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表現教材としてのYOSAKOIの可能性

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Academic year: 2021

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(1)

表現教材としての

YOS

AKOI

の可能性

中 島 孝 子

目 的

筆者 は現在 「表現」 とい う教科で主 として身体表現 を担当 しているが、 この教科 は、音 楽 にあわせて リズ ミカルに動いた り、 自ら感 じたことをいろいろな手段 や方法で表現 した り、他者の表現 を感 じとる とい う、いわば 「感性」 を育 てる領域である。そのための教材 は常 に創意工夫 と努力が欠かせ ない。なぜ な ら、時代 と共 に、子 ども達の興味 ・関心 は変 化 し、 「感性

のアンテナは方向、感度共 に変化す るか らである。常 に柔軟 に、全方位 に 心 を開いておかねば、 「感性

の基 となる感動 を 「キ ャッチ」す ることも 「伝 える」こと もで きない。それゆえ、新 しい教材 開発 とそれを実施す るタイ ミングについては絶 えず留 意す る必要がある と考 える。 さて、筆者は去 る

9

1

3

∼1

5

日までの

3

日間、新潟市の万代 シティを中心 として、本 町な ど

4

会場で開催 された、第

2

回にいがた総お どりに審査員 として参加す る機会 を得 た。 にいがた総静 りは、 「YOSAKOI」(YOSAKOIの歴史 と概念 は次章 で説 明) に よって、踊 られているが、 これまでテ レビ放映で見 たことはあったが、今 回初めて、万代会場で 目の 当た りに し、その溢 れるエ ネルギー と迫力 に庄倒 された。テ レビ映像では踊 り手の息使い や,迫力、観衆の どよめ きな どの臨場感 までは伝 わ らず、その場の感動 は薄れて しまう。 これ こそは実際 に会場 に足 を運 んで、その場 で踊 り手たちの熱演や踊 りぶ りを見 ない限 り は、その魅力 とい うものがわか らないだろうと実感 した。 「こころ踊れば皆同 じ」 とい う ・ スローガンの もと

、91

チーム、老若男女

4

0

00

人 もの踊 り手たちの一心不乱 に踊 る姿 は、沿 道の観客 を興奮の渦 に巻 き込み感動 を与 えていた。その踊 りはまさに表現その もので、踊 ることによって自分 自身を表現 していた。大勢 の人々をひ きつける、YOSAKOIの魅 力 と は何 であろうか ?筆者が一番興味 を感 じた点である。 心 を沸 き立 たせ る教材、生 き生 きとした表現課題 を常 に模索 して きた筆者 の 目にこゐ YosAKOIは非常 に新 鮮 に写 り、その躍動 感 や人 をひ きつ け る踊 りの魅 力 か ら して、 YosAKOIも又良い表現教材 とな り得 るのではないか と考 えた。その検討 を行 な うのが、 この研究の目的である。 一方、YosAKOIと言 えば一般 的知名度か ら言 って、YOSAKOIソー ランのイメージが

(2)

-23-強い ように思われる。 小学校や中学校では既 に教材用のYOSAKOIソーランがある くらい 普及 してお り、幼稚園などで も、子供用の可愛い鳴子 (音の出る拍子木) を手 に夏祭 りや 運動会などで踊るところが多 くなってきている。 また読売新聞 (注

1

)によると、横越村では 「キッズスポーツ教室」の運動 メニューの 一つにYOSAKOIソーランを取 り入れ、子供達が指導貞 と共に、かけ声 をあわせて楽 しそ うに汗 を流 しているとい う。 こういった記事 を目にするたびに、幼児教育 を志す ものなら ば、簡単なYosAKOIソーランの基本の振 り付 けを一通 り経験 しておけば、将来、指導者 として役 に立つ場面 もでて くるか も知れない と考える。 YosAKOIを表現授業 に扱 った一例 として、長津芳 は、 「オリジナル Fよさこい』 を作 ろう

