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植物タンニンの紫外部吸収スペクトルに関する研究 (II) : 樹皮タンニンの吸収曲線によるクリ属およびマツ属の識別について

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(1)

(38)

ま え が き タンニ ン類は従来各種の定性試験法によつて

,大

別的 に分類することが試みられてい るが

,細

部につい てはき わめて多種多様であつて

,植

17/」の類縁種属であつても保 有す るタ ンニ ン類には相異がみられ るものである。筆者 は これら植物タンニ ン類を紫外部の吸収 スペク トル的挙 動に より分類す ることを企図 して,さきに植物タンニ ン の 紫 外 部吸収 スペク トルに関する研究

(I)1)に

おい て

,そ

の可能性につい て検討 して報告 した。すでにこの 分野では BANDOW2)が各種 フエ ノール類およびそ の 配 糖体の吸収特性につい て報告 してお り, BRADFIELD, PEACNEYおよび

WRlCHT等

め は茶葉タンニンについ て記述 し

,岡

村・飯塚等4).5)はモ ノンマアカンア,ク リ のタンニンについ て記載 してい る。また SOHN6)は タン エン溶液の極大吸収の有無 とタンニン類の大別的分類 と の関連性について報告 した。

BUCHANAN, LEWISお

よび

WEBER等

7)も多数のタ ンニン抽出物の紫 外 部 吸 収 曲線の特性につい て指摘 した。

MARANVILLEお

よび GoLDSCttMID等8)も植物の種類に従つて

,極

大吸収 の 位置に3個の型が存在することを報告 した。筆者が前報 で述べたことは

,要

す るに加水分解性デノン ド型

,同

ユ ラーグ型お よび縮合型タ ンニ ンが各々明確な相異を示す 吸収 曲線を与 えるとい うことを, 3種類の典型的なタン ニ ンを用いて明らかにしたものである。本報ではクリ属

植物 タンニ ンの紫外部吸収 スペク トル

に関す る研究

(1)

樹皮 タンエンの吸収曲線 によるクリ属 およびマツ

属 の識別 について

Studies On UltraviOlet―

absorption Spectra of the

Vegetable Tan

ns(1)

On the Discrilnination of Chestnut and Pine by

Spectrophotometric Curves Of Their Bark Tannins

JUN KIsHIMOTOキ

潤キ 本 岸 とマツ属の合計10樹種につき,30試料を用いてその吸収 型の特徴を調査 し

,そ

の詳細な比較によつて,これ らの 試料に更にどのような識別点が存在してい るものかを検 討 しその結果を報告す るものである。 材料および実験方法 ク リ属につい ては支那栗 G,Sサαttα ″ο′力ddガ物

,の

統 として傍±23号

,西

川支那,日の春1号

,林

甘栗の4 品種

,支

那栗 と日本栗 Crrsrrr″υαθ″¢ηαナα との

Flと

して兵庫 7号

,兵

庫57号

,田

,林

1号

,利

平の 5品 種 を採用 した。 これ ら9品 種は兵庫県林業試験場に品種試 験用 として栽 値中のものであつて

,同

場の中原照雄技師 の御好意により入手した ものである。 日本栗 としては, 太玉

,銀

,鹿

の爪

,今

,篠

,錦

,有

,若

,銀

,七

福早生

,大

和早生

,森

早生を採用 した。 これ ら12 品種は鳥取県林業試験場にク リタマバチ抵抗性品種試験 のために蒐集栽植中のものであつて

,同

場の福 田英比古 技師の御好意に より入手 した ものである。更に比較のた めに 日本栗 としてい ま1種

,鳥

大農学部付属 面影演習林 に 自生す るンバグ ジを供試 した。以上22種 の実験材料を 供試 したが,いずれ も10月中旬∼11月上旬

,結

実量調査 後に 1∼2年生枝を採取 し

,そ

の樹皮を用いた。 マツ属については,アカマンP7i″ク

s滋

″立″οπ

,,ク

ロマツ 2η ″Sナ7Pクあ ¢τガ, リギダマツPガZ2s々gゲtrF, テーダマツ β″2Sチ,ι力 , フランスカイガ ン シ ヨ ク キ

(2)

植177Jタ ンニンの紫外部吸収 スペク トルに関する研究

(I)

