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ネットワーク・マネジメント論と集積地域企業の経営革新 : 「地域企業情報ネットワークシステム」のあり方について

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(1)

. ネ ッ トワー ク ・マネ ジメ ン ト論 と集積地域企業 の経営革新

- 「地域企業情報 ネ ッ トワ-クシステム上 めあ り方 につ いて 一

(新潟経営大学教授) (1) 問題意識 グローバ リゼーションとか グローバル ・スタンダー ドとかいう言葉 は今で はすでに日常用語 と化 した 観がある。経済の分野 に限 って も、 こうした "超マクロ''的な概念が生活 の隅々にまで行 き渡 り影響を 及ぼ している時代をわれわれはかつて経験 しなか った。無論、国際化 という言葉 はいっの時代 に も存在 しそれは実際、強弱の違 いはあれ絶えず意味を持 ち続 けて きたのであ ったが、それ と今 日語 られている 「グローバ リゼーション」 という言葉 の間には本質的な相違が横 たわ っているようだ。「国際化」 は国民 国家の存在を前提 としかつその強化 とは必ず しも矛盾す るものではなか った。だが、今 日の 「グローバ リゼーション」 は、 ボーダレス化 と同義であ り、その意味で国民国家の存在 とは矛盾 しむ しろその基盤 を溶解 させかねない役割す ら果た してお り、その点で 「国際化」 とは本質的に異なるのだ。その意味で、 グローバ リゼーションとい う言葉が 日常化 したということは、われわれが今 まさに世界的な構造変動 の ただなかに置かれているということを如実 に物語 っていよう。 で は、構造変動 を単 に "マクロ"的ない し "超マクロ"的概念で捉 えるだけで果たして済むだろうか。 そ うで はない。 そ もそ も構造変動 とは実 は本質的に "ミクロ''概念であるとい うことを見落 としてはな らない。すなわち、 ミクロの世界 における大 きくかっ急激 な変化 の集積が構造変化ない し構造変動 なの であって、その意味で構造変動 を もた らしている根本的な要因 はむ しろ "ミクロ"的な変化 にあると言 わなければな らないのである。 で は "ミクロ''的変化 とは何か。市場経済の下では、それは企業行動や企業組織 さらには企業経営の 変化すなわち企業その ものの変化 に他な らない。つま り企業のあ り方 の変化 こそが構造変動 の本質なの である。 か くして、 グローバ リゼーションとは、少な くとも経済 の面では、企業 のグローバ リゼーシ ョンつまこ り企業 の多国籍化ない し無国籍化 に起因す る国民経済のボーダレス化であると理解 しうるであろう。従 っ てそれは、企業のグローバル化を通 じての国民経済の溶解過程 と定義 し得 よう。 日本経済が今 日、 グローバ リゼーションへの対応を巡 って揺れ動 いているのは周知の通 りである。だ が上記 の観点 に立てば問題 はかな り整理 される。つまりそれは、企業が グローバル化 に向けて如何 に対 応す るのか、 という点を巡 る国民経済の動揺ない し混迷であると理解で きよう。 ではどのような意味で 動揺 ・混迷が生 じているのか。企業経営環境の急展開に対 して如何 に対応す るのか とい うことが企業の みな らず 日本経済 にとって も核心的な課題 となっているのであるが、それに もかかわ らず、その多 くが 集積地域 に基盤を置 きその意味でその発展が地域経済の活性化や国民経済の深化およびそれを通 じての 経済再生 に深 く関わ っている筈の中小企業が、それに対 して必ず しも有効 に対応 し得ていない-という 点で動揺 ・混迷が生 じているのである。すなわち、企業経営のあ り方が大 きく変容す る中で 日本経済再 生 のカギを握 っているはずの 「中小企業」(注

1

)の経営革新なかんづ く 「地方有力企業

(注

2)

の新

(2)

たな経営戟略の方向が不明確であるということが 日本経済の動揺 ・混迷 にも深 く関わっていると考える べ きであろう。 では企業経営環境の急展開 とは何か。 それは、今 日企業経営における核心的部分が企業情報ネットワー クシステムの導入 ・発展を背景 に して企業内問題か ら企業間関係へ と移行 しつつあ り、 さらにその移行 過程 は市場構造の変化 に伴 う企業間取引における変容 によって加速 されている-ということに関わる。 前者の企業間関係-の重点移行 に関 してその理由を挙 げると以下 の

3

点である. 第- に研究 ・製品開 発の分散化 とネットワーク化が挙げ られる。では分散化を可能に した要因 は何か。一つ は情報共有部分 の拡大である。製品開発 に先立 ち研究開発が必要であるが、従来それは巨額な資金を要 したためにその 担い手 は勢 い大企業が中心 とな らざるをえず、 その結果それに引き続 く製品開発 もまた大企要主導で行 われるのが常だった。 だが情報通信手段の発展 に伴 いまず研究開発 に関す る情報共有部分が発生するこ とによって規模の経済性が相対的に低下 した。 その結果非大企業 による参入の機会が拡大 した。 こうし た変化 は当然製品開発 に_も波及す る。 しか も製品開発の場合には製造過程 における 「コンカ レント・エ ンジニア リング」(注 3) の影響 もあって共有部分がさらに拡大 し規模の経済性 は一層低下す る。 か く して 「コンカレン ト・エンジニア リング」の製造過程か ら開発過程への拡大すなわち 「コンカレント・ ディベロップメン ト」が新たに出現 し、それに伴 う情報共有部分の拡大が研究 ・製品開発なかんづ く製 品開発部門の分散化を可能 に しているのである。 もう一つの要因はキー ・テクノロジーとコア製品の多 様化である。 いわゆるコア ・コンピタンス論 は必ず しもキー ・テクノロジーや コア製品の大企業 による

図表

0- 1

製品開発型中小企業を中核 とするネ ッ トワーク概念表

(

提案生産工程分業)

開発 テーマ 及 び開発 製 品群 及 び装置使用 され る製品 コーデ ィネー ト企業コアテ クノロジー A工程B工程C工程 D工程E工程F工程提G工程案 型H工程 l工工程程J工程分 K工程 L工程業 の 相M手 ー工程 \工先甲 0工程 P工程Q工程R工程S工程 金属 樹脂 射出 板金 金属 鋲金 塗装 プリ 電子 勲処 印刷 溶接 電線 特殊 ダイ 組立 試験 部分 彫刻 横桟 加工 機械加工 成型 加工 プレス 加工 基板 部品 理ント 材料 カスト 線・配 評価認定 的設計 シルク印刷 フロープ オ シロス コープ 特殊高周波 同軸 ケー ブ技術ル及びCR素 子 の 開 発 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ・○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 高周波 同軸 コネクタ 通信機器、電子計 測器、放送機器 高周波信号接続技 術 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 棚ブルア ツセ ンブ リ 由ケー 通 信機器、電子計 測器、放送機慕 高周波信号接続技 術 ○ ○ ○ ○ ○ 高周波 システム機器 (分配 機等) 高周波信号 用機器及 び周辺機器 電子制御技術、伝送技術、 高周波信号処理技術 ■ ○ ○ ○ ○ O (⊃ ○ ○ ○ .○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ P 情報 .通 信機 器 (各種 フ ィ ル ター等) 移動体、 無線通信機器、 各種 中稚基地 電子制御技術、 伝送技術、高周波信号処 理技術 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ (出所)関東通産局 『広域多摩地域の開発型産業集積 に関する調査報告

』(

1

9

9

9

6

月)

p.