1)という課題 を、女子体育 「サマーセ ミナー特集

の中で紹介 しているが、ここで は、幼稚園、保育園、それに小学校の指導者などが対象で、最初か らグルーピングし、一 人一人が鳴子 を持 ってどんな動 きができるか工夫 しなが ら、順 にリーダー役 となって、動 きを増や してい くという高度な方法 をとっている。 しか し一般の学生 を対象 とした場合、 この方法では動 きが何度 もス トップ して、スムーズにはいかない と思われる。 そこで本研究では、 「リズムに合わせて楽 しく動 こう

の単元が含 まれてし,,る、筆者の 担当するイ表現

の授業の中で、試みに既成のYOSAKOIソーランを一曲取 り上げ、授業 への学生の反応、感想 などをもとに、年齢 ・性別 を問わず惹 きつけるYOSAKOIの魅力 を 探 る とともに、生 き生 き と した表現課題 を求 め て、新 た な1つ の表 現教 材 と しての YosAKOIの可能性について考察することを目的 とする。

YosAKOI

の歴史 と概念

し\ / \ ここでいうYosAKOIとは、高知のよさこい、北海道のYOSAKOIソーラン、加 えて, 「現代 よさこい」 と呼ばれる自由なスタイルの よさこいをも含めた、広い意味で 「表現

としてとらえた場合のよさこい踊 りとして捉 えることとする。 もともと、よさこい とは 「夜 さ来い」 と書いて、今宵たずねて来い、 とい う意味 を持 ち、 よく知 られた 「よさこい節

の一節 によく出て くる言葉である。 このよさこい節 をもとに してよさこい踊 りが出来、高知の人々にとってよさこい祭 りは、夏の風物詩 としてな くて ほならない ものになった。 このよさこい祭 りは、次 に北海道の 「ソーラン節」 と結びつい て、札幌に新 しくYosAKOIソーラン祭 りが生 まれることになる。 この祭 りは本家のよさ こい祭 りをしの ぐ勢いで、瞬 く間に全国に派生 して、その土地の民謡等 と結びつ き、いわ ゆるYOSAKOI方式 と呼ばれる祭 りが全国各地に誕生することになった。 こうした中に、 YosAKOIソーランとはまたひと味違った、 「現代 よさこい」 と呼ばれる、極めて自由な YosAKOI系のお どりも生 まれ、新 しいよさこいの波 をつ くりなが ら現在 に至 っている.

(3)

-24-表現教材 としてのYOSAKOIの可能性 (中島) 次 に簡単 に、代表的なYosAKOIお どりの祭 りについて、その歴史 と特徴 などを調べ比 較 してみる。 1 よさこい祭 り よさこい祭 りとは高知県で毎年

8

月に開催 される、南国土佐 らしい自由で情熱的な祭 り で、第 1回は昭和29年 に開催 され、平成15年で50週年 を迎 えた。そ もそ もは徳島県の阿波 踊 りに負 けない市民の祭 りをつ くろうと高知商工会議所が音頭 をとって始めfI祭 りで、 (1)鳴子 と呼ばれる音の出る道具 を手 に持 って踊ること (2)「よさこい鳴子踊 り

の フレーズ を曲の中に必ず取 り入れること とい う2つの基本 さえ守れば、衣装、踊 りは自由とい う、現在 に至 る 「よさこい祭 り

の 独特のス タイルを確立 した。第1回は21チーム750人の参加者で始 まった この祭 りも、50 回を迎 えた今年 は130チーム、1万5千人の参加者 を集めるまでにな り、今や、 よさこい 系の祭 りの原点 として、全国的に招待 されて各地の祭 りやイベ ン ト、海外のフェスティバ ルなどで も演舞 を披露するまでにな り、 日本 を代表す る祭 りの一つ とされている. 2 YOSAKOlソーラン祭 り 北海道で毎年