( 39 ) Pカ クS″ ″rlsナ?′

,カ

リビアマツPi″クSθ″力rrtrr,ヒメ コマツ P物 クS夕¢ガ効 〃α , ゴ ヨ ク ノ マ ツ P力″d ″ガ″727′′α

Mり

″ υα″.カ ケ物滉ο ",チs″ の8種を 供試 材料 とした。いずれ も鳥大農学部構内の樹木園お よび演 習林苗圃に栽植 中の ものである。試料は二月中旬に各樹 とも2・ 3年生枝を採取 しその部分の樹皮を用い た。 以上 クリ属

,マ

ツ属の試料合計30種は よ1皮 細 切のの ち

,蒸

溜水にて温度 50°

Cに

保つて 1夜 抽出を行い

,抽

出液をそれぞれ次の 3種 類 の緩衝液で稀釈 し

,全

固形物 量を約 0.001%と な るように調整 して測定 した。 緩衝液

pH2.J N/10塩

酸11,90ccttM/5塩 化 カ リ44,05cc ――■>7k100CC

pH4.0-一

N/10酢 酸

:N/10酢

酸 ソーダ

(8:2)

pH10 0-一

│と

:麺

:帯

A55gl―

:談

c 測定に使用 した光電分光光度計は 日立

EPB―

U型であ る。操作は常法に より行い,浪I定結果の記録 と吸収 曲線 の傾向表示は第1報と1)同様に行つた。 結果および考察 実験結 果は第 1∼4表お よび第 1∼30図に示す通 りで あ る。

億盤

:r吟

羅哲亀置

reglon Sa Casチα″効 夕ηοJ′ぢSS,物α BOJI-23

NISHIKAWA―

SHINA

HINOHARU-1

HAYASHI=Aヽ

IAKURI

Cα∫チ,″¢α ″,0ど′√Ssブ /PPα ×C,sナα″ιr7 θ″‐ι/P,チα

HYOGO-7

HYOGO-57

TANABE

Gαsチ,″¢αθπι%αチα

FUTODAMA

GINREI

2.0 4.0 10,0 2.0 4.0 10.0 2.0 4.0 10.0 2.0 4,0 10.0 2.0 4.0 10 0 2.0 4.0 10,0 2.0 4,0 10,0 2,0

40

10,0 2.0 4.0 10,0 1.08 0.95 0.57 1.11 0.98 o.54 1 10 1,01 o 63 1,11 0,98

056

1.04 0,99 0.55 1,13 0.99 0.58 convex to upper straight convex to upper straight convex to upper straight 1,09 0 98 0,48 1.22 1,06 o 55 convex to upper stralght convex to upper convex to upper convex to upper convex to upper straight convex to upper sttaight 望 ・ 4 ・ 5 54 54 65 68 ∝ 80 1,19 1.02 0.67 0,44 0.29 0.44 0.03 0.02 0.o2

Table l‐A. Uitraviolet―absorption spectra of chestnut bark tannins

1.15 0,95 0.54 convex to upper convex to upper straight RIHEI 2.0 4,0 10.0 2.0 4.0 lo.o

△log KAI△10g KB△log

L‖

mね

(3)

Table l‐B. ・4 ・4 ・3 20 ∞ 60

(40)

SHIKANOTSUME

IMAKITA

ARIMA

4/AKAEDA

GINYOSE

SHICHIFUKU WASE

YAMATO‐

WASE

MORI‐

WASE

SHIBAGURI

潤 本

経岳端縦送

亀置

region 2 4 0 2.0 4.0

100

2.0 4,0 10 0 2.0 4.0 10.0 2.0 4.0 10.0 2.0 4.0 10.0 2.0 4.0 10.0 2.0 4.0 10.0 1.23 1.03 0.69 1,19 0.98 0.61 0.48 0.20 0.45 0,46 0.25 0.41 o.51 0.30 0.45 0.42 0,28 0.37 0.54 0.27 0.44 0.03 0,03 0.03 0.06 0.03 0.02 26 26 野 2 2 2 一 30 37 一 68 76 26 26 27 % 26 27 ・6 00 69 一 ・4 ・1 ・4 ・4 9 一 54 65 54 54 65 1.18 1,01 0.59 convex to upper straight COnAeX tO upper convex to udper straight convex to upper concave to upper convex to upper straigllt convex to upper couvex to upper straight convex to upper straight convex to upper straight convex to upper concave to upper convex to upper straight straight convex to upper 2 4 Ю 1.29 1.04 0.61 0.01 0.01 0,03 0.02 0,05 1.26 1.04 0.64 1.26 1,ol O,68 1,11 0.97 0.58 0,02 0.01 0,02 0.02 0 03 0,02 0.05 0,04 0.02 0,06 0.03 0,01 1 20 1.03 0.62