3

2

より。

-4

(3)

6-独占を意味 している訳ではない。何故な らばその供給者が複数存在 ししか も市場 メカニズムが機能 して いる場合 には、 この分野 にも複数の参加者が登場 しその結果供給者 の多様化が計 られ得 るか らである。 か くして この面か らも研究 ・製品開発の分散化が行われることになる。以上二つの要因 によって研究 ・ 製品開発の分散化が可能 になった訳だが、その背景 には企業情報 ネ ッ トワークシステムが存在 している。 それだけではない。企業情報 ネ ッ トワークシステムの発展が研究 ・製品開発 の分散化を飛躍的に促進 し ているということも見落 とせない。 ネ ッ トワーク化の進展 は情報共有部分を飛躍的に広 げることになる か らだ (注

4)

。 その際、標準 イ ンターフェ一一スもまた重要 な役割を果 たす ことにな る。 情報共有部分 の拡大が標準 イ ンターフェースの増大を伴 う場合 には単なる拡大で はな く共有部分 のオープン化 に繋が るか らである。 さらに情報共有化のための社会的基盤すなわち 「情報共有 イ ンフラ」の存在 も見落 とし てはな らない。 こうした情報共有 イ ンフラの整備すなわち情報共有化政策が

CALS

システムーそれ は企 業間情報共有 システム

CI

TI

S

および設計製造 データの標準規格である

STEP

さ らには互換 ソフ トなど様々 な要素か ら成 り立 っている (注 5) -であるが、その発展 は、研究 ・製品開発 に必要 な技術やノウ- ウ を持 った企業間の共同開発を妨 げている空間的な距離 による制約 を著 しく低下 させ るかない しは除去 し て しま うか らである。 第二 に技術 ・工程間連関における変化がある。生産工程間分業 は一定の技術連関を前提 としている。 だが、上記 のネ ッ トワーク化 によって促進 された製品開発の分散化がキー′・テクノロジー間の多様 な組 み合わせを内包 しキー ・テクノロジーの新 たな組み合わせによる新製品の叢生 に繋がる以上、 それ は従 来の技術体系を揺 るが しそれを前提 に成立 している技術 ・工程間連関の連鎖的変動を不可避 とす る。 こ のようにキー ・テクノロジーの新たな組み合わせによる 「製品開発連携」 は新 たな技術 ・工程間連関の 形成 と表裏 の関係 にあるとうこともまた留意 しておかなければな らないであろう。 (図表 0

⊥ 1

にお け るマ トリックスはこの ことを上手 く説明 している。) 第三 は企業取引関係の水平化である。研究 ・製品開発が大企業主導で行われていた時代 には、独 自技 術や独 自製品の多 くが大企業 に帰属 し、逆 に多 くの中小企業 はそ うした分野か ら排除 され専 ら生産工程 間分業 にのみ携わる単なる下請 けの地位 に甘ん じてきた。その場合取引関係 もまた垂直的 とな らざるを えなか った。 これに対 して研究 ・製品開発の分散化 ・ネ ッ トワーク化時代 には中小企業 もまた この分野 への参入を革 め られ、 その結果独 自技術や独 自製品を有す る中小企業が輩出す るが、その ことは同時に 取引関係を もまた従来の垂直型か ら水平型へ と移行 させ るとい うことを意味 している。 以上 の理由により企業間関係が企業経営上 の主要課題 として登場す るに至 ったのであるが、 それでは 後者の市場構造 の変化 は企業間取引の変容 に対 してどのように関わ っているのか。 それは川下主導型市 場構造 の形成を通 じてである。すなわち、企業間取引は、消費者 ニーズ の多様化 ・個性化、経済社会の 成熟化 さらには国際分業の急進展 に伴 う受発注関係の激変 な どによる市場構造 の変化 に因 って、 川上 (メーカー ・ベ ンダー) と川下 (消費者 ・ユーザー)の関係 においで、従来の川上主導型 か ら新 たに川 下主導型へ と急速 に転換 しつつあ り、 しか も企業間取引に携 わ って きたネッ トワーク型産業すなわち流 通 ・物流 ・金融事業がそ うした変化 に深 く係わることによって、上記の移行過程 を加速 しっつあるのだ。 さらにここで見落 としてほな らないのは、企業情報 システムがイ ンターネ ッ トの急速かっ世界的な普 及 に伴 いネ ッ トワ ーク化 し- しか もそれはグローバルにネ ッ トワーク化 し一企業情報 ネ ッ トワークシス テムへ と発展す るにつれて、移行過程が増幅 されかつ国境を超 えて急速 に広が りつつある、 とい うこと である。つまり企業経営 は、企業情報 ネ ッ トワークシステムの発展を通 じて企業内か ら企業間関係へ と その位相を変容 させ るのみな らずネッ トワーク化 しグローバル化 しつつあるのだ。

(4)

このように市場構造の変化 とも相 まって企業経営 における問題の核心が企業間関係へ と移行 しつつあ り企業情報 ネッ トワークシステムのグローバルな展開がそれを加速 しているのであるが、 こうした企業 環境を巡 る大 きな変化の中で企業経営のあ り方が問われてお り、新企業経営論が求め られているのであ る。企業間関係を重視 しそれを通 じて企業経営革新を計 らん とす る 「ネ ッ トワー ク ・マネジメ ン ト」 (ネットワーク型経営)論が新企業経営論 に関わるのは以上の文脈 においてである。 しか も、情報通信 ネットワークシステムにおける分散処理の普及を通 じて標準 インタ-フェ-スが広がるにつれて、「ネッ トワーク ・マネジメン ト」論 は 「オープン ・ネ ットワーク ・マネジメント」論へ と早 くも装いを新たに し始 めているのである。 ,(2)課題 と論点 本論稿 は、以上の問題意識 に基づいて、 日本経済再生 にとって不可欠な中小企業のあり方 と深 く関わっ ている集積地域企業 における経営革新論なかんづ く経営戟略論 との関連 において、 さらにその技術的な 基盤 としての企業情報 ネッ トワークシステムのあ り方 に焦点を当てつつ、「ネッ トワーク ・マネジメ ン ト」論を考察す ることを課題 としている。 本稿で取 り上 げるべ き論点を予 め提示 してお くと以下の通 りである。第-の論点は議論のフレームワー クに関わる。本稿 における議論のフレ-ムワークを示せば次の通 りである.すなわちそれは、(Jl)企業経 営革新論 としての 「ネットワーク ・マネジメン ト」論 と企業情報 ネ ットワークシステムのあり方 との関 係、(ロ)企業経営革新論 と集積地域企業経営革新 との関係、再集積地域企業経営革新 と企業情報ネットワー クシステムのあ り方 との関係 -という三つのフレームワークか らなる。そ して この三者 は相互連関性を 持 っている。本稿 は地域企業情報 ネ ットワークシステムのあり方 に焦点を当てているが、その意味では 本稿が取 り上 げようとす るのは、上記のフレームに別 して云えば再の 「集積地域企業経営革新 と企業情 報 ネットワ-クシステムのあり方」である。 だがそれはあ くまで も三者の相互連関性 というフレームワー クの一環 として取 り上げ られべ きものである、 というのが第-の論点である。つまり、われわれの問題 意識がそ もそ も集積地域企業の経営革新 にある以上、集積地域企業 における企業情報 ネ ットワーク㌢.ス テムのあり方を問題 にす るのは、それが集積地域企業の経営革新 にとって如何なる意味を持っのかとい う点を明 らかにす るためである-ということを明確 にしておかなければな らない。 第二 の論点 は流通 ・物流 ・金融事業などネッ トワーク型産業の戦略的重要性 に関 してである。 上記の 集積地域企業経営 における 「ネ ッ トワーク ・マネジメント」論を考察する上で、 ネットワーク型産業が 果たす役割を無視す る訳 には行かないC集積地域企業経営が 「ネッ トワーク ・マネジメン ト」 に移行す る場合、企業間取引の中で川上主導型取引か ら川下主導型取引へ と転換する上で不可欠なコーデ ィネー ター機能を本質的に有す るネ ットワーク型産業就中流通業の重要性が高 まるのは当然である。それ故 こ の産業 における事業展開如何が集積地域企業の 「ネットワ-ク ・マネジメント」移行を主導する可能性 す ら存在 しているのである。 そ して、そうした可能性 はその事業展開において この産業が企業情報 ネッ トワークシステムを導入す るか否かに大 きく依存 している (注6)。その意味で、集積地域企業の 「ネッ トワーク ・マネジメン ト」移行 はネ ットワーク型産業の事業展開 と不可分の関係 にあるのみな らず、企 業情報 ネッ トワークシステムのあ り方 もまたその事業展開に密接 に関わっている、 というのが第二の論 点である。 しか もこの点 は単 にネ ッ トワーク型産業の重要性を指摘す るだけでは済 まないということに も留意すべ きであろう。 ネッ トワーク型産業なかんづ く流通業 は、 メーカーとの ビジネス ・プロセスの 融合を通 じて製造業の ソフ ト化 ・サー ビス化 ・情報化を推進す るという役割を も担 ってお り、その意味

