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レーダ雨量を考慮したニューラルネットワークによる流出計算

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Academic year: 2021

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愛知工業大学研究報告 第32号B 平成 9年

97

レーダ雨量を考慮したニューラルネットワークによる流出計算

Runoff Calculation by Neural Net胃orksUsing Radar Rainfall Data

岡 田 晋 作 ¥ Shinsaku OKADA. 四 俵 正 俊 什 日asatoshiSHIDA官ARA Abstr自ct Neural net曹orks.areused to calculate runoff from曹eatherradar data and ground rain gauge data. Compared to usual runoff models, it is easier to use radar data in neural net胃orkrunoff calculation. Basically you can日sethe radar data directly, or wi thout transforming them into rainfall, as the input of the neural net曹ork.A situation官ith the difficul ty of ground measurement is suppos告d. To cover the area lacking ground rain gauge, radar data are used. In case that the distribution of ground rain gauges is non-uniform, filling也pthe vacancy胃ithradar data is very efficient to get good runoff esti回ation. 1 はじめに 流出解析法にはいくつかのモデ、ルがあり、様々な手法 が考えられているが、流域内部の表

I

町・ rfJ刑 .)I~}氏流 出など、複雑な現象とそれらの相互関係については卜 分に解明されていない。また、これらは多くの場介、 複雑な計:買を必要としたり、対象流域の観測経験を必 要としたりするもので、時間の経過によって符られる 新しい情報に従って、それぞれの流出解析モデルの係 数などを繰り返し修正しながら流出計算をしている のが現状である。 一方、ニューラルネットワークは、動物の神経細胞 (ニューロン)を単純な数理モデルで表し、それを多 数結合したものである。これは従来のように数式化し た処理手順をプログラムとしてコンビュータに与え て解を得るのではなく、単純に入力と出力の関係のみ を学習させて解を得ょうとするものである。 それによって出来るニューラルネットワークは入 出力関係をブラックボックス的に表現するので、物理 的に明確でない現象でも符易に適用できる特徴を持 っている。つまり、入力に対する正しい11¥力を学習さ f愛知工業大学 建設システム工学専攻(践岡市) 十十愛知工業大学土木工学科(黒川市〕 せることである穫の経験を積み、何らかの関係がある と思われるデータを用いて、解析を試みることが可能 であるということである。 これまで我々の研究室では、現在までの地上雨量も しくは流量を入力として与えることにより、ニューラ ルネットワークによる洪水時の短期流量予測に関し ては良好な結果が得られている。そこで今回は、さら にレーダ雨量を入力として与えることで流出予測の 精度の向上を目指すものである。 木来なら流山計算をする上で、流域内には地上雨量 計が均等に、そして数多く設置されていることが望ま しい。しかし、何らかの理由で流域内の地上雨量計の 数が少ない場合や、設置場所が偏っている場合が考え られる。このような場合を想定し、地上雨量計では計 測できない部分をレーダ雨量で補うことによって流 出計算の精度向上を図ることが出来るか検討する。 2 ニューラルネットワーク 2・1 ニューロンとは モデルとしたニューロン(神経細胞〉を表したものが 図2.1である。脳や神経は、このニューロンが結合し てできた大規模なシステムであり、機能的にみれば、 ニューロンは情報処理素子の役割をしている。 1つの

(2)

9

8

愛知!工業大学研究報告,第32号8,平成9年, Vol.32-B, Mar.1997 ユニットは、仙のニューロンとシナプス結合部分でつ ながっており、仙のニューロンからの信号を内部で増 幅、減衰、合計など処理し、別のニューロンへ伝達す る。このニューロンは学習によって機能や結合が変化 する。 他のニューロンへ 図2.1 ニューロン

2

2

ニューロンのモデル化 図2.1の神経細胞をモデル化したものを関2.2に示す。 増幅または減衰されて、入ってくる複数の入力信号の 和をこの式でしきい値処理を行い、結果をlJj力信号と して他のニューロンに送る。 入力値 0