20

4.0 10.0 0,04 0,03 0.02 ・4 望 ︲0 1 24 1.01 0.53 0.46 0.22 0.35

Table 2 A. UItraviolet‐ absorption spectra of pine bark tannins

trum pH

Max.P

(mμ)

Min.P

(mμ) nterva from Max. to Min flnμ】

△log K △logKBIAlog Type of curves in10nger、vavelength

regIOn P,カ パび歩ο′α

AKAMATSU

2.0 4,0 10.0 野 2 7 2 8

2 5 6

2 5 6

22 22 20 1.44 1.28 0.96 02 86 79 0.30 0.33 0.20 concave to uplDer P, チカク″うιTゲガ

KUROMATSU

2 7 8

2 8 4

2 2 0 1.53 1.38 1.04 96 78 砕 0.26 0.24 0.17 concave to upper P,″なガカ

RIGIDAMATSU

27 27 28 20 20 20 1.24 1.06 0.86 07 80 73 27 27 ・6 concave to upper

(4)

P. ′,夕JrI

TEDAMATSU

P.少√″rrs″″

FRANSUKAIGANSHO

P.θα,´ゲιρ¢α

KARIBIAMATSU

P.少¢修たゆ71ノr″′

HIMEKOMATSU

P.´¢″ナ71y′′αれ五eノ″ んど,″¢之ο″ρサ∫ク

GOVONOWIATSU

A10gKcl陣

0.28 0.30 0.20 ( 41 ) concave to upper concave to upper concave tO upper concave to upper concave to upper Species

KUROMATSU

FRANSUKAIGANSHO

AKAMATSU

TEDAMATSU

KARIBIAMATSU

RIGIDAMATSU

HIMEKOMATSU

GOYONOMATSU

Species

FRANSUKAIGANSHO

KUROMATSU

TEDAMATSU

AKAMATSU

KARIBIAMATSU

RIGIDAMATSU

GOYONOh/1ATSU

HIMEKOMATSU

植fy/」タ ンニンの紫外部吸収 スペク トルに関す る研究

(I)

Table 2・B・

Min,P

△log K 2.0

40

10,0 2,0 4.0 10.0 2,0 4.0 10.0

142

1.33 1 04 1,48 1,32

108

1.22 1,10 0.62 1.01 0。79 0.77 0.99 0,84 0.77 o.68 0.55 0.56 0.21 o.24 0.14 2 . 2 . 2 . 2 . 20 19 20 20 20 57 57 63 5 7 粥 6 5 278 278 284 27 27 28 27 27 28 22 22 ・7 5 5 5 5 曽 0.30 0.31 0,19 0.13 0,13 0.09

20

4.0 10 o 2.0 4.0 10.0 1.21 1.07 0,70 0.76 0.59 0.58 0.13 0.12 0.08

△10gKAI△ iOg KB[logKcl△ log KA KB

g KcIMax.PIMin,P

(mμ nter fro■l Max, to WIin. (mμ 0.17 0,14 o.21 0.20 o.24 o.22 0.11 0,11 0.27 0,21 0 29 o.27 0.30 0.25 0,19 0.17 278 278 278 278 278 278 277 277 256 257 256 257 258 258 255 255 22 21 22 21 20 20 22 22 a

vrax. h/1in. Plfrom h/1ax.

log KA g KB (mμ ) mμ 1.53 1.48

144

1.42 1 24 1,24 1.22 1 21 0,96 1.01 1.02 1.03 0.99 1,07 0.68 0 76 0.26 0.21 0 30

o28

0.30 o.27 0 13 0,13 0.63 0.68 0,71 0,73 0.80 o.86 o.56 0.62 Kc A10g KA to hlrin. 1.08 1 04 1,04 0,96 0,89 0 86 0,70 0.62 0,77 0 74 0.76 0,79 0,77 0 73 0 58 0,56 0.14 0.17 0.20 o.20 0,19 o.16 0,08 0,09 0,71 0,71 0 73 0.82 0.87 0.85 o 83

090

0 13 o。16 0.19 0 21

021

0.19 0.01 0.01 0.18 0 23 0,26 0,25 0.25 0.22 0 01 0.02

2 6 5

2 6 4

2 6 4

2 6 4

2 6 7

2 8 4

2 8 4

2 8 4

2 8 4

2 8 4

2 8 4

19 20 21 20 20 20 16 17

Table 3. Arrangement byさ logKA Valttes(pH 2.0)