-4

(5)

8-で、 この分野 における企業情報 ネ ッ トワークシステムの導入 は先進国製造業の将来を も左右 しかねない 要素を秘めている、 とい うことを見落 としてほな らないのである。 第三 の論点 は集積地域発展のあ り方 との関連性である。上記の集積地域企業およびネ ッ トワーク型産 業 における企業情報 ネッ トワークシステムの導入 は、企業の分業 ネ ッ トワークのグローバル化 とそれに 対す る対応の必要性 という観点か らすれば、地域の有力企業すなわち 「グローカル企業」主導の下で行 われるもの と想定 される し、 またそ うすべ きである。 だがその導入がそれだけに終始す るな らば、それ は、結局の ところやはり集積地域 における大企業 と中小企業の二極分解 に繋が り、 その結果、企業 の分 業 ネッ トワークのグローバル化の下で必然化す るであろう今後の集積地域 の発展方向すなわち集積地域 の広域化 ・高度化を もまた二極分解型へ と転化 させかねない危険性 を学む ということになる。 それは、 集積地域の基盤 を掘 り崩 し従 ってそれに依拠す る中小企業の基盤をますます狭めることになる。 しか も、 日本経済の今 日の低迷 は経済構造の二極化 にその根因を持っ というわれわれの認識 (注

7)

か らすれば、 それは、国民経済の場で不幸 に も進展 している二極化をわざわざ地域経済の場で も繰 り返す ことになる。 そればか りではない。そ うした事態 は、中小企業経営革新を通 じて 日本経済の深化 ・再生 を計 るとい う 課題を集積地域の活性化を通 じて達成 しようというわれわれの意図にそ もそ も反 している。 そ うした意 味でわれわれは、集積地域の今後の発展方向 としては非二極化型広域化 ・高度化 を目指 さなければな ら ないのだが、そ うした課題を達成す るためには、 ただ単 に 「グローカル企業」の発展を促す というだけ ではな く、それを 「ローカル企業」の育成 ・発展 にも繋げてい く必要がある、 とい うのが第三 の論点で ある。 そのためには 「ネッ トワーク ・マネジメ ン ト」 にとって不可欠 な企業情報 ネ ッ トワークシステム のあ り方 について も、「地域企業情報 ネッ トワークシステム

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として発展 させな くてはな らず、 それに対す る集積地域の支援機能発揮 が求 め ら れるのである。 第四の論点 は上記

LBI

NS

の重層性 についてである。 まずそれが二重 の役割 を担 ってい る とい うこと を指摘 しておかなければな らない。第一 の役割 は、上述 したように 「ローカル企業」 に対 して 「ネ ッ ト ワーク ・マネジメン ト」 にとって不可欠な企業情報 ネッ トワークシステムの導入を支援す るとい うもの である。だが

LBI

NS

の役割 はそれだ けで はない。 第二 の役割 は水平 的取 引関係 の形成 で あ る。 現在 「グローバル企業」を中心 に して急展開 されている世界的な調達 システム 「サプ ライ ・チ ェー ン ・マ ネ ジメン ト

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は情報 ネ ッ トワー クシステムを通 じて取 引関係 の 世界的な再編成を もた らしつつある.再編成 は二つの面で行われている。一つには供給者 における 「地 域性」の無視である。

SCM

とは、ユーザー ・供給者問の取引関係 においてそれをユーザーつ ま り 「グ ローバル企業」主導の一方的な取引関係っまり垂直的な取引関係へ と移行 させ ることである。 そ うした 移行 は既 に集積地域企業の取引関係を も変容 させっつある。かれ らは 「グローバル ・ネ ッ トワーク」 の 下で一方的かつ垂直的なネ ッ トワーク取引関係 に新たに組み込 まれ始 めてお り、その結果地域性を喪失 する可能性が生 じている。 その場合注 目すべ きはこうした垂直的ネ ッ トワーク取引関係への組み入れが 集積地域の有力企業 における企業情報 ネ ットワークシステムの導入を通 じて行われているとい う点であ る。 その結果垂直的ネッ トワーク取引関係への移行が有力企業を通 じて集積地域企業全体 に も波及 しか ねないという問題が新たに惹起 されている。 もう一つの面では流通 システムの再編成が進行 している。

SCM

による世界的な調達 システムは一方的であるだけではな く直接的で もあ る。 その ことは流通 シス テム就中卸業の不要化 に繋が りかねず、 その意味で 「グローバル ・ネ ッ トワーク」 の下では流通 システ ムもまた再編成が不可避 となるのである。 こうした 「グローバル ・ネ ッ トワーク」 の下での再編成 に対

(6)

応するためには二つの課題が提起 される。一つは集積地域企業 とりわけ有力企業 におけるネットワーク 取引関係の水平化であ り、今一つは流通 システムにおいて新たな役割を見出す ことである。後者 につい ては上記の第二の論点で既 に指摘 したので省略する。そ こで前者の水平的ネットワーク取引関係形成 に おいて

LBI

NS

がどのような役割を果たせるのか、 という点が ここでの論点 とな る。

LBI

NS

が二重 の役 割を担 っているという場合重要 なのは、地方有力企業 におけるネ ッ トワーク取引の水平化が 「ローカル 企業」 のそれ と表裏の関係 にあるということだ。 この点を考慮すれば、

LBI

NS

が担 っている二つの役 割 もまた表裏の関係にあるということだ。 しか も

LBI

NS

の役割 にお ける二重性 は戦略的な意味を帯 び ているということを看過 してはな らない。分業のグローバル ・ネッ トワーク化 は集積地域企業 とりわけ 「グローカル企業」 にとって必要であるばか りではな く集積地域 にとって もその広域化 ・グローバル化 という観点か ら課題 とされている。従 って 「グローバル ・ネットワーク」に対 して単に 「ローカル ・ネッ トワーク」 を対時させ るだけではな く、その双方を包含 した 「重層的ネットワーク」が求め られている のである。か くして