6

月にある開催 されているよさこいの祭 りで、YOSAKOIソーランとい う 名の示す とお り、高知の よさこい祭 りに北海道の 「ソーラン節」 とが ミックスされて生 ま れた新 しい よさこいの祭 りである。 その歴史はまだ浅 く、第1回は今か ら12年前の1992 午 (平成4年)6月に開催 され、当初10チーム1000人の参加者、20万人の観客でスター ト したが、瞬 く間に大衆の心 をつかみ急成長 し、2003年の第12回YOSAKOIソーラン祭 りで は330チーム、44

0

0

0人 もの参加者数 に膨 れ上が り、5日間で延べ202万人 もの観客 を動貞 し、今や本家の高知の よさこいを しの ぐ勢い となっている。そのスタイルは、 (1)手には鳴子 を持 って踊 ること (2)地元の 「ソーラン節

の フレーズを曲の中に取 り入れること とい うもので、基本的にはよさこい祭 りと同 じである。

3

にいがた総お どり祭 昨年、平成14年9月に初めて新潟市で開催 されたばか りの祭 りで、第1回は、参加52チ ーム、約2500人の踊 り手、観客動員数は2日間で延べ13万人 と公表 されている.そ して2 年 目の今年は、規模 も大 きくな り、参加91チーム、4000人の踊 り手、観客動貞数は 3日間 で延べ18万人に増加 した.参加チーム と踊 り手が昨年の倍近 くになったことは、YosAKOI が人々の中に浸透 して、いろいろな機会 にYOSAKOIを踊 って楽 しむ人々が増 えたことを 物語 り、表現者の一人 として率直 に言 って喜 ば しい。 、

(4)

-25-にいがた総お どり祭は、今、全国各地 に派生 しているYOSAKOI方式の祭 りの一つであ る。ルールとして定め られているのは (1)踊ることを基本 とする。

(2

)曲、衣装、振 り付 け等 に、新潟 らしさや地域 らしさを盛 り込む。 という

2

点だけで、 ・手 に鳴子 を持 って踊 るというルールはない。 ・音楽は高知の 「よさこい節

や北海道の 「ソーラン節」の ように、特 に定 まった制約 はない。新潟甚句 などを盛 り込 んで、新潟 らしいオリジナル曲を作成するチームもあ れば、既成の学校教材用 ソーラン曲を使用するチームもある。 ・衣装は 「佐渡おけさ」に見 られるような、笠 を用いて新潟 らしさをアピールするチー ム もあれば、斬新 なデザインのチーム もある。 などが特徴 として見 られるか らである。 現在、従来のよさこいやYOSAKOIソーランの踊 りを継承 して演舞 しているチーム もま だ相当数あるが、従来のよさこいのスタイルか ら離れて、独 自の よさこい、いわゆる 「現 代 よさこい」 を志向 しているチーム もあ り、混然 としている。今後 こういったチームが増 え、加 えて新潟の民謡などをベースに、新潟の伝統文化や民俗芸能などと色濃 く結びつい ていけば、他所 にはない新 しい祭 りのスタイル、にいがた方式 とも呼べ る独 自のスタイル に発展 してい く可能性 もある。

4

「現代よさこい

とは何 か。 今か ら25年ほど前 に、高知のよさこい祭 りに参加 したクラブチームが現在のいわゆる「現 代 よさこい

と呼ばれるYOSAKOIお どりの原動力 となっているといわれている。 いわゆる 「正調 よさこい」は、格調高 く、和装、法被、鳴子、ゆった りしたテンポの 「よ さこい節」が主流 なのに対 し、 「現代 よさこい」は、衣装、音楽、踊

\地方車 に至 るま で、気のあった仲間達で好 きなようにデザインし、振 り付 けをしてチームまで立 ち上げる というのが特色で、従来の よさこい と比べかな り自由奔放で、 「自分達の好み