(5)

(42 ) 岸

StttrophotOmetric curves in the ultraviolet FegiOn

rig.2

NISHIkAWA―SttINA ,II

2,0 n″ pH 抒

0 Fig.3 3tX1 250 Fig.4

HINOHARUil

-0. ―と,0 30o 250 Fig.5 LOgと c.m。■issima ×.C.こrenata

HYOGO-7

800 250 FIを・6 Logk C・ ぬ0111さsima × C,lrenata

HYOGO―

.57 lllμ 0.5 0 -0.5 -1`0

pH

2.0 ´ 10,0 4.0

pH

,。

.0

-0.5

:二

,/

(6)

植物タン■ンの増 (部 吸収スペク トルに関する研究

(I)

Fig.8 LogI C mollissima

(43)

Fig,7 しogI C.molliSsima x Cicredata

TANABE

Fig 0 ■。

gr c.

。1lisSina江 Fig,11 Logk

一う >(C,credata HAYASH正-1 Fig.10 Fi=.12 k C.crenata sII【

ANOTttUME

/

/・` ツ ,II 210 4.0 10,0 pH /4,0 /2.0 `100 ″ / ,耳

20

4.0 llj,0

pH

20

0   ,0 ■ 10

IH

20

と。gk C・ trellata

FkJTODAMA

(7)

(44)

岸 本 測 Figi13 Logk Flg,15 Lo旨上 300 C.じ renata 250 rig.14 Fig,16 LOgk 0 Fitt t3 LOgI 0

SHINO

C,In。 1liSSima

GINVOSE

,HI 2.0 / 共 4.0 々10 0 PH 考2,0 ′

40

10 0 ,II ■

00

40

0 Fig i17 kINSttU Ci creェ ata WAKAEDA

pH

12.O 4.0 10.0 0.5 0 -9,5 -1.0

/

/‐

・ツ 〕″ ,,7子 ア ケ ;;!‐ ‐― ・ iと と 'テ

(8)

植物タン

'yの

探外部吸収ネペクトルた関す る併究

(1)

C.crenata Fセ,20 Lpgと Or or,■ ata ( 45 ) Fiど ,19 Logr rig.2,

L9gI P,do五Sif10ra

sHICHIF,KUとヽ

VASE

V食MATO一

WASE

Fig.22 Loglt c,ol●n4t' P.thklube螂1 【

UROM「 SU

H

/19‐ 9 015 0 -9.5 -1.0 2,10 4,9 ユH //4:I 10.0 pH 2.0 4.0 ,ォ f,■つすo

SEIBACORI

(9)

(46)

岸 本 潤 Fig 25

ポ藍

P, gtta pH Fig.邪

RICIDAMATSU

″4.0 10,0 210 raμ

,H

Fを 27 Fig.29 L。k 4.0 2.0 101.0 -1.0 0 -015 -1,0 rig.28 Logk Pi cariLa。ュ

KARIB4MttSU

250 4 Fig。30 L?gk P― .コentaうh,114

Mavrャir` hi五むko■Iats i pH

,0

GOYONoNIATSU

4,0 ´,1010 期     餌 40 , 々 ,.

/

P,pentaph,■a

HIM球oNTArSU

pH

210 r ´lo,o ´f/ 410. 0

/

フィァ /てこin沐 ニ フ 与 〆

/

(10)

植物タ ンニンの紫外部吸収 スペク トルに関す る研究 (I)

(47)

先ず クリ属について pH4.0の 吸収 曲線の傾向を み れ ば

,支

那栗の 4品 種につい て共通的に認 め ら れ ること は,いずん も極大点

,極

小点を示さない ことである。 し かしこれ らは傾向 として全然不明確な状態 とい うのでは な く,ク リ樹皮タンニyに共通な概形的傾向は もつてい る。 この点はそれぞれの品種の △

10gKAの

値をみても 首肯で きるが

,各

図に よつて一層明瞭に認め られ る。従 来の知見に よると,ク リタンニンは紫外部に極大点

,極

小点を示 さない ものであるとされてい るが

,支

那栗の樹 皮タンニンについては確かにこの傾向はあてはまるよう である。 しか し同 じク リタンニ ンであつて も後述す るン バグ)の如 き日本栗については極大点

,極

小点は明 らか に認め られ る。 したがつてか りに支那栗の各品種におい て極大点,極小点が認められない としても,ク )樹 皮タン ニンの一般的傾向 としてこれをその まま他の