LBI

NS

における二重性 は 「重層的ネットワーク」 へ と発展 させ られ る必要性があ るという訳だ。 そうした意味で

LBI

NS

の二重性 は戟略性を帯びているということになる。「ネ ッ トワー ク ・マネジメン ト」が集積地域企業の経営革新 に繋がるというの は、

LBI

NS

におけるこうした戦略性 すなわち重層性が如何 に発揮 され得 るのか、 という点 に専 ら掛か っていると言 うべ きであろう。 最後の論点 は集積地域活性化の方法論 に関わる。活性化論 は往々に して二つの相反す る方向に分岐す 逆 に地域全体の底上 げこそ重視すべ きであるとする構造論 も台頭す るのである。 しか も両者 は、前者の 、 議論が活発 になればなるほど後者のそれ も熟を帯 びる、 という関係 にある。本稿 もこの二つの議論の相 克を免れることはで きない。何故な らば、一方では企業情報 ネットワークシステムの導入による 「ネッ トワーク ・マネジメン ト」への移行およびそれを通 じての集積地域企業の経営革新が 「グローバル企業」 主導で行われる必要性を否定す ることはできないにもかかわ らず、他方ではその導入を集積地域の非二 極化型発展 に繋 げていかなければな らないか らである。要するに先端性 と構造性を共に必要 としている のである。集積地域活性化論 においてはこうした意味での二義性をどうして も免れえないのであるが、 逆にそれを生かす ことによって地域全体 としての活性化を達成す る、 というのがそ もそ も集積地域活性 化論であるという立場 に立てば、二つの考え方を必ず しも矛盾す るものだとみなす必要 はな く、逆 にそ の統合性 こそ重視すべ きだ とい うことになる。 この点 は上記第四の論点すなわち重層性論 とも関わる。 その意味で集積地域の支援機能 にもそ うした統合性が付与 されなければな らない、 というのが最後の論 点である。 集積地域の事例研究 として新潟県産業集積を取 り上 げたが、それは、上記の問題意識か ら言 って も、 問題の展開における新潟県的特質の解明のためだけではな く、集積地域全体 として有する普遍性研究の 一助 とす るためで もある。 また本稿 は、本格的な事例研究および論議 を経て完成 されるべきものであり、 その意味で一つの試論 にす ぎない。 (なお本稿では、煩項を避 けるために 「産業集積地域

を特別の場合を除いて単 に 「集積地域」 と呼ぶ ことにする。 従 って 「産業集積地域企業」 について も同様である。) (注1) 「グローバル企業」 とりわけ金融部門におけるそれの急速 な台頭 ・肥大化が資本主義 と市場経 済 とのアンカ ップ リングを惹起 し資本主義が 「市場経済」 (*1)のルールか ら逸脱す るとい う結果 に陥 っている 「グローバル資本主義」の下 にあっては、「中小企業」 とい う概念 は、大 - 50 -/

(7)

企業対中小企業 という単 なる企業規模の大小 に係わるもの としてではな く、「グローバル企業」、 「グローカル企業」そ して 「ローカル企業」 という文脈において も捉える必要がある (*2). 何故な らば、そ もそ も資本主義 と市場経済のアンカップ リングというような事態が生 じたのは グローバ リゼーションすなわち 「グロ「パル企業」 による国民経済の溶解過程の結果 に他な ら ないのだか ら、両者を リカップ リ・ングするためには-すなわち市場経済のル二ルに資本主義を 今一度引き戻すかさもなければ両者の関係を再調整す るためには-、「グローバ ル企業」 に対 して 「グローカル企業」や 「ローカル企業」が有効 に対時す る方途を見出す以外 にないか らで .ある6 ,ところで地政学的に観れば、「グローバル資本主義」を主導 しているの は言 うまで もな くア メ リカでありこその軌道修正 によって リカップ リングを試 みているのが ヨーロッパであるが (*L3)、そのことか らも明 らかなように地域統合が リカップ リングの有力な手段の一つである ということは容易に理解 されよう。 こうした地政学的立場 に立たされた場合、 日本のポジションが如何に困難なものであるか と いうことをわれわれは改めて思い知 らされるのである。何故な らば日本 は、 ヨーロッパにおけ る

E

Uのような地域統合体をアジアにおいては今だに持つには至 ってはいない し、 またそ う し ・た統合体を近 い将来 に持っ という可能性 にも乏 しいか らである。 そこで 日本 にとっては、「グローカル企業」 ・ 「ローカル企業」 による 「グローバル企業」 との対時関係 は尚更死活的な問題 とな らざるをえない筈だ。何故な らば ``孤立せ る日本"が リ カップ リング問題 に立 ち向か うためには、 自らの市場経済深化を通 じて日本市場 とアジア市場 'との融合を計 る以外 にないと考え られるが、その場合 「グローカル企業」がその成否を握 って いるか らである。 まず前者すなわち市場経済の深化 に関 してはどうか。 この場合、「グローカル企業」 群 の創 出に成功するか否かがカギである。すなわち、国民経済の基盤 としての地域経済を支える 「ロー カル企業」の育成を通 じてその中の有力企業をローカルでかつ グローバルな企業すなわち 「グ ローカル企業

へ と発展 させ、 さらに 「グローカル企業」の発展を 「ローカル企業」の育成 ・ 発展に繋げてい く-という

『グローカル企業』群創出好循環 メカニズム」 を作動 させそれを 通 じて自らの市場経済を深化 させ る以外にないのである (*

4)

。 後者っまり了 ジア市場 との融合について も、上記の 「グローカル企業」群のアジア場裏 にお ける創出とそのネットワーキ ング (*5) によって日本市場 とアジア市場 との融合を計 るべ き である。 日本や.アジアとしてはこうした方途を通 じる以外 に 「グローバル資本主義」 に対時 し うる途 は無いと言わざるをえないのである。 か くして 「中小企業」問題 は今や、 日本経済の針路を左右するだけではな く、現代資本主義 の本質にも関わる問題 とさえなっていると言 うべ きであろう (*6)。 (*1)尤 も、 ここで言 う 「市場経帝」 とは、「市場」の需給関係で決 まる価格が 「適正」 であ り、 そうした価格を通 じて 「適正」 に資源配分が行われる経済 システムのことを指 してお り、 ま たその場合の 「市場」 とは、価格決定の 「適正」 さを保障す るルールを予め備えたシステム のことである。 (志村 篤氏 は、そのシステムは 「市場の質」 にも関わ ると して いる [志村 篤 「世界経済危機の教訓 - 『市場の失敗』 との結論早計

-

」(日本経済新聞

1

9

9

8

9

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日)参照)0

(8)

(*2)グローバ リゼーシ ョンが企業 の再定義を求めているということも見逃せない。何故 な らば、 企業 のグローバ リゼーションは企業規模 にではな く立地条件如何に因 っているか らだ。 中 ・ 小企業であって も、 グローバル化への対応 に成功すれば将来 の発展が保障 されるし、逆 に大 企業 といえどもそれに対す る対応を誤ればたちどころに市場か ら放逐 され ことに√なる。か く して企業の再定義が求 め られるのであるがこその場合、立地条件の差異性 による定義が新た に必要 となる。すなわち、立地条件 に関係な く-つま りボーダレスに一事業活動を展開する 企業 を 「グローバル企業」、逆 に立地条件 に専 ら依拠 してそれを行 う企業を 「ローカル企業」、 そ してその双方 を有効 に活か して活動す る企業 を 「グローカル企業」 -と定義すべきである。 (*3)因みにヨーロッパ は二つの方法でそれを試みている。 一つ は 「社会空間」 の市場化 で あ り (間宮陽介氏 は、価格 「適正

化すなわち市場経済の安定化 は 「社会空 間」 の市場化 によ ら てはじめて達成 され うるとしている [間宮陽介 「市場経済 とは何か-経済学 におけるデ レン マの問題 によせて-」(世界

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月号)