や 「自分 達の主張

があふれている。 このパワーあふれる自由奔硬 さが魅力 となって、 「現代 よさこい

に夢中になる者 も多 い と思われる。 以上挙げてきた、すべてのYOSAKOIお どりを全部 ひっ くるめて、 ここではYosAKOI と呼ぶ ことにする。 ノ -26

(5)

-表現教材 としてのYOSAKOIの可能性 (中島)

Ⅲ 研究方法

本研究では、YosAKOIのパ ワフルな踊 りと、 リズム表現 にまず接 して もらうために、 筆者の担当す る 「表現

の授業の最初 の課題∼ リズムに合 わせ て楽 しく動 こう∼の中で YosAKOIソーランを取 り上げ、授業への学生の反応 を注意深 く観察す る とともに、授業 終了後、感想 などを記入 して もらうアンケー トを実施 し、それ らの結果 を基 に して分析 し、 考察 を加 えた。

1

)アンケー ト調査 表現の授業 (仝15時間)の第 1時間 目を使 って、YOSAKOIソーラン授業単元終了後、 自由記述 を中心 としたアンケー ト調査 を実施 した。実施期 日、調査対象、調査 回収率、ア ンケー ト内容は以下の通 りである。 ・調査期 日 平成15年 1

0

月2日 ・調査対象 表現授業受講者

126

名 (男子

32

名、女子

94

名) ・調査 回収率

100

パーセン ト ・アンケー ト内容 1、YOSAKOIの経験の有無

a

、全 く初めて b、数回経験 C、継続 している 2、YOSAKOIの魅力 とは何か ?また実際 に授業で踊 ってみての感想。 (自由記述形式)

2

)写真の動 きか ら見た考察 本研究では、観察者 自身が身体表現の経験者 として、また身体表現の指導者 として、主 観的な立場か ら、客観的身体感覚 を解釈 し考察 を加 える、解釈学的手法 を取 り入れた。 3) 1)、2)の碍果 と考察 に基づ き、保育の指導者 を養成する指導者の視点で、 「表現」 教材への導入に関する考察 を行 なった。 使用 した曲は、運動会や体育祭 な どで よ く使われ、一般的に知名度が高い と思われる「ヨ ッチ ョレ」という代表的な YosAKOIソーランの曲である。授業では鳴子 は持 たず、 とり あえず既成の曲で、一般的に普及 している踊 りで実施 した。

(6)

-27-Ⅳ

結果 と考察

最初の予想では、YosAKOIソーランが全 く初めて とい う学生 は、その独特の踊 りにか な り抵抗感 を示 し、戸惑 うのではないか と考 えていたが、結果は予想 に反 して、皆、目の 色 を変えて必死で踊 り始めたのである。 しか もダンスなどでは恥ずか しがる男子学生が積 極的に踊 り、中にはまとめ役や、教 え役 を買 って出る者 まで現れたのには驚いた。後でわ かったことだが、地域のYOSAKOIソーランチームで既 に3年 も踊 っているのだそうで、 なるほど様 になっていた。一人が前 に出てきてステージの上で踊ると、次か ら次 と上がっ て きて、押 しあい、へ し合い、その熱気 とパ ワーに圧倒 されるほどであった。 「みんなと踊るのが楽 しかった」、「一体感 を味わった」、「感動 した」、など、全員が好意的 な感想で、YOSAKOIソーランの魅力 を再認識 した次第である。

1

、アンケー ト調査の結果 と考察 よさこいを踊 った経験の有無 を尋 ねた ところ、図 1の ように、

A

'.まった く初めてで、経験な しとし.,う学生が約 80%

(

100人)、

B:

高校の体育祭や地域のボランティア活動 など で、数回経験 あ りとい う学生が 約17% (22 人)、

C:

継続蛎に今現在 も地域のよさこいチームで踊 っていると言 う学生が約3

%

(4人) と言 う結果であった。 図1 よさこい経験の有無 全体的に見ればよさこい経験者は2割程度で、経験者の うち何人かは、高校の体育祭で踊 った程度であ り、ほとんどが よさこい初心者である。 次 に、ほとんどが よさこい初心者の集団に、初めて経験 したよさこいの魅力について、 自由記述形式で感想 を書かせた ところ、 ・よさこいの魅力はなんといって もその迫力だと思 う.観てると、つい一緒 に踊 りた くな って くる。 ・誰で も気軽 に一緒 になって楽 しく踊れる。そ して自然 と笑顔 になれる。一 ・みんなで大 きな声 を出 して踊 ったあ と、す っきりした気持 ちを味わうことが出来る。 ス トレス解消 になる。 - 28

(7)

-表現教材 としてのYOSAKOIの可能性 (中島) ・元気が 出 る。 よさこい とソー ランの両方 のいい ところ を取 り入 れてい るため、Power も2倍、魅力 も

2

倍 だ と思 う。 ・大勢が一つ になって踊 ることで得 られる一体感、連帯感、達成感、そ して何 よ り満足感 がある。 ・子供か ら大人まで、年齢や性別 を問わず楽 しめる。 ・皆で同 じ踊 りを、 「合わせ て踊 る」ことの気持 ち良 さを味 わえる。 ・思いっ きり体 を動かす こ との爽快 さを感 じられる。 ・ 「和」の よさこいを現代風 に した曲に合わせて自分 な りに今風 に表現す ることの新鮮 さ を味わえる。 ・見 ている人に元気や活気 を与 えて くれる。 ・動 きが ダイナ ミックで、かつ繊細である。 な どの感想が寄せ られた。 感想 を分類 してい くと、大 まかに、次の ようなキーワー ド (出現頻度 回数)が浮かび上 が って くる。 一体感 (39)、ダイナ ミック (31)、爽快感 (23)、迫力 (21)、団結 (18)、達成感 (13)、元気 (12)、満足感 (ll)、パ ワフル (ll)、連帯感 (10)、かっこいい (9)、豪快 (4)新鮮 (4)、 力強い (3)、活気 (3)、躍動 的 (3) 以上の結果 をもとに して、YOSAKOIソーラン、及 び YosAKOI全体 についての魅力 と その可能性 について考察す る。 アンケー トの感想 に出て きた、上記のキーワー ドを分析 してみると、全 てプラスの発想で、 非常 に積極的、前向 き、かつ明 る く健全 なイメージのキーワー ドがほ とんどを占めていた。 また、今回初めて授業で YOSAKOIソーランを経験 した学生 は、次 にあげる点 を列挙 し て、 よさこいの魅力 を指摘 した。 (1)みんなで一つ になれる ところ (2)全 身を使 えるところ (3)かけ声があるところ (4)、迫力がある ところ (5)思 わず踊 りた くなる ところ これは非常 に貴重 なことを示唆 している。 常 日頃、筆者は、身体表現 としての ダンスは踊ることの楽 しさを味 わ うことが何 よりも -29

(8)