O対

'″Oα に適用す ること5)はできない。支那栗4品種の うち最 も 不明確な曲線型を もつ ものは 日の春1号であつて

,変

曲 点 もあまり明 らかでない。西川支那 も日の春1号 に近似 の傾向であるが,270mμ 附近 と 250m″ 附近にかな り点 明らかな変 曲点がある。林甘栗 も西川支那に類似の変曲 を もつてい る。傍± 23号 は変曲点が 265m″ 附近 と245 mμ 附近に浅色移動 してい る点 と,極大点,極小点こそな いが,日本栗的傾向に より近い吸収を示す点ですこし趣 を異にす る。しかしながら4品 種は前述 のように極大点, 極小点を もたないとい う点では共通的で ある。 このよう に表現 された吸収 スペク トル的特徴を

,い

かに も対照的 な傾向を とるところの後述 日本栗 との対比において

,支

那栗の傾向 と考 えて本研究の考察を進め ることにす る。 兵庫 7号

,兵

庫 57号,田辺, 林1号, 利平はいずれ も支那栗 と日木栗 との交維による雑種第1代 (Fl)で あ るが

,そ

れぞれの吸収曲線型は上記設定に よる支那栗的 傾向を示 してい る。すなわち第1表に掲げた ように極大 点

,極

小点をいずれの品種に も認めることがで きない。 個々の曲線にはおのずから若千の相異はあるが

,変

曲点 のとくに不明瞭な利平以外はあまり顕著な 差 は み えな い。以上の ように支那栗および支那栗 と日本栗 との

Fl

の傾向が

,す

べて極大点

,極

小点を示さない とい う点で 同 じタイプに属 した事実は何を物語 るものであろうか。 支那栗について設定 した特徴的曲線型が

,支

那栗 ×日本 栗に も認め られ ることを,こ こでは

Flに

おける支那栗 の優性を示す ところとして解釈す る。支那栗 と日本栗の 交雑の場合

,通

常考 えられ るところとして, そ れ ら の

Flは

枝条

,葉

等において支那栗が優性を示 し, 渋皮は 日本栗が優性を示す ものとされているが

,樹

皮タンニ ン の性格については

,支

部栗が優性を示す も:の と思わ れ る。勿論この関係をはつきりさせ るためには,さらに系 統的な検討を重ねなければならないが

,無

作為的に入手 した材料について,こ のような傾向がみ られた ことは注 目に値す る。 供試

F15品

種中

,兵

庫7号

,兵

庫57号

,田

,林

1 号の 4品 種は支那栗のうち変曲点のみられ る西川支那, 林甘栗の傾向に類似の曲線を示 し

,変

曲点は お お む ね 270mμ 附近 と250mμ 附近 に存在す る。これに対 し利 平のみは より支那栗的な変曲点の不明瞭な日の春 1号 と 類似 している。 以上の支那栗的傾向の吸収 曲線に対 し日本栗のンパ グ リでは明確に極大点

,極

小点の存在す る吸収 曲線が認め られ る。本研究では したがつてこの ようなタイプを示す ものを 日本栗の傾向 として考える。供試 日本栗 13試料 中

, 11種

類はあきらかにこのタイプに属 している。 す なわち

,い

ずれ もpH4,0で極大点 268mμ

,極

小点 254 mμ を示す。ただ残 りの2品種

,太

玉 と錦秋は変曲点は 268m″ 附近 と254■lμ附近に認め られ るが

,測

定結果 と して極大点

,極

小点はみられなかつた。従つてンバグ リ で代表せ しめ る日本栗的傾向の吸収 曲線型を もつ グルー プには入れ られない。曲線型か らすれば この2品種は支 那栗 ×日本栗の

FIの

グノレープに入 るようなタイプであ る。 日本栗 と云われているこの2品種が このように極大 点

,極

小点を示さないことは

,2品

種の作出の際に支那 栗 との交雑が行われたのではないか とい う疑問を生む も のである。少 くとも吸収曲線型はそのような推定を抱か せ るタイプを示 している。 以上要す るに,ク )の 若枝 におけ る樹皮タンニンの紫 外部吸収 スペク トルを測定 し