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3

参照)、いま一つは ドルによるヨーロッ パ通貨 ・金融支配 の ヨーロッパ単一通貨創設 による打破である。 ヨーロッパ主要国における 政治の殆 どが今や社会民主主義者 の手 に落ちた とい うのは前者の進展 を物語 ってお り、 また

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日を期 して

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1

1

カ国 (但 し第一陣 として)の間で史上初 めて国籍 を持 た ない通貨 「ユーロ」が誕生 した とい うのは後者の試みが ヨーロッパ においていよいよ本格化 し始めたとい うことを物語 っている。) (*

4)

「『グローカル企業』群創出メカニズム」 は、 グローバ リゼーション下で は分権化論が新 たな 意味を帯 びることになる、 とい うことにも関わる。 ユーロ創設 によ る

E

U統合問題 は 日本 の 経済社会 システムのあ り方 にも大 いに関連 している。 「統合」 に 対す る最 も有効な対応 は実 は 「分権」であるとい う逆説的発想が登場 して きているの もそのためだ。 それ は、 "単一通 貨ユーロ" の下での統一 ヨーロッパの出現を "単一通貨円''の下での分権国家 日本の実現 に よる自国経済 の活性化 に結 びつ けるべ し、 とす る発想である (吉野源太郎 「ユーロに学ぶ 日 本再生 一競争力を支える地域のカ ー」[朝 日新聞

1

9

9

8

1

2

2

0

日]参照)。つ まり、 日本 の経 済社会を徹底的 に分権化 し国家その ものを 「地域連合国家」とし、従 って 「円」を地域連合-その場合の連合 はさ らに北東 アジアか ら東 アジアへ と国境を超 えた連合 に繋が る可能性を秘 めている-の共通通貨すなわち 「地域連合通貨」 とす る構想である。但 しこうした発想が リ ア リテ ィーを持っためには、一つ にはヨーロッパが非集権的な統合を指向すること (実際 ヨー ロッパでは、ユーロの誕生 によって国境を越えた地域間提携 と共同体化が衰勤 し始めており、 既存の国境 とは異 なる 「境界線」 によって ヨーロッパの地図が塗 り替 え られる可能性が生 じ ているとされる[実 哲也 「欧州統合、地域 の 自立促す」 (日本経済新 聞

1

9

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1

1

9

日参 照

)]

)

、今一つ には日本が地域活性化 とそれを通 じて分権化 に成功す ること-というの二つ の条件を充 たす必要があろう。つ ま り、分権化 とい う "標準 イ ンターフェース''を広 げるこ とによって両 システムの "互換性''を高めようとい う訳である。 (それは、 "分権化 され民主 化 されたアジア''との "互換性" に も通 じる [初岡晶一郎

『ソーシャル ・ア ジア』 と社会 的コモ ンスペースを求 めて-統合的地域協力のための基礎的諸条件 とは何か -」 (初 岡章一 郎 ・姥名保彦編著 『アジアの経済 と社会 - 「ソーシャル ・アジア」 を求 めて-

』《

1

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9

8

6

月、明石書店刊》

p.

2

5-3

1

参照]。)そのためにはに日本 として も、 自らの地域社会の活性化 と分権化 に努 め "活力ある経済社会 と柔 らかい国家''を達成す るという課題 に応える必要が -

5

(9)

2-あろう。 か くして分権化論 はグローバ リゼーション下で新 たな意義を与えられるという訳だ。 だ とすれば、地域活性化のための抜本的な改革の必要性 もまたますます高 まることになる。 その改革 の成否を握 る重要な ファクターの一つが

『グローカル企業』群創 出メカニ ズム」 に他な らない. こうした文脈 において、それはグローバ リゼーシ ョン下 の分権化論 に も深 く 係わ っているのである。 (*5)日本企業のアジアにおけるネ ッ トワーキ ングについては、拙稿 「日本経済の再生 と東アジア」 (初岡昌一郎 ・姥名保彦編著 『同上

』p.

7

7-95

を参照の こと。

(*

6)

この点 につ いて は、 ロバ ー ト

∫ ・サ ム エ ル ソ ン

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))やデ ビッ ト

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・コ-テ ン (デ ビッド

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・コ-テ ン 「グロTパル資本主義 が 人類を貧困化 させ る」[世界]

(

1

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9

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8月号)p.

51-6

0

)

が興味深 い指摘を行 っている。 (注2) 「地方有力企業」 とは、従来の下請 け型企業や伝統的な地場産業型企業ではな く、経営上 の独 立性を備えかつ積極的な経営戟略を有す る地方企業の ことを言 う。すなわち、地方 に立地す る -というメ リッ トを生か しなが らも独 自の意志決定権 と経営戦略を持 ちかつ地方の枠を越 え全国 さらには世界を も対象 に市場を開拓す る意欲 と条件を備えた企業の ことで あ る。 (新潟経済 同 友会 『新潟ベ ンチ ャー企業育成 プ ラ ンー大競争時代 のベ ンチ ャー企業 を創 出す るため に-』

[1

9

9

6

5

月 ]

p.

3

0

参照)0 か くして、「地方有力企業」 は、独立系中堅企業 (*1) としての事業展開を行 お うとすれ ばす るほど自ずか ら上記の 「グローカル企業」 という性格 を帯 びざるをえな くなるが、 その場 合、そ うした性格が強 まれば強 まるほど集積地域企業や集積地域それ自体の性格を もー変 させ ることになるという点が重要である。すなわち、集積地域企業 の場合 には 「経営革新」 が求め られ、集積地域 も 「自己革新」が迫 られることになる。 まず前者の経営革新 に関 しては、 まず 「グローカル企業」 としての 「地方有力企業」 に課せ られた課題の達成を通 じてそれが推進 されることになろう。すなわち、(1)自らの経営戦略をグ ローバルに展開す るとともに、他方ではその立地基盤 をよ り強固にす る上で不可欠な 「ローカ ル企業」の育成 ・発展を計 らなければな らない、伺 そのためには自らを 「コーディネー ト企業」 (*2)と位置づ け 「ローカル企業」育成 ・発展のための コーデ ィネー ト機能 を発揮 しなけれ ばな らない、再 その場合のコーデ ィネー ト機能 は、地域経営資源の有効活用のためのネットワー キ ング ・コーデ ィネーターとしての役割を も兼ね添えた ものでなければな らない、 とい う三つ の課題が課 されるこちにな り、かつ 「地方有力企業」が こうした課題 に応えることを通 じて集 積地域企業全体の 「経営革新

も進展す るであろう。 後者の集積地域革新のためには、(1)上記 の集積地域企業 の経営革新を支援 しなければな らな い、(ロ)その場合、集積地域 として も上記の経営資源のネ ッ トワーク型活用を支援す るとい う役 割 を果たさなければな らないが、 その際、本来そ うした役割を担 っている筈のネ ッ トワーク型 産業 との提携を計 りつつ コーデ ィネー ト機能を発揮 しなければな らない、再最後 に以上 の役割 を果たすため声こは、 自らの広域化 ・高度化 (*3)-すなわち集積地域間の広域的ネ ッ トワー キ ングとそれを通 じての集積機能 の高度化 一に努めなければな らない、 というこれまた三課題 に集積地域が応えなければな らないであろう。 -(*1)後述す るように新潟県 は、経営戟略 において独 自性 を有す る中堅企業を独立系中堅企業 と捉

(10)

えている。。 (*2) 「コーデ ィネー ト企業」 におけるコーデ ィネー トとは本来次の三つの要素か ら成 り立 ってい ると考え られ る。一つ は、 コーデ ィネー ト企業 とローカル企業群 との問での生産工程間分業 を主体 とす るネ ッ トワーク ・コーデ ィネー トである。 (例えば図表