一一ー一ーー一一→供

I

I

I

]]

i 同一一一→( Oj= n 1 + exp(-,lo

W'j+ ej) 。 町一一一一一一一一φ 重みしきし、値 図2.2 ニューロンのモデル化 2・3 ニューラルネットワークの構造 図2.2で示した 1つのニューロンを 1ユニットとして、 これを階層的に結合したものが図2.Bに示す階層型ニ ューラルネットワークと呼ばれるものである。入力屑 と出力層およびいくつかの中間層(隠れ層)から構成 されている。ネットワークの入力屑に入力信号が与え られると、内部で処理し、それに応じた出力信号が出 力され、次の層に入力信号として送られる。以上のよ うなことが繰り返され、最後に出力層からでた出力信 号が出力データとなる。 今 山 山 力 寸 入 力 入力層 中間層 出力層 @ニューロン 図2.3 ネットワークの構造

2

4

ニューラルネットワークの学習と評価 入力するデータに対して手本となる教師データを与 え、ニューラルネットワークで計算された出力データ を教師データと比較し、許容誤差より大きければ、誤 差の大きさに従って結合の重みとしきい値を調整す る。この過程を許容誤差内に達するまで繰り返す。こ れをニューラルネットワークの学習といい、図2.4に その過程を示す。そして、できあがったネットワーク に、学習には用いていないデータを入力し、ネットワ ークを通して出力された値が予測となる。 結 合 のE重 み ・ し き い 僚 の 閥 盤 図

2

.

4

ネットワークの学習と予測 3 解析方法 3.1 対象流域 図3.1に対象流域を示す。本研究では豊川石田地点流 域(流域面積

7

2

1

k

m

りを対象とし、流域内の

8

地点の 地上時間雨量デー夕、流域内の

5

0

メッシュのレーダ 雨量データおよび布里・石田地点の流量データを使用 した。

(3)

レーダ雨量を考慮したニューラルネットワークによる流出計算

9

9

3

.

1

対象流域

3

2

使用する出水 本研究に使用する出水を表

l

に示す。計算には

1

9

8

3

年から

1

9

9

3

年までの8出水を用い、その内の

3W

7

l

<

を学習、残りの5出水を評価に用いた。 表

1

豊川出水データ 最大流量(回'/s) 5331石 田 1 348 7781 1 610 B781 1 810 9061 1 469 14241 2 450 1961 817 7691 879 3691 657

3・3 レーダ雨量データ 木研究で使用するレーダ雨量データは御在所レーダ で観測されたものである。磁気テープから取り

I

H

した 5分間強度の反射電力僚からレーダ方税式により雨 量強度を求め、これの1時間平均値をレーダ雨量とす る。また、すべての計算で

B=

2

0

0

.

β

=

1.6を用いた。 レーダ雨量値は 3kmx 3 .kmの直交メッシュの平均怖 を用いた。式

i

に使用したレーダ方程式、関

3

.

2

8

地点単純平均の地上雨量と流域内

5

0

メッシュで呼均 したレーダ雨量の例を示す。 p r = C X F X B f R H X α ω ) Pr:反射電力値 C:レーダ定数 日Xi{":反射強皮肉子 F:補正係数 α:減 衰 項 r 御I:E所からrl傑までの陀隊

;

i

;

[

J

A

品品よ:加

3

.

2

地上雨量・レーダ雨量の例

3

.

4

入力データの前処理 入力データは、過去数時間の雨量データをそのまま入 力値とするよりも、累加処理を施すことにより計算時 間の短縮や予測結果が向上することが解っている。本 研究で用いる累加方法は図

3

.

3

に示す

6

時間累加で 行った。 開 一 時 捕 時 一 笠 間 一 時 一 岬 量 - O のおり日目

η

雨 -J川氏比比同同パ 累加処理(6沼了一一一ー時間) パ6)+パ5) パ6)+ば5)+パ司) バ6)+パ5)+1{4)+1{3) パ6)+1{5)+1{4)+パ3)+パ2) パ6)+バ5)+パ4)+パ3)+パ2)+パ1) バ7) パ7);パ6) パ7).1{6)+1{5) パ7)+パ6)+1{5)+1{4) バ7)+パ6)+パ5)判{4)+バ3) パ7)+パ6)+パ5)+パ4)+パ3)+パ2) 図

3

.

3 6

時間累加

3

5

ネットワーク 本研究に用いたネットワークは図

3

.