,吸

収 曲線を描 い て み る と

,そ

の概形的な傾向はおおむね類似 しているが

,支

那 栗では極大点

,極

小点が見られず,日本栗では極大点, 極小点が見られた。 また両者のF■ では極大点

,極

小点 が見られず支那栗的な傾向が見 られた。例外的な2品種 の検討は要す るとしても,この大別 的な吸収特性の存在 は C公力″ια ηο′力ss'″

,と

G,Sナα″¢ρθ′ι″ガ

,の

謂明J に十分有効な もの と老 えられ る。 次にマノ属について第2表お よび第23∼ 30図を概観す ると

,前

述のク リ属 とは著 しく異 る吸収曲線を もつ こと が知 られ る。これ らの吸収特性は針葉樹に共通的に見ら れ るタイプであつて

,広

葉樹が より多様な吸収を示すの に対 して対照的に 集中的であ る。 供試 8樹 種 について pH2.0の吸llx曲線の傾向をみれば極大点は 277mμ にあ り

,極

小点は255∼258 mμ の範 囲にある。したがつて

(11)

( 48) 相互の識別は一見困難であつていずれ も類似の傾向のよ うに見 もる。 しか し信細に検討すれば,こ れ ら吸収曲線 の中にもより近似の傾向のものと相異す る傾向のものが あることがわかる。ここでは分類学生の近縁性を度外視 して

,吸

収特性の類似性を もとにしてどのように分け ら れ るかを考察 しようと試み るものである。極大点につい ては

,ア

カマツ,クロマツ, )ギ ダマン

,テ

ーダマン, フランスカイガンン ョク,カ ノビアマツの6種類 が 278 m″ であるのに対 して,ヒメコマン,ゴョクノマツの

2種

類は 277mμ と浅色移動 している。 したがつて前6者と 後2者は一応極大点について識別拠点を もつていること になる。極小点については, )ギ ダマンとカリピアマシ が258mμ,テ_ダマンとフランスカイガンン コクが 257, アカマンとクロマンが256 mμ , ヒメコマ ツと ゴ ヨンノマノが255 mμ とな り各2種類ずつ同傾向 となつ ている。つぎにそれぞれの極大点 と極小点の中

,す

なわ ち吸収波長巾によつて分け ると,アカマ ツ,クロマツ, ヒメコマツ

,ゴ

コタノマンの 4種類が22m″ となり

,テ

マツ,フランスカイガンシ ョクが21 mμ , ヅギダ■ ツ,カ ヅビアマツが2omμ となつてぃる。 したがつてぁ たか も極小点によつて分類 した場合の4組 の樹種が

,そ

れぞれ類似の吸収 スペク トル的挙動を示して組み分けを されたかたち となる。 しか し吸収スペク トル的傾向は前 報で設定 した よぅに △ ユog KA,△10g KB,△IOgKcの 大小によつてより強 くそのタイプを 特性ずけ るものであ る。今試みに 8種 類を△10g KAの 大小の順序に配列し, その他の数値を併記すれば第 3表 の如 くになる。すなわ ち, △ Iog KAの 値は クロマンが最大であり,フランス カイガン シ ョウ, アヵマツ, テーダマツ, カリビアマ ツ, ジギダマツ, ヒメコマツ

,ゴ

ヨクノマツ の 順 で あ り

,前

4者 と後 4者 はそれぞれ近似の数値を 示 し て ャ、 る。 またこの表において△10g KBの数に注 目すれば,ヒ メコマツ, ゴヨクノマンが著 しく小さいことが見られ, 他の6種類 と明 らかに区別することができる。 またその6種種についてみ ると,カ リビアマツと 'ギ ダマツは△10g KBの 値ではで区別できないかわ りに,△ Iog KAの 値が他の4種類 より明 らかに小さ くなつ てお り区分す ることができる。 また △10g Kcの 値ははじめ の6種類のうち,フ ランスカイガンン コクが少 し小 さい 値を示す他はあまり大きなひらきはなく,△ log KAの 〕贋 位 とも一致 しない。 しか し後の2種類 ヒメコマツとゴヨ ンノマツは△10g KBと 同様に△10g Kcで もきわめて月ヽ さい値を示 し

