ と が 解 る 。本 調 査 対 象 者 は ,Negative な回答をした者は,医療の対象者としての視点で高齢 者 を 捉 え て お り 生 活 者 と し て の 視 点 で は 捉 え て い な い こ と が 推 測 さ れ た 。 実 際 に 本 調 査 の 対 象 者 の 大 部 分 が 医 師 と な り , 高 齢 者 で あ る 患 者 を 実 際 に 診 察 す る こ と が 予 想 さ れ る 。 診 察 に 必 要 に な る の は , 身 体 症 状 の 原 因 で あ る 病 因 を 推 定 す る 知 識 と 技 術 で あ る が , 一 方 で は 生 活 者 と し て の 視 点 を 持 ち , 高 齢 者 で あ る 患 者 が 日 常 生 活 を 送 る 際 に 必 要 な 医 学 的 援 助 は 何 か と い う 知 識 が ,と り わ け 通 院 者 の 治 療 や 在 宅 医 療 を 行 う 際 に は 必 要 と な る 。今 回 の 調 査 か ら 解 っ た こ と は , 健 康 な 高 齢 者 が ど の よ う に 生 活 し て い る の か 少 な く と も 2011 年の 2 年生はもっと知る必要性 が あ る い う こ と で あ っ た 。 平 成 24 年版高齢社会白書によると 2011 年 10 月 1 日現在の日本の 高 齢 化 率 は ,約23%であったと報告され,今後も高齢化率の上昇が見込まれている 10)。高齢 者 人 口 の 増 加 は , 高 齢 者 患 者 の 増 加 に 大 き く 影 響 す る と 思 わ れ る が , 特 定 の 人 口 集 団 の 増 加 は 多 様 な 生 き 方 を す る 者 が 増 加 す る こ と に も つ な が る た め , 医 学 生 に お い て も Negative な視点 だ け で な く , 多 様 な 視 点 に て 高 齢 者 を 捉 え る こ と の で き る 教 育 を 行 う 必 要 が あ る と 思 わ れ る 。
調査の限界
本 研 究 は , 鳥 取 大 学 医 学 部 2 年 生 を 対 象 に 2011 年 と 2013 年 に 調 査 し た 結 果 を 考 察 し た も の で あ り , 他 の 年 度 や 他 大 学 の 医 学 生 が 同 様 な 結 果 で あ る か 解 ら な い 。 本 研 究 の 一 部 は , 2013 年 第 61 回 日 本 社 会 福 祉 学 会 秋 季 大 会 に て 「 医 学 生 の 考 え る 高 齢 者 像 に つ い て の 分 析 ‐ 一 養 成 施 設 で の 分 析 ‐ 」 に て 発 表 し た 。 参 考 文 献 1)備酒伸彦,山本 大誠, 川越 雅. 中高年者と大学生の抱 く高齢者像―生涯学習に参加する中高年者と 文 系 大 学 生 を 対 象 と し た 調 査 ―. 神戸学院大学リハビリテ ーション研究,2( 1), p83-90, 2007. 2)萩原滋, PRIELER Michael, KOHLBACHER Florian, 有馬明恵. 日本のテレビ CM における高齢者像の 変 遷 ‐1997 年と 2007 年の 比較‐.慶應大学メディアコミュニケーション研究所紀要,59,p-113-129, 2009 年. 3 ) 平 成 22 年 度 版 医 学 教 育 モ デ ル ・ コ ア ・ カ リ キ ュ ラ ム ‐ 平 成 22 年 度 改 訂 版 - . 2013http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/033-1/toushin/1304433.htm.(2013 年 12 月 2 日情報入手.) 4)国民衛生の動向・厚生の 指標 増刊・第 60 巻 9 号, 厚生労働統計協会(東京)p.83, 2013. 5) "薬学用語解 説 adherence".日本薬学会. http://www.pharm.or.jp/dictionary/,(2013 年 12 月 2 日 情 報 入 手. ) 6) 今日の治療指針 2013 年 版 (Volume55) ,医学書院( 東京)p.855,2013. 7)国民衛生の動向・厚生の 指標 増刊・第 60 巻 9 号, 厚生労働統計協会(東京)p.47, 2013. 8)国民衛生の動向・厚生の 指標 増刊・第 60 巻 9 号, 厚生労働統計協会(東京)p.438,2013. 9)国民衛生の動向・厚生の 指標 増刊・第 60 巻 9 号, 厚生労働統計協会(東京)p.44, 2013. 10)平成 24 年版高齢社会白 書 http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2012/zenbun/24pdf_index.html ( 2013 年 12 月 32 日情法 入 手 .) .