0- 1

の横軸関係 にお け るネ ッ トワーク ・コーデ ィネー トがそれである。)二つには、 コーデ ィネー ト企業 自体 の問 での先端技術を活用 した製品開発 のためのネ ッ トワーク ・コーデ ィネー トであ る. (例 えば 同図表 の縦軸関係 におけるネ ッ トワーク ・コーデ ィネー トがそれである。)三 つ 目は、 これ ら二つのネ ッ トワークにおける連鎖的変動 において集積地域 にプラスの相乗作用を もた らす ための コーデ ィネー トである。 このようにコーデ ィネー ト機能 は複層的でかっ累層的な性格 を帯 びているが、 この複層性 と累層性 によって生み出される相乗作用 と累積効果 こそ後述す る集積 による 「ネ ッ トワーク効果」 に他 な らない。従 って三っの コーデ ィネー ト機能 とりわ け第三 のそれは集積地域の活性化 と高度化の源泉 をな してお り、 とくに重視 される必要があ ろう。 なお、 この点 に関 しては関東通産局が興味深 い研究を行 っているので参照 されたい。 関東通産局 『広域多摩地域の開発型産業集積 に関す る調査報告』[

1

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4

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2

参 照。) (*3)集積地域の広域化 ・高度化 という問題 は上記 のコーデ ィネー ト機能 における複雑性 と累層性 によるネ ッ トワーク効果の発揮 という点 と密接 に関係 している。 (注

3)

「コンカ レン ト・エ ンジモア リング」 については、図表

1-7-(

1)を参照の こと。 (注

4)

情報共有化 は単 にそれだけに止 ま らず知識共有化 に迄及ぶ ということが重要 であ る。 「情報化 社会」 とはそ もそ も 「知識化社会」への移行過程 にある社会つ まり過度期の社会 に過 ぎないと いう見解があるが (例えば ロン ドン ・エ コノ ミス ト誌 がそ う した見解 を採 って い る

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8

参照

]

)

、 そ うした観点 に立 てば、 情 報共有化が知識共有化 に移行す るの も不可避である、 とい うことになる。現 にそれは技術革新 や企業経営のあ り方をすでに左右 し始 めている。 前者っまり技術革新については、研究 ・開発 ・

生産 ・販売 とい う技術革新 プロセスが 「単線型技術革新

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か ら 「連鎖型技術革新 モデル

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へ と次第 に移行 しつつ あ り (第

1

章 [注

3

8

]および図表

1

-

7

-(2)参照) -その結果 「コンカ レン ト・エンジニア リング」 も また 「コンカ レン ト・ディベ ロップメ ン ト」へ と移行 しつつある-ということに表 されており、 後者の企業経営 について も、企業情報 ネ ッ トワークシステムをナ レッジ ・ネ ッ トワーク ・シス テムへ と発展 させ ることを通 じて知識やノウハ ウの共有化が進展す ることにより 「ナ レッジ ・ マネジメ ン ト

(

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)

論が新 たに登場 し始 めている (日本経済新 聞

1

9

9

9

2

8

日参照) とい う点 に反映 されている。 (注

5)CALS

については第

1

章 (注

2

7

)

を参照の こと。 なお、

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につ いて は第

1

章 (注

4

4

)

(*

1

)を参照の こと。 (注

6)

ネ ッ トワーク型産業 の企業経営 において企業情報 ネ ッ トワークシステム導入の効果が如何 に大 きいかは次の試算か らも容易 に窺える。 すなわち、 自動車、金融、物流、ヘルスケア、 エ レク トロニクス、 コンビニエ ン トス トアの

6

業種を対象 に Lで情報化 による業種別利益増加額 を三 つの時期っま り現状

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8

年 の時期 に区分 して試算 してみると、物流、 -

(11)

54-金融 などのネ ッ トワーク型産業が最 も大 きいことが判明す る (図表

0-2

参 照)。 この よ うに ネ ッ トワーク型産業 においては情報 ネ ッ トワ-グシステムの支援 ・補完効果が極 めて大 きいの であるが、 この ことは逆 にこれ らの産業 におい ては情報 ネ ッ トワークシステムによる代替性 も また極 めて高 いとい うことを示唆 していると言 えよ う。 (注 7)日本経済 の停滞 は、バ ブル不況 の長期化 とい う循環要因の他 に、大企業 と中小企業、.製造業 と サー ビス業 さらには大都市 と地方 など様 々な部面 における二極化 によ って惹起 された経済構造 における披行性の異常 な進行 とい う構造要因 に も因 っている-とい う点 について は、拙稿 「日 本経済 の再生 と東 アジア」 (初岡昌一郎 ・姥名保彦編著 『同上』)

p.

3

8-6

1

を参照 の こと。

図表

0-2

業界別の情報化 による利益の増加 (

単位 :兆円)

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-」

(日本経済新聞

1

9

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1

日より)0

1.

「ネ ッ トワーク ・

-

マネ ジメン ト」論登場 とその意義

グローバ リゼーシ ョンが世界的な規模での変化であると同時 に市場構造 や技術構造 の変化 を背景 とす る構造的 な変化で もあ り、 そ してまた こうした構造変化 は ミクロ的な変化 とりわけ企業 の グローバル化 に起因 しているとい うことはすでに触れたが、 そ うした ミクロ的な変化の中心 に位置す るのが企業経営 革新論 としての 「ネ ッ トワーク ・マネジメ ン ト」論 に他な らない。 その意味 についてはすでに序章で述 べたので本章 で は、「ネ ッ トワーク ・マネジメ ン ト」論登場 とその意義 につ いて考察 す ることに しよ う。 とくに、「ネ ッ トワーク ・マネジメ ン ト」論が どのよ うな意味で企業経営革新論 とみ な され るのか、 ま たそれ は中小企業 にとって どのよ うな意義があるのか、 とい うことを中心 に観 てみよ う。

(12)

(1) グローバ リゼーションと 「ネ ッ トワーク ・マネジメ ン ト」論 の登場 「ネ ッ トワーク ・マネジメ ン ト」論登場の背景 には、(1)グローバ リゼーションと表裏 の関係 にある企 業 ネ ッ トワーキ ングの進展、(ロ)企業情報 ネ ッ トワークシステムの発展 によって支え られた企業経営革節 の変容 -とい う二つの要因がある。 そ こでまず前者のグローバ リゼーションと企業 ネ.ッ トワーキ ングの 関係か ら観てみることに しよう。 (丑 グローバ リゼーションと企業 ネ ッ トワーキ ングの進展 J 今 日におけるグローノアリゼ-ションの特徴を挙 げるとすれば、それは、企業 ネ ッ トワ一・クの進展 と表 裏 の関係で展開 しているという点である。 この ことを 日本経済 のグローバ リゼーションを例解 として、 中で も相互依存関係が最 も深化 している対束 アジア関係を取 り上 げ検討 してみると、以下 の通 りである (詳 しくは拙著 [注

1

]を参照の こと)0 第一 に、対束 アジア貿易が企業の最適調達 システムの発展を通 じて拡大 しているこ七 が指摘 されろ。 日本 の対束 アジア輸 出拡大 は、海外で最終財を生産す る際に必要 となる高機能部品、高機能材料などの i 「支援型産業」 によって もた らされてお り、 また今後、情報通信機器、 ソフ ト産業、 情報 関連産業 な ど か らなる 「統合型産業