,し

か も 0.13と 同じ値 となつている。 こ の数値はこれ ら2種 類の類縁性に関係のある数値の中で もとくに注 目すべき点 と考えられる。 潤

△iogKB/△ 10gKAは △logKAの 傾向とは反対に漸次

増大 して行 くが, ヒメコマツ

,ゴ

ヨクノマンでは再び小 さい値を示す。この数値の小さいものは吸収が浅色移動 してお り

,大

きい ものは吸収が深色移動 していることを 示す ものである。 △10gKc/△

10gKA,お

よび △logKc/ △logKBにつ いてもヒメコマンと ゴコンノマツの示 す 数値は他の種類 とちが う傾向となつてあらわれている。 以上の数値によつて

,そ

れぞれ各樹種の特徴的な吸収 曲線の傾向を知 ることができるが

,総

括的にみてもつ と も特徴的なタイプを示す ものは ヒメコマンとゴヨンノマ ツである。この2種はぃずれの数値からも他の樹種 と相 異す ることがわか り,しか も両種相互にきわめて類似 し た傾向をもつている。

pH2.oの

場合 の吸収は以上の如 くであ るが

, pHの

変化にしたがつて吸収は変化す るものであり,これ らの 樹種の

pHlo.oに

おける各数 値の傾向を比較 の ためあ げれば第4表の如 くである。これに よれば

, pH2.0の

場合 より極大点:は い ず れ も深色移動 して 284mμ とな

,極

小点 もそれぞれかなり深色移動 してい る。 この変 移 の中で もヒメコマツとゴヨクノマツ2種類は同様 の挙 動を示 し,これ らがきわめて近縁な種類であることを推 察せ しめ る。 以上あげた ようにクノ属およびマノ属は樹皮 タ ン‐ン の紫外部吸収 スペク トル的挙動によつて

,そ

の種類ある いは品種の識別を行 うことがある程度安定 して可能であ ることが認め られた。 とくに支那栗,日 本栗 の吸収 曲線 のタイブ

,そ

み らのFlの傾向や,マ ノ属 中の2・ 3棄 マノに対す る5葉 マツの特異な傾向性など

,吸

収 スペク トル的な識別拠点 として注目すべきところであると考え られ る。 摘

要 ク リ属の2樹種 C,sチα″ι′ ″,0′力dSガ″α と ω サ,″¢α σ″ヵ,JrIお よびマツ属の数種について

,そ

の樹皮タンニ ンの紫外部吸収 スペク トルを測定 した結 果

,そ

れ らの吸 収 曲線型は樹種特有の特徴をもつことが知 られた。 ク リのうち支那粟の品種であ るところの傍±23号

,西

川支那,日 の春 1号

,林

甘栗は紫外部の吸収 スペク トル において極大点

,極

小点を持つていない。 こ注 らの吸収 型は第 1∼第 4図 に示す通 りである。 支那栗 と日本栗 の交雑によるFlでぁる 5品 種の吸収 スペク トルは支那栗の吸収型 と同様な 傾 向 を 持つてい る。 一方

,柴

栗お よび 日本栗のグループに属す る

12品

極 の うちの

10品

,銀

,鹿

の爪

,今

,篠 ,有

,若

(12)

,銀

,七

福早生

,大

和早生

,森

早生は極大点

,極

小 点を持つてい る。 紫外部吸収 スペク トルに お い て同 じC,Sナβ″¢α に属 す るこれらの種類が相互に明確な識別点を持つ とい うこ とはきわめて興味深い ところである。 日本栗に属す る2品種

,太

,錦

秋は極大点

,極

小点 を持たないが,これ らは過去において支那栗 との交雑が 行なわれたのではないか と推察 され るものである。 次にマツ属 の 8樹 種

, P.力

″s,声ο″,, P,ナカク″カ ー 箸″

,P.′

をグι彦,P,チ′?′

,,P.´

ゲ″,Sチη・, P.θ,″ガう― II¢,, P. ク¢″チr7pヵ夕ど′,, P. 少ι77ι■クカツJ′, Лttρッ″・ υ,′. れ″》ο″,チsク の樹皮タンニンの紫外部吸収 スペク トル を浪1定した ところ

,第

2表の如 き結果が得 られ た。 これ ら8樹 種の紫外部吸収曲線は特徴的な型を示 したが特に 5葉 松であるところの

P.″

″チ妙/Py′′α

,P.″

,2歩″/17〃α Ma)″ υα

r.ル

″》閉 ″dク の2種類は他のマノ類 と異 る型を示 した。 すなわち,これ らは △10gKcの値 の小 さい吸収型を もつ ものである。 以上の事実は

,樹

皮タ ンニンの紫外部吸収 スペク トル ( 49 ) を淑1定す ることに よつ て

,樹

種 あ るいは品種 の識 別を行 うこ とが 可能で あ るこ とを示唆す るものであ る。 この こ とは また

,林

木育種 におけ る早期検定 の場合 に も有効 な 手力ヽか りとして利用で き るもの と考 え られ る。 文

1)岸

本 潤:日林誌

,43212(1961)