4

に示したりカ レント裂である。入力層のユニット数は、計算する地 点数などによって異なるが、 1つの雨量観測地点につ いて過去

6

時間分までの累加雨量データ

(6

個〉を入 力とするので、 2カ所の雨量観測所のデータを用いた 場合には

1

2

側、

4

カ所の雨量観測所を用いた場合で は

2

4

個が入力層ユニットの個数となる。中間層のユ ニット数は入力層のユニット数の半分とし、出力層の ユニットは石間流量地点1っとした。

入力関

-

-

-

[

1

年一骨静

岡 一 +

3

.

4

ネットワーク

(4)

100 愛知工業大学研究報告,第

3

2

B

,平成

9

年,

V

o

1

.

3

2

-

&

MaL

1

9

9

7

4.解析結果 4・1地上雨量のみ、レーダ雨量のみを 用いた場合 まず、流域内日地点の地と雨景データすべてを入 }Jと したネットワークを作った。 8山水のデータを学習用 の3出水と評価用の5出水に分けた。この分け方は

3

3

6

通りあるが、ランダムに25通り選んで計算を行 った結果、ど:の出水を選んでも良好であった。次に、 レーダ雨量のみを用いた流山計算を試みた。流域内50 メッシュのレーダ雨量を8ブロックに分け、ブロック の主f-均値をそれぞれ累加処理して入力とした。8地点 の雨量を用いた場合と比較すると、 Bブロックのレー ダ雨量を用いた場合は、学習時聞が長いものが多く、 また予測精度も良くなかった。評価例を関1.1に示す。 学習に用いた出水は表lの⑨、⑨、(⑤、評価には表l の②の出水を用いた。 (m'!s) 実例 30 I J

1

-

間 イI'I~

01

也上のみ 1'';': ×レーターのみ

I

t~, (Illm!h) 10001一

h) 60 図

4

.

1

地上雨量のみ、レーダ雨量のみの場合

4

.

2

地上雨量(

4

地点)をレーダ雨量で 補った場合 この流域内の地卜‘雨量計の設置場所が偏っていた場 合を仮定する。 4個の地上雨景言│を考えのL

i

f

.

Eに4地 点(同日・豊邦・問 111年・高松)設

m

ーした場合、 (2)卜流に 4地点(海老・布里・川合・ 111古川)設置した場合、(お 流域周辺部に4地点(回日・

E

Z

邦・川合・Illi'ilfl)設問 した場合、④流域中央部に4地点(海老・布rn'lllill干・ 高松)設置した場合を仮定し、地仁雨前のみを JJJ~ 、た ものと地上雨最にレーダ雨最を補ったものとを比較 した。①~(沿いずれの場合も地仁雨軍:をレーダ雨 hI で 補うことにより精度が向上した。評価事JIを以

1

4

.2

.

l~ 図

4

.

2

.

4

に示す。学宵に月

1

~、た 11:* は表 l のの、(心、 流 麗

(

m

3

!

)

①上流

4

地点

(f[J仁1・豊邦・田111筆・高松) 30 1000 雨 量 実測

(

m!h) × 地 上 の み

0

地ヒ+

レ ー ダ 500 流 畳 (m3

!

)

50 時間(h) 図

4

.

2

.

1

上 流

4

地点を考えた場合

6

,,

2

② 下 流4

地点

(有H~ ・川合.

i

毎 老 ・ 山 吉 田 )

1000 500

測上上レ

実 地 地 ×

O

﹄ H

m

4

.

2

.

2

流 買 (m3

!

)

③ 流 域 周 辺 部4地点 ([[1[1・豊邦・川合・山吉田)

量 1000 500 実測 ( × 地 上 の み

O

地上+

レ ー ダ 50 fI寺問 (h) 図

4

.

2

.

3

流 域 周 辺 部

4

地点を考えた場合

(5)

レーダ雨景を考慮したニューラルネットワークによる流出計算 時5間0(h) 図4.2.4流域中央部

4

地点を考えた場合 図4.3.1 田口@豊邦を考えた場合

3( 2000 4・3地上雨量(2地点)をレーダ雨量で

i

市 一実測 雨 補った場合 × 地 上 + 流 次に、この流域内の地上雨最言│の数が少なかった場介 量

0

地 上 + 流 量

l

量 を仮定する。 2個の地上雨景討を考え、近くにある2 (m3 十レー

(

mjh) 地点を選んだものを3組、離れたところにある2地点 を選んだものを3組使用し、それぞれ地上雨量のみを 用いたものと地上雨量にレーダ雨量を補ったものと を試みた。結果は、地上雨量のみを用いたものは学習 時間が長いものが多く、許容誤差内に収まらないもの もあり、予測精度も良くなかった。 ヅJ、地[-jfJFi'rに