によって担われるもの と想定 され るが、対束 アジア貿易が こうした 「支援型産 業」 と 「統合型産業」 との コンプ レックスによって発展 しているとい うことは、企業の世界最適調達 シ ステムが飛躍的に進展 してお り、 さらに後述す るようにその ことと表裏 の関係で企業 ネ ッ トワーキ ングi が画期的な進展 を遂げ ているとい うことを物語 さている。 第二 に、企業進出あ複層化やi企業 ネ ッ トワニクの拡大 ・深化 に結 び⇒L:Jlている土 とが挙 げ られる。 日 本企業 の進出目的 は

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年代 には輸 出基地確保 を主 目的 とす るものであったが

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年代 に入 ると、そ こにさらに市場確保が加わ ったために、 これまでのセ ッ トメーカーに加えて電子部品メーカー、素材メー カー、 中小加工業者 さらには流通 ・サー ビス部門の企業 に至 るまで進出 し始めた。 その結果、進出先 に おける企業 め複層化が進み、その ことが、企業 ネ ッ トワークの拡大 と多 目的化すなわち最適調達のため だけで はな くマ ッケティ ングを も含む経営戦略のためにもそれを拡大 一丁深 化 させ るとい う■ことに繋が っ たのである (注

2)

0 第三 に、企業 ネ ッ トワークの拡大 ・深化が資本 ・金融市場の発展 とそのネ ッ トワーキ ングと相互 に関 連 しているということも見逃せない。直接投資を中心 とす る東 アジアへの日本資金め膨大 な流入 は資本 市場すなわち証券市場および債券市場 の発展を促 したが、それは、金融市場なかんず く.国際金融市場 の 発展 に も繋が り、 その結果域内金融市場のネ ッ トワーキ ングを進展 させた。資本 ・資金流入 は、 それを 国内イ ンフレーシ ョンか ら遮断せん とす る通貨当局 による為替市場への ドル買 い介入を誘発す ることに よって、介入 を通 じての為替市場のネッ トワーキ ングへ●とさらに波及 していった。 その結果、三つのマ ネー市場すなわち資本 ・金融 ・為替市場の発展 とネ ッ トワーキ ングが進展 したのである'.そ して、こう三し たマネー市場 のネ ッ トワーキ ングが企業 ネ ッ トワークの一層の拡大 ・深化 に繋が っているのである。 以上か ら明 らかなように、 グローバ リゼーシ ョンは調達 システム、 マーケテ イングそ してマネー市場 という三っの面での企業 ネ ッ トワーキ ングと一体 とな って進展 して きたのであるが、中で も調達 システ ムが企業 ネ ッ トワーキ ングの出発点 とな りかつ企業の分業ネ ッ トワークのグローバル化 という点で問題 の核心 を年 していると考え られるので、以下ではそれを取 り上 げることによって企業 ネ ッ トワークの発 展過程 をさらに詳 しく検討 し、それがどのような意味で 「ネ ッ トヮ-ク ・マネジメ ン ト」 に繋がるのか を観てお こう。 - 5

(13)

6-② 世界最適調達 システムと 「ネ ッ トワー ク ・マネ ジメ ン ト」論 A.世界最適調達 システムの展開 世界最適調達 システムは二 つの段階 を経 て発展 して きた。 この点 をや は り日本 と東 ア ジア との関係 を 例解 と して説 明す ると以下 の通 りであ る。 まず 日本企業 の東 ア ジア進 出が生産基地化 を 目的 と して行 わ れた

1

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年代 とくにその前半 における調達 システムは第一段階のそれ に当た る。 この段階 にお ける企業 ネ ッ トワークは、 日本企業 の コス ト引 き下 げ効果 を狙 った調達 システムと して出発 した結 果、 「付加 価 値 レベル別分業 ネ.ッ トワーク」 とい う性格 を当初 は色濃 く持 っていた。 しか しなが ら,'東 ア ジア諸国の 労働力構造 の変化すなわち労賃 コス ト上昇 と技術水準 向上 を背景 に して企業 ネ ッ トワー クの性格 は変質 す る.-サ なわちそれ は、「付加価値 レベル別分業 ネ ッ トワーク

か ら 「イノベー シ ョン波 及 ネ ッ

トウ-ク

」 (注3)一.-デザイ ン ・技術 ・品質 な どの平準化 を通 じてイノ′ベー シ ョンを東 ア ジアに波 及 させ る こ と.により.日本企業 と進 出先双方 の競争力引 き上 げ効果 を期待す る企業 ネ ッ トワーク ーへ と変質 したのセ ある。 しか もその発展過程 はこの段階で止 ま った訳 で はなか った。 それ は

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年代 か ら

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年代 にか けて 日本 企業 の進 出が市場獲得 とい う性格 を強 め るにつれて、「製 品差別化 ネ ッ トワー ク」 (注4)一一万 で コス ト・価格 の適切 な組 み合 わせを見 出す とともに、他方で ア ジア市場 にお けるマーケテ ィング効果を高 め るために製品差別化 を 目的 とす る企業 ネ ッ トワークーへ とさ らに変容 してい ったのであ る。 このよ うに世界最適調達 システムは、一方で は生産 ・供給面 において、他方で は消費 ・需要面 におい て、企業 ネ ッ トワークの進展 と表裏 の関係で発展 して きたのであるが、「ネ ッ トワーク ・マネ ジメ ン ト」 論 が アメ リカにおいて華 々 しく登場 して きたの は、 こうした調達 システムの世界的な展 開 と企業 ネ ッ ト ワーキ ングの進展 の下 での決 して無縁で はなか った。

B.SCM

の登場 その ことは、「ネ ッ トワーク ・マネ ジメ ン ト」論 の本格 的な登場 が、 スタンフ ォー ド大 学 が ア メ リカ の多国籍企業 のために世界的な最適調達 システムに対 して有効 に対 応 す るための新経 営戦 略 す なわ ち

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を 打 ち出 した ことを契機 と している、 とい うことか らも窺 え る。 (だか らと言 って

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が大企 業 にの み 有効 な経営戦略であると速 断 して はな らない。後述す るよ うに、 それ は中小企業 における経営戦略 と し て も極 めセ 有力な武器 とな りう去か らだ)。 同大学 によれば

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とは、資材、情報 そ して金 融 な どの 流れを、財 ・サー ビスの供給者、流通者、消費者 甲問 に張 り巡 らされた一 つのネ ッ トワークー しか もグ ローバ ルなネ ッ トワー クーの下 で一括 して取 り扱 い、 それ らの流 れを全体 と して効率的 た らしめる経営 戦略である、 とされ る (注5)9すなわち、「資由 の流れ は、供給者 か ら顧泰への原材料 な ど物 的な流 れ と、製品、 サー ビス、 リサ イク リングそ して廃棄物 の処分 な どの流 れの双方 を含 んでいる。情報 の流 れ は流通 および物流 を含んで いる。金融 の流 れは信用奏件、支払 い予定、委託販売 などを含 んで いる。 こ れ らの流 れ は、同一企業 内の複数 の組織 また複数 の企業 さ らに時 には複数 の産業 を横断的 に過 ぎる。つ ま りそれ らは企業 内組織間、企業組織 間のみな らず しば しば川上 か ら川下へ と産業間 に跨 った流 れを形 成す るのゼある」 (注6.)とされている。要す るにそれ は、製造 か ら流通、販売 に至 るま での企業 が共同 して コス ト削減、最適 な在庫、最適 な配送 の タイ ミングを求 め ることによ って、資材、情軸、金融 など の流 れが一つの

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の下 で効果的 にコーデ ィネー トされ、 そ の結 果

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全体 ど しての効率化 が達成 され る、 とい うシステムであ る (図表