-大切だと考えていたが、以下 にあげる、踊る楽 しさを演出する要素、ポイン トは、上記の YosAKOIソーランの魅力その もの と類似 している点が多い。すなわち、 (1)一人よりも、大勢で踊 ったほうが楽 しい. (2)小 さな細かい動 きよ りは、体全体 を使 って大 きな動 きで。 (3)時には、かけ声や歌、手拍子 などつけて。 (4)メリハ リをつけてダイナ ミックに。 (5)相手 を (観客 を)意識 して。踊る自分 も意識 して。 などである。 身体表現は単なる運動ではない。表現である。表現するとい うことは身体 を媒介 として心 を伝 えることで もある。 つま り、YosAKOIは身体表現のダンス として も多 くの人々をひきつける理想的な条件 をほとんどすべて満た しているといえる。初めての者で も、一気 によさこいに心惹かれる のは、こういった要素 を満た しているか らだ と思 う。 また、感想の中に、 ・太鼓の音が心 に響いて ドキ ドキ した ・日本の心、 日本の和 を感 じる ・新 しい自分が発見で きた という記述が見 られたが、昔か ら日本の祭 に馴染みの深い太鼓の響が、我々がYosAKOI に心惹かれる重要なポイン トの一つ と考 えられは しまいか。つ ま り、この太鼓の響が、 (1)現代社会では失われつつ、また廃れつQあ る日本古来の祭 りを想起 させ、こころ躍 らせるのではないか--0 (2)大昔、大地に根 ざした農耕民族だった 日本民族の懐か しい郷愁 にも似たような想い を、自然 と心 に湧 き起 こさせ るのではないか・・,-0 (3)人工的にプログラミングされたテクノミュージックに代表 されるような機械音があ ふれるせわ しない現代 の 日常生活の中で、非 日常的でかえって新鮮 に写 ったのではな いか・・-・。 と、筆者は考える。 いずれに して も、不思議 な魅力 を筆者 も生徒 もYosAKOIに感 じたこ とは確かなようである。 日本の民俗芸能の研究者 として知 られる三隅治雄は、著書 「踊 りの宇宙」 2)の中で、 「学 校では、西洋音楽一辺倒の教育 を受けて も、われわれ 日本人には、何か しら独 自の音楽体 質みたいなものが培養 されていて、-- (中略)・・-・内に秘めた音楽体質が蘇って くる

と述べ、更に、 「日本人本来の芸能体質は保たれ・・・・・・(中略)Y-・・・次代 に持 ち越 されるで -30

(9)

-表現教材 としてのYOSAKOIの可能性 (中島) あろうことは充分 に予想で きる

と述べているが、和の楽器の代表である太鼓の響 きに心 躍 らせる体質を、われわれ日本人は、体の奥底に持っているのか もしれない。それを指 し て、学生は 「日本の心、 日本の和 を感 じる

と書いたのであろうと推察 される。 2 実際の動 きからみた結果 と考察 YOSAKOIソーランは実際に踊 ってみると、足腰 を踏ん張 った大 きな動作が多 く (写真 1、

2

参照)かな りの運動量がある。音楽に合わせて一曲踊るだけで も、息があが り、汗 がほ とば しり出る程である。踊 り終わった後の学生達の荒い息使いや、上気 した顔 を見 る と、改めてその運動量の多 きに驚 く。 写真1 写真2 「声 に出 して読みたい 日本語

の著書で有名な斉藤孝は、その著書 「身体感覚を取 り戻 す一腰 ・ハ ラ文化の再生

3)の中で、失われつつある日本独 自の 「腰牡 (ハ ラ)文化」 の復興 ・再生 を提唱 しているが、YOSAKOIソーランの動 きには、大地 をしっか りと踏み しめ、腰 を据え、腹 (ハ ラ) を据 えた、 日本の伝統芸能独特の動 きが多 く含 まれ、知 らず 知 らずのうちに、足腰 を強 くし、腰 を据 え、腹 を据える トレーニングをしている。つま り、 自然で正常な身体感覚を取 り戻すためにも、か らだつ くり、健康つ くりの面か ら言って も、 YosAKOIソーランには大 きな効用があると言えるだろう。 よさこいに精通 している人によれば、YosAKOIソーランの動 きの一つ一つには意味が 込め られているという。例 えば

(1

)波 を表現 している様 な動 き (写真

3

4

参照)や、 (2)網 を

いた り、す くい上げる様子 を表現 した動 き (写真5、 6参照 ) (3)舟 を漕いでる様子 を表現 した動 き (写真7、8参照) などが代表的で、他 に、 (4)鳥が飛んでるような動 き (写真9し)や、 (5)三味線 を弾いているような動 き (写真10)などもある。 -31

(10)

-

(11)