50(h) 100 レータ守雨量:を補ったものは学習時間はそれほど長く 4.3.2 布竪・海老を考えた場合 ないが、予測精度はあまり良くなかった。過去の研究 I...~ I.L--¥ / から流量をネットワークの入力に用いることで学習 璽F・ lvUv~z|O 時間が短縮し、予測精度も向上することが解っている。 布堅から石田までの流達時間は1時間であるので、 1 一実測 時間前の布里地点の流量を入力として用い、地│ょ雨黒 ×地上十 と流量を用いたものと地l二雨量にレーダ雨最を補い、

0

地 上 + さらに流量をJrH、たものとを比較した。泣くにある2 十レー 地点を選んだ場合(① ③)も、離れたところにある2 地点を選んだ場合(④ ⑥〕も、それぞれ地上雨足をレ ーダ雨量で補ったものの方が精度も良く、好結果が得 られた。評価例を図4.3.1~ 関 4.3-

6

~こ示す。 学背に 用いた山水は表lの①、④、⑨、評価には表lの(めの 出水を用いた。

時5間0(h) 100 図4.3.3 山吉田・高松を考えた場合 流

(m3j

)

1991.6フフ ァ一一r'-'ート""l

0

④流域中央部4地点 (海老・布里・

U

J

I

峰・高松) O 口問九日 q u τ h h 卜 r r 1000 500 一 実

i

![iJ

x

J世1--のみ

O J

1

-

-

+

レーダ t , f j , , m 101 胸 中 間 最 円 / ﹂ 雨 量

(6)

102 愛知工業大学研究報告,第32号

B

,平成9年,

V

o

l.32-B,

M

a

r

.

1997 5.まとめ 2000 流域内の地上雨量計の数が少ない場合や設置場所に j定 一実測 雨 偏りがある場合、雨量が観測できないところをレーダ × 地 L-_十 流 最 雨量で補うことによりニューラルネットワークの流

0

地 上 + 流 量 量 出予測の精度を向上させることが出来た。地上雨量計 (m%) + レ ー ダ の数が少ない場合はネットワークの入力値のユニッ

(

r

r

1

m/h) 1000 ト数が少なくなり、学習機能がうまく働かなかったこ とから、ネットワークに入力する前処理の段階で工夫 する必要がある。今回は、上流の流量を入力すること により好結果を得ることが出来た。今後の課題の一つ として、

t

流の流量を入力に使用せず、雨量と流量の 100 関係のみで流出計算の精度向上を図ることが挙げら 図4.3.4 回目。布里を考えた場合 れる。 参考苅献 富士通:ニューロシステムガイド,即135~143,富土通,東 京lωl 2) 菊也智彦白川うニューロコンビュータ,即19~34,オーム社 東京1990 3) 甘不明変ーニューロコンピュータ読本14,サイエンス北東 京1989 4) 菅源îE巳社副ifrl庁i去即1~2U世田繍和睦批東京 1972 5) 却紛叶:ニューラルネットワークによる涜品斗集1-10,1993 G) 打田卓実:雨嫌舞踏考慮したニューラルネットワークによる 瀦

i

信1算1-,81994 7) 柑f射寺.ぬ,':1:¥計算沼ニューラノレネットワークの学習用データ の立古河こ官、て;1-10,1関5

50 100 R) 不調形Eレータ雨量購英数

B

、βの最盛1配波動こ関する 砂砂1:1-15,1985 図4.3.5 豊 邦 @ 山 吉 田 を 考 え た 場 合 9) 卒調関・レータ雨量│による│海降服艇課¢解!斥1-9,1987 ~89,.9 , \0 10) 特 初Eレータ雨覇│を使つわl溺 柳 溜l者昔f:ltJ.k1守則1 -9,1995 30 ( 受 理 平 成9年3月21日〉 2000 αコ 流 実視

J

I

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:

r

+ 流 景 量

OJ

出 土 + 流

A

I

量 (m3/s) 十 レ ー ダ

(

m/h) 1000

o

50 100 時間 (h) 図4.3.6 海 老 ・ 高 松 を 考 え た 場 合

参照

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