1-1

-(1ト

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参照)。 (ロジステ ィッ クつ ま り 「物 の流 れ」 とい う面でみ ると、 それ は複数 の企業 に跨 ったロジスティックの統一的管理 によっ

(14)

てその総合的な効率化 を計 ろ うとい うことであるo但 し

SCM

において は 「物 の流 れ」 は 「導管」 の一 つ に過 ぎないとされている [図表

1-1

-(1ト

B

参照 ]ことか らも明 らか なよ うに、

SCM

は単 な る ロ ジステ ィックで はないo) そ して、 さ らに重要 な点 は、 それが、世界的な調達 システ ムさ らには新 しい 情報通信技術 な どによ って ます ます グ ローバ ル化 して い る とい うことで あ る。 (その意 味で それ は、

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なのであ り、従 ってその下 での経営 は

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''である。) か くして、

SCM

は正 しく現代経営戦 略の中心課題 とな りつつあるが、要す るにそれ は上述 したグロー バ リゼーシ ョンとネ ッ トワーキ ングを背景 とす る企業 ネ ッ トワークの進展 に対応 しかっそれを積極的に 活用 しよ うとす る新経営戦略論 に他 な らないo そ こで問題 となるのは、

SCM

が戦 略論 とIL,て登場 して きた とい うことの意味を どのよ うに考 え るべ きか、 とい う点である。 それは、抑企業経営問題の中心 的 課題が今 日では企業内問題か ら企業間関係へ とその重点 を移 しつつある、(ロ)従 ってそ うILた企業間関係

図表

1- 1 SCM

とは何か

(1)

SCM

のイメー ジ A二企業間

SCM

企業内活動 企業 間活動 二 二 二 ≡≡ -二 三 :-=空 =f i-===r ニ ー ≡f =一 三 = -i 各々の活動が鎖にようにつながっていることから、 この課程をサ プライ ・チェーンと呼ぶ (フルフィルメン ト) 受注 予測 受注 管理 ス

デュ

ーリンr 保管/運送 ■ 計画/管理 契約協 力 流準加工 情報 梱包/荷役 会社管理 サ⊥ビス

I

1

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生産手配 テイクス し -売掛/請求 /信残管理 フルフィルメント (注) 「フル フィル メン ト」;顧客要求- の一元的対応 のための管理 - 58

(15)

-を重視す る経営論すなわち 「ネ ッ トワーク ・マネジメ ン ト」論が企業経営革新論 として も避 けて は嘩 れ ない問題 とな る-とい うことを意味 していると言 えよ う。 そ うした意味 でわれわれ は、

S

CM

を 「ネ ッ トワーク ・マネジメ ン ト」論 の一環 と して位置づ け、かっ企業経営革新 に関わる もの と して捉 えなけれ ばな らないのである。

B.

導管別

S

CM

(出典)「サプライテェ- ンマネジメ ン トレビュー」誌 よ り (出所)同期

ERP

研究所編

ERP/

サプライチェー ン :成功 の法則

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月、工業調査会刊)

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よ り。

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の関係 につ いて

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ロジスティクス

(

頭脳)

原材料

(

手足)

PO S :PointOfSale s ED I:ElectronicData lnterchenge (出所)

ERP

研究会編 『図説

;

ERP

入門

(

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月、 日本能率協会 マネー ジメ ン トセ ンター)

p.

7

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よ り。

(16)

(

3

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日本で販売 されている主 な

SCM

ソフ ト

製品名 LOg批yPlannhgSolutiOns Rhythm M川 l ParagOnApplicatiOns Manugistics5

販売会社 アイエム電子 ジャパンi2テクノロジーズ.東燃システムプラザ パラゴン.ジャパン マニユジスティクス.ジャパン 開発会社 米ロジリティ 米i2テクノロジーズ 米チエサピーク.デシ?ジョン.サイエンシー米パラゴン.マネジメント.システムズ 米マニユジステイクス 主な機能 需要予測、在庫計画、 需要計画、補充計圃 物流計画、プライチェーン計画、 産物流計画)、納期回 回答、工場内の投入計 日程計臥 サプライチエ輸送計画、製造計画、サ 需要予測、エ 答、スケジューリング 画、シーケンシング.最適化 (生 最適な土場配分▲納期 需要予測、-ンナビゲ-タと呼ぶ最供給計画、製造 場の詳細計画、拠点戦 略解析など (製造日程計画) 連な製品供給ネットワークを提供する機能 ノ

稼働環境 サーバTはアントはuNlUNIX、X、佃i_耶 ndyn-r主ライアントはサーバ.-はUNIwi_X、ndwsNTLWin-・、(Alスタンドアロン環境)XtHp-UX、Solaris、サーバー、クライアン サーバーは.DigitaIUNJX、 AIX、 クライアントはHP-WiUXndo-と

Nタンドアロンでも稼働○T、Windyr*5、同3.1。スモジュールごとに制限あり○WindYrs95、同3.1. Windows NT wsとwindoyrs950 、

価 格 全機能で約i:doo万円 平均的な構成で約1億 全極能で約5,000万由 土場内の投入計画機能 約5,000万円から (出所)同期

ERP

研究会編

ERP/

サ プライチェー ン :成功 の法則

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月、工業調査会刊)

p.

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よ り。 ところで こうした新経営戦略論 をいち早 く取 り入れたのは言 うまで もな くアメ リカの多国籍企業 なか んづ くコンピュー タ ・自動車 ・電機 など製造業 を中心 とす る一連 の企業群である。 デル コンピュータを は じめ とす るパ ソコン業界が この

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年間で価梅性能比

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万倍 を達成 しえたため は

SCM

の導入 と密接 に関わ ってお り、 また クライス ラーを中心 に ビッグ

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が 「部品の共通化」 によって トヨタの 「ジャス ト イ ンタイム」 に対抗 しえたの もそれをいち早 く導入 したか らだ とされてお りこ さ らに電機 メーカー

GE

は同社 が独 自に開発 したエクス トラネ ッ ト

TPN (

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の導入 によ り調達 コ ス トの

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0

%

近 くも引下 げに成功 したとされ る (注

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。 この他 アパ レル業界や流 通業 界 さ らにはスポー ツ用品などの部面 で も

SCM

を経営革新大企業 を中心 に急速 に広 まっての有力 な手 段 と して活用 して い るとされ る (注8)0 日本で も

S

CM

導入 の動 きはや はり大企業 中心 に急速 に広 まっている。 メー カーサ イ ドで は電気 ・電 子業界や 自動車業界が代表 的である。 例 えば電子業界で は、最大手企業 の一 つ で あ るNECが

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年3 月 には国内主要取引先

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社 との問で年間資材調達の

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割近 くに当たる約

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兆 円分 を従来型 の個別受発 注方式か らイ ンターネ ッ トを活廃 した受発注方式へ と切 り蓉 えるとされており、また富士通 もハー ドディ スク装置の生産部門 に原料調達か ら納入迄一貫 して管理す るシステムを導入 したと伝え られるが (注9)、 それ は両社 が受発注方式 の変更 を通 じて

SCM

型 の経営戦略の導入に踏 み切 った とい うことを意 味 して いよう。 また自動車業界で も、 日産がやは り

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月 には国内部品 メーカー約

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社 と.の部 品取 引 を イ ンターネ ッ ト上 の取 引に切 り替 え るとされてお り、 また トヨタも 「発注指示書」通称 カ ン六 ンを電子化 す るとともに、将来 は新車 の設計 ・開発か ら調達、生産、物流、販売 に至 る迄の全 ての業務 をネ ッ ト上 で処理す ることを 目指 しているとされ るが (注

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、 こうした動 きも同様 の ものだ と理解 す る ことがで

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参照

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