表現教材 としてのYOSAKOIの可能性 (中島) 作 品 として出来上が った一連の振 りはあって も、授業で行 な う場合 は、 これ らを一応踏 まえた上で、指導者 は動 きを自由に組み合わせた り、 また変化 させ て自分達で新 たに新 し い動 きを加 えた りす ることも出来 る。 音楽 も既成の YOSAKOIソーランの曲を使用す るの も良い し、 またノ リの良い曲を選 んで、 「現代 よさこい」風の動 きを入れてア レンジ して も良いだろう。 肝心 なことは、振 り付 けの動作 は単純でパ ターン化 して もいいか ら、曲の リズムに しっ くりと合 うように構成す ることである。あ とは思 い っ き り開放 して 目一杯踊 れ ば良い。 YOSAKOIソーランの場合、単純 な繰 り返 しのほ うが、か えって生徒 も安心 して、お どり の動 きの持つ意味 に集中 して踊れるのではないか と感 じた。 実際、 「表現

とは別の 「ダンス

の授業で、ジャズ ダンスの中にこれ らの動 き (写真

l

l,

1

2

,

1

3

,

1

4

,

1

5

,

1

6

参照) を取 り入れて踊 ってみたが、かえって新鮮 なフレーズが出 来て好評であった. 「YosAKOIソーラン」とは一味違 った、いわゆる 「現代 よさこい」 と呼ばれるお どりでは、 こういった、若者の心 を惹 きつけるス ピー ド感 あふれる激 しい動 きが持 ち味 で、実 際激 しい動 きが多 く含 まれてい る。 観 てい る と、 さなが ら 「ジ ャズ風 YosAKOI」とで も呼べ そ うな雰 囲気 であ るが、若 い世代 に受 け継が れ、進化 して きた YosAKOIととらえれば、 これ もまた時代 の要請 なのか もしれ ない。そ して また、 こうい 写真13 -33-写真

1

4

(12)

った もの まで排 除せ ず、YosAKOIと して 1つ の枠 に く くれ る とい う度 量 の広 さが YosAKOIの素晴 らしい ところで もあ り、魅力の一つ なのだ と思 う。 写真15 写真16

3

「表現」への応用 に関する考察 保育の実際の場面で YOSAKOIを応用す るには、次 にあげる 2つの点 に留意 したい。 (1)鳴子 は是非用意 したい。 音の出る楽器 として鳴子 は幼児 には貴重 な存在 とな り得 る と思 う。あの独特 な音がす る鳴子 を手 に持 って、ただ音楽 に合わせ てカチ ャカチ ャと音 を鳴 らすだけで も満足 し、 その昔 につ られて動 きも触発 されるのではないか と思 うか らである。その点、音 の出る 鳴子 は幼児 にとってはた まらない魅力 だ と思 うか らである。用意す るに当たっては、音 が容易 に出るように、出来 るだけ幼児の手 のサ イズ に合 った、握 りやす く振 りやすい幼 児向けの小 さい鳴子が望 ま しい。市販の ものだけで な く、工夫次第では、代 わ りに音の 出る手作 り楽器で代用 して も面 白いか も知れない。 (2)発達段階 に応 じた指導 を。 他 の リズム表現 と同様 に対象年齢 によってそれぞれの発達段 階を考慮 に入れて次の よ うに指導す るのが望 ま しいだろう。

3

歳児・・・

-3

歳児 は 自分 をと りま くすべ てにリズムを感 じ、 ご く自然 にそれ を自分 の動作でそれを表現 しようとす るが、発育発達が まだ未熟で、かつ個人差が大 きい とい う特徴がみ られるので、全員であわせ て踊 ることに主眼 をおかず、場 合 によっては鳴子 を手 に持 って振 り鳴 らしなが ら、 自分達の好 きなように音楽 の リズムに合 わせ て体 をゆす るだけで も良いだろう。 - 34

(13)