2)BANDOW I Biochem. Zeitschr.,296, 112(1938) 3)BRADFIELD, A.E.,PENttY,M. and WRIGHT,

W.B.:」

. Chem. SOC.,32(1947)

4)岡

村浩

,飯

塚義 富:日林誌

,42,36(1960)

5)岡

村浩

,飯

塚義富 :日林誌

,42,309(1960)

6)SoHN,A.W.:Angew.chem., 60, 539(1960)

7)BUCHAttAN,M.A., LEWIS, H.F, and WEBER,

B.W.:J, Am.Leather Chemists' Assoc.,

45, 513 (1950)

8)WIARANVILLE, L.F,and GoLDSCHMID, O.: Anal.Chem., 26, 1423(1954) 植物タンニ ンの紫外部吸収 スペク トルに関す る研究

(1)

う ‘             ム 一

Suntmary

ヽVhen ultraviolet‐absorption spectra of bark tannins upon twO tree species of chestnut (Cα sナ'″¢α 物οど力ssデ,%2& Crrsチr7″ιrt θ′?″αttα)and sOme pines(2η 力″d)Was measured, it Was fOund that their

absorption curve type、 vas characteristic in relation to the type of trees,

In the chestnut,the variettts of Chinese chestnut(BO」 I‐23, NISHIKAWA‐

SHINA, HINOHARU-1,

HAYASHI‐AMAGURI)have nOt maximum and minimum points in ultraviolet‐ absorption spectra. These types are presented as in Figs l-4.

Spectra of 5 varieties, which are Fl by crossing (Chinese chestnut ×」apanese chestnut), Vere similar to that of Chinese chestnut, On the other hand,SHIBAGURI and 10 of 12 varieties(GINREI,

SHIKANOTSUME, IMAKITA, SHINO, ARIMA, WAKADA, GINYOSE, SHICHIFUKUttASE,

YAMATO‐WASE.MORI‐WASE)which are a

nliniinum points,

It is a very interesting result that the group o王

grOup of Japanese Chestnut have maximum and

both speciles which are of the same Casチα″ια differ

clearly from each other in ultraviolet‐ absorption spectra,

Two varieties(FUTODAMA&KINSHU)whiCh are a group of JapaneSe chestnut have not maximum

and ■linimum points.

From this result,it may be assumed that Chinese chestnut may have been used in crosSing in past

days.

Next,abSOrption of their bark tannin of 8 species in the pine (二 虎″S'メ′ο″rr, P. サんク″うιlgガケ,

P・ ″をサカ

,P″

,R,′

″ 'Sチ

er,P,θα万うα¢α,ニ タι″ナψ々ノ′α, P・ ´ι″″,り

''2ワ整昨 υα″・ カゲ

(13)

( 50 ) 岸 本

was investigated.This FeStllt is pFeSenttd in Table 2.

Spectrophotometric cwves of a characteristic type in the dtra olet region of these s species have been obtained.

Especially,2 species(Pi´切 ″かわE●

&P,″

勢チ妙 乳ガ励 駒 ″v,′. カケ″¢たο″,才勁)whiCh have r e

leaves differ from other pines,

Namely,they haVe absorption type of a smali number of△iOg Kc.

The above fact hdicated that it is possible‐ to disthguish tree species or Varお ties by inves碗 摯tiOn of ultraviolet‐absorption epectra oF thoir bark tannins.

It may be considered ttat thiさ might be usefui for the carly diognOsis in plant breeding.

(14)
(15)

1海

_二

歩合 に な って pF‐1.5

pH2.9 ,

surnmarized the Blue reaction Straight vegetable them ccnvex to upper P. tunberg P,pentaphy■a

Mayr var .himekomatsu

乃、な り 類 似 の変 曲点 見 え る

WAKAEDA

歩合 な って PF l.5 pⅡ3.0 sumarized

th

、 Bluc raction straght vegムtable then conAeX tO upper P, tuuberg Pi pentaphylla

ヽCavr var. hiinekomats I か な り点 類 似 の変 曲 見 もる

WAKADA

― 若下 より6行日 右下 よ り2行目 下か ら5行目 下か ら2行日 上か ら10行 日 Table 3 上か ら3行日

Fig.5

下 か らη行 日 上か ら4行日 4行目 Fig. 24 .

Fig.30

上か ら19イ子目 〃 20イ 子目 上 か ら2行日 SummaFy 9行 日

参照

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