-表現教材 としてのYOSAKOIの可能性 (中島) 4歳児-・・・4歳児 は自我の成長 と共に、少 しずつ 自分の創意工夫や想像が加 えられ て個性が伸長す る時期であるが、次第に仲 間意識が芽生 え、友達 と一緒 にグル ープで何かをしたい とい う意識 も強 くなるので、みんなで一緒 にかけ声の部分 を合わせた り、ポーズを決めた りして、ある一部分 だけは全員で簡単 な動 きを 揃 えて踊るとい う場面 を設定すると良いだろう。

5

歳児-・・

5

歳児 は精神面の成長 と共に、身体的な運動能力 も次第に発達 して、 リ ズ ミカルな表現 にも巧敵性 を増 して くる時期であるので、 さほど難 しい動 きで ないならば、ほぼ指導者 と同 じに踊れるようになると思われる。従 って、子供 達が興味 を持って踊れる簡単な振 り付 け、加 えてリズムが とり易 く、踊 りやす い振 りつけにア レンジ して踊 ると良いだろう。 また、指導 に当たって、 どの年齢の子 にも共通 して留意することは、細かい動 きを注意 するよりも、で きるだけ大 きな動作 で、楽 しんで踊 ることを第一に指導することである。 そ して何 より大切 なことは、指導者が YosAKOIを楽 しんで踊 ることである。なぜ なら、 指導者が心か ら楽 しんで踊れば、必ずやその思いは伝播 して、子供たちにも伝 わるか らで ある。 言葉だけでな く踊 りを媒介 として 「楽 しむ心

を伝 えるのである。 「思いを伝 えあ う」、「心 を通わせあ う」-- これこそが表現の真髄ではないだろうか。

今 まで述べて きたように、YOSAKOIには、その独特の持 ち味 と許容範囲の広 さ、 自由 な気風があ り、多 くの魅力 を備 えている。 筆者が何 より一番素晴 らしい と思 う点 は、YosAKOIが踊 る人の心 と、観 る人の心 を し っか りつかんでいるとい うことである。新潟 においてはわずか2年 目で、91チーム、4000 人の踊 り手、18万人の観客が祭 りに参加 した と言 う事実がそのことを物語 っている。 また、 「表現

の授業で、初めて YOSAKOIを踊 った とい う100名 もの学生 までが、わずか

9

0分 の間にYOSAKOIに夢中になった とい う事実がそれを証明 している。 そ ういったことか ら考 えると、多 くの人の心 を動かす YosAKOIは身体表現の素材 とし て も優れているのではないだろうか。 表現 とは心 を表 に表す ことである。心 を表 に表すためには、心 を開放せねばならない。 心 を開放するための条件、心 を動かすための条件 をYosAKOIは見事 に備 えているか らで ある。 以上のことか ら大勢の心 を惹 きつける YOSAKOIは、心 を通 わせあう 「表現」にとって 優れた教材の一つであ り、全貞一斉 の踊 りか ら、グループごとに個性 を発揮 して発表 しあ

(14)

-35-うな どの工夫次第で、今後更 に授業への有効活用が期待 で きる と筆者 は考 える。 【参考 ・引用文献】 1)長津 芳、2003、 「ゆたかなかかわ りを育てる表現∼ひ と りが輝 く、みんなが輝 く

∼」

女子体 育 第45巻 第7・8号 2)三隅治雄、2002、 「踊 りの宇宙

吉川弘文館 3)斉藤孝、2∝沿、 「身体感覚 を取 り戻す一腰 ・ハ ラ文化の再生

NHKブ ックス

4)

坪井善明 ・長谷川岳

、2

0

02

YOS

AKOI

ソーラン祭 り」岩波書店 5)三隅治雄、1990、 「日本の民謡 と舞踊

大阪書店 注1:2003(平成15年) 10月22日 (水曜 日) 読売新聞 (弛域欄) \-\-、J n

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